実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。図1は、実施の形態1に係る倒立型移動体(倒立振り子型乗り物)の構成例を示した外観図である。倒立型移動体10は、搭乗台11、乗車検出センサ12(乗車検出部)、駆動モジュール13、地面接地モジュール14(接地部)及び地面接地モジュール15を備える。倒立型移動体10には搭乗者100が搭乗しており、倒立型移動体10は静止した状態(静安定の状態)で、地面200に接地している。
搭乗台11は、搭乗者100が倒立型移動体10において搭乗する部分である。なお、図1では、搭乗者100は直立した状態で両足を搭乗台11に乗せている。
乗車検出センサ12は、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したことを検出するセンサであり、搭乗台11の上部に設けられている。乗車検出センサ12は、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したことを検出した場合に乗車検出スイッチ(SW)をオンに、倒立型移動体10に搭乗していないことを検出した場合に乗車検出SWをオフにする。
ここで、乗車検出センサ12は、搭乗者100の片足だけが搭乗台11に乗った場合(即ち搭乗者100の体重の一部だけが乗車検出センサ12にかかった場合)に、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したとは検出しないようにする。例えば乗車検出センサ12は、搭乗者100の体重の情報を記憶しておき、乗車検出センサ12にかかった荷重が記憶した体重と略一致した場合に、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したと判定してもよい。
乗車検出センサ12は、例えば、所定の閾値以上の重さを検出することにより乗車検出SWをオンにするようなスイッチから構成されてもよい。他の例では、乗車検出センサ12は、荷重が測定可能であり、搭乗者100と同程度の荷重が垂直にかかったことを検出した場合に、乗車検出SWをオンにするような重量計から構成されてもよい。乗車検出センサ12は、以上に説明した例に限られず、ソフト、ハード、又はその両方から構成することができる。
なお、乗車検出センサ12は、搭乗者100が搭乗したときに搭乗者100の両足の下にあるのであれば、搭乗台11の下部に設けられていてもよいし、搭乗台11内部に内蔵されていてもよい。乗車検出センサ12は、搭乗者100の右足及び左足が搭乗台11に乗る領域(左右の領域)にそれぞれ1つずつ設けられることにより、2つのセンサにかかる荷重を合計して測定してもよい。あるいは、右足及び左足にかかる搭乗者100の荷重を1つの乗車検出センサ12で計測してもよい。
駆動モジュール13は、倒立型移動体10を駆動するために必要な機構が搭載されたモジュールであり、搭乗台11の上部に設けられている。ただし、駆動モジュール13が設けられる場所は搭乗台11の上部に限られず、搭乗台11の下部であってもよいし、搭乗台11内部であってもよい。
図2は、駆動モジュール13の構成例を示したブロック図である。駆動モジュール13は、制御装置16、姿勢角度センサ17(接地状態検出部)及びモータ駆動装置18を備える。
制御装置16は、乗車検出センサ12及び姿勢角度センサ17の検出結果に応じて、後述する地面接地モジュール15のロック状態を制御する。さらに、制御装置16は、モータ駆動装置18を動作させて、倒立型移動体10の倒立制御を実行するほか、倒立型移動体10の走行を制御する。制御装置16は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成される。
制御装置16は、倒立型移動体10において倒立制御がなされている場合に、倒立型移動体10の傾きに応じて、倒立型移動体10が動く向きを変更する。倒立型移動体10の前方が地面の向きに傾いている場合には、制御装置16は倒立型移動体10を前方に進ませるように制御する。倒立型移動体10の後方が地面の向きに傾いている場合には、制御装置16は倒立型移動体10を後方に進ませるように制御する。倒立型移動体10がフラット(地面200に対して平行)な場合には、制御装置16は倒立型移動体10を停止させる。
なお、制御装置16は、乗車検出センサ12及び姿勢角度センサ17の検出結果に基づいて、搭乗者100の乗車動作が完了したか否かを判定し、乗車検知フラグを設定する。制御装置16は、搭乗者100の乗車動作が完了したと判定した場合には乗車検知フラグをオンに設定し、搭乗者100の乗車動作が完了していないと判定した場合には乗車検知フラグをオフに設定する。この詳細については後述する。
姿勢角度センサ17は、倒立型移動体10の姿勢角度を判定する。具体的には、姿勢角度センサ17は、倒立型移動体10(搭乗台11)の前後方向の角度(地面に対する角度)を検出する。換言すれば、姿勢角度センサ17は、倒立型移動体10のピッチ軸方向の角度を検出する。
また姿勢角度センサ17は、地面接地モジュール14が地面に接地しているときの倒立型移動体10の姿勢角度を記憶する記憶装置と、記憶された姿勢角度と現在の姿勢角度とを比較して地面接地モジュール14が地面接地状態であるか否かを判定する判定装置とを備える。姿勢角度センサ17は、地面接地モジュール14が地面に接地する姿勢角度を予め計測しておき、現在の姿勢角度をモニタリングすることによって、地面接地モジュール14が接地されているか否かを検出する。
姿勢角度センサ17は、地面接地モジュール14が地面に接地したことを検出した場合には接地フラグをオンにし、地面接地モジュール14が地面に接地していないことを検出した場合には接地フラグをオフにする。制御装置16は、この接地フラグのオン又はオフの継続時間をカウントする。
モータ駆動装置18は、制御装置16の制御に基づいて、倒立型移動体10を前進又は後退させるモータを駆動させる装置である。なお、モータは、少なくとも地面接地モジュール15に備えられている。
図1に戻り、説明を続ける。地面接地モジュール14は、地面200に接地され、倒立型移動体10を支持するモジュールである。地面接地モジュール14は、倒立型移動体10の前部であって、搭乗台11の下部に設けられている。地面接地モジュール14は、倒立型移動体10の前部かつ搭乗台11の下部に1つだけ設けられてもよいし、複数設けられていてもよい。
地面接地モジュール15は、地面200に接地され、倒立型移動体10を支持するモジュールである。地面接地モジュール15は、倒立型移動体10の後部であって、搭乗台11の下部に設けられている。地面接地モジュール15は、倒立型移動体10の後部かつ搭乗台11の下部に1つだけ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
図1の状態では、地面接地モジュール14及び15がともに地面に接地している。地面接地モジュール14及び15は、倒立型移動体10が地面200に沿って円滑に前進又は後退するための車輪を、少なくとも1つ有している。ここで地面接地モジュール14に備えられた車輪は、地面接地モジュール15に備えられた車輪よりも小径である。
なお、地面接地モジュール15はアクチュエータ(駆動モータ)を備える。駆動モータは、モータ駆動装置18により駆動される。換言すれば、地面接地モジュール15は駆動輪を備えており、従って、倒立型移動体10は1つ以上の駆動輪を有している。地面接地モジュール14は、アクチュエータを備えていない。換言すれば、地面接地モジュール14は駆動輪を備えていない。
例えば、倒立型移動体10は、後部に2輪の駆動輪を、前部に2輪の駆動輪でない車輪を有していてもよい。ここで後部の2輪の駆動輪は、1つの地面接地モジュール15が備えていてもよいし、2つの地面接地モジュール15が1輪ずつ駆動輪を備えていてもよい。前部の2輪の車輪についても同様である。
さらに、地面接地モジュール15の備える車輪のうち少なくとも1つについては、ロック状態又は非ロック状態を制御装置16により制御することができる。車輪がロック状態の場合には、車輪が転がることができないため倒立型移動体10は動くことができない。しかし、車輪が非ロック状態の場合には、倒立型移動体10は動くことができる。ロック状態又は非ロック状態を切り替える車輪は、例えば駆動輪(複数の駆動輪がある場合は全て又はその一部)である。
なお、地面接地モジュール14及び15が平坦な地面200に接地している場合に、倒立型移動体10は、いわゆる前のめりの状態になる。つまり、倒立型移動体10は、接地の際に前方が地面200の側に傾斜する。
以下、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗の際に、倒立型移動体10の各部が実行する処理について説明する。搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗する前は、倒立型移動体10の車輪のうち少なくとも1つは制御装置16によりロック状態に制御されている。そのため、倒立型移動体10は動くことができない。
この状態で、以下の条件を満たした場合に、制御装置16は車輪のロックを解除して、倒立型移動体10の倒立制御を開始する。
・乗車検出センサ12が、搭乗者が乗車したことを検出する
・姿勢角度センサ17が、一定時間地面に接地していることを検出する
・地面接地モジュール14が一定時間地面に接地した状態から、地面から離れたことを姿勢角度センサ17が検出する
図3は、倒立型移動体10が倒立制御をしたときの外観図である。この動的に安定な状態において、地面接地モジュール15は接地しているが、地面接地モジュール14は接地していない。この状態から、倒立型移動体10は、搭乗者100の重心の制御に応じて、前進又は後退することができる。なお、走行中は、倒立型移動体10は前後方向に対して動的に不安定な状態になる。
図4A及び図4Bは、倒立型移動体10の制御の一例を示したフローチャートである。以下、倒立型移動体10の制御処理について説明する。
最初に、制御装置16は、地面接地モジュール15の車輪のうち少なくとも1つをロック状態に制御している(ステップS1)。このため、倒立型移動体10は前進や後退をすることができない。
次に、乗車検出センサ12は、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したか否かを検出し、乗車検出SWを設定する。制御装置16は、この乗車検出SWを取得する(ステップS2)。制御装置16は、この乗車検出SWに基づいて、搭乗者が存在しているか否かを判定する(ステップS3)。
乗車検出SWがオフである(即ち乗車検出センサ12の検出結果が搭乗者の存在を示すものではない)場合(ステップS3のNo)、乗車検出センサ12は再度検出処理を行い、制御装置16は乗車検出SWを取得する(ステップS2)。そして制御装置16はステップS3の判定を再度実行する。
乗車検出SWがオンである(即ち乗車検出センサ12の検出結果が搭乗者の存在を示すものである)場合(ステップS3のYes)、制御装置16は、姿勢角度センサ17が検出した地面接地モジュール14の地面への接地状態についての情報を取得する(ステップS4)。
制御装置16は、姿勢角度センサ17が設定した接地フラグが一定時間以上オンであるか否かを判定する(ステップS5)。
姿勢のバランスを保つ能力が低い人が搭乗者100として倒立型移動体10に乗車するような場合、乗車の際に倒立型移動体10が揺れることにより、接地フラグのオンとオフが短い時間に切り替わることが想定される。搭乗者100が倒立型移動体10上で姿勢のバランスを保つことができた場合(即ち搭乗者100の乗車動作が完了した場合)には、接地フラグは一定時間以上オンとなる。
接地フラグがオンである時間が一定時間未満である場合(即ち搭乗者100の乗車動作が完了していない場合)には(ステップS5のNo)、乗車検出センサ12は再度検出処理を行い、制御装置16は乗車検出SWを取得する(ステップS2)。そして制御装置16はステップS3の判定を再度実行する。
接地フラグがオンである時間が一定時間以上である場合(即ち搭乗者100の乗車動作が完了した場合)には(ステップS5のYes)、制御装置16は、乗車検知フラグをオフからオンにする(ステップS6)。
次に、制御装置16は、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したか否かを示す乗車検出SWを再度取得する(ステップS7)。制御装置16は、この乗車検出SWに基づいて、搭乗者が存在しているか否かを判定する(ステップS8)。
これらの処理がなされる理由は、搭乗者100の乗車動作が完了したと判定された場合でも、搭乗者100が既に存在していない可能性があるためである。搭乗者100が既に存在していない場合には、倒立型移動体10が倒立制御をする必要がなくなる(倒立制御の処理が無駄になってしまう)。
乗車検出SWがオフである(即ち乗車検出センサ12の検出結果が搭乗者の存在を示すものではない)場合(ステップS8のNo)、制御装置16は、乗車検知フラグをオンからオフに設定し直す(ステップS9)。そして、乗車検出センサ12は再度検出処理を行い、制御装置16は乗車検出SWを取得する(ステップS2)。
乗車検出SWがオンである(即ち乗車検出センサ12の検出結果が搭乗者の存在を示すものである)場合(ステップS8のYes)、制御装置16は、姿勢角度センサ17が検出した地面接地モジュール14の地面への接地状態についての情報を取得する(ステップS10)。
制御装置16は、接地フラグがオンからオフに変化したか否かを判定する(ステップS11)。ここで、制御装置16は、搭乗者100が地面接地モジュール14を接地状態から地面に接地していない状態に変化させたか否か(搭乗者100が倒立型移動体10を動かそうとして倒立型移動体10の前方を持ち上げるように体重のバランスをとっているか否か)を判定している。換言すれば、制御装置16は、搭乗者100の乗車準備動作が完了したか否かを判定している。
接地フラグがオンのままである場合には(ステップS11のNo)、制御装置16は、搭乗者100が倒立型移動体10に搭乗したか否かを示す乗車検出SWを再度取得する(ステップS7)。
接地フラグがオフに変化した場合には(ステップS11のYes)、制御装置16は、搭乗者100の準備が完了したと判定し、ロックしていた車輪についてロックを解除する(ステップS12)。そして制御装置16は、倒立型移動体10の倒立制御を開始する(ステップS13)。これにより、倒立型移動体10は、図3に示す状態に移行する。なお、制御装置16は、モータ駆動装置18を制御することにより、地面接地モジュール15のアクチュエータモータを駆動させる(即ち駆動輪を駆動させる)。
以上の制御処理により、搭乗者100は、倒立型移動体10に安定して搭乗することができる。
上述の通り、関連技術においては、搭乗者が台車に乗り込むときに、搭乗者の少しの動きで車輪が動いてしまうという第1の問題点があった。さらに、姿勢のバランスを保つ能力が低い人が台車に乗車する場合、台車の後方の車輪側に搭乗者の体重がかかることで、台車が後方に動いてしまうという第2の問題点があった。
実施の形態1にかかる倒立型移動体10においては、搭乗者が乗車する途中の段階では確実に車輪が固定されて動かない。つまり、搭乗者100の動作によっては、倒立型移動体10は動かないため、搭乗者100は安心して倒立型移動体10に乗車できる。そのため、第1の問題点が解決できる。
さらに、倒立型移動体10は、所定時間以上地面接地モジュール14が地面に接地している状態を検出した後、地面接地モジュール14が地面から離れたときに、初めて倒立制御を開始する。換言すれば、利用者が倒立型移動体10を操縦する準備が確認された後に、倒立型移動体10の倒立制御が開始される。そのため、搭乗者100が乗り込む途中で倒立型移動体10の姿勢角や重心の変動が起こっても、倒立型移動体10が倒立制御を行うことはない。さらに、搭乗者100の両足ともに倒立型移動体10に乗車していることが人の搭乗を判定する条件であるために、搭乗者100が片足を乗車しているとき(乗車途中)に、不意に倒立が開始されることがない。そのため、利用者がバランスを崩すことを防ぐことができ、第2の問題点も解決できる。
実施の形態2
以下、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
実施の形態2にかかる倒立型移動体20は、搭乗台21、乗車検出センサ22、駆動モジュール23、地面接地モジュール24及び25を備える。駆動モジュール23は、制御装置26及びモータ駆動装置27を備える。搭乗台21、乗車検出センサ22、駆動モジュール23、地面接地モジュール24、25、制御装置26及びモータ駆動装置27は、それぞれ実施の形態1にかかる搭乗台11、乗車検出センサ12、駆動モジュール13、地面接地モジュール14、15、制御装置16及びモータ駆動装置18に対応する。実施の形態2に係る倒立型移動体20の外観例は、図1と同様であるため、説明を省略する。
ここで乗車検出センサ22は、搭乗者100が倒立型移動体20に搭乗したことを検出するセンサであり、搭乗者100が倒立型移動体20に搭乗したことを検出した場合に乗車検出スイッチ(SW)をオンに、倒立型移動体20に搭乗していないことを検出した場合に乗車検出SWをオフにする。
さらに乗車検出センサ22は、搭乗台21に搭乗した搭乗者100の重心位置を検出可能である。具体的には、乗車検出センサ22は、搭乗者100の重心の位置が乗車検出センサ22の前部又は後部のいずれにあるか、また前後どちらに重心の位置が移動したかを判定する。
乗車検出センサ22はこの判定により、地面接地モジュール24への荷重のかけ具合を判定する。地面接地モジュール24に荷重がかかっていない場合は、地面接地モジュール24が地面に接地しておらず、地面接地モジュール24に荷重がかかっている場合は、地面接地モジュール24が地面に接地している。乗車検出センサ22は、地面接地モジュール24に荷重がかかっていない場合(地面接地モジュール24が地面に接地していないことを検出した場合)には接地フラグをオンにし、地面接地モジュール24に荷重がかかっている場合(地面接地モジュール24が地面に接地していることを検出した場合)には接地フラグをオフにする。
乗車検出センサ22は、倒立型移動体20の前方に搭乗者100の重心がある場合に接地フラグをオンとし、倒立型移動体20の後方に搭乗者100の重心がある場合に接地フラグをオフとする。さらに、乗車検出センサ22は、重心が倒立型移動体20の前方から後方に移動した場合に接地フラグをオン→オフと設定する。制御装置26は、この接地フラグのオン又はオフの継続時間をカウントする。
このように実施の形態2においては、乗車検出センサ22の検出結果により、接地フラグのオン・オフが設定される。従って、倒立型移動体20は、実施の形態1における姿勢角度センサ17を備える必要がない。
なお、その他の倒立型移動体20の構成要素については、倒立型移動体10の構成要素と同様であるため、説明を省略する。
倒立型移動体20の制御の概要は、図4A及び図4Bに示した通りである。姿勢角度センサ17に代えて乗車検出センサ22が接地フラグを設定しており、制御装置26は乗車検出センサ22から接地フラグの情報を取得していることが、倒立型移動体20の処理と、実施の形態1に記載した倒立型移動体10の処理との相違点になる。
以上のように、接地フラグを乗車検出センサ22により設定するようにしても、搭乗者100は、倒立型移動体10に安定して搭乗することができる。
実施の形態3
以下、図面を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
図5は、実施の形態3に係る倒立型移動体の構成例を示した外観図である。実施の形態3にかかる倒立型移動体30は、搭乗台31、乗車検出センサ32、駆動モジュール33、地面接地モジュール34、35及び接地検出センサ38を備える。
搭乗台31、乗車検出センサ32、駆動モジュール33、地面接地モジュール34及び35は、それぞれ実施の形態1にかかる搭乗台11、乗車検出センサ12、駆動モジュール13、地面接地モジュール14及び15に対応する。
図5において、地面接地モジュール34の接地面には、地面接地モジュール34が地面に接地したか否かを検出可能な接地検出センサ38が設けられている。接地検出センサ38の検出結果は、制御装置36に出力される。接地検出センサ38は例えば荷重検出センサにより構成される。この場合、荷重検出センサにより所定の荷重が検出された場合には、接地検出センサ38は地面接地モジュール34が地面に接地したことを検出することになる。
なお、接地検出センサ38は、地面接地モジュール34がどの箇所で地面に接地しても接地を検出できるよう、十分な数が地面接地モジュール34に設けられている。
接地検出センサ38は、地面接地モジュール34が地面に接地したことを検出した場合には接地フラグをオンにし、地面接地モジュール34が地面に接地していないことを検出した場合には接地フラグをオフにする。制御装置26は、この接地フラグのオン又はオフの継続時間をカウントする。
このように実施の形態3においては、接地検出センサ38の検出結果により、接地フラグのオン・オフが設定される。従って、倒立型移動体30は、実施の形態1における姿勢角度センサ17を備える必要がない。
駆動モジュール33は、制御装置36及びモータ駆動装置37を備える。制御装置36及びモータ駆動装置37は、それぞれ実施の形態1にかかる制御装置16及びモータ駆動装置18に対応する。なお、接地検出センサ38以外の倒立型移動体30の構成要素については、倒立型移動体10の構成要素と同様であるため、説明を省略する。
倒立型移動体30の制御の概要は、図4A及び図4Bに示した通りである。姿勢角度センサ17に代えて接地検出センサ38が接地フラグを設定しており、制御装置26は接地検出センサ38から接地フラグの情報を取得していることが、倒立型移動体30の処理と、実施の形態1に記載した倒立型移動体10の処理との相違点になる。
以上のように、接地フラグを接地検出センサ38により設定するようにしても、搭乗者100は、倒立型移動体30に安定して搭乗することができる。
なお、接地検出センサ38は地面接地モジュール34ではなく、搭乗台31において地面接地モジュール34と接続している箇所に設けられていてもよい。このような箇所に設けられていても、接地検出センサ38は、地面接地モジュール34が地面に接地したか否かを、地面接地モジュール34からかかる力により検出することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施の形態1〜3においては地面接地モジュール15がアクチュエータを備えるとしたが、地面接地モジュール14もアクチュエータを備えてもよい。また、制御装置16は、地面接地モジュール15だけでなく、地面接地モジュール14における車輪もロックしてもよい。
実施の形態1〜3において、地面接地モジュール14は車輪を有さない構成であってもよい。地面接地モジュール14は、倒立型移動体が移動する場合に接地する箇所ではないため、車輪を有さなくても移動には支障がない。
図6は、実施の形態1にかかる倒立型移動体10において、地面接地モジュール14を直方体状のバーにより構成したときの倒立型移動体10の外観例である。地面接地モジュール14を車輪以外のもので構成することにより、地面接地モジュール14の接地時の静摩擦力を大きくすることができる。そのため、接地時に倒立型移動体10が不意に動作することを抑制することができる。
図7は、図6に示した倒立型移動体10が倒立制御をしたときの外観図である。この状態において地面接地モジュール14は接地していないため、倒立型移動体10は、搭乗者100の制御に応じて、前進又は後退することができる。
さらに、実施の形態1〜3において、倒立型移動体はその接地時に後方が地面200の側に傾斜する構成であってもよい。即ち、地面接地モジュール15は倒立型移動体の接地時に接地し、倒立型移動体の移動時(倒立制御時)において地面から離れる。この場合、実施の形態2及び3における処理は、以下の点だけが異なる。
実施の形態2において姿勢角度センサ17は、搭乗者100が倒立型移動体20に搭乗したことを検出するほか、搭乗台21に搭乗した搭乗者100の重心位置を検出することができる。乗車検出センサ22は、搭乗者100の重心の位置が乗車検出センサ22の前部又は後部のいずれにあるか、また前後どちらに重心の位置が移動したかを判定する。地面接地モジュール25に荷重がかかっていない場合は、地面接地モジュール25が地面に接地しておらず、地面接地モジュール24に荷重がかかっている場合は、地面接地モジュール25が地面に接地している。乗車検出センサ22は、地面接地モジュール25が地面に接地したことを検出した場合には接地フラグをオンにし、地面接地モジュール25が地面に接地していないことを検出した場合には接地フラグをオフにする。
ここで乗車検出センサ22は、倒立型移動体20の後方に搭乗者100の重心がある場合に接地フラグをオンとし、倒立型移動体20の前方に搭乗者100の重心がある場合に接地フラグをオフとする。さらに、乗車検出センサ22は、重心が倒立型移動体20の後方から前方に移動した場合に接地フラグをオン→オフと設定する。
実施の形態3において接地検出センサ38は、地面接地モジュール35の接地面に設けられる。これにより、接地検出センサ38は、地面接地モジュール35が接地したか否かを検出することができる。