JP6089921B2 - ガラスペースト - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスペーストに関し、特には環境への負荷が少ない低融点ガラスペーストに関する。
ペースト状の低融点ガラスは、プリント基板上に印刷後、焼き付けて絶縁パターンを形成する、各種表示素子や電子機器においてガラス、セラミックス、金属材料等を気密封止する等の用途に用いられている。このようなガラスペーストとしては、従来、PbO−B系ガラス粉末と、ビヒクルとしてのバインダ樹脂と有機溶剤を含有するものが使用されてきた。
ところが、近年、環境的観点からPbOを実質的に含まないガラスペーストが求められており、例えば、SnO−P系ガラス粉末等を用いたガラスペーストが提案されるようになった。しかしながら、SnO−P系ガラス粉末を含むガラスペーストにおいては、焼成温度が低くビヒクルのバインダ樹脂が十分に分解せず、焼結阻害を起こしやすく十分にガラス化するに至らないという問題があった。この問題を解決するために、SnO−P系ガラス粉末を含むガラスペーストとして、分解温度が低いポリエチレンカーボネート(PEC)をバインダ樹脂としたガラスペースト(例えば、特許文献1参照)やポリプロピレンカーボネート(PPC)をバインダ樹脂としたガラスペースト(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
ここで、SnO−P系ガラス粉末と上記分解温度の低いバインダ樹脂とを含む特許文献1や特許文献2に記載のガラスペーストにおいては、該バインダ樹脂とともにビヒクルを構成する有機溶剤として比較的極性が大きいものが用いられている。しかしながら、SnO−P系ガラス粉末を含有するガラスペーストにおいては、極性の高い有機溶剤を用いると、ガラス粉末が過剰に分散し分離沈降が生じたり、吸湿しやすくガラスペーストの粘度を一定に保てず、印刷用ペーストとしての適性が低くなる等の問題があった。
また、一方では、極性の小さい有機溶剤については、該バインダ樹脂を十分に溶解することができないため、該バインダ樹脂を用いたガラスペーストの適用が困難であった。
特許第4345100号公報 特開2011−178606号公報
本発明は、環境への負荷が少ない低融点ガラスのガラスペーストであって、長期保存において分離沈降もなくその粘度を安定して維持できるとともに、使用に際して吸湿による粘度変化の影響が少ないガラスペーストを提供することを目的とする。
本発明は、ガラス転移点が300℃以下の無鉛ガラスと、ポリプロピレンカーボネートと、totHSPが19.0〜20.0である有機溶剤とを含有するガラスペーストを提供する。ここで、totHSPとは、ハンセンの溶解度パラメータの全溶解度パラメータの大きさを表すものであり、次の計算式で求めることが可能である。
totHSP=sqrt(dD×dD+dP×dP+dH×dH)
dD:分子間の分散力に由来するエネルギー
dP:分子間の極性力に由来するエネルギー
dH:分子間の水素結合力に由来するエネルギー
本発明で規定するtotHSPの値は、ハンセンの溶解度パラメータ計算ソフト HSPiP ver.3.1.19で計算されたものである。また、本明細書において特に断りのない限り、totHSPの値は上記計算ソフトで計算された値である。
本発明のガラスペーストは、好ましくはさらに耐火性フィラーを含有する。
本発明のガラスペーストが含有する上記有機溶剤は、エステル系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記有機溶剤として、具体的には、クエン酸アセチルトリエチル、プロピレングリコールジアセテート、コハク酸ジエチル、エチルカルビトールアセテート、トリアセチン、アジピン酸ジメチル、安息香酸エチルおよび、プロピレングリコールモノフェニルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明のガラスペーストが含有する上記無鉛ガラスとして、具体的には、酸化物基準のモル百分率表示で、Pを20〜50%、SnOを30〜70%の、ZnOを0〜15%、RO(RはLi、NaおよびKからなる群から選ばれる少なくとも1種)を0〜25%、Bを0〜20%、Alを0〜5%、WOを0〜5%含有するガラスが好ましい。さらに、上記組成の無鉛ガラスのうちでも、酸化物基準のモル百分率表示で、Pを20〜37%、SnOを59〜69%、ZnOを2〜7%、Bを0〜15%、Alを0〜2%含有するガラスが好ましい。
本発明のガラスペーストは、環境への負荷が少ない低融点無鉛ガラスのガラスペーストであって、長期保存において分離沈降もなくその粘度を安定して維持できるとともに、使用に際しては吸湿による粘度変化の影響が少ない。
以下に本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、下記説明に限定して解釈されるものではない。
本発明のガラスペーストは、ガラス転移点が300℃以下の無鉛ガラス(A)と、バインダ樹脂(B)と、totHSPが19.0〜20.0である有機溶剤(C)とを含有するガラスペーストである。
本発明のガラスペーストは、PbO等の鉛化合物を実質的に含まないガラス転移点が300℃以下の無鉛ガラス(A)を含有する。本明細書において、鉛化合物を実質的に含まない「無鉛ガラス」とは、ガラス組成中のPbO等の鉛化合物の含有量が1000ppm(質量)以下のガラスを示す。上記無鉛ガラス(A)を用いることにより、本発明のガラスペーストは、環境に与える負荷が少ない。
ガラスペーストは、通常、粉末化したガラスに、バインダ樹脂と有機溶剤とからなるビヒクルを加えてペースト状に調製することで得られる。ガラスペーストは、例えば、絶縁パターンの形成や封着が必要とされる部材に印刷等により層状に供給され、その後、焼成によりガラス質層となり、該ガラス質層が絶縁パターンや封着層として用いられる。ビヒクルは、ガラスペーストが層状に供給された後、仮焼成や焼成等の製造過程で消失しガラス質層には残留しない成分である。以下、ガラスペースト中の成分で、該ガラスペーストを焼成した後も残留する成分を「ガラス質材料」という。
本発明のガラスペーストは、有機溶剤として、totHSPが19.0〜20.0の範囲にある有機溶剤(C)を用いることで、バインダ樹脂の溶解性が良好で、かつ、長期保存において分離沈降もなくその粘度を安定して維持することや、使用に際して吸湿による粘度変化の影響を少なくすることを可能としている。
本発明のガラスペーストが含有する各成分について以下に具体的に説明する。
(無鉛ガラス(A))
本発明のガラスペーストには、ガラス転移点(以下、必要に応じて「Tg」と記す。)が300℃以下の無鉛ガラス(A)が用いられる。
ここで、ガラス転移点とは、ガラスの構造が変化する温度であり、粘度が1013.3(dPa・s)になる温度である。被加工物に対する熱的影響を低減するためには、低温域で被加工物表面にガラス質の被膜を生成する必要があり、ガラス転移点が300℃以下であることが必要である。無鉛ガラス(A)のTgは、240〜300℃が好ましく、さらに240〜280℃がより好ましい。
また、無鉛ガラス(A)のガラス軟化点(以下、必要に応じて「Ts」、または、単に「軟化点」と記す。)は、400℃以下が好ましく、320〜385℃がより好ましい。TgおよびTsは、ガラス組成を調整することによって、調整可能であり、必要に応じてより低い温度とすることができる。なお、TgおよびTsは、示差熱分析(DTA)装置により測定することができる。
無鉛ガラス(A)の熱膨張係数は、30〜300℃における平均線熱膨張係数として、110×10−7〜140×10−7/℃の範囲にあることが、被加工物(被塗布基板や被接着基材等)との熱膨張係数のマッチング、およびそれらの熱膨張係数調整材として添加されるフィラー量を制御する観点から好ましく、115×10−7〜130×10−7/℃がより好ましい。なお、本明細書においては、特に断りのない限り熱膨張係数とは、この30〜300℃における平均線熱膨張係数をいう。
無鉛ガラス(A)としては、ガラス転移点が300℃以下でありPbO等の鉛化合物を実質的に含まないガラスであれば特に制限されないが、具体的には、SnO−P系ガラス、TeO系ガラス、V系ガラス等が挙げられる。
これらの中でも、無鉛ガラス(A)としては、SnO−P系ガラスが好ましい。SnO−P系ガラスとして、具体的には、酸化物基準のモル百分率表示で、Pを20〜50%、SnOを30〜70%の、ZnOを0〜15%、RO(RはLi、NaおよびKからなる群から選ばれる少なくとも1種)を0〜25%、Bを0〜20%、Alを0〜5%、WOを0〜5%含有する無鉛ガラス(A1)が好ましい。
上記無鉛ガラス(A1)の各成分について以下に説明する。
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスの熱安定性を高める必須成分である。Pの含有量が20%未満では、ガラス化が困難になることがあり、50%超では、得られる絶縁パターンや封着物の耐水性が低下することがある。Pの含有量は上記範囲中、特に20〜37%が好ましい。
SnOは、ガラスを低融点化する成分であり、必須成分である。SnOの含有量が30%未満では、Tsが高くなりすぎ、流動性が悪く、加工成形性が十分でないことがある。封着に用いる場合には封着部の強度、気密性が損なわれることがある。SnOの含有量が70%超では、ガラス化が困難になることがある。SnOの含有量は上記範囲中、特に59〜69%が好ましい。なお、本明細書で「SnO」の含有量は、無鉛ガラス中に含まれるSnO、SnO等のスズ酸化物をSnOに換算した値である。
ZnOは、熱膨張係数を下げる成分であり、気密封止する際の荷重軟化点を下げる成分であり、必要に応じて配合される任意成分である。ZnOの含有量が15%を超えるとTsが高くなりすぎることがある。また、ガラス成形時の安定性が悪く失透が発生しやすい。ZnOの含有量は上記範囲中、特に2〜7%が好ましい。ZnOの含有量が2%未満ではガラス化しづらいことがある。
O(RはLi、NaおよびKからなる群から選ばれる少なくとも1種)で示されるアルカリ金属酸化物は、Tsを低下させる成分であり、必要に応じて配合される任意成分である。ROの含有量が、これに分類されるLiO、NaO、およびKOのアルカリ金属酸化物の合計量として、25%を超えると、化学的耐久性、特に耐酸性が低下することがある。
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスを安定化させる成分であって、必要に応じて配合される任意成分である。また、Bは、ガラスの耐候性を高める成分である。Bの含有量が20%を超えると、ガラスの粘性が高くなり過ぎて、封着が十分に行えないことがある。Bの含有量は上記範囲中、特に0〜15%が好ましい。
Alは、熱膨張係数を下げ、かつガラスの安定性、化学的耐久性を高める成分であり、必要に応じて配合される任意成分である。Alの含有量が5%を超えると、ガラスの粘性が上がり、焼結後の絶縁パターンや封着層にAlが未熔融物として残留することがある。なお、Alの含有量は好ましくは2%以下である。
WOは、ガラスの熱的安定性を高める成分であり、必要に応じて配合される任意成分である。WOの含有量が5%を超えると、Tsが高くなり過ぎて、封着が十分に行えないことがある。
本発明の無鉛ガラスは、基本的に上記成分を含有することが好ましいが、本発明の効果を損なわない限度において、上記成分以外の他の成分、例えば、CaO、SrO、MgO、BaO、CuO、NiO、MnO、CoO、Fe、Bi、TiO、Cr、ZrO、In、AgO、MoO、Nb、Ta、Ga、Sb等を含有できる。
このような組成の無鉛ガラス(A1)のうちでも、酸化物基準のモル百分率表示で、Pを20〜37%、SnOを59〜69%、ZnOを2〜7%、Bを0〜15%、Alを0〜2%含有する無鉛ガラス(A1)が特に好ましい。
本発明に用いる無鉛ガラス(A1)は、上記のような組成となるようにガラス原料を配合、混合し、溶融法によってガラスを製造し、得られたガラスを粉砕することにより得ることができる。粉砕は、例えばロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて行うことができる。また、無鉛ガラス(A1)以外の無鉛ガラス(A)についても同様の方法で製造できる。
本発明に用いる無鉛ガラス(A)の50%粒径(D50)は、0.1〜100μmであることが好ましい。無鉛ガラス(A)のD50が0.1μm未満になると、工業的に製造しづらくまた凝集しやすくなるため、取り扱いが難しい。無鉛ガラス(A)のD50はより好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。一方、D50が100μmを超えると、ガラス全体での軟化が不十分になり封着が難しくなったり、印刷層を形成する際に、例えば、スクリーン印刷でスクリーン版のメッシュの目詰まりを起こして印刷性を低下させたりする問題が生じやすくなる。そのため、ガラス粉末のD50は10μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。粒径の調整は、例えば粉砕後に必要に応じて分級することにより行うことができる。なお、本明細書における50%粒径(D50)は、レーザ回折散乱法で測定された値である。
本発明のガラスペーストにおいて焼成後に残存する成分であるガラス質材料は、無鉛ガラス(A)のみで構成されてもよくその他成分(具体的には、後述の耐火性フィラー(D)等)を含んでいてもよい。本発明のガラスペーストにおける無鉛ガラス(A)の含有量は、ガラスペースト中のガラス質材料全量に対して、65〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がより好ましい。
(バインダ樹脂(B))
発明のガラスペーストは、ビヒクルの一成分としてバインダ樹脂(B)を含有する。バインダ樹脂(B)としては、これを含有する本発明のガラスペーストを焼成する際に除去される樹脂であれば特に制限されない。本発明のガラスペーストは、上記無鉛ガラス(A)を含有することにより、その焼成温度は、概ね350〜485℃の範囲に設定することが好ましい。したがって、バインダ樹脂(B)は、該温度範囲で分解等により除去され、焼成後に残渣が生じない樹脂が好ましい。
上記条件を満足するバインダ樹脂(B)として、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等のポリアルキレンカーボネート樹脂等が挙げられる。
バインダ樹脂(B)は、これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうちでも、バインダ樹脂(B)としては、上記焼成温度での分解性が良好であって、残渣が生じづらく、よってガラス粉末(A)の焼結阻害の発生を抑えられる点から、ポリアルキレンカーボネートが好ましく用いられる。ポリアルキレンカーボネートとしては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート単位とプロピレンカーボネート単位を含む共重合体が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも溶剤との相溶性の観点からポリプロピレンカーボネートが特に好ましい。なお、ポリアルキレンカーボネートの分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜500,000がより好ましい。
本発明のガラスペーストにおけるバインダ樹脂(B)の含有量は、0.9〜3.8質量%が好ましく、1.0〜2.5質量%がより好ましい。
(有機溶剤(C))
本発明のガラスペーストは、ビヒクルの一成分として、totHSPが19.0〜20.0の有機溶剤(C)を含有する。有機溶剤(C)のtotHSPが上記範囲にあることで、本発明のガラスペーストは長期保存において分離沈降もなく、その粘度を安定して維持できるとともに、使用に際しては吸湿による粘度変化の影響が少ない。また、上記バインダ樹脂(B)に対する溶解性、特にポリプロピレンカーボネート等のポリアルキレンカーボネートに対する溶解性が良好である。
本発明のガラスペーストが含有する上記有機溶剤(C)は、有機溶剤の1種または2種以上で構成されうる。有機溶剤(C)が1種の有機溶剤からなる場合、該1種の有機溶剤のtotHSPは19.0〜20.0の範囲内である。有機溶剤(C)が2種以上の有機溶剤からなる場合、必ずしも個々の有機溶剤のtotHSPが上記範囲内にある必要はなく、これらを合わせて得られる混合溶剤のtotHSPが上記範囲であればよい。すなわち、有機溶剤(C)が2種以上の有機溶剤からなる混合用剤の場合、該混合用剤のtotHSPが上記範囲内にあれば、有機溶剤(C)を構成する個々の有機溶剤のtotHSPが、全ての有機溶剤において上記範囲外であってもよく、一部の有機溶剤において上記範囲内であり残りの有機溶剤において上記範囲外であってもよく、全ての有機溶剤において上記範囲内であってもよい。全ての有機溶剤において上記範囲内である態様が好ましい。
有機溶剤(C)として、具体的には、エステル系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を含む有機溶剤(C)が挙げられる。有機溶剤(C)は、totHSPが19.0〜20.0の範囲内であれば、エステル系溶剤またはグリコールエーテル系溶剤の1種のみで構成されてもよく、エステル系溶剤の2種以上またはグリコールエーテル系溶剤の2種以上で構成されてもよく、エステル系溶剤とグリコールエーテル系溶剤の各1種以上を組み合わせた構成としてもよい。
単独で用いてtotHSPが19.0〜20.0の範囲にある有機溶剤(C)としては、該totHSPを有するエステル系溶剤が好ましい。このようなエステル系溶剤として、具体的には、クエン酸アセチルトリエチル(19.02)、プロピレングリコールジアセテート(19.11)、コハク酸ジエチル(19.61)、エチルカルビトールアセテート(19.32)、トリアセチン(19.37)、アジピン酸ジメチル(19.60)、および安息香酸エチル(19.87)等が挙げられる。なお、化合物名の後の括弧内の数値は、該化合物のtotHSPを示す。
個々の有機溶剤のtotHSPが上記範囲内にないが、組合せて得られる混合溶剤のtotHSPが上記範囲である混合溶剤としては、グリコールエーテル系溶剤の2種以上からなる混合溶剤、例えば、totHSPが21.52であるプロピレングリコールモノフェニルエーテルとtotHSPが18.01であるトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物(ただし、totHSPが19.0〜20.0の範囲にある)等が挙げられる。上記2種を組合せる場合、プロピレングリコールモノフェニルエーテルの100質量部に対してトリエチレングリコールジメチルエーテルを64〜226質量部の割合で混合して得られる混合物において、totHSPが19.0〜20.0の範囲となる。具体例として、プロピレングリコールモノフェニルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテルの質量比1:1の混合溶剤のtotHSPは19.59である。
有機溶剤(C)の沸点は、170〜350℃が好ましく、190〜330℃がより好ましい。有機溶剤(C)の沸点が上記範囲にあれば、絶縁パターンの形成や封着を行う被加工物に、ガラスペーストを例えば層状に形成する際に、有機溶剤(C)が揮発することがほとんどなく、また、その焼成に際しては十分に揮発して除去することが可能である。なお、上に例示したいずれの化合物も沸点はこの範囲内である。
本発明のガラスペーストにおける有機溶剤(C)の含有量は、20〜40質量%が好ましく、26〜37質量%がより好ましい。有機溶剤(C)とバインダ樹脂(B)の含有割合は、有機溶剤(C):バインダ樹脂(B)で示される質量比で、6:1〜43:1が好ましく、13:1〜37:1がより好ましい。
また、本発明のガラスペーストにおける、有機溶剤(C)とバインダ樹脂(B)の合計量、すなわちビヒクルの量としては、25〜40質量%が好ましく、27〜38質量%がより好ましい。ガラス質材料とビヒクルを該割合で配合することによりガラスペーストを以下に示す適切な粘度に調整することができる。
(ガラスペースト)
本発明のガラスペーストは、上記無鉛ガラス(A)、バインダ樹脂(B)、および有機溶剤(C)を含有する。本発明のガラスペーストにおける成分(A)〜(C)の含有量は上記のとおりであり、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で任意成分の配合が可能である。
本発明のガラスペーストが焼成後に残存する成分として含有するガラス質材料については、任意成分として、耐火性フィラー(D)、耐熱顔料等が挙げられる。
耐火性フィラー(D)は、ガラス質材料の熱膨張係数を調整する機能を有する。すなわち、ガラス質材料の熱膨張係数は、無鉛ガラス(A)と組み合わせる耐火性フィラー(D)の種類と配合量により適宜調整可能である。本発明のガラスペーストにおけるガラス質材料の熱膨張係数については、被加工物との接着強度などの観点から50×10−7〜110×10−7/℃とすることが好ましく、60×10−7〜100×10−7/℃がより好ましい。無鉛ガラス(A)の熱膨張係数を考慮すると、組合せて用いる耐火性フィラー(D)の熱膨張係数は、無鉛ガラス(A)の熱膨張係数より低いことが好ましく、具体的には、−20×10−7〜70×10−7/℃とすることが好ましく、20×10−7〜50×10−7/℃がより好ましい。
耐火性フィラー(D)としては、セラミックスフィラー等が挙げられる。上記熱膨張係数の観点からは、低熱膨張係数のセラミックスフィラーが好ましい。このような、低熱膨張係数のセラミックスフィラーとして、具体的には、ジルコン、コージェライト、チタン酸アルミニウム、アルミナ、ムライト、シリカ、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、ジルコニア、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、特に、ガラス粉末との濡れ性や接着強度などの観点から、コージェライト、ジルコン、リン酸ジルコニウム、β−ユークリプタイトが好ましい。
本発明のガラスペーストにおいて、耐火性フィラー(D)の含有量は、3〜23質量%が好ましく、6〜19質量%がより好ましい。耐火性フィラー(D)の含有量を上記範囲とすることで、ガラスペーストとした際に適度な流動性を有するとともに、焼成後のガラス質層の熱膨張係数の制御に有効に作用する。
耐火性フィラー(D)は、通常、粉末の形態で用いられる。粉末粒子の形状は特に限定されず、球状、板状、破砕状、ウィスカー状等が挙げられる。耐火性フィラーの50%粒径(D50)は、0.3〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。耐火性フィラー(D)の50%粒径(D50)を上記範囲とすれば取り扱いが容易である。さらに、ガラスペーストとした際の操作性、作業性等に優れるとともに、無鉛ガラスへの分散性にも有効になる。
本発明のガラスペーストには、消泡剤、分散剤、チキソトロピー付与剤のようにガラスペーストで公知の添加物を加えてもよい。これらの添加物は、ビヒクルと同様、通常、焼成の過程で消失する成分である。本発明のガラスペーストは、必須成分である上記無鉛ガラス(A)、バインダ樹脂(B)、および有機溶剤(C)の所定量と、任意成分、例えば、耐火性フィラー(D)等の適量を合わせた混合物を、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法により十分に撹拌、混合することで調製することができる。なお、ビヒクル成分であるバインダ樹脂(B)と有機溶剤(C)は、上記撹拌、混合より前に、予め均一なビヒクルとなるよう混合しておいてもよい。
本発明のガラスペーストの粘度は、これを各種基板等の基材に塗布する際に用いる装置に対応した粘度に合わせればよく、ビヒクルの構成や、ガラス質材料とビヒクルの配合割合を調整することで調整可能である。用途にもよるが、本発明のガラスペーストの粘度は、ブルックフィールド社、デジタル回転粘度計(HBDV-II)、スピンドルNo14で測定した場合、25℃における回転数10rpm時の粘度として、60〜140Pa・sが好ましく、80〜120Pa・sが好ましい。ガラスペーストの粘度が上記範囲になれば、塗布による基材へのガラスペースト層の形成が良好に行える。なお、本発明のガラスペーストは、長期保存において、上記範囲で粘度の維持が可能である。
本発明のガラスペーストを用いて、例えば、基板上に絶縁パターンを形成する際の基板や、各種部材を封着する際の被封着部材の材質としては、ガラス、金属、セラミックス等いずれの場合も使用可能である。ガラスとしては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。金属としては、銅、アルミニウム、コバール、ステンレス等が、セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられる。
本発明のガラスペーストを用いて、絶縁パターンや封着層等のガラス質層を形成するには、まず、ガラスペーストを基材上に所望の形状、厚さに塗布してガラスペースト層を形成する。次いで、得られたガラスペースト層付き基材をそのまま、または封着に用いる場合にはガラスペースト層付き基材に別の基材を積層して、ガラスペースト中のガラス質材料の焼結温度領域で加熱処理してガラス質層とする。
ガラスペーストを用いて基材上にガラスペースト層を形成するには、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷、メタルマスク印刷等の印刷法を適用して基材上に塗布する、あるいはディスペンサ等を用いて塗布する等の方法が適用される。ガラスペースト層の厚さ、形状は、最終的に得られるガラス質層において、所定の厚さ、形状となるように調整される。なお、本発明のガラスペーストは、有機溶剤(C)を用いることにより、上記各塗工操作において用いられる部材、例えば、スクリーン印刷のスキージ等の樹脂部材に対して、これらを膨潤させる等の従来発生していた問題を発生することが殆どない。
次いで、ガラスペースト中のガラス質材料の焼結温度領域での加熱処理が行われるが、その前に、ガラスペースト層を乾燥させる工程を設けてもよい。この乾燥工程は、ガラスペースト層内の有機溶剤(C)を除去するために行われ、設けることが好ましい工程である。ガラスペースト層内に有機溶剤(C)が残留していると、加熱工程においてバインダ樹脂(B)等の消失すべき成分を十分に除去できないおそれがある。
次いで、ガラスペースト中のガラス質材料の焼結温度領域での加熱処理が行われる。ここで、ガラス質材料の焼結は、該ガラス質材料を構成する無鉛ガラスのガラス軟化点(Ts)以上の温度で行うことが必要とされる。上記焼結温度領域としては、Ts+5℃〜Ts+120℃の温度領域が好ましく、Ts+10℃〜Ts+100℃の温度領域がより好ましい。
また、上記加熱処理の方法としては、少なくともガラスペースト層の温度が上記温度となる方法であれば特に制限されない。具体的には、熱放射加熱、赤外線加熱、レーザ光照射、および誘導加熱等が挙げられ、熱放射加熱、レーザ光照射が温度安定性、製造工程費の観点から好ましく用いられる。
上記加熱処理を、電気炉等による熱放射加熱で行う場合、加熱処理は、主にバインダ樹脂(B)等の消失すべき成分の焼失、除去を行うための脱バインダ加熱(仮焼成)と、ガラス質材料を焼結させるための本焼成の2段階で行うことが好ましい。
本発明のガラスペーストは、特に、これが含有するガラス質材料の焼結体からなるガラス質層により、被封着部材の封止領域が封止されてなる封止物品の製造に用いることが好ましい。このような封止物品としては、上記ガラス質材料の焼結体形成のための加熱処理に耐えうる被封着部材を具備するものであれば、特に制限されないが、例えば、太陽電池、PDP、VFD、OELD、LCD、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの表示素子や、MEMS、ICパッケージ、水晶振動子等の圧電振動子の電子部品等が好適に挙げられる。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。まず、以下の実施例において、ガラスペーストの製造に用いた有機溶剤(C)および、totHSPが本発明の範囲外の有機溶剤(以下「その他の有機溶剤」という)について、ポリプロピレンカーボネートの溶解性を試験した。次いで、これらの有機溶剤を用いて、例1〜例16によりガラスペーストを製造した。例1〜例13が実施例であり、例14〜例16が比較例である。
(ポリプロピレンカーボネートの溶解性試験)
表1に示す有機溶剤(C)およびその他の有機溶剤について、有機溶剤の95質量部に対して、ポリプロピレンカーボネート(分子量:280,000)5質量部となる割合で密閉容器に投入し、80℃で24時間放置した後、目視で未融物の有無を確認した。未融物が無く溶解性が良好な場合を「○」と判定し、未融物が確認された場合を溶解不良「×」と判定した。結果を各有機溶剤のtotHSPおよび沸点とともに表1に示す。
なお、表1には有機溶剤(C)として、プロピレングリコールモノフェニルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテルを質量比1:1で混合した混合溶剤を用いた場合のポリプロピレンカーボネートの溶解性試験についても結果を記載した。この混合用剤のtotHSPは、上記したハンセンの溶解度パラメータ計算ソフトで計算した結果、19.59であった。また、この混合溶剤の沸点については測定していないので、表1中の記載を「−」とした。
Figure 0006089921
表1からわかるように、totHSPが19.0未満の有機溶剤では、ポリプロピレンカーボネートを溶解することが困難であり、19.0以上の有機溶剤では、極めて良好な溶解性を有する。よって、本発明のtotHSPを持つ有機溶剤(C)を使用することによりポリプロピレンカーボネートを含有したガラスペーストの形成が可能である。
[例1〜例13]
(ガラス粉末(A11)の製造)
酸化物基準のモル百分率組成が、SnO:66.5%、P:28.5%、ZnO:5%(ガラス転移点:280℃、熱膨張係数:128×10−7/℃)である無鉛ガラスを次のようにして製造した。
原料を上記組成となるように調合混合し、1100℃〜1200℃の電気炉中で石英ルツボを用いて2時間加熱し原料を溶解し溶融ガラスを得た。得られた溶融ガラスを急冷してフレーク状ガラスに成形した。該フレーク状ガラスをボールミルで粉砕した後、気流分級にて50%粒径(D50)が1.5μmのガラス粉末(A11)とした。
(ガラスペーストの製造)
以下の無鉛ガラス(A)、耐火性フィラー(D)、有機溶剤(C)またはその他の有機溶剤、バインダ樹脂(B)を表2に示す組成で含有するガラスペーストを以下のようにして製造した。
無鉛ガラス(A):上記で得られたガラス粉末(A11)
バインダ樹脂(B):ポリプロピレンカーボネート(分子量:280,000)、ポリエチレンカーボネート(分子量:130,000)
耐火性フィラー(D):コージェライト(50%粒径(D50)2μm)、リン酸ジルコニウム(50%粒径(D50)10μm)、β−ユークリプタイト(50%粒径(D50)1μm)
有機溶剤(C):totHSPが19.0〜20.0の各種有機溶剤(なお、例13で用いた有機溶剤(C)は、プロピレングリコールモノフェニルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテルを質量比1:1で混合した混合溶剤である。)
その他の有機溶剤:totHSPが19.0〜20.0の範囲外の各種有機溶剤
有機溶剤(C)の95質量部に対してバインダ樹脂(B)が5質量部となる割合で両者を混合容器に入れ、85℃で3時間攪拌してガラスペースト1〜11およびガラスペースト13用のビヒクルを製造した。また、有機溶剤(C)の90質量部に対してバインダ樹脂(B)が10質量部となる割合で混合容器に入れ、同じくガラスペースト12用のビヒクルを製造した。
ガラス粉末(A11)67.5質量部、耐火性フィラー(D)7.5質量部、ビヒクル25質量部を混合し、3本ロールにて混練して、回転数10rpmでの粘度が80〜120Pa・sとなるように有機溶剤(C)で粘度調整してガラスペースト1〜6、およびガラスペースト9〜13を製造した。
同様にガラス粉末(A11)60質量部、耐化性フィラー(D)15質量部、ビヒクル25質量部を混合、混練してガラスペースト7を製造し、ガラス粉末(A11)52.5質量部、耐化性フィラー(D)22.5質量部、ビヒクル25質量部を混合して同じくガラスペースト8を製造した。なお、粘度は、ブルックフィールド社、デジタル回転粘度計(HBDV−II)スピンドルNo14で測定した。最終的に得られたガラスペースト1〜13における組成(質量%)、および回転数10rpm時の粘度を表2に示す。
[例14〜例16]
上記例1において、有機溶剤(C)に相当するトリアセチンを用いる変わりに、有機溶剤(C)に相当しない、すなわち、totHSPが19.0〜20.0の範囲外にあるその他の有機溶剤(炭酸プロピレンまたはN−メチル−2−ピロリドン)を用いる以外は、同様にして炭酸プロピレンを使った例14のガラスペースト14と、N−メチル−2−ピロリドンを用いた例16のガラスペースト16を製造した。また、例14において、バインダ樹脂(B)をポリエチレンカーボネートに変えた以外は、同様にして例15のガラスペースト15を製造した。最終的に得られたガラスペースト14〜16における組成(質量%)、および回転数10rpm時の粘度を表3に示す。
(評価)
上記で得られた、ガラスペースト1〜16について、以下の方法で貯蔵安定性の評価を行った。また、ガラスペースト1、2、13およびガラスペースト14、16について以下の方法で加湿安定性評価を行った。評価結果を表2および表3に示す。
<貯蔵安定性評価>
上記各例で得られたガラスペースト1〜16を、25℃、湿度50%の環境下に一週間、静置した後の粘度を測定し、予め測定しておいた初期粘度と比較した。粘度比較は、せん断速度10s-1での初期粘度をlogηA、上記環境で一週間静置した後のせん断速度10s-1での粘度をlogηB1として、次式:[logηB1−logηA]/[logηA]×100により粘度変化率(%)を評価した。なお、ここでの粘度logηは、コーンプレート型(25φ、2°)の粘弾性測定装置を用いて、25℃の条件下にて測定した。
さらに、上記環境で一週間静置した後のガラスペースト1〜16について、目視で分離沈殿の有無を確認した。結果を粘度変化率と合わせて表2および表3の評価欄に示す。
<加湿安定性評価>
上記で得られたガラスペースト1、2、13およびガラスペースト14、16を、25℃、湿度70%の恒温恒湿槽内で0.5時間、曝露放置した後の粘度を測定し、予め測定しておいた初期粘度と比較した。粘度比較は、せん断速度10s-1での初期粘度をlogηA、上記条件で0.5時間曝露放置した後のせん断速度10s-1での粘度をlogηB2として、次式:[logηB2−logηA]/[logηA]×100を粘度変化率として評価した。結果を表2の評価欄に示す。なお、ここでの粘度logηは、コーンプレート型(25φ、2°)の粘弾性測定装置を用いて、25℃の条件下にて測定した。
Figure 0006089921
Figure 0006089921
表2および表3からわかるように、実施例に相当する例1〜例13で得られたガラスペースト1〜13は、比較例に相当する例14〜例16で得られたガラスペースト14〜16に比べて、1週間後の粘度変化も殆どなく、分離沈殿も認められず、貯蔵安定性に優れる。
また、ガラスペースト1およびガラスペースト2とガラスペースト13の結果では、70%の加湿環境下に置かれても粘度変化率が小さく、吸湿による影響が低いため粘度は安定である。それらに比べ、ガラスペースト14では、粘弾性測定装置の測定限界以上(推定変化率70%以上)の粘度変化が生じ、吸湿の影響を受けて極めて不安定である。同じく、ガラスペースト16においても、加湿後の粘度変化が大きく、粘度安定性は悪い。

Claims (6)

  1. ガラス転移点が300℃以下の無鉛ガラスと、ポリプロピレンカーボネートと、totHSPが19.0〜20.0である有機溶剤とを含有するガラスペースト。
  2. さらに耐火性フィラーを含有する請求項1記載のガラスペースト。
  3. 前記有機溶剤としてエステル系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または2記載のガラスペースト。
  4. 前記有機溶剤が、クエン酸アセチルトリエチル、プロピレングリコールジアセテート、コハク酸ジエチル、エチルカルビトールアセテート、トリアセチン、アジピン酸ジメチル、安息香酸エチルおよび、プロピレングリコールモノフェニルエーテルとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスペースト。
  5. 前記無鉛ガラスが、酸化物基準のモル百分率表示で、Pを20〜50%、SnOを30〜70%の、ZnOを0〜15%、RO(RはLi、NaおよびKからなる群から選ばれる少なくとも1種)を0〜25%、Bを0〜20%、Alを0〜5%、WOを0〜5%含有する請求項1〜のいずれか1項に記載のガラスペースト。
  6. 前記無鉛ガラスが、酸化物基準のモル百分率表示で、Pを20〜37%、SnOを59〜69%、ZnOを2〜7%、Bを0〜15%、Alを0〜2%含有する請求項記載のガラスペースト。
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