以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る作業機械1の全体概略図である。
図2は、本実施形態に係る作業機械1のキャブ昇降装置20を示す模式図である。
図1を参照するに、作業機械1は、下部走行体10、旋回機構11、上部旋回体12、ブーム13、アーム14、アタッチメント15、ブームシリンダ16、アームシリンダ17、アタッチメントシリンダ18、キャブ(操縦室)19等を有する。
作業機械1の下部走行体10上には、旋回機構11を介して上部旋回体12が旋回可能に搭載されている。また、上部旋回体12の前部中央部にはブーム13が上下に回動可能に連結されている。また、ブーム13の先端部にはアーム14が上下に回動可能に連結されている。また、アーム14の先端部には、アタッチメント15が回動可能に連結されている。本実施形態において、アタッチメント15は、リフティングマグネットであるが、作業の種類によって、他のアタッチメント、例えば、グラップルや解体用フォーク等を用いることが可能である。
また、上部旋回体12内には、エンジン(不図示)が搭載され、該エンジンの駆動軸に連結された油圧ポンプ(不図示)及びパイロットポンプ(不図示)が駆動される。該油圧ポンプは、作業機械1が含む周知の油圧回路(不図示)に前後進用、旋回用、作業用等の油圧アクチュエータを駆動するための圧油を供給する。キャブ19内に備えられる複数の操作レバー等がオペレータにより操作されると、該パイロットポンプの出力圧を元圧として該操作レバー等の操作量に応じて調整されたパイロット圧が対応する前後進用、旋回用、作業用等の油圧アクチュエータの駆動状態を制御する方向制御弁(不図示)のそれぞれに供給され、方向制御弁の油路及び開度が変化される。そして、該油圧ポンプからの圧油が方向制御弁の油路及び開度に応じて油圧アクチュエータに導入されて、該油圧アクチュエータが駆動される。
すなわち、下部走行体10の油圧モータ(不図示)に油圧ポンプからの圧油が供給されることにより下部走行体10(作業機械1)は前後進駆動される。また、旋回機構11の油圧モータ(不図示)に油圧ポンプからの圧油が供給されることにより上部旋回体12は、旋回駆動される。また、ブームシリンダ16、アームシリンダ17、アタッチメントシリンダ18に油圧ポンプからの圧油が供給されることにより、ブーム13、アーム14、アタッチメント15それぞれが回動駆動される。
また、上部旋回体12上には、キャブ19がキャブ昇降装置20を介して、昇降可能に設けられている。なお、図1において、キャブ19は、キャブ昇降装置20により最高位置まで上昇した場合が描画されている。また、キャブ19は、ブーム13の側方(通常、左側)に配置されている。
図2を参照するに、キャブ昇降装置20は、キャブ19を所定の姿勢(水平状態)に保つ平行リンク機構21と、該平行リンク機構21を駆動してキャブ19を昇降駆動するキャブ昇降駆動シリンダ22とを備える。キャブ昇降装置20は、キャブ昇降駆動シリンダ22に上記油圧ポンプからの圧油が供給されることにより昇降駆動される。
平行リンク機構21は、上部旋回体12に立設された支持塔体23と、キャブ19の下部に一体に設けられ、キャブ19を下側から支持するL形の架台24と、下端側ピン25、26及び上端側ピン27、28によりそれぞれ上下端部が回動自在に連結された上リンク29及び下リンク30と、上リンク29及び下リンク30の上下回動を制御するキャブ昇降駆動シリンダ22等を備える。なお、図2においては、側面図ゆえ記載されていないが、上リンク29及び下リンク30は、左右一対で構成される。
キャブ昇降駆動シリンダ22の基端部は、支持塔体23の下部にシリンダピン31を介して回動自在に軸支持されている。また、キャブ昇降駆動シリンダ22のロッド32aの先端部は、左右一対の上リンク29間の連結部材(不図示)にロッドピン32を介して連結されている。
キャブ昇降装置20は、キャブ昇降駆動シリンダ22を伸縮動作させることにより、平行リンク機構21を介してキャブ19を下端側ピン25、26を支点として円弧を描かせながら上下方向に移動駆動させることができる。なお、キャブ19は、上下方向の移動に加えて、当然ながら前後方向にも移動する。
また、キャブ昇降装置20は、角度センサ33を有する。下端側ピン25、すなわち、上リンク29の下端側の回動軸の一端に設けられ、上リンク29の初期位置からの回動角度を検出する。なお、初期位置とは、キャブ19が最低位置にある場合のことである。当該角度センサ33は、キャブ19とアタッチメント15の干渉防止のために設けられている。具体的には、角度センサ33により検出された角度に基づき、キャブ19の位置を算出し、アタッチメント15との前後方向の相対距離が所定距離よりも近づいた場合には、オペレータの操作とは無関係にブーム13、アーム14等の動きを緩慢にさせる等の干渉回避制御が行われる。なお、角度センサ33は、任意の角度センサでよく、例えば、ロータリポテンショメータ等を用いるとよい。また、角度センサ33は、下端側ピン26、すなわち、下リンク29の下端側の回動軸の一端に設けられ、下リンク30の初期位置からの回動角度を検出するようにしてもよい。
さらに、本実施形態に係る作業機械1は、表示制御装置50を有する。
図3は、本実施形態にかかる作業機械1の表示制御装置50のブロック図である。
表示制御装置50は、作業機械1に搭載され、コントローラ51、下方監視カメラ(撮像手段)52、周囲監視カメラ53、表示モニタ(表示装置)54、昇降スイッチ55、表示切替スイッチ56等を含む。詳細は後述するが、表示制御装置50は、表示モニタ54に表示させる表示画面の切り換え等の制御を行う。
コントローラ51は、表示モニタ54の画面表示を制御する制御手段である。コントローラ51は、CPU,RAM、ROM、入出力部等を備えた情報処理端末であり、CPUはROMに記憶されたプログラムに従い、各種処理を行う。本実施形態に係るコントローラ51は、ROMに記憶された各処理に対応するプログラムをCPU上で実行することにより、画像生成手段51a、表示手段51b、上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51f、を構成する。
コントローラ51には、下方監視カメラ52、周囲監視カメラ53(カメラ53L、53R、53B)からの撮像画像信号が入力される。また、コントローラ51には、エンジン(不図示)の燃費、燃料の残量、冷却水の水温、作動油の油温、故障情報(例えば、油圧低下等)等の情報信号が入力される。画像生成手段51aは、これらの画像信号、情報信号等に基づいて、表示モニタ54に表示させる情報画像を生成する。表示手段51bは、所定の条件下(例えば、表示切替スイッチ56がオペレータにより操作されたとき等)、後述する複数の情報画像のうちから選択した情報画像を表示モニタ54に出力し、表示させる。表示モニタ54に表示される情報画像の種類は、予め定められている。例えば、
(1)下方監視カメラ52により撮像された下方画像
(2)周囲監視カメラ53により撮像された周囲画像
(3)基本情報画像(作業機械1の燃費、燃料の残量、水温、油温等を表示)
(4)設定画像(画面の明るさ等の設定を行うための表示)
(5)故障情報画像(作業機械1の故障箇所等を表示)
(6)メンテナンス画像(故障診断等を行うための表示)
等のように、表示モニタ54に表示される複数の種類の情報画像が規定されている。また、後述するように、周囲監視カメラ53は、3つのカメラ53L、53R、53Bを含む。よって、上記(2)の周囲監視カメラ53の周囲画像は、
(2−1)カメラ53L、53R、53Bそれぞれにより撮像された画像を結合(例えば、パノラマビュー画像)した周囲画像
(2−2)カメラ53Lにより撮像された左方画像
(2−3)カメラ53Rにより撮像された右方画像
(2−4)カメラ53Bにより撮像された後方画像
等のように、表示される情報画像の種類が更に区分けされて、規定されている。
コントローラ51の表示手段51bは、表示切替スイッチ56をオペレータが操作することにより、オペレータの操作に応じた情報画像を表示モニタ54に表示させる。
また、本実施形態においては、後述するように、昇降スイッチ55からの信号によりキャブ19の下降、又は上昇が検知された場合には、上記(1)の下方監視カメラ52により撮像された下方画像を表示モニタ54に表示させる。加えて、昇降スイッチ55からの信号によりキャブ19が下降している状態(以下、下降状態と呼ぶ)、又は上昇している状態(以下、上昇状態と呼ぶ)から停止した場合には、キャブ19の下降、又は上昇が検知された場合に表示モニタ54に表示されていた表示画面に切り換える(復帰させる)。詳細は、後述する。
下方監視カメラ52は、キャブ19の下方を撮像する撮像手段である。本実施形態において、キャブ19は、キャブ昇降装置20により上下に昇降可能であるため、キャブ19が高位置にある場合には、キャブ19内のオペレータは、キャブ19の下方が死角となる。該下方監視カメラ52を設け、該下方監視カメラ52により撮像された画像をキャブ19内の表示モニタ54に表示可能とすることにより、オペレータは、キャブ19の下方を確認して作業を行うことができるため、作業の安全性が高まる。
ここで、図4は、下方監視カメラ52の配置を説明する図である。
図4を参照するに、下方監視カメラ52は、キャブ19の前部下部に設けられ、キャブ19が高位置にある場合にオペレータの死角となるキャブ19の下方が撮影できるように、レンズは、下方に向けて配置される。なお、図4の斜線部が下方監視カメラ52の撮像範囲の一例である。なお、下方監視カメラ52は、キャブ19の下方が撮像可能であれば、いずれの場所に配置されてもよい。
下方監視カメラ52は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備える。なお、下方監視カメラ52は、キャブ19が高位置にある場合に死角となるキャブ19の下方を撮像可能なカメラであって、オペレータが安全確認をできる程度の解像度を有するカメラであれば、何を用いてもよい。
下方監視カメラ52の撮像画像信号は、コントローラ51に出力され、コントローラ51(画像生成手段51a)により表示モニタ54に表示させるための画像生成処理が行われ、表示モニタ54に表示される。
周囲監視カメラ53は、作業機械1の周囲を撮像する撮像手段である。オペレータにとって、作業機械1の左右後方は死角となり易く、更に、キャブ19が高位置にある場合には、作業機械1の左右後方の死角が増加する。該周囲監視カメラ53を設け、該周囲監視カメラ53により撮像された画像をキャブ19内の表示モニタ54に表示可能とすることにより、オペレータは、作業機械1周囲の死角となりやすい部分を確認して作業を行うことができるため、作業の安全性が高まる。
周囲監視カメラ53は、カメラ53L、53R、53Bを含む。
ここで、図5は、周囲監視カメラ53の配置を説明する図である。
図5を参照するに、カメラ53L、53R、53Bは、それぞれ上部旋回体12の左側面、右側面、後面に設けられる。周囲監視カメラ53(カメラ53L、53R、53B)は、オペレータの死角となりやすい所定範囲CL、CR、CBをそれぞれ撮像する。
周囲監視カメラ53は、上記下方監視カメラ52と同様に、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備える。なお、周囲監視カメラ53は、作業機械1の周囲を撮像可能なカメラであって、オペレータが安全確認をできる程度の解像度を有するカメラであれば、何を用いてもよい。
周囲監視カメラ53のカメラ53L、53R、53Bそれぞれの画像信号は、コントローラ51に出力され、コントローラ51(画像生成手段51a)により表示モニタ54に表示させるための画像生成処理が行われ、表示モニタ53に表示される。表示モニタ53には、上述のとおり、カメラ53L、53R、53Bにより撮像された映像を合成した画像を表示させることも可能であるし、カメラ53L、53R、53Bにより撮像された画像をそれぞれ単独で表示させることも可能である。
表示モニタ54は、コントローラ51から出力された情報画像を表示する表示装置である。表示モニタ54は、任意のモニタでよく、LCDタッチパネル等の操作部を兼ねたモニタでもよい。
表示モニタ54は、キャブ19内のオペレータから見やすい位置に配置される。通常、キャブ19内の運転席(不図示)に着座したオペレータからみて右側にブーム13が配置されており、オペレータはブーム13の先端に取り付けられたアーム14やアタッチメント15を視認しながら作業機械1を運転することが多い。よって、キャブ19内の作業時のオペレータの視認方向である右前方部に表示モニタ54は配置されることが好ましい。これにより、オペレータは、目線を大きく動かすことなく、表示モニタ54の情報画像とブーム13、アーム14、アタッチメント15の動き等を確認することができるため、安全に作業を行うことできる。また、通常、キャブ19内の前方の左右には上下に延在するフレーム(不図示)が配置される。よって、キャブ19内の前方右側のフレーム部分に表示モニタ54は配置されることが好ましい。これにより、もともと視界の妨げとなっていたフレーム部分に表示モニタ54が配置されるので、表示モニタ54自体が運転者の視界を妨げることは無い。
昇降スイッチ55は、キャブ昇降装置20によりキャブ19を昇降させる操作部である。昇降スイッチ55をオペレータが操作することによりキャブ19が昇降する。昇降スイッチ55は、例えば、モーメンタリスイッチであり、オペレータが押している間、スイッチON状態となり、該ON状態のときにキャブ19が昇降し、オペレータが押すのを止めると、スイッチOFF状態となり、キャブ19の昇降が停止する。また、昇降スイッチ55は、押す方向によりキャブ19の上昇、下降を選択することが可能となっている。例えば、昇降スイッチ55が水平面に配置されている場合において、昇降スイッチ55を斜め前方向に押し込むとキャブ19は上昇し、斜め後ろ方向に押し込むとキャブ19は下降する等となっている。すなわち、昇降スイッチ55は、上昇スイッチ55Uと下降スイッチ55Dを含み、上昇スイッチ55Uを押している間、キャブ19は上昇し、上昇スイッチ55Uを押すのを止めるとキャブ19の上昇は停止する。また、同様に下降スイッチ55Dを押している間、キャブ19は下降し、下降スイッチ55Dを押すのを止めるとキャブ19の下降は停止する。上昇スイッチ55U、下降スイッチ55DのON/OFF信号は、コントローラ51に出力される。
表示切替スイッチ56は、表示モニタ54に表示させる情報画像をオペレータが切り替えるための操作部である。表示切替スイッチ56は、任意のものでよく、例えば、1つのボタンを押す度に情報画像の種類が切り替わるものでもよいし、情報画像ごとに選択ボタンが設けられているもの等でもよい。また、表示モニタ54がタッチパネルの場合には、表示モニタ54が表示切替スイッチ56を兼ねてもよい。
次いで、本実施形態に係る表示制御装置50が行う表示制御について説明する。
図6は、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50が行う制御フローチャートである。なお、本実施形態において、下記ステップS11でキャブ19の上昇又は下降が検知されたときには、上記(2−1)のカメラ53L、53R、53Bそれぞれにより撮像された画像を結合した周囲画像(以下、結合された周囲画像と呼ぶ)が表示モニタ54に表示されているものとする。
図6を参照するに、まず、作業機械1がイグニッションON(起動)されると、本表示制御が開始される。
ステップS11にて、上昇検知手段51cによりキャブ19の上昇が検知された場合、又は、下降検知手段51dによりキャブ19の下降が検知された場合、ステップS12にて、表示手段51bにより表示モニタ54の表示を上記(1)の下方監視カメラ52により撮像された下方画像(以下、下方画像と呼ぶ)に切り替える。
ステップS11において、上昇検知手段51cは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号によりキャブ19の上昇を検知する。また、下降検知手段51dは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号によりキャブ19の下降を検知する。
ステップS12において、表示手段51bは、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた結合された周囲画像に替えて、下方画像を表示モニタ54に出力し、表示させる。ここで、コントローラ51は、ステップS11で、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像をRAM等に一時記憶させる。本実施形態においては、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像は、結合された周囲画像であったことを記憶させる。
次に、ステップS13にて、上昇停止検知手段51eによりキャブ19の上昇状態からの停止が検知された場合、又は、下降停止検知手段51fによりキャブ19の下降状態からの停止が検知された場合、ステップS14にて、表示モニタ54の表示をステップS11にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像に切り替える。
ステップS13において、上昇停止検知手段51eは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号がOFF信号に替わったことを検知することにより、キャブ19の上昇状態からの停止を検知する。また、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号がOFF信号に替わったことを検知することにより、キャブ19の下降状態からの停止を検知する。
ステップS14において、表示手段51bは、RAM等に一時記憶された、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに表示モニタ54に表示されていた情報画像に基づいて、表示モニタ54の表示を下方画像から該情報画像に切り替える。本実施形態においては、表示モニタ54の表示を下方画像から結合された周囲画像に切り替える。
上記ステップS11〜S14までの表示制御は、作業機械1が起動している間、キャブ昇降装置20によりキャブ19の昇降が行われる度に、行われる。
なお、上記説明においては、上記(2−1)の結合された周囲画像が表示されているときに、キャブ19の昇降操作が行われる場合について述べたが、如何なる情報画像が表示モニタ54に表示されている場合も、上記表示制御は行われる。また、表示モニタ54に何も表示されていない場合や表示モニタ54がOFF状態にあるような場合であっても、上記表示制御が行われるようにしてもよい。
次いで、本実施形態に係る作業機械1、特に、表示制御装置50による作用を説明する。
本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、下降検知手段51dによりキャブ19の下降が検知された場合には、下方画像を表示モニタ54に表示させる。これにより、キャブ19が下降するときには、オペレータは表示モニタ54に自動的に表示されるキャブ19の下方画像を必ず確認することができるため、キャブ19の下方に入り込んでいる人や障害物等を見落とすことがなく、安全性が向上する。
また、本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、上昇検知手段51cによりキャブ19の上昇が検知された場合には、下方画像を表示モニタ54に表示させる。これにより、キャブ19が上昇するときには、オペレータは表示モニタ54に自動的に表示されるキャブ19の下方画像を必ず確認することができるため、キャブ19の下方の状況を把握した上で、高位置での作業が行え、安全性が向上する。
また、本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、下降停止検知手段51fによりキャブ19が下降状態から停止したことが検知されたときに、表示モニタ54の表示を下方画像からキャブ19の下降が下降検知手段51dにより検知されたときに表示されていた情報画像に切り替える。すなわち、キャブ19の下降前に表示されていた情報画像への自動復帰が行われる。これにより、オペレータは、キャブ19が下降状態から停止したときに表示モニタ54の表示を表示切替スイッチ56の操作等により自ら切り替える必要がないため、操作が煩雑にならず、オペレータの負担が軽減し、利便性が向上する。また、オペレータの切り替え忘れによって、例えば、本来結合された周囲画像により死角を確認しながら作業すべきところ、当該確認がなされないまま作業が行われるといったこともなくなるため、安全性も向上する。
また、同様に、本実施形態においては、コントローラ51の表示手段51bは、上昇停止検知手段51eによりキャブ19が上昇状態から停止したことが検知されたときに、表示モニタ54の表示を下方画像からキャブ19の上昇が上昇検知手段51cにより検知されたときに表示されていた情報画像に切り替える。すなわち、キャブ19の上昇前に表示されていた情報画像への自動復帰が行われる。これにより、オペレータは、キャブ19が上昇状態から停止したときに表示モニタ54の表示を表示切替スイッチ56の操作等により自ら切り替える必要がないため、操作が煩雑にならず、オペレータの負担が軽減し、利便性が向上する。また、オペレータの切り替え忘れによって、例えば、本来結合された周囲画像により死角を確認しながら作業すべきところ、当該確認がなされないまま作業が行われるといったこともなくなるため、安全性も向上する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る作業機械1は、コントローラ51の上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された角度センサ33からの信号に基づいて、それぞれの検知を行う点が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明をする。
本実施形態に係る作業機械1の全体概略図は、第1の実施形態と同様に、図1により表される。また、本実施形態に係る作業機械1のキャブ昇降装置20の模式図は、第1の実施形態と同様に、図2により表される。よって、これらの詳細な説明は省略する。
次いで、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50について説明する。
本実施形態に係る表示制御装置50のブロック図は、第1の実施形態と同様に、図3により表される。第1の実施形態においては、説明を割愛したが、表示制御装置50は、角度センサ33を含む。
角度センサ33は、上述したとおり、キャブ昇降装置20の上リンク29の初期位置からの回動角度(以下、単に上リンク29の回動角度と呼ぶ)を検出する。該角度センサ33により検出された該回動角度の信号は、コントローラ51に所定の時間間隔毎に入力される。
次いで、本実施形態に係る表示制御装置50が行う表示制御について説明する。
図6は、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50が行う制御フローチャートであり、第1の実施形態と同様である。
上述の通り、第1の実施形態と異なる部分は、上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された角度センサ33からの信号に基づいて、それぞれの検知を行う点である。
ステップS11において、上昇検知手段51cは、コントローラ51に入力された角度センサ33からの信号に基づいて、キャブ19の上昇を検知する。具体的には、所定の時間間隔毎に入力される上リンク29の回動角度から各時刻の角速度を算出する。角速度は、例えば、キャブ19が上昇する方向の角速度が正、下降する方向の角速度が負となるように算出をする。上昇検知手段51cは、該角速度が略ゼロの状態から正の角速度が算出されたときに、キャブ19の上昇を検知する。また、同様に、下降検知手段51dは、該角速度が略ゼロの状態から負の角速度が算出されたときに、キャブ19の下降を検知する。
また、ステップS13において、上昇停止検知手段51eは、該角速度が正の値から略ゼロになり、かつ、ある一定時間角速度が略ゼロの状態が続いたときに、上昇状態からの停止を検知する。また、同様に、下降停止検知手段51fは、該角速度が負の値から略ゼロになり、かつ、ある一定時間角速度が略ゼロの状態が続いたときに、上昇状態からの停止を検知する。
これらの上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51fを用いることにより、図6に示される表示制御を行うことができる。よって、本実施形態に係る作業機械1についても、第1の実施形態と同様の作用・効果を奏する。
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る作業機械1は、キャブ19の上昇状態からの停止、又は、キャブ19の下降状態からの停止が検知されたとき、表示手段51bが表示モニタ54の表示を所定の情報画像に切り替える点において、第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明をする。
本実施形態に係る作業機械1の全体概略図は、第1の実施形態と同様に図1により表される。また、本実施形態に係る作業機械1のキャブ昇降装置20の模式図は、第1の実施形態と同様に、図2により表される。また、本実施形態に係る表示制御装置50のブロック図は、第1の実施形態と同様に、図3により表される。よって、これらの詳細な説明は省略する。
次いで、本実施形態に係る表示制御装置50が行う表示制御について説明する。
図7は、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50が行う制御フローチャートである
図7を参照するに、まず、第1の実施形態と同様、作業機械1がイグニッションON(起動)されると、本表示制御が開始される。
ステップS31にて、上昇検知手段51cによりキャブ19の上昇が検知された場合、又は、下降検知手段51dによりキャブ19の下降が検知された場合、ステップS32にて、表示手段51bにより表示モニタ54の表示を上記(1)の下方画像に切り替える。
ステップS31において、第1の実施形態と同様、上昇検知手段51cは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号によりキャブ19の上昇を検知する。また、下降検知手段51dは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号によりキャブ19の下降を検知する。
ステップS32において、第1の実施形態と同様、表示手段51bは、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像に替えて、下方画像を表示モニタ54に出力し、表示させる。
次に、ステップS33にて、上昇停止検知手段51eによりキャブ19の上昇状態からの停止が検知された場合、又は、下降停止検知手段51fによりキャブ19の下降状態からの停止が検知された場合、ステップS34にて、表示モニタ54の表示を所定の情報画像に切り替える。
ステップS33において、第1の実施形態と同様、上昇停止検知手段51eは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号がOFF信号に替わったことを検知することにより、キャブ19の上昇状態からの停止を検知する。また、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号がOFF信号に替わったことを検知することにより、キャブ19の下降状態からの停止を検知する。
ステップS34において、表示手段51bは、表示モニタ54の表示を下方画像から所定の情報画像に切り替える。本実施形態においては、所定の情報画像として、上記(2−1)の結合された周囲画像が定められている。表示モニタ54の表示を下方画像から結合された周囲画像に切り替える。また、所定の情報画像は、予めコントローラ51内に設定されたものであってもよいし、オペレータによる設定を可能として、オペレータが設定したものを表示するようにしてもよい。例えば、上昇状態から停止したとき、又は下降状態から停止したときに、作業前に上記(3)の基本情報画像を確認したい場合には、オペレータは、該基本情報画像を所定の情報画像として設定すればよい。該設定に基づいて、表示手段51bは、ステップS34において、下方画像からオペレータが設定した情報画像、すなわち、基本情報画像に切り替える。
上記ステップS31〜S34までの表示制御は、作業機械1が起動している間、キャブ昇降装置20によりキャブ19の昇降が行われる度に、行われる。
なお、表示モニタ54に何も表示されていない場合や表示モニタ54がOFF状態にあるような場合であっても、上記表示制御が行われるようにしてもよい。また、第2の実施形態と同様に、上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された角度センサ33からの信号に基づいて、それぞれの検知を行ってもよい。
次いで、本実施形態に係る作業機械1、特に、表示制御装置50による作用を説明する。なお、第1の実施形態と異なる作用を中心に説明をする。
本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、上昇停止検知手段51eによりキャブ19が上昇状態から停止したことが検知されたとき、又は下降停止検知手段51fによりキャブ19が下降状態から停止したことが検知されたときに、表示モニタ54の表示を下方画像から所定の画像に切り替える。また、上述したように、所定の画像として、結合された周囲画像を予め定めておけば、上昇状態から停止、又は下降状態から停止した後、オペレータが作業を行う前に、必ず結合された周囲画像を確認させることが可能となり、安全性を向上させることができる。また、上述したように、オペレータによる所定の画像の設定を可能とすることにより、キャブ19が上昇状態から停止、又は下降状態から停止した後、オペレータが通常確認したい情報画像を表示切替ボタン56の操作なしに表示モニタ54に表示させることが可能となり、利便性が向上する。
[第4の実施形態]
第4の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る作業機械1は、キャブ19の上昇又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像の種類に応じて、キャブ19の上昇状態からの停止、又は下降状態からの停止が検知されたときに表示モニタ54に表示する情報画像を変える点が第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、異なる部分を中心に説明をする。
本実施形態に係る作業機械1の全体概略図は、第1の実施形態と同様に、図1により表される。また、本実施形態に係る作業機械1のキャブ昇降装置20の模式図は、第1の実施形態と同様に、図2により表される。また、本実施形態に係る表示制御装置50のブロック図は、第1の実施形態と同様に、図3により表される。よって、これらの詳細な説明は省略する。
次いで、本実施形態に係る表示制御装置50が行う表示制御について説明する。
図8は、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50が行う表示制御フローチャートである。
図8を参照するに、まず、第1の実施形態と同様、作業機械1がイグニッションON(起動)されると、本表示制御が開始される。
ステップS41にて、上昇検知手段51cによりキャブ19の上昇が検知された場合、又は、下降検知手段51dによりキャブ19の下降が検知された場合、ステップS32にて、表示手段51bにより表示モニタ54の表示を上記(1)の下方画像に切り替える。
ステップS41において、第1の実施形態と同様、上昇検知手段51cは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号によりキャブ19の上昇を検知する。また、下降検知手段51dは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号によりキャブ19の下降を検知する。
ステップS42において、第1の実施形態と同様、表示手段51bは、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像に替えて、下方画像を表示モニタ54に出力し、表示させる。ここで、コントローラ51は、ステップS41で、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像をRAM等に一時記憶させる。
次に、ステップS43にて、上昇停止検知手段51eによりキャブ19の上昇状態からの停止が検知された場合、又は、下降停止検知手段51fによりキャブ19の下降状態からの停止が検知された場合、ステップS44にて、ステップS41でキャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像が切替忘れ情報画像であるか否かを判定する。ここで、上記(4)の設定画像や(6)のメンテナンス画像等は、作業機械1の作業中に確認される情報画像ではなく、作業の合間等に確認される情報画像である。よって、これらの情報画像を表示モニタ54に表示した状態で、キャブ19の上昇、又は下降の操作が行われた場合には、オペレータは、表示モニタ54の表示を切り替え忘れている可能性が高い。よって、上記設定画像やメンテナンス画像等のように作業機械1の作業の合間に確認することを目的とする画像を切替忘れ情報画像と呼ぶことにする。
ステップS44にて、ステップS41でキャブ19での上昇、又は下降が検知されたときに表示モニタ54に表示されていた情報画像が切替忘れ情報画像であると判定された場合には、ステップS45にて、表示手段51bは、表示モニタ54の表示を下方画像から所定の情報画像に切り替える。所定の情報画像は、作業機械1の作業中に確認される情報画像のうち、予め定められたものである。なお、所定の情報画像に切り替える前に、オペレータへの確認のため、所定の情報に切り替える旨を表示モニタ54に表示するようにしてもよい。また、その際に、当該切替を中止し、切替忘れ情報画像に切り替えることが可能な操作をオペレータが行えるようにしてもよい。
本実施形態においては、所定の情報画像として、上記(2−1)の結合された周囲画像が定められており、ステップS45において、表示手段51bは、表示モニタ54の表示を下方画像から結合された周囲画像に切り替える。また、所定の情報画像は、予めコントローラ51内に設定されたものであってもよいし、オペレータによる設定を可能として、オペレータが設定したものを表示するようにしてもよい。例えば、上昇状態から停止したとき、又は下降状態から停止したときに、作業前に上記(3)の基本情報画像を確認したい場合には、オペレータは、該基本情報画像を所定の情報画像として設定すればよい。該設定に基づいて、表示手段51bは、ステップS45において、下方画像からオペレータが設定した情報画像、すなわち、基本情報画像に切り替える。
ステップS44にて、ステップS41でキャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに表示モニタ54に表示されていた情報画像が切替忘れ情報画像でないと判定された場合には、ステップS46にて、表示モニタ54の表示をステップS41にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた情報画像に切り替える。
ステップS46において、表示手段51bは、RAM等に一時記憶された、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに表示モニタ54に表示されていた情報画像に基づいて、表示モニタ54の表示を下方画像から該情報画像に切り替える。
上記ステップS41〜S46までの表示制御は、作業機械1が起動している間、キャブ昇降装置20によりキャブ19の昇降が行われる度に、行われる。
なお、表示モニタ54に何も表示されていない場合や表示モニタ54がOFF状態にあるような場合であっても、上記表示制御が行われるようにしてもよい。この場合、ステップS41にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に何も表示されていない場合や表示モニタ54がOFF状態にある場合には、ステップS44にて、切替忘れ情報画像と同様とみなせばよい。また、第2の実施形態と同様に、上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された角度センサ33からの信号に基づいて、それぞれの検知を行ってもよい。
次いで、本実施形態に係る作業機械1、特に、表示制御装置50による作用を説明する。なお、第1の実施形態と異なる作用を中心に説明をする。
本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに表示モニタ54に表示されていた情報画像が切替忘れ画像である場合には、キャブ19の上昇状態からの停止、又は下降状態からの停止が検知されたときに、表示モニタ54の表示を下方画像から所定の情報画像に切り替える。これにより、オペレータが表示モニタ54の表示を切り替え忘れている場合に、キャブ19が上昇状態から停止、又は下降状態から停止した後、表示モニタ54の表示を作業機械1の作業中に確認される情報画像に自動的に切り替えられるため、利便性が向上する。また、上述したように、所定の画像として、結合された周囲画像を予め定めておけば、表示モニタ54の表示が切り替え忘れられた場合でも、キャブ19が上昇状態から停止、又は下降状態から停止した後、オペレータが作業を行う前に、必ず結合された周囲画像を確認させることが可能となり、安全性を向上させることができる。また、上述したように、オペレータによる所定の画像の設定を可能とすることにより、キャブ19が上昇状態から停止、又は下降状態から停止した後、オペレータが通常確認したい情報画像を表示切替ボタン56の操作なしに表示モニタ54に表示させることが可能となり、利便性が向上する。
[第5の実施形態]
第5の実施形態について説明をする。
本実施形態に係る作業機械1は、表示モニタ54に情報画像を表示するエリア(表示エリア)を2つ有する点、及びキャブ19の上昇又は下降を検知したときに上記2つの表示エリアのうち、一方に下方画像を表示する点、が第1の実施形態と異なる。
本実施形態に係る作業機械1の全体概略図は、第1の実施形態と同様に、図1により表される。また、本実施形態に係る作業機械1のキャブ昇降装置20の模式図は、第1の実施形態と同様に、図2により表される。よって、これらの詳細な説明は省略する。
次いで、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50について説明する。
本実施形態に係る表示制御装置50のブロック図は、第1の実施形態と同様に、図3により表される。本実施形態において、表示モニタ54が第1の実施形態と異なる。
ここで、図9は、本実施形態に係る表示モニタ54を説明する図である。
図9を参照するに、本実施形態における表示モニタ54は、同時に2つの情報画像を表示することが可能であり、情報画像を表示するエリアを2つ有する。表示モニタの画面を左右に等分した左側の部分を主表示エリア54m、右側の部分を副表示エリア54sとする。また、表示モニタ54の表示を1つの情報画像を表示する場合(1画面表示)と2つの情報画像を表示する場合(2画面表示)とを切り替えることも可能である。なお、本実施形態においては、主表示エリア54mと副表示エリア54sの面積は同じであるが、例えば、主表示エリア54mの面積を大きくしてもよい。また、表示させる情報画像及びその組み合わせに応じて、主表示エリア54mと副表示エリア54sの面積及び配置が変更されるようにしてもよい。
次いで、本実施形態に係る表示制御装置50が行う表示制御について説明する。
図10は、本実施形態に係る作業機械1の表示制御装置50が行う制御フローチャートである。なお、本実施形態において、下記ステップS51でキャブ19の上昇又は下降が検知されたときに、1画面表示で上記(2−1)の結合された周囲画像が表示モニタ54に表示されているものとする。
図10を参照するに、まず、作業機械1がイグニッションON(起動)されると、本表示制御が開始される。
ステップS51にて、上昇検知手段51cによりキャブ19の上昇が検知された場合、又は、下降検知手段51dによりキャブ19の下降が検知された場合、ステップS52にて、表示手段51bにより下方画像を表示モニタ54の副表示エリア54sに表示させる。同時に、ステップS51にて、キャブの上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に1画面表示で表示されていた情報画像、本実施形態においては、結合された周囲画像を表示手段51bにより主表示エリア54mに表示させる。
ステップS51において、第1の実施形態と同様、上昇検知手段51cは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号によりキャブ19の上昇を検知する。また、下降検知手段51dは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号によりキャブ19の下降を検知する。
ステップS52において、表示手段51bは、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた結合された周囲画像に加えて、下方画像を表示モニタ54に出力し、2画面表示で2つの情報画像を表示させる。
次に、ステップS53にて、上昇停止検知手段51eによりキャブ19の上昇状態からの停止が検知された場合、又は、下降停止検知手段51fによりキャブ19の下降状態からの停止が検知された場合、ステップS54にて、表示モニタ54の表示を1画面表示に切り替える。そして、ステップS51にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に1画面表示で表示されていた情報画像を表示させる。
ステップS53において、第1の実施形態と同様、上昇停止検知手段51eは、コントローラ51に入力された上昇スイッチ55UからのON信号がOFF信号に替わったことを検知することにより、キャブ19の上昇状態からの停止を検知する。また、下降検知手段51fは、コントローラ51に入力された下降スイッチ55DからのON信号がOFF信号に替わったことを検知することにより、キャブ19の下降状態からの停止を検知する。
ステップS54において、表示手段51bは、ステップS51にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、表示モニタ54に表示されていた結合された周囲画像の1画面表示に切り替える。
上記ステップS51〜S54までの表示制御は、作業機械1が起動している間、キャブ昇降装置20によりキャブ19の昇降が行われる度に、行われる。
なお、上記ステップS51にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、2画面表示とされている場合についても、上記表示制御を適用してよい。例えば、ステップS51にて、キャブ19の上昇、又は下降が検知されたときに、副表示エリア54sの表示を下方画像に切り替え、ステップS54にて、キャブ19の上昇状態からの停止、又は下降状態からの停止が検知されたときに、副表示エリア54sの表示を元の情報画像に切り替える等すればよい。また、本実施形態においては、副表示エリア54sに下方画像を表示したが、主表示エリア54mに下方画像を表示させてもよい。また、上記説明においては、結合された周囲画像が表示されているときに、キャブ19の昇降操作が行われる場合について述べたが、如何なる情報画像が表示モニタ54に表示されている場合も、上記表示制御は行われてよい。また、第2の実施形態と同様に、上昇検知手段51c、下降検知手段51d、上昇停止検知手段51e、下降停止検知手段51fは、コントローラ51に入力された角度センサ33からの信号に基づいて、それぞれの検知を行ってもよい。
次いで、本実施形態に係る作業機械1、特に、表示制御装置50による作用を説明する。なお、第1の実施形態と異なる作用を中心に説明をする。
本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、下降検知手段51dによりキャブ19の下降が検知された場合には、下方画像を表示モニタ54の一部である副表示エリア54s表示させる。
また、本実施形態において、コントローラ51の表示手段51bは、上昇検知手段51cによりキャブ19の上昇が検知された場合には、下方画像を表示モニタ54の一部である副表示エリア54sに表示させる。
また、本実施形態においては、コントローラ51の表示手段51bは、下降停止検知手段51fによりキャブ19が下降状態から停止したことが検知されたときに、表示モニタ54の表示を1画面表示に切り替え、キャブ19の下降が検知されたときに表示されていた情報画像を表示させる。すなわち、キャブ19の下降前に表示されていた情報画像の1画面表示への自動復帰が行われる。
また、同様に、本実施形態においては、コントローラ51の表示手段51bは、上昇停止検知手段51eによりキャブ19が上昇状態から停止したことが検知されたときに、表示モニタ54の表示を1画面表示に切り替え、キャブ19の上昇が検知されたときに表示されていた情報画像に切り替える。すなわち、キャブ19の上昇前に表示されていた情報画像の1画面表示への自動復帰が行われる。
上記作用により、本実施形態に係る作業機械1は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した各実施形態において、特に言及はしなかったが、下方監視カメラ52は、常時電源ON状態であってもよいし、下方画像が表示モニタ54に表示される場合に電源ON状態になるように制御されていてもよい。また、周囲監視カメラ53についても同様である。
また、上述した各実施形態において、作業機械1は、平行リンク機構21を用いたキャブ昇降装置20を有するが、他の形式のキャブ昇降装置が用いられても良い。例えば、スライド機構を用いて、キャブ19が上下方向に直線的に昇降するキャブ昇降装置であってもよい。この場合、上述した第2の実施形態においては、スライド機構の移動ストロークを検出することが可能なストロークセンサ等をスライド機構に設けるとよい。該ストロークセンサよりキャブ19が最低位置にある場合からの上方向の移動量を検出することができるため、キャブ19の上下方向の移動速度を算出することが可能である。これに基づき、キャブ19の上昇、又は下降の検知、及び上昇状態からの停止、又は下降状態からの停止の検知を行うことが可能となる。
また、上述した各実施形態においては、昇降スイッチ55によるキャブ19の昇降操作に何ら制約はないが、安全性の観点等からキャブ19の昇降を行うためには、別途、昇降を許可するためのスイッチ(以下、許可スイッチと呼ぶ)等を操作する必要がある作業機械についても、上記各実施形態の表示制御を適用することができる。例えば、コントローラ51を許可スイッチからの信号が入力されるように構成し、下降検出手段51dは、許可スイッチからのON信号(昇降許可信号)が検知され、かつ、下降スイッチのON信号を検出した場合に、キャブ19の下降を検知すればよい。上昇検知手段51cについても同様である。
また、上述した各実施形態においては、キャブ19の上昇、又は下降のいずれかを検知した場合、下方監視カメラ52により撮像された画像を表示モニタ54に表示させたが、安全確認の重要度が高い下降時のみ表示させる等してもよい。