JP6086622B2 - 有機硫黄化合物の酸化触媒、有機硫黄化合物の酸化触媒の製造方法、有機硫黄化合物を選択的に酸化する方法 - Google Patents

有機硫黄化合物の酸化触媒、有機硫黄化合物の酸化触媒の製造方法、有機硫黄化合物を選択的に酸化する方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機硫黄化合物の酸化触媒に関し、さらに詳細には、有機硫黄化合物の特定基を選択的に酸化することができる酸化触媒に関するものである。
環境負荷低減化や安全性確保の観点から、従来の毒性・爆発性の高い含重金属酸化剤に代わる酸化剤として酸素が注目され、酸素を用いた酸化反応のための触媒開発が進んでいる。大気中に豊富に存在する酸素だけを酸化剤とする反応は省資源・省エネルギーの理想的反応であるが、酸素の化学反応性の制御が難しく、酸化反応を特定の官能基において特定の価数に制御する点で選択性が低いという問題がある。
酸素を酸化剤として用いた酸化反応系として、特許文献1には二酸化マンガンの存在下で酸素含有気体を用いてポリスルフィドを含む白液を酸化し、パルプの収量を高めることが開示されている。しかし、かかる反応系では有機硫黄化合物を選択的に酸化し、スルホキシドやスルホンを合成するものではない。
そこで選択性高く酸化反応を制御できる酸素を用いた酸化反応用の触媒として金ナノ粒子触媒の開発が行われており、以前にアルコールやアミンの酸素酸化反応用の金ナノ粒子触媒を本発明者らは報告している(非特許文献1及び2)。
また、特許文献2には、酸化マンガンとアルミナを含む担体に白金成分等を担持させた炭化水素の水蒸気改質、自己熱改質又は部分酸化改質触媒が、特許文献3には、酸化マンガンと酸化鉄とからなる担体に金顆粒(5ナノ以下)を担持させた、選択的に一酸化炭素を酸化する触媒が、特許文献4には、酸化マンガンの存在下、マンガンイオン、クロムイオンおよびコバルトイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属イオンを含む水溶液からなる、二酸化炭素および酸素を接触させて二酸化炭素を酢酸に変換する触媒が、それぞれ提案されている。
特表2004−517231
特開2008−161873
特開2008−253978
特開2011−168568
T. Ishida, M. Nagaoka, T.Akita, M. Haruta, Chem. Eur. J. 2008, 14, 8456-8460.
T. Ishida, N. Kawakita, T.Akita, M. Haruta, Gold Bull. 2009, 42, 267-274.
上述の金ナノ粒子触媒は、確かに酸化反応の触媒として有用であるが有機硫黄化合物の酸化に有用なものは提案されていないのが現状である。
有機硫黄化合物の酸化反応用の触媒として従来提案されているものでは、スルホキシドからさらにスルホンまで過剰酸化が進行し、スルホキシドを選択的に得ることが難しい。
特に、酸素を酸化剤とした系ではスルフィドのスルホキシドへの選択的な酸化は未だ十分なものではない。
そのため、有機硫黄化合物の酸化反応を選択的に収率よく進行させることができる触媒の開発が要望されているのが現状である。
したがって本発明の目的は、有機硫黄化合物の酸化反応を選択的に収率よく進行させることができる触媒を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解消するために鋭意検討した結果、特定の金属酸化物に有機硫黄化合物の酸化触媒機能があることを知見し、さらに検討した結果、当該金属酸化物のみならず当該金属化合物に金微粒子を担持させてなるものも上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の各発明を提供するものである。
1.下記式で表される化合物、CuMn及びV25、からなる群より選択される1種以上の金属酸化物からなることを特徴とする有機硫黄化合物の酸化触媒(以下、「第1発明」という場合には、この発明をいう)。
式:Mnxy
(式中、xは1〜10の整数を、yは1〜20の整数を示し、y≧x、2≧y/x≧1である)
2.上記金属酸化物は、その形状が球状、板状又は棒状である粒子であり、粒子径が0.5nm〜1μmである1記載の酸化触媒。
3.上記金属酸化物は、その形状が板状又は棒状である粒子であり、その厚さが5〜100nmである2記載の酸化触媒。
4.上記有機硫黄化合物の酸化に用いられる酸化剤が、酸素である1記載の酸化触媒。
5.上記有機硫黄化合物がメチルフェニルスルフィドであり、酸化反応により生成される生成物がスルホキシド又はスルホンである1記載の酸化触媒。
6.担体に金微粒子が担持されてなる、有機硫黄化合物の酸化触媒であって、
上記担体が、下記式で表される化合物、CuMn、V25、Co34及びCeO2からなる群より選択される1種以上の金属酸化物であることを特徴とする酸化触媒(以下、「第2発明」という場合には、この発明をいう)。
式:Mnxy
(式中、xは1〜10の整数を、yは1〜20の整数を示し、y≧x、2≧y/x≧1である)
7.上記金属酸化物は、その形状が球状、板状又は棒状である粒子であり、粒子径が0.5nm〜1μmである6記載の酸化触媒。
8.上記金属酸化物は、その形状が板状又は棒状である粒子であり、その厚さが5〜100nmである7記載の酸化触媒。
9.上記金微粒子は、原子が8〜10000個凝集してなる原子集合体を形成して担持されており、上記金微粒子各々の粒子径が0.8〜10nmである6記載の酸化触媒。
10.上記有機硫黄化合物の酸化に用いられる酸化剤が、酸素である6記載の酸化触媒。
11.上記有機硫黄化合物がメチルフェニルスルフィドであり、酸化反応により生成される生成物がスルホキシド又はスルホンである6記載の酸化触媒。
本発明の酸化触媒は、有機硫黄化合物の酸素による酸化反応を選択的に収率よく進行させることができるものである。特に金属酸化物を担体として金微粒子を担持させてなる酸化触媒が、特に収率良く、選択性高く、酸素を酸化剤とした有機硫黄化合物の酸化反応を行うことができ、好ましいものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明(以下、第1発明という場合がある)の有機硫黄化合物の酸化触媒は、特定の金属酸化物であることを特徴とする。
以下詳述する。
<有機硫黄化合物及び酸化剤>
本発明の酸化触媒が酸化の対象とする上記有機硫黄化合物は、硫黄原子を含み酸化可能な有機化合物であれば特に制限なく用いることができるが、具体的には以下の化合物等を挙げることができる。
メチルフェニルスルフィド、4−メトキシチオアニソール、4−フルオロチオアニソール、4−ブロモチオアニソール、4−クロロチオアニソール、メチル(4−メチルフェニル)スルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、ジブチルスルフィド
上記有機硫黄化合物の酸化に用いられる酸化剤は、酸素であるのが好ましい。
<金属酸化物>
本発明の酸化触媒である上記の特定の金属酸化物は、下記式で表される化合物、CuMn及びV25からなる群より選択される金属酸化物の1種以上である。
式:Mnxy
(式中、xは1〜10の整数を、yは1〜20の整数を示し、y≧x、2≧y/x≧1である)
x及びyが上記範囲外であると、酸化触媒としての機能が低減する。
上記式で表される化合物としては、具体的には、MnO、Mn、Mn、MnO 等を挙げることができ、これらの2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の酸化触媒又は上記担体としての金属酸化物の形状は、球状、板状、フラワー状、ロッド(棒)状等種々形態とすることができる。
また、本発明において上記担体としての金属酸化物の大きさは、平均粒子径で5nm〜1μmであるのが好ましく、10nmから1,000nmであることがさらに好ましい。
また、担持される上記金微粒子の粒子径の4〜20倍であるのが好ましい。
また、板状、フラワー状、ロッド(棒)状である場合には、厚さが5nm〜100nmとするのが好ましい。
本発明においては上記金属酸化物として上記式で表される化合物、すなわち酸化マンガンを最も好ましく用いることができる。
酸化マンガンは、上述の具体的に例示した化合物をそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上混合して用いてもよい。特に好ましくは、MnOとMnとを、1:0.1〜1:10で混合してなる酸化マンガン混合物を用いるのが好ましい。
酸化マンガンの結晶構造は特に制限されず、α型(ホーランダイト型)、β型(ルチル型)、γ型、δ型、λ型(スピネル型)、及びラムスデライト型の結晶構造を採用することができる。
上述の各金属酸化物はそれぞれ常法に従って得ることができる。
たとえば上記酸化マンガンは、例えば下記の反応式を満たす反応を行うことにより得ることができる。
2 KMnO4 + 3 Mn(NO3)2 +
6 NaOH → 5 MnO2 + 2 KOH + 6 NaNO3 + 2 H2O (1)
Mn(NO3)2 空気焼成→Mn2O3 (2)
Mn(NO3)2 + Na2CO3
→ MnO + 2 NaNO3 + 2 CO2 (3)
具体的にはたとえば、硝酸マンガン六水和物を蒸留水に溶解し、この水溶液を炭酸ナトリウム水溶液等に加え、反応させて、乾燥させた後、焼成を行うことにより得ることができる。
また、本発明の酸化触媒には、上述の担体及び金微粒子以外に本発明の所望の効果を損なわない範囲で他の成分を配合してもよい。
このようにして得られる本発明の酸化触媒の使用方法については後述する。
また酸化触媒の比表面積は、50〜200m2/gであるのが好ましい。
次いで、参考発明(以下、第2発明という場合がある)の酸化触媒について説明する。有機硫黄化合物及び酸化剤については上述の第1発明と同じである。
本発明(第2発明)の酸化触媒は、担体に金微粒子が担持されてなる、有機硫黄化合物の酸化触媒であって、上記担体が、特定の金属酸化物であることを特徴とする。
<担体>
本発明において担体として用いられる上記の特定の金属酸化物は、下記式で表される化合物、CuMn、V25、Co34及びCeO2からなる群より選択される金属酸化物の1種以上である。
式:Mnxy
(式中、xは1〜10の整数を、yは1〜20の整数を示し、y≧x、2≧y/x≧1である)
x及びyが上記範囲外であると酸化触媒としての機能が低減する。
上記式で表される化合物としては、具体的には、MnO、Mn、Mn、MnO 等を挙げることができ、これらの2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の酸化触媒又は上記担体としての金属酸化物の形状は、球状、板状、フラワー状、ロッド(棒)状等種々形態とすることができる。
また、本発明において上記担体としての金属酸化物の大きさは、平均粒子径で0.5nm〜1μmであるのが好ましく、10nmから1,000nmであることがさらに好ましい。また、担持される上記金微粒子の粒子径の4〜20倍であるのが好ましい。
また、板状、フラワー状、ロッド(棒)状である場合には、厚さを5nm〜100nmとするのが好ましい。
本発明においては上記金属酸化物として上記式で表される化合物、すなわち酸化マンガンを最も好ましく用いることができる。
酸化マンガンは、上述の具体的に例示した化合物をそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上混合して用いてもよい。特に好ましくは、MnOとMnとを、1:0.1〜1:10で混合してなる酸化マンガン混合物を用いるのが好ましい。
酸化マンガンの結晶構造は特に制限されず、α型(ホーランダイト型)、β型(ルチル型)、γ型、δ型、λ型(スピネル型)、及びラムスデライト型の結晶構造を採用することができる。
上記酸化マンガンは、常法に従い製造することができ、例えば下記の反応式を満たす反応を行うことにより得ることができる。
2KMnO4 + 3Mn(NO3)2 +6NaOH
→5MnO2 +2KOH+6NaNO3 +2H2O(1)
Mn(NO3)2 空気焼成→Mn2O3 (2)
Mn(NO3)2 +Na2CO3
MnO +2NaNO3 +2CO2 (3)
具体的にはたとえば、硝酸マンガン六水和物を蒸留水に溶解し、この水溶液を炭酸ナトリウム水溶液等に加え、反応させて、乾燥させた後、焼成を行うことにより得ることができる。
<金微粒子の含有形態及び割合>
本発明の酸化触媒において、上記金微粒子は、たとえば担体が板状の場合には、その表裏両面に複数個規則的に配置されているのが好ましい。
上記担体と上記金微粒子との重量割合は、担体100重量部に対して、上記金微粒子0.1〜10重量部であるのが好ましい。
また酸化触媒の比表面積は、50〜200m2/gであるのが好ましい。
<第3成分>
また、本発明の酸化触媒には、上述の担体及び金微粒子以外に本発明の所望の効果を損なわない範囲で他の成分を配合してもよい。
<製造方法>
第2発明の酸化触媒は、金属酸化物表面に金微粒子を分散・固定させる方法として従来公知の手法を特に制限なく採用して製造することができる。
たとえば、析出沈殿法の他、共沈法、析出還元法、気相グラフティング、固相混合法などが挙げられる。
例えば、析出沈殿法により製造する方法を示すと、金属酸化物粒子粉末を板状、球状、円筒状、蜂の巣状などの支持体に担持させて成形された成形体を金化合物の水溶液に懸濁するかまたは浸漬させ、アルカリを加えてpHを7〜10の範囲に調整し、金水酸化物を金属酸化物表面上に析出沈殿させる。水溶液の金化合物濃度を後述の範囲に調整すると共に、pHを上述の範囲に、温度を好ましくは0〜90℃、特に好ましくは30℃から70℃までの範囲に調整して、攪拌を1時間以上続けることにより金水酸化物が表面に分散・固定化された金属酸化物が得られる。これを水洗し、乾燥後、300℃以上で空気焼成することによって、金微粒子が担体表面に担持された酸化触媒が得られる。
上記金化合物としては、特に制限されないが、例えば、四塩化金酸(HAuCl4)、四塩化金酸塩(例えばNaAuCl4)、シアン化金(AuCN)、シアン化金カリウム{K[Au(CN)2]}、三塩化ジエチルアミン金酸[(C252NH・AuCl3]、エチレンジアミン金錯体(例えば、塩化物錯体{Au[C24(NH222Cl3})、ジメチル金β‐ジケトン誘導体錯体(例えば、ジメチル金アセチルアセトナート{(CH32Au[CH3COCHCOCH3]})や、その他、水や有機溶媒に溶解できる金の塩や錯体などが挙げられる。
金化合物の水溶液中の濃度は、希薄すぎると金が金属酸化物上に水酸化物として析出できなくなり、濃厚すぎると金属酸化物上だけでなく溶液中でも金水酸化物の沈殿が起こってしまうので、0.1mmol/Lから10mmol/Lまでの範囲が望ましく、0.5mmol/Lから2mmol/Lまでの範囲がより望ましい。
pH調整用のアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩、アンモニア、尿素などを使うことができる。上記溶液のpHは、好ましくは5〜13、さらに好ましくは6〜10であり、金の水酸化物の溶解度が相対的に低い範囲を選ぶことが肝要である。
<使用方法(第1発明及び第2発明共通)>
本発明の酸化触媒は、有機硫黄化合物の酸化反応に用いられるものであり、その反応形態は特に制限されないが、具体的にはたとえば以下の有機硫黄酸化物の製造方法に適用することができる。
有機硫黄化合物と、酸化剤としての酸素と、本発明の酸化触媒とを、好ましくは反応温度50〜200℃、さらに好ましくは80〜140℃で、好ましくは10〜40時間、酸素圧力が好ましくは1〜15atm(ゲージ圧0.0〜1.4MPa)、好ましくは3〜11atm(ゲージ圧0.2〜1.0MPa)の反応条件で、無溶媒又は下記反応溶媒中で反応させる製造方法。
反応溶媒:トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、N,N-ジメチルホルムアミドや1,4−ジオキサンなどの高極性溶媒等、中でも特に1,2-ジクロロベンゼンが効果的である。
また、酸化触媒の使用量は特に制限されないが、上記有機硫黄化合物100重量部に対して0.1〜500重量部とするのが好ましい。
なお、本発明において、「選択的」とは、酸化対象物の特定基を特定の価数で反応させることを意味する。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
〔実施例1〕 MnOxの調製(300 ℃、4時間焼成)
硝酸マンガン六水和物 (11.5 g,0.04mol)を400mLの蒸留水に溶解した。得られた水溶液を0.1M炭酸ナトリウム水溶液480mLに一気に加え、室温で1時間撹拌した。生じた沈殿物を上澄み液のpHが安定するまで、蒸留水で洗浄し、吸引ろ過して沈殿物のみを取り出し、得られた沈殿物を120℃で一晩乾燥した後、空気中300℃で4時間焼成を行い、粉末の焼成物を得た。
得られた焼成物についてXRDパターンを測定したところ、MnOとMnの混合物であった。
〔実施例2〕 MnOxの調製(200℃,2時間水素還元)
実施例1で得られた粉末をU字管に充填して、水素10vol%を含む窒素ガスを流通させてから200℃に昇温して2時間還元処理を行った。
得られた粉末についてXRDパターンを測定したところ、MnとMn、MnOの混合物であることがわかった。
〔実施例3〕 MnOxの調製(300℃,10時間水素還元)
実施例1で得られた粉末をU字管に充填して、水素10vol%を含む窒素ガスを流通させてから300℃に昇温して10時間還元処理を行った。
得られた粉末についてXRDパターンを測定したところ、MnとMnOの混合物であることがわかった。
〔実施例4〕MnOの調製
硝酸マンガン六水和物(21.5g,0.075mol)を125mLの蒸留水に溶解して、得られた水溶液を過マンガン酸カリウム(7.9g,0.050mol)と水酸化カリウム(6.0g,0.15mol)との水溶液125mLに一気に加え、その後室温で1時間撹拌した。ここで、生じた沈殿物を上澄み液のpHが安定するまで蒸留水で洗浄した後、吸引ろ過し、120℃で一晩乾燥した。乾燥終了後、空気中300℃で4時間焼成を行い、粉体の焼成物を得た。
得られた粉末についてXRDパターンを測定したところ、MnO2担体であることがわかった。
参考としての実施例5〕 1wt%(Auの重量がMnOxの重量の1%、以下同じ)Au/MnOxの調製(析出沈殿法)
21.5mgのエチレンジアミン金錯体{Au[C24(NH222Cl3}を水に溶解して得られた1×10−3 Mの水溶液50mLを70 ℃に加熱した。これに0.1M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7付近に調整し、担体として実施例1で得られたMnOとMnの混合物1.0gを加え、70℃で1時間撹拌した後、沈殿物を上澄み液のpHが安定するまで、蒸留水で洗浄した。吸引ろ過して沈殿物を分離し、得られた沈殿物を120℃で一晩乾燥した後、空気中300℃で4時間焼成を行い、目的とする金微粒子が担持された本発明の酸化触媒を得た。
参考としての実施例6〕 1wt%Au/MnOの調製
(析出沈殿法)
担体として実施例4で得たMnOを用いた以外は実施例5と同様にして本発明の酸化触媒を得た。
参考としての実施例7〕 1wt%Au/MnOxの調製
(固相混合法)
16.8mgのジメチル金アセチルアセトナートを秤量し、実施例1で得たMnOとMnの混合物1.0gと一緒に乳鉢で磨砕混合を20分間行った。その後、混合粉末を空気中300℃で4時間焼成
を行い、酸化触媒を得た。
参考としての実施例8〕1wt%Au/MnOの調製(固相混合法)
担体として、実施例4で得たMnOを用いた以外は実施例7と同様にして酸化触媒を得た。
参考としての実施例9〕1wt%Au/Vの調製
(固相混合法)
担体として、V参考としての実施例9)を用いた以外は実施例7と同様にして酸化触媒を得た。
参考としての実施例10〕 Au/Coの調製(Au/Co=1/19重量比)(共沈法)
3.2Mの四塩化金酸0.2mLと硝酸コバルト六水和物3.58gを129mLの蒸留水に溶解した。この溶液を0.1M炭酸ナトリウム水溶液163mLに一気に加え、室温で3時間撹拌した。生じた沈殿物を上澄み液のpHが安定するまで、蒸留水で洗浄した。吸引ろ過、120℃で一晩乾燥した後、空気中400℃で5時間焼成を行った。
参考としての実施例11〕 1wt%Au/CeOの調製(析出沈殿法)
金化合物として四塩化金酸を、担体としてCeOを用いた以外は実施例5と同様にして触媒を得た。
得られた酸化触媒及び触媒を用いてスルフィドの酸素酸化反応を行い、効果を確認した。
〔試験例1〕触媒の選択(金担持金属酸化物および金属酸化物)
撹拌子を付したオートクレーブにメチルフェニルスルフィド(表1の1で示す化合物) (58.8μL,0.5mmol)、実施例1で得られた酸化触媒又は触媒(98.5 g)、トルエン(5mL)を投入し、さらに。酸素を室温で6atm(ゲージ圧0.5 MPa)となる様に封入した。その後、100℃に昇温し24時間撹拌した。撹拌終了後、常温に戻し、内部標準としてメシチレン(34.8μL,0.25mmol)を加え、クロロホルムで希釈し、反応終了物を得た。得られた反応終了物をろ過して触媒を除去し、反応生成物溶液を得た。
得られた反応生成物溶液を少量取り出しCDClで希釈したものをH−NMR測定(日本電子製300MHzNMR)し、収率及び選択性を求めた。その結果を表2に示す。
また、実施例1、5、6、8で得られた酸化触媒について比表面積を測定した。比表面積の測定はTristar 3000(商品名、島津製作所)を用いて窒素吸着により行った。また測定前処理として、真空下で200℃2時間焼成を行ってから測定した。
その結果、実施例1:133m2/g、実施例5:134 m2/g、実施例6:86m2/g、実施例8:69m2/gであった。
Figure 0006086622
〔試験例2〜7〕
それぞれ実施例1で得られた触媒に変えて実施例2〜7で得られた触媒を用いた以外は試験例1と同様にして試験を行い、収率と選択性とを確認した。
Figure 0006086622
〔比較例1〜4〕
担体として、TiO(比較例1)、Fe(比較例2)、NiO(比較例3)、CuO(比較例4)及びZnO(比較例5)を用いた以外は実施例5と同様にして金微粒子が担持された触媒を得た。
得られた酸化触媒及び触媒を用いてスルフィドの酸素酸化反応を行い、効果を確認した。
〔試験例8〕触媒の選択 (金担持金属酸化物および金属酸化物)
表3に示す金属酸化物に金微粒子が担持されてなる酸化触媒を用いて上記化学式の酸化反応を試験例1と同様にして行い、収率と選択性を確認した。なお、MnOについては上述の試験例5と同じである。結果を表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、酸化ヴァナジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウムを担体とする酸化触媒では酸素酸化反応が進行し、特に酸化マンガン担体が好ましいことがわかる。
Figure 0006086622
〔試験例9〕
また、酸化マンガンからなる(金微粒子の担持なし)酸化触媒について触媒活性を確認した。試験は上記試験例1と同様に行った。
また、酸化マンガン以外の金属酸化物(V,Co,CeO)についても試験を行った。酸化ヴァナジウムでも反応が進行した(Conv.11%、スルホキシド2: 10%、スルホン3:0%)。Vは、NHVOを300℃で、4時間空気中で焼成することにより得られた。
Figure 0006086622
〔試験例10〕酸素圧の影響
反応の進行には酸素が必要であるが、酸素の圧力はどの程度であるのが効果的であるかを、表5に示す各圧力で反応させることで確認した。なお、圧力以外の条件は化合物1(58.5μL,0.5mmol)、触媒としてMnOx(98.5mg)、溶媒toluene(5mL),反応温度 100℃、反応時間24時間とした以外は上記試験例1と同じである。表5に示す結果から明らかなように、圧力コストを勘案すると6気圧が最適であることが分かる。
Figure 0006086622
〔試験例11〕
反応温度と反応時間を表6に示す条件とし、化合物1(58.5μL、0.5mmol),酸化触媒MnOx (98.5mg)、溶剤量(5mL)とした以外は試験例1と同様に反応を行った。
その結果を表6に示す。
Figure 0006086622


Claims (5)

  1. 有機硫黄化合物を、酸素を酸化剤として用いて酸化する際に用いられる酸化触媒であって、
    上記有機硫黄化合物が、メチルフェニルスルフィド、4−メトキシチオアニソール、4−フルオロチオアニソール、4−ブロモチオアニソール、4−クロロチオアニソール、メチル(4−メチルフェニル)スルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、テトラヒドロチオフェン又はジブチルスルフィドであり、
    MnO とMn との混合物を含むか、又はMn とMn 及びMnOの混合物を含むことを特徴とする有機硫黄化合物の酸化触媒。
  2. 上記有機硫黄化合物がメチルフェニルスルフィドであり、酸化反応により生成される生成物がスルホキシド又はスルホンである請求項1記載の有機硫黄化合物の酸化触媒。
  3. 上記酸化が、反応溶媒としてのトルエン中で行われる請求項1記載の有機硫黄化合物の酸化触媒。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機硫黄化合物の酸化触媒の製造方法であって、
    硝酸マンガン六水和物を蒸留水に溶解し、得られる水溶液を炭酸ナトリウム水溶液に加え、反応させて、乾燥させた後、焼成を行うか、又は
    更に還元処理を行う
    ことを特徴とする有機硫黄化合物の酸化触媒の製造方法
  5. 有機硫黄化合物と、酸化剤としての酸素とを、請求項1〜のいずれかに記載の酸化触媒の存在下、反応温度50〜200℃、反応時間10〜40時間、酸素圧力がゲージ圧で0.0〜1.4MPaにて反応溶媒中で反応させることを特徴とする有機硫黄化合物を選択的に酸化する方法。
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