JP6119580B2 - 倒立型移動体の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は倒立型移動体に関し、特に倒立型移動体の制御方法に関する。
近年、人を搭乗させて走行する移動体が開発されている。
例えば、ジャイロセンサや加速度センサなどを用いて自己の姿勢情報を検出し、検出した姿勢情報に基づいて駆動制御を行う移動体が開発されている。これらの移動体では、ジャイロセンサと加速度センサの検出信号から自己の姿勢情報を検出して、自己の姿勢を保つようにモータへの回転指令(具体的には、トルク指令、速度指令、位置指令)を演算し、モータ制御装置へ回転指令データを送信する。したがって移動体は、フィードバック制御により自己の姿勢を保ち、搭乗者の重心姿勢変化により走行することができる。
特許文献1は、倒立制御を行う同軸二輪車としての移動体の制御方法を開示している。特許文献1に開示された移動体は、車体と、左右の駆動輪と、駆動輪を制御する制御手段と、駆動輪の前側又は後側に配置された補助輪と、車体の前後方向への傾動を検出する検出手段を備える。制御手段は、検出手段の検出結果に基づいて、補助輪が接地しているか否かを判断し、補助輪が接地していると判断すると非倒立制御状態とし、補助輪が接地していないと判断すると倒立制御状態とする。
特開2011−201386号公報
しかし、そのような移動体をユーザが押したり引いたりして運搬する場合、補助輪が地面から離れると意図せずに倒立制御が開始されるため、運搬しにくいことがある。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、倒立型移動体を容易に運搬することができる倒立型移動体の制御方法を提供することを目的とする。
搭乗台と、地面接地モジュールとしての駆動輪と、前記駆動輪の前側又は後側に配置された他の地面接地モジュールとしての補助ユニットとを備える倒立型移動体の制御方法が提供される。前記補助ユニットが接地していない且つ前記搭乗台に搭乗者が乗車していることを検知した場合に倒立制御を開始する。
本発明によれば、倒立型移動体の運搬の際に倒立制御が開始されることがなくなるため、倒立型移動体を容易に運搬することができる。
実施の形態1にかかる倒立型移動体において補助ユニットが降りている状態を示す概略図である。 実施の形態1にかかる倒立型移動体において補助ユニットが上がっている状態を示す概略図である。 実施の形態1にかかる倒立型移動体の制御系の概略図である。 実施の形態1にかかる倒立型移動体の制御方法を示すフロー図である。 実施の形態2にかかる倒立型移動体においてアクチュエータと駆動輪を接続した状態を示す概略図である。 実施の形態2にかかる倒立型移動体においてアクチュエータと駆動輪を切り離した状態を示す概略図である。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる倒立型移動体1の概略図である。倒立型移動体1は、車体10と、搭乗者が乗車(搭乗)する搭乗台11と、左側の駆動輪21と、右側の駆動輪22と、ハンドル40と、補助ユニット50と、昇降機構55とを備える。駆動輪21及び22は、地面接地モジュールである。補助ユニット50は、他の地面接地モジュールである。駆動輪21及び22は、同一軸線上に配置される。補助ユニット50は、駆動輪21及び22と異なる軸に配置される。図1では、補助ユニット50は、駆動輪21及び22の前側に配置される。補助ユニット50は、例えば、補助バーである。昇降機構55は、補助ユニット50を搭乗台11に対して昇降する。
図1は、補助ユニット50が搭乗台11に対する下端位置に降りていて、駆動輪21及び22と補助ユニット50が地面99に接地した状態を示している。地面99が水平な平坦面の場合、下端位置の補助ユニット50と駆動輪21及び22が地面99に接地した状態では、倒立型移動体1は中立位置から補助ユニット50側にわずかに傾斜しており、搭乗台11の上面は概ね水平である。
図2は、補助ユニット50が搭乗台11に対する上端位置に上がっていて、補助ユニット50が地面99から離れた状態を示している。距離Lは、補助ユニット50と地面99との間の距離を表している。補助ユニット50を昇降することで、距離Lを変更することができる。
図3は、倒立型移動体1の制御系の概略図である。倒立型移動体1の制御系は、姿勢角度センサ71と、乗車検出センサ72と、補助ユニット位置センサ73と、距離センサ74と、制御装置60と、左側の駆動輪21と、左側の駆動輪21を駆動するアクチュエータ31と、右側の駆動輪22と、右側の駆動輪22を駆動するアクチュエータ32を備える。なお、ここでは図示していないが、倒立型移動体1の制御系は、駆動輪21及び22の回転角度又は回転角速度を測定できるセンサー(エンコーダ、レゾルバなど)を備えている。
姿勢角度センサ71は、車体10に設置され、車体10のピッチ方向の姿勢角度(前後方向の傾斜角度)を検出する。乗車検出センサ72は、搭乗台11に搭乗者が乗車しているかどうかを検知するために用いられる。乗車検出センサ72は、例えば、搭乗台11に作用する荷重を検出するロードセルを備える。補助ユニット位置センサ73は、補助ユニット50の搭乗台11に対する位置を検出する。補助ユニット位置センサ73は、例えば、補助ユニット50が上端位置及び下端位置にあることをそれぞれ検出する2つのリミットスイッチを備える。距離センサ74は、補助ユニット50と地面99との間の距離Lを検出する。制御装置60は、姿勢角度センサ71、乗車検出センサ72、補助ユニット位置センサ73、及び距離センサ74の検出結果に基づいて、アクチュエータ31及び32を制御する。
次に、倒立型移動体1の使用態様について説明する。
搭乗者が倒立型移動体1に乗車して走行する際は、倒立型移動体1の前後方向の傾斜により保持ユニット50が地面99にひっかかるリスクが少なくなるように、補助ユニット50を上端位置に配置して補助ユニット50を地面99から離し、駆動輪21及び22のみが地面99に接地するようにする。倒立型移動体1は、前後に動的に不安定な倒立振り子型乗り物であるので、制御装置60は倒立制御を行って倒立型移動体1の姿勢を安定させる。具体的には、制御装置60は、姿勢角度センサ71に基づいて得られた信号に所定の制御ゲインを乗じ、倒立状態を維持するための駆動輪21及び22の駆動量を算出する。制御装置60は、算出された駆動量に応じてアクチュエータ31及び32を制御して、駆動輪21及び22の回転駆動を制御することで、倒立状態を維持する。搭乗者の重心移動により倒立状態を維持しながら、前進、後退、停止等の制御を行うことができる。
搭乗者が倒立型移動体1に乗り込む際は、図1に示すように、補助ユニット50を下端位置に配置し、補助ユニット50と駆動輪21及び22を地面99に接地させることで、搭乗台11の傾斜が小さい状態で搭乗台11の姿勢を静的に安定させる。更に、アクチュエータ31及び32が駆動輪21及び22をロックすることで、倒立型移動体1が前後に動くことを防止する。このようにすることで、リハビリ患者のようなバランスをとることが困難な人でも安心して倒立型移動体1に乗り込むことができる。
搭乗者が安心して倒立型移動体1に乗り込むためには、補助ユニット50が地面99に接地していることが条件になる。この条件を満たすためには、補助ユニット50と地面99との距離Lが0であることを保証する必要がある。また、搭乗台11の傾斜が小さく静的に安定していること(補助ユニット50が地面99に接地していること)が、リハビリ患者が倒立型移動体1に乗り込むことができるための条件になる。
以上のことから、搭乗者が倒立型移動体1に安心して乗り込むための条件は、補助ユニット50が下端位置に下がっていること、及び、搭乗台11の傾斜が小さいことを含む。倒立型移動体1に乗り込むことが可能な状態は、例えば、次の2つの方法により推定することができる。第1の方法は、補助ユニット位置センサ73で補助ユニット50が下端位置にあることを検出すること、及び、距離センサ74で検出した補助ユニット50と地面99との距離Lが0であることを確認すること、を含む。第2の方法は、補助ユニット位置センサ73で補助ユニット50が下端位置にあることを検出すること、及び、姿勢角度センサ71の検出結果から補助ユニット50が地面99に接地していると推定すること、を含む。
ユーザが倒立型移動体1に乗車せずに押したり引いたりして倒立型移動体1を運搬する際は、図2に示すように、補助ユニット50が地面99と干渉しないように補助ユニット50を上端位置に配置し、アクチュエータ31及び32は駆動輪21及び22をフリーにする。フリーになった駆動輪21及び22は、キャスターのような受動輪として機能する。このとき、倒立制御が開始されると、ユーザは倒立型移動体1を運搬しにくくなる。
ユーザが倒立型移動体1を運搬する際に倒立制御が開始されることを防止するため、制御装置60は、補助ユニット50が接地していない且つ搭乗台11に搭乗者が乗車している乗車状態を検知した場合に倒立制御を開始する。換言すると、補助ユニット50が地面99に接地した状態から離れたことと、搭乗者が搭乗台11に乗車していることを検知することを、倒立制御の開始条件としている。したがって、搭乗台11に搭乗者が乗車していない場合は、補助ユニット50が地面99から離れても倒立制御が開始されない。そのため、倒立型移動体1の運搬の際に倒立制御が開始されず、倒立型移動体を容易に運搬することができる。
尚、制御装置60は、姿勢角度センサ71が検出する車体10のピッチ方向の姿勢角度に基づいて、補助ユニット50が地面99に接地しているかどうかを推定することができる。或いは、補助ユニット50の下端に接触センサを設けることにより、補助ユニット50が地面99に接地しているかどうかを検知することも可能である。
また、制御装置60は、搭乗台11に搭乗者が乗車していない非乗車状態かつ、補助ユニット60が上端位置にあることを判定した場合に、駆動輪21及び22の動力をフリーにする制御を実行する。更に、制御装置60は、非乗車状態かつ、補助ユニット50が下端位置にあることを判定した場合に、車輪ロック制御を実行して、駆動輪21及び22の速度を0にする。
制御装置60は、乗車の有無と、補助ユニット50と地面99のクリアランスとによって、以下のように制御を切り替える。制御装置60は、乗車状態で補助ユニット50が地面99から離れると倒立制御を開始する。制御装置60は、非乗車状態で補助ユニット50が地面99に近づくと駆動輪21及び22をロックし、非乗車状態で補助ユニット50が地面99から離れると、駆動輪21及び22のロックを解除してフリーにする。尚、非乗車状態で補助ユニット50が地面99に近づいただけでは駆動輪21及び22をロックせず、搭乗者が部分的に乗った場合(例えば、搭乗者が片足を搭乗台11に載せた場合)に駆動輪21及び22をフリーからロックに切り替えてもよい。
以上より、補助ユニット50が地面99から離れた場合に倒立開始させる制御を変更させることなく、以下の効果を実現できる。ユーザが倒立型移動体1に乗車せずに運搬するときは、倒立制御による倒立型移動体1の挙動を気にすることなく、容易に運搬できる。非乗車状態で補助ユニット50が地面99に接地した場合には、駆動輪21及び22が確実にロックされるので、バランスをとることが困難な人でも倒立型移動体1に安定して乗り込むことができる。乗車状態で補助ユニット50が地面99から離れた場合は、倒立制御を開始できる。
次に、図4を参照して、倒立型移動体1の制御方法を詳細に説明する。
図4は、実施の形態1にかかる倒立型移動体1の制御方法を示すフロー図である。
制御装置60は、乗車検出センサ72の出力信号を取得する(ステップS10)。制御装置60は、乗車判定を実行し、乗車検出センサ72の出力信号に基づいて搭乗台11に搭乗者が乗車しているかを判定する(ステップS12)。搭乗台11に搭乗者が乗車していないと判定した場合(ステップS12、非乗車)はステップS20に進み、搭乗台11に搭乗者が乗車していると判定した場合(ステップS12、乗車)はステップS30に進む。
ステップS20において、制御装置60は、補助ユニット50の状態を取得する。具体的には、制御装置60は、距離センサ74から補助ユニット50と地面99との距離Lを取得する。制御装置60は、ステップS20で取得した距離Lと閾値を比較する(ステップS22)。距離Lが閾値より小さくない場合(ステップS22、NO)、ステップS24に進む。距離Lが閾値より小さい場合(ステップS22、YES)、ステップS26に進む。
ステップS24において、制御装置60は、駆動輪21及び22をフリーにするために車輪フリー制御を実行する。具体的には、制御装置60は、駆動輪21及び22が外力により自由に回転できるように、アクチュエータ31及び32の動力遮断又はサーボオフを実行する。或いは、制御装置60は、駆動輪21及び22に外力が作用したのを検知した場合、アクチュエータ31及び32に外力の作用方向のトルクを駆動輪21及び22に付与させてもよい。ステップS24が実行されると、図2に示すように、ユーザは倒立型移動体1を容易に運搬することができる。
ステップS26において、制御装置60は、駆動輪21及び22をロックするために車輪ロック制御を実行する。具体的には、制御装置60は、アクチュエータ31及び32を制御して、駆動輪21及び22をその場にとどまらせる。もしくは、制御装置60は、アクチュエータ31及び32を制御して、駆動輪21及び22の速度を0にする。ステップS26が実行されると、図1に示すように、ユーザは倒立型移動体1に安心して乗り込むことができる。
ステップS30は、ステップS20と同様であるので説明を省略する。制御装置60は、ステップS30で取得した距離Lと閾値を比較する(ステップS32)。距離Lが閾値より大きくない場合(ステップS32、NO)、ステップS34に進む。距離Lが閾値より大きい場合(ステップS22、YES)、ステップS36に進む。
ステップS34において、制御装置60は、低速度で速度抑制された倒立制御を実行する。したがって、倒立型移動体1は、倒立状態を維持しながら、制限速度以下の速度で走行することができる。ただし、倒立型移動体1は、制限速度を超える速度で走行することができない。ステップS36において、制御装置60は、通常倒立制御を実行する。したがって、倒立型移動体1は、倒立状態を維持しながら走行することができる。このとき、倒立型移動体1は、制限速度を超える速度で走行することができる。
尚、ステップS22及びS32においては補助ユニット50が地面99から離れているかどうかを判定できればよいため、補助ユニット50の下端に地面99との接地を検出する接触センサを設け、接触センサの出力信号に基づいて制御を選択してもよい。或いは、姿勢角度センサ71の検出結果から補助ユニット50が地面99に接地しているかどうかを推定してもよい。例えば、制御装置60は、補助ユニット位置センサ73で補助ユニット50が下端位置にあることを検出し、姿勢角度センサ71が検出した姿勢角度が推定地面接地角度である場合に、補助ユニット50が地面99に接地していると推定する。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる倒立型移動体1を説明する。以下、実施の形態1にかかる倒立型移動体1と共通する事項の説明を省略する。実施の形態2にかかる倒立型移動体1は、アクチュエータ31及び32の動力は遮断せずに、メカ構造的に駆動輪21及び22をフリーにする。
図5を参照して、実施の形態2にかかる倒立型移動体1は、接合部81及び82を備える。接合部81及び82は、補助ユニット50の上下動に伴い、アクチュエータ31及び32と駆動輪21及び22を接続した状態と切り離した状態とを切り替える。車輪制御時(車輪ロック制御時、倒立制御時)は、図5に示すように、接合部81はアクチュエータ31と駆動輪21を接続し、接合部82はアクチュエータ32と駆動輪22を接続する。一方、車輪フリー制御時は、図6に示すように、接合部81はアクチュエータ31と駆動輪21を切り離し、接合部82はアクチュエータ32と駆動輪22を切り離す。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、補助ユニット50は、補助輪でもよい。また、補助ユニット50は、駆動輪21、22の後側に配置されてもよい。補助ユニット50は、手動で昇降されてもよい。
1 倒立型移動体
10 車体
11 搭乗台
21、22 駆動輪
31、32 アクチュエータ
40 ハンドル
50 補助ユニット
55 昇降機構
60 制御装置
71 姿勢角度センサ
72 乗車検出センサ
73 補助ユニット位置センサ
74 距離センサ
81、82 接合部
99 地面

Claims (1)

  1. 搭乗台と、地面接地モジュールとしての駆動輪と、前記駆動輪の前側又は後側に配置された他の地面接地モジュールとしての補助ユニットとを備える倒立型移動体の制御方法であって、
    前記補助ユニットが接地していない且つ前記搭乗台に搭乗者が乗車していることを検知した場合に倒立制御を開始し、
    前記補助ユニットが接地しており且つ前記搭乗台に搭乗者が乗車していないことを検知した場合に前記駆動輪をロックする、
    倒立型移動体の制御方法。
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