図1は、本発明に係る耕耘装置を備えた歩行型耕耘機を示す全体側面図である。以下の説明において、前後位置関係を示す「前」なる語句は、作業機の走行方向で前進側を表現しており、「後」なる語句は後進側を表現している。
図1に示すように、歩行型耕耘機は、エンジン2を支持するエンジンフレームや変速装置10のハウジングなどから構成される機体フレーム1と、この機体フレーム1を対地支持する左右一対の走行車輪11とを備えている。エンジン2は、機体の前方に配置され、変速装置10はエンジン2の後方斜め下に延びている。エンジン2の後方で変速装置10の上方に燃料タンク4が配置されている。機体フレーム1の後端にはロータリ耕耘装置9(本発明に係る耕耘装置に相当する)が連結されている。
エンジン2の出力は、図示されていないベルト式動力伝達機構及び主クラッチを経て変速装置10に伝達され、変速装置10で前進2速・後進1速に変速された動力は、ディファレンシャル機構を経て左右車軸12に伝達され、走行車輪11を駆動する。また、変速装置10からの分岐出力(PTO出力)がロータリ耕耘装置9に伝達される。主クラッチも図示されていないが、例えば、ベルト式動力伝達機構の出力プーリと入力プーリとにわたって巻回された伝動ベルトを緊張する状態と弛緩する状態とに切換操作可能なテンションプーリによって構築することができる。
機体フレーム1の後端にはさらにロータリ耕耘装置9の上方を斜め上に延びるハンドルポスト51が固定されている。ハンドルポスト51の先端部に操縦ハンドル5が横断方向水平に延びた揺動軸53を介して前方揺動姿勢と後方揺動姿勢との間で搖動可能に支持されている。前方揺動姿勢における操縦ハンドル5は、図1において一点鎖線で示すように、変速装置10、燃料タンク4、エンジン2の上方をほぼ水平に前方側に延びており、その際の機体前後方向の先端位置は機体フレーム1ないしはエンジン2の先端位置とほぼ同一となっている。後方揺動姿勢における操縦ハンドル5は、ハンドルポスト51から後方上方へ向けて延びており、機体前後方向の先端位置はロータリ耕耘装置9より後方に位置している。なお操縦ハンドル5は、後方揺動姿勢において複数または任意の調整揺動角度位置に設定することができ、操縦歩行者の体型に適合させることができる。
図2に示すように、操縦ハンドル5は、全体としてU字状に折り曲げられたロッド体であり、左右の自由端が左基端部5aと右基端部5cとして形成されている。左基端部5aとつながっている左延長部5bと、右基端部5cとつながっている右延長部5dとは、互いの間隔をほぼ機体幅まで広げながら延び、さらに平行となって延び、機体幅方向に延びた接続部5eによって連結されている。左延長部5bと右延長部5dにわたって接続部5eと平行に延びるクラッチ操作レバー81が操縦ハンドル5の上方部に設けられている。さらに、右延長部5dには、アクセル操作具82、デフロック操作レバー84、PTO入り切りボタン85が設けられている。変速装置10に備えられている変速用のシフトギヤを操作する変速操作レバー83は、変速装置10から後方上方に、左基端部5aと右基端部5cとの間を、操縦ハンドル5を操作する歩行者によって操作し易い位置まで延びている。
機体フレーム1の前端にはフロントガード7aが設けられている。このフロントガード7aは、U字状に折り曲げられた棒材からなる。フロントガード7aの左右の開放端が機体フレーム1の前端に固定され、エンジン2の前方を保護するように立ち上がっている。
図1及び図2に示されているように、ハンドルポスト51の先端領域に操縦ハンドル5を連結するため、ハンドルポスト51の先端に板状の受けブラケット52が固定されている。この受けブラケット52の上面には、揺動軸53を回転可能に支持するボス部材55が固定されている。揺動軸53のボス部材55から外側に突き出た部分に、操縦ハンドル5の左・右基端部5a、5cが取り付けられている。この構成により、操縦ハンドル5は揺動軸53周りで機体フレーム1の前方側に延びる搬送姿勢ないしは収納姿勢である前方揺動姿勢と歩行作業姿勢である後方揺動姿勢とに揺動可能となる。操縦ハンドル5の所定の揺動位置でのロックは、ロックノブ54を用いたねじ締め機構によって行われる。図2に示すように、揺動軸53とボス部材55は上方からカバー56によって覆われている。このカバー56には、変速操作レバー83との干渉を避けるために機体前後方向に延びる湾曲凹部が形成されている。
ハンドルポスト51の後部に取手部材7bが設けられている。ハンドルポスト51に固定された受けブラケット52の下面に、取手部材7bが取り付けられている。この取手部材7bは、矩形環から一部を切り落としたような外観を有する、ロッドをU字状に折り曲げたロッド部材である。つまり、図3に示すように、取手部材7bは、自由端部である固定部70と、ロープフック及び持ち上げグリップとして機能する作用部71と、固定部70と作用部71とを接続する接続部72とからなる。受けブラケット52の下面に固定部70が溶接されており、そこから後方に延びる接続部72の長さによって作用部71が受けブラケット52の後端から離れることになる。この取手部材7bがロープフックとして、あるいは持ち上げグリップとして使い易くされている。しかも、図1及び図3に示すように、取手部材7bは、使用状態である後方揺動姿勢での操縦ハンドル5によって上方から覆われている。そして、図1の一点鎖線で示すように、搬送状態である前方揺動姿勢に操縦ハンドル5が搖動して折りたたまれることにより、操縦ハンドル5に邪魔されずに取手部材7bは現出し、その際、その上方がフリー空間となっている。これにより、作用部71にロープを掛ける作業や、作用部71を握ってこの歩行型耕耘機を持ち運ぶ作業が容易になる。図2に示すように、操縦ハンドル5の左基端部5aと右基端部5cとの間の距離は取手部材7bの機体横断方向の幅よりも小さくなっている。これにより、操縦ハンドル5が後方へ揺動していくと、左基端部5aと右基端部5cとが取手部材7bに接当して、それ以上の揺動が阻止される。つまり、取手部材7bは、操縦ハンドル5の後方揺動姿勢への揺動変位の限界位置を決める搖動ストッパとしても機能する。
図1〜図4に示すように、エンジン2、燃料タンク4、変速装置10の上方は機体カバー3によって覆われている。この機体カバー3は、エンジン2の上部前領域を覆うフロントカバー3aと、タンクカバーとしても機能するトップカバー3bと、変速装置10を覆う斜め下がり姿勢のリアカバー3cとを備えている。フロントカバー3aは、エンジン2の前側上端領域を覆うスカート部を備えている。フロントカバー3aの後端縁31aはトップカバー3bの前端縁31bとほぼ突合せ状態となっている。タンクカバーでもあるトップカバー3bの後領域には、図3及び図4に示すように、燃料タンク4の給油筒部42と給油キャップ40とが通り抜けられる貫通孔32が形成されている。リアカバー3cは、トップカバー3bとの接続領域に切り欠き開口が設けられており、トップカバー3bとリアカバー3cとの間に横長に延びた覗き窓30が形成されている。さらに、リアカバー3cには、変速操作レバー83の挿通及び操作変位を許す矩形の開口37が設けられている。
図4に示すように、燃料タンク4は、ほぼ直方体形状のタンク本体41と、円筒状の給油筒部42と、タンク本体41と給油筒部42とをつなぐ筒基部44とからなる。筒基部44は、カバー保持部45と凹み溝44aとからなる。カバー保持部45は、給油筒部42に対する大径の段部として形成されており、その側壁面は、トップカバー(タンクカバー)3bの貫通孔32の周縁部と嵌合するための嵌合面として機能する。凹み溝44aは、カバー保持部45を取り巻くように形成された環状湾曲面によって作り出されており、タンク本体41につながる。この凹み溝44aの後側の一部が浅くなっており、この部分は凹み溝44aに溜まった燃料や雨水を排出する逃がし口44bとして機能する。給油筒部42の開口は給油口42aとして機能し、インナーキャップ40aを内装した給油キャップ40によってねじ締め密閉される。
タンク本体41の側壁は、前壁41aと左側壁41bと右側壁41cと後壁41dとからなる。前壁41aの左右両側には固定用の取付部46が突起片として形成され、その中央に取付孔46aが設けられている。後壁41dは、図4に示すように、略三角形状の突出側面43aが形成されている分だけ後方に突出した形状となっている。この後壁41dの後方突出形状により、後壁41dの下半分に後方突出面43が形成される。このタンク本体41は半透明樹脂によって作られているので、この後方突出面43は、燃料の残量を確認することを可能にする残量表示面として機能する。また、この後方突出面(残量表示面)43の両側に位置する突出側面43aは、ここから光が入ることで、残量表示面を通じての燃料の視認性を向上させる。
燃料タンク4は、燃料タンク4の底面に沿って屈曲している板状のタンクブラケット15に載置され、取付部46の取付孔46aを用いてこのタンクブラケット15にボルト連結されている。タンクブラケット15はその前端を前ステー13aに連結され、その後端を後ステー13bに連結されている。前ステー13aは、エンジン2に取り付けられた複数の脚部と、この脚部に支持されてエンジン上方をほぼ水平に延びる水平部とからなる。後ステー13bは、その下端を機体フレーム1に固定され、斜め上方に延びた左右一対の板材からなり、その上端にタンクブラケット15が固定されている。この左右一対の板材の上縁同士が板状の変速案内パネル14によって接続されている。変速案内パネル14には変速操作レバー83が挿通かつ操作変位可能な変速案内溝14aが形成されている。なお、後ステー13bと変速案内パネル14とは、曲げ加工などによって一体的に製作することも可能である。
燃料タンク4のタンク本体41を覆うタンクカバーであるトップカバー3bの後領域には、下方に凹んだ略円形の窪み33が形成されている。この窪み33の中央には、燃料タンク4の給油筒部42及び給油キャップ40がトップカバー3bの上方に突き出ることを許す貫通孔32が形成されている。この貫通孔32の周縁部は、水平突起34として形成されており、この水平突起34に弾性を有する円環状のグロメット35が装着されている。グロメット35の外周面には周溝が形成され、この周溝に水平突起34が嵌入している。したがって、実質的な貫通孔32の直径はグロメット35の内周径である。このため、グロメット35の内周径が、燃料タンク4の給油キャップ40と給油筒部42の外径より大きくなっている。これにより、給油キャップ40を装着した燃料タンク4を固定したままでも、貫通孔32は給油キャップ40を通り抜けることができるので、トップカバー3bの取り外しが可能である。
カバー保持部45の側面には環状溝45aが設けられており、この環状溝45aにグロメット35の内周面が入り込むことにより、トップカバー3bの後部は、燃料タンク4に保持される。つまり、このグロメット35はカバー保持部45に対するトップカバー3bの被保持部として機能している。また、水平突起34には、対向する2か所にグロメット35によって塞がれない貫通スリットである逃がし孔34aが形成されており、こぼれた燃料等は、この逃がし孔34aを通じて下に逃がすことができる。
トップカバー3bの前部には、その裏面から突出した係合部38bが設けられている。この係合部38bは、前ステー13aの水平部に設けられた被係合部38aに係脱自在に係合する。係合部38bと被係合部38aは、バナナプラグとソケットのような弾性を有する連結金具である。このような連結金具はワンタッチ係合が可能である。また、トップカバー3bの重量で係合が保持される。このような連結金具による係合により、トップカバー3bの前部は、前ステー13aに保持される。このようなトップカバー3bの取付構造により、トップカバー3bは、燃料タンク4が固定されたままで、トップカバー3bだけが、簡単に取り外すことができ、再び取り付けることができる。
図3及び図4に示すように、トップカバー3bとリアカバー3cとは、覗き窓30を作り出すように接続している。トップカバー3bの後端縁31cは、燃料タンク4の後方に突出した後壁41dの上部だけを覆うように形成されている。また、リアカバー3cの前端縁36の中央には覗き窓30を形成するために、燃料タンク4の後壁41dに形成されている残量表示面(後方突出面)43の下端に対応するまでの深さを持った矩形状の切欠きが設けられている。この切欠きによりリアカバー3cの前端縁36には窓縁36aが形成され、この窓縁36aとトップカバー3bの後端縁31cとによって、燃料タンク4の残量表示面(後方突出面)43を露出させる覗き窓30が作り出されている。さらに、窓縁36aは、燃料タンク4の後壁41dに設けられた突出側面43aも露出させる形状寸法を有している。リアカバー3cに設けられ、変速案内パネル14を露出させている開口37が覗き窓30の下方に隣接して設けられている。変速案内パネル14には変速案内溝14aが形成されており、変速案内溝14aにおける変速操作レバー83の位置により操縦者は変速位置を把握する。このことから、操縦者が頻繁に注目する変速案内パネル14の露出位置のすぐ近くに覗き窓30を通じて露出している燃料タンク4の残量表示面を存在することから、操縦者は自然と燃料残量を注目することになる。また、覗き窓30と燃料タンク4の給油口42aとは接近して配置されているので、給油口42aに燃料を注ぎながら覗き窓30を通じて燃料のレベルを目視することができる。
図1に示すように、ロータリ耕耘装置9は、右及び左側に延出された耕耘爪軸91と、その耕耘爪軸91に取り付けられて回転駆動されるロータリ耕耘爪92(耕起ロータに相当する)と、接地抵抗体93と、ロータリ耕耘爪92の上部を覆う耕耘ロータカバー94(カバーに相当する)と、畝成形体95と、整地体96とを備えている。
以下、図5〜図10に基づいて、ロータリ耕耘装置9について説明する。右及び左の耕耘爪軸91及びロータリ耕耘爪92は、通常は正転方向に回転駆動されるが、逆転方向にも回転駆動可能に構成されている。図5に示すように、耕耘ロータカバー94は、半円筒状の天井部94aと、その天井部94aの右及び左側部に連結された扇形状の横壁部94bとが備えられ、右及び左の耕耘爪軸91及びロータリ耕耘爪92の上方を覆うように構成されている。
図9及び図10に示すように、ロータリ耕耘装置9には、耕耘ロータカバー94や接地抵抗体93を支持するために、第1支持体101、第2支持体102、第3支持体103等が備えられている。変速装置10から斜め後方下方に延びる伝動ケース100には、後方に延出された第1支持体101が固定されており、その第1支持体101の後端部に耕耘ロータカバー94の横幅方向に延びる板状の第2支持体102が固定されている。この第2支持体102に耕耘ロータカバー94の内壁部が固着されている。第2支持体102の後端部には、縦向き姿勢の第3支持体103が固定されており、この第3支持体103は、幅狭の角パイプ状に形成されている。そして、第3支持体103は、第2支持体102の開口部、及び、耕耘ロータカバー94における天井部94aの開口部を上下方向に貫通するように配設されている。接地抵抗体93は、縦向き姿勢の第3支持体103を貫通する状態で耕耘ロータカバー94よりも上方側から下方側に亘って延びるように備えられている。接地抵抗体93を第3支持体103に固定するための固定ピン104を支持する第4支持体105が備えられ、接地抵抗体93に備えられた固定孔93aと第3支持体103に備えられた固定孔に固定ピン104を挿入することで、接地抵抗体93を第3支持体103に固定している。
接地抵抗体93は細長い棒状に構成されている。接地抵抗体93の上部には、その長手方向に沿って、複数個の固定孔93aが開口されており、接地抵抗体93の下方側部位は、後方側に延びるように湾曲されている。接地抵抗体93は、圃場面(地面)に接地してロータリ耕耘装置9の圃場面に対する高さを設定している。つまり、接地抵抗体93の下端が圃場面に接地することにより、ロータリ耕耘装置9の圃場面に対する高さが決められる。そして、固定ピン104を挿入させる固定孔93aを変更することにより、ロータリ耕耘装置9の圃場面に対する高さを変更することができるようになっている。
畝成形体95は、図6、図9及び図10に示すように、可撓性を有するゴム板等により構成されており、ロータリ耕耘爪92の後部に垂れ下がるように耕耘ロータカバー94の後端部に連結されている。図5及び図6に示すように、畝成形体95は、横幅が耕耘ロータカバー94の横幅と略同一に形成された上方側部位95aと、横幅が耕耘ロータカバー94の横幅よりも幅狭に形成された下方側部位95bとを備えている。下方側部位95bの横幅方向の両端部は、下方側ほど幅狭となるように傾斜状に形成されている。上方側部位95aの上端部が、ボルトの締結により耕耘ロータカバー94の後端部に固着されている。
畝成形体95の後方側で横幅方向中央部には、畝成形体95の後方側への移動を規制する板金製の規制体106が備えられている。規制体106は、畝成形体95の横幅方向に幅を有する板金の板状体にて構成されており、ボルト締結により畝成形体95の後面部に固定されている。規制体106は、畝成形体95の横幅方向の中央部で、上下方向で畝成形体95の中間部から下端部に亘って配置されている。規制体106は、その上端部から下方側に延びる幅狭部位106aと、その幅狭部位106aから下端部まで延びる幅広部位106bと備えており、幅狭部位106a及び幅広部位106bの横幅方向の中央が畝成形体95の横幅方向の中央と同一位置として、左右対称となるように備えられている。幅広部位106bの横幅方向の両端部は、下方側ほど幅狭となる傾斜状に形成されている。規制体106の横幅方向の中央部には、U字型のフック部材97が上下揺動自在に備えられている。
ここで、接地抵抗体93と畝成形体95とは連結自在に構成されているので、この構成について説明する。図6、図9及び図10に示すように、接地抵抗体93の下端部には、畝成形体95の畝成形体用被係止部107を係止自在な畝成形体用係止部93bが形成されている。畝成形体用係止部93bは、上方側が開放されて前方側から後方側に凹入させて凹入溝を形成して、後方側から前方側に延びるフック状に形成されている。また、接地抵抗体93の下端部には、耕耘ロータカバー94の横幅方向で畝成形体用係止部93bよりも幅広となる板状の幅広部93cが備えられている。畝成形体用被係止部107は、規制体106の下端側部位に形成された開口部107aを備えており、その開口部107aの下方側で規制体106の下端部に切欠部107bが備えられている。畝成形体95の下端中央部には、上方側に切り欠いた切欠部95cと、その切欠部95cから上方側に切り込んだ切込部95dを備えている。この切欠部95cと切込部95dによって、畝成形体95において規制体106の開口部107aに相当する位置が開口となるように構成されている。そして、接地抵抗体93の畝成形体用係止部93bを、畝成形体用被係止部107における規制体106の開口部107a及び畝成形体95においてその開口部107aに相当する位置を貫通させて係止させることで、接地抵抗体93と畝成形体95とを係止連結している。このように係止連結することで、接地抵抗体93によって、畝成形体95の後方側への移動を規制するようにしている。
整地体96は、図6及び図9に示すように、畝成形体95の後方に配置されており、ロータリ耕耘爪92の後部に垂れ下がるように耕耘ロータカバー94の後端部で下向きにその上端が固着されている。整地体96は、耕耘ロータカバー94の後端部を連結箇所として折り曲げ弾性変形自在な板体からなっている。整地体96は、耕耘ロータカバー94よりも下方側でロータリ耕耘爪92の後部に垂れ下がる下方揺動姿勢(図7及び図9参照)と耕耘ロータカバー94の上方側に揺動させた上方揺動姿勢(図8及び図10参照)とに耕耘ロータカバー94の後端部を揺動支点として揺動自在に備えられている。
整地体96は、第1板体110と、その第1板体110の下端部に連結されて弾性変形不能な第2板体111とから構成されている。第1板体110及び第2板体111は、その横幅が耕耘ロータカバー94の横幅と略同一に形成されている。第1板体110は、矩形状のゴム板等により構成されており、折り曲げ弾性変形自在に構成されている。第2板体111は、金属性の板金等により構成されており、折り曲げ弾性変形不能に構成されている。第2板体111の下端部位は、後方側から前方側に延びるように屈曲されており、その下端部には、鋸歯状の整地部111aが形成されている。
上述の如く、畝成形体95の上端部が耕耘ロータカバー94の後端部に固着されており、整地体96の上端部も耕耘ロータカバー94の後端部に固着されている。そこで、図6に示すように、畝成形体95と整地体96は、耕耘ロータカバー94の前後方向で重ね合わせるように上端部が耕耘ロータカバー94の後端部に取り付けられている。つまり、耕耘ロータカバー94の後端部に畝成形体95の上端部を当接させ、その畝成形体95の上端部に整地体96の上端部を当接させて、畝成形体95の上端部位と整地体96の上端部位とが当接するように重ね合わせてボルト締結により、耕耘ロータカバー94の後端部に固着されている。このように取付する際に、整地体96の上端部に押し当て部材112を当接させており、畝成形体95の上端部に形成された取付孔と整地体96の上端部に形成された取付孔と押し当て部材112に形成された取付孔の夫々に挿通させたボルトの締結により、耕耘ロータカバー94の後端部に畝成形体95と整地体96と押し当て部材112を取り付けている。押し当て部材112は、耕耘ロータカバー94の横幅の全長に亘る長尺板状に形成されており、畝成形体95の上端部位及び整地体96の上端部位の横幅方向の全長に亘るように備えられている。畝成形体95と整地体96との上下方向での配置関係は、図9に示すように、整地体96の第2板体111における整地部111aが畝成形体95よりも下方側に突出する状態で備えられている。
整地体96は、下方揺動姿勢と上方揺動姿勢とに揺動自在に備えられており、均平作業を行う場合は、整地体96を下方揺動姿勢とし、畝立作業を行う場合は、整地体96を上方揺動姿勢としている。そして、図5、図8及び図10に示すように、整地体96を上方揺動姿勢とした場合に、整地体96を上方揺動姿勢に保持するために、お互いに係合自在な係止部113と被係止部114とが備えられている。この実施形態では、係止部113が耕耘ロータカバー94側に備えられ、被係止部114が整地体96側に備えられている。
係止部113は、固定ピン104を支持する第4支持体105を折り曲げて一体形成されている。係止部113は、耕耘ロータカバー94の前後方向に沿って後方側に延びる第1延設部113aと、その第1延設部113aの後端部から上下方向に沿って上方側に延びる第2延設部113bとを備えたL字型のフック状の係合部にて形成されている。被係止部114は、整地体96に形成された貫通孔にて構成されている。そして、第1板体110の下端部と第2板体111の上端部とを重ね合わせ、その重ね合わせた部位をボルト締結することで、第1板体110の下端部に第2板体111を連結していることから、その重ね合わせた部位に被係止部114を形成することで、被係止部114が上下方向で第1板体110と第2板体111とに亘るように形成されている。第1板体110の下端中央部には、貫通孔114aが形成されており、第2板体111の上端中央部には、上方側を開放した切欠部114bが形成されている。この貫通孔114aと切欠部114bとによって、第1板体110の下端部と第2板体111の上端部とを重ね合わせた部位に被係止部114である貫通孔を形成している。
このようにして、整地体96を上方揺動姿勢とした場合に、フック状の係止部113を、貫通孔の被係止部114に貫通させた状態で係合させることで、整地体96を上方揺動姿勢に係止するようにしている。上方揺動姿勢とした場合には、折り曲げ弾性変形自在な第1板体110によって、下方揺動姿勢への弾性の戻り力が作用するので、係止部113の第2延設部113bが整地体96に当接する力が作用し、被係止部114と係止部113との係合を保持し易く、上方揺動姿勢への保持を適切に行うことができる。
図5及び図10に示すように、係止部113と被係止部114との係合により整地体96を上方揺動姿勢に係止している状態において、整地体96の上端側部位には、畝成形体95の後上端側部位に後方側から当接する当接部位96aを有している。当接部位96aは、折り曲げ弾性変形自在な第1板体110に存在しているので、当接部位96aには下方揺動姿勢への弾性の戻り力が作用している。これにより、整地体96を上方揺動姿勢とした場合に、整地体96の当接部位96aにて畝成形体95の後上端側部位に対して当接して前方側に押圧する力を作用させることができ、畝成形体95の後方側への移動を適切に規制することができる。
(均平作業)
均平作業を行う場合には、整地体96の姿勢について、図7及び図9に示すように、耕耘ロータカバー94よりも下方側でロータリ耕耘爪92の後部に垂れ下がる下方揺動姿勢としている。機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置9において、右及び左の耕耘爪軸91及びロータリ耕耘爪92を正転方向に回転駆動することにより、耕起された土が畝成形体95の前面に受け止められ、その受け止められた土が畝成形体95及び畝成形体95の後方側に位置する整地体96によって押し固められて均平面が形成される。
(畝立作業)
畝立作業を行う場合には、整地体96の姿勢について、図8及び図10に示すように、耕耘ロータカバー94の上方側に揺動させた上方揺動姿勢としており、係止部113と被係止部114との係合により整地体96を上方揺動姿勢に係止している。機体の前進に伴い、ロータリ耕耘装置9において、右及び左の耕耘爪軸91及びロータリ耕耘爪92を正転方向に回転駆動することにより、耕起された土が畝成形体95の前面に受け止められる。ここで、図10において、規制体106の横幅方向の両端部と耕耘ロータカバー94に対する畝成形体95の連結箇所における横幅方向の両端部とを結ぶ仮想線Tを折れ曲がり線とし、畝成形体95の一方及び他方の側部部位が斜め後方に折れ曲がる状態となって弾性変形する。よって、規制体106の下辺部、及び、畝成形体95の下辺部の横幅方向中央部によって耕起された土が押し固められて畝の底部が成形されるとともに、畝成形体95が仮想線Tを折れ曲がり線として折れ曲がることで、耕起された土が押し固められて畝の側部が成形されることになる。そして、図10に示すように、上方揺動姿勢とされた整地体96は、その上端が耕耘ロータカバー94の後端部に固着されているので、その上端から下方側に連続する部位が折り曲げ弾性変形しながら上方側に揺動されることになる。よって、整地体96の全体が耕耘ロータカバー94の上方側に位置するのではなく、整地体96の上端側部位には、畝成形体95の後上端側部位に後方側から当接する当接部位96aが存在することになる。これにより、整地体96の当接部位96aにて畝成形体95の後上端側部位に対して当接して前方側に押圧する力を作用させることができ、畝成形体95の後方側への移動を適切に規制することができる。また、畝成形体95は、接地抵抗体93と規制体106との連結によっても、後方側への移動が規制されている。このように、畝成形体95の後方側への移動が規制されているので、畝成形体95にて耕起された土を十分に押圧することができ、適切な形状の畝を成形することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、畝成形体95と整地体96を重ね合わせて耕耘ロータカバー94の後端部に取り付けることで、整地体96の上方側部位に当接部位96aを有している。これに代えて、例えば、畝成形体95と整地体96を多少の間隔を隔てて耕耘ロータカバー94の後端部に取り付けることもできる。
(2)上記実施形態では、整地体96を第1板体110と第2板体111とから構成している。これに代えて、例えば、第1板体110のみから整地体96を構成することもできる。
(3)上記実施形態では、係止部113をフック状の係合部から構成し、被係止部114を貫通孔にて構成している。これに代えて、例えば、逆に、係止部113を貫通孔とし、被係止部114をフック状の係合部とすることもできる。また、係止部113と被係止部114の組み合わせについては、フック状の係合部と貫通孔に限られるものではなく、その他の形状の係止部及び被係止部を採用することもできる。
(4)上記実施形態では、被係止部114を上下方向で第1板体110と第2板体111とに亘るように形成している。これに代えて、被係止部114の形成箇所が第1板体110又は第2板体111のみとなるように形成することもできる。