JP2008157782A - 三刺激値直読型計測器の校正方法、校正システム、色測定方法、および色測定装置 - Google Patents

三刺激値直読型計測器の校正方法、校正システム、色測定方法、および色測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】分光型計測器に合わせた高精度の測定を可能とする三刺激値直読型計測器の校正方法、校正システム、色測定方法、および色測定装置を提供すること。
【解決手段】三刺激値直読型計測器の校正時において、仮想AD値算出工程S11で仮想AD値(仮想出力値)を算出し、変換関数算出工程S12で変換パラメータ(変換関数)を算出して、仮想AD値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係を明らかにすることで、分光型計測器の基準測定値との誤差を低減させた高精度の測定を可能とする三刺激値直読型計測器が実現できる。色変換マトリクス算出工程S5にて算出した色変換マトリクスMと分光型計測器の基準階調測定値とに基づいて仮想AD値を算出することで、三刺激値直読型計測器の光学フィルタの分光透過特性や受光素子の分光感度特性が既知でなくても仮想AD値を算出することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、分光型計測器に合わせた高精度の測定を可能とする三刺激値直読型計測器の校正方法、校正システム、色測定方法、および色測定装置に関する。
従来、プロジェクタや液晶パネルなどの画像表示装置における表示画像の品質を検査するために、安価でかつ測定時間の短い三刺激値直読型計測器が用いられている。
この三刺激値直読型計測器としては、複数の光学フィルタと、各光学フィルタに対応して設けられるフォトダイオード等の複数の受光素子とを備え、光学フィルタの分光透過特性、および受光素子の分光感度特性により決定される分光応答度に応じた計測値を出力する構成とされている。
そして、三刺激値直読型計測器において、分光応答度が等色関数と一致するように、光学フィルタや受光素子を設計することは困難である。すなわち、分光応答度と等色関数との差異により、三刺激値直読型計測器にて得られる計測値は、例えば等色関数に準拠した分光型計測器により得られる計測値(基準測定値)と誤差が生じてしまう。
このような分光応答度と等色関数との差異を埋める一般的な方法として、分光型計測器を用いて三刺激値直読型計測器の校正を行う方法が知られている。
例えば、校正用の光源を、三刺激値直読型計測器および分光型計測器で計測し、各計測器の出力を比較し、三刺激値直読型計測器の計測値が分光型計測器の基準測定値に一致するような色変換パラメータ(例えば、色変換マトリクス)を求めて記憶しておく。そして、測定対象を三刺激値直読型計測器にて実測する際に、三刺激値直読型計測器の計測値を色変換パラメータで補正し、補正した計測値を測定値として出力する。
しかしながら、分光応答度と等色関数とに差異が生じている場合、分光型計測器の基準測定値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係は、スペクトル形状の異なる光源毎に異なるものとなり、一意の関係(1対1の関係)にならない。このため、校正用の光源と同一のスペクトル形状の光源を計測した場合には測定値と分光型計測器の基準測定値とを一致させることができるが、校正用の光源とスペクトル形状の異なる光源を計測した場合には測定値と分光型計測器の基準測定値とを一致させることができない。すなわち、スペクトル形状の差異により、測定値と基準測定値とに誤差が生じてしまう。
そこで、スペクトル形状の差異により生じる前記誤差を低減させるために、色変換パラメータ(校正値)を光源の波長毎に複数設定しておき、三刺激値直読型計測器の計測値を光源の波長に応じた色変換パラメータを用いて補正し、補正した計測値を測定値として出力するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−324386号公報
ところで、三刺激値直読型計測器の受光素子や回路内のアンプ等は、光源の明るさに対して非線形に信号出力するものである。すなわち、三刺激値直読型計測器は、光源の明るさに対して非線形な特性を有している。このため、分光型計測器の基準測定値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係は、非線形な関係となる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、三刺激値直読型計測器における明るさに対する非線形な特性に対応していない。すなわち、特許文献1に記載の技術では、校正時の光源の明るさと同一の明るさの光源を計測した場合には測定値と分光型計測器の基準測定値とを一致させることができるが、校正時の光源の明るさと異なる明るさの光源を計測した場合には測定値と分光型計測器の基準測定値とを一致させることができない。すなわち、明るさの差異により、測定値と基準測定値とに誤差が生じてしまう。
さらに、特許文献1に記載の技術では、三刺激値直読型計測器の分光応答度を決定する光学フィルタの分光透過特性や受光素子の分光感度特性が既知であるか、あるいは波長毎の色変換パラメータを多数用意しておかないと、スペクトル形状の差異に応じた適正な測定値を得ることができないという不都合もある。
このため、スペクトル形状の差異や明るさの差異に対応して分光型計測器に合わせた高精度の測定を可能とする技術が要望されている。
本発明の目的は、分光型計測器に合わせた高精度の測定を可能とする三刺激値直読型計測器の校正方法、校正システム、色測定方法、および色測定装置を提供することにある。
本発明の三刺激値直読型計測器の校正方法は、基準となるリファレンス光源をスペクトル形状の異なる複数色に変化させて色毎に分光型計測器および三刺激値直読型計測器を用いて計測し、前記分光型計測器の基準色測定値および前記三刺激値直読型計測器の色計測値を取得する色計測工程と、前記リファレンス光源の明るさを複数段階に変化させて明るさ毎に前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器を用いて計測し、前記分光型計測器の基準階調測定値および前記三刺激値直読型計測器の階調計測値を取得する階調計測工程と、前記リファレンス光源の色毎の前記基準色測定値および前記色計測値に基づいて、前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器の色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出工程と、前記基準階調測定値と前記色変換マトリクスの逆行列との積により、前記リファレンス光源の明るさ毎に前記三刺激値直読型計測器固有の色空間での仮想出力値を算出する仮想出力値算出工程と、前記リファレンス光源の明るさ毎の前記階調計測値および前記仮想出力値に基づいて、前記三刺激値直読型計測器の階調計測値を前記仮想出力値に近似するための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出工程とを備えていることを特徴とする。
本発明では、色変換マトリクス算出工程にて、リファレンス光源の複数色毎の分光型計測器の基準色測定値および三刺激値直読型計測器の色計測値に基づいて色変換マトリクスを算出しておき、仮想照度算出工程にて、リファレンス光源の明るさ毎の基準階調測定値および色変換マトリクスに基づいて、リファレンス光源の明るさ毎に三刺激値直読型計測器固有の色空間での仮想出力値を算出する。ここで、色計測値および階調計測値は、三刺激値直読型計測器における分光透過特性および分光感度特性にて決定される分光応答度に応じた固有の色空間での値であり、仮想出力値も分光応答度に応じた三刺激値直読型計測器固有の色空間での値であるため、仮想出力値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係は、スペクトル形状の異なる光源においても、一意の関係となる。さらに、色変換マトリクス算出工程にて算出した色変換マトリクスと、分光型計測器の基準階調測定値とに基づいて仮想出力値を算出することで、三刺激値直読型計測器における分光透過特性および分光感度特性が既知でなくても仮想出力値を算出することができる。
また、変換パラメータ算出工程にて、リファレンス光源の明るさ毎の階調計測値および仮想出力値に基づいて、三刺激値直読型計測器の階調計測値を仮想出力値に近似するための変換パラメータを算出することで、仮想出力値に対する三刺激値直読型計測器の階調計測値の関係、すなわち、明るさに対する三刺激値直読型計測器の非線形な特性を明らかにすることができる。
以上の校正方法により変換パラメータを算出しておけば、測定対象の実測時において、測定対象を計測した三刺激値直読型計測器の計測値を変換パラメータにより一旦、仮想出力値に近似し、近似した仮想出力値を色変換パラメータを用いて色変換することで、分光型計測器の基準測定値に対して誤差の低減した測定値を算出できる。すなわち、仮想出力値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係を、スペクトル形状の異なる光源においても、一意の関係としかつ、明るさに対する三刺激値直読型計測器の非線形な特性を明らかにした状態で、測定値を算出できる。したがって、スペクトル形状の差異や明るさの差異に対応して三刺激値直読型計測器の測定値と分光型計測器の基準測定値との誤差を低減し、分光型計測器に合わせた高精度の測定を可能とする。
本発明の校正方法では、前記リファレンス光源は、赤、緑、青のスペクトル形状の異なる光を射出可能に構成され、前記色計測工程は、前記リファレンス光源から射出される光を赤、緑、青に変化させて各色毎に前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器を用いて計測することが好ましい。
この構成によれば、スペクトル形状を赤、緑、青の3段階に変化させたリファレンス光源の色毎に分光型計測器および三刺激値直読型計測器を用いて計測し、赤、緑、青の各色毎に基準色測定値および色計測値を取得する。そして、色変換マトリクス算出工程にて、赤、緑、青の各色毎の基準色測定値および色計測値に基づいて色変換マトリクスを算出することで、三刺激値直読型計測器固有の色空間を基準色空間に適正に変換するための色変換マトリクスが得られる。したがって、測定対象の実測時において、変換パラメータにより一旦、近似した仮想出力値を、色変換マトリクスにより色変換することで、分光型計測器の基準測定値に対してより誤差の低減した測定値を算出できる。
さらに、本発明の校正方法では、前記色計測工程は、前記リファレンス光源を最大の明るさで発光させて前記基準階調測定値および前記階調計測値を取得することが好ましい。
この構成によれば、色計測工程にて、最大の明るさで計測した基準色測定値および色計測値に基づいて色変換マトリクスを算出する、すなわち、色座標が最も離れた各基準色測定値に基づいて色変換マトリクスを算出するので、色変換精度の高い色変換マトリクスを算出できる。したがって、色変換マトリクスに基づいた仮想出力値の算出精度が向上できるとともに、測定対象の実測時において、算出した仮想出力値の色変換マトリクスによる変換精度も向上でき、分光型計測器の基準測定値に対してさらに誤差の低減した測定値を算出できる。
また、本発明の校正方法では、前記階調計測工程は、前記リファレンス光源を無彩色で発光させて前記基準階調測定値および前記階調計測値を取得することが好ましい。
この構成によれば、階調計測工程にて、リファレンス光源を無彩色で明るさを複数段階に変化させる、すなわち、白色から黒色までの明るさの変化の幅が最も大きく設定できる無彩色でリファレンス光源を発光させ、各階調の基準階調測定値および階調計測値を取得する。そして、取得した基準階調測定値および前記色変換マトリクスに基づいて仮想出力値を算出するとともに、取得した階調計測値および仮想出力値に基づいて変換パラメータを算出することで、明るさの差異に対応する三刺激値直読型計測器の測定値と分光型計測器の基準測定値との誤差をより一層低減させることができる。
さらに、本発明の校正方法では、前記階調計測工程は、前記リファレンス光源の複数段階の明るさのうち、低輝度領域における階調分割を高輝度領域よりも細分化させて前記基準階調測定値および前記階調計測値を取得することが好ましい。
この構成によれば、明るさに対する非線形な特性を有した三刺激値直読型計測器において、低輝度領域の非線形性が顕著な場合であっても、低輝度領域の階調分割を細分化することで、変換パラメータによる三刺激値直読型計測器の階調計測値と仮想出力値との近似精度を向上させることができる。
本発明の三刺激値直読型計測器の校正システムは、校正対象となる三刺激値直読型計測器と、基準となるリファレンス光源と、校正の基準となる分光型計測器と、前記三刺激値直読型計測器、前記リファレンス光源、および前記分光型計測器を制御する校正制御装置とを備え、前記校正制御装置は、前記リファレンス光源を駆動制御するリファレンス光源制御部と、前記リファレンス光源の発光色がスペクトル形状の異なる複数色に変化した際および明るさが複数段階に変化した際に、前記リファレンス光源の色毎および明るさ毎に前記分光型計測器に計測させて基準色測定値および基準階調測定値を取得する基準測定値取得部と、前記リファレンス光源の発光色がスペクトル形状の異なる複数色に変化した際および明るさが複数段階に変化した際に、前記リファレンス光源の色毎および明るさ毎に前記三刺激値直読型計測器に計測させ、前記三刺激値直読型計測器の色計測値および階調計測値を取得する校正用計測値取得部と、前記リファレンス光源の色毎の前記基準色測定値および前記色計測値に基づいて、前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器の色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出部と、前記基準階調測定値と前記色変換マトリクスの逆行列との積により、前記リファレンス光源の明るさ毎に前記三刺激値直読型計測器固有の色空間での仮想出力値を算出する仮想出力値算出部と、前記リファレンス光源の明るさ毎の前記階調計測値および前記仮想出力値に基づいて、前記三刺激値直読型計測器の階調計測値を前記仮想出力値に近似するための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出部とを備えていることを特徴とする。
本発明の校正システムによれば、三刺激値直読型計測器、リファレンス光源、および分光型計測器を制御する校正制御装置が、リファレンス光源制御部、基準測定値取得部、校正用計測値取得部、色変換マトリクス算出部、仮想出力値算出部、および変換パラメータ算出部を備えているので、該校正システムにより上述した校正方法を実行でき、上述した校正方法と同様の作用効果を享受できる。
本発明の色測定方法は、三刺激値直読型計測器を用いて測定対象から出力される光を計測し、前記三刺激値直読型計測器の計測値を取得する実測用計測値取得工程と、上述した校正方法において予め算出されている変換パラメータを用いて前記計測値を補正して補正計測値を算出する補正計測値算出工程と、前記校正方法において予め算出されている色変換マトリクスを用いて前記補正計測値を色変換し、色変換した補正計測値を測定値として出力する測定値出力工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、色測定方法は、実測用計測値取得工程、補正計測値算出工程、および測定値出力工程を備えているので、上述した校正方法にて予め算出されている変換パラメータを用いて、測定対象を計測した三刺激値直読型計測器の計測値を一旦、仮想出力値に近似し、近似した補正計測値を、三刺激値直読型計測器固有の色空間を分光型計測器の基準色空間に変換するための色変換マトリクスを用いて色変換することで、分光型計測器の基準測定値に対して誤差の低減した測定値を算出できる。すなわち、仮想出力値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係を、スペクトル形状の異なる光源においても、一意の関係としかつ、明るさに対する三刺激値直読型計測器の非線形な特性を明らかにした状態で、測定値を算出できる。したがって、スペクトル形状の差異や明るさの差異に対応して測定値と分光型計測器の基準測定値との誤差を低減し、分光型計測器に合わせた高精度の測定を可能とする。
本発明の色測定装置は、測定対象から出力される光を計測する三刺激値直読型計測器と、前記三刺激値直読型計測器から出力される計測値に基づいて測定値を出力する測定制御装置とを備え、前記測定制御装置は、上述した校正方法において予め算出された変換パラメータおよび色変換マトリクスが記憶されたパラメータ記憶部と、前記測定対象から出力される光を前記三刺激値直読型計測器に計測させ、前記三刺激値直読型計測器の計測値を取得する実測用計測値取得部と、前記変換パラメータを用いて前記計測値を補正して補正計測値を算出する補正計測値算出部と、前記色変換マトリクスを用いて前記補正計測値を色変換し、色変換した補正計測値を測定値として出力する測定値出力部とを備えているこことを特徴とする。
本発明の色測定装置によれば、三刺激値直読型計測器から出力される計測値に基づいて測定値を出力する測定制御装置が、パラメータ記憶部、実測用計測値取得部、補正計測値算出部、および測定値出力部を備えているので、この色測定装置により上述した色測定方法を実行でき、上述した色測定方法と同様の作用効果を享受できる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔校正システムの構成〕
図1は、本実施形態における校正システム1の構成を示すブロック図である。
校正システム1は、三刺激値直読型計測器2を校正するシステムである。この校正システム1は、図1に示すように、校正対象である三刺激値直読型計測器2と、分光型計測器3と、リファレンス光源としてのプロジェクタ5と、パーソナルコンピュータ(PC)6とを備える。なお、リファレンス光源としては、プロジェクタ5に限らず、液晶パネルなどの適宜な画像表示装置であってもよい。
図2は、三刺激値直読型計測器2の構成を示すブロック図である。
三刺激値直読型計測器2は、図2に示すように、赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)の3種類の光学フィルタ21R,21G,21Bと、受光素子22R,22G,22Bと、電流/電圧変換回路(I/V変換回路)23R,23G,23Bと、増幅回路24R,24G,24Bと、アナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)25R,25G,25Bと、制御回路(CPU)26と、記憶回路27とを備えて構成されている。
三刺激値直読型計測器2の光学フィルタ21R,21G,21Bは、入力する入射光の波長λ(例えば、380nm〜780nm)に対し、それぞれ固有の分光透過特性を有している。そして、光学フィルタ21R,21G,21Bは、入射光のうち、各分光透過特性に応じた光を透過する。また、受光素子22R,22G,22Bは、フォトダイオード等で構成され、光学フィルタ21R,21G,21Bに対応して設けられている。そして、受光素子22R,22G,22Bは、入射光の波長λに対し固有の分光感度特性を有し、各光学フィルタ21R,21G,21Bを透過した光が照射されると、分光感度特性に基づく受光感度の強さに応じた信号(電流)を出力する。
三刺激値直読型計測器2のI/V変換回路23R,23G,23Bは、各受光素子22R,22G,22Bに接続され、受光素子22R,22G,22Bから出力される電流を電圧に変換する。
増幅回路24R,24G,24Bは、各I/V変換回路23R,23G,23Bに接続され、各I/V変換回路23R,23G,23Bから出力される電圧を増幅する。
A/D変換回路25R,25G,25Bは、増幅回路24R,24G,24Bで増幅された電圧(アナログ値)をデジタル値に変換し、制御回路26に出力する。
制御回路26は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、A/D変換回路
25R,25G,25Bから出力されるデジタル値(計測値)をPC6に出力する処理等を実施する。
記憶回路27は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリや、ハードディスク等で
構成され、前記CPUを駆動するためのプログラムや、処理によって得られたデータ等を記憶する。
以上の三刺激値直読型計測器2では、光学フィルタ21R、受光素子22R、I/V変換回路23R、増幅回路24R、A/D変換回路25Rを備えてR(赤)用のセンサが構成され、光学フィルタ21G、受光素子22G、I/V変換回路23G、増幅回路24G、A/D変換回路25Gを備えてG(緑)用のセンサが構成され、光学フィルタ21B、受光素子22B、I/V変換回路23B、増幅回路24B、A/D変換回路25Bを備えてB(青)用のセンサが構成されている。
分光型計測器3は、従来から用いられている公知の分光型の色測定装置であり、入射した光の分光スペクトルおよび基準色空間(CIE XYZ色空間)での基準測定値(三刺激値X
YZ)を生成する。
プロジェクタ5は、液晶素子を利用した一般的なプロジェクタであり、PC6による制御(後述する校正制御)の下、駆動制御される。
以上の三刺激値計測器2と分光型計測器3とは、互いに可能な限り近距離に設置されるとともに、校正用光源であるプロジェクタ5からの距離が互いに等しくなるように設置されている。
図3は、PC6の構成を示すブロック図である。
PC6は、図3に示すように、CRT(Cathode-Ray Tube)や液晶ディスプレイ等で構成された表示装置61と、キーボードやマウス等で構成された入力装置62と、PC本体63とを備える。
PC本体63は、CPU等の演算処理装置を含んで構成され、作業者による入力装置62への所定の入力操作により所定のプログラムにしたがって処理を実行する。このPC本体63は、図3に示すように、校正制御部64と、測定制御部65等を備える。なお、測定制御部65の構成については、後述する色測定装置10を説明する際に、説明する。
校正制御部64は、所定のプログラムにしたがって、測定対象の色測定を実施する前に予め三刺激値直読型計測器2の計測値を補正するための変換パラメータ(変換関数)を算出する校正制御を実施する。この校正制御部64は、図3に示すように、プロジェクタ5の駆動状態を制御するリファレンス光源制御部642と、分光型計測器3にて生成される基準測定値を取得する基準測定値取得部643と、三刺激値直読型計測器2の計測値を取得する校正用計測値取得部644と、前記基準測定値および前記校正用計測値に基づいて色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出部645と、前記色変換マトリクスおよび前記基準測定値に基づいて仮想AD値(仮想出力値)を算出する仮想AD値算出部646と、前記計測値および前記仮想AD値に基づいて変換パラメータ(変換関数)を算出する変換関数算出部647と、校正制御を実施するためのプログラム、校正制御に必要な情報、および校正制御の際、取得・算出した情報等を記憶する校正制御情報記憶部648とを備える。
すなわち、校正制御部64が本発明に係る校正制御装置に相当する。
〔色測定装置の構成〕
図4は、色測定装置10の構成を示すブロック図である。
色測定装置10は、例えば、三刺激値、色度、照度、あるいは、輝度を測定表示する色彩計、照度計、あるいは、輝度計として用いられる装置である。この色測定装置10は、図4に示すように、測定対象となるプロジェクタ5Aから射出される光を三刺激値直読型計測器2に計測させ、三刺激値直読型計測器2の計測値をPC6にて所定の処理を実行して測定値を算出する。なお、プロジェクタ5Aの構成は、上述したプロジェクタ5と同様の構成である。
すなわち、色測定装置10は、図4に示すように、三刺激値直読型計測器2と、PC6(測定制御部65)とで構成される。
測定制御部65は、所定のプログラムにしたがって、プロジェクタ5Aから射出された光を計測した三刺激値直読型計測器2の計測値を、前記変換パラメータおよび前記色変換マトリクスを用いて補正して測定値(三刺激値XYZ)を出力する測定制御を実施する。この測定制御部65は、図3に示すように、プロジェクタ5Aの駆動状態を制御する測定対象制御部651と、測定制御を実施するためのプログラム、校正制御部631にて予め算出された変換パラメータおよび色変換マトリクス、および測定制御の際、取得・算出した情報等を記憶するパラメータ記憶部としての測定制御情報記憶部655と、プロジェクタ5Aから射出される光を計測した三刺激値直読型計測器2の計測値を取得する実測用計測値取得部652と、変換パラメータを用いて前記計測値を補正して補正計測値を算出する補正計測値算出部653と、色変換マトリクスを用いて補正計測値を色変換し、色変換した補正計測値を測定値として出力する測定値出力部654とを備える。
すなわち、測定制御部65が本発明に係る測定制御装置に相当する。
〔校正方法〕
次に、上述した校正システム1による三刺激値直読型計測器2の校正方法を説明する。
図5は、校正システム1による三刺激値直読型計測器2の校正方法を説明するフローチャートである。
先ず、作業者は、PC6の入力装置62に、「三刺激値直読型計測器2の校正作業を開始する」旨の入力操作を実施する。そして、PC本体63の校正制御部64は、入力装置62から出力される操作信号に応じて、校正制御情報記憶部648からプログラムを読み出し、以下に示すように、校正制御を実施する。
分光型計測器3と三刺激値計測器2とを、可能な限り近距離に設置し、校正用光源であるプロジェクタ5との距離を等しくする。
校正制御部64のリファレンス光源制御部642は、プロジェクタ5を駆動制御し、プロジェクタ5の明るさを最大の明るさに設定するとともに、赤(RED)を点灯させる(ステップS1)。
ステップS1の後、校正制御部64は、三刺激値直読型計測器2および分光型計測器3にプロジェクタ5から射出される光を計測させる(ステップS2:色計測工程)。なお、ステップS2が本発明に係る色計測工程に相当し、このステップS2と同様の手順を備えた後述するステップS8が本発明に係る階調計測工程に相当する。
図6は、色計測工程S2を説明するフローチャートである。
校正制御部64の基準測定値取得部643および校正用計測値取得部644は、プロジェクタ5から射出される光を、積分時間等の計測条件を同一にして、三刺激値計測器2と分光型計測器3とで同時に測定する(ステップS21,S22)。すなわち、校正制御部64は、適宜な同期手段を用いて三刺激値計測器2と分光型計測器3とを同期させることにより、これらによる測定を同時に実行する。この測定の後、基準測定値取得部643は、分光型計測器3にて生成されるREDでの基準色測定値(Xref_r,Yref_r,Zref_r)を校正制御情報記憶部648に記憶させ、校正用計測値取得部644は、三刺激値直読型計測器2の色計測値(Vrx,Vry,Vrz)とを、校正制御情報記憶部648に記憶させる。
以上により、プロジェクタ5の赤(RED)点灯に対する三刺激値直読型計測器2の色計測値(Vrx,Vry,Vrz)と分光型計測器3の基準色測定値(Xref_r,Yref_r,Zref_r)との計測が終了する。
次に、校正制御部64のリファレンス光源制御部642は、プロジェクタ5を駆動制御し、プロジェクタ5の明るさを最大の明るさに設定するとともに、緑(GREEN)を点灯させる(ステップS3)。
ステップS3の後、校正制御部64は、前述のステップS2のステップS21,S22と同様の手順で三刺激値直読型計測器2および分光型計測器3にプロジェクタ5から射出される光を計測させる。
以上により、プロジェクタ5の緑(GREEN)点灯に対する三刺激値直読型計測器2の色計測値(Vgx,Vgy,Vgz)と分光型計測器3の基準色測定値(Xref_g,Yref_g,Zref_g)とが計測され、これらの色計測値(Vgx,Vgy,Vgz)および基準色測定値(Xref_g,Yref_g,Zref_g)が校正制御情報記憶部648に記憶される。
さらに、校正制御部64のリファレンス光源制御部642は、プロジェクタ5を駆動制御し、プロジェクタ5の明るさを最大の明るさに設定するとともに、青(BLUE)を点灯させる(ステップS4)。
ステップS4の後、校正制御部64は、前述のステップS2のステップS21,S22と同様の手順で三刺激値直読型計測器2および分光型計測器3にプロジェクタ5から射出される光を計測させる。
以上により、プロジェクタ5の青(BLUE)点灯に対する三刺激値直読型計測器2の色計測値(Vbx,Vby,Vbz)と分光型計測器3の基準色測定値(Xref_b,Yref_b,Zref_b)とが計測され、これらの色計測値(Vbx,Vby,Vbz)および基準色測定値(Xref_b,Yref_b,Zref_b)が校正制御情報記憶部648に記憶される。
以上のようにプロジェクタ5の赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)各色点灯時における三刺激値直読型計測器2の色計測値(Vrx,Vry,Vrz),(Vgx,Vgy,Vgz),(Vbx,Vby,Vbz)と、分光型計測器3の基準色測定値(Xref_r,Yref_r,Zref_r),(Xref_g,Yref_g,Zref_g),(Xref_b,Yref_b,Zref_b)とを取得した後、校正制御部64の色変換マトリクス算出部645は、以下の式(1)に基づいて色変換マトリクスMを算出する。そして、色変換マトリクス算出部645は、算出した色変換マトリクスMを校正制御情報記憶部648および測定制御情報記憶部655に記憶させる。
Figure 2008157782
次に、校正制御部64のリファレンス光源制御部642は、プロジェクタ5を駆動制御し、プロジェクタ5の明るさi(i=1,・・・n)を所定の明るさ1に設定するとともに(ステップS6)、白(WHITE)を点灯させる(ステップS7)。なお、明るさiは、それぞれ異なる明るさである。また、nは2以上であればよいが、ここでは16段階(n=16)の明るさに設定するとともに、低輝度領域における階調分割を高輝度領域よりも細分化した設定とされている。
ステップS7の後、校正制御部64は、三刺激値直読型計測器2および分光型計測器3にプロジェクタ5から射出される光を同時に計測させる(ステップS8:階調計測工程)。このステップS8において、前述のステップS2のステップS21,S22と同様の手順で、校正制御部64の校正用計測値取得部644は、三刺激値直読型計測器2にプロジェクタ5から射出される光を計測させ、階調計測値(Vwx,Vwy,Vwz)を取得し、基準測定値取得部643は、分光型計測器3にプロジェクタ5から射出される光を計測させ、基準階調測定値(Xref_w,Yref_w,Zref_w)を取得する。
ステップS8の後、校正制御部64は、リファレンス光源制御部642により駆動制御されるプロジェクタ5の明るさiが「明るさn」であるかを判定する(ステップS9)。
ステップS9において、校正制御部64は、「N」と判定した場合、すなわち、プロジェクタ5の明るさが「明るさn」ではないと判定した場合には、リファレンス光源制御部642により駆動制御されるプロジェクタ5の明るさを1増加させ(ステップS10)、上述したステップS7〜S9を再度実行する。すなわち、校正制御部64は、プロジェクタ5の明るさが「明るさn」となるまで、ステップS10においてプロジェクタ5の明るさを1増加させ、上述したステップS7〜S9を繰り返し実行する。
以上のステップS7〜S10の工程(階調計測工程)により、プロジェクタ5の複数段階の明るさiで、かつ白(WHITE)点灯での三刺激値直読型計測器2の階調計測値(Vwx(gra),Vwy(gra),Vwz(gra))が取得され、校正制御情報記憶部648に記憶される。さらに、プロジェクタ5の複数段階の明るさiで、かつ白(WHITE)点灯での分光型計測器3にて計測された基準階調測定値(Xref_w(gra),Yref_w(gra),Zref_w(gra))が取得され、校正制御情報記憶部648に記憶される。
次に、ステップS9において、校正制御部64は、「Y」と判定した場合、すなわち、プロジェクタ5の明るさiが「明るさn」であると判定した場合には、先ず、明るさに対する三刺激値直読型計測器2の計測値の関係を一意な関係とするために仮想AD値算出工程S11を実施し、次に、明るさに対する三刺激値直読型計測器2の計測値の非線形な関係を明らかにするために変換関数算出工程S12を実施する。
ステップS11において、校正制御部64の仮想AD値算出部646は、前記式(1)で算出した色変換マトリクスMと、前記ステップS7〜S9で計測した分光型計測器3の基準階調測定値(Xref_w(gra),Yref_w(gra),Zref_w(gra))とに基づいて、プロジェクタ5の明るさ毎の仮想AD値(仮想出力値)を算出する。具体的には、以下の式(2)に示すように、色変換マトリクスMの逆行列と基準階調測定値(Xref_w(gra),Yref_w(gra),Zref_w(gra))との積によって、仮想AD値(Vvir_wx(gra),Vvir_wy(gra),Vvir_wz(gra))を算出する(ステップS11:仮想AD値算出工程)。
Figure 2008157782
ステップS12において、校正制御部64の変換関数算出部647は、前記ステップS7〜S9で計測した三刺激値直読型計測器2の階調計測値(Vwx(gra),Vwy(gra),Vwz(gra))と、前記ステップS11で算出した仮想AD値(Vvir_wx(gra),Vvir_wy(gra),Vvir_wz(gra))とに基づいて、変換パラメータ(変換関数)を算出する。ここで、各色毎の実際の計測値(実AD値)である階調計測値(Vwx(gra),Vwy(gra),Vwz(gra))と、仮想AD値(Vvir_wx(gra),Vvir_wy(gra),Vvir_wz(gra))とは、図7に示すように、明るさ(図7のグラフの横軸)に対して非線形でかつ互いにずれが生じる関係となっており、特に、低輝度領域(グラフの左側)で非線形性が顕著になっている。従って、前述のS7〜S10(階調計測工程)において、低輝度領域における階調分割を高輝度領域よりも細分化したことで、階調計測値(Vwx(gra),Vwy(gra),Vwz(gra))と、仮想AD値(Vvir_wx(gra),Vvir_wy(gra),Vvir_wz(gra))とを高精度に近似させることができるようになっている。
具体的にステップS12では、変換関数算出部647は、校正制御情報記憶部648に記憶された三刺激値直読型計測器2の階調計測値(Vwx(gra),Vwy(gra),Vwz(gra))を仮想AD値(Vvir_wx(gra),Vvir_wy(gra),Vvir_wz(gra))に近似するための変換パラメータ(Func_nr,Func_ng,Func_nb)を算出する(ステップS12:変換パラメータ算出工程)。そして、変換関数算出部647は、算出した変換パラメータ(Func_nr,Func_ng,Func_nb)を測定制御部65の測定制御情報記憶部655に記憶させる。この変換パラメータ(Func_nr,Func_ng,Func_nb)としては、例えば、LUT(Look Up Table)等の形で記憶されていてもよく、また適宜な関数として記憶されていてもよい。また、計測値と仮想AD値との関係を求める際、各計測点の間は、直線補間や二次・三次曲線補間またはスプライン補間で補ってもよく、または、各計測点に対して最小二乗法などの近似曲線を適用してもよい。
〔色測定方法〕
次に、上述した校正方法が終了した後に図4に示す色測定装置10により測定対象を実測する際の色測定方法を説明する。
図8は、色測定装置10による色測定方法を説明するフローチャートである。
先ず、作業者は、PC6の入力装置62に、「測定対象となるプロジェクタ5Aから出力される光を実測する」旨の入力操作を実施する。そして、PC本体63の測定制御部65は、入力装置62から出力される操作信号に応じて、測定制御情報記憶部655からプログラムを読み出し、以下に示すように、測定制御を実施する。
測定制御部65の測定対象制御部651は、プロジェクタ5Aの駆動を制御する(ステップS101)。
ステップS101の後、測定制御部65の実測用計測値取得部652は、三刺激値直読型計測器2にプロジェクタ5Aから射出される光を計測させ、三刺激値直読型計測器2から出力される計測値(Vx,Vy,Vz)を取得する(ステップS102:実測用計測値取得工程)。そして、実測用計測値取得部652は、取得した計測値(Vx,Vy,Vz)を測定制御情報記憶部655に記憶する。
ステップS102の後、測定制御部65の補正計測値算出部653は、測定制御情報記憶部655に記憶された変換パラメータ(Func_nr,Func_ng,Func_nb)を読み出し、以下の式(3)に示すように、変換パラメータ(Func_nr,Func_ng,Func_nb)に前記取得した計測値(Vx,Vy,Vz)を代入して、計測値(Vx,Vy,Vz)を補正する。具体的には、計測値(Vx,Vy,Vz)の明るさ(前記ステップS7〜S10の階調計測工程におけるnの値)に対応した前記変換パラメータ(Func_nr,Func_ng,Func_nb)に計測値(Vx,Vy,Vz)を代入して、補正計測値としての仮想AD値(Vvir_x,Vvir_y,Vvir_z)を算出する(ステップS103:補正計測値算出工程)。そして、補正計測値算出部653は、算出した仮想AD値(Vvir_x,Vvir_y,Vvir_z)を測定制御情報記憶部655に記憶する。
Figure 2008157782
ステップS103の後、測定制御部65の測定値出力部654は、測定制御情報記憶部655に記憶された仮想AD値(Vvir_x,Vvir_y,Vvir_z)および色変換マトリクスMを読み出し、これらの仮想AD値(Vvir_x,Vvir_y,Vvir_z)および色変換マトリクスMを用いて、以下の式(4)により色変換し、色変換した補正計測値を測定値(X,Y,Z)として出力する(ステップS104:測定値出力工程)。そして、例えば、PC本体63は、表示装置61等に三刺激値X,Y,Z、色度、照度、輝度等を表示させる。
Figure 2008157782
上述した実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、三刺激値直読型計測器2の校正時(校正制御時)において、PC6が仮想AD値算出工程S11を実施して仮想AD値(仮想出力値)を算出する。三刺激値直読型計測器2の計測値、および仮想AD値は、共に、三刺激値直読型計測器2固有の色空間の値であるため、仮想AD値に対する三刺激値直読型計測器2の計測値の関係は、スペクトル形状の異なる光源においても、一意な関係となる。また、PC6が変換関数算出工程S12を実施して変換パラメータ(変換関数)を算出することで、仮想AD値に対する三刺激値直読型計測器2の計測値の関係を明らかにし、すなわち、明るさに対する三刺激値直読型計測器2(受光素子22R,22G,22Bや回路内の増幅回路24R,24G,24B)の非線形な特性を明らかにすることができる。
このため、測定対象であるプロジェクタ5Aから射出される光の実測時(測定制御時)において、PC6が、実測用計測値取得工程S102および補正計測値算出工程S103を実施して、測定対象を計測した三刺激値直読型計測器2の計測値を変換パラメータにより一旦、補正計測値(仮想AD値)に近似させ、補正計測値を色変換マトリクスにより色変換して測定値を算出することで、分光型計測器3の基準測定値に対して誤差の低減した測定値を算出できる。すなわち、仮想AD値に対する三刺激値直読型計測器2の計測値の関係を、スペクトル形状の異なる光源においても、一意の関係としかつ、明るさに対する三刺激値直読型計測器2の非線形な関係を明らかにした状態で、測定値を算出できる。したがって、スペクトル形状の差異や明るさの差異に対応して測定値と分光型計測器3の基準測定値との誤差を低減し、分光型計測器3に合わせた高精度の測定を可能とする。
また、本実施形態では、色変換マトリクス算出工程S5にて算出した色変換マトリクスMと、階調計測工程S7〜S10にて計測した分光型計測器3の基準階調測定値とに基づいて仮想AD値を算出する。これにより、三刺激値直読型計測器2における光学フィルタ21R,21G,21Bの分光透過特性や、受光素子22R,22G,22Bの分光感度特性が既知でなくても仮想AD値を算出することができる。したがって、予め光学フィルタ21R,21G,21Bの分光透過特性および受光素子22R,22G,22Bの分光感度特性を測定しておく必要がなく、また分光透過特性および分光感度特性を波長毎の関数やLUT等の形で記憶しておく必要もないことから、三刺激値直読型計測器2の校正や、三刺激値直読型計測器2を用いた色測定を迅速に実施することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、PC6におけるPC本体63に校正制御部64および測定制御部65が設けられる構成としたが、PC本体63の一部の機能を、三刺激値直読型計測器2の内部に持たせた構成としてもよい。具体的には、三刺激値直読型計測器2の制御回路26が、前記測定制御部65における測定対象制御部651、実測用計測値取得部652、補正計測値算出部653、および測定値出力部654の機能を有し、三刺激値直読型計測器2の記憶回路27が、測定制御情報記憶部655の機能を有して構成されていてもよい。
また、前記実施形態におけるPC6が省略され、PC6のPC本体63における校正制御部64および測定制御部65の機能を、三刺激値直読型計測器2に持たせた構成としてもよい。このような構成によれば、三刺激値直読型計測器2の校正時および測定対象の実測時に、PC6を用いることなく三刺激値直読型計測器2単体で実施でき、校正時および実測時の作業スペースの効率化が図れ、利便性の向上が図れる。
また、前記実施形態では、プロジェクタ5の最大の明るさで赤、緑、青の各色毎に分光型計測器3および三刺激値直読型計測器2を順次切り替えて色計測工程S2を実施し、その後、明るさ変化させた白色にて階調計測工程S8を実施していたが、これに限らず、各色および明るさ毎の三刺激値直読型計測器2、および分光型計測器3の計測の順序は特に限定されず、色計測値、階調計測値、基準色測定値および基準階調測定値の計測が実施できればよい。
また、前記実施形態では、プロジェクタ5を利用して三刺激値直読型計測器2の校正を実施していたが、標準光源等を三刺激値直読型計測器2および分光型計測器3で計測することで校正を実施してもよい。
さらに、本発明によって校正される三刺激値直読型計測器2は、液晶製品の品質評価に用いられるものに限らず、様々なものの色評価等に利用できる。
さらに、本発明の校正方法は、三刺激値直読型の色彩計、照度計、輝度計に限らず、CCD(Charge Coupled Device)やMOS(Metal Oxide Semiconductor)等の二次元センサを用いた三刺激値直読型計測器にも適用可能である。
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の実施形態における校正システムの構成を示すブロック図。 前記実施形態における三刺激値直読型計測器の構成を示すブロック図。 前記実施形態におけるPCの構成を示すブロック図。 前記実施形態における色測定装置の構成を示すブロック図。 前記実施形態における三刺激値直読型計測器の校正方法を説明するフローチャート。 前記実施形態における計測工程を説明するフローチャート。 前記実施形態における仮想出力値に対する三刺激値直読型計測器の計測値の関係の一例を示す図。 前記実施形態における色測定装置による色測定方法を説明するフローチャート。
符号の説明
1…校正システム、2…三刺激値直読型計測器、3…分光型計測器、5,5A…プロジェクタ(リファレンス光源、測定対象)、64…校正制御部(校正制御装置)、65…測定制御部(測定制御装置)、642…リファレンス光源制御部、643…基準測定値取得部、644…校正用計測値取得部、645…色変換マトリクス算出部、646…仮想AD値算出部(仮想出力値算出部)、647…変換関数算出部(変換パラメータ算出部)、652…実測用計測値取得部、653…補正計測値算出部、654…測定値出力部、655…測定制御情報記憶部(パラメータ記憶部)、S2…色計測工程、S5…色変換マトリクス算出工程、S8…階調計測工程、S11…仮想出力値算出工程、S12…変換パラメータ算出工程、S102…実測用計測値取得工程、S103…補正計測値算出工程、S104…測定値出力工程。

Claims (8)

  1. 基準となるリファレンス光源をスペクトル形状の異なる複数色に変化させて色毎に分光型計測器および三刺激値直読型計測器を用いて計測し、前記分光型計測器の基準色測定値および前記三刺激値直読型計測器の色計測値を取得する色計測工程と、
    前記リファレンス光源の明るさを複数段階に変化させて明るさ毎に前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器を用いて計測し、前記分光型計測器の基準階調測定値および前記三刺激値直読型計測器の階調計測値を取得する階調計測工程と、
    前記リファレンス光源の色毎の前記基準色測定値および前記色計測値に基づいて、前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器の色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出工程と、
    前記基準階調測定値と前記色変換マトリクスの逆行列との積により、前記リファレンス光源の明るさ毎に前記三刺激値直読型計測器固有の色空間での仮想出力値を算出する仮想出力値算出工程と、
    前記リファレンス光源の明るさ毎の前記階調計測値および前記仮想出力値に基づいて、前記三刺激値直読型計測器の階調計測値を前記仮想出力値に近似するための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出工程とを備えていることを特徴とする三刺激値直読型計測器の校正方法。
  2. 請求項1に記載の校正方法において、
    前記リファレンス光源は、赤、緑、青のスペクトル形状の異なる光を射出可能に構成され、
    前記色計測工程は、前記リファレンス光源から射出される光を赤、緑、青に変化させて各色毎に前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器を用いて計測することを特徴とする三刺激値直読型計測器の校正方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の校正方法において、
    前記色計測工程は、前記リファレンス光源を最大の明るさで発光させて前記基準階調測定値および前記階調計測値を取得することを特徴とする三刺激値直読型計測器の校正方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の校正方法において、
    前記階調計測工程は、前記リファレンス光源を無彩色で発光させて前記基準階調測定値および前記階調計測値を取得することを特徴とする三刺激値直読型計測器の校正方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の校正方法において、
    前記階調計測工程は、前記リファレンス光源の複数段階の明るさのうち、低輝度領域における階調分割を高輝度領域よりも細分化させて前記基準階調測定値および前記階調計測値を取得することを特徴とする三刺激値直読型計測器の校正方法。
  6. 校正対象となる三刺激値直読型計測器と、基準となるリファレンス光源と、校正の基準となる分光型計測器と、前記三刺激値直読型計測器、前記リファレンス光源、および前記分光型計測器を制御する校正制御装置とを備え、
    前記校正制御装置は、
    前記リファレンス光源を駆動制御するリファレンス光源制御部と、
    前記リファレンス光源の発光色がスペクトル形状の異なる複数色に変化した際および明るさが複数段階に変化した際に、前記リファレンス光源の色毎および明るさ毎に前記分光型計測器に計測させて基準色測定値および基準階調測定値を取得する基準測定値取得部と、
    前記リファレンス光源の発光色がスペクトル形状の異なる複数色に変化した際および明るさが複数段階に変化した際に、前記リファレンス光源の色毎および明るさ毎に前記三刺激値直読型計測器に計測させ、前記三刺激値直読型計測器の色計測値および階調計測値を取得する校正用計測値取得部と、
    前記リファレンス光源の色毎の前記基準色測定値および前記色計測値に基づいて、前記分光型計測器および前記三刺激値直読型計測器の色変換マトリクスを算出する色変換マトリクス算出部と、
    前記基準階調測定値と前記色変換マトリクスの逆行列との積により、前記リファレンス光源の明るさ毎に前記三刺激値直読型計測器固有の色空間での仮想出力値を算出する仮想出力値算出部と、
    前記リファレンス光源の明るさ毎の前記階調計測値および前記仮想出力値に基づいて、前記三刺激値直読型計測器の階調計測値を前記仮想出力値に近似するための変換パラメータを算出する変換パラメータ算出部とを備えていることを特徴とする三刺激値直読型計測器の校正システム。
  7. 三刺激値直読型計測器を用いて測定対象から出力される光を計測し、前記三刺激値直読型計測器の計測値を取得する実測用計測値取得工程と、
    請求項1から請求項5のいずれかに記載の校正方法において予め算出されている変換パラメータを用いて前記計測値を補正して補正計測値を算出する補正計測値算出工程と、
    前記校正方法において予め算出されている色変換マトリクスを用いて前記補正計測値を色変換し、色変換した補正計測値を測定値として出力する測定値出力工程とを備えていることを特徴とする色測定方法。
  8. 測定対象から出力される光を計測する三刺激値直読型計測器と、前記三刺激値直読型計測器から出力される計測値に基づいて測定値を出力する測定制御装置とを備え、
    前記測定制御装置は、
    請求項1から請求項5のいずれかに記載の校正方法において予め算出された変換パラメータおよび色変換マトリクスが記憶されたパラメータ記憶部と、
    前記測定対象から出力される光を前記三刺激値直読型計測器に計測させ、前記三刺激値直読型計測器の計測値を取得する実測用計測値取得部と、
    前記変換パラメータを用いて前記計測値を補正して補正計測値を算出する補正計測値算出部と、
    前記色変換マトリクスを用いて前記補正計測値を色変換し、色変換した補正計測値を測定値として出力する測定値出力部とを備えていることを特徴とする色測定装置。
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