JP6311530B2 - 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ - Google Patents

封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ Download PDF

Info

Publication number
JP6311530B2
JP6311530B2 JP2014169469A JP2014169469A JP6311530B2 JP 6311530 B2 JP6311530 B2 JP 6311530B2 JP 2014169469 A JP2014169469 A JP 2014169469A JP 2014169469 A JP2014169469 A JP 2014169469A JP 6311530 B2 JP6311530 B2 JP 6311530B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sealing
sealing material
lead
glass
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014169469A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016044101A (ja
Inventor
洋平 長尾
洋平 長尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2014169469A priority Critical patent/JP6311530B2/ja
Publication of JP2016044101A publication Critical patent/JP2016044101A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6311530B2 publication Critical patent/JP6311530B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Glass Compositions (AREA)

Description

本発明は、封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージに係り、特に、軟化点が低く、安定したガラス特性を持ち、耐候性に優れたテルル・バナジウム系ガラスからなる封着用無鉛ガラス、それを用いた封着材料および封着材料ペースト、ならびに該封着材料ペーストを用いて封止された封着パッケージに関する。
ディスプレイパネルや、水晶振動子パッケージ、半導体パッケージ等の電子製品、電気製品の封着部に用いる封着材料として、樹脂や低融点ガラスが用いられているが、低融点ガラスは樹脂に比べて気密性が高いという利点があるため多く用いられるようになってきている。このような低融点ガラスとしては、従来、主成分が酸化鉛を含有したものが使用されてきた。
ところが、近年、鉛化合物の人体や環境への有害性が問題視され、封着用ガラスにおいても酸化鉛を含有しない材料の開発が望まれ、様々な材料の検討がなされるようになってきている。
上記酸化鉛を含有しない低融点ガラスとして、例えば、鉛系の封着用ガラスよりも軟化点(Ts)が低く、低温での施工が可能なテルル・バナジウム系ガラスが知られている。しかしながら、バナジウム系ガラスにおいては、耐水性が問題となる場合があり、例えば、特許文献1において耐水性を向上させるための技術が提案されている。
また、最近このような無鉛の低融点ガラスの各種用途において、耐久性の観点から特に耐候性が求められるようになっている。テルル・バナジウム系ガラスにおいても耐候性が求められているが、それに応えられるような十分な耐候性を有しつつ、低融点特性並びに安定したガラス特性を有するものは得られていないのが現状である。
特開2012−106891号公報
本発明は、安定したガラス特性を持ち、低温域での使用が可能で、かつ、耐候性に優れた封着用無鉛ガラス、封着材料、および封着材料ペーストの提供を目的とする。本発明は、また、封着層の耐候性に優れる信頼性の高い封着パッケージの提供を目的とする。
上記課題を解消するために、本発明者らは鋭意検討した結果、特定の配合のテルル・バナジウム系ガラスが、安定したガラス特性を持ち、封着用途として使用するのに十分に低融点でかつ耐候性に優れていることを見出した。
すなわち、本発明の封着用無鉛ガラスは、酸化物換算のモル%表示で、45〜65%のTeOと、25〜40%のVと、5〜10%のZnOと、2〜15%のアルカリ土類金属酸化物と、0.5〜3%のCuOと、0〜1%のPと、を含有し、Vの含有量に対するアルカリ土類金属酸化物とPの含有量の合計の割合が0.07以上であり、実質的にPbOを含有しないことを特徴とする。
本発明は、上記本発明の封着用無鉛ガラスと、無機充填材とを含有する封着材料を提供する。
また、本発明は、上記本発明の封着材料とビヒクルとの混合物からなる封着材料ペーストを提供する。
さらに、本発明は、第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着するとともに、上記本発明の封着用ペーストを用いて形成される封着層と、を有する封着パッケージを提供する。
本発明の封着用無鉛ガラス、封着材料および封着材料ペーストによれば、ガラス素材自体がガラスとして安定であり、かつ低融点であって低温で封着作業ができるため、安全に封着できかつ取り扱いが容易で、さらに、封着操作時の加熱温度を十分に確保できるため、安定して封着操作が可能である。
また、本発明の封着用無鉛ガラス、封着材料および封着材料ペーストは、耐候性に優れているため、製品製造時の不具合の発生を抑制し、さらに、製品の経年劣化が抑制される。これらを用いて封着された本発明の封着パッケージは、封着層が優れた耐候性を有することで、信頼性が高く、長寿命とできる。
本発明の封着パッケージの一実施形態を示す正面図である。 図1に示す封着パッケージのA−A線断面図である。 本発明の実施形態による封着パッケージの製造工程を示す断面図である。 実施例12の封着材料から得られる仮焼成層の分光特性を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明において、封着用無鉛ガラスは封着材料の構成成分として用いられる。封着材料は溶剤とバインダ成分(樹脂)からなるビヒクルと混合することで封着ペーストとされ被封着物の封止領域に層状に塗布される。これにより得られる塗布層からビヒクルを除去した後、封着材料を溶融、固化させることで被封着物を封止する封着層が形成されて封着パッケージが得られる。
[封着用無鉛ガラス]
本実施形態の封着用無鉛ガラスは、酸化物換算のモル%表示で、45〜65%のTeOと、25〜40%のVと、5〜10%のZnOと、2〜15%のアルカリ土類金属酸化物と、0.5〜3%のCuOと、0〜1%のPと、を含有し、Vの含有量に対するアルカリ土類金属酸化物とPの含有量の合計の割合が0.07以上であり、実質的にPbOを含有しない。
本明細書において、「実質的に含有しない」とは、意図的に封着用ガラス中に含有させないことを意味しており、不純物による混入までを排除するものではない。ただし、不純物による混入は0.1モル%未満が好ましく、0.03モル%未満がより好ましく、0.01モル%以下が特に好ましい。また、封着用無鉛ガラスの各成分の単なる「%」表記は、特に断りのない限り、酸化物基準の「モル%」を意味する。本明細書において「アルカリ土類金属」とは、Ca、Sr、Baをいう。また、「熱膨張係数」は、特に断りのない限り、30℃から250℃間の平均線熱膨張係数をいう。
以下、本実施形態の封着用無鉛ガラスの成分について詳細に説明する。
TeOは、ガラス形成酸化物であり、ガラスのネットワークを形成する働きを有することでガラスを安定化させる成分である。TeOの含有量が少ないと、ガラスの軟化点が高くなるために低温での封着が困難になるとともに、耐候性が低下する。一方、TeOの含有量が多くなると、ガラス化が困難になるとともに、熱膨張係数が大きくなる。このため、本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるTeOの含有量は45%以上であり、46%以上が好ましい。また、TeOの含有量は65%以下であり、60%以下が好ましい。
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスのネットワークを形成するとともに、ガラスの軟化点や熱膨張係数を下げ、溶解時のガラスに流動性を与える成分である。本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるVの含有量は25%以上であり、27%以上が好ましい。また、Vの含有量は40%以下であり、35%以下が好ましい。Vの含有量が25%未満ではガラスの軟化点が高くなってしまうとともに、膨張係数が高くなってしまう。Vの含有量が、40%を超えるとガラスが結晶化しやすく失透を起こしやすくなるとともに、耐候性の低下を招く。
ZnOは、ガラスの失透を抑え、ガラスの軟化点と熱膨張係数を低下させる成分である。本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるZnOの含有量は、5%以上であり、6%以上が好ましい。また、ZnOの含有量は、10%以下であり、9.5%以下が好ましい。ZnOの含有量が5%未満ではガラスの軟化点が高くなってしまう。ZnOの含有量が10%を超えるとガラスのガラス転移点や熱膨張係数が増大する。この熱膨張係数の増大は、被封着物と封着材料との界面や封着材料内にクラックやマイクロクラックの発生を招き、気密封着性を損なう要因となる。
アルカリ土類金属酸化物は、TeOとの組み合わせによりガラスを安定化させガラス化を容易にする成分である。しかし、これらの含有量が多くなるとガラス転移点の上昇を招くとともにガラスの安定性が低下して失透しやすくなったり、耐候性が低下したりする。本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるアルカリ土類金属酸化物の含有量は2%以上である。また、アルカリ土類金属酸化物の含有量は15%以下であり、12%以下が好ましい。アルカリ土類金属酸化物としては、CaO、SrOおよびBaOから選ばれる1種以上が好ましい。
本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるアルカリ土類金属酸化物の含有量は、溶解時のガラスに流動性をさらに良好にする観点からは、2〜7%が好ましい。また、前記同様の観点からアルカリ土類金属酸化物の含有量は、2〜6%がより好ましい。
また、本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるアルカリ土類金属酸化物の含有量は、ガラスを含有する封着材料を用いて封着を行う際に発生する泡を抑制する観点からは、5%以上が好ましく、7%以上がより好ましい。また、この場合のアルカリ土類金属酸化物の含有量は15%以下であり、12%以下が好ましい。なお、封着を行う際に発生する泡については、ガラス粉末作製時にガラス粉末の活性面に付着した大気中のガスが封着材料に持ち込まれ、封着の際の加熱により気泡化したものである。封着時に泡が多量に発生すると得られる封着層(後述する)の気密性が損なわれやすくなり、封着強度も不十分となるおそれがある。
CuOは、ガラスの耐候性を向上させる作用を有する成分である。一方、CuOの含有量が多くなるとガラスが不安定となって失透が発生しやすくなる。さらに、CuOはレーザ吸収成分となり得る他、封着材料ペーストを乾燥させた後のバインダ成分を除去する仮焼成工程において脱バインダ性を改善させる作用も有する。本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるCuOの含有量は0.5%以上であり、1%以上が好ましい。また、CuOの含有量は3%以下であり、2.5%以下が好ましい。
は、ガラス形成酸化物であり、ガラスのネットワークを形成する働きを有することでガラスを安定化させる成分である。本実施形態の封着用無鉛ガラスにおけるPの含有量は1%以下であり、0.9%以下が好ましい。Pが1%を超えると耐候性の低下やガラス転移点の上昇を招く。
本実施形態の封着用無鉛ガラスにおいて、Pとアルカリ土類金属酸化物は、TeOとVからなるガラスネットワーク構造を安定化させる点で共通した作用を有する。特に、上記含有量で該ガラスに配合されるVが結晶化してガラスが失透するのを抑制することにより、ガラスを安定化させる作用を有する。Vを含有する場合のガラス安定化に対する作用はアルカリ土類金属酸化物に比べてPの方が大きいが、Pの含有量を上げると上記のとおり耐候性の低下を招く。
そこで本実施形態の封着用無鉛ガラスにおいては、上記Vに対するPの役割の一部または全部をアルカリ土類金属酸化物に代替させることで、ガラスの安定化と耐候性の両立を可能としたものである。具体的には、各成分の含有量を上記範囲とした上で、Vの含有量に対するアルカリ土類金属酸化物とPの含有量の合計の割合(以下、「(RO+P)/V(ただし、ROはアルカリ土類金属酸化物の合計含有量である。)」と示す)を0.07以上とすることで、ガラスの安定化と耐候性の両立を可能とした。(RO+P)/Vは好ましくは0.08以上である。また、(RO+P)/Vは、0.40以下が好ましく、0.36以下がより好ましい。
本実施形態の封着用無鉛ガラスは、上記成分以外に、MgO、Fe、CoO、CeO、Nb、Ta、MoO、Sb、TiO、ZrO、La、SnO(xは1または2である)等を任意成分として含有できる。但し、任意成分の含有量が多くなると、ガラスが不安定となって失透が発生し、またはガラス転移点や軟化点が上昇するおそれがあることから、任意成分の合計量は10%以下が好ましい。NaO、KO、RbO、CsO等のアルカリ金属酸化物に関しては、ガラス転移点が低下する一方で、耐候性の低下やガラスの失透等を招くため、含有しないことが好ましい。
また、本実施形態の封着用無鉛ガラスは、実質的にPbOを含有しない。PbOは、環境および人体への負荷が大きく、製品自体への使用が好ましくない成分である。
本実施形態の封着用無鉛ガラスは、バルク状、タブレット状、粉末状等、その形態は特に制限されない。本実施形態の封着用無鉛ガラスは、得られるガラスにおいて上記各成分がそれぞれ上記の含有量で含有されるように、原料の粉末混合物を準備し、通常の方法で溶融、冷却することで製造できる。この冷却の際に成形するか、あるいは冷却後の操作により、各種形態とできる。
本実施形態の封着用無鉛ガラスを、例えば、粉末状の形態で得る場合、上記のように準備された原料の粉末混合物を白金るつぼ等の容器に入れ、これを電気炉等の加熱炉内で所定時間加熱して溶融させてガラス化し、この溶融物を水冷ローラーでシート状に成型し、粉砕機によって適当な大きさまで粉砕して粉末状の封着用無鉛ガラスとすればよい。粉砕は、乾式粉砕および/または湿式粉砕により行える。また、粉砕後、粒径を調整するために必要に応じて分級を行ってもよい。
なお、封着用無鉛ガラスの粒径は最大粒径が、後述する最終的に封着層となる仮焼成層における厚さ未満であることが好ましい。加熱により仮焼成層の膜厚は減少する。その減少率は小さいことから、仮焼成層の厚さは封着層の厚さの100〜120%程度が好ましいとされる。このような観点から、封着用無鉛ガラスの最大粒径は、用いられる電子製品、電気製品の種類によるが、1〜100μmの範囲が好適である。封着用無鉛ガラスのメディアン粒径(D50)は、特に限定されず、0.1〜50μm程度が好適である。上記D50は、レーザ回折散乱法を用いて測定した値である。
なお、有機ELディスプレイ等の、小型デバイス用の超薄型ディスプレイパネルにおける封着層の厚さは通常10μm以下であることから、仮焼成層の厚さは、通常は12μm以下である。封着層の厚さは、特に制限されないが、上記の場合、好ましくは2〜7μm程度である。したがって、このような仮焼成層を形成する場合の、封着用無鉛ガラスの最大粒径は1〜10μmが好ましい。なお、この場合の封着用無鉛ガラスのメディアン粒径(D50)は、0.1〜2.0μmが好ましい。
本実施形態の封着用無鉛ガラスは、上記各成分をそれぞれ上記の含有量で含有することで、安定したガラス特性を持ち、低融点であり、かつ耐候性に優れるという特性を有する。ここで、本明細書における低融点とは、封着用無鉛ガラスの軟化点が370℃以下のことであり、360℃以下が好ましく、350℃以下が特に好ましい。また、本実施形態の封着用無鉛ガラスのガラス転移点は290℃未満である。
このように、ガラス転移点や軟化点が低いと封着時の温度を低くできるため、低温域での封着加工が可能で、それだけ被封着物に対する熱的影響を少なくし、かつ、熱エネルギー消費並びにタクトタイムを低減できる。また、低温での作業が可能となるため、安全、確実に封着操作ができる。
なお、上記ガラス転移点および軟化点は、示差熱分析装置(DTA)、例えば、リガク社製、TG−8110により、それぞれ第1変曲点および第4変曲点として測定できる。また、封着用無鉛ガラスにおける結晶化の特性については、例えば、示差熱分析装置(リガク社製、TG−8110)を用いて、25℃(室温)〜400℃の範囲、昇温速度10℃/分で測定を行った際に結晶化ピークが現れるか否かで判定できる。
また、本実施形態の封着用無鉛ガラスは、可視〜近赤外領域(400〜1000nm)の光を吸収する性質を有する。したがって、本実施形態の封着用無鉛ガラスを含有する封着材料として使用する際に、封着材料を直接加熱することに替えて、上記領域のレーザ光を封着材料に照射することで、封着材料がレーザ光を吸収し温度が上昇して軟化流動することで、封着加工することも可能である。
本実施形態の封着用無鉛ガラスの熱膨張係数は、150×10−7/℃未満である。150×10−7/℃以上では、無機充填材を添加しても封着材料としての熱膨張係数を十分に低下させることが困難となる。また、無機充填材を過剰に添加することにより、封着材料の封着時の流動性の低下も招くおそれがある。好ましくは、145×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは140×10−7/℃以下である。熱膨張係数の下限値は特に限定する必要はないが、敢えて限定するならば、80×10−7/℃以上が好ましく、90×10−7/℃以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の封着用無鉛ガラスの耐候性および流動性は、例えば、それぞれ以下のプレッシャークッカーテストおよびフローボタンテストを指標として評価できる。
(プレッシャークッカーテスト(PCT))
上記ガラスの製造において冷却時に所定の大きさに成形したガラスバルクを121℃、100RH%、2気圧の条件下に48時間曝した前後の、表面状態の変化を目視により官能評価する。表面状態としては、色、光沢、表面のもろさ、等が挙げられる。本実施形態の封着用無鉛ガラスにおいては、本試験において、表面状態の変化が認められず耐候性に優れるものである。
(フローボタンテスト)
適度な粒径に調整されたガラス粉末の、比重と同じ数字のg量(例えば、比重が4g/cmであれば4g、以下、比重[g]ともいう。)を直径1/2インチのダイスでプレス加工したボタン状のガラスを、ソーダライムガラス板に載せて10℃/分で380℃まで昇温、10分間保持した後、10℃/分で降温する試験において、試験後におけるボタン状のガラスの直径を指標とする。なお、直径は4か所測定しその平均値を用いる。上記試験後におけるボタン状のガラスの直径が21mm以上であると流動性に優れており、380℃以下での封着に好適に使用できるといえる。以下、試験後のボタン状のガラスの直径を「ボタン直径」という。また、加熱処理後のフローボタンには、光沢があることが好ましい。フローボタン表面に結晶が生じ、光沢が失われた“失透状態”となると、流動性が失われ、再度加熱した場合に良好に封着できない事態が発生する。
本実施形態の封着用無鉛ガラスにおいては、ボタン直径の21mm以上を達成可能である。ボタン直径は22mm以上がより好ましく、封着用無鉛ガラスにおけるアルカリ土類金属酸化物の含有量を2〜7%とすることで、概ねボタン直径の24mm以上が達成可能となり、より低温での封止に好適であると言える。
本実施形態の封着用無鉛ガラスは、該封着用無鉛ガラスのみで被封着物を封着するための封着材料を構成することが可能である。一般には、本実施形態の封着用無鉛ガラスに、低膨張充填材等の無機充填材を配合して封着材料を構成する。
[封着材料]
本実施形態の封着材料は、上記本実施形態の封着用無鉛ガラスと、無機充填材とを含有する。封着材料における封着用無鉛ガラスおよび無機充填材の含有量は目的に応じて適宜設定される。具体的には、封着材料の全量に対する封着用無鉛ガラスの含有量は、60〜90体積%が好ましく、60〜80体積%がより好ましい。封着材料の全量に対する無機充填材の含有量は10〜40体積%が好ましく、20〜40体積%がより好ましい。封着材料中の無機充填材の含有量が過剰となると、流動性が損なわれるおそれがある。
上記封着材料としては、封着用無鉛ガラスと無機充填材とからなり、封着材料の全量に対する封着用無鉛ガラスの含有量が60〜90体積%、かつ無機充填材の含有量が10〜40体積%である封着材料が好ましい。封着用無鉛ガラスおよび無機充填材の含有量が上記範囲にあれば、封着時における封着材料の流動性が良好であり、得られる封着パッケージの封着層において十分な接着強度を有する。
無機充填材の代表例としては低膨張充填材や無機顔料が挙げられる。低膨張充填材とは封着用無鉛ガラスより低い熱膨張係数を有する無機粉末であり、無機顔料とは封着用無鉛ガラスの着色を補助するための無機粉末である。低膨張充填材の含有量は、封着材料全量に対して40体積%以下が好ましい。なお、封着材料は必要に応じて低膨張充填材以外の無機充填材(例えば、無機顔料等)を含有していてもよい。その場合、低膨張充填材を含む無機充填材全体の含有量として40体積%以下が好ましい。
低膨張充填材は、主として封着用無鉛ガラスと被封着物との熱膨張係数の差を減ずるために封着材料に含有される。具体的には、低膨張充填材は、封着材料の熱膨張係数を下げる目的で含有される。低膨張充填材の含有量は、封着用無鉛ガラスと被封着物、例えば、後述の封着パッケージにおける、第1の基板および第2の基板との熱膨張係数の差に応じて適宜設定される。被封着用無鉛ガラスの組成や封着物の種類によるが、実用的な配合効果、例えば、封着材料の熱膨張係数を下げる効果や、封着強度や信頼性を向上させる効果を得るためには、封着材料中の低膨張充填材の含有量は10体積%以上が好ましい。
低膨張充填材としては、概ね−15×10−7/℃〜45×10−7/℃程度の熱膨張係数を有するものが好ましい。なお、封着用無鉛ガラスおよび無機充填材を含有する封着材料の熱膨張係数としては、例えば、アルミナパッケージの封着やソーダライムガラス基板同士の封着に用いる場合、概ね60×10−7/℃〜90×10−7/℃が好ましい。
低膨張充填材として、具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、コージェライト、ムライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、および石英固溶体等が挙げられる。
これらのなかでも、ガラスと低膨張充填材の反応による失透抑制等の観点からリン酸ジルコニウム系化合物が好ましい。リン酸ジルコニウム系化合物としては、(ZrO)、NaZr(PO、KZr(PO、Ca0.5Zr(PO、NbZr(PO、Zr(WO)(PO、およびこれらの複合化合物が挙げられる。リン酸ジルコニウム系化合物は1種が単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
無機顔料としては、具体的には、Fe、Cr、Mn、Co、Ni、およびCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属、および/または上記金属を含む酸化物等の金属化合物の少なくとも1種があげられる。
封着材料が含有する無機充填材の最大粒径は、封着用無鉛ガラスの最大粒径と同様に、後述する加熱によって封着層となる仮焼成層の厚さ未満であることが好ましい。無機充填材の最大粒径は、5〜100μmの範囲が好適である。また、無機充填材のメディアン粒径(D50)は、特に限定されず、0.1〜20μm程度が好適である。上記D50は、レーザ回折散乱法を用いて測定した値である。
なお、封着材料を小型デバイス用の超薄型ディスプレイパネルや水晶振動子パッケージに用いる場合には、無機充填材の最大粒径は1〜10μmが好ましい。この場合の、無機充填材のメディアン粒径(D50)は、0.1〜2.0μmが好ましい。
上記のとおり、本実施形態の封着用無鉛ガラスは、可視〜近赤外領域(400〜1000nm)の光を吸収する。該封着用無鉛ガラスを含有する封着材料においても、同様に可視〜近赤外領域の光を吸収する。例えば、図4には実施例12の封着材料から得られる膜厚15μmの仮焼成層の分光特性を示すが、400〜1000nmの波長域で90%程度の吸収が認められる。
また、本実施形態の封着材料においては、上記フローボタンテストにおけるボタン直径が15mm以上であることが好ましく、16mm以上がより好ましい。
[封着材料ペースト]
本実施形態の封着材料ペーストは、上記封着材料とビヒクルとの混合物からなるものである。ビヒクルとしては、例えば、溶剤にバインダ成分である樹脂を溶解したものが用いられる。
具体的には、以下のバインダ成分と溶剤の組み合わせにおいて、溶剤にバインダ成分を溶解したものが挙げられる。
メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のバインダ成分と、ターピネオール、テキサノール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤との組み合わせ。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロオキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂からなるバインダ成分と、メチルエチルケトン、ターピネオール、テキサノール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤との組み合わせ。なお、上記(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの両方を示す。(メタ)アクリル系樹脂も同様である。
ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等のポリアルキレンカーボネートからなるバインダ成分と、アセチルクエン酸トリエチル、コハク酸ジエチル、トリアセチン、アジピン酸ジメチル、安息香酸エチル、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等の溶剤との組み合わせ。
このようなビヒクルのうちでも、封着材料ペーストを用いた封着加工時における脱バインダ性が良好である点から、ポリプロピレンカーボネートを含むビヒクルが好ましい。
ビヒクルにおけるバインダ成分と溶剤の割合は、封着材料とビヒクルを混合して得られる封着材料ペーストにおいて求められる粘度による。
封着材料とビヒクルとの混合比は、所望のペースト粘度等に応じて適宜設定され、特に限定されない。封着材料ペーストの粘度は、封着材料ペーストを被封着物に塗布する際の塗布方法、用いる塗布装置等に対応した粘度に合わせればよい。封着材料ペーストの粘度は、バインダ成分と溶剤との混合割合、また封着材料とビヒクルとの混合割合により調整できる。封着材料ペーストは、例えば、溶剤に対するバインダ成分の質量比を概ね5/95〜40/60として調製したビヒクルと封着材料とを所望の粘度となるように混合することで製造できる。
封着材料ペーストは、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストで公知の添加物を含有していてもよい。封着材料ペーストの製造には、撹拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用できる。
本実施形態の封着材料ペーストは、半導体デバイス、水晶振動子等の封着パッケージにおける封着層の形成に使用される。
[封着パッケージ]
本実施形態の封着パッケージは、第1の基板、第2の基板、および封着層を有する。第2の基板は、第1の基板に対向して配置される。封着層は、第1の基板と第2の基板との間に配置され、第1の基板と第2の基板とを接着する。該封着層は、本実施形態の封着材料ペーストを用いて形成される、本実施形態の封着材料が溶融固化した層である。
図1、2は、封着パッケージの一実施形態を示す平面図および断面図である。図3(a)、(b)は、図1に示す封着パッケージの製造方法の一実施形態を示す工程図である。
封着パッケージ1としては、水晶振動子、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、マイクロミラー、光変調器等のMEMS、CCD素子やCMOS素子を適用した光デバイス等が挙げられるが、これらに限定されない。
封着パッケージ1は、第1の基板2、第2の基板3、封着層7、および素子部4を具備している。第1の基板2は、例えば、素子部4が主として設けられる素子用半導体基板である。第2の基板3は、例えば、封止に主として用いられる封止基板である。第1の基板2を素子用半導体基板とする際には、Si基板に代表される各種の半導体基板が適用できる。第2の基板3としては、半導体基板(Si基板等)、ガラス基板、セラミックス基板等が使用される。第1の基板2の表面2aには、封着パッケージ1に応じた素子部4が設けられている。素子部4はセンサ素子、ミラー素子、光変調素子、光検出素子等を備えており、各種公知の構造を有している。
なお、本実施形態の封着パッケージにおいて素子部は、図2に示す構造に限定されるものではない。また、封着パッケージは素子部を有しない構成であってもよい。
第1の基板2の表面2aには、素子部4の外周に沿って第1の封止領域5が設けられている。第1の封止領域5は素子部4を囲うように設けられている。第2の基板3の表面3aには、第1の封止領域5に対応する第2の封止領域6が設けられている。第1の基板2と第2の基板3とは、素子部4や第1の封止領域5を有する表面2aと第2の封止領域6を有する表面3aとが対向するように、所定の間隙を持って配置されている。第1の基板2と第2の基板3との間の間隙は封着層7で封止されている。
封着層7は素子部4を封止するように、第1の基板2の封止領域5と第2の基板3の封止領域6との間に形成されている。素子部4は第1の基板2と第2の基板3と封着層7とで構成されたパッケージで気密封止されている。封着層7は本実施形態の封着材料の溶融固化層からなるものである。パッケージ内は封着パッケージ1に応じた状態で気密封止されている。例えば、封着パッケージ1がMEMSである場合には、パッケージ内は真空状態で気密封止されることが一般的である。
次に、この本実施形態の封着パッケージ1の製造工程について、図3(a)、(b)を参照して説明する。まず、図3(a)に示すように、第2の基板3の封止領域6に封着材料の仮焼成層8(以下、単に「仮焼成層8」という。)を形成する。仮焼成層8の形成にあたっては、まず封止領域6に封着材料ペーストを塗布し塗布層を得、これを乾燥させて封着材料ペーストの乾燥層を形成する。封着材料や封着材料ペーストの具体的な構成は前述した通りである。
封着材料ペーストは、例えばスクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法を適用して封止領域6上に塗布したり、あるいはディスペンサ等を用いて封止領域6に沿って塗布したりする。封着材料ペーストの塗布層は、例えば120℃以上の温度で10分以上乾燥させる。乾燥工程は塗布層内の溶剤を除去するために実施するものである。このようにして得られる乾燥層内に溶剤が残留していると、その後の焼成工程でバインダ成分を十分に除去できないおそれがある。
上記した封着材料ペーストの乾燥層を焼成して仮焼成層8を形成する。焼成工程は、まず乾燥層を封着材料の主成分である封着用無鉛ガラスのガラス転移点以下の温度に加熱し、乾燥層内のバインダ成分を除去した後、封着用無鉛ガラスの軟化点以上の温度に加熱し、封着用無鉛ガラスを溶融して第2の基板3に焼き付ける。このようにして、封着材料の焼成層からなる仮焼成層8を形成する。
次に、図3(b)に示すように、仮焼成層8を有する第2の基板3と、それとは別に作製した素子部4を有する第1の基板2とを、表面2aと表面3aとが対向するように仮焼成層8を介して積層する。第1の基板2の素子部4上には、仮焼成層8の厚さに基づいて間隙が形成される。この後、第2の基板3と第1の基板2との積層物を仮焼成層8中の封着用無鉛ガラスの軟化点以上の温度に加熱し、封着用無鉛ガラスを溶融、固化させることによって、第1の基板2と第2の基板3との間の間隙を気密封止する封着層7を形成する。これにより図1、2に示す封着パッケージ1が得られる。
この際、封着用無鉛ガラスは第1の基板2および第2の基板3と封着層7との接着性が良好で、封着層7による気密封止性を高められる。
なお、上記において乾燥層の焼成および仮焼成層の溶融固化に際しての加熱は、通常、所定の温度に設定された電気炉等の焼成炉内に組立体全体を配置することで行われる。ただし、上記のとおり、封着用無鉛ガラスおよび封着材料が可視〜近赤外領域(400〜1000nm)の光を吸収する性質を有することからレーザ照射により乾燥層の焼成、仮焼成層の溶融固化を行ってもよい。使用可能なレーザとしては、半導体レーザ(可視〜近赤外、例えば、808nm、940nm)、He−Neレーザ(633nm)、YAGレーザ(1064nm、532nm)等が挙げられる。
封着用無鉛ガラスは耐候性に優れているため、上記のようにして得られる封着層は耐候性に優れる。したがって、気密封止性に加えてデバイス特性や信頼性に優れる封着パッケージを再現性よく提供できる。
上記は主として半導体デバイスを例とした説明であるが、本発明の封着用無鉛ガラスによる封着対象は、特に制約はなく、例えば、電子管、蛍光表示管、蛍光表示パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、液晶ディスプレイ用バックライトパネル、半導体パッケージ等の各種電子部品・電気製品の開口部や接合部が挙げられる。
以上、本発明の封着パッケージの実施形態について説明したが、本発明の封着パッケージはこれらに限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限度において、また必要に応じて、その構成を適宜変更できる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお、以下の説明は本発明を限定するものではない。
[封着用無鉛ガラスの作製]
(実施例1〜11、比較例1〜10)
酸化物換算のモル%で、表1、2に示される組成となるように原料を調合し、これを白金ルツボに入れて1000℃に調整された熔融炉内に投入し1時間かけて熔融液を得た。得られた熔融液を、水冷ローラーによりシート状に成形した後、これをボールミル(アルミナボール)により4時間かけて乾式粉砕した。得られた粉砕物をステンレス製の目開き100メッシュの篩に通したものを封着用無鉛ガラスとした。この封着用無鉛ガラスのD50を、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック、日機装社製)により測定したところ、いずれも3〜20μmの範囲内であった。
得られた封着用無鉛ガラスのガラス転移点(Tg)、軟化点(Ts)、熱膨張係数(CTE;平均線熱膨張係数(α))を測定し、上記フローボタンテストによるボタン直径による流動性の評価、およびプレッシャークッカーテスト(PCT)による耐候性の評価を行った。なお、フローボタンテストにおいては、試験後に外観を目視により観察し、光沢の有無を評価した。結果をガラス組成とともに表1、2に示す。表1、2中、「RO」はアルカリ土類金属酸化物を表す。実施例1〜11の封着用無鉛ガラスにおいては、耐候性、流動性およびガラスの安定性のいずれも良好であった。
〔ガラス転移点、軟化点〕
示差熱分析装置(リガク社製TG−8110)により、リファレンス(標準サンプル)としてα−アルミナを用い、加熱速度10℃/分、温度範囲25℃(室温)〜400℃の測定条件でサンプルのガラス転移点(Tg)、軟化点(Ts)を測定した。第1変曲点をTg[℃]、第4変曲点をTs[℃]とした。
〔平均線熱膨張係数(α)〕
熱機械分析装置(リガク社製TMA8310)により、平均線熱膨張係数(α)を測定した。この測定は、封着用無鉛ガラス(30g)を型内で溶融、固化させて5mmΦ×20mm(試料径×高さ)の円柱に成形し、上底面が平行に成形されたものを測定試料として用い、25℃(室温)〜250℃まで10℃/分で昇温させ、30〜250℃の平均線熱膨張係数(α)(表中、「CTE」と表記した。)を求めた。また、標準サンプルには石英ガラスを用いた。
Figure 0006311530
Figure 0006311530
[封着材料の作製]
(実施例12〜19、比較例11〜13)
実施例1〜4、6〜8、比較例1、4、8で得られた封着用無鉛ガラスと、表3、4に示す低膨張充填材とを表3、4に示すような割合(体積%)となるように調合して、自公転混合機にて混合して、封着材料を調製した。得られた封着材料について、上記同様にして熱膨張係数(平均線熱膨張係数(α))を測定し、上記フローボタンテストによるボタン直径による流動性の評価および試験後の外観を目視で評価した。結果を封着材料の組成とともに表3、4に示す。
実施例12〜19の封着材料においては、流動性ならびにガラスとしての安定性が良好であった。また、実施例12〜19の封着材料においては、いずれも実施例の封着用無鉛ガラスを用いているため耐候性も良好である。比較例11の封着材料は、流動性ならびにガラスとしての安定性が良好であるが、比較例1の封着用無鉛ガラスを用いているため、耐候性は十分ではない。
低膨張充填材として使用したリン酸ジルコニウムおよびリン酸タングステン酸ジルコニウムのメディアン粒径D50は、それぞれ1.6μmおよび0.9μmであった。
Figure 0006311530
Figure 0006311530
[封着材料ペーストの作製]
(実施例20および21、比較例14)
ポリプロピレンカーボネートとトリアセチンを質量比10:90で混合したビヒクルと表5に示す実施例12、14、比較例11で得られた封着材料のそれぞれを混合し、3本ロールミルにて精密混練、適宜粘度調整を実施し封着材料ペーストを作製した。封着材料ペーストにおけるビヒクルと封着材料の割合は表5に示すとおりであった。これらについて、以下の評価を行った。結果を併せて表5に示す。
(1)泡面積測定用シールサンプル1の作製
上記で得られた各例の封着材料ペーストを、それぞれ50mm×50mmのソーダライムガラス基板A上に、#200メッシュのスクリーンを用いてスクリーン印刷により、長さ30mm、幅0.75mmのライン形状に印刷した。これに対して、250℃、30分間の乾燥、脱バインダ処理を行った後、380℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の仮焼成を行った。
得られた仮焼成層つきガラス基板Aに、50mm×50mmのソーダライムガラス基板Bを、仮焼成層を介して積層し、クリップで加圧した。この積層体について、380℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の加熱処理を行い、ガラス基板A、B間に封着層を有する上記各例の封着材料ペーストによるシールサンプル1を作製した。得られたシールサンプル1について、以下のようにして泡面積(%)を測定した。
〔泡面積(%)〕
上記で得られたシールサンプル1の封着層の中心が写真の中心となるようにかつ幅方向の全体が写真に写るように、金属顕微鏡(OLYMPUS社製、商品名:BX51)を用いて一方のガラス基板側から封着層を透過光観察し、更にその写真撮影を50倍の倍率で行った。写真に写った封着層の全体を二次元画像解析ソフト(三谷商事社製、商品名:WinROOF)で2値化して、写真に写った封着層の全面積に占める泡の面積の割合(泡の面積/封着層の面積×100[%])を測定した。
実施例20並びに実施例21のシールサンプルに関しては、泡面積率が5%未満であり、良好な封着層が得られていた。このことは、封着材料からの脱ガスによる発泡が少ないことを意味しており、発泡が起こりやすい真空雰囲気下での封止でも好適に使用できることを意味している。一方、比較例14のシールサンプルに関しては、泡面積率が5%以上となっており、特に発泡しやすい真空雰囲気下での封止には不適であることを意味している。
(2)封着性評価用シールサンプル2の作製
実施例20で得られた封着材料ペーストを、50mm×50mmのソーダライムガラス基板A上に、#325メッシュのスクリーンを用いてスクリーン印刷により、1辺1mm、線幅0.4mmの額縁形状に印刷した。これに対して、250℃、30分間の乾燥、脱バインダ処理を行った後、380℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の仮焼成を行った。
得られた仮焼成層つきガラス基板Aに、50mm×50mmのソーダライムガラス基板Bを、仮焼成層を介して積層し、クリップで加圧した。この積層体について、360℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の加熱処理を行い、ガラス基板A、B間に封着層を有するシールサンプル2を作製した。
(3)封着性評価用シールサンプル3の作製
実施例20で得られた封着材料ペーストを、50mm×50mmのアルミナ基板C上に、#325メッシュのスクリーンを用いてスクリーン印刷により、1辺1mm、線幅0.4mmの額縁形状に印刷した。これに対して、250℃、30分間の乾燥、脱バインダ処理を行った後、380℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の仮焼成を行った。
得られた仮焼成層つきアルミナ基板Cに、50mm×50mmのアルミナ基板Dを、仮焼成層を介して積層し、クリップで加圧した。この積層体について、360℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の加熱処理を行い、アルミナ基板C、D間に封着層を有するシールサンプル3を作製した。
〔封着性〕
上記で得られたシールサンプル2、3について、金属顕微鏡(OLYMPUS社製、商品名:BX51)を用いて封着部分を観察したところ、剥離など見られず、強固な接着が実現していた。この結果を、表5に「○」で示す。このことから、本発明で得られた封着材料ペーストを用いることで、接着性の良好な封止パッケージが実現できることがわかる。
Figure 0006311530
また、実施例20の封着材料ペースト(実施例12の封着材料を含有)をブレードコートにより、ガラス基板(PD200、旭硝子社製)上に塗布後の塗布層厚が50μmとなるように塗布した。これに対して、120℃、30分間の乾燥、並びに250℃、30分間の脱バインダ処理を行った後、380℃、10分間(昇温、降温は10℃/分)の仮焼成を行い、仮焼成層付きガラス基板を得た。仮焼成後の層厚は、15μmであった。
得られた仮焼成層付きガラス基板について、U−4100形分光光度計(日立製作所社製)を用いて、400nm〜1000nmの波長域の光の吸収率(%)を、刻み幅1.0nm、スキャンスピード150nm/minで測定した。ガラス基板のみで同様に測定した結果を用いて、仮焼成層の光の吸収率(%)を得た。結果を図4に示す。測定した波長範囲において、吸収率は90%程度となっており、レーザを照射することで、封着材料層を軟化流動する温度まで加熱ができることがいえる。
表1〜5で明らかなように、実施例1〜11により得られた封着用無鉛ガラスは、封止温度が380℃以下と低く、かつ、耐候性に非常に優れたものである。また、この封着用無鉛ガラスを用いて得られた封着材料ペーストは、封着性も良好で、十分に実用に耐えるものであることがわかった。
本発明の封着用無鉛ガラス、封着材料および封着ペーストは、低温域での使用が可能で、耐水性に優れており、封着性も良好であるため、水晶振動子パッケージ、MEMSパッケージ、LEDパッケージ等の電子製品や、有機ELディスプレイ、蛍光表示管等の表示装置、あるいは、素子の封止以外の用途、例えば、真空複層ガラスや、真空二重円筒管等の封着に広く使用できる。
1…封着パッケージ、2…第1の基板、2a,3a…表面、3…第2の基板、4…素子部、5…第1の封止領域、6…第2の封止領域、7…封着層、8…仮焼成層

Claims (10)

  1. 酸化物換算のモル%表示で、45〜65%のTeOと、25〜40%のVと、5〜10%のZnOと、2〜15%のアルカリ土類金属酸化物と、0.5〜3%のCuOと、0〜1%のPと、を含有し、Vの含有量に対するアルカリ土類金属酸化物とPの含有量の合計の割合が0.07以上であり、実質的にPbOを含有しないことを特徴とする封着用無鉛ガラス。
  2. 前記アルカリ土類金属酸化物の含有量が、酸化物換算のモル%表示で2〜7%である請求項1に記載の封着用無鉛ガラス。
  3. 前記アルカリ土類金属酸化物の含有量が、酸化物換算のモル%表示で5〜15%である請求項1に記載の封着用無鉛ガラス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の封着用無鉛ガラスと、無機充填材とを含有する封着材料。
  5. 前記封着用無鉛ガラスの含有量が前記封着材料の全量に対して60〜90体積%であり、前記無機充填材の含有量が前記封着材料の全量に対して10〜40体積%である請求項4記載の封着材料。
  6. 前記無機充填材が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、コージェライト、ムライト、ユークリプタイト、スポジュメン、リン酸ジルコニウム系化合物、酸化錫系化合物、および石英固溶体から選ばれる少なくとも1種からなる低膨張充填剤である請求項4または5に記載の封着材料。
  7. 前記低膨張充填剤が、リン酸ジルコニウム系化合物である請求項6記載の封着材料。
  8. 請求項4〜7のいずれか1項に記載の封着材料とビヒクルとの混合物からなる封着材料ペースト。
  9. 前記ビヒクルがポリプロピレンカーボネートを含む請求項8記載の封着用ペースト。
  10. 第1の基板と、
    前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着するとともに、請求項8または9に記載の封着用ペーストを用いて形成される封着層と、
    を有する封着パッケージ。
JP2014169469A 2014-08-22 2014-08-22 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ Active JP6311530B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014169469A JP6311530B2 (ja) 2014-08-22 2014-08-22 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014169469A JP6311530B2 (ja) 2014-08-22 2014-08-22 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016044101A JP2016044101A (ja) 2016-04-04
JP6311530B2 true JP6311530B2 (ja) 2018-04-18

Family

ID=55634993

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014169469A Active JP6311530B2 (ja) 2014-08-22 2014-08-22 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6311530B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017191805A (ja) * 2016-04-11 2017-10-19 日本電気硝子株式会社 気密パッケージの製造方法及び気密パッケージ
CN109075128B (zh) * 2016-06-10 2023-02-28 日本电气硝子株式会社 气密封装体的制造方法及气密封装体
JP2020001958A (ja) * 2018-06-28 2020-01-09 日本電気硝子株式会社 封着材料層付きガラス蓋の製造方法及び気密パッケージの製造方法
CN111875249B (zh) * 2020-08-10 2023-01-24 河北曜阳新材料技术有限公司 碲酸盐系封接玻璃及其制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5713993B2 (ja) * 2010-03-05 2015-05-07 ヤマト電子株式会社 有機el封着用無鉛ガラス材とこれを用いた有機elディスプレイ及び該ディスプレイの製造方法
JP2012106891A (ja) * 2010-11-18 2012-06-07 Asahi Glass Co Ltd 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペースト
JP2013155059A (ja) * 2012-01-27 2013-08-15 Nippon Electric Glass Co Ltd 色素増感型太陽電池用ガラス組成物及び色素増感型太陽電池用材料
JP5733279B2 (ja) * 2012-07-30 2015-06-10 日立化成株式会社 電子部品及びその製法、並びにそれに用いる封止材料ペースト

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016044101A (ja) 2016-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI482743B (zh) A glass member having a sealing material layer and an electronic device using the same, and a method of manufacturing the same
JP5673102B2 (ja) 封着材料層付きガラス部材およびそれを用いた電子デバイスとその製造方法
JP5413373B2 (ja) レーザ封着用ガラス材料、封着材料層付きガラス部材、および電子デバイスとその製造方法
JP5716743B2 (ja) 封着材料ペーストとそれを用いた電子デバイスの製造方法
JP6357937B2 (ja) 封着材料および封着パッケージ
WO2013015414A1 (ja) 封着材料層付きガラス基板、これを用いた有機elデバイス、及び電子デバイスの製造方法
WO2012093698A1 (ja) 封着材料層付きガラス部材の製造方法及び製造装置、並びに電子デバイスの製造方法
JP2010228998A (ja) 封着材料層付きガラス部材とそれを用いた電子デバイスおよびその製造方法
JP2012106891A (ja) 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペースト
CN111302629B (zh) 玻璃组合物、玻璃粉末、封接材料、玻璃糊、封接方法、封接封装体和有机电致发光元件
JP6311530B2 (ja) 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペーストおよび封着パッケージ
KR20210147932A (ko) 밀봉 부착 패키지 및 유기 일렉트로루미네센스 소자
JP5920513B2 (ja) 封着用無鉛ガラス、封着材料、封着材料ペースト
JP2015120623A (ja) 封着材料、封着材料層付き基板およびその製造方法、ならびに封着体
JP2014177356A (ja) 封着材料層付き部材の製造方法、封着材料層付き部材、および製造装置
US20140342136A1 (en) Member with sealing material layer, electronic device, and method of manufacturing electronic device
JP2015044695A (ja) 封着用ガラス、封着材料、および封着用ペースト
JP2014224006A (ja) 封着材料層付き部材とその製造方法、および封着材料層付き部材の製造装置
JP6885445B2 (ja) ガラス組成物、ガラス粉末、封着材料、ガラスペースト、封着方法、封着パッケージおよび有機エレクトロルミネセンス素子
KR20240017761A (ko) 유리 조성물, 유리 페이스트, 봉착 패키지 및 유기 일렉트로루미네센스 소자
JP2023086521A (ja) ガラスペースト
JP2023090532A (ja) 気密パッケージ用窓材
JP2013053032A (ja) 気密部材とその製造方法
JP2014221695A (ja) 封着パッケージ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180220

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6311530

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250