以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、本発明の換気装置を、車室内の温度調整を行うためのHVAC(Heating,Ventilation,and Air-Conditioning)システムに適用したものである。図1は、本実施形態におけるHVACシステムの構成図である。図2は、条件判断処理を示すフローチャートである。図3は、第1換気制御処理を示すフローチャートである。図4は、第2換気制御処理を示すフローチャートである。図5は、第3換気制御処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、前後方向は、車両の進行方向に対する各方向を示す。
図1に示すように、本実施形態のHVACシステム1は、通気機構13と3つのダンパ26,29,32と3つのブロア35,38,41と冷暖房機構44と各種スイッチ47とガスセンサ48と圧力センサ49と制御ユニット50とを備える。本実施形態のHVACシステム1が搭載される車両2は、キャブ3と荷台(図示省略)とを有する貨物車両である。
キャブ3は、略箱形状であり、前部にフロントウインドウパネル4が設けられ、内部のフロントウインドウパネル4の下方に、車幅方向に延びてキャブ3の内部を車室5と機器類収容空間6とに区画するインストルメントパネル7が設けられている。インストルメントパネル7には、内周面が空気の流路を区画し、機器類収容空間6と車室5とを連通する複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔には、複数の吹き出し口8と導入口9とが含まれる。複数の吹き出し口8には、少なくとも、車幅方向の中央及び両端の上方に配置される3つのベント吹き出し口が含まれる。導入口9は、下方に配置される。また、キャブ3には、内周面が空気の流路を区画する第1〜第3貫通孔10〜12が形成されている。第1貫通孔10は、前部のフロントウインドウパネル4の下方に配置され、機器類収容空間6とキャブ3の外部とを連通する。第2貫通孔11は、後部に配置され、車室5とキャブ3の外部とを連通する。すなわち、第2貫通孔11の内周面が区画する空気の流路は、車室5の内外を連通する第2の通気路として機能する。第3貫通孔12は、上部に配置され、車室5とキャブ3の外部とを連通する。すなわち、第3貫通孔12の内周面が区画する空気の流路は、車室5の内外を連通する第3の通気路として機能する。
通気機構13は、収容ケース14と外気導入用ダクト23と内気導入用ダクト24と流出用ダクト25とによって構成され、機器類収容空間6内に設けられる。
収容ケース14は、中空部材であり、内周面が空気の流路を区画する。収容ケース14には、第1流入口15と第2流入口16と複数の流出口17とが形成されている。第1流入口15と第2流入口16とは、略矩形状で略同じ大きさであり、互いに隣接して形成されている。複数の流出口17は、インストルメントパネル7に形成された吹き出し口8と同数設けられる。また、収容ケース14には、流路区画部材18と流路切り替えダンパ19とが設けられている。流路区画部材18は、板状部材であり、空気の流れ方向に沿って設けられ、流路の一部を第1流路と第2流路とに区画する。流路切り替えダンパ19は、ダンパ板20とモータ21とを有する。ダンパ板20は、板状部材であり、流路区画部材18の第1流入口15及び第2流入口16側の一端に、縁部の1つを回転中心として、第1流路を開放して第2流路を閉止する第1流路全開位置と第1流路を閉止して第2流路を開放する第2流路全開位置との間を回転自在な状態で設けられる。モータ21は、各ブロア35,38,41及び各ダンパ19,26,29,32へ所望の電力を供給する電力供給部22から電力が供給されたとき、ダンパ板20を電流の向きに応じた回転方向へ回転させて第1流路全開位置と第2流路全開位置との間の何れかの位置に配置させる。
外気導入用ダクト23は、管状部材であり、内周面が空気の流路を区画する。外気導入用ダクト23は、一端がキャブに形成された第1貫通孔10に接続され、他端が収容ケース14に形成された第1流入口15に接続されている。
内気導入用ダクト24は、管状部材であり、内周面が空気の流路を区画する。内気導入用ダクト24は、一端がインストルメントパネル7に形成された導入口9に接続され、他端が収容ケース14に形成された第2流入口16に接続されている。
流出用ダクト25は、管状部材であり、内周面が空気の流路を区画する。流出用ダクト25は、収容ケース14に形成された流出口17と同数設けられ、それぞれ、一端が流出口17の1つに接続され、他端がインストルメントパネル7に形成された吹き出し口8の1つに接続されている。
3つのダンパは、内外気切り替えダンパ26と排気ダンパ29と給排気ダンパ32とである。
内外気切り替えダンパ26は、ダンパ板27とモータ28とを有する。ダンパ板27は、収容ケース14に形成された第1流入口15及び第2流入口16と略同じ形状及び大きさの板状部材である。ダンパ板27は、収容ケース14内の第1流入口15と第2流入口16との間に、縁部の1つを回転中心として、第1流入口15を開放して第2流入口16を閉止する第1位置と第1流入口15を閉止して第2流入口16を開放する第2位置との間を回転自在な状態で設けられる。モータ28は、電力供給部22から電力が供給されたとき、ダンパ板27を電流の向きに応じた回転方向へ回転させて第1位置又は第2位置に配置させる。ダンパ板27の回転方向は、電流の向きが正方向の場合には、第2位置から第1位置へ向かう方向であり、電流の向きが逆方向の場合には、第1位置から第2位置へ向かう方向である。
ダンパ板27が第1位置に配置されると、第1貫通孔10、外気導入用ダクト23、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路が連通され、第1貫通孔10、外気導入用ダクト23、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8は、車室5とキャブ3の外部とを連通する。この場合、第1貫通孔10、外気導入用ダクト23、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路は、車室5の内外を連通する第1の通気路として機能する。
一方、ダンパ板27が第2位置に配置されると、導入口9、内気導入用ダクト24、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路が連通され、導入口9、内気導入用ダクト24、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8は、車室5内同士を連通する。この場合、内外気切り替えダンパ26は、第1貫通孔10及び外気導入用ダクト23の内周面が区画する空気の流路と、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路との連通を遮断する。
内外気切り替えダンパ26は、ダンパ板27が第1位置に配置されて、第1貫通孔10、外気導入用ダクト23、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路を第1の通気路として機能させる内外連通状態と、ダンパ板27が第2位置に配置されて、第1貫通孔10、外気導入用ダクト23、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路を第1の通気路として機能させない内々連通状態とに設定可能である。
排気ダンパ29は、複数の羽板30とモータ31とを有する。複数の羽板30は、キャブ3に形成された第2貫通孔11の内径と略同じ長辺を有する略矩形状の板状部材である。複数の羽板30は、それぞれ、第2貫通孔11に、長辺の一方を回転中心として、第2貫通孔11の断面方向に沿った閉止位置と第2貫通孔11の断面方向に直交する開放位置との間を回転自在な状態で、且つ、互いに平行して、閉止位置に配置されているときには第2貫通孔11を塞ぐ状態で設けられる。モータ31は、電力供給部22から電力が供給されたとき、複数の羽板30を電流の向きに応じた回転方向へ回転させて開放位置又は閉止位置に配置させる。複数の羽板30の回転方向は、電流の向きが正方向の場合には、閉止位置から開放位置へ向かう方向であり、電流の向きが逆方向の場合には、開放位置から閉止位置へ向かう方向である。複数の羽板30が開放位置に配置されると、第2の通気路が開放され、複数の羽板30が閉止位置に配置されると、第2の通気路が閉止される。排気ダンパ29は、複数の羽板30が開放位置に配置されて第2の通気路を開放する開放状態と、複数の羽板30が閉止位置に配置されて第2の通気路を閉止する閉止状態とに設定可能である。
給排気ダンパ32は、複数の羽板33とモータ34とを有する。複数の羽板33は、キャブ3に形成された第3貫通孔12の内径と略同じ長辺を有する略矩形状の板状部材である。複数の羽板33は、それぞれ、第3貫通孔12に、長辺の一方を回転中心として、第3貫通孔12の断面方向に沿った閉止位置と第3貫通孔12の断面方向に直交する開放位置との間を回転自在な状態で、且つ、互いに平行して、閉止位置に配置されているときには第3貫通孔12を塞ぐ状態で設けられる。モータ34は、電力供給部22から電力が供給されたとき、複数の羽板33を電流の向きに応じた回転方向へ回転させて開放位置又は閉止位置に配置させる。複数の羽板33の回転方向は、電流の向きが正方向の場合には、閉止位置から開放位置へ向かう方向であり、電流の向きが逆方向の場合には、開放位置から閉止位置へ向かう方向である。複数の羽板33が開放位置に配置されると、第3の通気路が開放され、複数の羽板33が閉止位置に配置されると、第3の通気路が閉止される。給排気ダンパ32は、複数の羽板33が開放位置に配置されて第3の通気路を開放する開放状態と、複数の羽板33が閉止状態に配置されて第3の通気路を閉止する閉止状態とに設定可能である。
3つのブロアは、給気ブロア35と排気ブロア38と給排気ブロア41とである。
給気ブロア35は、羽根車36とモータ37とを有し、収容ケース14内の流路区画部材18よりも第1流入口15及び第2流入口16側に設けられる。モータ37は、電力供給部22から電力が供給されたとき、羽根車36を、収容ケース14内の空気を第1流入口15又は第2流入口16から流出口17へ向かって流通させる回転方向に電流値に応じた回転数で回転させる。内外気切り替えダンパ26が内外連通状態に設定されている状態で羽根車36が回転すると、羽根車36の回転数に応じた流量のキャブ3の外部の空気(外気)が収容ケース14内へ流入し、収容ケース14内を流通して車室5内へ流出する。一方、内外気用切り替えダンパ26が内々連通状態に設定されている状態で羽根車36が回転すると、羽根車36の回転数に応じた流量の車室内の空気(内気)が収容ケース14内へ流入し、収容ケース14内を流通して車室5内へ流出する。つまり、給気ブロア35は、内外気切り替えダンパ26が内外連通状態に設定されている状態では、羽根車36の回転数に応じた流量の外気を、第1の通気路を介して車室5内へ供給させ、内外気切り替えダンパ26が内々連通状態に設定されている状態では、羽根車36の回転数に応じた流量の内気を、導入口9、内気導入用ダクト24、収容ケース14、流出用ダクト25及び吹き出し口8の内周面が区画する空気の流路を介して車室5内へ供給させる。すなわち、給気ブロア35は、第1の通気路にキャブ3の外部から車室5内へ向かう方向で空気を流通させる第1の送風機として機能する。
排気ブロア38は、羽根車39とモータ40とを有し、車室5内の第2貫通孔11の近傍に設けられる。モータ40は、電力供給部22から電力が供給されたとき、羽根車39を、内気をキャブ3の外部へ排出させる回転方向に電流値に応じた回転数で回転させる。排気ダンパ29が開放状態に設定されている状態で羽根車39が回転すると、羽根車39の回転数に応じた流量の内気が第2の通気路を介してキャブ3の外部へ排出される。すなわち、排気ブロア38は、第2の通気路に車室5内からキャブ3の外部へ向かう方向で空気を流通させる第2の送風機として機能する。
給排気ブロア41は、羽根車42とモータ43とを有し、車室5内の第3貫通孔12の近傍に設けられる。モータ43は、電力供給部22から電力が供給されたとき、羽根車42を電流の向きに応じた方向に電流値に応じた回転数で回転させる。羽根車42の回転方向は、電流の向きが正方向の場合には、外気を車室5内へ供給させる給気回転方向であり、電流の向きが逆方向の場合には、内気をキャブ3の外部へ排出させる排気回転方向である。給排気ダンパ32が開放状態に設定されている状態で、羽根車42が給気回転方向に回転すると、羽根車42の回転数に応じた流量の外気が第3の通気路を介して車室5内へ供給される。また、給排気ダンパ32が開放状態に設定されている状態で、羽根車42が排気回転方向に回転すると、羽根車42の回転数に応じた流量の内気が第3の通気路を介してキャブ3の外部へ排出される。給排気ブロア41は、羽根車42が給気回転方向に回転駆動される給気駆動状態と、羽根車42が排気回転方向に回転駆動される排気駆動状態とで駆動可能である。すなわち、給排気ブロア41は、第3の通気路にキャブ3の外部から車室5内へ向かう方向で空気を流通させる給気駆動状態と、第3の通気路に車室5内からキャブ3の外部へ向かう方向で空気を流通させる排気駆動状態とで駆動可能な第3の送風機として機能する。
冷暖房機構44は、エバポレータ45を有する冷却ユニットと、ヒータコア46を有する加熱ユニットとによって構成される。エバポレータ45は、収容ケース14内の給気ブロア35よりも下流側で且つ流路区画部材18よりも上流側に空気の流れ方向に直交して設けられる。エバポレータ45は、空気が通過可能な状態で配置されて内部に冷媒が流通するチューブを有し、冷却ユニットが作動されているときに、チューブ間を通過する空気を冷却する。ヒータコア46は、収容ケース14内の第1流路内に設けられる。ヒータコア46は、空気が通過可能な状態で配置されて内部にエンジンを冷却した冷却水が流通するチューブを有し、チューブ間を通過する空気を加熱する。このため、収容ケース14内へ流入した空気は、冷却ユニットが作動されている場合には、エバポレータ45を通過して冷却され、流路切り替えダンパ19の設定位置に応じて第1流路又は第2流路の少なくとも一方を流通して収容ケース14外へ流出する。また、第1流路に流入した空気は、ヒータコア46を通過して加熱される。
各種スイッチ47は、インストルメントパネル7に設けられ、乗員によって操作される。各種スイッチ47には、エアコンスイッチと内外気切り替えスイッチと風量設定スイッチと温度設定スイッチとが含まれる。エアコンスイッチは、冷却ユニットを作動させるか否かを設定するためのものであり、冷却ユニットを作動させるオン状態と作動させないオフ状態とに設定可能である。内外気切り替えスイッチは、インストルメントパネル7の吹き出し口8から車室5内へ吹き出させる空気を外気とするか内気とするかを設定するためのものであり、外気とする外気導入状態と内気とする内気循環状態とに設定可能である。風量設定スイッチは、吹き出し口8から車室5内へ吹き出させる空気の風量を設定するためのものであり、予め設定された0から最大風量までの複数の風量に設定可能である。温度設定スイッチは、吹き出し口8から車室5内へ吹き出させる空気の温度を設定するためのものであり、予め設定された複数の温度に設定可能である。各種スイッチ47は、それぞれ、操作が入力されたとき、入力された操作に応じた各種操作信号を制御ユニット50へ出力する。
ガスセンサ48は、車室5内の各座席のシートベルトに設けられ、所定時間毎に、車室5内の空気中の二酸化炭素濃度を検出して制御ユニット50へ出力する。すなわち、ガスセンサ48は、所定時間毎に車室5内の空気の汚染度を検出する汚染度検出手段として機能する。
圧力センサ49は、車室5内の各座席に設けられ、各座席に入力される圧力を検出して制御ユニット50へ出力する。
制御ユニット50とは、記憶部51とCPU(Central Processing Unit)52とを有する。
記憶部51は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記録媒体によって構成される。記憶部51には、CPU52が各種処理を実行するための各種プログラムと各種データとが記憶されている。各種プログラムには、情報受信設定プログラムと温度制御プログラムと条件判断プログラムと換気制御プログラムとが含まれる。情報受信設定プログラムには、所定の要換気濃度が含まれる。要換気濃度は、第1換気制御処理を実行するか否かの判断基準とする二酸化炭素濃度であり、例えば、建築基準法等の法律において空気浄化の要否の基準値として規定されている1000ppm(1%)に設定される。換気制御プログラムには、所定の基準給気量と所定の基準排気量とが含まれる。基準給気量は、乗員一人あたりの外気の供給量であり、例えば30m3/hに設定される。基準排気量は、乗員一人あたりの内気の排出量である。各種データには、電流値マップと設定位置マップとが含まれる。電流値マップには、各ブロア35,38,41の送風量と、各ブロア35,38,41のモータ37,40,43に流すべき電流値との対応関係が示されている。設定位置マップには、設定温度に対応する流路切り替えダンパ19の設定位置が示されている。
また、記憶部51には、各種情報が読み書き自在に記憶される記憶領域が設定されている。記憶領域には、操作情報テーブルと換気制御情報テーブルと共通情報テーブルとが設定されている。操作情報テーブルには、各種操作情報が適宜更新して記憶される。各種操作情報には、冷却ユニット作動状態とダンパ設定状態と設定風量と設定温度とが含まれる。換気制御情報テーブルには、濃度記憶領域と換気制御用フラグ設定領域とが設定されている。濃度記憶領域には、二酸化炭素濃度が時系列に記憶される。換気制御用フラグ設定領域には、各二酸化炭素濃度に対応して、オン状態とオフ状態とに設定可能な超過フラグ、非低下フラグ、第1実行フラグ及び第2実行フラグが記憶される。超過フラグは、対応する二酸化炭素濃度が要換気濃度を超える場合にオン状態に設定される。非低下フラグは、対応する二酸化炭素濃度が直前に記憶された二酸化炭素濃度以上である場合にオン状態に設定される。第1実行フラグは、第1換気制御処理が実行されたときにオン状態に設定される。第2実行フラグは、第2換気制御処理が実行されたときにオン状態に設定される。また、オン状態に設定されたこれらのフラグは、第3換気制御処理が実行されたときにオフ状態に設定される。共通情報テーブルには、共通情報記憶領域と共通フラグ設定領域とが設定されている。共通情報記憶領域には、乗員数が適宜更新して記憶される。共通フラグ設定領域には、オン状態とオフ状態とに設定可能な給気使用フラグ及び変更フラグが記憶されている。給気使用フラグは、給排気ブロア41が給気駆動状態で駆動されたときにオン状態に設定され、給排気ブロア41が排気駆動状態で駆動されたとき、又は第3換気制御処理が実行されたときにオフ状態に設定される。変更フラグは、温度制御処理が実行されたときにオン状態に設定され、第1〜第3換気制御処理の何れかが実行されたときにオフ状態に設定される。
CPU52は、記憶部51に記憶された情報受信設定プログラム、温度制御プログラム、条件判断プログラム及び換気制御プログラムを読み出して実行することにより、情報受信設定処理を実行する情報受信設定部53、温度制御処理を実行する温度制御部57、条件判断処理を実行する条件判断部58及び換気制御処理を実行する換気制御部59として機能する。
情報受信設定部53は、操作情報設定部54と濃度情報設定部55と乗員数検知部56とを含み、各種スイッチ47、ガスセンサ48及び圧力センサ49が検出結果を出力したとき、出力された検出結果を受信し、受信した各種検出結果に基づいて、温度制御部57が実行する温度制御処理、条件判断部58が実行する条件判断処理及び換気制御部59が実行する換気制御処理において必要な各種情報を設定する。
操作情報設定部54は、各種スイッチ47が出力した操作信号を受信し、受信した操作信号に基づいて各種操作情報を設定し、操作情報テーブルに記憶された各種操作情報を設定した各種操作情報に更新する。操作情報設定部54は、冷却ユニット作動状態を、エアコンスイッチがオン状態に設定されたときに作動状態に設定し、エアコンスイッチがオフ状態に設定されたときに停止状態に設定する。また、操作情報設定部54は、ダンパ設定状態を、内外気切り替えスイッチが外気導入状態に設定されたときに内外連通状態に設定し、内外気切り替えスイッチが内気循環状態に設定されたときに内々連通状態に設定する。また、操作情報設定部54は、設定風量を、風量設定スイッチからの操作信号に基づいて、予め設定された0から最大風量までの複数の風量のうちの何れかに設定し、設定温度を、温度設定スイッチからの操作信号に基づいて、予め設定された複数の温度のうち何れかに設定する。
濃度情報設定部55は、ガスセンサ48が出力した二酸化炭素濃度を受信し、受信した二酸化炭素濃度を記憶領域の換気制御情報テーブルの濃度記憶領域に時系列で記憶する。また、濃度情報設定部55は、換気制御情報テーブルに二酸化炭素濃度を記憶したとき、記憶した(最新の)二酸化炭素濃度が所定の要換気濃度を超えているか否か、及び最新の二酸化炭素濃度が直前に記憶した(直前の)二酸化炭素濃度以上であるか否かを判定する。濃度情報設定部55は、最新の二酸化炭素濃度が要換気濃度を超えていると判定した場合には、最新の二酸化炭素濃度に対応する超過フラグをオン状態に設定し、最新の二酸化炭素濃度が直前の二酸化炭素濃度以上であると判定した場合には、最新の二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグをオン状態に設定する。なお、濃度情報設定部55は、換気制御情報テーブルに直前の二酸化炭素濃度が存在せず、最新の二酸化炭素濃度が直前の二酸化炭素濃度以上であるか否かの判定を行うことができない場合には、最新の二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグの設定をオフ状態とする。
乗員数検知部56は、圧力センサ49が出力した圧力を受信し、受信した圧力に基づいて乗員数を検知し、記憶領域の共通情報テーブルに記憶された乗員数を検知した乗員数に更新する。すなわち、圧力センサ49と乗員数検知部56とは、車室5内に収容された乗員数を検出する人員検出手段として機能する。
温度制御部57は、操作情報設定部54が各種操作情報を設定して操作情報テーブルの各種操作情報を更新したとき、更新された各種操作情報に基づいて、内気の温度を調整するための温度制御処理を実行する。温度制御処理には、冷却ユニット制御処理と内外気切り替えダンパ制御処理とブロア制御処理と流路切り替えダンパ制御処理とが含まれる。
冷却ユニット制御処理は、冷却ユニット作動状態が更新されたときに実行される。冷却ユニット制御処理において、温度制御部57は、冷却ユニット作動状態が作動状態に更新された場合には、冷却ユニットを作動させ、冷却ユニット作動状態が停止状態に更新された場合には、冷却ユニットを停止させる。
内外気切り替えダンパ制御処理は、ダンパ設定状態が更新されたときに実行される。内外気切り替えダンパ制御処理において、温度制御部57は、ダンパ設定状態が内外連通状態に更新された場合には、内外気切り替えダンパ26のモータ28に所定の電流が正方向に流れるように電力供給部22を制御して、内外気切り替えダンパ26の設定状態を内外連通状態に変更させ、ダンパ設定状態が内々連通状態に更新された場合には、内外気切り替えダンパ26のモータ28に所定の電流が逆方向に流れるように電力供給部22を制御して、内外気切り替えダンパの設定状態を内々連通状態に変更させる。温度制御部57は、内外気切り替えダンパ制御処理を実行すると、共通情報テーブルの変更フラグをオン状態に設定する。
ブロア制御処理は、設定風量が更新されたときに実行される。ブロア制御処理において、温度制御部57は、設定風量が0を超える風量に更新された場合には、電流値マップを参照して設定風量に対応する電流値を取得し、給気ブロア35のモータ37に取得した電流値の電流が流れるように電力供給部22を制御して、設定風量を送風する回転数で給気ブロア35を駆動させる。温度制御部57は、ブロア制御処理を実行すると、変更フラグをオン状態に設定する。
流路切り替えダンパ制御処理は、設定温度が変更されたときに実行される。流路切り替えダンパ制御処理において、温度制御部57は、設定位置マップを参照して設定温度に対応する設定位置を取得し、現在の設定位置と取得した設定位置とに基づいて電流の向き及び電流値を決定し、流路切り替えダンパ19のモータ21に決定した電流値の電流が決定した向きに流れるように電力供給部22を制御して、流路切り替えダンパ19の設定位置を取得した設定位置に変更させる。
条件判断部58は、所定時間毎に、換気制御情報テーブル及び共通情報テーブルの各種フラグの設定状態に基づいて各種判定を行うことによって、第1〜第3実行条件が成立するか否かを判断する。
具体的には、条件判断部58は、まず、第1実行フラグが全てオフ状態に設定されているか否かを判定する。条件判断部58は、第1実行フラグが全てオフ状態に設定されていると判定した場合には、超過フラグが所定回数連続してオン状態に設定されているか否かを更に判定し、第1実行フラグが全てオフ状態に設定されていない(オン状態に設定されている第1実行フラグがある)と判定した場合には、変更フラグがオン状態に設定されているか否かを更に判定する。
条件判断部58は、超過フラグが所定回数連続してオン状態に設定されていると判定した場合、及び変更フラグがオン状態に設定されていると判定した場合には、第1実行条件が成立すると判断する。また、条件判断部58は、超過フラグが所定回数連続してオン状態に設定されていないと判定した場合には、何れの実行条件も成立しないと判断し、変更フラグがオン状態に設定されていない(オフ状態に設定されている)と判定した場合には、第2実行フラグが全てオフ状態に設定されているか否かを更に判定する。
第2実行フラグが全てオフ状態に設定されているか否かの判定において、条件判断部58は、第2実行フラグが全てオフ状態に設定されていると判定した場合には、最初にオン状態に設定された第1実行フラグに対応する二酸化炭素濃度よりも後に換気制御情報テーブルに記憶された(最初の第1換気制御処理実行後に記憶された)二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグが所定回数連続してオン状態に設定されているか否かを更に判定し、第2実行フラグが全てオフ状態に設定されていない(オン状態に設定されている第2実行フラグがある)と判定した場合には、最後にオン状態に設定された第2実行フラグに対応する二酸化炭素濃度よりも後に換気制御情報テーブルに記憶された(最後の第2換気制御処理実行後に記憶された)二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグのうちオン状態に設定されている第1実行フラグがあるか否かを更に判定する。
条件判断部58は、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグが所定回数連続してオン状態に設定されていると判定した場合、及び最後の第2換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグのうちオン状態に設定されている第1実行フラグがあると判定した場合には、第2実行条件が成立すると判断する。一方、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグが所定回数連続してオン状態に設定されていないと判定した場合、及び最後の第2換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグのうちオン状態に設定されている第1実行フラグはないと判定した場合には、条件判断部58は、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されているか否かを更に判定する。
最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されているか否かの判定において、条件判断部58は、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されていると判定した場合には、第3実行条件が成立すると判断し、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されていないと判定した場合には、何れの実行条件も成立しないと判断する。
つまり、条件判断部58は、第1換気制御処理が実行されておらず二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えている場合、及び第1換気制御処理が実行された後に温度制御処理が実行された場合には、第1実行条件が成立すると判断する。また、最初の第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して直前の二酸化炭素濃度以上となる場合、及び第1換気制御処理が実行されて第2換気制御処理が実行された後に再度第1換気制御処理が実行された場合には、条件判断部58は、第2実行条件が成立すると判断する。更に、最初の第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度以下となる場合には、条件判断部58は、第3実行条件が成立すると判断する。
すなわち、濃度情報設定部55及び条件判断部58は、ガスセンサ48が検出した二酸化炭素が要換気濃度を超えているか否かを判定する第1判定手段、及びガスセンサ48が検出した二酸化炭素濃度が時間経過とともに低下する傾向にあるか否かを判定する第2判定手段として機能する。
換気制御部59は、第1〜第3換気制御部60〜62を含み、条件判断部58の判断結果に応じて各種換気制御処理を実行する。
第1換気制御部60は、第1実行条件が成立すると条件判断部58が判断したとき、操作情報テーブルに記憶された操作情報と共通情報テーブルに記憶された乗員数とに基づいて、必要給気量(第1の所定流量)の外気を車室5内へ供給させる第1換気制御処理を実行する。第1換気制御処理には、必要給気量算出処理と給気路決定処理と給気手段制御処理とが含まれる。
必要給気量算出処理において、第1換気制御部60は、所定の基準給気量に乗員数を乗じることによって、必要給気量を算出する。
給気路決定処理において、第1換気制御部60は、各種判定を行うことによって、必要給気量の外気を車室5内へ供給するための給気路として機能させる通気路を決定する。具体的には、第1換気制御部60は、まず、ダンパ設定状態が内外連通状態であるか否かを判定する。第1換気制御部60は、ダンパ設定状態が内外連通状態であると判定した場合には、設定風量が0又は必要給気量以上であるか否かを更に判定し、ダンパ設定状態が内外連通状態でない(内々連通状態である)と判定した場合には、第3の通気路のみを給気路として機能させると決定する。第1換気制御部60は、設定風量が0又は必要給気量以上であるか否かの判定において、設定風量が0又は必要給気量以上であると判定した場合には、第1の通気路のみを給気路として機能させると決定し、設定風量が0又は必要給気量以上でない(設定風量が0を超え必要給気量未満である)と判定した場合には、第1の通気路及び第3の通気路を給気路として機能させると決定する。
つまり、第1換気制御部60は、ダンパ設定状態が内外連通状態であり、且つ設定風量が0又は必要給気量以上である場合には、第1の通気路のみを給気路として機能させると決定し、ダンパ設定状態が内々連通状態である場合には、第3通気路のみを給気路として機能させると決定し、ダンパ設定状態が内外連通状態で、且つ設定風量が0を超え必要給気量未満である場合には、第1の通気路及び第3の通気路を給気路として機能させると決定する。
給気手段制御処理において、第1換気制御部60は、第1の通気路のみを給気路として機能させると決定した場合には、設定風量が0であるか否かを判定する。設定風量が0であると判定した場合、第1換気制御部60は、電流値マップを参照して必要給気量に対応する電流値を取得し、給気ブロア35のモータ37に取得した電流値の電流が流れるように電力供給部22を制御する。これにより、給気ブロア35が必要給気量を送風する回転数で駆動される。第1換気制御部60は、電力供給部22を制御すると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグをオン状態に設定するとともに、共通情報テーブルの変更フラグをオフ状態に設定する。一方、設定風量が0でない(必要給気量以上である)と判定した場合、第1換気制御部60は、電力供給部22の制御は行わない。これにより、設定風量を送風する回転数での給気ブロア35の駆動が継続される。第1換気制御部60は、電力供給部22を制御しないで給気ブロア35の駆動を継続させると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグをオン状態に設定するとともに、変更フラグをオフ状態に設定する。
また、第3の通気路のみを給気路として機能させると決定した場合には、第1換気制御部60は、電流値マップを参照して必要給気量に対応する電流値を取得し、電力供給部22を、給排気ブロア41のモータ43に取得した電流値の電流が正方向に流れ、給排気ダンパ32のモータ34に所定の電流が正方向に流れ、且つ給気ブロア35のモータ37への電力供給状態が変更されないように制御する。これにより、給気ブロア35の駆動状態が変更されず、給排気ブロア41が給気駆動状態で且つ必要給気量を送風する回転数で駆動されるとともに、給排気ダンパ32が開放状態に設定される。第1換気制御部60は、電力供給部22を制御すると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグと共通情報テーブルの給気使用フラグとをオン状態に設定するとともに、変更フラグをオフ状態に設定する。
また、第1の通気路及び第3の通気路を給気路として機能させると決定した場合には、第1換気制御部60は、まず、第1の通気路を介して車室5内へ供給させる外気の供給量(第1給気量)と第3の通気路を介して車室5内へ供給させる外気の給気量(第2給気量)とを決定する。第1給気量及び第2給気量の決定において、第1換気制御部60は、第1給気量を設定風量に決定し、第2給気量を必要給気量から設定風量を減算した風量に決定する。第1給気量及び第2給気量を決定すると、第1換気制御部60は、電流値マップを参照して第2給気量に対応する電流値を取得し、電力供給部22を、給排気ブロア41のモータ43に取得した電流値の電流が正方向に流れ、給排気ダンパ32のモータ34に所定の電流が正方向に流れ、且つ給気ブロア35のモータ37への電力供給が継続されるように制御する。これにより、設定風量を送風する回転数での給気ブロア35の駆動が継続され、給排気ブロア41が給気駆動状態で且つ第2給気量を送風する回転数で駆動されるとともに、給排気ダンパ32が開放状態に設定される。第1換気制御部60は、電力供給部22を制御すると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグと共通情報テーブルの給気使用フラグとをオン状態に設定するとともに、変更フラグをオフ状態に設定する。
第2換気制御部61は、第2実行条件が成立すると条件判断部58が判断したとき、共通情報テーブルに記憶された乗員数及び給気使用フラグの設定状態に基づいて、必要給気量を超える風量(第2の所定流量)の外気を車室5内へ供給する第2の換気を行うための第2換気制御処理を実行する。必要給気量を超える風量の外気の供給は、必要排気量の内気をキャブ3の外部へ排出することによって行われる。第2換気制御処理には、必要排気量算出処理と排気路決定処理と排気手段制御処理とが含まれる。
必要排気量算出処理において、第2換気制御部61は、所定の基準排気量に乗員数を乗じることによって、必要排気量を算出する。
排気路決定処理において、第2換気制御部61は、給気使用フラグがオフ状態に設定されているか否かを判定することによって、必要排気量の内気をキャブ3の外部へ排出するための排気路として機能させる通気路を決定する。具体的には、第2換気制御部61は、給気使用フラグがオフ状態に設定されていると判定した場合には、第2の通気路及び第3の通気路を排気路として機能させると決定し、給気使用フラグがオフ状態に設定されていない(オン状態に設定されている)と判定した場合には、第2の通気路のみを排気路として機能させると決定する。
排気手段制御処理において、第2換気制御部61は、第2の通気路及び第3の通気路を排気路として機能させると決定した場合には、第2の通気路を介してキャブ3の外部へ排出させる内気の排出量(第1排気量)と第3の通気路を介してキャブ3の外部へ排出させる内気の排出量(第2排気量)とを決定する。第2換気制御部61は、第1排気量及び第2排気量をそれぞれ必要排気量の半分に決定し、電流値マップを参照して第1排気量及び第2排気量に対応する電流値を取得する。電流値を取得すると、第2換気制御部61は、電力供給部22を、排気ブロア38のモータ40に取得した電流値が流れ、給排気ブロア41のモータ43に取得した電流値の電流が逆方向に流れ、排気ダンパ29のモータ31及び給排気ダンパ32のモータ34に所定の電流が正方向に流れ、且つ給気ブロア35のモータ37への電力供給が継続されるように制御する。これにより、必要給気量又は設定風量を送風する回転数での給気ブロア35の駆動が継続され、排気ブロア38が第1排気量を送風する回転数で駆動され、給排気ブロア41が排気駆動状態で且つ第2排気量を送風する回転数で駆動されるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32が開放状態に設定される。第2換気制御部61は、電力供給部22を制御すると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第2実行フラグをオン状態に設定する。
また、第2の通気路のみを排気路として機能させると決定した場合には、第2換気制御部61は、電流値マップを参照して必要排気量に対応する電流値を取得し、電力供給部22を、排気ブロア38のモータ40に取得した電流値の電流が流れ、排気ダンパ29のモータ31に所定の電流が正方向に流れ、且つ給気ブロア35のモータ37及び給排気ブロア41のモータ43への電力供給状態が変更されないように制御する。これにより、給気ブロア35及び給排気ブロア41の駆動状態が変更されず、排気ブロア38が必要排気量を送風する回転数で駆動されるとともに、排気ダンパ29が開放状態に設定される。第2換気制御部61は、電力供給部22を制御すると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第2実行フラグをオン状態に設定する。
第3換気制御部62は、第3実行条件が成立すると条件判断部58が判断したとき、換気制御情報テーブルの第2実行フラグの設定状態と操作情報テーブルに記憶された設定風量とに基づいて、必要給気量の外気の供給及び必要排気量の内気の排出を終了するための第3換気制御処理を実行する。
具体的には、第3換気制御部62は、まず、設定風量が0であるか否かを判定する。第3換気制御部62は、設定風量が0であると判定した場合には、給気ブロア35のモータ37への電力供給が遮断されるように電力供給部22を制御する。これにより、給気ブロア35の駆動が停止される。一方、設定風量が0でないと判定した場合には、第3換気制御部62は、電力供給部22の制御は行わない。これにより、設定風量を送風する回転数での給気ブロア35の駆動が継続される。
次に、第3換気制御部62は、オン状態に設定されている第2実行フラグがあるか否かを判定する。第3換気制御部62は、オン状態に設定されている第2実行フラグがあると判定した場合には、電力供給部22を、排気ブロア38のモータ40及び給排気ブロア41のモータ43への電力供給が遮断され、排気ダンパ29のモータ31及び給排気ダンパ32のモータ34に所定の電流が逆方向に流れ、且つ給気ブロア35のモータ37への電力供給状態が変更されないように制御する。これにより、給気ブロア35の駆動状態が変更されず、排気ブロア38及び給排気ブロア41の駆動が停止されるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32が閉止状態に設定される。第3換気制御部62は、電力供給部22を制御すると、換気制御情報テーブル及び共通情報テーブルに記憶された各種フラグを全てオフ状態に設定する。一方、オン状態に設定されている第2実行フラグはないと判定した場合には、第3換気制御部62は、電力供給部22の制御は行わず、各種フラグを全てオフ状態に設定する。
すなわち、換気制御部59は、第1の通気路を流通する空気の流量を必要給気量以上にすることができるか否かを判定する第3判定手段、及び、第1実行条件が成立すると条件判断部58が判断したとき、第1の通気路を流通する空気の流量を必要給気量以上にすることができるか否かの判定結果に応じて第1換気制御処理を実行し、第2実行条件が成立すると条件判断部58が判断したとき、第1の通気路を流通する空気の流量を必要給気量以上にすることができるか否かの判定結果に応じて第2換気制御処理を実行する制御手段として機能する。
次に、CPU52が実行する条件判断処理について、図2を参照して説明する。本処理は、車両2のイグニッションキーがON状態のとき、所定時間毎に繰り返して実行される。
本処理が開始されると、第1実行フラグが全てオフ状態に設定されているか(第1換気制御処理は実行されていないか)否かを判定する(ステップS1)。
第1実行フラグが全てオフ状態に設定されている(第1換気制御処理は実行されていない)場合(ステップS1:YES)には、超過フラグが所定回数連続してオン状態に設定されているか(二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えているか)否かを判定する(ステップS2)。
一方、オン状態に設定されている第1実行フラグがある(第1換気制御処理が実行された)場合(ステップS1:NO)には、変更フラグがオン状態に設定されているか(温度制御処理が実行されたか)否かを判定する(ステップS3)。
超過フラグが所定回数連続してオン状態に設定されている(二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えている)場合(ステップS2:YES)、及び変更フラグがオン状態に設定されている(温度制御処理が実行された)場合(ステップS3:YES)には、第1実行条件が成立すると判断して(ステップS4)、本処理を終了する。
一方、第1実行フラグが全てオフ状態に設定されて、超過フラグが所定回数連続してオン状態に設定されていない(第1換気制御処理は実行されておらず、二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えていない)と判定した場合(ステップS2:NO)には、本処理を終了する。
また、変更フラグがオフ状態に設定されている(温度制御処理は実行されていない)と判定した場合(ステップS3:NO)には、第2実行フラグが全てオフ状態に設定されているか(第2換気制御処理は実行されていないか)否かを判定する(ステップS5)。
第2実行フラグが全てオフ状態に設定されている(第2換気制御処理は実行されていない)場合(ステップS5:YES)には、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグが所定回数連続してオン状態に設定されているか(最初の第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して直前の二酸化炭素濃度以上となるか)否かを判定する(ステップS6)。
一方、オン状態に設定されている第2実行フラグがある(第2換気制御処理が実行された)場合(ステップS5:NO)には、最後の第2換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグのうちオン状態に設定されている第1実行フラグがあるか(第1換気制御処理が実行されて第2換気制御処理が実行された後に、再度第1換気制御処理が実行されたか)否かを判定する(ステップS7)。
最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグが所定回数連続してオン状態に設定されている(第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して直前の二酸化炭素濃度以上となる)場合(ステップS6:YES)、及び最後の第2換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグのうちオン状態に設定されている第1実行フラグがある(第1換気制御処理が実行されて第2換気制御処理が実行された後に、再度第1換気制御処理が実行された)場合(ステップS7:YES)には、第2実行条件が成立すると判断して(ステップS8)、本処理を終了する。
また、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する非低下フラグが所定回数連続してオン状態に設定されていない(第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度は所定回数連続して直前の二酸化炭素濃度以上とならない)場合(ステップS6:NO)、及び最後の第2換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグのうちオン状態に設定されている第1実行フラグはない(第1換気制御処理が実行されて第2換気制御処理が実行された後に、第1換気制御処理は実行されていない)場合(ステップS7:NO)には、最初の第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されているか(最初の第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度以下となる)否かを判定する(ステップS9)。
第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されている(第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度以下となる)場合(ステップS9:YES)には、第3実行条件が成立すると判断して(ステップS10)、本処理を終了する。
一方、第1換気制御処理実行後に記憶された二酸化炭素濃度に対応する超過フラグが所定回数連続してオフ状態に設定されていない(第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度以下とならない)場合(ステップS9:NO)、には本処理を終了する。
次に、CPU52が実行する第1換気制御処理について、図3を参照して説明する。本処置は、第1実行条件が成立したときに実行される。
本処理が開始されると、まず、必要給気量を算出する(ステップS21)。
次に、給気路として機能させる通気路を決定するために、ダンパ設定状態が内外連通状態であるか否かを判定する(ステップS22)。
ダンパ設定状態が内外連通状態である場合(ステップS22:YES)には、設定風量が0又は必要給気量以上であるか否かを判定する(ステップS23)。
設定風量が0又は必要給気量以上である場合(ステップS23:YES)には、第1の通気路のみを給気路として機能させると決定する(ステップS24)。
一方、設定風量が0又は必要給気量以上でない(設定風量が0を超え必要給気量未満である)場合(ステップS23:NO)には、第1の通気路及び第3の通気路を給気路として機能させると決定する(ステップS25)。
また、ダンパ設定状態が内外連通状態でない(内々連通状態である)場合(ステップS22:NO)には、第3の通気路のみを給気路として機能させると決定する(ステップS26)。
第1の通気路のみを給気路として機能させると決定すると、設定風量が0であるか(給気ブロア35が温度制御処理において駆動されていないか)否かを判定する(ステップS27)。
設定風量が0である(給気ブロア35が温度制御処理において駆動されていない)場合(ステップS27:YES)には、必要給気量を送風する回転数で給気ブロア35を駆動させる(ステップS28)。
給気ブロア35を駆動させると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグをオン状態に設定するとともに、共通情報テーブルの変更フラグをオフ状態に設定して(ステップS29)、本処理を終了する。
一方、設定風量が0でない(給気ブロア35が温度制御処理において必要給気量以上である設定風量を送風する回転数で駆動された)場合(ステップS27:NO)には、給気ブロア35の駆動を継続させて、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグをオン状態に設定するとともに、共通情報テーブルの変更フラグをオフ状態に設定して(ステップS29)、本処理を終了する。
また、第3の通気路のみ、或いは第1の通気路及び第3の通気路を給気路として機能させると決定すると、必要給気量又は必要給気量から設定風量を減算した風量(第2給気量)を送風する回転数で給排気ブロア41を駆動させるとともに給排気ダンパ32を開放状態に設定させる(ステップS30)。
給排気ブロア41を駆動させて給排気ダンパ32を開放状態に設定させると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第1実行フラグと共通情報テーブルの給気使用フラグとをオン状態に設定するとともに、共通情報テーブルの変更フラグをオフ状態に設定して(ステップS31)、本処理を終了する。
次に、CPU52が実行する第2換気制御処理について、図4を参照して説明する。本処置は、第2実行条件が成立したときに実行される。
本処理が開始されると、まず、必要排気量を算出する(ステップS41)。
次に、排気路として機能させる通気路を決定するために、給気使用フラグがオフ状態に設定されているか(給排気ブロア41が第1換気制御処理において駆動されていないか)否かを判定する(ステップS42)。
給気使用フラグがオフ状態に設定されている(給排気ブロア41が第1換気制御処理において駆動されていない)場合(ステップS42:YES)には、第2の通気路及び第3の通気路を排気路として機能させると決定する(ステップS43)。
一方、給気使用フラグがオン状態に設定されている(給排気ブロア41が第1換気制御処理において駆動された)場合(ステップS42:NO)には、第2の通気路のみを排気路として機能させると決定する(ステップS44)。
第2の通気路及び第3の通気路を排気路として機能させると決定すると、必要排気量の半分(第1排気量)を送風する回転数で排気ブロア38を駆動させ、排気駆動状態で且つ必要排気量の半分(第2排気量)を送風する回転数で給排気ブロア41を駆動させるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32を開放状態に設定させる(ステップS45)。
排気ブロア38及び給排気ブロア41を駆動させるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32を開放状態に設定させると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第2実行フラグをオン状態に設定して(ステップS46)、本処理を終了する。
一方、第2通気路のみを排気路として機能させると決定すると、必要排気量を送風する回転数で排気ブロア38を駆動させるとともに、排気ダンパ29を開放状態に設定させる(ステップS47)。
排気ブロア38を駆動させるとともに排気ダンパ29を開放状態に設定させると、換気制御情報テーブルに記憶された最新の二酸化炭素濃度に対応する第2実行フラグをオン状態に設定して(ステップS46)、本処理を終了する。
次に、CPU52が実行する第3換気制御処理について、図5を参照して説明する。本処置は、第3実行条件が成立したときに実行される。
本処理が開始されると、まず、設定風量が0であるか(給気ブロア35が温度制御処理において駆動されていないか)否かを判定する(ステップS51)。
設定風量が0である(給気ブロア35が温度制御処理において駆動されていない)場合(ステップS51:YES)には、給気ブロア35を停止させる(ステップS52)。
給気ブロア35を停止させると、オン状態に設定されている第2実行フラグがあるか(第2換気制御処理が実行されたか)否かを判定する(ステップS53)。
一方、設定風量が0でない(給気ブロア35は温度制御処理において設定風量を送風する回転数で駆動された)場合(ステップS51:NO)には、給気ブロア35の駆動を継続させて、オン状態に設定されている第2実行フラグがあるか(第2換気制御処理が実行されたか)否かを判定する(ステップS53)。
オン状態に設定されている第2実行フラグがある(第2換気制御処理が実行された)場合(ステップS53:YES)には、排気ブロア38及び給排気ブロア41を停止させるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32を閉止状態に設定させる(ステップS54)。
排気ブロア38及び給排気ブロア41を停止させるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32を閉止状態に設定させると、換気判定テーブル及び処理情報テーブルに記憶された各種フラグを全てオフ状態に設定して(ステップS55)、本処理を終了する。
一方、オン状態に設定されている第2実行フラグがない(第2換気制御処理は実行されていない)場合(ステップS53:NO)には、換気判定テーブル及び処理情報テーブルに記憶された各種フラグを全てオフ状態に設定して(ステップS55)、本処理を終了する。
上記のように構成されたHVACシステム1では、第1換気制御処理が実行されておらず二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えている場合、及び第1換気制御処理が実行された後に温度制御処理が実行された場合には、第1実行条件が成立すると判断され、第1換気制御処理が実行されて、必要給気量の外気が車室5内へ供給される。
第1換気制御処理では、温度制御処理において内外気切り替えダンパ26が内外連通状態に設定され、且つ給気ブロア35が駆動されていない場合には、給気ブロア35が駆動され、温度制御処理において内外気切り替えダンパ26が内外連通状態に設定され、且つ給気ブロア35が必要給気量以上の風量を送風する回転数で駆動された場合には、給気ブロア35の駆動が継続される。この場合、必要給気量の外気は、第1の通気路を介して車室5内へ供給される。また、温度制御処理において内外気切り替えダンパ26が内々連通状態に設定されている場合には、第1換気制御処理では、給排気ブロア41が給気駆動状態で駆動されるとともに、給排気ダンパ32が開放状態に設定される。この場合、必要給気量の外気は、第3の通気路を介して車室5内へ供給される。また、温度制御処理において内外気切り替えダンパ26が内外連通状態に設定され、且つ給気ブロア35が0を超え必要給気量未満の風量を送風する回転数で駆動された場合には、第1換気制御処理では、給気ブロア35の駆動が継続され、給排気ブロア41が給気回転状態で駆動されるとともに、給排気ダンパ32が開放状態に設定される。この場合、必要給気量の外気は、第1の通気路及び第3の通気路を介して必要給気量の外気が車室5内へ供給される。
また、最初の第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して直前の二酸化炭素濃度以上となる場合、及び第1換気制御処理が実行されて第2換気制御処理が実行された後に再度第1換気制御処理が実行された場合には、第2実行条件が成立すると判断され、第2換気制御処理が実行されて、必要排気量の内気がキャブ3の外部へ排出されて必要給気量を超える風量の外気が車室5内へ供給される。
第2換気制御処理では、第1換気制御処理において給排気ブロア41が駆動されていない場合には、排気ブロア38及び給排気ブロア41が駆動されるとともに、排気ダンパ29及び給排気ダンパ32が開放状態に設定される。この場合、必要排気量の内気は、第2の通気路及び第3の通気路を介してキャブ3の外部へ排出される。また、第1換気制御処理において給排気ブロア41が駆動された場合には、第2換気制御処理では、排気ブロア38が駆動されるとともに、排気ダンパ29が開放状態に設定される。この場合、必要排気量の内気は、第2の通気路を介してキャブ3の外部へ排出される。
また、最初の第1換気制御処理が実行された後の二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度以下となる場合には、第3実行条件が成立すると判断され、第3換気制御処理が実行されて、必要給気量の外気の供給及び必要排気量の内気の排出が終了される。
第3換気制御処理では、給気ブロア35が温度制御処理において駆動されず第1換気制御処理において駆動された場合には、給気ブロア35が停止される。また、第2換気制御処理が実行された場合には、排気ブロア38及び給排気ブロア41が停止されて排気ダンパ29及び給排気ダンパ32が閉止状態に設定される。
このように、本実施形態のHVACシステム1によれば、二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えている場合には、第1換気制御処理が実行されて、必要給気量の外気が車室5内へ供給されるので、内気の二酸化炭素濃度を低下させて車室5内の空気質を良好な状態に維持することができる。
また、第1換気制御処理が実行されて必要給気量の外気が車室5内へ供給されても内気の二酸化炭素濃度が低下しない場合には、第2換気制御処理が実行されて、必要排気量の内気がキャブ3の外部へ排出されて必要給気量を超える風量の外気は車室5内へ供給されるので、二酸化炭素濃度が必要給気量の外気の供給のみでは低下させることができない程度に大きな割合で増加している場合であっても、内気の二酸化炭素濃度を低下させて車室5内の空気質を良好な状態に維持することができる。
また、第1換気制御処理が実行された後に温度制御処理が実行されると、再度第1換気制御処理が実行され、第2換気制御処理が実行された後に第1換気制御処理が実行されると、再度第2換気制御処理が実行されるので、乗員の意思に従って車室5内の温度制御処理を行いつつ、車室5内の換気も確実に行うことができる。
また、必要給気量の外気が車室5内へ供給されても内気の二酸化炭素濃度が低下しない場合には、外気の供給に加えて内気の排出が行われるので、内気の二酸化炭素濃度を低下させる効果が向上し、内気の二酸化炭素濃度を迅速に低下させることができる。
また、二酸化炭素濃度が所定回数連続して要換気濃度を超えている場合に必要給気量の外気の供給が開始され、必要給気量の外気が供給されても内気の二酸化炭素濃度が低下しないときに必要排気量の内気の排出が開始されるので、不要な空気置換を無くすことができ、更に、各ブロア35,38,41の駆動を最小限に抑えることができ、本システム1のエネルギー消費を低減させることができる。
また、車室5内の温度調整のために給気ブロア35が駆動されている場合や、インストルメントパネル7の吹き出し口8から車室5内へ吹き出させる空気を内気とする内気循環状態に設定されて内外気切り替えダンパ26が内々連通状態に設定されている場合には、第3の通気路を介して必要給気量の一部又は全部が供給されるので、乗員の温度調整処理に対する意思を優先しつつ、必要給気量の外気を確実に供給させることができる。
また、キャブ3の上部に形成されて乗員の上方に位置する第3の通気路を、外気の供給に使用していない場合には第2の通気路とともに内気の排出に使用するので、内気の排出を効率よく行うことができる。
また、外気の供給や内気の排出のために第1〜第3の通気路に空気を流通させる通風手段として、3つのブロア35,38,41が用いられるので、必要給気量の外気の供給、及び必要排気量の内気の排出を確実に行うことができる。
また、通風手段として、3つのダンパ26,29,32が用いられ、第2の通気路に設けられる排気ダンパ29及び第3の通気路に設けられる給排気ダンパ32は、排気ブロア38及び給排気ブロア41が駆動されるときにのみ開放状態に設定されるので、不要な空気置換を確実に無くすことができる。
更に、必要給気量及び必要排気量は、乗員数に応じて決定されるので、不要な空気置換や過剰なエネルギー消費を無くしつつ、内気の二酸化炭素濃度を確実に低下させることができる。
なお、本実施形態のHVACシステム1では、換気制御処理が温度制御処理に応じて実行され、温度制御処理が制限なく実行される構成としているが、これに限らず、温度制御処理が制限されて換気制御処理が優先的に実行されるような構成であってもよい。この場合、車室5内とキャブ3の外部とを連通する通気路は、3つ設ける必要はなく、少なくとも2つ設ければよい。
また、必要給気量を超える風量の外気の供給を、給気路に設けられたブロアの駆動を継続したまま排気路に設けられたブロアを駆動させて、必要排気量の内気をキャブ3の外部へ排出することによって行っているが、これに限らず、例えば、排気路に設けられたブロアは駆動させずに給気路に設けられたブロアの回転数を増加させて排気路に設けられたダンパを開放したり、また、排気路に設けられたブロア及びダンパの制御は行わずに給気路に設けられたブロアの回転数を増加させる等、他の方法によって行ってもよい。給気路に設けられたブロアの回転数を増加させるのみによって、必要給気量を超える風量の外気を供給させる場合には、通気路は、少なくとも1つ設ければよい。
また、必要給気量及び必要排気量は、乗員数に応じて決定されることに限定されず、乗員数に関わらず一定の値であってもよい。
また、通風手段として、3つのダンパ26,29,32及び3つのブロア35,38,41を用いているが、これに限定されず、ダンパのみであってもよく、ブロアのみであってもよく、また他の機器等であってもよい。ダンパのみを用いる場合には、ダンパの開度を調整することによって通風量を調節して、必要供給量の給気及び必要排気量の排気を行う。
また、内気の汚染度として、空気中の汚染具合の総合的な指標とされる二酸化炭素濃度を検出しているが、これに限らず、二酸化炭素以外の物質の濃度を検出してもよく、複数の物質の濃度を検出してもよい。
また、本実施形態では、車室5内の温度調整を行うためのHVACシステム1に本発明の換気装置を適用しているが、温度調整を行うためのHVACシステムとは独立した装置として本発明の換気装置を車両2に設けてもよい。
更に、本発明の換気装置は、本実施形態のように、車室5の換気を行うためのみに用いることに限定されず、他の乗物や建物内の空間の換気を行うために用いてもよい。
上記実施形態は、本発明の一例であり、本発明を逸脱しない範囲において変更可能である。