JP6094960B2 - Led測定装置の校正方法、及びその方法を用いたled測定装置 - Google Patents

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本発明は、LED測定装置間の機種による色度測定結果のばらつき(機差)を校正する方法、及びそれを用いたLED測定装置に関する。
近年、LEDは飛躍的な半導体技術の発展に伴って、低輝度の汎用製品から、高輝度及び高品質の製品生産が可能となった。また、青色LEDと白色LEDが実用化され、テレビのバックライト、ディスプレイや照明など、様々な用途に使用されるようになり、その生産数量が増加している。白色LEDの基本的な構造は、青色の励起光を放射するLEDチップと蛍光体との組み合わせからなっているが、LEDの色度測定、特に白色LEDの色度測定はLED測定装置によって測定値にばらつきが生じる。
そのため、複数のLED測定装置を用いてLEDの検査を行う場合、基準となる基準LED測定装置と、その他のLED測定装置(補正対象LED測定装置)との測定結果にばらつきが生じないように校正、換言すると、機差が生じないようにする必要がある。
図7に従来のLED測定装置間のばらつきを生じないように校正するLED測定装置の校正方法の概要を示す。図7(a)は、従来のLED測定装置間機差校正システム100の概要構成図であり、図7(b)は、そのシステムにおける各処理プロセス(ステップ)の説明と、各処理プロセスで出力される内容(出力結果)を示した図である。
LED測定装置間の機差校正するための校正係数算出システム100は、図7(a)に示す通り、入力光源(ハロゲンランプ)101と、そこからの白色光を受光する受光素子102と、受光した光束を基準LED測定装置の分光器である基準分光器104と、校正を行う補正対象LED測定装置の分光器である補正対象分光器14とに白色光を導入する光ファイバー103と、基準分光器104と補正対象分光器14とからのスペクトルを表示するモニターと、両者を接続する通信ケーブル105とから構成される。
図7(b)において、入力光源101からの光は、分光器104、補正対象分光器14とにより分光される(S101,S102,S103,S104,S105)。スペクトルは、照射された光の強度に応じた電気信号としてモニター106に表示される(102G、105G)。分光器104と補正対象分光器14とにより分光された結果から、波長毎に校正係数を算出する(S106,S107,106G)。本明細書においては、この校正を第1校正という。
第1校正における校正係数の算出は、例えば、校正係数は、基準分光器と補正対象分光器の測定値を使い1波長ごとに計算する。iを波長(nm)として、基準分光器で測定した値をai補正対象分光器で測定した値をbi、校正係数をciとすると、ci =ai
/bi (i=1,2,3,..N)、として求められる。このようにして算出した校正係数を用い、補正対象LED測定装置の校正を行う。
図8は、第1校正により求めた校正係数を使い、入力光源(白色LED)の色度座標xyを求めるシステムの概要等を示した図である。図8(a)は、LEDの色度座標xyを補正対象LED測定装置により測定するLED測定システム110の構成を示した図であり、図8(b)は、LED測定システム110における各処理プロセス(ステップ)と、各ステップで出力される出力結果を示した図である。白色LED20からの白色光は、受光素子102により受光され、光ファイバー103を通して、補正対象分光器14に導入される(S111,S112)。ここで得られたスペクトル(112G)は、各波長毎に校正係数により校正される(S113,S114、114G)。このようにして得られた校正後のスペクトル(114G)から、CIE(Commission
International de l'Eclairage;国際照明委員会)の色度図によるxyの平面座標(色度座標xy)を計算により求める(S118,117G)。LED測定装置間のばらつき(機差)がどの程度校正されているかは、基準LED測定装置により求めた色度座標xy値と、補正対象LED測定装置により求めた色度座標xy値とを比較し判断する(117G)。基準LED測定装置と補正対象LED測定装置の色度座標の測定値の差が(0,0)から外れているときは、機差が解消されていないと判断される。
下記特許文献1では、標準光源から射出される光束について、色彩計で色度を測定し、色彩計で測定された光束の波長に応じて設定された色彩計の校正値に基づいて、色度の測定値を補正する技術を開示している。
従来はこのような校正により、基準LED測定装置と補正対象LED測定装置との機差の校正を行い、基準LED測定装置との整合性を確保しようとしている。しかし、特許文献1が開示する色彩計の校正値に基づいても機差を解消することはできない。それはLED測定装置間のばらつきが分光部や受光素子等の各部品の性能のばらつき、各部品の配置の仕方や組立誤差など様々な要因が複雑にからみあい、上述したような従来の校正方法により機差の校正をしても、LEDの品質検査において機差によるばらつきが解消できない、という問題がある。
特開2001−324386号公報
そこで本発明の課題は、これまでの校正方法では実現できなかったLED測定装置間の機種によるLED測定結果のばらつき(機差)を校正する方法、その方法を用いたLED測定校正システム及びLED測定装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、基準LED測定装置による測定結果と補正対象LED測定装置の測定結果とを近似させるLED測定装置間の校正及び補正方法において、
基準光源から射出される光束を前記基準LED測定装置により分光し、基準スペクトルとして記憶し、
前記基準光源から射出される光束を補正対象LED測定装置により分光し、前記基準スペクトルと比較し、その相違を校正する校正係数を求め、
白色LEDから射出される光束を前記基準LED測定装置により分光し、基準色度座標値を求めるステップを、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返し、複数個の基準色度座標値を求め、
前記白色LEDから射出される光束を前記補正対象LED測定装置により分光し、補正色度座標値を求めるステップを、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返し求めた前記補正色度座標値と前記複数個の基準色度座標値との相違を補正する色度補正係数を求め、
前記校正係数と、前記色度補正係数とにより、前記補正対象LED測定装置の出力を校正及び補正することを特徴とするLED測定装置の校正及び補正方法である。
請求項2に記載の発明は、基準LED測定装置のLEDの色度測定結果と、補正対象LED測定装置のLEDの色度測定結果とが近似するように色度測定結果を校正する校正手段を備えたLED測定装置であって、前記校正手段は、前記基準LED測定装置が、基準光源から射出される光束を分光した単波長毎の基準スペクトルと、前記補正対象LED測定装置により前記基準光源から射出される光束を分光した単波長毎のスペクトルとを比較し、その相違を近似させる校正係数を算出する校正係数算出手段と、取り換え可能な複数の白色LEDと、前記基準LED測定装置により、白色LEDから射出される光束を単波長毎のスペクトルに分光し、基準色度座標値を求め、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返すことで求めた複数個の基準色度座標値と、前記補正対象LED測定装置により、前記白色LEDから射出される光束を分光した単波長毎のスペクトルに分光し、補正色度座標値を求め、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返すことで求めた複数個の補正色度座標値とを近似させる補正係数を算出する補正係数算出手段とを備えたことを特徴とするLED測定装置、である
本発明によれば、これまでの校正方法では実現できなかったLED測定装置間の機種によるLED測定結果のばらつき(機差)を解消することができる校正方法を提供することができる。また、その方法を用いたLED測定校正システム及びLED測定装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態であるLED測定装置の校正及び補正方法を示した図である。 校正係数、色度補正係数を補正対象分光器14に適用したときの出力結果を示した図である。 基準LED測定装置と、補正対象LED測定装置14とで、29個の白色LEDの色度座標xyを測定した結果を示したグラフである。 基準LED測定装置による基準色度座標xyと第1校正後、及び第1校正後、更に色度補正を行った色度座標xyとの差分値をグラフ化した図である。 従来の校正(第1校正)のみで校正したLED測定装置と、第1校正後、更に色度補正係数により校正したLED測定装置とにより、色度座標xyの差を示した図である。 LED測定装置3の構成を示したブロック図である。 LED測定装置間のばらつきを生じないように校正するLED測定装置の校正方法の概要を示した図である。 第1校正により求めた校正係数を使い、白色LEDの色度座標xyを求めるシステムの概要等を示した図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は本発明の一実施の形態であるLED測定装置の校正及び補正方法を示した図である。なお、本実施の形態では入力光源として白色LEDを用いた。
図1(a)は、上述した従来の校正方法である第1校正100を行った後、白色LED20の色度を基準LED測定装置の分光器である基準分光器104と、補正対象LED測定装置の分光器である補正対象分光器14とにより、LED20の色度補正係数を算出するLED色度係数算出システム11の構成を示した図である。LED色度係数算出システム11は、白色LED20からの光を受光する受光素子102と、光束を導入する光ファイバー103と、光を分光する基準分光器104、補正対象分光器14、そして各スペクトルを表示するモニター106とから構成される。
図1(b)は、LED色度係数算出システム11における各処理プロセス(ステップ)と、各ステップで出力される出力結果を示した図である。入力光源(白色LED)20からの白色光は、受光素子102により光ファイバー103を通して、基準分光器104と補正対象分光器14に導入される(S11,S12,S13)。
分光器104、補正対象分光器14とにより分光される(S11,S12,S13)。各スペクトルは、照射された光の強度に応じた電気信号としてモニター106に表示される(S14,S15,12G,13G)。分光器104により分光されたスペクトルから、基準LED測定装置(分光器104)により色度座標xyを算出する(S19,18G)。
補正対象LED測定装置(分光器14)からスペクトル(13G)を、校正係数により校正し(S17)、校正したスペクトルから色度座標xyを算出する(S18,S20,17G,20G)。
基準LED測定装置による色度座標xyと、補正対象LED測定装置による色度座標xyとから、色度補正係数を算出する(S22,S23)。このステップを異なる白色LEDを用いて複数回行い、色度補正係数のデータベースを作成する。
色度補正係数の算出は、例えば、次のようにして求める。i番目に基準分光器で測定してLEDの測定結果を色度座標xy値にしたものをxki,ykiとする。同じLEDを補正対象分光器で測定したときの測定値を色度座標xy値にしたものをxmi,ymiとする。N個のLEDについて測定を行い、その結果から(xmi,ymi )を(xki,yki)に変換する式を導く。(xmi,ymi )から(xki,yki)への変換式は次のようにして行う。
xki=xmi+A×xmi+B×ymi+C
yki=ymi+D×xmi+E×ymi+F
この変換での誤差をexi,eyiとすると
exi=xki-xmi-A×xmi-B×ymi-C
eyi=yki-ymi-D×xmi-E×ymi-F
さらに合成した誤差をeiとして
ei 2=exi 2+eyi 2

=(xki-xmi-A×xmi-B×ymi-C)2+(yki-ymi-D×xmi-E×ymi-F)2
i=1,2,3,4...N としたときの総誤差Σei 2が最小とすることで求め、色度補正係数を算出する。
図2は、上述した校正係数、色度補正係数を、補正対象分光器14に適用して、LEDを測定するときの、各処理プロセス(ステップ)と、各ステップで出力される出力結果を示した図である。白色LED20からの光束を受光素子102から光ファイバー103を通して補正対象分光器14に導入する。補正対象分光器14において光は分光される(S21,S22,22G)。各スペクトルはスペクトル校正係数15により校正され、校正されたスペクトルから色度座標xyを算出する(S23,S24,S25,S26,22G)。
校正後のスペクトル(24G)から色度座標xyを計算し、その色度座標xyを色度補正係数16により補正し、その結果を出力する(S28,S29,S30)。このような補正により、従来の校正係数による校正だけでは、基準LED測定装置による基準色度座標値と、第1校正のみの補正による補正対象LED測定装置による色度座標値の差は解消されなかったのが、色度補正係数を使用することで、色度座標値の差はほぼ解消された(両装置の色度座標値の差が(0,0)となった)(26G,28G)。
図3は基準LED測定装置と、従来の校正(図1に示す第1校正110)のみで補正対象分光器14を校正した補正対象LED測定装置14とで、29個の白色LEDの色度座標xyを測定した結果を示したグラフである。図3において、→の始点は基準LED測定装置で測定した色度座標xyであり、その終点が補正対象LED測定装置で測定した色度座標xyである。図3に示す通り、全29個の白色LEDの基準LED測定装置による色度座標xyと、補正対象LED測定装置による色度座標xyとのずれは、全て一定の傾きで右上方向にずれている。即ち、一定の規則性を持って色度座標xyがずれている。
このように、従来の基準光源のみの校正では、LED測定装置の機差が完全には校正されず、色度座標xy値にずれが生じてしまう。しかし、従来の校正(第1校正)に加え、色度補正係数を適用することで、色度座標xy値をほぼ完全に一致させることができる。
図4は複数の白色LEDを、従来の校正(第1校正)のみで校正したLED測定装置により色度座標xyを測定した結果と、基準LED測定装置により測定した色度座標xyとの差分を示した図(図4(a))と、第1校正後、更に色度補正係数により校正したLED測定装置により色度座標xyを測定した結果と、基準LED測定装置により測定した色度座標xyとの差分を示した図(図4(b))とを示したものである。第1校正のみでは、基準LED測定装置の基準色度座標値と補正対象LED測定装置との色度座標値の差は解消されていない(差分色度座標値xyが左下方にずれている)。これに対して、色度補正係数による校正を加えると、基準色度座標値と補正色度座標値との差である差分色度座標xyはほぼ(0,0)となった。これは機差が解消されたことを意味している。
図5は図4で使用した白色LEDとは異なるロットの白色LEDについて、従来の校正(第1校正)のみで校正したLED測定装置と、第1校正後、更に色度補正係数により校正したLED測定装置とにより、色度座標xyを測定して結果を示した図である。第1校正のみでは、差分色度座標xyは右上方にずれているのに対し、色度補正係数により補正を加えると、差分色度座標xyは(0,0)となり、機差を解消することができることがわかった。
このように、従来の校正(第1校正)のみでは機差を十分に解消することができなかったのが、色度補正係数による補正をすることで、機差を解消することができた。即ち、従来の、標準光源による校正を行った後、色度座標xyずれの規則性から、色度補正係数を算出し、係る色度補正係数により補正することで、機差を解消することができる。
これらの実施例を通して、6個以上のLEDを測定し、基準LED測定装置により測定した色度座標xyと、補正対象LED測定装置により測定した色度座標xyとから、色度補正係数を算出することで機差を解消できるとの知見が得られた。なお、より精度を上げるには、10個以上のLEDの測定が好ましいとの知見を得た。
図6は本発明の一実施形態であるLED測定装置3の構成を示したブロック図である。LED測定装置3は、電源部30、受光部31、分光部32、測定・判定部33とを含んで構成されている。測定対象である白色LED32の光束を受光部31により受光し、分光部32により分光される。
分光部32による分光されたスペクトルは、基準光源から得られた校正係数を備えた校正部311の校正係数により校正される。校正係数で校正されたスペクトルは、色度補正部312からの色度補正係数により補正される。
校正係数、色度補正係数により校正及び補正されたスペクトルは、判定部315において、判定条件設定部316に設定された条件に基づいて判定される。判定条件設定部316には、検査するLEDの良否判定をするための条件を設定するが、その設定条件は基本的には測定するLEDに合わせて設定する。たとえば、白色の色度座標値は(0.33,0.33)であるから、0.32<x<0.35、0.32<y<0.35のような範囲を良品と判定するように設定する等である。この範囲は任意に設定できるようにすることが好ましい。
3 LED測定装置
20 白色LED
30 電源部
31 受光部
32 分光部
33 判定部

Claims (2)

  1. 基準LED測定装置による測定結果と補正対象LED測定装置の測定結果とを近似させるLED測定装置間の校正及び補正方法において、
    基準光源から射出される光束を前記基準LED測定装置により、単波長毎のスペクトルに分光し、基準スペクトルとして記憶し、
    前記基準光源から射出される光束を補正対象LED測定装置により、単波長毎のスペクトルに分光し、前記基準スペクトルと比較し、その相違を校正する校正係数を求め、
    白色LEDから射出される光束を前記基準LED測定装置により、単波長毎のスペクトルに分光し、基準色度座標値を求めるステップを、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返し、複数個の基準色度座標値を求め、
    前記白色LEDから射出される光束を前記補正対象LED測定装置により、単波長毎のスペクトルに分光し、補正色度座標値を求めるステップを、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返し求めた前記補正色度座標値と前記複数個の基準色度座標値との相違を補正する色度補正係数を求め、
    前記校正係数と、前記色度補正係数とにより、前記補正対象LED測定装置の出力を校正及び補正することを特徴とするLED測定装置の校正及び補正方法。
  2. 基準LED測定装置のLEDの色度測定結果と、補正対象LED測定装置のLEDの色度測定結果とが近似するように色度測定結果を校正する校正手段を備えたLED測定装置であって、
    前記校正手段は、前記基準LED測定装置が、基準光源から射出される光束を分光した単波長毎の基準スペクトルと、前記補正対象LED測定装置により前記基準光源から射出される光束を分光した単波長毎のスペクトルとを比較し、その相違を近似させる校正係数を算出する校正係数算出手段と、
    取り換え可能な複数の白色LEDと、
    前記基準LED測定装置により、白色LEDから射出される光束を単波長毎のスペクトルに分光し、基準色度座標値を求め、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返すことで求めた複数個の基準色度座標値と、前記補正対象LED測定装置により、前記白色LEDから射出される光束を分光した単波長毎のスペクトルに分光し、補正色度座標値を求め、前記白色LEDを取り替えて複数回繰り返すことで求めた複数個の補正色度座標値とを近似させる補正係数を算出する補正係数算出手段
    とを備えたことを特徴とするLED測定装置。
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