以下、携帯決済端末装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における携帯決済端末装置1を備えた決済システムのブロック図である。
決済システム1000は、1以上の携帯決済端末装置1と、サーバ装置2とを備えている。携帯決済端末装置1とサーバ装置2とは、ネットワークや通信回線等を介して通信可能に接続されうる。図1では、説明の便宜上、携帯決済端末装置1が1つである場合を示しているが、携帯決済端末装置1は複数であっても良い。また、サーバ装置2も複数であっても良い。
携帯決済端末装置1は、電子マネー格納部111、受信部112、送信部113、アプリ格納部114、判断部115、実行部116、売上送信部117、表示部118、および設定情報格納部119を備える。
携帯決済端末装置1は、汎用性を有する情報処理端末であることが好ましく、例えば、いわゆるスマートフォンや携帯電話、タブレット型端末、ノート型コンピュータ等の、汎用性を備えた携帯情報端末や、移動体通信端末等であることが好ましい。汎用性を有する情報処理端末とは、例えば、様々な機能を実現する複数のアプリケーションプログラム等をインストールして実行可能な情報処理端末である。
電子マネー格納部111には、電子マネーが格納される。電子マネーとは、貨幣の価値(バリュー)を電子化した情報である。電子マネー格納部111に、電子マネーが格納されるということは、電子マネーの金額等のバリューが格納されることと考えても良い。なお、ここでは、電子マネーのバリューが、電子マネーの金額である場合を例に挙げて説明する。電子マネーが示す金額は、通常、実際の貨幣の金額と対応している。なお、電子マネーは、いわゆるポイント等も含むものと解してもよい。ここでのポイントとは、例えば、電子マネーと同様に、特定の店舗や店舗のアライアンス等で貨幣の代わりに利用可能なものであっても良いし、いわゆるマイル等のように商品やサービス、特典、ステータス等と交換可能なものであっても良い。本実施の形態における電子マネーは、例えば、いわゆるオンライン方式に対応した電子マネーであってもよく、いわゆるオフライン方式に対応した電子マネーであってもよく、いわゆる仮想マネー方式の電子マネーであっても良い。また、本実施の形態における電子マネーは、プリペイド方式の電子マネーでもよいし、ポストペイ方式の電子マネーでも良い。電子マネー格納部111には、例えば、後述する受信部112が受信した電子マネーが格納される。電子マネー格納部111には、例えば、後述する受信部112が受信した複数の電子マネーが示す金額の合計金額が格納される。例えば、受信部112が、電子マネーを新たに受信すると、新たな電子マネーの金額を加算した合計金額で、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーの金額が更新される。この合計金額は、電子マネーの残高と考えても良い。ただし、受信部112が受け取った電子マネーが、個別に、電子マネー格納部111に格納されていても良い。なお、電子マネー格納部111には、電子マネーが蓄積された金額とその時間とが対応付けられた受取履歴や、電子マネーが出力された金額と、その時間とが対応付けられた支払履歴等が格納されるようにしても良い。電子マネー格納部111は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
受信部112は、電子マネーを受信する。電子マネーを受信することは、電子マネーのバリューを示す情報を受信することと考えても良い。受信部112は、例えば、NFC(near field communication)等の近距離無線通信や赤外線通信等により、他の携帯決済端末装置1や、ICカード等から送信される電子マネーを受信する。なお、受信部112は、利用する電子マネーのシステム等によっては、図示しないサーバ等を介して、他の携帯決済端末装置1等から送信される電子マネーを間接的に受信しても良い。受信部112は、通常、無線の通信手段で実現されるが、有線の通信手段で実現されても良い。受信部112は、通信デバイスを含むと考えても、含まないと考えても良い。
送信部113は、電子マネーを送信する。電子マネーを送信することは、電子マネーのバリューを示す情報を送信することと考えても良い。送信部113は、例えば、NFC等の近距離無線通信や赤外線通信等により、他の携帯決済端末装置1等に電子マネーを送信する。なお、送信部113は、利用する電子マネーのシステム等によっては、図示しないサーバ等を介して、他の携帯決済端末装置1等に対して、電子マネーを間接的に送信しても良い。送信部113は、通常、無線の通信手段で実現されるが、有線の通信手段で実現されても良い。送信部113は、通信デバイスを含むと考えても、含まないと考えても良い。
なお、受信部112および送信部113は、通信デバイスであるRFIDタグリーダライタ(ICタグリーダライタ)と接続されていても良い。
また、受信部112は、送信部113から電子マネーを送信するために必要な情報を、適宜、他の携帯決済端末装置1や、電子マネーカード等から受信しても良い。電子マネーを送信するために必要な情報とは、例えば、送信する金額を指定する情報や、送信を要求する情報等である。
また、送信部113は、受信部112が電子マネーを受信するために必要な情報を、適宜、他の携帯決済端末装置1や、電子マネーカード等に送信しても良い。電子マネーを受信するために必要な情報とは、例えば、送信する金額を指定する情報や、送信を要求する情報等である。
アプリ格納部114には、1または2以上の受取アプリが格納される。受取アプリは、受信部112を用いて電子マネーを受信して電子マネー格納部111に蓄積する処理を実行可能なアプリケーションプログラムである。受取アプリは、例えば、後述する実行部116により実行される。受取アプリは、例えば、後述する実行部116を、電子マネーの受取処理を行う処理部として機能させるためのプログラムである。電子マネーの受取処理を行うためのアプリケーションプログラム等は公知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。アプリ格納部114には、複数の受取アプリが格納されていても良く、各アプリは、電子マネーを利用する店舗や企業ごとに個別に対応付けられたものであっても良い。電子マネーを電子マネー格納部111に格納する処理は、例えば、受信部112を用いて受信した電子マネーの金額を、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーの金額に加算することである。なお、受取アプリは、受信部112が受信した電子マネーの金額と、その受信日時とを対応付けて有する受取履歴を、電子マネー格納部111に蓄積しても良い。受取アプリは、図示しない受付部等を介してユーザが入力した金額を、送信元の携帯決済端末装置1等に受取を要求する金額として送信するようにしてもよい。
また、アプリ格納部114には、1または2以上の支払アプリが更に格納されていてもよい。支払アプリは、電子マネー格納部111に格納される電子マネーを送信部113から送信する処理を実行可能なアプリケーションプログラムである。支払アプリは、例えば、後述する実行部116により実行される。支払アプリは、後述する実行部116を、電子マネーの送信処理を行う処理部として機能させるためのプログラムである。電子マネーの支払い処理を行うためのアプリケーションプログラム等は公知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。例えば、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーを送信する処理は、例えば、送信する金額の電子マネーを送信部113から送信し、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーの金額から、送信した電子マネーの金額を減算することである。送信アプリが送信する金額は、図示しない受付部等を介してユーザが入力した金額であっても良いし、支払先の携帯決済端末装置1等の装置から受信した、送信を要求する金額であっても良い。なお、支払アプリは、送信部113が送信した電子マネーの金額と、その送信日時とを対応付けて有する送信履歴を、電子マネー格納部111に蓄積しても良い。
なお、本発明においては、上述した受取アプリと支払アプリとが一のアプリを構成していてもよく、あるいは、これらが一のアプリに含まれていていても良い。このような場合、本願の受取アプリや支払アプリは、この一のアプリの、受取モジュールや、支払モジュール等の一の機能を実現する部分的なプログラムに相当すると考えて良い。
アプリ格納部114は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
判断部115は、現在の状況が、受取アプリを実行するための予め指定された条件である実行条件を満たすか否かを判断する。受取アプリを実行するということは、例えば、アプリケーションプログラムを実行とする(アプリケーションプログラムを起動する)ことである。なお、ここでの現在とは、現在の時刻から、実行条件を満たすか否かの判断処理に要する時間や、判断処理に用いる情報等を取得するためのタイムラグ分の時間だけ前後した時刻であってもよい。また、現在の時刻近傍の期間、例えば現在の時刻を含む予め指定された長さの期間であっても良い。
以下、実行条件の例を挙げて、判断部115の処理について説明する。
(A)支払アプリの実行を判断
実行条件は、例えば、実行部116が、現在、支払アプリを実行中ではない、という条件である。即ち、判断部115は、実行部116が支払アプリを実行中である場合に、実行条件を満たさないと判断する。実行中でなければ、実行条件を満たすと判断する。支払アプリを実行中ということは、支払アプリが起動していることであっても良い。また、支払アプリがバックグラウンドで実行中であることも含むと考えて良い。例えば、判断部115は、実行部116が実行中のアプリケーションプログラムのタスクの識別情報(例えば、タスク名)や、アプリケーションプログラムの識別情報(例えば、プログラム名)を、実行部116やタスクマネージャーから取得し、この識別情報が、アプリ格納部114に格納されている支払アプリの識別情報や支払アプリに対応したタスク名と一致するか否かを判断し、一致する場合、実行条件を満たさないと判断し、一致しない場合、実行条件を満たすと判断する。また、支払アプリが実行中である場合に、実行部116が、図示しない記憶媒体等に、支払アプリが実行中であることを示すいわゆるフラグ等の情報を蓄積するようにし、判断部115は、この支払アプリが実行中であることを示すフラグが、図示しない記憶媒体等に格納されているか否かを判断し、格納されている場合には、支払アプリが実行中であると判断し、格納されていない場合、支払アプリが実行中でないと判断しても良い。なお、上述したように、受取アプリと支払アプリとが一のプログラムを構成している場合等においては、支払アプリを実行中ということは、支払アプリに相当するモジュールが実行中であることや、支払アプリの処理画面等が後述する表示部118等から出力中であることと考えても良い。この場合、判断部115は、実行中のモジュール名を取得して、支払アプリに相当するモジュールが実行中であるか否かを判断するようにすればよい。
(B)期間の判断
実行条件は、例えば、現在の日時が、受取アプリが実行可能な予め指定された期間内の日時であるという条件である。即ち、判断部115は、現在の日時が、受取アプリが実行可能な予め指定された期間内でない場合に、実行条件を満たさないと判断する。また、期間内であれば、実行条件を満たすと判断する。ここでの日時とは、時刻だけであってもよく、日付だけであってもよい。また日時は曜日であってもよい。また、日時は、これらの2以上の組合せであっても良い。予め指定された期間は、期間が特定可能であればどのように指定されたたものであってもよく、例えば、日時の範囲で指定された期間であっても良いし、曜日等で指定されたものであっても良い。例えば、判断部115は、現在の日時の情報を、図示しない時計や、図示しないNTP(Network Time Protocol)サーバ等から取得し、この時間が予め指定された期間内であるか否か判断する。そして、期間内でない場合、実行条件を満たさないと判断し、期間内である場合、実行条件を満たすと判断する。予め指定された期間とは、例えば、携帯決済端末装置1が利用される店舗等の企業の、営業時間や、勤務時間である。あるいは、店舗等の企業の携帯決済端末装置1を保有する従業員の勤務時間等である。また、予め指定された期間は、これらの営業時間や勤務時間から休憩時間等を除いた期間であっても良い。
(C)領域の判断
実行条件は、例えば、現在の携帯決済端末装置1(自装置)の位置が、予め指定された領域内であるという条件である。即ち、判断部115は、現在の携帯決済端末装置1の位置が、予め指定された領域内でない場合に、実行条件を満たさないと判断する。例えば、実行部116は、携帯決済端末装置1内に設けられた図示しない位置情報取得部から、携帯決済端末装置1の位置情報を取得し、この位置情報が予め指定された領域内の位置であるか否かを判断する。例えば、図示しない位置情報取得部としては、例えば、GPS受信機や、携帯電話の位置検出等に用いられる無線を使った位置検出システムが利用可能である。なお、ここでは、GPSと同様の技術を用いて、屋内の位置情報を取得するシステムも、便宜上GPSであるとする。無線を使った位置検出の仕組み等については、以下の非特許文献を参考にされたい。(非特許文献:小野昌之、他5名"無線を使った位置検出"、[online]、[平成12年6月18日検索]、インターネット<URL:http://www.oki.com/jp/Home/JIS/Books/KENKAI/n204/pdf/204_R06.pdf>)。このような場合の位置情報は、例えば、緯度と経度とで表される座標である。また、予め指定された領域内にのみ、無線通信用の電波が届くように無線通信用のアクセスポイント(図示せず)を設定し、このアクセスポイントとの通信が可能な場合にだけ、予め指定された領域内であると判断するようにしても良い。予め指定された領域とは、例えば、携帯決済端末装置1が利用される店舗や施設等である。なお、予め指定された領域内であるか否かの判断は、上記以外の手段を用いて行うようにしても良い。
上述した実行条件は、例えば、一以上の関数名や、メソッド名や、「if」、「then」等で示される制御構文等で構成される。実行条件は、例えば、図示しない記憶媒体等に予め格納されている。
なお、上述した実行条件を用いた判断処理は、受取アプリを実行しないための予め指定された条件を満たすか否かの判断処理も実質的に含む概念であると考えても良い。この場合、例えば、判断部115は、条件を満たすと判断した場合に、上記と同様に、受取アプリを実行するための条件を満たさないとする判断結果を取得すればよい。
また、ここでは、上記の(B)や(C)で示した実行条件が示す予め指定された期間を設定する情報である期間設定情報、および予め指定された領域を設定する情報である領域設定情報が、後述する設定情報格納部119に予め格納されており、判断部115は、判断処理を行う際に、これらの期間設定情報や領域設定情報を適宜読み出すものとする。
判断部115が、実行条件を満たすか否かの判断を行うタイミング等は問わない。
判断部115は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。判断部115の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
実行部116は、ユーザの指示等に応じて、受取アプリを実行する。実行部116は、受取アプリを実行させることにより、受信部112等を用いて電子マネーを受け取る処理を行う。そして、受け取った電子マネーを電子マネー格納部111に蓄積する。実行部116による電子マネーを受け取る処理は、通常の電子マネーを受け取る処理と同様の処理である。通常の電子マネーを受け取る処理は、携帯決済端末装置1が扱う電子マネーの方式により異なる。例えば、実行部116は、オンライン方式、オフライン方式、仮想マネー方式等の方式に応じた電子マネーを受け取る処理を行う。電子マネーを受け取る処理は公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
また、実行部116は、判断部115が実行条件を満たさないと判断した場合に、受取アプリを実行しないようにする。受取アプリを実行しないようにするということは、例えば、受取アプリを起動しないということであっても良いし、実行中の受取アプリを停止、あるいは終了することであっても良い。また、受取アプリに対する入力を受け付けない、あるいは受け付けた入力破棄することであっても良い。
例えば、実行部116は、受取アプリの実行中に、判断部115が実行条件を満たさないと判断した場合に、受取アプリの実行を中止するようにしてもよい。例えば、受取アプリの実行の中止とは、例えば、実行部116が、実行中の受取アプリを停止、あるいは終了することである。また、実行を中止するということは、受取アプリの初期画面(例えばログイン画面)に戻ることや、携帯決済端末装置1の初期画面(例えば、他のアプリケーションプログラム等の画面が非表示である状態の画面)や起動直後の画面等に戻ることであっても良い。また、受取アプリが、起動時にユーザ認証を必要とするものである場合、受取アプリのユーザ認証の画面等を表示するようにしても良い。なお、ここでの、実行を中止する、ということは、実行を中止するか否かを選択するための画面や、ダイヤログ等を含む画面を表示することで、携帯決済端末装置1のユーザに問い合わせることであっても良い。
また、実行部116は、ユーザの指示等に応じて、支払アプリを実行する。実行部116は、受取アプリを実行させることにより、送信部113等を用いて電子マネーを支払う処理を行う。実行部116による電子マネーを支払う処理は、通常の電子マネーを支払う処理と同様の処理である。通常の電子マネーを支払う処理は、携帯決済端末装置1が扱う電子マネーの方式により異なる。例えば、実行部116は、オンライン方式、オフライン方式、仮想マネー方式等の方式に応じた電子マネーを支払う処理を行う。電子マネーを支払う処理は公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
例えば、携帯決済端末装置1は、実行部116が受取アプリおよび支払アプリをそれぞれ実行することにより、受信部112および送信部113が、他の携帯決済端末装置1との間で電子マネーの受信および送信を行う。これにより、決済システム1000を構成する2以上の携帯決済端末装置1間で、電子マネーの支払、受取が可能となる。
なお、受取アプリと支払アプリとが一のプログラム等を構成している場合、受取アプリを実行するということは、一のプログラムの受取アプリに相当するモジュールを実行するということであってもよい。支払アプリを実行することも同様である。
実行部116は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。実行部116の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、実行部116がソフトウェアで実現される場合、実行部116は、OS(オペレーティングシステム)の一部であっても良いし、OSとは別の実行モジュール等であっても良い。また、実行部116は、受取アプリや、支払アプリ等を含むアプリケーションプログラムの一部(例えば、モジュール等)であってもよい。
売上送信部117は、受取アプリにより電子マネー格納部111に蓄積された電子マネーを電子マネー格納部111から読み出して、サーバ装置2に送信する。特に、決済システム1000が、携帯決済端末装置1を複数有している場合においては、売上送信部117は、受取アプリにより電子マネー格納部111に蓄積された電子マネーを、自動的に電子マネー格納部111から読み出して、サーバ装置2に送信することが好ましい。ここでの自動的に送信するということは、具体的には、ユーザの指示によらずに送信することである。売上送信部117が送信する電子マネーは、携帯決済端末装置1が蓄積した売上の情報と考えても良い。売上送信部117が電子マネー格納部111に蓄積された電子マネーである売上をサーバ装置2に送信することにより、例えば、携帯決済端末装置1の電子マネー格納部111に格納されていた売上を、サーバ装置2に集めることができる。
売上送信部117は、受取アプリにより電子マネー格納部111に蓄積された一の電子マネーを、現在の状況が、予め指定された条件に合致した時に自動的に送信する。
例えば、売上送信部117は、実行部116が受取アプリを実行することにより一の電子マネーが電子マネー格納部111に蓄積された時刻から、予め指定された時間が経過した時に、この一の電子マネーを電子マネー格納部111から読み出してサーバ装置2に送信する。例えば、上述したような受取履歴の情報を用いることにより、電子マネーを受け取った日時等を検出可能である。予め指定された時間は、例えば、商品等の返品等を受け付けるための時間等である。
また、売上送信部117は、予め指定された日時になった時に、電子マネー格納部111に蓄積された電子マネーを、サーバ装置2に送信する。例えば、毎日夜8時に電子マネー格納部111に蓄積された電子マネーを、サーバ装置2に送信する。
また、売上送信部117は、上述した判断部115が、上記で示した(B)や(C)で示した条件を満たす場合に、電子マネー格納部111に蓄積された電子マネーを、サーバ装置2に送信するようにしてもよい。
また、売上送信部117は、サーバ装置2から送信される、電子マネーを送信する処理指示に応じて電子マネーを送信するようにしてもよい。
売上送信部117が、電子マネーを電子マネー格納部111から読み出してサーバ装置2に送信した場合、電子マネー格納部111には、格納されていた電子マネーの金額から読み出した電子マネーの金額を減算した残金を示す電子マネーが格納されることとなる。この電子マネー格納部111に格納されていた電子マネーの金額の減算の処理は、例えば、売上送信部117が行う。
売上送信部117は、通常、無線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。売上送信部117は、通信デバイスを含むと考えても、含まないと考えても良い。
表示部118は、例えば、実行部116が実行しているアプリケーションソフトウェアの処理画面(例えば、入力インターフェースを示す画面等も含む)を表示する。表示部118は、例えば、実行部116が受取アプリを実行している場合と、支払アプリを実行している場合とで、異なる色の画面を表示する。異なる色の画面を表示するということは、画面全体、または背景画面を異なる色で表示することであっても良いし、受取アプリや支払アプリのウィンドウ等を異なる色で表示することであっても良い。また、例えば、表示部118は、受取アプリを実行している画面と、支払アプリを実行している場合の画面に、異なる色の画面を重ねて表示することで、異なる色の画面を表示する。また、予め受取アプリと支払アプリとの実行時の背景色等の色を、異なる色に予め設定しておくようにしても良い。このように、受取アプリと支払アプリとの動作画面を異なる色とすることにより、ユーザに対して、現在どちらのアプリを利用しているかを分かりやすく示すことが可能となる。
表示部118は、ディスプレイデバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。表示部118は、ディスプレイデバイスのドライバーソフトまたは、ディスプレイデバイスのドライバーソフトとディスプレイデバイス等で実現され得る。
設定情報格納部119には、判断部115が、上述した(B)についての判断処理(即ち、期間の判断)に用いる期間設定情報、および(C)についての判断処理(即ち、領域の判断)に用いる領域設定情報が格納される。なお、判断部115が、(B)についての判断処理を行わない場合は、期間設定情報は省略してもよい。また、判断部115が、(C)についての判断処理を行わない場合は、領域設定情報は省略してもよい。また、(B)、(C)についての判断処理をいずれも行わない場合は、設定情報格納部119は省略可能である。設定情報格納部119は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
なお、携帯決済端末装置1は、上記以外の、電子マネーの支払いや受け取りの処理に必要な処理部を備えていてもよい。なお、このような処理部については、公知の技術であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
サーバ装置2は、例えば、電子マネーのシステムを提供する企業等のサーバ装置であっても良いし、携帯決済端末装置1を用いた支払いの受け取りを行う店舗や企業等のサーバ装置であっても良い。
売上格納部211には、電子マネーが格納される。具体的には、後述する売上受信部212が受信した電子マネーが格納される。売上格納部211は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
売上受信部212は、売上送信部117が送信する電子マネーを受信する。そして、受信した電子マネーを売上格納部211に蓄積する。これにより、携帯決済端末装置1で受け取った電子マネーである売上をサーバ装置2に集めることができる。売上受信部212は、通常、無線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。売上受信部212は、通信デバイスを含むと考えても、含まないと考えても良い。
次に、携帯決済端末装置1の動作の一例について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)携帯決済端末装置1は、図示しない受付部等が、受取アプリの起動指示を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS102に進み、受け付けていない場合、ステップS105に進む。
(ステップS102)携帯決済端末装置1は、実行条件を満たすか否かの判断処理を行う。この処理の詳細については後述する。
(ステップS103)実行部116は、ステップS102の処理において、判断部115が、実行条件を満たすことを示す判断結果を取得したか否かを判断する。満たす判断結果を取得した場合、ステップS104に進み、取得しなかった場合、ステップS101に戻る。
(ステップS104)実行部116は、受取アプリを起動する。また、起動したアプリの画面を表示部118が表示する。ここでは、例えば、表示部118は、受取アプリの背景色を、予め指定された第1の色で表示したとする。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS105)実行部116は、図示しない受付部等が、支払アプリの起動指示を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS106に進み、受け付けていない場合、ステップS107に進む。
(ステップS106)実行部116は、支払アプリを起動する。また、起動したアプリの画面を表示部118が表示する。ここでは、例えば、表示部118は、受取アプリの背景色を、上記の第1の色とは異なる、予め指定された第2の色で表示したとする。第一の色と第2の色とはユーザ等が明確に識別可能な色であることが好ましい。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS107)売上送信部117は、受信部112が受信した時刻から、予め指定された時間を経過した電子マネーが電子マネー格納部111に格納されているか否かを判断する。格納されている場合、ステップS108に進み、格納されていない場合、ステップS101に戻る。
(ステップS108)売上送信部117は、ステップS107で予め指定された時間を経過したと判断された電子マネーをサーバ装置2に送信する。そして、売上送信部117は、送信した分の金額を、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーから減額する。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS109)実行部116は、受取アプリを実行中であるか否かを判断する。実行中である場合、ステップS110に進み、実行中でない場合、ステップS117に進む。
(ステップS110)携帯決済端末装置1は、実行条件を満たすか否かの判断処理を行う。この処理は、ステップS102の処理と同様の処理である。
(ステップS111)実行部116は、ステップS110の処理において、判断部115が、実行条件を満たすことを示す判断結果を取得したか否かを判断する。満たすことを示す判断結果を取得した場合、ステップS112に進み、取得しなかった場合、ステップS116に進む。
(ステップS112)実行部116は、図示しない受付部等が受取アプリの終了指示を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS116に進み、受け付けていない場合、ステップS113に進む。
(ステップS113)実行部116は、図示しない受付部等が、他の携帯決済端末装置1等からの電子マネーの支払いを受取る操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS114に進み、受け付けていない場合、ステップS117に進む。
(ステップS114)受信部112は、ステップS113により受け付けた操作に応じて、他の携帯決済端末装置1等が送信する電子マネーを受信する。
(ステップS115)受信部112は、受信した電子マネーを、電子マネー格納部111に蓄積する。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS116)実行部116は、受取アプリの実行を中止する。例えば、受取アプリを終了する。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS117)実行部116は、支払アプリが実行中であるか否かを判断する。実行中である場合、ステップS118に進み、実行中でない場合、ステップS101に戻る。
(ステップS118)実行部116は、図示しない受付部等が支払アプリの終了指示を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS118に進み、受け付けていない場合、ステップS120に戻る。
(ステップS119)実行部116は、支払アプリの実行を中止する。例えば、支払アプリを終了する。そして、ステップS101に戻る。
(ステップS120)実行部116は、図示しない受付部等が、電子マネーの支払いを行う操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS121に進み、受け付けていない場合、ステップS101に戻る。
(ステップS121)送信部113は、ステップS120により受け付けた操作に応じて、他の携帯決済端末装置1等に電子マネーを送信する。
(ステップS122)送信部113は、ステップS121において送信した分の金額を、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーから減額する。そして、ステップS101に戻る。
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、携帯決済端末装置1の実行条件を満たすか否かの判断処理について、図3のフローチャートを用いて説明する。この処理は、図2のステップS102およびステップS110の処理に相当するものである。
(ステップS201)判断部115は、支払アプリが実行中でないか、否かを判断する。実行中でない場合、ステップS202に進み、実行中である場合、ステップS207に進む。
(ステップS202)判断部115は、図示しない時計等から、現在の日時の情報を取得する。
(ステップS203)判断部115は、ステップS202で取得した現在の日時が、予め指定された期間内の日時であるか否かを判断する。期間内の日時である場合、ステップS204に進み、日時でない場合、ステップS207に進む。
(ステップS204)判断部115は、現在位置の位置情報を、図示しない位置情報取得部等から取得する。位置情報取得部は、例えばGPS受信機等である。
(ステップS205)判断部115は、ステップS204で取得した現在位置の位置情報が示す位置が、予め指定された領域内の位置であるか否かを判断する。領域内の位置である場合、ステップS206に進み、領域内の位置でない場合、ステップS207に進む。
(ステップS206)判断部115は、実行条件を満たすことを示す判断結果を取得する。そして、上位の処理にリターンする。
(ステップS207)判断部115は、実行条件を満たさないことを示す判断結果を取得する。そして、上位の処理にリターンする。
以下、サーバ装置2の動作について、簡単に説明すると、売上受信部212は、携帯決済端末装置1の売上送信部117が送信する電子マネーを受信したか否かを判断し、受信した場合、受信した電子マネーを、売上格納部211に蓄積する。なお、売上受信部212は、例えば、予め登録された複数の携帯決済端末装置1が送信する電子マネーだけを受信するようにすることが好ましい。
以下、本実施の形態における決済システム1000の具体的な動作について説明する。決済システム1000の概念図は図4である。ここでは、携帯決済端末装置1は、ある店舗αの3人の店員a〜cがそれぞれ保持する、いわゆるスマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話であり、各携帯決済端末装置1のアプリ格納部114には、受取アプリと支払アプリとが予め格納されている(インストールされている)ものとする。ここでは、説明の便宜上、店員a〜cの保持する携帯決済端末装置1を、携帯決済端末装置1a〜1c等として表している。また、サーバ装置2は、ここでは、店舗αの売上を管理するためのサーバ装置2であるとする。サーバ装置2は、店舗α内に設置されていても良いし、他の場所に設置されていてもよい。また、店舗αの店長等が保持していても良い。
図5は、携帯決済端末装置1の一例を示す図である。携帯決済端末装置1は、表示デバイスであるモニタ118aを備えている。このモニタ118a上には、入力デバイスとして、図示しないタッチパネルが設けられているものとする。この図5においては、一例として、モニタ118aには、携帯決済端末装置1に電源を投入した直後の初期画面が表示されているものとする。例えば、アイコン55は受取アプリのアイコン、アイコン56は支払アプリのアイコンであるとする。
ここで、携帯決済端末装置1と同様の携帯決済端末装置1fを保持する顧客fが、店舗αに来店し、ある商品を購入し、店員aに対して、その購入代金の電子マネーを用いて支払を行う旨を伝えたとする。
図6は、店員aが保持する携帯決済端末装置1aの設定情報格納部119に格納されている期間設定情報を示す図(図6(a))、及び、領域設定情報を示す図(図6(b))である。期間設定情報は、受取アプリを起動可能な期間を示す情報であり、ここでは、店員aの勤務を行う曜日と、勤務時間(休憩時間等を除く)とを示している。期間設定情報は、「曜日」と、「時間帯」という項目を有している。また、領域設定情報は、受取アプリを起動可能な領域を示す情報であり、ここでは、店舗αの敷地を、座標を用いて示している。ここでは、店舗αの敷地を、矩形の領域の対角の座標(緯度、経度)を用いて示している。なお、x座標を示すx1や、y座標を示すy1等は、ここでは、任意の値であるとする。
店員αが、購入代金を受け取るために、携帯決済端末装置1aに対して受取アプリを起動する操作(例えば、受取アプリのアイコンをタップする操作)等を行ったとすると、携帯決済端末装置1aの図示しない受付部等が、受取アプリの起動指示を受け付ける。
図示しない受付部等が、受取アプリの起動指示を受け付けたため、携帯決済端末装置1aの判断部115は、現在、実行部116が支払アプリを実行中であるか否かを判断する。具体的には、判断部115は、実行部116が実行しているアプリケーション名を取得し、このアプリケーション名が、アプリ格納部114に格納されている支払アプリのアプリケーション名と一致するか否かを判断する。なお、支払アプリのアプリケーション名を、例えば、受取アプリに予め登録しておくようにしてもよい。支払アプリのアプリケーション名と一致する場合、判断部115は、実行条件を満たさないと判断する。そして、表示部118等が、例えば、受取アプリが起動できない旨のダイアログやアラート等を出力し、判断部115が、実行部116に受取アプリを起動しないよう指示を与える。ここでは、実行部116が実行しているアプリケーション名が、支払アプリのアプリケーション名と一致しなかったとし、判断部115は、支払アプリの実行に関する実行条件を満たすと判断する。
次に、判断部115は、図示しない時計等から、現在の曜日と時刻を取得する。例えば、取得した曜日が「火曜」で、時刻が「11:30(11時30分)」であったとする。判断部115は、図6(a)に示した期間設定情報の「曜日」が「火曜」であるレコード(行)から、「時間帯」の値「8:00〜12:00」を取得し、上記の時刻「11:30」が、この「時間帯」内の時刻であるか否かを判断する。時間帯内でない場合、判断部115は、実行条件を満たさないと判断し、例えば、受取アプリが起動できない旨のダイアログやアラート等を出力して、実行部116に受取アプリを起動しないよう指示を与える。ここでは、時刻「11:30」は、「8:00〜12:00」内の時刻であるため、判断部115は、「時間帯」内の時刻であると判断し、期間に関する実行条件を満たすと判断する。
次に、判断部115は、図示しないGPS受信機等から、現在の携帯決済端末装置1aの位置情報である座標を取得する。取得した座標が(x5,y5)であったとする。判断部115は、この座標が、図6(b)の領域設定情報が示す領域、即ち、座標(x1,y1)と、座標(x2,y2)とを対角とする矩形領域内の座標であるか否かを判断する。矩形領域内の座標でない場合、判断部115は、実行条件を満たさないと判断し、例えば、受取アプリが起動できない旨のダイアログやアラート等を出力して、実行部116に受取アプリを起動しないよう指示を与える。ここでは、矩形領域内の座標であったとすると、判断部115は、領域に関する実行条件を満たすと判断する。
そして、判断部115は、最終的に実行条件を満たすとする判断結果を実行部116に出力する。実行部116は、判断部115が出力する判断結果を受け付け、アプリ格納部114に格納されている、上記の起動する操作により指定された受取アプリを起動する。
図7は、受取アプリの起動後の状態を示す表示例である。受取アプリの画面には、請求金額(即ち、受取金額)を入力するフィールド70と、受取の処理を開始する受取開始ボタン71とが設けられているものとする。
また、顧客fが、携帯決済端末装置1fを用いて購入する商品の支払いを行うために、携帯決済端末装置1fに対して支払アプリを起動する操作(例えば、支払アプリのアイコンをタップする操作)等を行ったとすると、携帯決済端末装置1fの図示しない受付部等が、支払アプリの起動指示を受け付ける。
図示しない受付部等が、支払アプリの起動指示を受け付けたため、携帯決済端末装置1fの実行部116は、支払アプリを起動させる。
店員aが、携帯決済端末装置1aで実行中の受取アプリの請求金額を入力するフィールド70に、顧客fが購入する商品の代金「500円」を入力し、受取開始ボタン71を押したとする。そして、支払アプリが実行中の携帯決済端末装置1fと携帯決済端末装置1aとを、通信が可能な近距離に近づけると、携帯決済端末装置1aの送信部113が、図7に示したフィールド70に入力した請求金額が「500円」であることを示す情報を携帯決済端末装置1fに送信する。携帯決済端末装置1fの実行部116が実行中の支払アプリにより、この請求金額を携帯決済端末装置1fの受信部112が受信すると、実行中の支払アプリにより、この請求金額が示す電子マネー、即ち「500円」分の電子マネーを、携帯決済端末装置1fの送信部113が携帯決済端末装置1aに送信する。また、支払アプリは、送信した金額分の電子マネーを、携帯決済端末装置1fの電子マネー格納部111に格納されている電子マネーの金額(残高)から減算し、現在した金額で、携帯決済端末装置1fの電子マネー格納部111に格納されている電子マネーの値(残高)を更新する。
携帯決済端末装置1aの実行部116が実行中の受取アプリにより、携帯決済端末装置1fから送信される「500円」分の電子マネーを、携帯決済端末装置1aの受信部112が受信し、受信した電子マネーを電子マネー格納部111に蓄積する。ここでは、例えば、既に「3250円」分の電子マネーが格納されていたとすると、この「3250円」に受信した「500円」を加算した金額「3750円」で、電子マネー格納部111に格納されている電子マネーの値(残高)を更新する。
また、受取アプリは、電子マネーを受信した日時とその金額とを対応付けた情報である受取履歴を、電子マネー格納部111に蓄積する。例えば、図示しない時計等から取得した電子マネー受信時の日時が、「2012年6月5日11時30分」であったとすると、この日時と、受け取った電子マネーの金額「500円」とを有する受取履歴が蓄積される。なお、ここでは、既に、他の受取履歴が携帯決済端末装置1aの電子マネー格納部111に格納されており、上記の新たな受取履歴が追記されたとする。
図8は、電子マネー格納部111に格納された受取履歴を管理する受取履歴管理情報である。受取履歴管理情報は、電子マネーを受信した日時を示す「日時」と、受信した電子マネーの金額を示す「金額」という項目を有している。
このようにして、携帯決済端末装置1aによる電子マネーの受取処理が終了する。
ここで、例えば、受取アプリが起動していない時に、店員aが携帯決済端末装置1aを用いて、顧客からの商品の返品に伴って、電子マネーを返金するために、携帯決済端末装置1aに対して支払アプリを起動する操作(例えば、支払アプリのアイコンをタップする操作)等を行ったとすると、この操作に応じて、上記の携帯決済端末装置1fの場合と同様に、携帯決済端末装置1fの実行部116が、支払アプリを起動させる。
図9は、支払アプリの起動後の状態を示す表示例である。ここでは、支払アプリが実行中の画面の背景色が、図7に示したい受取アプリの実行中の画面の背景色と異なるものとなっている。これにより、ユーザ(ここでは店員a)に現在、受取アプリと支払アプリとのいずれのアプリが起動中であるかを、目視により容易に認識させることが可能となり、操作のミス等を防ぐことができる。例えば、支払アプリを用いて、受取処理を行おうとする不適切な操作を防ぐことができる。
そして、店員aが、上記の携帯決済端末装置1fの場合と同様に、支払アプリを用いて、商品の購入代金等の支払(即ち返金処理)を行ったとする。
この場合、ここでは、支払った日時と、支払った電子マネーの金額とを有する支払履歴が、電子マネー格納部111に蓄積されるものとする。支払履歴については、受け取った電子マネーの金額の代わりに、支払った電子マネーの金額が格納されることを除けば、図8に示した受取履歴と同様の情報であるため、ここでは、詳細な説明は省略する。
携帯決済端末装置1aの実行部116が支払アプリを実行中に、携帯決済端末装置1を有する顧客gが、店舗αに来店し、ある商品を購入し、店員aに対して、その購入代金の電子マネーを用いて支払を行う旨を伝えたとする。
このため、店員αが、購入代金を受け取るために、携帯決済端末装置1aに対して受取アプリを起動する操作を行ったとすると、携帯決済端末装置1aの判断部115は、現在、実行部116が支払アプリを実行中であるか否かを判断する。ここでは、判断部115は、支払アプリが実行中であると判断したとする。このため、判断部115は、実行条件を満たさないと判断し、実行部116に受取アプリを起動しないよう指示を与える。また、ここでは、例えば、表示部118に、支払アプリが実行中であるため、受取アプリが起動できない旨の予め指定されたダイアログを出力される
図10は、表示部118が表示するダイアログの一例を示す図である。
これにより、支払アプリ起動中には受取アプリが起動できないようにする(即ち、実行できないようにする)ことができる。このため、支払アプリと受取アプリを同時に実行させることが可能な、汎用性を有する携帯決済端末装置1であるゆえによって起こりうる問題、例えば、電子マネーの受取処理を行うつもりが、誤って支払処理を行ってしまう、という問題や、電子マネーの支払処理を行うつもりが、誤って受取処理を行ってしまう、という問題を防ぐことができる。
ここで、仮に、受取アプリの実行中に、1または2以上の実行条件を満たさなくなったとする。例えば、現在の日時が、予め指定された期間内の日時でなくなったとする。この場合、判断部115は、実行条件を満たさないと判断し、実行部116が現在実行中の受取アプリの実行を中止する指示を実行部116に与える。例えば、受取アプリを終了させる指示を実行部116に与える。実行部116は、この指示に応じて、受取アプリの実行を終了する。受取アプリの実行を終了した時点で表示部118が表示する画面は、例えば、図5に示したような、携帯決済端末装置1aに電源を投入した直後の初期画面と同様の画面である。
ここで、仮に、店員aが、勤務時間外に、店舗α内で顧客からの電子マネーによる支払を受け付けるために、受取アプリを起動する操作を行ったとする。
携帯決済端末装置1aの判断部115は、まず、支払アプリが実行中でないか否かを判断し、支払アプリが実行中でないと判断したとする。
次に、判断部115は、現在の日時を示す情報である曜日「火曜」と時刻「14:12」を時計等から取得したとする。つぎに、判断部115は、図6(a)に示した期間設定情報の「曜日」が「火曜」であるレコード(行)から、「時間帯」の値「8:00〜12:00」を取得し、上記の時刻「14:12」が、この「時間帯」内の時刻であるか否かを判断する。ここでは、時間帯内でないため、判断部115は、実行条件を満たさないと判断し、例えば、受取アプリが起動できない旨のダイアログやアラート等を出力して、実行部116に受取アプリを起動しないよう指示を与える。
これにより、現在の日時が、予め指定された期間内でない場合に、受取アプリを実行できないようにして、電子マネーの受取をできないようにすることができる。これにより、例えば、店員等の社員が、携帯決済端末装置1を用いて、勤務時間外に勝手に電子マネーの受取を行えないようにすることができ、携帯決済端末装置1の業務外での利用などの不正利用や、不適切な利用等を防ぐことができる。
例えば、店員aが、店舗αの勤務時間外に、近接した異なる店舗βでも働いていたとし、この異なる店舗βにおいては店舗αとは異なり電子マネーが利用できないものとする。この場合において、店舗βにおいては、電子マネーが利用できないにも関わらず、誤って、店員aの持つ携帯決済端末装置1aで受取アプリを実行させて電子マネーを受け取ってしまうことが考えられるが、本願においては、電子マネーが利用できる店舗αにおける勤務時間を期間設定情報等として登録しておくことで、電子マネーを利用できる店舗での勤務時間外には、受取アプリを実行できないようにして、不正な電子マネーの受取や、不適切な電子マネーの受取を防ぐことができる。これにより、勤務時間外においても、社員等が保有して自由に利用できるという、携帯決済端末装置1が、携帯性を有するがゆえのセキュリティ上の問題等を解消することができる。
また、仮に、店員aが、店舗αにおける勤務時間内に、店舗αから離れた場所で、受取アプリを起動する操作を行ったとする。
携帯決済端末装置1aの判断部115は、まず、支払アプリが実行中でないか否かを判断し、支払アプリが実行中でないと判断したとする。
判断部115は、つぎに、現在の日時が予め指定された期間内であるか否かを判断し、期間内であると判断したとする。
判断部115は、図示しないGPS受信機が取得した座標が(x6,y6)であったとする。判断部115は、この座標が、図6(b)の領域設定情報が示す領域、即ち、座標(x1,y1)と、座標(x2,y2)とを対角とする矩形領域内の座標であるか否かを判断する。ここでは、矩形領域内の座標でないと判断したとする。判断部115は、実行条件を満たさないと判断し、例えば、受取アプリが起動できない旨のダイアログやアラート等を出力して、実行部116に受取アプリを起動しないよう指示を与える。
これにより、例えば、携帯決済端末装置1の現在の位置が、予め指定された領域でない場合には、受取アプリを実行できないようにして、電子マネーの受取をできないようにすることができる。これにより、例えば、店員等の社員が、携帯決済端末装置1を、本来電子マネーの受取等を行う店舗等の外で使用して、勝手に電子マネーの受取を行えないようにすることができ、携帯決済端末装置1の業務外での利用などの不正利用や、不適切な利用等を防ぐことができる。これにより、携帯決済端末装置1が、携帯性を有するがゆえのセキュリティ上の問題等を解消することができる。
ここで、売上送信部117は、予め指定された時間間隔毎(例えば、一時間毎)に、現在の日時(ここでは時刻)を図示しない時計等から取得し、取得した時刻よりも予め指定された時間(例えば、1時間)以上前の時刻を有する受取履歴を、図8に示した受取履歴管理情報から検索する。ただし、ここでは、予め指定された時間以上前の時刻を終点とした、予め指定された期間(例えば1時間)の受取履歴を検索するものとする。例えば、現在の時刻が「11:00」であったとすると、この時刻よりも1時間前の時刻である「10:00」を終了時刻とした、1時間の期間内の受取履歴、即ち「9:00」から「10:00」までの時間内の受取履歴を検索する。そして、検索した受取履歴の電子マネーの「金額」の値の合計を算出する。例えば、図8においては、この期間内の合計の金額は「1500円」となる。また、同様に、売上送信部117は、同じ時間内の支払履歴の「金額」の合計を算出する。算出した値が、「300円」であったとする。
そして、売上送信部117は、この受取履歴から算出した合計金額「1500円」から、支払履歴から算出した合計金額「300円」を減算した値「1200円」に対応する電子マネーを、例えば、「9:00」から「10:00」までの時間帯の売上に相当する電子マネーとして、サーバ装置2に送信する。そして、電子マネー格納部111の電子マネーの金額(残高)から、送信した分の金額「1200円」を減算する。
サーバ装置2の売上受信部212は、売上送信部117から送信される電子マネーを受信して、売上格納部211に蓄積する。
このようにして、各携帯決済端末装置1が受け取り、蓄積した電子マネーを、サーバ装置2に自動的に送信して集めるようにすることで、各携帯決済端末装置1に蓄積された売上である電子マネーが携帯決済端末装置1に残らないよう、サーバ装置2に収集することができ、各携帯決済端末装置1が受け取った電子マネーが各携帯決済端末装置1のユーザにより勝手に利用されることを防ぐことができる。
また、売上送信部117による電子マネーの送信を、受け取りから予め指定された時間が経過後に行うようにすることで、購入直後の電子マネーは、電子マネー格納部111に残しておくことで、返品等に伴う返金を、各携帯決済端末装置1から支払アプリ等を用いて行うようにすることができる。
なお、売上送信部117は、現在の日時が、電子マネーの受け取りが可能な期間等の予め指定された期間外の日時となった場合や、現在の位置が、電子マネーの受け取りが可能な領域等の予め指定された領域以外の位置となった場合には、電子マネー格納部111に格納されている全ての電子マネーを、サーバ装置2に送信するようにしてもよい。あるいは、受取履歴のうちの、売上送信部117が送信の処理を行っていない期間内の受取履歴が示す金額の合計分から、同じ期間内の支払履歴が示す金額の合計分を減算した金額分の電子マネーを、サーバ装置2に送信するようにしても良い。
これにより、各携帯決済端末装置1が電子マネーの受け取りが可能な期間等の予め指定された期間内に受け取った電子マネーや、電子マネーの受け取りが可能な領域等の予め指定された領域内で受け取った電子マネーを、予め指定された期間外に各携帯決済端末装置1とともに持ち出されたり、予め指定された領域外に各携帯決済端末装置1とともに持ち出されたりすることを防ぐことができ、各携帯決済端末装置1で受け付けた電子マネーをサーバ装置2でまとめて保管することができ、電子マネーのセキュリティを保つことができる。
以上、本実施の形態によれば、実行条件を満たさない場合に受取アプリを実行させないようにすることにより、電子マネーのセキュリティを向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、判断部115が、現在の状況が、受取アプリを実行するための予め指定された条件である実行条件を満たすか否かを判断するようにし、実行条件を満たさない場合に、実行部116が受取アプリを実行しないようにしたが、本発明においては、判断部115が、支払アプリを実行するための予め指定された条件である支払実行条件を満たすか否かを判断するようにし、支払実行条件を満たさない場合に、実行部116が支払アプリを実行しないようにしてもよい。この場合の支払実行条件は、例えば、上述した実行条件(A)と同様に、現在、受取アプリを実行中でないという条件である。また、上述した実行条件(B)と同様に、現在の日時が予め指定された期間内でないという条件であってもよい。また、例えば、上述した実行条件(C)と同様に、現在の携帯決済端末装置1(自装置)の位置が、予め指定された領域内であるという条件である
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段(情報送信部など)は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、格納部(例えば、ハードディスクやメモリ等の記録媒体)にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。
なお、上記各実施の形態における携帯決済端末装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、電子マネーが格納される電子マネー格納部と、受信部を用いて電子マネーを受信して電子マネー格納部に蓄積する処理を実行可能なアプリケーションプログラムである受取アプリが格納されるアプリ格納部と、にアクセス可能なコンピュータを、電子マネーを受信する受信部と、受取アプリを実行する実行部と、現在の状況が、受取アプリを実行するための予め指定された条件である実行条件を満たすか否かを判断する判断部として機能させるプログラムであって、実行部は、判断部が条件を満たさないと判断した場合に、受取アプリを実行しないプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には含まれない。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
上記プログラムを実行して、上記実施の形態による携帯決済端末装置を実現するコンピュータは、例えば、上述したような携帯情報端末や、移動体通信端末等である。い。
図11は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態によるサーバ装置等を実現するコンピュータは、の外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。ただし、上記実施の形態のサーバ装置等も、上記実施の形態の形態決済端末装置と同様の携帯情報端末や、移動体通信端末等であっても良
図11において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。なお、本実施の形態の携帯決済端末装置等を実現するコンピュータも、同様の構成を有していても良い。
図12は、コンピュータシステム900や、本実施の形態の携帯決済端末装置等を実現するコンピュータの内部構成を示す図である。図12において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900や、携帯決済端末装置等を実現するコンピュータに、上記実施の形態による携帯決済端末装置等の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による携帯決済端末装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。