JP6084936B2 - エレベータの据付装置、及びこの据付装置の組立方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータの据付作業に用いられるエレベータの据付装置、及びこの据付装置の組立方法に関する。
従来より、エレベータの据付作業では、据付対象となる建屋内のエレベータ昇降路の全高及び機械室の躯体造作が完了した後に、エレベータの据付を行うのが最も安全かつ効率的である。しかし、近年のビルの超高層化に伴い、発注者よりエレベータの早期完成が要請され、エレベータの全高及び機械室の躯体が完成される前に、最下階と最上階との間の途中階の乗場より下方でエレベータの据付を先行して行うことによりエレベータの完成時期を早め、このエレベータを利用することで建物全体の工期を早める必要性が生じている。
一方、現在行われているエレベータの据付作業では、昇降路内に足場を必要としない、いわゆる「足場無し工法」が採用されているので、昇降路内に足場は設置されていない。従って、このような条件下で途中階の乗場から上方へエレベータの据付を行うためには、この途中階の乗場から昇降路へ足場を設置する必要がある。
そこで、昇降路に足場を設置する従来技術の1つとして、鉄骨柱、鉄骨梁等からなる鉄骨造の多層の建物躯体を構築しながら、エレベータシャフトとなる部分以外の部分の周囲を含む鉄骨梁上の所定の部分にデッキプレート、プレキャストコンクリート板等の板体を載設し、かつエレベータシャフトとなる部分の両側に位置する鉄骨梁間に複数の支持梁を配し、各支持梁の両端部を鉄骨梁に着脱可能に支持させ、支持梁の上側に板状体を着脱可能に取付けたエレベータシャフト及びエレベータの組立施工法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3240491号公報
しかし、上述した特許文献1に開示された従来技術のエレベータシャフト及びエレベータの組立施工法は、各支持梁の上側の板状体がエレベータシャフトとなる部分を各層毎に塞ぐことにより、作業者がエレベータシャフト内で作業を行う際の安全が図られているが、各支持梁及び板状体の配設作業における安全性についてまでは、十分に考慮されていない。従って、このようなエレベータの据付作業が行われる足場を安全に設置するために、作業者はより注意を払う必要があるので、足場の設置作業に多くの時間を費やすことが懸念されている。
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、エレベータの据付作業を行うための足場をより安全かつ効率良く設置することができるエレベータの据付装置、及びこの据付装置の組立方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明のエレベータの据付装置は、複数の階床を有する乗場と、この乗場に隣接して設けられた昇降路とを備えたエレベータの据付作業に用いられるエレベータの据付装置において、前記乗場から前記昇降路へ通じる出入口の間口寸法以下の幅寸法を有し、最下階と最上階との間の途中階の前記乗場から前記昇降路に水平に設けられ、前記エレベータの据付作業が行われる足場を形成する作業床部と、この作業床部のうち重心よりも前記昇降路側に設けられ、前記作業床部が吊持される吊持穴部と、前記作業床部が前記昇降路側から前記乗場側へ移動するのを規制するストッパー部とを備え、前記作業床部の前記昇降路側の部分が前記吊持穴部を介して前記乗場側から前記昇降路側へ吊持された状態で、前記作業床部の前記乗場側の端部を前記ストッパー部に当接させ、前記作業床部を前記乗場の床と、前記昇降路の内側面を形成する躯体の梁との間に掛け渡すようにしたことを特徴としている。
また、本発明のエレベータの据付装置の組立方法は、複数の階床を有する乗場と、この乗場に隣接して設けられた昇降路とを備えたエレベータの据付作業に用いられるエレベータの据付装置の組立方法において、前記エレベータの据付装置は、前記乗場から前記昇降路へ通じる出入口の間口寸法以下の幅寸法を有し、最下階と最上階との間の途中階の前記乗場から前記昇降路に水平に設けられ、前記エレベータの据付作業が行われる足場を形成する作業床部と、この作業床部のうち重心よりも前記昇降路側に設けられ、前記作業床部が吊持される吊持穴部と、前記作業床部が前記昇降路側から前記乗場側へ移動するのを規制するストッパー部とを備え、前記ストッパー部を前記途中階の前記乗場に設ける第1手順と、前記吊持穴部を介して前記作業床部の前記昇降路側の部分を前記乗場側から前記昇降路側へ吊持する第2手順と、これらの第1手順及び第2手順が行われた後、前記作業床部の前記乗場側の端部を前記ストッパー部に当接させ、前記作業床部を前記乗場の床と、前記昇降路の内側面を形成する躯体の梁との間に掛け渡す第3手順とを行うことにより前記エレベータの据付装置を組立てることを特徴としている。
本発明のエレベータの据付装置、及びこの据付装置の組立方法によれば、エレベータの据付作業を行うための足場をより安全かつ効率良く設置することができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1、第2実施形態に係るエレベータの据付装置が組立てられる据付前のエレベータ全体の構成を説明する図である。 本発明の第1、第2実施形態に係るエレベータの据付装置が昇降路に組立てられた状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業床部の構成を説明する図であり、(a)図は鋼板が取り付けられる前の状態を示す平面図、(b)図は鋼板が取り付けられる前の状態を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業床部の構成を説明する図であり、(a)図は網板が取り付けられた状態を示す平面図、(b)図は鋼板が取り付けられた状態を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業床部とストッパー部の構成、及びこの据付装置の組立方法の第1手順を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第2手順を説明する平面図であり、チェーンブロックのチェーンを吊持穴部に装着した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第2手順を説明する側面図であり、チェーンブロックのチェーンを吊持穴部に装着した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第2手順を説明する平面図であり、チェーンブロックのチェーンを引き上げた状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第2手順を説明する側面図であり、チェーンブロックのチェーンを引き上げた状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第3手順を説明する側面図であり、チェーンブロックのチェーンを引き下げた状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第3手順を説明する平面図であり、作業床部を乗場の床と、昇降路の内側面を形成する躯体の梁との間に掛け渡した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の組立方法の第3手順を説明する側面図であり、作業床部を乗場の床と、昇降路の内側面を形成する躯体の梁との間に掛け渡した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業台の構成、及びこの据付装置の組立方法の第4手順を説明する平面図であり、中間梁を作業床部上に載置した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業台の構成、及びこの据付装置の組立方法の第4手順を説明する側面図であり、中間梁を作業床部上に載置した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業台と固定部の構成、及びこの据付装置の組立方法の第4手順を説明する平面図であり、上床板を中間梁上に載置した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るエレベータの据付装置の作業台の構成、及びこの据付装置の組立方法の第4手順を説明する側面図であり、上床板を中間梁上に載置した状態を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るエレベータの据付装置の構成、及びこの据付装置の組立方法の第5手順を説明する平面図であり、防水シートを作業床部の上面全体に敷設した状態を示す図である。 本発明の第2実施形態に係るエレベータの据付装置の構成、及びこの据付装置の組立方法の第5手順を説明する側面図であり、防水シートを作業床部の上面全体に敷設した状態を示す図である。
以下、本発明に係るエレベータの据付装置、及びこの据付装置の組立方法を実施するための形態を図に基づいて説明する。
[エレベータの据付装置の第1実施形態]
本発明に係るエレベータの据付装置の第1実施形態は、例えば図1に示すように複数の階床を有する乗場1と、この乗場1に隣接して設けられた昇降路2とを備えたエレベータ3の据付作業に用いられる装置である。このエレベータ3が設置される建物は、例えば40階以上の上部側の乗場1、昇降路2、及び巻上機4が設置される機械室5の躯体造作が完了しておらず、建築躯体造作中になっている。
図2に示すように、下部側の昇降路2内には、エレベータ3の据付作業において採用される、いわゆる「足場無し工法」で使用する作業用のゴンドラ6、このゴンドラ6と乗かご(図示せず)を鉛直方向に案内する一対のガイドレール7、及びゴンドラ6を懸垂する一対のゴンドラ懸垂用ワイヤーロープ8が設けられている。
また、各階の乗場1の床の下側には、乗場1の床を支持する躯体の梁1aが設けられており、昇降路2の奥側の内壁面2Bのうち各階の躯体の梁1aの高さ位置と同等の高さ位置には、昇降路2の内側面を形成する複数の躯体の梁2aがそれぞれ設けられている。なお、図1、図2では、エレベータ3全体を分かり易く図示するために、乗場1の一部の階床を省略している。
本発明の第1実施形態に係るエレベータ3の据付装置10は、最下階と最上階との間の途中階として、例えば29階の乗場1Aから昇降路2に水平に設けられ、図3(a)、図3(b)に示すように、エレベータ3の据付作業が行われる足場を形成する作業床部11と、図4(a)に示すように、作業床部11のうち重心よりも昇降路2側に設けられ、作業床部11が吊持される吊持穴部12と、図5に示すように、作業床部11が昇降路2側から乗場1A側へ移動するのを規制するストッパー部13とを備えている。
具体的には、作業床部11は、例えば図2、図3(a)、図3(b)に示すように、上述の作業用のゴンドラ6や作業者の荷重を受ける一対の受け梁11Aと、これらの受け梁11Aを連結する4本の連結材11Bと、図4(a)、図4(b)に示すように、各受け梁11A上に取り付けられる4枚の鋼板11Cと、各受け梁11Aのうち昇降路2側の端部の底面に取り付けられ、下方へ突出した脚部11Dとを有している。なお、これらの受け梁11A、連結材11B、鋼板11C、及び脚部11Dの部材の数は、上述した場合に限定されるものではない。
図3(a)、図3(b)に示すように、各受け梁11Aは、例えば断面の大きさが200×200mm程度の大きさに設定され、長さが昇降路2の奥行寸法よりも300mm程度長く設定されたH鋼から成り、このH鋼はゴンドラ6を懸垂可能な強度を有している。各連結材11Bは、例えば乗場1から昇降路2へ通じる出入口2Aの間口寸法(具体例として、1200〜1400mm)と同等の長さに設定されたL鋼から成っている。
そして、作業床部11は、各受け梁11Aと各連結材11Bの端部同士が溶接等で接続されることにより、四辺形状に形成されて足場全体に掛かる荷重を支えることが可能になっている。なお、図示されないが、各受け梁11Aには、各ゴンドラ懸垂用ワイヤーロープ8(図2参照)を取付けるためのワイヤーロープ穴が設けられている。これにより、ゴンドラ懸垂用ワイヤーロープ8を配設するための新たな部材を昇降路2内に設置しなくて済むので、昇降路2内の足場の設置作業を効率的かつ安価に行うことができる。
図4(a)、図4(b)に示すように、各鋼板11Cは、例えば縦の長さ(連結材11Bに沿う方向の長さ)が連結材11Bと同等程度の長さに設定され、横の長さ(受け梁11Aに沿う方向の長さ)が受け梁11Aを4等分した程度の長さに設定されており、各受け梁11Aと各連結材11Bが接続されて形成された四辺形状の中空部分Aを上方から覆うように、受け梁11Aに沿って並列して配置されている。各鋼板11Cのうち受け梁11A側の両端と各受け梁11Aにはボルト15が締結されることにより、受け梁11A、連結材11B、鋼板11C、及び脚部11Dが一体に固定され、作業床部11は、作業者が鋼板11Cの上面を歩行可能な床構造になっている。なお、鋼板11Cの厚さは、例えば3〜4mm程度に設定されている。
吊持穴部12は、例えば昇降路2側から2番目の鋼板11Cに穿設された一対の貫通孔から成り、これらの貫通孔は、各受け梁11A側へ互いに離隔して配置されている。ストッパー部13は、例えば図5に示すように、29階の乗場1Aの床面のうち乗場1Aから昇降路2へ通じる出入口2Aの手前側に一片が固定され、他方の片が床面から上方へ突起したL鋼から形成されている。
そして、エレベータ3の据付装置10は、作業床部11の昇降路2側の部分が吊持穴部12を介して乗場1A側から昇降路2側へ吊持された状態で、作業床部11の乗場1A側の端部をストッパー部13に当接させ、作業床部11を乗場1Aの床と、昇降路2の内側面を形成する躯体の梁2aとの間に掛け渡すようにしている。
また、エレベータ3の据付装置10は、図15に示すように、作業床部11の床面積よりも大きな面積に設定され、昇降路2の空間部分の横断面を覆うように作業床部11上に配置された作業台21と、この作業台21を作業床部11に固定する固定部22とを備えている。
作業台21は、例えば図13、図14に示すように、乗場1Aから昇降路2へ通じる出入口2Aから昇降路2の奥側へ向かって離間して配列し、長手方向が出入口2Aから昇降路2の奥側へ向かう方向と直交する方向(出入口2Aの幅方向)に沿って鋼板11C上に載置された複数の中間梁(一例として、5本の中間梁)21Aと、図15、図16に示すように、これらの中間梁21A上に載置され、昇降路2の空間部分の横断面全体を足場とする複数の上床板(一例として、8枚の上床板)21Bとから構成されている。
各中間梁21Aは、例えば図13、図14に示すように、受け梁11Aと同様に、断面の大きさが200×200mm程度に設定され、長さが昇降路2の横寸法(連結材11Bに沿う方向の長さ)よりも若干短く設定されたH鋼から成り、各上床板21Bは、例えば図15、図16に示すように、鋼板11Cと同様に、厚さが3〜4mmに設定された鋼板から成っている。なお、図示されないが、各上床板21Bには、図2に示す各ガイドレール7等の芯出しを行うためのピアノ線を取付けて垂下させるピアノ線用穴が設けられている。これにより、エレベータ3の据付作業を行う際の利便性を向上させることができる。
固定部22は、例えば図示されないが、複数のボルトと、各中間梁21Aに穿設され、各ボルトの軸部を挿通する複数のボルト挿通孔と、各鋼板11Cに設けられ、各ボルトの軸部が螺合する複数のボルト穴部とを有し、各ボルトが各中間梁21Aのボルト挿通孔に挿通した状態で各鋼板11Cのボルト穴部に締結することにより、各中間梁21Aが各ボルトによって各鋼板11Cに固定されている。
また、固定部22は、例えば図15に示すように、複数のボルト(一例として、一枚の上床板21Bに対して6本のボルト)22Aと、図示されないが、各上床板21Bのうち中間梁21Aの上方の位置に穿設され、各ボルト22Aの軸部を挿通する複数のボルト挿通孔と、各中間梁21Aに設けられ、各ボルト22Aの軸部が螺合する複数のボルト穴部とを有し、各ボルト22Aが各上床板21Bのボルト挿通孔に挿通した状態で各中間梁21Aのボルト穴部に締結することにより、各上床板21Bが各ボルト22Aによって各中間梁21Aに固定されている。
このように構成した第1実施形態に係るエレベータ3の据付装置10にあっては、例えば以下の手順のようにしてエレベータ3の据付装置10が組立てられる。
[エレベータの据付装置の組立方法の第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るエレベータ3の据付装置10の組立方法は、例えば図5に示すように、ストッパー部13を途中階である29階の乗場1Aに設ける第1手順と、図6〜図9に示すように、吊持穴部12を介して作業床部11の昇降路2側の部分を乗場1A側から昇降路2側へ吊持する第2手順と、図10〜図12に示すように、これらの第1手順及び第2手順が行われた後、作業床部11の乗場1A側の端部をストッパー部13に当接させ、作業床部11を乗場1Aの床と、昇降路2の内側面を形成する躯体の梁2aとの間に掛け渡す第3手順と、図13〜図16に示すように、昇降路2の空間部分の横断面を覆うように作業台21を作業床部11上に配置し、作業台21を固定部22で作業床部11に固定する第4手順とを行うことによりエレベータ3の据付装置10を組立てる。
具体的には、第1手順では、図5に示すように、作業者は、まずストッパー部13を29階の乗場1Aの床面のうち乗場1Aから昇降路2へ通じる出入口2Aの手前側に固定し、乗場1Aにおいて受け梁11A、連結材11B、鋼板11C、及び脚部11Dを用意する。次に、作業者は、受け梁11A、連結材11B、鋼板11C、及び脚部11Dを一体に固定することにより、乗場1A上で作業床部11を組立てた後、29階の乗場1Aよりも上方の階、例えば31階の乗場1B(図7参照)に揚重機としてのチェーンブロック25を設置する。
第2手順では、図6、図7に示すように、作業者は、作業床部11を出入口2A側へ運搬し、チェーンブロック25のチェーン25Aの先端側を作業床部11の吊持穴部12に巻き付けて装着する。そして、図8、図9に示すように、作業者は、チェーンブロック25の巻き上げ操作を行い、チェーン25Aを引き上げることにより、作業床部11が乗場1A側の端部を支点として傾倒し、作業床部11の昇降路2側の部分が乗場1A側から昇降路2側へ吊持された状態で昇降路2内へ引き込まれる。
第3手順では、図10に示すように、作業床部11の乗場1A側の端部(下端部)がストッパー部13を超えて昇降路2側へ移動すると、作業者は、チェーンブロック25の巻き上げ操作を停止し、チェーンブロック25の巻き下げ操作を行い、チェーン25Aを徐々に引き下げることにより、傾倒した作業床部11がストッパー部13を支点として次第に水平状態へ移行し、図11、図12に示すように、作業床部11の昇降路2側の脚部11Dが梁2a上に載置される。これにより、作業床部11が乗場1Aの床と梁2aとの間に掛け渡される。
そして、作業者は、脚部11Dと梁2aを締結する締結具として、例えば鉄鋼クランプ16を用い、作業床部11をストッパー部13と昇降路2の奥側の内壁面2Bとの間に固定する。このようにして、29階の乗場1Aから昇降路2の奥側において、出入口2Aの間口寸法(1200〜1400mm)程度の通路状の足場が完成する。
第4手順では、図13、図14に示すように、作業者は、作業床部11上へ移動した後、5本の中間梁21Aを出入口2Aから昇降路2の奥側へ向かって1つずつ作業床部11上に載置し、各中間梁21Aをボルトで作業床部11の各鋼板11Cに固定する。そして、図15、図16に示すように、作業者は、8枚の上床板21Bを中間梁21A上に載置し、各上床板21Bを昇降路2の空間部分の横断面全体に敷き詰めた後、各上床板21Bをボルト22Aで各中間梁21Aに固定する。このようにして、29階の乗場1Aから昇降路2の奥側において、昇降路2の空間部分の横断面全体を占める足場が完成する。
このように構成した本発明の第1実施形態に係るエレベータ3の据付装置10、及びこの据付装置10の組立方法によれば、作業者は作業床部11を安全な乗場1側で組立てることができる。さらに、作業者は、作業床部11の吊持穴部12にチェーンブロック25のチェーン25Aを装着し、ストッパー部13を支点としてチェーンブロック25で乗場1A側から昇降路2側へ吊持することにより、作業床部11を乗場1Aの床と梁2aとの間に掛け渡すようにしているので、昇降路2内へ入らなくても、出入口2Aの間口寸法程度の通路状の足場を容易に形成することができ、昇降路2内の足場の設置作業を迅速に行うことができる。
すなわち、エレベータ3の据付装置10の組立方法に係る第1手順〜第3手順において十分な安全性が確保されているので、エレベータ3の据付作業を行うための足場をより安全かつ効率良く設置することができ、昇降路2内の足場の設置作業に対して優れた信頼性を得ることができる。
また、本発明の第1実施形態に係るエレベータ3の据付装置10、及びこの据付装置10の組立方法では、作業者は、作業床部11を足場として利用することにより、第4手順の各中間梁21Aと各上床板21Bの設置作業において、安定した姿勢を保つことができるので、これらの設置作業を円滑に行うことができる。そして、各上床板21Bが昇降路2の空間部分の横断面全体に敷き詰められることにより、昇降路2内の足場の面積を拡大できるので、エレベータ3の据付作業に対する安全性を向上させることができる。
[エレベータの据付装置の第2実施形態]
ここで、図1、図2に示すように、29階の乗場1Aから昇降路2の奥側へ設置された作業床部11は、エレベータ3の据付作業を行うための足場として機能するが、29階よりも上方の階では建物の施工が完了していないので、昇降路2のうち作業床部11Aの上方の部分には外部への開口が存在する。そこで、本発明の第2実施形態に係るエレベータ3の据付装置30は、前述した第1実施形態と同様の構成に加え、昇降路2の開口を塞ぐ養生装置を備えている。この養生装置は、例えば図17、図18に示すように、雨水の落下を防ぐ防水シート35から成っている。
このように構成した第2実施形態に係るエレベータ3の据付装置30にあっては、例えば以下の手順のようにしてエレベータ3の据付装置30が組立てられる。
[エレベータの据付装置の組立方法の第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るエレベータ3の据付装置30の組立方法は、前述した第1実施形態の第1手順〜第4手順の構成に加え、さらに養生装置としての防水シート35を昇降路2内に敷設する第5手順を行うことによりエレベータ3の据付装置30を組立てる。
具体的には、図1、図2に示すように、作業者は、例えば29階より1つ上の階である30階において、上述と同様の第1手順〜第4手順を行うことにより、29階に設置した作業床部11と同様の作業床部31を30階の乗場1Cから昇降路2内の奥側へ設置する。そして、図17、図18に示すように、作業者は、作業床部31の上面全体に防水シート35を敷設し、防水シート35のうち昇降路2の内壁側の端部を粘着テープ等(図示せず)で接着して取付けることにより、エレベータ3の据付装置30が組立てられる。
このように構成した本発明の第2実施形態に係るエレベータ3の据付装置30、及びこの据付装置30の組立方法によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果が得られる他、昇降路2のうち作業床部11の上方の開口を防水シート35で塞ぐことができるので、雨水が昇降路2内へ入るのを抑制することができる。また、作業者は、作業床部31を足場として利用することにより、防水シート35の敷設作業を作業床部31上でより安全かつ効率良く行うことができる。
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
1 乗場
1A 乗場(29階)
1B 乗場(31階)
1C 乗場(30階)
2 昇降路
2A 出入口
2a 躯体の梁
2B 内壁面
3 エレベータ
10,30 据付装置
11,31 作業床部
11A 受け梁
11B 連結材
11C 鋼板
11D 脚部
12 吊持穴部
13 ストッパー部
15 ボルト
21 作業台
21A 中間梁
21B 上床板
22A ボルト
25 チェーンブロック(揚重機)
25A チェーン
35 防水シート(養生装置)

Claims (4)

  1. 複数の階床を有する乗場と、この乗場に隣接して設けられた昇降路とを備えたエレベータの据付作業に用いられるエレベータの据付装置において、
    前記乗場から前記昇降路へ通じる出入口の間口寸法以下の幅寸法を有し、最下階と最上階との間の途中階の前記乗場から前記昇降路に水平に設けられ、前記エレベータの据付作業が行われる足場を形成する作業床部と、
    この作業床部のうち重心よりも前記昇降路側に設けられ、前記作業床部が吊持される吊持穴部と、
    前記作業床部が前記昇降路側から前記乗場側へ移動するのを規制するストッパー部とを備え、
    前記作業床部の前記昇降路側の部分が前記吊持穴部を介して前記乗場側から前記昇降路側へ吊持された状態で、前記作業床部の前記乗場側の端部を前記ストッパー部に当接させ、前記作業床部を前記乗場の床と、前記昇降路の内側面を形成する躯体の梁との間に掛け渡すようにしたことを特徴とするエレベータの据付装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータの据付装置において、
    前記作業床部の床面積よりも大きな面積に設定され、前記昇降路の空間部分の横断面を覆うように前記作業床部上に配置された作業台と、
    この作業台を前記作業床部に固定する固定部とを備えたことを特徴とするエレベータの据付装置。
  3. 複数の階床を有する乗場と、この乗場に隣接して設けられた昇降路とを備えたエレベータの据付作業に用いられるエレベータの据付装置の組立方法において、
    前記エレベータの据付装置は、前記乗場から前記昇降路へ通じる出入口の間口寸法以下の幅寸法を有し、最下階と最上階との間の途中階の前記乗場から前記昇降路に水平に設けられ、前記エレベータの据付作業が行われる足場を形成する作業床部と、この作業床部のうち重心よりも前記昇降路側に設けられ、前記作業床部が吊持される吊持穴部と、前記作業床部が前記昇降路側から前記乗場側へ移動するのを規制するストッパー部とを備え、
    前記ストッパー部を前記途中階の前記乗場に設ける第1手順と、
    前記吊持穴部を介して前記作業床部の前記昇降路側の部分を前記乗場側から前記昇降路側へ吊持する第2手順と、
    これらの第1手順及び第2手順が行われた後、前記作業床部の前記乗場側の端部を前記ストッパー部に当接させ、前記作業床部を前記乗場の床と、前記昇降路の内側面を形成する躯体の梁との間に掛け渡す第3手順とを行うことにより前記エレベータの据付装置を組立てることを特徴とするエレベータの据付装置の組立方法。
  4. 請求項3に記載のエレベータの据付装置の組立方法において、
    前記エレベータの据付装置は、
    前記作業床部の床面積よりも大きな面積に設定され、前記昇降路の空間部分の横断面を覆うように前記作業床部上に配置された作業台と、
    この作業台を前記作業床部に固定する固定部とを備え、
    前記昇降路の空間部分の横断面を覆うように前記作業台を前記作業床部上に配置し、前記作業台を前記固定部で前記作業床部に固定する第4手順をさらに行うことにより前記エレベータの据付装置を組立てることを特徴とするエレベータの据付装置の組立方法。
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