以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る三相インバータ回路を模式的に表す回路図である。
図1に表したように、三相インバータ回路10は、ブリッジ回路部12と、ドライバ回路14と、を備える。
ブリッジ回路部12は、一対の入力端子20a、20bと、第1〜第3の3つのハイサイドスイッチ21a〜21cと、第1〜第3の3つのロウサイドスイッチ22a〜22cと、ハイサイド側の3つの第1制御回路23a〜23cと、ロウサイド側の3つの第2制御回路24a〜24cと、3つの出力端子25a〜25cと、を含む。
各入力端子20a、20bには、図示を省略した直流電源が接続される。各出力端子25a〜25cには、図示を省略した交流負荷が接続される。三相インバータ回路10は、直流電源から入力された直流電力を三相交流電力に変換し、各出力端子25a〜25cに接続された交流負荷に三相交流電力を出力する。例えば、三相インバータ回路10を太陽光発電用のパワーコンディショナに用いた場合、直流電源は、太陽電池パネルであり、交流負荷は、電力系統である。直流電源及び交流負荷は、これに限ることなく、任意の電源及び負荷でよい。
ドライバ回路14は、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのオン・オフを切り替えるための電圧を各制御回路23a〜23c、24a〜24cに供給する。また、各制御回路23a〜23c、24a〜24cのそれぞれには、制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloが入力される。各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、ドライバ回路14から供給される電圧及び各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloを基に、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのオン・オフを切り替える。
各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloは、例えば、ロウ電位(例えば0V)とハイ電位(例えば5V)との間で変化するパルス信号である。各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、例えば、各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloのロウ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオンにし、ハイ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオフにする。これとは反対に、各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloのロウ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオンにし、ハイ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオンにしてもよい。
三相インバータ回路10のブリッジ回路部12は、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのオン・オフにより、直流電力を三相交流電力に変換する。なお、各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloは、外部から入力してもよいし、三相インバータ回路10の内部で生成してもよい。
入力端子20aは、高電位側の端子であり、入力端子20bは、低電位側の端子である。入力端子20aは、例えば、電源電圧VDCに設定される。電源電圧VDCは、例えば、600Vである。入力端子20bは、例えば、接地電圧GND(0V)に設定される。入力端子20bの電圧(電位)は、接地電圧GNDに限ることなく、入力端子20aの電位よりも低い任意の電圧(基準電圧)でよい。このように、入力端子20aの電圧は、入力端子20bの電圧よりも高く設定される。以下では、入力端子20bの基準電圧を接地電圧GNDとして説明を行う。
各スイッチ21a〜21c、22a〜22cには、FET(Field effect transistor)、HEMT(High Electron Mobility Transistor)、または、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの半導体スイッチング素子が用いられる。各スイッチ21a〜21c、22a〜22cは、一対の主電極と、制御電極と、を含む。例えば、主電極の一方は、ドレインであり、主電極の他方は、ソースであり、制御電極は、ゲートである。各スイッチ21a〜21c、22a〜22cでは、制御電極に印加する電圧によって、各主電極間に流れる電流が制御される。
ここで、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cの「オン状態」とは、各主電極間に電流が流れる状態であり、「オフ状態」とは、各主電極間に流れる電流が、オン状態よりも小さい状態である。オフ状態では、例えば、各主電極間に実質的に電流が流れない。オフ状態では、例えば、電力の変換処理に実質的に影響を及ぼさない程度の微小な電流が各主電極間に流れていてもよい。オン状態は、換言すれば、第1状態であり、オフ状態は、各主電極間に流れる電流が第1状態よりも小さい第2状態である。
各スイッチ21a〜21c、22a〜22cは、GaN、SiCまたはダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体を含む。ワイドバンドギャップ半導体を含むスイッチング素子は、シリコン半導体を含むスイッチング素子に比べて、高速スイッチングや低オン抵抗などの優れた特性を示す。
また、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのそれぞれは、低電位側の主電極の電位よりも低い電圧を制御電極に印加した時に、オン状態からオフ状態に変化するデプレッション型である。換言すれば、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cは、制御電極の電位が、低電位側の主電極の電位と実質的に同じ(例えば0V)でも、各主電極間に電流が流れるノーマリオン特性を有する。各スイッチ21a〜21c、22a〜22cは、例えば、ノーマリオン型のnチャネルFETである。
各スイッチ21a〜21c、22a〜22cでは、制御電極の電位を低電位側の主電極の電位よりも低くした時に、オン状態からオフ状態に切り替わる。すなわち、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cでは、低電位側の主電極の電位を基準とした時に、制御電極に対して負の電圧を印加することにより、オン状態からオフ状態に切り替わる。各スイッチ21a〜21c、22a〜22cの閾値電圧は、例えば、−10V程度である。各スイッチ21a〜21c、22a〜22cは、例えば、制御電極に負の電圧を印加することによってオン・オフが切り替わる任意の半導体スイッチング素子でよい。
各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのそれぞれには、ダイオードが接続される。各ダイオードは、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのそれぞれの一対の主電極に対して並列に接続される。また、各ダイオードの順方向は、各主電極間に流れる電流の方向に対して逆向きに設定される。すなわち、各ダイオードは、いわゆる還流ダイオードである。
第1ハイサイドスイッチ21aの一方の主電極は、高電位側の入力端子20aと電気的に接続される。第1ロウサイドスイッチ22aの一方の主電極は、第1ハイサイドスイッチ21aの他方の主電極と電気的に接続される。第1ロウサイドスイッチ22aの他方の主電極は、低電位側の入力端子20bと電気的に接続される。すなわち、第1ハイサイドスイッチ21a及び第1ロウサイドスイッチ22aは、入力端子20a、20bの間に直列に接続される。換言すれば、第1ハイサイドスイッチ21aは、一対の入力端子20a、20bの間に接続され、第1ロウサイドスイッチ22aは、第1ハイサイドスイッチ21aと低電位側の入力端子20bとの間に接続される。
第2ハイサイドスイッチ21b及び第2ロウサイドスイッチ22bも、同様に、入力端子20a、20bの間に直列に接続される。また、第2ハイサイドスイッチ21b及び第2ロウサイドスイッチ22bは、第1ハイサイドスイッチ21a及び第1ロウサイドスイッチ22aに対して並列に接続される。
第3ハイサイドスイッチ21c及び第3ロウサイドスイッチ22cも、同様に、入力端子20a、20bの間に直列に接続される。また、第3ハイサイドスイッチ21c及び第3ロウサイドスイッチ22cは、第1ハイサイドスイッチ21a及び第1ロウサイドスイッチ22aに対して並列に接続されるとともに、第2ハイサイドスイッチ21b及び第2ロウサイドスイッチ22bに対して並列に接続される。
このように、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cは、入力端子20a、20bの間に三相ブリッジ接続される。例えば、第1ハイサイドスイッチ21a及び第1ロウサイドスイッチ22aが、第1相(U相)となり、第2ハイサイドスイッチ21b及び第2ロウサイドスイッチ22bが、第2相(V相)となり、第3ハイサイドスイッチ21c及び第3ロウサイドスイッチ22cが、第3相(W相)となる。
ブリッジ回路部12では、第1ハイサイドスイッチ21aと第1ロウサイドスイッチ22aとの接続ノードCN1が、第1相の交流出力点となる。第2ハイサイドスイッチ21bと第2ロウサイドスイッチ22bとの接続ノードCN2が、第2相の交流出力点となる。第3ハイサイドスイッチ21cと第3ロウサイドスイッチ22cとの接続ノードCN3が、第3相の交流出力点となる。
出力端子25aは、第1ハイサイドスイッチ21aと第1ロウサイドスイッチ22aとの接続ノードCN1に接続される。出力端子25bは、第2ハイサイドスイッチ21bと第2ロウサイドスイッチ22bとの接続ノードCN2に接続される。出力端子25cは、第3ハイサイドスイッチ21cと第3ロウサイドスイッチ22cとの接続ノードCN3に接続される。
これにより、出力端子25aは、第1相の交流出力電圧VU_OUTを出力する。出力端子25bは、第2相の交流出力電圧VV_OUTを出力する。そして、出力端子25cは、第3相の交流出力電圧VW_OUTを出力する。
第1制御回路23aは、抵抗26aを介して第1ハイサイドスイッチ21aの制御電極と電気的に接続される。第1制御回路23bは、抵抗26bを介して第2ハイサイドスイッチ21bの制御電極と電気的に接続される。第1制御回路23cは、抵抗26cを介して第3ハイサイドスイッチ21cの制御電極と電気的に接続される。第2制御回路24aは、抵抗27aを介して第1ロウサイドスイッチ22aの制御電極と電気的に接続される。第2制御回路24bは、抵抗27bを介して第2ロウサイドスイッチ22bの制御電極と電気的に接続される。第2制御回路24cは、抵抗27cを介して第3ロウサイドスイッチ22cの制御電極と電気的に接続される。
各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのそれぞれの制御電極に印加する電圧を制御することにより、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのオン・オフの切り替えを制御する。
また、各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、第1ハイサイドスイッチ21aと第1ロウサイドスイッチ22aとを交互にオン・オフし、第2ハイサイドスイッチ21bと第2ロウサイドスイッチ22bとを交互にオン・オフし、第3ハイサイドスイッチ21cと第3ロウサイドスイッチ22cとを交互にオン・オフする。このように、各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、各ハイサイドスイッチ21a〜21cと、それに対応する各ロウサイドスイッチ22a〜22cとを同時にオン状態にしないように制御を行う。
ドライバ回路14は、制御用電源30と、ブートストラップ回路32と、スイッチング素子34と、を含む。制御用電源30は、直流電源である。制御用電源30の陽極は、入力端子20bと電気的に接続される。すなわち、制御用電源30の陽極は、接地電圧GNDに設定される。これにより、制御用電源30の陰極の電位は、接地電圧GNDに対して負の電圧VEEとなる。
負の電圧VEEは、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのオフ制御に用いられる。負の電圧VEEは、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cの閾値電圧よりも低い。各スイッチ21a〜21c、22a〜22cの閾値電圧が−10V程度である場合、負の電圧VEEは、例えば、−20V程度である。すなわち、負の電圧VEEは、低電位側の入力端子20bの接地電圧GND(基準電圧)よりも低い直流の制御電圧である。
制御用電源30の陰極は、ロウサイド側の各第2制御回路24a〜24cと電気的に接続される。これにより、負の電圧VEEが、各第2制御回路24a〜24cに供給される。また、各第2制御回路24a〜24cは、入力端子20bと電気的に接続される。
各第2制御回路24a〜24cは、各ロウサイドスイッチ22a〜22cをオン状態にする場合、各ロウサイドスイッチ22a〜22cの制御電極に接地電圧GNDを印加する。これにより、各ロウサイドスイッチ22a〜22cにおいて、制御電極の電位が、低電位側の主電極の電位と実質的に同電位になり、各ロウサイドスイッチ22a〜22cがオン状態になる。
各第2制御回路24a〜24cは、各ロウサイドスイッチ22a〜22cをオフ状態にする場合、各ロウサイドスイッチ22a〜22cの制御電極に負の電圧VEEを印加する。これにより、各ロウサイドスイッチ22a〜22cにおいて、制御電極の電位が、低電位側の主電極の電位よりも低くなり、各ロウサイドスイッチ22a〜22cがオフ状態になる。
ブートストラップ回路32は、3つのコンデンサ40a〜40cと、3つのダイオード41a〜41cと、3つのツェナーダイオード42a〜42cと、を含む。
コンデンサ40aの一端は、第1制御回路23aと電気的に接続される。コンデンサ40aの他端は、第1ハイサイドスイッチ21aと第1ロウサイドスイッチ22aとの接続ノードCN1に電気的に接続される。また、コンデンサ40aの前記一端は、ダイオード41a及びスイッチング素子34を介して制御用電源30の陰極と電気的に接続される。
コンデンサ40bの一端は、第1制御回路23bと電気的に接続される。コンデンサ40bの他端は、第2ハイサイドスイッチ21bと第2ロウサイドスイッチ22bとの接続ノードCN2に電気的に接続される。また、コンデンサ40bの前記一端は、ダイオード41b及びスイッチング素子34を介して制御用電源30の陰極と電気的に接続される。
コンデンサ40cの一端は、第1制御回路23cと電気的に接続される。コンデンサ40cの他端は、第3ハイサイドスイッチ21cと第3ロウサイドスイッチ22cとの接続ノードCN3に電気的に接続される。また、コンデンサ40cの前記一端は、ダイオード41c及びスイッチング素子34を介して制御用電源30の陰極と電気的に接続される。
スイッチング素子34のスイッチングは、ロウサイド側の各第2制御回路24a〜24cの出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsに基づいて制御される。各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsは、各ロウサイドスイッチ22a〜22cの制御電極に入力される信号である。すなわち、各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsは、接地電圧GNDまたは負の電圧VEEに設定される信号である。
スイッチング素子34は、各ロウサイドスイッチ22a〜22cがオン状態の時、すなわち、各出力端子25a〜25cの電位が全て接地電圧GNDになるタイミングでオン状態になる。そして、スイッチング素子34は、各ロウサイドスイッチ22a〜22cのいずれかがオフ状態になるタイミングでオフ状態になる。
スイッチング素子34がオン状態の時には、各ハイサイドスイッチ21a〜21cがオフ状態で、各ロウサイドスイッチ22a〜22cがオン状態である。従って、制御用電源30からスイッチング素子34、各ダイオード41a〜41c、及び、各ロウサイドスイッチ22a〜22cを介した電流が各コンデンサ40a〜40cに流れる。これにより、各接続ノードCN1〜CN3に接続された一端を正電位側、各ダイオード41a〜41cに接続された他端を負電位側として、各コンデンサ40a〜40cが充電される。
また、前述のように、コンデンサ40aのダイオード41aに接続された一端は、第1制御回路23aに接続される。コンデンサ40bのダイオード41bに接続された一端は、第1制御回路23bに接続される。コンデンサ40cのダイオード41cに接続された他端は、第1制御回路23cに接続される。
これにより、ハイサイド側の各第1制御回路23a〜23cには、各コンデンサ40a〜40cに充電された負の電圧が入力される。より具体的には、各接続ノードCN1〜CN3の電圧を基準とし、各接続ノードCN1〜CN3の電圧を負の電圧VEEの分だけ低くした電圧が、各第1制御回路23a〜23cに入力される。
また、第1制御回路23aは、第1ハイサイドスイッチ21aと第1ロウサイドスイッチ22aとの接続ノードCN1と電気的に接続される。第1制御回路23bは、第2ハイサイドスイッチ21bと第2ロウサイドスイッチ22bとの接続ノードCN2と電気的に接続される。第1制御回路23cは、第3ハイサイドスイッチ21cと第3ロウサイドスイッチ22cとの接続ノードCN3と電気的に接続される。
各第1制御回路23a〜23cは、各ハイサイドスイッチ21a〜21cをオン状態にする場合、各ハイサイドスイッチ21a〜21cの制御電極を各接続ノードCN1〜CN3の電圧に設定する。これにより、各ハイサイドスイッチ21a〜21cにおいて、制御電極の電位が、低電位側の主電極の電位と実質的に同電位になり、各ハイサイドスイッチ21a〜21cがオン状態になる。この時、各接続ノードCN1〜CN3の電圧は、電源電圧VDC近くまで上昇する。
各第1制御回路23a〜23cは、各ハイサイドスイッチ21a〜21cをオフ状態にする場合、各ハイサイドスイッチ21a〜21cの制御電極に各コンデンサ40a〜40cの電圧を印加する。これにより、各ハイサイドスイッチ21a〜21cにおいて、制御電極の電位が、低電位側の主電極の電位よりも低くなり、各ハイサイドスイッチ21a〜21cがオフ状態になる。
各ハイサイドスイッチ21a〜21cのいずれかがオン状態になり、スイッチング素子34がオフ状態になると、各コンデンサ40a〜40cは、制御用電源30と電気的に切り離される。この時、各コンデンサ40a〜40cは、各第1制御回路23a〜23cの電源として機能する。各コンデンサ40a〜40cは、制御用電源30から切り離された後、充電された負の電圧を各第1制御回路23a〜23cに供給する。従って、制御用電源30と各コンデンサ40a〜40cとの電気的な接続が途切れた後のスイッチングにおいても、各コンデンサ40a〜40cに充電された負の電圧を基に、各ハイサイドスイッチ21a〜21cを適切にオフ状態にすることができる。
このように、ドライバ回路14は、スイッチング素子34をオン状態にした時に、各接続ノードCN1〜CN3の電圧よりも低い電圧を各コンデンサ40a〜40cに充電し、各コンデンサ40a〜40cに充電された電圧を各第1制御回路23a〜23cに供給する。
各ツェナーダイオード42a〜42cは、各コンデンサ40a〜40cに並列に接続される。各ツェナーダイオード42a〜42cは、各コンデンサ40a〜40cの両端電圧が各コンデンサ40a〜40cの耐圧以上とならないようにするための保護用である。各コンデンサ40a〜40cの耐圧は、通常VEE+α程度である。例えば、VEEが−20Vのとき、各コンデンサ40a〜40cの耐圧は、50V程度である。なお、本実施形態のタイミングチャート通りにスイッチング素子34がオンする場合は、コンデンサ40a〜40cにVEE以上の電圧が印加されることはないため、例えばノイズ等によるスイッチング素子34の誤ON時のコンデンサ保護用である。各ダイオード41a〜41c及び各ツェナーダイオード42a〜42cは、ブートストラップ回路32に必要に応じて設けられ、省略可能である。
ドライバ回路14は、信号生成回路36と、遅延処理回路38と、をさらに含む。信号生成回路36は、スイッチング素子34のオン・オフを切り替える切替信号を生成する。遅延処理回路38は、信号生成回路36の生成した切替信号に遅延処理を施してスイッチング素子34に出力する。このように、スイッチング素子34は、信号生成回路36及び遅延処理回路38によって駆動される。
スイッチング素子34には、バイポーラトランジスタやFETなどの半導体スイッチング素子が用いられる。また、スイッチング素子34は、例えば、ノーマリオフ型である。この例において、スイッチング素子34は、nチャネルMOSFETである。スイッチング素子34は、一対の主電極と、制御電極とを含む。制御電極に印加する電圧により、スイッチング素子34の各主電極間に流れる電流が制御される。スイッチング素子34の一方の主電極は、各ダイオード41a〜41cを介して各コンデンサ40a〜40cと電気的に接続される。スイッチング素子34の他方の主電極は、制御用電源30の陰極と電気的に接続される。従って、スイッチング素子34の他方の主電極には、負の電圧VEEが印加される。
信号生成回路36は、3つのダイオード44a〜44cを含む。ダイオード44aのカソードは、第2制御回路24aの出力と電気的に接続される。ダイオード44aには、第2制御回路24aの出力信号Ulo_Vgsが入力される。ダイオード44bのカソードは、第2制御回路24bの出力と電気的に接続される。ダイオード44bには、第2制御回路24bの出力信号Vlo_Vgsが入力される。ダイオード44cのカソードは、第2制御回路24cの出力と電気的に接続される。ダイオード44cには、第2制御回路24cの出力信号Wlo_Vgsが入力される。
各ダイオード44a〜44cのそれぞれのアノードは、抵抗45を介して入力端子20bと電気的に接続される。これにより、各ダイオード44a〜44cのそれぞれのアノードは、接地電圧GNDに設定される。
信号生成回路36は、各ダイオード44a〜44cのアノードの接続点を出力とする。信号生成回路36の出力は、遅延処理回路38と電気的に接続される。信号生成回路36は、各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsを基に切替信号を生成し、生成した切替信号を遅延処理回路38に出力する。
信号生成回路36は、各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsのいずれかが負の電圧VEEである場合、負の電圧VEEを切替信号として出力する。そして、信号生成回路36は、各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsが全て接地電圧GNDである場合に、接地電圧GNDを切替信号として出力する。すなわち、信号生成回路36は、ダイオードAND回路である。
このように、信号生成回路36は、第1電圧と、第1電圧よりも高い第2電圧と、に変化する切替信号を生成する。この例において、第1電圧は、負の電圧VEEであり、第2電圧は、接地電圧GNDである。スイッチング素子34は、切替信号が第1電圧の時にオフ状態になり、切替信号が第2電圧の時にオン状態になる。第1電圧及び第2電圧は、上記に限ることなく、スイッチング素子34のオン・オフを切り替え可能な任意の電圧でよい。
遅延処理回路38は、半導体素子50と、抵抗51、52と、コンデンサ53と、を含む。半導体素子50は、一対の主電極と、制御電極と、を含む。半導体素子50には、例えば、バイポーラトランジスタやFETなどが用いられる。この例において、半導体素子50は、PNP型のバイポーラトランジスタである。
半導体素子50の一方の主電極は、抵抗51を介して入力端子20bと電気的に接続される。これにより、半導体素子50の一方の主電極は、接地電圧GNDに設定される。半導体素子50の他方の主電極は、制御用電源30の陰極と電気的に接続される。これにより、半導体素子50の他方の主電極には、負の電圧VEEが印加される。
半導体素子50の制御電極は、信号生成回路36の出力に電気的に接続される。すなわち、半導体素子50の制御電極には、信号生成回路36から出力された切替信号が入力される。抵抗52は、半導体素子50の一方の主電極と半導体素子50の制御電極との間に電気的に接続される。抵抗52は、例えば、信号生成回路36の出力がハイインピーダンスの場合に、半導体素子50の制御電極をプルアップする。コンデンサ53は、半導体素子50の各主電極に対して並列に接続される。
また、半導体素子50の一方の主電極は、スイッチング素子34の制御電極と電気的に接続される。すなわち、スイッチング素子34のスイッチングは、半導体素子50のスイッチングによって制御される。
切替信号の電位が負の電圧VEEである場合、半導体素子50の制御電極の電位が、半導体素子50の一方の主電極(エミッタ)の電位よりも低くなり、半導体素子50がオン状態になる。半導体素子50がオン状態の場合、スイッチング素子34の制御電極の電位が負の電圧VEEになる。すなわち、スイッチング素子34の制御電極の電位が、スイッチング素子34の低電位側の主電極の電位と実質的に同電位になる。従って、スイッチング素子34がオフ状態になる。
一方、切替信号の電位が接地電圧GNDである場合、半導体素子50の制御電極の電位が、半導体素子50の一方の主電極の電位と実質的に同電位になり、半導体素子50がオフ状態になる。
半導体素子50がオン状態からオフ状態に切り替わると、スイッチング素子34の制御電極の電位が接地電圧GNDになる。スイッチング素子34の制御電極の電位が、スイッチング素子34の低電位側の主電極の電位よりも高くなる。これにより、スイッチング素子34がオン状態になる。このように、スイッチング素子34は、各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsが全て接地電圧GNDになった時に、オフ状態からオン状態に切り替わる。
また、半導体素子50がオン状態からオフ状態に切り替わった時、スイッチング素子34の制御電極の電位は、抵抗51とコンデンサ53との時定数により、負の電圧VEEから接地電圧GNDに徐々に増加する。これにより、遅延処理回路38は、切替信号の変化からスイッチング素子34のオンのタイミングを遅延させる。より具体的には、遅延処理回路38は、切替信号の負の電圧VEE(第1電圧)から接地電圧GND(第2電圧)への立ち上がりを遅延させる。
切替信号の電位が接地電圧GNDから再び負の電圧VEEになると、半導体素子50がオン状態になり、スイッチング素子34の制御電極に負の電圧VEEが印加される。これにより、スイッチング素子34は、実質的に遅延することなく、オン状態からオフ状態に切り替わる。遅延処理回路38は、切替信号の接地電圧GNDから負の電圧VEEへの立ち下がりの遅延を抑制する。
このように、遅延処理回路38は、スイッチング素子34のオンのタイミングのみを遅延させ、スイッチング素子34のオフのタイミングを遅延させないようにする。すなわち、遅延処理回路38は、ボトムホールド処理を行う。
次に、三相インバータ回路10の動作について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る三相インバータ回路の動作の一例を模式的に表すタイミングチャート図である。
図2は、上から順に、第1制御回路23aの出力信号Uhi_Vgs、第2制御回路24aの出力信号Ulo_Vgs、第1相の交流出力電圧VU_OUT、第1制御回路23bの出力信号Vhi_Vgs、第2制御回路24bの出力信号Vlo_Vgs、第2相の交流出力電圧VV_OUT、第1制御回路23cの出力信号Whi_Vgs、第2制御回路24cの出力信号Wlo_Vgs、第3相の交流出力電圧VW_OUT、スイッチング素子34の制御電極の電圧Vsw_on、スイッチング素子34の主電極間の電圧Vds_sw、及び、各コンデンサ40a〜40cの電圧Vcを模式的に表している。なお、図2では、1つの電圧Vcを各コンデンサ40a〜40cの電圧として便宜的に図示している。各コンデンサ40a〜40cの電圧は、実際には、各コンデンサ40a〜40c毎に異なる。
また、図2では、各相の電流が、Iu<0、Iv<0、Iw>0の状態を表している。Iuは第1相の出力電流であり、Ivは第2相の出力電流であり、Iwは第3相の出力電流である。このため、図2においては、第1相の交流出力電圧VU_OUT及び第2相の交流出力電圧VV_OUTは、各ロウサイドスイッチ22a、22bのオン・オフで電位が変化し、第3相の交流出力電圧VW_OUTは、第3ハイサイドスイッチ21cのオン・オフで電位が変化している。
図2に表したように、三相インバータ回路10のドライバ回路14では、ロウサイド側の各第2制御回路24a〜24cの出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsのいずれかが、負の電圧VEEに設定されている場合、スイッチング素子34の制御電極の電圧Vsw_onが負の電圧VEEになる。これにより、スイッチング素子34がオフ状態になり、電圧Vds_swが各接続ノードCN1〜CN3の電位と接地電圧GNDとの電位差に設定される(図2の時点t1〜時点t2)。
スイッチング素子34がオフ状態の場合、ハイサイド側の各第1制御回路23a〜23cは、各コンデンサ40a〜40cに蓄積された負の電圧を基に、各ハイサイドスイッチ21a〜21cのオン・オフを制御する。このため、時点t1と時点t2との間の区間では、各コンデンサ40a〜40cの電圧Vcが放電される。
各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、入力された制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloに基づいて、各出力信号Uhi_Vgs、Vhi_Vgs、Whi_Vgs、Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsの電位を変化させる。これにより、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cのオン・オフが制御され、各入力端子20a、20b入力された直流電力が、三相交流電力に変換されて各出力端子25a〜25cから出力される。
各第2制御回路24a〜24cの出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsの全てが、接地電圧GNDに設定されると、半導体素子50がオフ状態になり、スイッチング素子34の制御電極の電圧Vsw_onが、負の電圧VEEから接地電圧GNDに徐々に増加する(図2の時点t2)。
そして、スイッチング素子34の制御電極の電圧Vsw_onが、スイッチング素子34の閾値電圧以上になると、スイッチング素子34がオン状態になる(図2の時点t3)。スイッチング素子34の各主電極の電位が、実質的に同電位になり、電圧Vds_swが実質的に0Vになる。
このように、スイッチング素子34のオンのタイミングは、切替信号の変化のタイミング(出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsの全てが、接地電圧GNDに設定されたタイミング)よりも遅延される。
スイッチング素子34がオン状態になると、各コンデンサ40a〜40cが制御用電源30と電気的に接続され、各コンデンサ40a〜40cに負の電圧が充電される(図2の時点t3〜時点t4)。
各出力信号Ulo_Vgs、Vlo_Vgs、Wlo_Vgsのいずれかが、再び負の電圧VEEに設定されると、半導体素子50がオン状態になり、スイッチング素子34の制御電極の電圧Vsw_onが、負の電圧VEEになる(図2の時点t4)。これにより、スイッチング素子34は、実質的に遅延することなく、オフ状態になる。スイッチング素子34のオフのタイミングは、切替信号の変化のタイミングと実質的に同じである。以下、同様の処理が繰り返される。
例えば、ノーマリオン型のハイサイドスイッチに供給するための負電圧を生成する電源回路と、ロウサイドスイッチに供給するための負電圧を生成する電源回路と、を含む第1参考例のドライバ回路がある。第1参考例のドライバ回路では、ハイサイド側の電源回路の高電圧側が、高圧電源の+端子と接続される。更に、一端がハイサイド側の電源回路の低電圧(負電圧)側と接続される制御用コンデンサが設けられる。スイッチング素子のオンオフを制御する制御回路は、当該スイッチング素子がオンの時に充電される当該制御用コンデンサから動作電源が供給される。また、電源回路には、コンデンサに別のスイッチング素子を介して電流を流し、ツェナーダイオードを当該コンデンサと並列に接続した負電圧電源が用いられる。
しかしながら、第1参考例では、ハイサイド側の内部電源回路が、上述の通り、高電圧側を高圧電源の+端子と接続している。このため、高圧電源から内部電源回路に電流が流れ込んでショートする危険性があり、当該ショートの防止のために、絶縁された電源が必要となる。例えば、回路が複雑になる。また、ハイサイド側とロウサイド側でそれぞれ電源を必要とする。更に、第1参考例では、スイッチング素子、コンデンサ及びツェナーダイオードが、ハイサイド側の電源に用いられるが、高い耐圧のツェナーダイオードを製造することは困難であり、電源電圧範囲の制限となってしまう。
また、スイッチを設け、ロウサイドの半導体スイッチがオンしている間にブートストラップ用コンデンサを充電し、ハイサイド用の負電源を生成する第2参考例のドライバ回路もある。
第2参考例では、スイッチを設けることにより、ブートストラップ回路の構成を簡易にすることができる。しかしながら、三相インバータ回路に適用する場合には、相毎にスイッチを設ける必要がある。このため、例えば、ドライバ回路のサイズに対する各スイッチの割合が増加し、ドライバ回路の大型化を招いてしまう。
このように、第1参考例及び第2参考例のドライバ回路では、ノーマリオン型のスイッチング素子に負の電圧を供給する場合に、回路の大型化や複雑化を招いてしまう。このため、ドライバ回路及びこれを用いた三相インバータ回路では、回路の大型化や複雑化を抑制しつつ、負の電圧を供給可能とすることが望まれている。
これに対して、本実施形態に係る三相インバータ回路10及びドライバ回路14では、スイッチング素子34を設け、各ロウサイドスイッチ22a〜22cが全てオン状態の時に、スイッチング素子34をオン状態にして各コンデンサ40a〜40cに負の電圧を充電している。
これにより、例えば、高圧電源側(電源電圧VDC)と電気的に絶縁された電源をハイサイド側に別途用意する必要がない。また、相毎にスイッチを設ける必要もなく、1つのスイッチング素子34のみで各コンデンサ40a〜40cを充電することができる。
このように、三相インバータ回路10及びドライバ回路14では、1つの制御用電源30及び1つのスイッチング素子34で、ハイサイド側の各第1制御回路23a〜23c及びロウサイド側の各第2制御回路24a〜24cのそれぞれに負の電圧を供給することができる。三相インバータ回路10及びドライバ回路14では、回路の大型化や複雑化を抑制しつつ、負の電圧を供給することができる。
さらには、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cにワイドバンドギャップ半導体を用いることができ、各スイッチ21a〜21c、22a〜22cの低オン抵抗化やスイッチング特性の高速化を図れる。これにより、三相インバータ回路10の高速化や低消費電力化を図れる。
例えば、スイッチング素子34をオン状態にしたまま、各ハイサイドスイッチ21a〜21cをオン状態にする。換言すれば、スイッチング素子34を設けずに、各コンデンサ40a〜40cと制御用電源30とを直接的に接続した状態で、各ハイサイドスイッチ21a〜21cをオン状態にする。この場合、電源電圧VDCに基づく過大な電流が、各コンデンサ40a〜40cや制御用電源30などに流れ、これらを破損させてしまう恐れがある。
ドライバ回路14では、スイッチング素子34を設け、各ハイサイドスイッチ21a〜21cのいずれかがオン状態になる時に、スイッチング素子34をオフ状態にする。これにより、各コンデンサ40a〜40cや制御用電源30の破損を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る三相インバータ回路を模式的に表す回路図である。
図3に表したように、三相インバータ回路100では、ドライバ回路102が、上記第1の実施形態のドライバ回路14と異なる。ドライバ回路102では、信号生成回路104及び遅延処理回路105にデジタル論理回路が用いられている。なお、三相インバータ回路100において、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
信号生成回路104は、3つのNOTゲート110a〜110cと、AND回路112と、を含む。NOTゲート110aは、第2制御回路24aの入力と電気的に接続される。NOTゲート110aには、第2制御回路24aに入力される制御信号Uloが入力される。NOTゲート110bは、第2制御回路24bの入力と電気的に接続される。NOTゲート110bには、第2制御回路24bに入力される制御信号Vloが入力される。NOTゲート110cは、第2制御回路24cの入力と電気的に接続される。NOTゲート110cには、第2制御回路24cに入力される制御信号Wloが入力される。
AND回路112は、各NOTゲート110a〜110cのそれぞれの出力と電気的に接続される。これにより、AND回路112には、各制御信号Ulo、Vlo、Wloを反転させた信号が入力される。これにより、AND回路112は、各制御信号Ulo、Vlo、Wloのそれぞれがロウ状態の時に、出力する切替信号をハイ(第2電圧)にする。すなわち、AND回路112は、各ロウサイドスイッチ22a〜22cをオン状態にするタイミングで、切替信号をハイにする。そして、AND回路112は、各制御信号Ulo、Vlo、Wloの少なくともいずれかがハイ状態の時に、切替信号をロウ(第1電圧)にする。
但し、この例において、各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloのロウ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオンにし、ハイ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオフにする。各制御回路23a〜23c、24a〜24cは、各制御信号Uhi、Vhi、Whi、Ulo、Vlo、Wloのロウ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオフにし、ハイ電位の時に各スイッチ21a〜21c、22a〜22cをオンにしてもよい。この場合、各NOTゲート110a〜110cは、不要である。このように、デジタル論理回路の信号生成回路104は、各第2制御回路24a〜24cのそれぞれの制御信号Ulo、Vlo、Wloに基づいてスイッチング素子34のオン・オフを制御可能な任意の構成でよい。
AND回路112に入力される各制御信号Ulo、Vlo、Wlo、及び、AND回路112から出力される切替信号において、ハイ状態とロウ状態との電位差は、例えば、5V程度である。
遅延処理回路105は、遅延回路114と、AND回路116と、を含む。遅延回路114は、信号生成回路104から出力された切替信号を所定時間遅延させる。遅延回路114は、例えば、切替信号の立ち上がり及び立ち下がりの双方を所定時間遅延させる。
AND回路116は、AND回路112及び遅延回路114と電気的に接続されている。AND回路116には、遅延回路114によって遅延された切替信号と、遅延される前の遅延信号と、が入力される。AND回路116は、遅延前後の各切替信号の双方がハイの時にハイを出力する。これにより、AND回路116の出力は、遅延後の切替信号に従って立ち上がり、遅延前の切替信号に従って立ち下がる。すなわち、AND回路116の出力は、切替信号の立ち上がりのみを遅延させた信号となる。
ドライバ回路102は、ゲートドライブ回路106をさらに含む。ゲートドライブ回路106は、AND回路116の出力と電気的に接続される。また、ゲートドライブ回路106は、スイッチング素子34の制御電極と電気的に接続される。さらに、ゲートドライブ回路106には、接地電圧GNDと負の電圧VEEとが入力されている。ゲートドライブ回路106は、遅延処理回路105から出力された切替信号をレベル変換してスイッチング素子34の制御電極に入力する。これにより、ゲートドライブ回路106は、スイッチング素子34のオン・オフを切り替える。ゲートドライブ回路106は、例えば、遅延処理回路105から出力された切替信号がロウ状態の時に、負の電圧VEEを制御電極に供給してスイッチング素子34をオフにし、遅延処理回路105から出力された切替信号がハイ状態の時に、接地電圧GNDを制御電極に供給してスイッチング素子34をオンにする。
このように、本実施形態に係るドライバ回路102でも、上記第1の実施形態のドライバ回路14と同様に、各ロウサイドスイッチ22a〜22cの全てがオン状態に設定されるタイミングで、スイッチング素子34をオン状態にすることができる。従って、三相インバータ回路100においても、上記の三相インバータ回路10と実質的に同じ効果を得ることができる。このように、信号生成回路及び遅延処理回路は、アナログ回路で構成してもよいし、デジタル論理回路で構成してもよい。
実施形態によれば、回路の大型化や複雑化を抑制しつつ、負の電圧を供給可能とする三相インバータ回路及びドライバ回路が提供される。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、三相インバータに含まれる、ブリッジ回路部、入力端子、ハイサイドスイッチ、ロウサイドスイッチ、第1制御回路、第2制御回路、出力端子、ドライバ回路、制御用電源、ブートストラップ回路、コンデンサ、スイッチング素子、信号生成回路、及び、遅延処理回路などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した三相インバータ回路及びドライバ回路を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての三相インバータ回路及びドライバ回路も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。