JP6087323B2 - 熱処理装置、熱処理方法及びその熱処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents

熱処理装置、熱処理方法及びその熱処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、熱処理装置、熱処理方法及びその熱処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体に関する。
従来、反応管の内部に設けられた温度検出手段とヒータの近傍に設けられた温度検出手段とによって検出される温度に基づいて反応管の温度制御を行う熱処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、例えば1100℃以上の高温で被処理体に熱処理を行う場合、長時間加熱すると反応管に変形が生じることがあるため、石英からなる反応管を用いることは好ましくない。
そこで、例えば1100℃以上の高温で被処理体に熱処理を行う場合には、炭化珪素(SiC)からなる反応管が用いられている。
特開平9−199491号公報
しかしながら、炭化珪素からなる反応管を用いて高温で被処理体に熱処理を行う場合、炭化珪素の加工性が悪いため、反応管の内部に温度検出手段を設けることが困難であった。
そこで、炭化珪素からなる反応管を用いて高温で被処理体に熱処理を行う場合には、温度検出手段は、反応管の内部に設けられることなく、ヒータの近傍に設けられる。そして、ヒータの近傍に設けられた温度検出手段によって検出される温度に基づいて、反応管の内部の温度を制御している。このため、反応管の内部の温度を高い精度で制御することができないことがある。
そこで、本発明の一つの案では、反応管の内部の温度を高い精度で制御することができる熱処理装置を提供することを目的とする。
一つの案では、1100℃以上の高温で被処理体に熱処理を行う熱処理装置であって、被処理体を収納する炭化珪素からなる反応管と、前記反応管の外周部に前記反応管を囲むようにして配置され、前記反応管の内部に収納された被処理体を加熱する加熱手段と、前記反応管と前記加熱手段との間における前記加熱手段の近傍に測温部を有し、前記反応管と前記加熱手段との間の空間の温度を検出する第1の温度検出手段と、前記反応管と前記加熱手段との間における前記反応管の近傍に測温部を有し、前記反応管と前記加熱手段との間の空間の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御するモードと、前記第2の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御するモードとを切り替えて制御する制御部と、を備え、前記加熱手段は、断熱材と、前記断熱材の内周側に螺旋状に巻回して配置された発熱体とを含み、前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段は、前記加熱手段の外側から前記断熱材を貫通して、前記反応管と前記発熱体との間へと挿入されており、前記第2の温度検出手段の測温部は、前記反応管の外面と前記発熱体の内面との距離をDとしたときに、前記反応管の外面からの距離がD/3以下の位置に設けられており、前記制御部は、前記反応管の温度を昇温するときに前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御し、前記被処理体に熱処理を行うときに前記第2の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御する、熱処理装置が提供される。
一態様によれば、反応管の内部の温度を高い精度で制御することができる熱処理装置を提供することができる。
本発明に係る熱処理装置の構成を例示する概略図。 本発明に係る熱処理装置の温度検出手段を例示する概略図。 温度検出手段の測温部の位置と温度検出手段によって検出される温度との関係を例示する図。 本発明に係る熱処理方法における反応管の内部の温度変化特性を例示する図。 発熱体と温度検出手段との位置関係を説明するための図。 本発明に係る熱処理装置の制御系を例示する図。 本発明に係る熱処理装置の制御系を例示する図。 本発明に係る熱処理装置における反応管の内部の温度と温度検出手段によって検出される温度との関係を例示する図。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することによって重複した説明を省く。
[熱処理装置]
まず、本発明に係る熱処理装置の構成の一例について説明する。なお、本実施形態では、被処理体の一例としての半導体ウエハ(以下「ウエハW」という。)に熱処理を行うための縦型熱処理装置を例として説明する。図1は、本発明に係る熱処理装置の構成を例示する概略図である。
図1に示すように、熱処理装置は、長手方向が垂直に配設された円筒状の炭化珪素(SiC)からなる反応管11を有する。反応管11は、例えば石英からなるフランジ12によって、その下端部が保持されている。
フランジ12の下端部の開口部には、例えばステンレススチールからなる円盤状のキャップ部13が、Oリング等のシール部材を介して気密封止可能に取り付けられている。
キャップ部13上には、例えば石英からなる保温筒14が設置されている。また、保温筒14上には、支持具としての、例えばSiCからなるウエハボート15が載置される。
ウエハボート15には、例えば50〜150枚のウエハWが、所定の間隔、例えば10mm程度間隔のピッチで収納される。ウエハボート15、保温筒14及びキャップ部13は、例えばボートエレベータである昇降機構(図示せず)によって、反応管11の内部に一体となって搬入(以下「ロード」という。)又は搬出(以下「アンロード」という。)される。
フランジ12の側面には、反応管11の内部へ必要なガスを導入するためのガス導入手段(図示せず)が設けられている。ガス導入手段は、フランジ12を気密に貫通させて設けられた1又は2以上のガスノズル(図示せず)を有する。また、ガスノズルから反応管11へと導入されるガスは、マスフローコントローラ等の流量制御機構(図示せず)によって、その流量が制御される。
また、フランジ12の側面には、排気口16が設けられており、排気口16には排気系(図示せず)が連結される。排気系は、排気口16に接続された排気流路(図示せず)と、排気流路の途中に順次接続された圧力調整弁(図示せず)と真空ポンプ(図示せず)とを含む。そして、排気系によって、反応管11の内部の雰囲気を圧力調整しながら排気することができる。
反応管11の外周部には、反応管11を囲むようにしてウエハWを加熱する加熱手段17が設けられている。加熱手段17は、円筒状に形成された有天井の断熱材171を有する。断熱材171は、例えば熱伝導性が低く、柔らかい無定形のシリカ及びアルミナの混合物によって形成される。断熱材171の厚さは、特に限定されないが、例えば30mm〜40mm程度とすることができる。また、断熱材171は、その内面が反応管11の外面よりも所定の距離だけ離間して配置されている。さらに、断熱材171の外周面には、例えばステンレススチールからなる保護カバー(図示せず)が、断熱材171全体を覆うように取り付けられている。
断熱材171の内周側には、発熱体172が螺旋状に巻回して配置されている。発熱体172は、例えば断熱材171の側面の全体に亘って巻回して設けられており、反応管11の高さ方向の全体をカバーできる構成になっている。また、発熱体172は螺旋状の巻回しに限らず、1巻きの発熱体をウエハWの積層方向に沿って複数個等間隔又は略等間隔で配置した構成とすることもできる。すなわち、発熱体172の外周側に断熱材171を設けた構造になっている。
発熱体172は、高さ方向において、下方から順に、Zone1、Zone2、Zone3、Zone4及びZone5の5つのゾーンに分割されている。そして、発熱体172は、制御部20によって、各ゾーンごとに独立して温度制御できる構成となっている。
発熱体172が高さ方向において複数のゾーンに分割されている構成の場合、単一の制御部20が温度制御する構成としてもよく、各々のゾーンに対応する制御部20を設けて複数の制御部20が温度制御する構成としてもよい。各々のゾーンに対応して制御部20を設ける構成の場合には、各々の制御部20が後述する熱処理方法を実行するように構成することが好ましい。なお、発熱体172は、複数のゾーンに分割されていてもよく、分割されていない1つのゾーンであってもよい。
反応管11と加熱手段17との間には、温度検出手段18が設けられている。温度検出手段18は、発熱体172のゾーンごとに、加熱手段17の外側から断熱材171を貫通して反応管11と加熱手段17との間に挿入されており、反応管11と加熱手段17との間の空間の温度を測定する。温度検出手段18の詳細については後述する。
制御部20は、例えば図示しない演算処理部、記録部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記録部は、演算処理部に各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクによって構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面からなる。演算処理部は、記録部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、後述する熱処理方法を実行可能な構成となっている。
次に、温度検出手段18について詳細に説明する。図2は、本発明に係る熱処理装置の温度検出手段18を例示する概略図である。なお、図2においては、説明の便宜上、図1における5つのゾーンのうち、1つのゾーンにおける温度検出手段18について示している。
図2に示すように、温度検出手段18は、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に測温部181aを有し、反応管11と加熱手段17との間の空間の温度を検出する第1の温度検出手段181を含む。また、温度検出手段18は、反応管11と加熱手段17との間における反応管11の近傍に測温部182aを有し、反応管11と加熱手段17との間の空間の温度を検出する第2の温度検出手段182を含む。すなわち、温度検出手段18は、反応管11と加熱手段17との間に設けられている。このため、温度検出手段18の交換等のメンテナンスが容易であり、メンテナンス時間を短縮することができる。
第1の温度検出手段181及び第2の温度検出手段182としては、例えば第1の温度検出手段181が第1の長さを有する熱電対とし、第2の温度検出手段182が第1の長さよりも長い第2の長さを有する熱電対とすることができる。これにより、第1の温度検出手段181の測温部181aを、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に配置することができる。また、第2の温度検出手段182の測温部182aを、反応管11と加熱手段17との間における反応管11の近傍に配置することができる。
また、第1の温度検出手段181及び第2の温度検出手段182としては、例えば第1の温度検出手段181及び第2の温度検出手段182が同じ長さを有する熱電対とすることができる。この場合、断熱材171を貫通して挿入される第2の温度検出手段182の挿入量を断熱材171を貫通して挿入される第1の温度検出手段181の挿入量よりも大きくなるように、第1の温度検出手段181及び第2の温度検出手段182を挿入する。これにより、第1の温度検出手段181の測温部181aを、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に配置することができる。また、第2の温度検出手段182の測温部182aを、反応管11と加熱手段17との間における反応管11の近傍に配置することができる。
次に、温度検出手段18の測温部の位置と、温度検出手段18によって検出される温度との関係について説明する。図3は、温度検出手段18の測温部の位置と温度検出手段18によって検出される温度との関係を例示する図である。より具体的には、図3は、反応管11の内部の温度が1200℃になるように設定したときの、前述した5つのゾーンにおける温度検出手段18の測温部の位置と温度検出手段18によって検出される温度との関係を示すグラフである。
なお、図3における縦軸は温度検出手段18によって検出される温度(℃)を表し、横軸は反応管11の外面からの距離(mm)を表す。また、図3においては、反応管11の外面の位置が0mmであり、発熱体172の内面の位置が45mmである。また、5つのゾーン、すなわち、Zone1、Zone2、Zone3、Zone4及びZone5における温度検出手段18の測温部の位置と温度検出手段18によって検出される温度との関係を、各々、1点鎖線、長破線、短破線、実線及び点線で示している。
図3に示すように、反応管11の外面からの距離が短い場合、例えば5mm及び15mmの場合には、すべてのゾーンにおいて温度検出手段18によって検出される温度は、1200±1℃以内であり、反応管11の内部の温度と略同一の温度を示している。一方、反応管11の外面からの距離が長い場合、例えば25mm、35mm及び45mmの場合には、温度検出手段18によって検出される温度と反応管11の内部の温度との差が大きく、ゾーン間のばらつきも大きい。
すなわち、反応管11の外面と発熱体172の内面との間の距離が45mmの熱処理装置を用いる場合には、第2の温度検出手段182の測温部182aは、反応管11の外面からの距離が15mm以下の位置に設けられていることが好ましい。また、第2の温度検出手段182と反応管11との接触を避けるため、第2の温度検出手段182の測温部182aは、反応管11の外面からの距離が5mm以上の位置に設けられていることが好ましい。
なお、第2の温度検出手段182の測温部182aの位置としては、反応管11の外面と発熱体172の内面との間の距離に応じて決定することができる。具体的には、反応管11の外面と発熱体172の内面との距離をD(図2参照)としたときに、第2の温度検出手段182の測温部182aは、反応管11の外面からの距離がD/3以下の位置に設けられていることが好ましい。第2の温度検出手段182の測温部182aが反応管11の外面からD/3以下の位置に設けられることによって、特に高い精度で温度制御を行うことができる。また、ゾーン間のばらつきが抑制されることから、熱処理装置の高さ方向の温度均一性を向上させることができる。
[熱処理方法]
次に、前述した制御部20によって制御される温度検出手段18を有する熱処理装置を用いて行われる熱処理方法について説明する。
本実施形態に係る熱処理方法においては、制御部20は、第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御するモード(以下「第1のモード」ともいう。)と、第2の温度検出手段182によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御するモード(以下「第2のモード」ともいう。)とを切り替えて制御する。
また、制御部20は、ウエハWに熱処理を行うときに第2の温度検出手段182によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御し、反応管11の温度を昇温又は降温するときに第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御する。
以下、本発明に係る熱処理方法における各々のステップの一例について、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明に係る熱処理方法の温度変化特性を例示する図である。なお、図4における縦軸は反応管11の内部の温度(℃)を表し、横軸は時間(分)を表す。
まず、反応管11の内部の温度を室温(以下「R.T.」という。)からスタンバイ状態の温度(以下「スタンバイ温度」という。)、例えば750℃へ昇温させる(ステップS1)。ステップS1では、制御部20は、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に測温部181aを有する第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御する。このため、外乱によって反応管11の内部の温度が変化した場合であっても、温度のハンチングや過剰なパワーを与えることを抑制することができる。
続いて、反応管11の内部の温度がスタンバイ温度に安定した後、ウエハWが収納されたウエハボート15を反応管11の内部へロードする(ステップS2)。具体的には、ウエハWが収納されたウエハボート15、保温筒14及びキャップ部13を、例えばボートエレベータである昇降機構によって、反応管11の内部に一体としてロードする。このとき、ウエハWの温度は、通常、スタンバイ温度より低いので、ウエハボート15を反応管11の内部へロードした結果、反応管11の内部の温度は一時的にスタンバイ温度より低い温度になる。しかし、ステップS2では、制御部20は、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に測温部181aを有する第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御する。このため、反応管11の内部の温度は、若干の時間を経て再びスタンバイ温度に安定する。
続いて、反応管11の内部の温度がスタンバイ温度に安定した後、スタンバイ温度からウエハWに熱処理を施すための温度(以下「熱処理温度」という。)、例えば1200℃まで徐々に反応管11の内部の温度を上昇させる(ステップS3)。ステップS3では、制御部20は、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に測温部181aを有する第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御する。このため、外乱によって反応管11の内部の温度が変化した場合であっても、温度のハンチングや過剰なパワーを与えることを抑制することができる。
続いて、反応管11の内部の温度が熱処理温度に達した後、反応管11の内部を熱処理温度に維持しながらウエハWに熱処理(プロセス処理)を行う(ステップS4)。ステップS4では、制御部20は、反応管11と加熱手段17との間における反応管11の近傍に測温部182aを有する第2の温度検出手段182によって検出される温度に基づいて、加熱手段17を制御する。すなわち、制御部20は、ステップS3で反応管11の内部の温度が熱処理温度に達した後、第1のモードから第2のモードに切り替える。
ここで、比較のために、基板Wに熱処理を行うときに、発熱体172近傍に設けられた温度検出手段18のみによって検出される温度に基づいて反応管11の内部の温度を制御する場合について、図5を参照しながら説明する。図5は、発熱体172と温度検出手段18との位置関係を説明するための図である。
図5(a)は、熱処理を行う前の発熱体172と温度検出手段18との位置関係を説明するための図である。図5(b)は、図5(a)における発熱体172及び温度検出手段18を図中−X方向から+X方向を見た図である。図5(c)は、熱処理を継続して行った後の発熱体172と温度検出手段18との位置関係を説明するための図である。図5(d)は、図5(c)における発熱体172及び温度検出手段18を図中−X方向から+X方向を見た図である。図5(e)は、熱処理を継続して行った後の発熱体172と温度検出手段18との位置関係を説明するための図である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、熱処理を行う前の温度検出手段18は、螺旋状に巻回して配置されている発熱体172の間に設けられている。
しかし、発熱体172を用いて熱処理を継続して行っていると、例えば図5(d)に示すように、隣接する発熱体172が拡がるように変形することによって、発熱体172の位置が変化することがある。より具体的には、隣接する発熱体172間の距離が図5(a)及び図5(b)におけるL1から図5(c)及び図5(d)におけるL2へと拡がるように発熱体172の位置が変化することがある。この場合、発熱体172と温度検出手段18との間の距離が変化するため、温度検出手段18によって検出される温度が低くなる。
また、発熱体172を用いて熱処理を継続して行っていると、例えば図5(e)に示すように、発熱体172の永久伸び等によって発熱体172のコイル径が拡大するように発熱体172の位置が変化することがある。より具体的には、発熱体172の位置が熱処理を行う前の位置(図5(e)における破線部を参照)から図5(e)の+X方向(図5(e)における実線矢印を参照)へとコイル径が拡大するように変化することがある。この場合、発熱体172と温度検出手段18の測温部との間の距離が長くなるため、温度検出手段18によって検出される温度が低くなる。
そして、制御部20は、温度検出手段18によって検出される低くなった温度を補正するように発熱体172を制御するため、反応管11の内部の温度が設定温度よりも高くなる。すなわち、反応管11の内部の温度を高い精度で制御することができない。
しかしながら、本実施形態に係る熱処理装置によれば、基板Wに熱処理を行うときに、反応管11と加熱手段17との間における反応管11の近傍に測温部182aを有する第2の温度検出手段182によって検出された温度に基づいて、加熱手段17を制御する。このため、発熱体172が変形することによって発熱体172の位置が変化した場合であっても、第2の温度検出手段182の測温部182aが発熱体172から遠い位置に設けられているため、発熱体172の位置変化の影響を受けにくい。結果として、安定した温度計測及び温度制御を行うことが可能である。すなわち、反応管11の内部の温度を高い精度で制御することができる。
続いて、ウエハWに対する熱処理が完了した後、熱処理温度からスタンバイ温度まで徐々に反応管11の内部の温度を下降させる(ステップS5)。ステップS5では、制御部20は、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に測温部181aを有する第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御する。このため、外乱によって反応管11の内部の温度が変化した場合であっても、温度のハンチングを抑制することができる。
続いて、反応管11の内部の温度がスタンバイ温度に安定した後、ウエハWが収納されたウエハボート15を反応管11外へアンロードする(ステップS6)。このとき、反応管11の内部と反応管11の外部の温度との差によって、反応管11の内部の温度が大きく変化することがある。しかし、ステップS6では、制御部20は、反応管11と加熱手段17との間における加熱手段17の近傍に測温部181aを有する第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御する。このため、反応管11の内部の温度は、若干の時間を経て再びスタンバイ温度に安定する。
その後、ウエハボート15上の処理済みウエハWは、未処理のウエハWと入れ替えられ、前述したステップS2からステップS6によって、未処理のウエハWに対して、熱処理を行うことができる。そして、ステップS2からステップS6の一連のステップを繰り返すことによって、未処理のウエハWに対して、連続で熱処理を行うことができる。
なお、制御部20は、ステップS3で反応管11の内部の温度が熱処理温度に達した後に第1のモードから第2のモードに切り替える形態について説明したが、本発明はこの点において限定されるものではない。
制御部20は、例えば反応管11の内部の温度が熱処理温度に到達する前に、第1のモードから第2のモードへと切り替えてもよい。熱処理温度に到達する前に第1のモードから第2のモードへと切り替えることによって、オーバーシュートを抑制することができる。
また、制御部20は、例えば反応管11の内部の温度が熱処理温度に到達する前に、第1の温度検出手段181によって検出される温度及び第2の温度検出手段182によって検出される温度に基づいて、加熱手段17を制御する第3のモードに切り替えてもよい。この場合、制御部20は、熱処理温度に到達したときに、第3のモードから第2のモードに切り替える。これにより、オーバーシュートを抑制することができる。
次に、制御部20による第1の温度検出手段181及び第2の温度検出手段182を用いて行われる温度制御方法について説明する。
本発明に係る温度制御方法としては、第1のモードと第2のモードとを切り替えて制御することができれば特に限定されるものではない。
温度制御方法としては、例えば図6に示すように、2つのPIDを直列に組み合わせて1つのフィードバックループを組んだカスケード制御ループによる構成とすることができる。また、例えば図7に示すように、切替手段と1つのPIDを有し、2つの温度検出手段18(第1の温度検出手段181及び第2の温度検出手段182)からの入力を切替手段で切り替えて制御する構成とすることができる。
なお、図6におけるプロファイルデータは、反応管11の内部の温度を基準とした第1の温度検出手段181の補正パラメータである。また、図7におけるプロファイルデータは、反応管11の内部の温度を基準とした第1の温度検出手段181又は第2の温度検出手段182の補正パラメータである。
次に、温度検出手段18の温度変化に対する応答性について説明する。図8は、本発明に係る熱処理装置における反応管11の内部の温度と温度検出手段18によって検出される温度との関係を例示する図である。より具体的には、図8は、第1の温度検出手段181によって検出される温度に基づいて加熱手段17を制御したときの第2の温度検出手段182及び反応管11の内部の温度の応答性を示す図である。
なお、図8における縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(分)を表す。また、第1の温度検出手段181、第2の温度検出手段182及び反応管11の内部における時間と温度との関係を、各々、実線、破線及び二点鎖線で示している。
図8に示すように、第2の温度検出手段182によって検出される温度は、第1の温度検出手段181によって検出される温度に対して、少しの遅れをもって追従している。しかし、追従の遅れの程度は小さく、第1の温度検出手段181に近い応答性を示していることが分かる。
このため、反応管11の温度を昇温又は降温するときに、第2の温度検出手段182を過昇温検知センサとして用いることができる。具体的には、制御部20は、反応管11の温度を昇温又は降温するときに、第2の温度検出手段182によって検出される温度が予め設定された温度よりも所定の温度以上高くなった場合に、加熱手段17を停止するように加熱手段17を制御することが好ましい。これにより、第2の温度検出手段182を効率的に利用することができ、過昇温検知センサを別体で設ける必要がない。
以上に説明したように、本実施形態に係る熱処理装置によれば、高い精度で温度制御することができる。
以上、熱処理装置、熱処理方法及びその熱処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体を実施形態によって説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
11 反応管
12 フランジ
13 キャップ部
14 保温筒
15 ウエハボート
16 排気口
17 加熱手段
171 断熱材
172 発熱体
18 温度検出手段
181 第1の温度検出手段
182 第2の温度検出手段
20 制御部
W ウエハ

Claims (6)

  1. 1100℃以上の高温で被処理体に熱処理を行う熱処理装置であって、
    被処理体を収納する炭化珪素からなる反応管と、
    前記反応管の外周部に前記反応管を囲むようにして配置され、前記反応管の内部に収納された被処理体を加熱する加熱手段と、
    前記反応管と前記加熱手段との間における前記加熱手段の近傍に測温部を有し、前記反応管と前記加熱手段との間の空間の温度を検出する第1の温度検出手段と、
    前記反応管と前記加熱手段との間における前記反応管の近傍に測温部を有し、前記反応管と前記加熱手段との間の空間の温度を検出する第2の温度検出手段と、
    前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御するモードと、前記第2の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御するモードとを切り替えて制御する制御部と、
    を備え、
    前記加熱手段は、断熱材と、前記断熱材の内周側に螺旋状に巻回して配置された発熱体とを含み、
    前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段は、前記加熱手段の外側から前記断熱材を貫通して、前記反応管と前記発熱体との間へと挿入されており、
    前記第2の温度検出手段の測温部は、前記反応管の外面と前記発熱体の内面との距離をDとしたときに、前記反応管の外面からの距離がD/3以下の位置に設けられており、
    前記制御部は、前記反応管の温度を昇温するときに前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御し、前記被処理体に熱処理を行うときに前記第2の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御する、
    熱処理装置。
  2. 前記制御部は、前記反応管の温度を降温するときに前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御する、
    請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 前記第1の温度検出手段は、第1の長さを有する熱電対であり、
    前記第2の温度検出手段は、前記第1の長さよりも長い第2の長さを有する熱電対である、
    請求項1又は2に記載の熱処理装置。
  4. 前記制御部は、前記反応管の温度を昇温するとき、又は降温するときに前記第2の温度検出手段によって検出される温度が予め設定された温度よりも所定の温度以上高くなった場合に、前記加熱手段を停止する、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱処理装置。
  5. 被処理体を収納する炭化珪素よりなる反応管と、
    前記反応管の外周部に前記反応管を囲むようにして配置され、前記反応管の内部に収納された被処理体を加熱する加熱手段と、
    前記反応管と前記加熱手段との間における前記加熱手段の近傍に測温部を有し、前記反応管と前記加熱手段との間の空間の温度を検出する第1の温度検出手段と、
    前記反応管と前記加熱手段との間における前記反応管の近傍に測温部を有し、前記反応管と前記加熱手段との間の空間の温度を検出する第2の温度検出手段と、
    前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御するモードと、前記第2の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御するモードとを切り替えて制御する制御部と、
    を備え
    前記加熱手段は、断熱材と、前記断熱材の内周側に螺旋状に巻回して配置された発熱体とを含み、
    前記第1の温度検出手段及び第2の温度検出手段は、前記加熱手段の外側から前記断熱材を貫通して、前記反応管と前記発熱体との間へと挿入されており、
    前記第2の温度検出手段の測温部は、前記反応管の外面と前記発熱体の内面との距離をDとしたときに、前記反応管の外面からの距離がD/3以下の位置に設けられている熱処理装置を用いて1100℃以上の高温で被処理体を熱処理する熱処理方法であって、
    前記反応管の温度を昇温するときに前記第1の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御し、前記被処理体に熱処理を行うときに前記第2の温度検出手段によって検出される温度に基づいて前記加熱手段を制御する、
    熱処理方法。
  6. 請求項に記載の熱処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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