JP2015044695A - 封着用ガラス、封着材料、および封着用ペースト - Google Patents

封着用ガラス、封着材料、および封着用ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】従来に比べて、より低温域での使用が可能で、かつ耐候性にも優れる無鉛の封着用ガラス、またそのような封着用ガラスを用いた封着材料、および封着用ペーストを提供する。
【解決手段】封着用ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Vを32〜50%、TeOを40〜60%、Pを1〜9%、Bを0〜10%、RO+R’O(但し、RはLi、Na、およびKの少なくとも1種を示し、R’はMg、Ca、Sr、およびBaの少なくとも1種を示す)を1〜9%含有し、かつPbOを実質的に含有しない。封着材料は、そのような封着用ガラス60〜100体積%と、無機充填材0〜40体積%とを含有する。封着用ペーストは、そのような封着材料と、バインダ樹脂と、有機溶剤とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は封着用ガラス、封着材料、および封着用ペーストに関する。
ディスプレイパネルや半導体パッケージなどの電子・電気製品の封着部に用いる封着用ガラスにおいては、部材や内部素子の熱的劣化を防ぐために、低温での封着機能が求められる。また長期信頼性の観点から耐候性も要求される。従来、このような封着用ガラスには、酸化鉛を含有したものが使用されてきた(例えば、特許文献1参照)。
ところが、近年、鉛化合物の人体や環境に対する有害性が問題視され、封着用ガラスにおいても酸化鉛を含有しない材料が望まれ、様々な材料が検討されてきている。
例えば、鉛系封着用ガラスよりも軟化点(Ts)が低く、低温での施工が可能なバナジウム系ガラスが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、酸化鉄(Fe)を添加することにより、軟化点(Ts)をさらに低下させるとともに、耐候性を向上させたバナジウム系ガラスも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、特許文献3に記載されているようなバナジウム系の低融点ガラスであっても、耐候性は十分ではなく、実用化するには、さらなる特性の向上が求められる。また軟化点(Ts)も、より低く(例えば、335℃以下)、より低温域で使用できる封着用ガラスが求められている。
特開平2−48430号公報 特開2009−221048号公報 特開2010−52990号公報
本発明は、従来に比べて、より低温域での使用が可能で、かつ耐候性にも優れる無鉛の封着用ガラス、またそのような封着用ガラスを用いた封着材料、および封着用ペーストの提供を目的とする。
本発明の一態様に係る封着用ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Vを32〜50%、TeOを40〜60%、Pを1〜9%、Bを0〜10%、RO+R’O(但し、RはLi、Na、およびKの少なくとも1種を示し、R’はMg、Ca、Sr、およびBaの少なくとも1種を示す)を1〜9%含有し、かつPbOを実質的に含有しないことを特徴とする。
本発明の他の態様に係る封着材料は、上記封着用ガラス60〜100体積%と、無機充填材0〜40体積%とを含有することを特徴とする。
本発明のさらに他の態様に係る封着用ペーストは、上記封着材料と、バインダ樹脂と、有機溶剤とを含有することを特徴とする。
本発明によれば、従来に比べて、より低温域での使用が可能で、かつ耐候性にも優れる無鉛の封着用ガラス、またそのような封着用ガラスを用いた封着材料、および封着用ペーストが提供される。
(封着用ガラス)
本発明の封着用ガラスを以下に説明する。本明細書では、以下、特に断らない限り、ガラス組成の説明は、モル%表示含有量を用いて行う。
本発明の封着用ガラスは、V、TeO、P、およびRO+R’O(但し、RはLi、Na、およびKの少なくとも1種を示し、R’はMg、Ca、Sr、およびBaの少なくとも1種を示す)を必須成分として含有し、かつPbOを実質的に含有しないものである。
本発明の封着用ガラスの必須成分であるVは、ガラス内でネットワークフォーマーとしての働きを持ち、さらに、ガラスの軟化点を下げ、溶解時のガラスに流動性を与える成分である。このVの含有量は、32〜50%である。Vの含有量が32%未満では軟化点が高くなる。好ましくは35%以上である。50%を超えるとガラスが結晶化しやすくなる。好ましくは45%以下である。
本発明の封着用ガラスの必須成分であるTeOは、ガラスの耐候性を向上させる成分である。このTeOの含有量は、40〜60%である。TeOの含有量が40%未満では耐候性を向上させる効果が有効に発揮されない。好ましくは45%以上である。また、60%を超えると、熱膨張係数が増大する。好ましくは53%以下である。
本発明の封着用ガラスの必須成分であるPは、Vとともにガラス内でネットワークフォーマーとしての働きを有する成分である。このPの含有量は、1〜9%である。Pの含有量が1%未満ではネットワークフォーマーとしての機能が発揮されずガラス化が困難になる。好ましくは3%以上である。9%を超えると軟化点の上昇および耐候性の低下を招く。好ましくは7%以下である。
本発明の封着用ガラスの必須成分であるRO+R’O(但し、RはLi、Na、およびKの少なくとも1種を示し、R’はMg、Ca、Sr、およびBaの少なくとも1種を示す)は、ガラスの軟化点を低下させる成分である。このRO+R’Oの含有量は、1〜9%である。RO+R’Oの含有量が1%未満ではガラスの軟化点を低下させる効果が小さくなる。好ましくは3%以上である。9%を超えると、ガラスが結晶化しやすくなり流動性が低下する。好ましくは7%以下である。
本発明の封着用ガラスには、必要に応じて、上記成分以外の成分、例えば、Bを含有させることができる。Bを含有させることにより、耐候性を向上させることができる。但し、含有量が0.1%未満では耐候性向上について有意な効果が得られないおそれがある。したがって、0.1%以上含有させることが好ましい。より好ましくは1%以上である。また、含有量が10%超では軟化流動性が低下する。したがって、含有量は10%以下とする。好ましくは9%以下であり、より好ましくは5%以下である。
その他、CeO、MnO、CuO、CoO、SnO、SnO、Al、SiO、GeO、WO、Y、NiO、TiO、ZrO、AgO、MoO、Cr、In、Nb3、Ta5、Ga、Sbなども、本発明の効果を阻害しない範囲で含有させることができる。CeO、MnO、CuO、CoO、NiO、MoO、WOを含有させることにより、ガラス中のVイオンの価数を調整することができ、これによりガラスのネットワーク構造を調整することができる。含有量は上記イオンの合量で0.1〜2%が好ましい。含有量が0.1%未満では添加による有意な効果が得られないおそれがある。また、含有量が2%超では軟化流動性が低下する。
本発明の目的のため、特に、ガラスの軟化点を低下させる観点からは、本発明の必須成分であるVおよびTeOは、その合量(V+TeO)が81〜96%であることが好ましい。(V+TeO)が81%未満では十分な流動性が得られないおそれがある。より好ましくは86%以上である。また、(V+TeO)が96%を超えるとガラスが不安定となるおそれがある。好ましくは93%以下である。また、耐候性を向上させる観点からは、PおよびBは、その合量(P+B)で1〜14%含有させることが好ましい。(P+B)が1%未満ではガラス化が困難となるおそれがある。より好ましくは2%以上である。また、(P+B)が14%を超えると耐候性が低下するおそれがある。より好ましくは8%以下である。PおよびBの合量を前記範囲とすることにより、ガラスの結晶化もさらに抑制することができる。
さらに、ガラスの軟化点を低下させ、かつ耐候性を向上させる観点からは、V、TeO、RO、およびR’Oの合計量とPおよびBの合計量のモル比、すなわち(V+TeO+RO+R’O)/(P+B)が、10:1〜32:1であることが好ましく、11:1〜26:1であることがより好ましい。
本発明の封着用ガラスは、前述したように、環境や人体への負荷の大きいPbOを含有しないものであるが、その他、Fe、ZnO、およびBiなども以下の理由から実質的に含有しないことが好ましい。
Feは、ガラスの軟化点を高くするとともに、ガラスの粘性を高めるおそれがある。ZnOは、ガラスの熱膨張係数の増加や結晶化をもたらすおそれがある。Biは、ガラスの軟化点を高くするおそれがある。ここで、「実質的に含有しない」とは、ガラス中に含まれる量が0.1%以下、好ましくは0.05%以下であることをいう。
本発明の封着用ガラスは、ガラス軟化点(Ts)が335℃以下であることが好ましく、320℃以下であることがより好ましい。ガラス軟化点(Ts)は、大気雰囲気下、示差熱分析装置により測定することができる。なお、本明細書中、ガラス軟化点(Ts)は、単に軟化点、ガラス軟化点、Tsと記すこともある。
また、封着用ガラスを、温度121℃、圧力0.2MPa、湿度100%RHの条件下に24時間放置して生じる変質層の厚みが1900μm以下であることが好ましい。より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。変質層の厚みが0μm、つまり全く変質しないことが特に好ましい。この変質層の厚みは、封着用ガラスの耐候性を評価する指標である。
本発明の封着用ガラスは、非常に低いガラス軟化点を備えるため、封着時の温度を低くでき、半導体パッケージなどの被封着物の封着時の熱的劣化を防止することができる。また、本発明の封着用ガラスは、耐候性に非常に優れており、長期使用中にガラスが変質して封着材料としての機能が損なわれることもないため、製品の長期信頼性を向上させることができる。
(封着材料)
本発明の封着材料は、上記の封着用ガラスからなるガラス粉末を含む。このガラス粉末は、上記ガラス組成となるように、原料の粉末混合物を白金るつぼなどの容器に入れ、これを電気炉などの加熱炉内で所定時間加熱して溶融させてガラス化し、この溶融物を水冷ローラでシート状に成型し、粉砕機によって適当な粒度まで粉砕することにより得られる。粉砕には、ガラス粉末の製造に従来より汎用されているボールミルなどの各種乾式粉砕機を使用できるが、3μm以下といった細かい粒度に粉砕するには、湿式粉砕を用いることが好ましい。この湿式粉砕は、水やアルコール水溶液などの水性溶媒中で、5mm径以下のアルミナやジルコニアからなる粉砕メディア(ボールもしくはビーズ)を用いて粉砕するものであり、乾式粉砕よりも細かく粉砕することが可能である。
なお、ガラス粉末の粒度は、50%粒径(以下、D50とする)で0.05〜100μmの範囲が好適である。D50が0.05μm未満では、工業的に製造することが困難なうえ、凝縮しやすくなるため、取り扱いが難しい。D50は、より好ましくは0.3μm以上であり、特に好ましくは0.5μm以上である。一方、D50が100μmを超えると、ガラス全体での軟化が不十分になり封着が難しくなったり、基板などに封着材料をスクリーン印刷などにより塗布する際に、スクリーン版のメッシュに目詰まりを生じさせたりするおそれがある。D50は、より好ましくは10μm以下であり、特に好ましくは6μm以下である。粒度の調整は、例えば粉砕後に分級することにより行うことができる。本明細書中、D50は、レーザ回折散乱法で測定された値である。
本発明の封着材料は、上記のようにして得られた封着用ガラスの粉末のみで構成することも可能であるが、一般には、低膨張充填材などの無機充填材を配合して構成される。無機充填材を配合することにより、封着材料の熱膨張係数を低下させることができるとともに、機械的強度を増大させることができる。無機充填材の配合量は目的に応じて適宜に設定されるものであるが、封着材料に対して40体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましい。無機充填材の配合量が40体積%を超えると、封着時における封着材料の流動性が低下して接着強度が低下するおそれがある。また、実用的な配合効果(封着材料の熱膨張係数の調整や機械的強度の向上)を得るためには、配合量の下限値は5体積%以上が好ましく、15体積%以上がより好ましい。
低膨張充填材としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、および石英固溶体から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)、NaZr(PO、KZr(PO、Ca0.5Zr(PO、NbZr(PO、Zr(WO)(POなどの複合化合物が挙げられる。
(封着用ペースト)
本発明の封着用ペーストは、上記封着材料と、バインダ樹脂と、有機溶剤とを含有する。
バインダ樹脂としては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートなどのポリアルキレンカーボネート樹脂;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、バインダ樹脂としては、ポリアルキレンカーボネート樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、ポリプロピレンカーボネートが特に好ましい。ポリアルキレンカーボネート樹脂の分子量は、1,000〜1,000,000が好ましく、5,000〜5,000,000がより好ましい。
本発明の封着用ペーストにおけるバインダ樹脂の含有量は、0.5〜4.0質量%が好ましく、1.0〜2.5質量%がより好ましい。
有機溶剤としては、クエン酸アセチルトリエチル、プロピレングリコールジアセテート、コハク酸ジエチル、エチルカルビトールアセテート、トリアセチン、アジピン酸ジメチル、安息香酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の封着用ペーストにおける有機溶剤の含有量は、20〜40質量%が好ましく、26〜37質量%がより好ましい。また、有機溶剤とバインダ樹脂との含有比率は、質量比で、6:1〜43:1が好ましく、13:1〜37:1がより好ましい。
本発明の封着用ペーストには、必要に応じて上記成分以外の成分を本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。このような任意成分としては、着色顔料の他、消泡剤、分散剤、チキソトロピー付与剤などが挙げられる。
本発明の封着用ペーストは、必須成分である封着材料、バインダ樹脂、および有機溶剤と、任意成分である着色顔料などとを、攪拌機を備えた回転式混合機やロールミル、ボールミルなどを用いた公知の方法により十分に攪拌混合することにより調製することができる。
本発明の封着用ペーストは、バインダ樹脂と有機溶剤は、上記混合前に予め均一なビヒクルとなるように混合しておいてもよい。
本発明の封着用ペーストを用いて各種部材を封着する際の被封着部材の材質としては、ガラス、金属、セラミックスなどが挙げられる。ガラスの具体例としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが挙げられる。金属の具体例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などが挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素などが挙げられる。
本発明の封着用ペーストを用いて、封着層のガラス質層を形成するには、まず、封着用ペーストを基材上に所要の形状、厚さに塗布して封着用ペースト層を形成する。次いで、得られた封着用ペースト層付き基材に別の基材を積層して、封着用ペースト中のガラス質材料の焼結温度領域で加熱処理してガラス層とする。
封着用ペーストを用いて基材上に封着用ペースト層を形成するには、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷、メタルマスク印刷などの印刷法を適用して、基材上に塗布する、あるいはディスペンサなどを用いて塗布するなどの方法が適用される。封着用ペースト層の厚さ、形状は、最終的に得られるガラス質層において、所定の厚さ、形状となるように調整される。
次いで、封着用ペースト中のガラス質材料の焼結温度領域での加熱処理が行われるが、その前に、封着用ペースト層を乾燥させる工程を設けてもよい。この乾燥工程は、封着用ペースト層内の有機溶剤を除去するために行われる。予め有機溶剤を除去しておくことで、加熱工程において、バインダ樹脂などの消失すべき成分を確実、かつ十分に除去できる。
次いで、封着用ペースト中のガラス質材料の焼結温度領域での加熱処理が行われる。ガラス質材料の焼結は、このガラス質材料を構成する封着用ガラスのガラス軟化点(Ts)以上の温度で行うことが必要である。焼結温度は、ガラス軟化点(Ts)+5℃〜ガラス軟化点(Ts)+120℃の温度領域が好ましく、ガラス軟化点(Ts)+10℃〜ガラス軟化点(Ts)+100℃の温度領域がより好ましい。
上記加熱処理の方法としては、少なくとも封着用ペースト層の温度が上記温度となる方法であればよく、特に制限されない。具体的には、熱放射加熱、赤外線加熱、レーザ光照射、誘導加熱などが挙げられる。温度安定性、製造コストなどの観点から、熱放射加熱、レーザ光照射が好ましい。
上記加熱処理を電気炉などによる熱放射加熱を行う場合、加熱処理は、主にバインダ樹脂などの消失すべき成分の消失、除去を行うための脱バインダ加熱(仮焼成)と、ガラス質材料を焼結させるための本焼成の2段階で行うことが好ましい。
本発明の封着用ペーストにより封止する電子・電気製品としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、蛍光表示管(VFD)などの平面表示装置、レンズキャップ、レーザーダイオード(LD)キャップなどの光部品、半導体パッケージ、水晶振動子や弾性表面波素子などの圧電振動子などの電子部品などが挙げられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、例19〜28は比較例であり、その他の例は実施例である。
[例1〜例28]
(封着用ガラス粉末の製造)
表1〜3に示す組成のガラスが得られるように原料を秤量し混合した。原料は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などの一般に使用されているガラス原料から適宜選択した。次いで、この原料混合物を白金製るつぼに入れ、約1000℃の抵抗加熱式電気炉に投入して1時間溶融した後、溶融ガラスを急冷してフレーク状ガラスに成形した。このフレーク状ガラスをボールミルで粉砕し、気流分級にてD50が3〜5μmのガラス粉末とした。
(評価)
上記で得られた封着用ガラス粉末について、下記に示す方法で、ガラス転移点(Tg、単位:℃)、ガラス軟化点(Ts、単位:℃)、50〜250℃における平均熱膨張係数(α、単位:×10−7/℃)を測定するとともに、流動性、および耐候性を評価した。これらの測定評価結果を表1〜3に併せ示す。
[ガラス転移点(Tg)、ガラス軟化点(Ts)]
示差熱分析装置(リガク社製 TG−8110)により、リファレンス(標準サンプル)としてα−アルミナを用い、昇温速度10℃/分、温度範囲25℃(室温)〜500℃の測定条件で測定した。
[平均熱膨張係数(α)]
熱機械分析装置(リガク社製 TMA8310)により測定した。測定は、溶融ガラスを型内で溶融・硬化させて5mmφ×20mm(試料径×高さ)の円柱に成形し、上面および底面を平行に切削加工したものを測定試料として用い、25℃(室温)から250℃まで10℃/分で昇温して求めた。また、標準サンプルには石英ガラスを用いた。
[流動性]
封着用ガラス粉末の真比重に相当する重量のガラス粉末を、円柱状の金型に投入してプレス成形し、測定試料とした。この測定試料をガラス基板上にて380℃で10分間、熱処理した後、室温まで冷却し、熱処理にて流動した封着用ガラス部の直径をノギスにて計測し、FB径(単位:mm)とした。
[耐候性]
溶融ガラスを型内で溶融・硬化させてガラスバルクを得、このガラスバルクから1辺が9.4mmの形状に切り出し、測定試料とした。この測定試料を高圧蒸気滅菌器に投入し、温度121℃、圧力0.2MPa、湿度100%RHの条件で24時間加熱した後、その中心を通る断面で切断して、表面に生じた変質層の平均厚みd(任意の4ヶ所で変質層の厚みを測定し、その平均値を算出;単位:μm)を測定するとともに、次式より、変質率(単位:%))を算出した。
変質率(%)=[(d×2)/A]×100
(A:試料の厚み(=9400μm)、d:変質層の平均厚み)
Figure 2015044695
Figure 2015044695
Figure 2015044695
表1〜3から明らかなように、例1〜18(実施例)により得られた封着用ガラスは、軟化点が335℃以下と非常に低く、かつ流動性、耐候性にも非常に優れている。
[例29〜例33]
(封着用ペーストの調製)
例7、例10、および例13で得られた各封着用ガラス粉末と、低膨張充填材としてリン酸ジルコニウムとを表4に示すような割合で混合して封止材料を得た。またバインダ樹脂としてポリプロピレンカーボネート(分子量:280,000)10質量部を、85℃の有機溶剤90質量部に混合し、3時間攪拌して溶解し、ビヒクルを調製した。次いで、得られた封止材料75質量部とビヒクル25質量部とを混合し、3本ロールにて混錬して、回転数10rpmでの粘度(η10)が110〜150Pa・sとなるようにビヒクルと同種の有機溶剤で粘度調整して封着用ペーストを調製した。なお、封着用ペーストの粘度は、ブルックフィールド社製デジタル回転粘度計(HBDV−II)を使用して測定した。
(評価)
得られた封着用ペーストを、ガラス基板からなる封止用基板上の外周領域にスクリーン印刷法で塗布(線幅:700μm)した後、120℃×30分の条件で乾燥させた。この塗布層を加熱炉にて390℃×10分の条件で焼成することによって、ガラス基板上に封着材料層を形成した。
次いで、封着材料層を有する封止用基板上に、対向基板として封止用基板と同材質のガラス基板を積層した。この封止用基板とガラス基板との積層物を加熱炉内に配置し、340℃×10分、360℃×10分、380℃×10分の各条件で熱処理して、封止用基板とガラス基板とを封着した。
このように作製した封着物の封着性を、下記の基準で評価した。評価結果を表4に併せ示す。
[封着性]
封着後の封着材料層を対向基板側から視たときの線幅が、封着前の線幅700μmより広がって封着できているものを○(良好)、線幅が700μm以下、または封着できていないものを×(不良)とした。
Figure 2015044695
表4から明らかなように、例7、例10、および例13で得られた封着用ガラス粉末を用いて調製された例29〜33(実施例)の封着用ペーストは、いずれも良好な封着性を有している。
本発明の封着用ガラス、封着材料、および封着用ペーストは、従来に比べより低温域での使用が可能で、かつ耐候性にも優れている。したがって、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、蛍光表示管(VFD)などの平面表示装置の封着、レンズキャップ、レーザーダイオード(LD)キャップなどの光部品の封着、半導体パッケージ、水晶振動子や弾性表面波素子などの圧電振動子などの電子部品の封着などに広く使用できる。

Claims (11)

  1. 酸化物基準のモル%表示で、Vを32〜50%、TeOを40〜60%、Pを1〜9%、Bを0〜10%、RO+R’O(但し、RはLi、Na、およびKの少なくとも1種を示し、R’はMg、Ca、Sr、およびBaの少なくとも1種を示す)を1〜9%含有し、かつPbOを実質的に含有しないことを特徴とする封着用ガラス。
  2. 酸化物基準のモル%表示で、V+TeOを81〜96%、P+Bを1〜14%含有する請求項1記載の封着用ガラス。
  3. 、TeO、RO、およびR’Oの合計量とPおよびBの合計量のモル比が10:1〜32:1である請求項1または2記載の封着用ガラス。
  4. Fe、ZnO、およびBiを実質的に含有しない請求項1〜3のいずれか1項記載の封着用ガラス。
  5. 軟化点が335℃以下である請求項1〜4のいずれか1項記載の封着用ガラス。
  6. 温度121℃、圧力0.2MPa、湿度100%RHの条件下に24時間放置して生じる変質層の厚みが1900μm以下である請求項1〜5のいずれか1項記載の封着用ガラス。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の封着用ガラス60〜100体積%と、無機充填材0〜40体積%とを含有することを特徴とする封着材料。
  8. 前記無機充填材が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、ムライト、コージェライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、および石英固溶体から選ばれる少なくとも1種からなる低膨張充填材である請求項7記載の封着材料。
  9. 請求項7または8記載の封着材料と、バインダ樹脂と、有機溶剤とを含有することを特徴とする封着用ペースト。
  10. 前記有機溶剤が、エステル系溶剤および/またはグリコールエーテル系溶剤を含む請求項9記載の封着用ペースト。
  11. 前記バインダ樹脂が、ポリアルキレンカーボネート樹脂および/またはアクリル系樹脂を含む請求項9または10記載の封着用ペースト。
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