JP6092569B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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この発明は、トレッド踏面に、タイヤ赤道面側から両トレッド踏面端に向かって、トレッド幅方向に傾斜してタイヤ回転方向の逆方向に延びる複数本の傾斜溝を設けてなる空気入りタイヤに関するものである。
トレッド踏面に、タイヤ赤道面側から両トレッド踏面端に向かって、タイヤ回転方向の逆方向に延びる複数本の傾斜溝を設け、傾斜溝に入り込んだ水を走行時に効率的に排出するとともに、雪路の走行に際し、傾斜溝に入り込んだ雪が発揮する雪柱剪断力をもって雪上トラクション性能を向上させることが行われている。
このような傾斜溝を設けたタイヤとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。
特表2001−518420号公報
しかるに、特許文献1に記載されたタイヤは、雪が水とともに傾斜溝から排出されてしまうために、雪柱剪断力を十分に発揮できないおそれがある。また該傾斜溝の、トレッド幅方向に対する傾斜角度が比較的大きいため、そのような傾斜溝によっては、エッジ効果を十分に発揮できないおそれがある。これらによって、雪上トラクション性能を所期したほどに高めることができないおそれがあった。
この発明は、主として雪路での走行に供される従来の、いわゆる冬用タイヤが抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、排水性を確保しつつ、雪上走行時のトラクション性能を十分に向上させることのできる空気入りタイヤを提供することにある。
請求項1の空気入りタイヤによれば、トレッド踏面に、タイヤ赤道面から両トレッド踏面端に向かって、トレッド幅方向に傾斜してタイヤ回転方向の逆方向に延びる複数本の傾斜溝を設けることで排水性を確保することができる。また、傾斜溝の溝縁を、トレッド幅方向に傾斜して延びる傾斜部と、トレッド幅方向に対する傾斜角度が該傾斜部よりも小さい幅方向部とを交互に繰り返して構成することで、傾斜溝に取り込まれた雪に引っ掛かりが生じて、雪を溝内に留めやすくなって、雪柱剪断力が向上し、雪上走行時のトラクション性能を向上させることができる。
そして、トレッド幅方向に対する傾斜角度が傾斜部よりも小さい幅方向部が、特に直進走行時に大きなエッジ効果を発揮することにより、雪上でのトラクション性能を向上させることができる。
ここで、「トレッド踏面」とは、適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填したタイヤに、最大負荷能力に対応する負荷を加えた状態で転動させた際に、路面に接触することになる、タイヤの全周にわたる外周面を意味する。また、「トレッド踏面端」とは、前記トレッド踏面の、トレッド幅方向の最外位置をいう。
ここにおいて、「適用リム」とは、タイヤサイズに応じて下記の規格に規定されたリムをいい、「規定内圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに負荷されることが許容される最大の質量をいう。
そして、その規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格によって決められたものであり、例えば、アメリカ合衆国では、“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.”の“YEAR BOOK”であり、欧州では、“The European Tyre and Rim Technical Organization”の“STANDARDS MANUAL”であり、日本では“日本自動車タイヤ協会”の“JATMA YEAR BOOK”である。
請求項のタイヤによれば、傾斜溝の一方の溝縁の幅方向部のエッジ効果と、該傾斜溝の他方の溝縁の幅方向部のエッジ効果とをそれぞれ最大限に発揮させ、かつ排水性を損なわずに雪中剪断力を効果的に発揮する雪柱を作ることができ、雪上トラクション性能をさらに向上させることができる。
請求項のタイヤによれば、傾斜溝の両溝縁に形成される幅方向部付近で、傾斜溝に大きなくびれが生じて、傾斜溝の幅が局所的に小さくなることを防止することができ、溝内に形成される雪柱が折れて雪柱剪断力が低下することや、傾斜溝の水の流れが悪くなって排水性が悪化することを有効に防止することができる。
また、この発明の空気入りタイヤでは、前記副溝の両端が前記傾斜溝に開口して、少なくとも該傾斜溝と該副溝とで区画される複数のブロックを形成することが好ましい。
この場合には、トレッド陸部の路面追従性が一層向上することで、雪上及び氷上でのスリップをより一層抑制して操縦安定性を有効に向上させることができる。
そして、この発明の空気入りタイヤでは、前記幅方向部の長さを、該幅方向部が形成された傾斜溝の溝縁に沿った、該幅方向部を少なくとも境界の一部とするブロックの辺の長さよりも小さくすることが好ましい。
この場合には、ブロックの大きさに比して幅方向部の長さを小さくすることで、ブロック上面の面積が十分確保されて、雪上走行時のトラクション性能をさらに向上させることができる。
ここにおいて、この発明の空気入りタイヤでは、前記傾斜部と前記幅方向部とが形成された前記傾斜溝の溝縁における該幅方向部の数を、該溝縁を境界とするブロックの数以下とすることが好ましい。
この場合には、傾斜溝の形状が極端に複雑になることを防止することで、排水性を確保するとともに、雪柱が折れたり脆くなったりすることを防止することで雪柱剪断力を高めて、雪上走行時のトラクション性能をさらに向上させることができる。
ところで、この発明の空気入りタイヤでは、前記ブロックに複数本のサイプが設けられ、前記幅方向部の長さを、該幅方向部を少なくとも境界の一部とするブロックの隣り合うサイプ同士の間隔よりも小さくすることが好ましい。
この場合には、サイプ同士の間隔を適切に設計することでブロックの剛性が確保されるとともに、サイプによりエッジ効果が高まることで、雪上トラクション性能をさらに向上させることができる。
なお、隣り合うサイプ同士の間隔が異なる場合には、該幅方向部の長さを、隣り合うサイプ同士の最大間隔よりも小さくすることで、上記の効果を発揮することができる。
また、ここでいう「サイプ」とは、対向する溝壁面が、タイヤ接地部分で相互に接触する程度の溝幅(例えば0.5mm以下の溝幅)を有する細溝を意味する。なお、この「タイヤ接地部分」とは、適用リムに組み付けるとともに規定内圧を充填して、路面に垂直姿勢で静止配置したタイヤに、最大負荷能力に対応する負荷を加えたときに路面に接触する、前記トレッド踏面の周方向の一部であるトレッド部分をいうものとする。
また、この発明の空気入りタイヤでは、前記ブロックは、上面の面積を180〜250平方ミリメートルであることが好ましく、前記ブロックは、角部を30°以上としてなることが好ましい
この発明によれば、排水性を確保しつつ、雪上走行時のトラクション性能を十分に向上させることのできる空気入りタイヤを提供することができる。
この発明の一の実施形態を示す、トレッドパターンの部分展開図である。 図1の隣り合う傾斜溝を含む一部分を拡大して示す展開図である。
以下に、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を例示説明する。
図1に例示する空気入りタイヤ1は、トレッド踏面に、タイヤ赤道面C側からトレッド踏面端Eに向かって、トレッド幅方向に傾斜して、指定されたタイヤ回転方向Xの逆方向に延びる複数本の傾斜溝2を設けてなる空気入りタイヤであって、傾斜溝2の少なくとも一方の溝縁(図1に示す実施形態では両溝縁2a、2b)を、トレッド幅方向に傾斜して延びる傾斜部3と、トレッド幅方向に対する傾斜角度が該傾斜部3よりも小さい幅方向部4とを、交互に繰り返して構成し、トレッド周方向に隣り合って、この例では平行に延びる傾斜溝2の間に、傾斜溝2よりも幅狭の副溝5を少なくとも一本(図1に示す実施形態では四本)設け、副溝5の少なくとも一端(図1に示す実施形態では両端)が傾斜溝2に開口してなる。
なお図示は省略するが、この空気入りタイヤも一般的な空気入りタイヤと同様に、一対のビード部に埋設した各ビードコアと、それらのビード部からサイドウォール部を経てトレッド部に到るトロイド状のカーカスと、カーカスのクラウン域の外周側に配設したベルト、トレッドゴム等を具えてなるものである。
図1には、トレッド踏面の境界線(フットプリント)Fと、トレッド踏面端Eとを示している。トレッド踏面及びトレッド踏面端の定義は上述した通りである。
この実施形態では、トレッド踏面には、タイヤ赤道面C付近に、タイヤ赤道面Cの両側の傾斜溝2と副溝5とに挟まれたセンターリブ21が形成されている。センターリブ21により、トレッド陸部の剛性を高め、特に直進走行時の雪上トラクション性能を有効に向上させることができる。
傾斜溝2は、タイヤ赤道面C側からトレッド踏面端Eへ、タイヤ回転方向Xの逆方向に延びている。
このような傾斜溝を設けることで、走行時に、傾斜溝内の水が後方、すなわちタイヤ赤道面からトレッド踏面端E側へと効果的に排出される。
また、傾斜溝2内には雪が取り込まれて、雪柱が形成されることで雪柱剪断力が得られる。傾斜溝はトレッド幅方向から傾斜しているため、主に雪柱剪断力のトレッド周方向成分がもたらす雪上トラクション性能と、主に雪柱剪断力のトレッド幅方向成分がもたらす雪上操縦安定性能とがバランス良く両立している。
ここで、図1に示すように、傾斜溝2のタイヤ赤道面C側の端部の幅方向中心2c及び傾斜溝2のトレッド踏面端E側の幅方向中心2dを結んだ線分と、トレッド周方向とがなす平均傾斜角度をθとすると、θは40〜60°とするのが、排水性を確保しつつ、雪上トラクション性能と雪上操縦安定性能とをバランス良く両立させる点で好ましい。
なお、図1に示す実施形態では、傾斜溝2のトレッド幅方向外側に、傾斜溝2と連通し、トレッド幅方向に対する傾斜角度が傾斜溝2よりも小さい横溝11が設けられている。傾斜溝2から排出された水は、トレッド踏面端Eへ排水される。また、横溝11内にも雪柱が形成されて雪柱剪断力が得られる。
図1に示す実施形態では、傾斜溝2がタイヤ赤道面C側から、図面上左右それぞれのトレッド踏面端Eに向けて、タイヤ周方向にオフセットして交互に設けられている。なお、図1に示す実施形態では、傾斜溝2がタイヤ赤道面Cの手前で終端しているが、傾斜溝2がタイヤ赤道面Cに達するように設ける事もできる。
このように、傾斜溝2を互いに交差しないように構成することで、水の流れの乱れを防止し、排水性を向上させ、ウェット時の性能を向上させることができる。
傾斜溝2の溝縁2a、2bは、トレッド幅方向に対して傾斜して延びる傾斜部3と、トレッド幅方向に対する傾斜角度が傾斜部3よりも小さい幅方向部4とを交互に繰り返して構成している。
傾斜溝2の溝縁2a、2bに幅方向部4を設けることで、傾斜溝2内に取り込まれた雪に引っ掛かりが生じ、車輌走行時に雪が排出されにくくなって傾斜溝2内に留めやすくなる。このため、雪柱剪断力が向上し、雪上走行時のトラクション性能及び操縦安定性を有効に向上させることができる。
また、幅方向部4では、トレッド幅方向のエッジ成分が傾斜部3のみの場合に比して増大するため、特に直進走行時の雪上トラクション性能を有効に向上させることができる。
そして、幅方向部4を設けることで、傾斜部3をトレッド幅方向から大きく傾斜させても、上述したタイヤ周方向に対する平均傾斜角度θを大きくすることができ、雪柱せん断力の確保によって雪上性能を維持したまま、排水性を向上させることができる。
なお、上記の効果を有効に発揮するためには、幅方向部4の向きをトレッド幅方向と平行とすることが最適であるが、例えば幅方向部4の向きを、トレッド幅方向に対して30°以下とすることもでき、30°以内であれば有効にトラクション性能を得ることができる。
図1に示す実施形態では、各傾斜溝2の両溝縁2a、2bに幅方向部4を設けており、これにより、雪上走行時のトラクション性能及び操縦安定性を効果的に高めている。
なお、傾斜溝2の一方の溝縁のみに幅方向部4を設けることもできる。この場合、傾斜溝2の蹴出側(車輌走行時に後に接地する側)の溝縁2aに幅方向部4を設けることで、エッジ効果が最大限に発揮され、雪上での駆動性能を有効に向上させることができる。また、制動時に、雪が傾斜溝内に一層取り込まれやすくなって、雪上での制動性能を有効に向上させることができる。これらの効果により、雪上トラクション性能を有効に向上させることができる。
ここで説明する実施形態では、図2に示すように、傾斜溝2の踏込側の溝縁2aの幅方向部4a、4aと、傾斜溝2の蹴出側の溝縁2bの幅方向部4b、4bとをトレッド幅方向にずらして形成している。すなわち、仮想線で示される、幅方向部4a、4aの、それぞれのトレッド幅方向端部を通ってトレッド周方向に平行な直線で挟まれた領域A、Aと、幅方向部4b、4bのそれぞれのトレッド幅方向端部を通ってトレッド周方向に平行な直線で挟まれる領域B、Bとが重ならないように構成される。
傾斜溝2の踏込側と蹴出側の溝縁2a、2bに、このような幅方向部を形成することで、傾斜溝2の一方の溝縁の幅方向部のエッジ効果と、該傾斜溝2の他方の溝縁の幅方向部のエッジ効果とを最大限に発揮させて、かつ排水性を損なわずに雪中剪断力を効果的に発揮する雪柱を作ることができ、雪上トラクション性能を有効に向上させることができる。なお同様の理由から、隣り合う傾斜溝2間に挟まれた陸部に形成される幅方向部は、幅方向にずれている。
また、ここで説明する実施形態では、図2に示すように、傾斜溝2の蹴出側の溝縁2bに形成された幅方向部4b、4bがそれぞれ、該傾斜溝の踏込側の溝縁2aに形成される該幅方向部のうち、蹴出側の溝縁2bに形成された幅方向部4b、4bに最も近い幅方向部(それぞれ4a、4a)よりも、後に接地するように構成される。
このように、傾斜溝2の踏込側と蹴出側の溝縁2a、2bに、幅方向部4を形成することで、傾斜溝2に大きなくびれ部が生じて、くびれ部で傾斜溝の最小幅Wnが小さくなることを防止することができ、傾斜溝2内に形成される雪柱が折れたり脆くなったりして、雪柱剪断力が低下して雪上トラクション性能が悪化することや、傾斜溝2内の水の流れが悪くなって排水性が悪化することを有効に防止することができる。
なお、傾斜溝の最小幅Wnは、例えば6mm以上とすることができる。
なお、傾斜溝2の溝縁2a、2bの幅方向部4の長さLwは、例えば5mmとすることができ、図1、2に示すように、幅方向部は、傾斜溝の各溝縁2a、2bに2つずつ形成されている。幅方向部が長過ぎたり、幅方向部の数が多すぎたりすると、傾斜溝2の形状が複雑になり、傾斜溝2の水の流れが悪くなって排水性が悪化したり、傾斜溝2の内部に形成される雪柱が折れたり脆くなったりして、雪柱剪断力が低下するおそれがある。
そのため、図1、2に示すように、傾斜溝2の少なくとも一方(図では両方)の溝縁において、該溝縁に形成された幅方向部の数を、該溝縁を境界とする、後述するブロック6の数(図では4つ)以下とすることが好ましい。
タイヤ周方向に隣り合って平行に延びる傾斜溝2、2の間には、副溝5が設けられている。傾斜溝2、2と副溝5とによって、傾斜溝2、2間のトレッド陸部は四つのブロック6に分割される。このようにブロックを小さく分割することにより、トレッド陸部の路面追従性が向上してエッジ効果が高まり、雪上トラクション性能を向上させつつ、雪上及び氷上でのスリップをより一層抑制して操縦安定性を有効に高めることができる。
また、副溝5の幅を傾斜溝2の幅よりも小さくすることで、傾斜溝2の水の流れが安定し、排水性が確保される。副溝5の幅はサイプ14の幅よりも大きい。副溝5の幅は、例えば1.5mmとすることができる。
そして、図1、2に示すように、トレッド幅方向に対する傾斜角度が小さい(30°以下の)副溝5aを設けることで、トレッド幅方向のエッジ成分を高めることができ、雪上トラクション性能を向上させることができる。一方、タイヤ幅方向に対する傾斜角度が該副溝5aよりも大きい(60°以上の)副溝5bを設けることで、トレッド周方向のエッジ成分を高めることができ、雪上及び氷上での操縦安定性を向上させることができる。
図1、2に示す実施形態では、副溝5の両端が傾斜溝2に開口している。これにより、トレッド陸部の路面追従性をより向上させて上述のエッジ効果を高めることができる。
なお、副溝5の一端のみを傾斜溝2に開口させることもでき、この場合にはトレッド陸部の剛性を高めて、トラクション性能及び操縦安定性を向上させることができる。上述したように、副溝を設けてトレッド陸部をブロックに分割することで、トレッド陸部の路面追従性を向上させることができるが、ブロックが小さすぎたり、ブロックが大きすぎたりすると、トレッド踏面の路面追従性が低下してエッジ効果を十分に発揮することができない。そのため、ブロックの上面の面積を180〜250平方ミリメートルとすることが、雪上及び氷上でのスリップを抑制しつつ、雪上トラクション性能を向上させる上で好ましい。
すなわち、ブロックの上面の面積を180平方ミリメートル未満とした場合には、ブロック剛性が低くなり過ぎてエッジ効果が低下することにより、雪上トラクション性能が低下するおそれがあり、また、ブロックの上面の面積が250平方ミリメートルよりも大きい場合には、ブロック剛性が高くなり過ぎて、トレッド陸部の路面追従性が低下することによりエッジ効果が小さくなり、雪上トラクション性能が低下したり操縦安定性が低下したりするおそれがある。
また、ブロック6の上面の面積を確保する観点から、前記ブロック6に形成された幅方向部4の長さLwを、該ブロック6の、該幅方向部4が形成された傾斜溝2の溝縁に沿った辺の長さLよりも小さくすることが好ましい。なお、幅方向部4の長さLwは、幅方向部4の輪郭に沿って計測するものとする。
図1、2に示す空気入りタイヤでは、副溝の位置及び向きを決定する際に、ブロックに、角部を挟む角度が小さくなりすぎる(例えば30°未満の)角部が発生しないように留意している。また、後述するサイプの位置及び向きを決定する際にも、サイプで区画される、図1、2では略三角形または略台形の部分の、角部を挟む角度が小さくなりすぎない(例えば30°未満とならない)ように留意する。
これらのことで、ブロック等の破損を有効に防止することができる。
また、幅方向部4の途中で副溝5を開口させないように構成することが、幅方向部4の効果を十分発揮させる点で好ましい。
ところで、この発明では、トレッド踏面に、略タイヤ周方向に向けて延びる一本以上、図1に示す実施形態では二本の周方向溝12を設けることができ、これによれば、周方向溝12の配設に基づく、雪路に対するエッジの周方向成分の増加によって、操縦安定性の向上を図ることができる。かかる周方向溝は、図1に示すようなジグザグ状に延びる形態とともに、または該形態に代えて、タイヤ周方向に向けて直線状、波形状もしくはクランク状等に延びる形態等のものを設けることができる。
なお、トレッド踏面の剛性低下を防ぐ観点から、周方向溝12の幅は、傾斜溝2の幅よりも小さくすることが好ましい。
この発明では、トレッド踏面に幅が0.5mm以下のサイプが設けられている。
タイヤ赤道面C付近のセンターリブ21には、トレッド幅方向に延びるサイプ13が設けられており、このサイプ13は、特に直進走行時に、雪路に対する引掻き効果を有効に発揮することで、雪上トラクション性能を向上させている。
傾斜溝2間に形成されるブロック6に設けられたサイプ14は、トレッド幅方向を向いた副溝5aと平行に設けられている。これにより、上述したように、ブロックの剛性を確保しつつ、サイプによる雪路の引掻き効果を有効に発揮させることができる。ここで、ブロック6の剛性を確保しつつ、サイプ14によるエッジ効果を高めて雪上トラクション性能を有効に向上させる観点から、ブロック6に形成された幅方向部4の長さLwを、ブロック6内の隣り合うサイプ14同士の間隔Dよりも小さくすることが好ましい。
また、トレッド踏面端E付近には、横溝11と平行にサイプ15が設けられており、これにより、ショルダ部のトレッド剛性の低下を招くことなしに、サイプによる雪路の引掻き効果を有効に発揮することができる。
タイヤサイズが205/55R16の実施例タイヤ及び比較例タイヤを試作し、それらの性能を評価したので、以下に説明する。
実施例タイヤ1は、図1、2に示すトレッドパターンを有するものとし、傾斜溝の蹴出側及び踏込側の溝縁が、タイヤ赤道面から両トレッド踏面端に向かって、傾斜部と幅方向部とを繰り返して構成している。傾斜部のタイヤ幅方向に対する傾斜角度はいずれも50°であり、幅方向部のタイヤ幅方向に対する傾斜角度はいずれも0°である。また、幅方向部の長さLwは5mmである。そして、トレッド周方向に隣り合う傾斜溝間に該傾斜溝よりも幅狭の副溝が四本設けられ、該副溝の両端が該傾斜溝に開口している。また傾斜溝の最大幅Wnを6mmとした。
実施例タイヤ2は、傾斜溝の踏込側のみの溝縁を、タイヤ赤道面から両トレッド踏面端に向かって、傾斜部と幅方向部とを繰り返して構成した。傾斜溝の蹴出側の溝縁に幅方向部は形成されていない。また、傾斜溝の踏込側の溝縁に形成された幅方向部の長さLwは7mmである。なお、その他の構造は実施例タイヤ1と同様とした。
実施例タイヤ3は、傾斜溝の蹴出側のみ溝縁を、タイヤ赤道面から両トレッド踏面端に向かって、傾斜部と幅方向部とを繰り返して構成した。傾斜溝の踏込側の溝縁に幅方向部は形成されていない。また、傾斜溝の蹴出側の溝縁に形成された幅方向部の長さLwは7mmである。そして、なお、その他の構造は実施例タイヤ1と同様とした。
実施例タイヤ4は、傾斜溝の蹴出側の溝縁に形成された幅方向部が、傾斜溝の踏込側の溝縁に形成される幅方向部のうち、蹴出側の溝縁に形成された幅方向部に最も近い幅方向部よりも、先に接地するように構成している。また、傾斜溝の蹴出側及び踏込側の溝縁に形成された幅方向部の長さLwは7mmである。そして傾斜溝の最大幅Wnを5mmとした。なお、その他の構造は実施例タイヤ1と同様とした。
比較例タイヤ1は、副溝が設けられていない点を除いて、実施例タイヤ1と同様とした。
比較例タイヤ2は、傾斜溝が傾斜部のみで構成され幅方向部が設けられていない点を除いて、実施例タイヤ1と同様とした。
以上に述べた各供試タイヤについて、サイズ7Jのリムに組付けるとともに、空気圧230kPaを充填して、以下に示すスノートラクション性能試験、操縦安定性能試験及び排水性能試験を行った。
<スノートラクション性能試験>
雪路のコース上で、上記のタイヤを装着した車両を停止状態から50m走行させて、車両の加速時間を計測することで、スノートラクション性能を評価した。その結果を表1に示す。
ここで、表1に示す指数値は、実施例タイヤ1の加速時間の逆数を100としたものであり、数値が大きいほどトラクション性能に優れることを表す。
<操縦安定性能試験>
雪路のコース上を走行し、ドライバが操縦安定性をフィーリング評価することで、操縦安定性能を評価した。その結果を表1に示す。
ここで、表1に示す指数値は、実施例タイヤ1のフィーリング評価を100としたものであり、数値が大きいほど操縦安定性能に優れることを表す。
<排水性能試験>
水深5mmの湿潤路面を直線走行し、ハイドロプレーニング現象が発生する限界速度を測定することで、排水性能を評価した。その結果を表1に示す。
ここで、表1に示す指数値は、実施例タイヤ1の限界速度を100としたものであり、数値が大きいほど排水性能に優れることを表す。
Figure 0006092569
表1から、いずれの実施例タイヤでも、比較例タイヤと同等以上の雪上トラクション性能が得られることが明らかになった。さらに、排水性を確保しつつ、雪上・氷上での高い操縦安定性を実現していることが明らかになった。
本発明の空気入りタイヤは、特に冬用タイヤとして用いて好適である。
1 空気入りタイヤ
2 傾斜溝
2a 踏込側の溝縁
2b 蹴出側の溝縁
2c 傾斜溝2のタイヤ赤道面C側の端部の幅方向中心
2d 傾斜溝2のトレッド踏面端E側の端部の幅方向中心
3 傾斜部
4、4a、4b 幅方向部
5、5a、5b 副溝
6 ブロック
11 横溝
12 周方向溝
13、14、15 サイプ
21 センターリブ
θ 傾斜溝の、トレッド周方向に対する平均傾斜角度
C タイヤ赤道面
E トレッド踏面端
F トレッド踏面の境界線(フットプリント)
X タイヤ回転方向

Claims (8)

  1. トレッド踏面に、タイヤ赤道面側から両トレッド踏面端に向かって、トレッド幅方向に傾斜してタイヤ回転方向の逆方向に延びる複数本の傾斜溝を設けてなる空気入りタイヤであって、
    該傾斜溝の両溝縁を、トレッド幅方向に傾斜して延びる傾斜部と、トレッド幅方向に対する傾斜角度が該傾斜部よりも小さい幅方向部とを、交互に繰り返して構成し、
    前記幅方向部は、前記傾斜溝の一方の溝縁の前記幅方向部の、それぞれのトレッド幅方向端部を通ってトレッド周方向に平行な直線で囲まれた領域と、前記傾斜溝の他方の溝縁の前記幅方向部の、それぞれのトレッド幅方向端部を通ってトレッド周方向に平行な直線で挟まれる領域とが重ならない相互配置を有し、
    トレッド周方向に隣り合う傾斜溝間に該傾斜溝よりも幅狭の副溝を少なくとも二本設け、該副溝は、トレッド幅方向に対する傾斜角度が30°以下の副溝と、トレッド幅方向に対する傾斜角度が60°以上の副溝とを含み、該副溝の少なくとも一端が該傾斜溝に開口してなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記傾斜溝の両溝縁を、前記傾斜部と、前記幅方向部とを、交互に繰り返して構成し、
    該傾斜溝の蹴出側の溝縁に形成された幅方向部が、該傾斜溝の踏込側の溝縁に形成される該幅方向部のうち、該蹴出側の溝縁に形成された幅方向部に最も近い幅方向部よりも、後に接地するように構成してなる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記副溝の両端が前記傾斜溝に開口して、少なくとも該傾斜溝と該副溝とで区画される複数のブロックを形成してなる、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記幅方向部の長さを、該幅方向部が形成された傾斜溝の溝縁に沿った、該幅方向部を少なくとも境界の一部とするブロックの辺の長さよりも小さくしてなる、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記傾斜部と前記幅方向部とが形成された前記傾斜溝の溝縁における該幅方向部の数を、該溝縁を境界とするブロックの数以下としてなる、請求項3又は4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ブロックに複数本のサイプが設けられ、
    前記幅方向部の長さを、該幅方向部を少なくとも境界の一部とするブロックの隣り合うサイプ同士の間隔よりも小さくしてなる、請求項3〜5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ブロックは、上面の面積を180〜250平方ミリメートルである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ブロックは、角部を30°以上としてなる、請求項3〜7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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