JP6084859B2 - 車高調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車高調整装置に関する。
近年、自動二輪車の走行中は車高を高くし、停車中は乗り降りを楽にするために車高を低くする装置が提案されている。
そして、例えば、特許文献1に記載の車高調整装置は、自動二輪車の車速に応答して自動的に車高を変え、車速が設定速度になったら自動的に車高を高くし、車速が設定速度以下になると自動的に車高を低くする。
特公平8−22680号公報
前輪の左右両側に設けられて車両の車両本体と前輪との相対的な位置を変更可能な前輪側相対位置変更手段と、後輪の左右両側に設けられて車両本体と後輪との相対的な位置を変更可能な後輪側相対位置変更手段との両方を用いて車高を調整する機構が考えられる。この機構の場合、車高を高くして走行しているときに、複数の前輪側相対位置変更手段および複数の後輪側相対位置変更手段のいずれかに故障が生じた場合には、車両本体の姿勢が変化し、操縦安定性やヘッドランプの光軸へ悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、車高を調整する装置に故障が生じた場合でも、操縦安定性やヘッドランプの光軸へ及ぼす悪影響を抑制することができる車高調整装置を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、車両の車両本体と前輪との相対的な位置である前輪側相対位置を変更可能な複数の前輪側変更手段と、車両の車両本体と後輪との相対的な位置である後輪側相対位置を変更可能な複数の後輪側変更手段と、前記複数の前輪側変更手段および前記複数の後輪側変更手段を制御して前記前輪側相対位置および前記後輪側相対位置を変更することで前記車両本体の高さである車高を調整する制御手段と、を備え、前記前輪側変更手段は、衝撃を吸収する前輪側懸架スプリングと、前輪側ジャッキ室を形成する前輪側油圧ジャッキと、当該前輪側懸架スプリングの端部を支持し、当該前輪側油圧ジャッキとともに当該前輪側ジャッキ室を形成する前輪側支持部材と、当該前輪側ジャッキ室に充填される液体量を制御する前輪側電磁弁とを有し、当該前輪側ジャッキ室内に充填された液体量に応じて当該前輪側懸架スプリングの長さを変更して当該前輪側懸架スプリングの荷重を変更することで前記前輪側相対位置を変更し、前記後輪側変更手段は、衝撃を吸収する後輪側懸架スプリングと、後輪側ジャッキ室を形成する後輪側油圧ジャッキと、当該後輪側懸架スプリングの端部を支持し、当該後輪側油圧ジャッキとともに当該後輪側ジャッキ室を形成する後輪側支持部材と、当該後輪側ジャッキ室に充填される液体量を制御する後輪側電磁弁とを有し、当該後輪側ジャッキ室内に充填された液体量に応じて当該後輪側懸架スプリングの長さを変更して当該後輪側懸架スプリングの荷重を変更することで前記後輪側相対位置を変更し、前記制御手段は、前記複数の前輪側変更手段を用いて前記前輪側相対位置を大きくするとともに前記複数の後輪側変更手段を用いて前記後輪側相対位置を大きくして前記車高を高くするように制御しているときに当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段内のいずれかの変更手段が故障した場合には、当該前輪側変更手段および当該後輪側変更手段の内、故障していない変更手段にて変更する相対位置を小さくするように制御することを特徴とする車高調整装置である。
ここで、前記前輪側変更手段および前記後輪側変更手段は、それぞれ前記前輪側相対位置または前記後輪側相対位置を最大とする最大状態と最小とする最小状態とを切り替え可能であり、前記制御手段は、前記複数の前輪側変更手段および前記複数の後輪側変更手段を最大状態として前記車高を高くするように制御しているときに当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段内のいずれかの変更手段が故障した場合には、当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段の内、故障していない当該複数の前輪側変更手段または当該複数の後輪側変更手段のいくつかの変更手段を前記最小状態に切り替えるとよい。
また、前記前輪側変更手段および前記後輪側変更手段は、それぞれ前記前輪側相対位置または前記後輪側相対位置を最大とする最大状態と、最小とする最小状態と、当該最大状態と当該最小状態との間の中間状態とに切り替え可能であり、前記制御手段は、前記複数の前輪側変更手段および前記複数の後輪側変更手段を最大状態として前記車高を高くするように制御しているときに当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段内のいずれかの変更手段が故障した場合には、当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段の内、故障していない当該複数の前輪側変更手段または当該複数の後輪側変更手段の全ての変更手段を前記中間状態に切り替えるとよい。
本発明によれば、車高を調整する装置に故障が生じた場合でも、操縦安定性やヘッドランプの光軸へ及ぼす悪影響を抑制することができる。
実施の形態に係る自動二輪車の概略構成を示す図である。 第1の実施形態に係るリヤサスペンションの断面図である。 後輪側液体供給装置の作用を説明するための図である。 後輪側相対位置変更装置による車高調整を説明するための図である。 車高が維持されるメカニズムを示す図である。 第1の実施形態に係るフロントフォークの断面図である。 前輪側液体供給装置の作用を説明するための図である。 前輪側相対位置変更装置による車高調整を説明するための図である。 車高が維持されるメカニズムを示す図である。 制御装置のブロック図である。 制御装置の切換弁制御部が行う開閉制御処理の手順を示すフローチャートである。 制御装置の切換弁制御部が行う故障時処理の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るリヤサスペンションの断面図である。 車高が維持されるメカニズムを示す図である。 第2の実施形態に係るフロントフォークの断面図である。 車高が維持されるメカニズムを示す図である。 第2の実施形態に係る制御装置の切換弁制御部が行う開閉制御処理の手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る制御装置の切換弁制御部が行う故障時処理の手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る自動二輪車1の概略構成を示す図である。
自動二輪車1は、図1に示すように、車体フレーム11と、この車体フレーム11の前端部に取り付けられているヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12に設けられた2つのフロントフォーク13と、この2つのフロントフォーク13の下端に取り付けられた前輪14と、を有している。2つのフロントフォーク13は、前輪14の左側と右側にそれぞれ1つずつ配置されている。図1では、右側に配置されたフロントフォーク13のみを示している。このフロントフォーク13の具体的構成については後で詳述する。
また、自動二輪車1は、フロントフォーク13の上部に取り付けられたハンドル15と、車体フレーム11の前上部に取り付けられた燃料タンク16と、この燃料タンク16の下方に配置されたエンジン17および変速機18と、を有している。
また、自動二輪車1は、車体フレーム11の後上部に取り付けられたシート19と、車体フレーム11の下部にスイング自在に取り付けられたスイングアーム20と、このスイングアーム20の後端に取り付けられた後輪21と、スイングアーム20の後部(後輪21)と車体フレーム11の後部との間に取り付けられた2つのリヤサスペンション22と、を有している。2つのリヤサスペンション22は、後輪21の左側と右側にそれぞれ1つずつ配置されている。図1では、右側に配置されたリヤサスペンション22のみを示している。このリヤサスペンション22の具体的構成については後で詳述する。
また、自動二輪車1は、ヘッドパイプ12の前方に配置されたヘッドランプ23と、前輪14の上部を覆うようにフロントフォーク13に取り付けられたフロントフェンダ24と、シート19の後方に配置されたテールランプ25と、このテールランプ25の下方に後輪21の上部を覆うように取り付けられたリヤフェンダ26と、を有している。また、自動二輪車1は、前輪14の回転を停止するブレーキ27を有している。
また、自動二輪車1は、前輪14の回転角度を検出する前輪回転検出センサ31と、後輪21の回転角度を検出する後輪回転検出センサ32と、を有している。
また、自動二輪車1は、フロントフォーク13の後述する前輪側切換弁270およびリヤサスペンション22の後述する後輪側切換弁170の開閉を制御することで自動二輪車1の車高を制御する制御手段の一例としての制御装置50を備えている。制御装置50には、上述した前輪回転検出センサ31、後輪回転検出センサ32などからの出力信号が入力される。
<第1の実施形態>
次に、第1の実施形態に係るリヤサスペンション22について詳述する。
図2は、第1の実施形態に係るリヤサスペンション22の断面図である。
リヤサスペンション22は、自動二輪車1の車両本体の一例としての車体フレーム11と後輪21との間に取り付けられている。そして、リヤサスペンション22は、自動二輪車1の車重を支えて衝撃を吸収する後輪側懸架スプリング110と、後輪側懸架スプリング110の振動を減衰する後輪側ダンパ120と、を備えている。また、リヤサスペンション22は、後輪側懸架スプリング110のバネ力を調整することで車体フレーム11と後輪21との相対的な位置である後輪側相対位置を変更可能な後輪側相対位置変更装置140と、この後輪側相対位置変更装置140に液体を供給する後輪側液体供給装置160と、を備えている。また、リヤサスペンション22は、このリヤサスペンション22を車体フレーム11に取り付けるための車体側取付部材180と、リヤサスペンション22を後輪21に取り付けるための車軸側取付部材185と、車軸側取付部材185に取り付けられて後輪側懸架スプリング110における中心線方向の一方の端部(図2においては下部)を支持するばね受け190と、を備えている。
後輪側ダンパ120は、図2に示すように、薄肉円筒状の外シリンダ121と、外シリンダ121内に収容される薄肉円筒状の内シリンダ122と、円筒状の外シリンダ121の円筒の中心線方向(図2では上下方向)の一方の端部(図2では下部)を塞ぐ底蓋123と、内シリンダ122の中心線方向の他方の端部(図2では上部)を塞ぐ上蓋124と、を有するシリンダ125を備えている。以下では、外シリンダ121の円筒の中心線方向を、単に「中心線方向」と称す。
また、後輪側ダンパ120は、中心線方向に移動可能に内シリンダ122内に挿入されたピストン126と、中心線方向に延びるとともに中心線方向の他方の端部(図2では上端部)でピストン126を支持するピストンロッド127と、を備えている。ピストン126は、内シリンダ122の内周面に接触し、シリンダ125内の液体(本実施の形態においてはオイル)が封入された空間を、ピストン126よりも中心線方向の一方の端部側の第1油室Y1と、ピストン126よりも中心線方向の他方の端部側の第2油室Y2とに区分する。ピストンロッド127は、円筒状の部材であり、その内部に後述するパイプ161が挿入されている。
また、後輪側ダンパ120は、ピストンロッド127における中心線方向の他方の端部側に配置された第1減衰力発生装置128と、内シリンダ122における中心線方向の他方の端部側に配置された第2減衰力発生装置129とを備えている。第1減衰力発生装置128および第2減衰力発生装置129は、後輪側懸架スプリング110による路面からの衝撃力の吸収に伴うシリンダ125とピストンロッド127との伸縮振動を減衰する。第1減衰力発生装置128は、第1油室Y1と第2油室Y2との間の連絡路として機能するように配置されており、第2減衰力発生装置129は、第2油室Y2と後輪側相対位置変更装置140の後述するジャッキ室142との間の連絡路として機能するように配置されている。
後輪側液体供給装置160は、シリンダ125に対するピストンロッド127の伸縮動によりポンピング動作して後輪側相対位置変更装置140の後述するジャッキ室142内に液体を供給する装置である。
後輪側液体供給装置160は、後輪側ダンパ120の上蓋124に中心線方向に延びるように固定された円筒状のパイプ161を有している。パイプ161は、円筒状のピストンロッド127の内部であるポンプ室162内に同軸的に挿入されている。
また、後輪側液体供給装置160は、シリンダ125およびパイプ161に進入する方向のピストンロッド127の移動により加圧されたポンプ室162内の液体を後述するジャッキ室142側へ吐出させる吐出用チェック弁163と、シリンダ125およびパイプ161から退出する方向のピストンロッド127の移動により負圧になるポンプ室162にシリンダ125内の液体を吸い込む吸込用チェック弁164とを有する。
図3は、後輪側液体供給装置160の作用を説明するための図である。
以上のように構成された後輪側液体供給装置160は、自動二輪車1が走行してリヤサスペンション22が路面の凹凸により力を受けると、ピストンロッド127がシリンダ125およびパイプ161に進退する伸縮動によりポンピング動作する。このポンピング動作により、ポンプ室162が加圧されると、ポンプ室162内の液体が吐出用チェック弁163を開いて後輪側相対位置変更装置140のジャッキ室142側へ吐出され(図3(a)参照)、ポンプ室162が負圧になると、シリンダ125の第2油室Y2内の液体が吸込用チェック弁164を開いてポンプ室162に吸い込まれる(図3(b)参照)。
後輪側相対位置変更装置140は、後輪側ダンパ120のシリンダ125の外周を覆うように配置されて後輪側懸架スプリング110における中心線方向の他方の端部(図2では上部)を支持する支持部材141と、シリンダ125における中心線方向の他方の端部側(図2では上側)の外周を覆うように配置されて支持部材141とともにジャッキ室142を形成する油圧ジャッキ143とを有している。ジャッキ室142内にシリンダ125内の液体が充填されたり、ジャッキ室142内から液体が排出されたりすることで、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して中心線方向に移動する。そして、油圧ジャッキ143には、上部に車体側取付部材180が取り付けられており、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して中心線方向に移動することで後輪側懸架スプリング110のバネ力が変わり、その結果、後輪21に対するシート19の相対的な位置が変わる。
また、後輪側相対位置変更装置140は、ジャッキ室142に供給された液体をジャッキ室142に溜めるように閉弁するとともに、ジャッキ室142に供給された液体を、油圧ジャッキ143に形成された液体溜室143aに排出するように開弁する後輪側切換弁170を有している。後輪側切換弁170は、周知のソレノイドアクチュエータであることを例示することができる。
図4は、後輪側相対位置変更装置140による車高調整を説明するための図である。
後輪側切換弁170が閉弁しているときに後輪側液体供給装置160によりジャッキ室142内に液体が供給されるとジャッキ室142内に液体が充填され、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して中心線方向の一方の端部側(図4では下側)に移動し、後輪側懸架スプリング110のバネ長が短くなる(図4(a)参照)。他方、後輪側切換弁170が開弁するとジャッキ室142内の液体は液体溜室143aに排出され、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して中心線方向の他方の端部側(図4では上側)に移動し、懸架スプリング110のバネ長が長くなる(図4(b)参照)。
支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動することで後輪側懸架スプリング110のバネ長が短くなると、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動する前と比べて後輪側懸架スプリング110が支持部材141を押すバネ力が大きくなる。その結果、車体フレーム11から後輪21側へ力が作用したとしても両者の相対位置を変化させない初期セット荷重が切り替わる。かかる場合、車体フレーム11(シート19)側から中心線方向の一方の端部側(図4では下側)に同じ力が作用した場合には、リヤサスペンション22の沈み込み量(車体側取付部材180と車軸側取付部材185との間の距離の変化)が小さくなる。それゆえ、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動することで後輪側懸架スプリング110のバネ長が短くなると、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動する前と比べて、シート19の高さが上昇する(車高が高くなる)。つまり、後輪側切換弁170が閉弁されることで車高が高くなる。
他方、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動することで後輪側懸架スプリング110のバネ長が長くなると、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動する前と比べて後輪側懸架スプリング110が支持部材141を押すバネ力が小さくなる。かかる場合、車体フレーム11(シート19)側から中心線方向の一方の端部側(図4では下側)に同じ力が作用した場合には、リヤサスペンション22の沈み込み量(車体側取付部材180と車軸側取付部材185との間の距離の変化)が大きくなる。それゆえ、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動することで後輪側懸架スプリング110のバネ長が長くなると、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して移動する前と比べて、シート19の高さが下降する(車高が低くなる)。つまり、後輪側切換弁170が開弁されることで、後輪側切換弁170が閉弁される場合よりも車高が低くなる。
なお、後輪側切換弁170は、制御装置50によりその開閉が制御される。
また、後輪側切換弁170が開いたときに、ジャッキ室142に供給された液体を排出する先は、シリンダ125内の第1油室Y1および/または第2油室Y2であってもよい。
また、図2に示すように、シリンダ125の外シリンダ121には、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して中心線方向の一方の端部側(図2では下側)に予め定められた限界位置まで移動したときに、ジャッキ室142内の液体をシリンダ125内まで戻す戻し路121aが形成されている。
図5は、車高が維持されるメカニズムを示す図である。
戻し路121aにより、後輪側切換弁170が閉弁しているときにジャッキ室142内に液体が供給され続けても、供給された液体がシリンダ125内に戻されるので油圧ジャッキ143に対する支持部材141の位置、ひいてはシート19の高さ(車高)が維持される。
なお、以下では、後輪側切換弁170が開いて、支持部材141の油圧ジャッキ143に対する移動量が最小(零)であるときのリヤサスペンション22の状態を最小状態、後輪側切換弁170が閉じて、支持部材141の油圧ジャッキ143に対する移動量が最大となったときのリヤサスペンション22の状態を最大状態と称す。
また、リヤサスペンション22は、車体フレーム11と後輪21との相対位置を検出する後輪側相対位置検出部195(図10参照)を有している。後輪側相対位置検出部195としては、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の中心線方向への移動量、言い換えれば車体側取付部材180に対する支持部材141の中心線方向への移動量を検出する物であることを例示することができる。具体的には、支持部材141の外周面にコイルを巻くとともに、油圧ジャッキ143を磁性体とし、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の中心線方向への移動に応じて変化するコイルのインピーダンスに基づいて支持部材141の移動量を検出する物であることを例示することができる。
以上説明したように、2つのリヤサスペンション22は、車体フレーム11と後輪21との相対的な位置である後輪側相対位置を変更可能な複数の後輪側変更手段の一例として機能する。
次に、第1の実施形態に係るフロントフォーク13について詳述する。
図6は、第1の実施形態に係るフロントフォーク13の断面図である。
フロントフォーク13は、車体フレーム11と前輪14との間に取り付けられている。そして、フロントフォーク13は、自動二輪車1の車重を支えて衝撃を吸収する前輪側懸架スプリング210と、前輪側懸架スプリング210の振動を減衰する前輪側ダンパ220と、を備えている。また、フロントフォーク13は、前輪側懸架スプリング210のバネ力を調整することで車体フレーム11と前輪14との相対的な位置である前輪側相対位置を変更可能な前輪側相対位置変更装置240と、この前輪側相対位置変更装置240に液体を供給する前輪側液体供給装置260と、を備えている。また、フロントフォーク13は、このフロントフォーク13を前輪14に取り付けるための車軸側取付部285と、フロントフォーク13をヘッドパイプ12に取り付けるためのヘッドパイプ側取付部(不図示)と、を備えている。
前輪側ダンパ220は、図6に示すように、薄肉円筒状の外シリンダ221と、円筒状の外シリンダ221の中心線方向(図6では上下方向)の他方の端部(図6では上部)から一方の端部が挿入された薄肉円筒状の内シリンダ222と、外シリンダ221の中心線方向の一方の端部(図6では下部)を塞ぐ底蓋223と、内シリンダ222の中心線方向の他方の端部(図6では上部)を塞ぐ上蓋224と、を有するシリンダ225を備えている。内シリンダ222は、外シリンダ221に対して摺動可能に挿入されている。
また、前輪側ダンパ220は、中心線方向に延びるように底蓋223に取り付けられたピストンロッド227を備えている。ピストンロッド227は、中心線方向に延びる円筒状の円筒状部227aと、円筒状部227aにおける中心線方向の他方の端部(図6では上部)に設けられた円板状のフランジ部227bとを有する。
また、前輪側ダンパ220は、内シリンダ222における中心線方向の一方の端部側(図6では下部側)に固定されるとともに、ピストンロッド227の円筒状部227aの外周に対して摺動可能なピストン226を備えている。ピストン226は、ピストンロッド227の円筒状部227aの外周面に接触し、シリンダ225内の液体(本実施の形態においてはオイル)が封入された空間を、ピストン226よりも中心線方向の一方の端部側の第1油室R1と、ピストン226よりも中心線方向の他方の端部側の第2油室R2とに区分する。
また、前輪側ダンパ220は、ピストンロッド227の上方に設けられてピストンロッド227の円筒状部227aの開口を覆う覆い部材230を備えている。覆い部材230は、前輪側懸架スプリング210における中心線方向の一方の端部(図6では下端部)を支持する。そして、前輪側ダンパ220は、内シリンダ222内における覆い部材230よりも中心線方向の他方の端部側の空間およびピストンロッド227の円筒状部227aの内部の空間に形成された油溜室R3を有している。油溜室R3は、常に第1油室R1および第2油室R2と連通している。
また、前輪側ダンパ220は、ピストン226に設けられた第1減衰力発生部228と、ピストンロッド227に形成された第2減衰力発生部229とを備えている。第1減衰力発生部228および第2減衰力発生部229は、前輪側懸架スプリング210による路面からの衝撃力の吸収に伴う内シリンダ222とピストンロッド227との伸縮振動を減衰する。第1減衰力発生部228は、第1油室R1と第2油室R2との間の連絡路として機能するように配置されており、第2減衰力発生部229は、第1油室R1、第2油室R2と油溜室R3との間の連絡路として機能するように形成されている。
前輪側液体供給装置260は、内シリンダ222に対するピストンロッド227の伸縮動によりポンピング動作して前輪側相対位置変更装置240の後述するジャッキ室242内に液体を供給する装置である。
前輪側液体供給装置260は、前輪側ダンパ220の覆い部材230に中心線方向に延びるように固定された円筒状のパイプ261を有している。パイプ261は、後述する前輪側相対位置変更装置240の支持部材241の下側円筒状部241aの内部であるポンプ室262内に同軸的に挿入されている。
また、前輪側液体供給装置260は、内シリンダ222に進入する方向のピストンロッド227の移動により加圧されたポンプ室262内の液体を後述するジャッキ室242側へ吐出させる吐出用チェック弁263と、内シリンダ222から退出する方向のピストンロッド227の移動により負圧になるポンプ室262に油溜室R3内の液体を吸い込む吸込用チェック弁264とを有する。
図7は、前輪側液体供給装置260の作用を説明するための図である。
以上のように構成された前輪側液体供給装置260は、自動二輪車1が走行してフロントフォーク13が路面の凹凸により力を受けて、ピストンロッド227が内シリンダ222に進退すると、パイプ261が前輪側相対位置変更装置240の支持部材241に進退することによりポンピング動作する。このポンピング動作により、ポンプ室262が加圧されると、ポンプ室262内の液体が吐出用チェック弁263を開いて前輪側相対位置変更装置240のジャッキ室242側へ吐出され(図7(a)参照)、ポンプ室262が負圧になると、油溜室R3内の液体が吸込用チェック弁264を開いてポンプ室262に吸い込まれる(図7(b)参照)。
前輪側相対位置変更装置240は、前輪側ダンパ220の内シリンダ222内に配置されるとともに、円板状のスプリング受け244を介して前輪側懸架スプリング210における中心線方向の他方の端部(図6では上部)を支持する支持部材241を備えている。支持部材241は、中心線方向の一方の端部側(図6では下側)において円筒状に形成された下側円筒状部241aと、中心線方向の他方の端部側(図6では上側)において円筒状に形成された上側円筒状部241bとを有している。下側円筒状部241aには、パイプ261が挿入される。
また、前輪側相対位置変更装置240は、支持部材241の上側円筒状部241b内に嵌め込まれて支持部材241とともにジャッキ室242を形成する油圧ジャッキ243を有している。ジャッキ室242内にシリンダ225内の液体が充填されたり、ジャッキ室242内から液体が排出されたりすることで、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向に移動する。そして、油圧ジャッキ243には、上部にヘッドパイプ側取付部(不図示)が取り付けられており、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向に移動することで前輪側懸架スプリング210のバネ力が変わり、その結果、前輪14に対するシート19の相対的な位置が変わる。
また、前輪側相対位置変更装置240は、ジャッキ室242に供給された液体をジャッキ室242に溜めるように閉弁するとともに、ジャッキ室242に供給された液体を油溜室R3に排出するように開弁する前輪側切換弁270を有している。前輪側切換弁270は、周知のソレノイドアクチュエータであることを例示することができる。
図8は、前輪側相対位置変更装置240による車高調整を説明するための図である。
前輪側切換弁270が閉弁しているときに前輪側液体供給装置260によりジャッキ室242内に液体が供給されるとジャッキ室242内に液体が充填され、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向の一方の端部側(図8では下側)に移動し、前輪側懸架スプリング210のバネ長が短くなる(図8(a)参照)。他方、前輪側切換弁270が開弁するとジャッキ室242内の液体は油溜室R3に排出され、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向の他方の端部側(図8では上側)に移動し、前輪側懸架スプリング210のバネ長が長くなる(図8(b)参照)。
支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動することで前輪側懸架スプリング210のバネ長が短くなると、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動する前と比べて前輪側懸架スプリング210が支持部材241を押すバネ力が大きくなる。その結果、車体フレーム11から前輪14側へ力が作用したとしても両者の相対位置を変化させない初期セット荷重が切り替わる。かかる場合、車体フレーム11(シート19)側から中心線方向の一方の端部側(図8では下側)に同じ力が作用した場合には、フロントフォーク13の沈み込み量(ヘッドパイプ側取付部(不図示)と車軸側取付部285との間の距離の変化)が小さくなる。それゆえ、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動することで前輪側懸架スプリング210のバネ長が短くなると、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動する前と比べて、シート19の高さが上昇する(車高が高くなる)。つまり、前輪側切換弁270が閉弁されることで車高が高くなる。
他方、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動することで前輪側懸架スプリング210のバネ長が長くなると、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動する前と比べて前輪側懸架スプリング210が支持部材241を押すバネ力が小さくなる。かかる場合、車体フレーム11(シート19)側から中心線方向の一方の端部側(図8では下側)に同じ力が作用した場合には、フロントフォーク13の沈み込み量(ヘッドパイプ側取付部(不図示)と車軸側取付部285との間の距離の変化)が大きくなる。それゆえ、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動することで前輪側懸架スプリング210のバネ長が長くなると、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して移動する前と比べて、シート19の高さが下降する(車高が低くなる)。つまり、前輪側切換弁270が開弁されることで、前輪側切換弁270が閉弁される場合よりも車高が低くなる。
なお、前輪側切換弁270は、制御装置50によりその開閉が制御される。
また、前輪側切換弁270が開いたときに、ジャッキ室242に供給された液体を排出する先は、第1油室R1および/または第2油室R2であってもよい。
図9は、車高が維持されるメカニズムを示す図である。
油圧ジャッキ243の外周面には、図9に示すように、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向の一方の端部側(図8では下側)に予め定められた限界位置まで移動したときに、ジャッキ室242内の液体を油溜室R3内まで戻す戻し路(不図示)が形成されている。
戻し路により、前輪側切換弁270が閉弁しているときにジャッキ室242内に液体が供給され続けても、供給された液体が油溜室R3内に戻されるので油圧ジャッキ243に対する支持部材241の位置、ひいてはシート19の高さ(車高)が維持される。
なお、以下では、前輪側切換弁270が開いて、支持部材241の油圧ジャッキ243に対する移動量が最小(零)であるときのフロントフォーク13の状態を最小状態、前輪側切換弁270が閉じて、支持部材241の油圧ジャッキ243に対する移動量が最大となったときのフロントフォーク13の状態を最大状態と称す。
また、フロントフォーク13は、車体フレーム11と前輪14との相対位置を検出する前輪側相対位置検出部295(図10参照)を有している。前輪側相対位置検出部295としては、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の中心線方向への移動量、言い換えればヘッドパイプ側取付部に対する支持部材241の中心線方向への移動量を検出する物であることを例示することができる。具体的には、半径方向の位置では内シリンダ222の外周面であって、中心線方向の位置では支持部材241に対応する位置にコイルを巻くとともに、支持部材241を磁性体とし、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の中心線方向への移動に応じて変化するコイルのインピーダンスに基づいて支持部材241の移動量を検出する物であることを例示することができる。
以上説明したように、2つのフロントフォーク13は、車体フレーム11と前輪14との相対的な位置である前輪側相対位置を変更可能な複数の前輪側変更手段の一例として機能する。
次に、制御装置50について説明する。
図10は、制御装置50のブロック図である。
制御装置50は、CPUと、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROMと、CPUの作業用メモリ等として用いられるRAMと、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)と、を備えている。制御装置50には、上述した前輪回転検出センサ31、後輪回転検出センサ32、前輪側相対位置検出部295および後輪側相対位置検出部195などからの出力信号が入力される。
制御装置50は、前輪回転検出センサ31からの出力信号を基に前輪14の回転速度を演算する前輪回転速度演算部51と、後輪回転検出センサ32からの出力信号を基に後輪21の回転速度を演算する後輪回転速度演算部52と、を備えている。これら前輪回転速度演算部51、後輪回転速度演算部52は、それぞれ、センサからの出力信号であるパルス信号を基に回転角度を把握し、それを経過時間で微分することで回転速度を演算する。
制御装置50は、前輪側相対位置検出部295からの出力信号を基に前輪側相対位置変更装置240(図8参照)の支持部材241の油圧ジャッキ243に対する移動量を把握する前輪側移動量把握部53を備えている。また、制御装置50は、後輪側相対位置検出部195からの出力信号を基に後輪側相対位置変更装置140の支持部材141の油圧ジャッキ143に対する移動量を把握する後輪側移動量把握部54を備えている。前輪側移動量把握部53および後輪側移動量把握部54は、予めROMに記憶された、コイルのインピーダンスと、前輪側移動量Lfまたは後輪側移動量Lrとの相関関係に基づいて、それぞれ前輪側移動量Lf、後輪側移動量Lrを把握する。
なお、前輪側移動量把握部53は、前輪14の左側に配置されたフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240(図8参照)の支持部材241の油圧ジャッキ243に対する移動量(以下では、「左前輪側移動量Llf」と称す。)と、前輪14の右側に配置されたフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240(図8参照)の支持部材241の油圧ジャッキ243に対する移動量(以下では、「右前輪側移動量Lrf」と称す。)と、を把握する。
また、後輪側移動量把握部54は、後輪21の左側に配置されたリヤサスペンション22の後輪側相対位置変更装置140の支持部材141の油圧ジャッキ143に対する移動量(以下では、「左後輪側移動量Llr」と称す。)と、後輪21の右側に配置されたリヤサスペンション22の後輪側相対位置変更装置140の支持部材141の油圧ジャッキ143に対する移動量(以下では、「右後輪側移動量Lrr」と称す。)と、を把握する。
また、制御装置50は、前輪回転速度演算部51が演算した前輪14の回転速度および/または後輪回転速度演算部52が演算した後輪21の回転速度を基に自動二輪車1の移動速度である車速Vcを把握する車速把握部56を備えている。車速把握部56は、前輪回転速度Rfまたは後輪回転速度Rrを用いて前輪14または後輪21の移動速度を演算することにより車速Vcを把握する。前輪14の移動速度は、前輪回転速度Rfと前輪14のタイヤの外径とを用いて演算することができ、後輪21の移動速度は、後輪回転速度Rrと後輪21のタイヤの外径とを用いて演算することができる。そして、自動二輪車1が通常の状態で走行している場合には、車速Vcは、前輪14の移動速度および/または後輪21の移動速度と等しいと解することができる。また、車速把握部56は、前輪回転速度Rfと後輪回転速度Rrとの平均値を用いて前輪14と後輪21の平均の移動速度を演算することにより車速Vcを把握してもよい。
また、制御装置50は、車速把握部56が把握した車速Vcに基づいて、前輪側相対位置変更装置240の前輪側切換弁270の開閉および後輪側相対位置変更装置140の後輪側切換弁170の開閉を制御する切換弁制御部57を有している。切換弁制御部57は、自動二輪車1が本格的に(基準車速Vt以上の速さで(基準車速Vtは自動二輪車1の仕様に依る))走行している間は車高を高くして操舵性を向上させ、乗員が乗り降りすると考えられるときには乗り降りを楽にするために車高を低くするように前輪側切換弁270の開閉および後輪側切換弁170の開閉を制御する。
以下に、制御装置50の切換弁制御部57が行う後輪側切換弁170および前輪側切換弁270の開閉制御処理について詳しく説明する。
切換弁制御部57は、基本的には、自動二輪車1の車速Vcが基準車速Vt以上である場合には前輪側相対位置変更装置240の前輪側切換弁270および後輪側相対位置変更装置140の後輪側切換弁170を閉じて車高を高くし、自動二輪車1が基準車速Vt未満である場合には前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開いて車高を低くする。
ただし、切換弁制御部57は、車速Vcが基準車速Vt以上で車高を高くしている状態のときに、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の内のいずれかに、液体(本実施の形態においてはオイル)が外部へ漏れる故障(以下、「液圧漏れ故障」と称す。)が生じた場合には以下のように制御する。
ここで、例えば、2つのフロントフォーク13の内、片方だけに液圧漏れ故障が生じた場合には、故障した方のフロントフォーク13が前輪側切換弁270を閉じていたとしても液圧が低下することから最大状態から最小状態へ切り替わる。他方、故障していない方のフロントフォーク13の液圧は維持されるため最大状態のままである。そのため、中心線方向に生じる荷重を2つのフロントフォーク13で略均等に受けるため、前輪側相対位置は、2つのフロントフォーク13がともに最小状態であるときの前輪側相対位置と2つのフロントフォーク13がともに最大状態であるときの前輪側相対位置との間の中間位置となる。
かかる場合、2つのリヤサスペンション22がともに正常である場合には、2つのフロントフォーク13の片方に液圧漏れ故障が生じる前と比べると、前輪側相対位置が小さくなった分、自動二輪車1が前傾姿勢となる。その結果、操縦安定性やヘッドランプ23の光軸へ悪影響が発生するおそれがある。
一方、2つのリヤサスペンション22の内、片方だけに液圧漏れ故障が生じた場合には、故障した方のリヤサスペンション22が最大状態から最小状態へ切り替わる。他方、故障していない方のリヤサスペンション22の液圧は維持されるため最大状態のままである。そのため、中心線方向に生じる荷重を2つのリヤサスペンション22で略均等に受けるため、後輪側相対位置は、2つのリヤサスペンション22がともに最小状態であるときの後輪側相対位置と2つのリヤサスペンション22がともに最大状態であるときの後輪側相対位置との間の中間位置となる。
かかる場合、2つのフロントフォーク13がともに正常である場合には、2つのリヤサスペンション22の片方に液圧漏れ故障が生じる前と比べると、後輪側相対位置が小さくなった分、自動二輪車1が後傾姿勢となる。その結果、操縦安定性やヘッドランプ23の光軸へ悪影響が発生するおそれがある。また、ブレーキ27は前輪14の回転を停止するため、後傾姿勢になると制動能力が低下するおそれがある。
そこで、制御装置50の切換弁制御部57は、車速Vcが基準車速Vt以上で車高を高くしている状態のときに、2つのフロントフォーク13内のいずれかまたは2つのリヤサスペンション22内のいずれかに、液圧漏れ故障が生じた場合には以下のように制御する。
すなわち、制御装置50の切換弁制御部57は、2つのフロントフォーク13を用いて前輪側相対位置を大きくするとともに2つのリヤサスペンション22を用いて後輪側相対位置を大きくして車高を高くするように制御しているときに、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22内のいずれかの装置に液圧漏れ故障が生じた場合には、前輪側相対位置および後輪側相対位置の内、故障した装置を用いて変更しない方の相対位置を小さくするように制御する。言い換えれば、前輪側相対位置および後輪側相対位置の内、故障していない装置にて変更する方の相対位置を小さくするように制御する。
つまり、2つのフロントフォーク13の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、後輪側相対位置を小さくするようにリヤサスペンション22を制御する。このとき、制御装置50の切換弁制御部57は、2つのフロントフォーク13の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、前輪側相対位置が上述した中間位置となることに鑑み、2つのリヤサスペンション22の内の1つのリヤサスペンション22の後輪側切換弁170を開く。これにより、片方のリヤサスペンション22のみが最大状態から最小状態へ切り替わり、後輪側相対位置は、上述した中間位置となる。その結果、片方のフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じて前輪側相対位置が中間位置となるが、後輪側相対位置も中間位置となるため、片方のフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じたことに起因して前傾姿勢となることが抑制される。
一方、2つのリヤサスペンション22の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、前輪側相対位置を小さくするようにフロントフォーク13を制御する。このとき、制御装置50の切換弁制御部57は、2つのリヤサスペンション22の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、後輪側相対位置が上述した中間位置となることに鑑み、2つのフロントフォーク13の内の1つのフロントフォーク13の前輪側切換弁270を開く。これにより、片方のフロントフォーク13のみが最大状態から最小状態へ切り替わり、前輪側相対位置は、上述した中間位置となる。その結果、片方のリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じて後輪側相対位置が中間位置となるが、前輪側相対位置も中間位置となるため、片方のリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じたことに起因して後傾姿勢となることが抑制される。
また、制御装置50の切換弁制御部57は、上述したように、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22内のいずれかの装置に液圧漏れ故障が生じ、前輪側相対位置および後輪側相対位置の内、故障していない装置にて変更する相対位置を小さくするように制御しているときに、さらに正常な装置のいずれかの装置に液圧漏れ故障が生じた場合には以下のように制御する。
すなわち、例えば、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のフロントフォーク13であり、後に液圧漏れ故障を生じたのが片方のリヤサスペンション22である場合に、液圧漏れ故障を生じていないフロントフォーク13およびリヤサスペンション22が最大状態に維持されるとすると、片方のフロントフォーク13が故障したことに起因して前輪側相対位置が中間位置となり、片方のリヤサスペンション22が故障したことに起因して後輪側相対位置が中間位置となる。そのため、液圧漏れ故障を生じていない正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態に維持したとしても前傾姿勢または後傾姿勢にはなり難いので、制御装置50は、正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態とする。
また、同様に、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のリヤサスペンション22であり、後に液圧漏れ故障を生じたのが片方のフロントフォーク13である場合に、液圧漏れ故障を生じていないフロントフォーク13およびリヤサスペンション22が最大状態に維持されると、前輪側相対位置および後輪側相対位置が中間位置となる。そのため、液圧漏れ故障を生じていない正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態に維持したとしても前傾姿勢または後傾姿勢にはなり難いので、制御装置50は、正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態とする。
一方、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のフロントフォーク13であり、後に液圧漏れ故障を生じたのがもう一方のフロントフォーク13である場合には、2つのフロントフォーク13がともに最小状態となるため、2つのリヤサスペンション22にて後輪側相対位置が中間位置にされたとしても自動二輪車1が前傾姿勢となってしまう。そのため、2つのフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じた場合には、制御装置50の切換弁制御部57は、2つのリヤサスペンション22を最小状態とするべく後輪側切換弁170を開く。
同様に、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のリヤサスペンション22であり、後に液圧漏れ故障を生じたのがもう一方のリヤサスペンション22である場合には、2つのリヤサスペンション22がともに最小状態となるため、2つのフロントフォーク13にて前輪側相対位置が中間位置にされたとしても自動二輪車1が後傾姿勢となってしまう。そのため、2つのリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じた場合には、制御装置50は、2つのフロントフォーク13を最小状態とするべく前輪側切換弁270を開く。
なお、フロントフォーク13またはリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じたか否かは、前輪側移動量把握部53および後輪側移動量把握部54が把握した左前輪側移動量Llf、右前輪側移動量Lrf、左後輪側移動量Llrおよび右後輪側移動量Lrrが予め定められた所定値L0より小さいか否かを判別することにより判断する。例えば、左前輪側移動量Llfが所定値L0より小さい場合には、左側のフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240(図8参照)の支持部材241が油圧ジャッキ243に対して十分に移動できていないことを示しているため、左側のフロントフォーク13が故障していると判断する。所定値L0は例えば1mmであることを例示することができる。
次に、フローチャートを用いて、第1の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う開閉制御処理の手順について説明する。
図11は、制御装置50の切換弁制御部57が行う開閉制御処理の手順を示すフローチャートである。切換弁制御部57は、この開閉制御処理を予め定めた期間毎に繰り返し実行する。
先ず、切換弁制御部57は、RAMに記憶された、自動二輪車1の車速Vcを読み込むことにより取得する(S1101)。その後、S1101にて取得した車速Vcが基準車速Vt以上であるか否かを判別する(S1102)。そして、車速Vcが基準車速Vt以上である場合(S1102でYES)、後述する故障フラグまたは故障対応フラグがONとなっていない装置の前輪側切換弁270または後輪側切換弁170を閉じ(S1103)、RAMにおける、車高を高めている旨を示す車高調整フラグをONに設定する(S1104)。他方、車速Vcが基準車速Vt以上ではない場合(S1102でNO)、全ての装置の前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開き(S1105)、車高調整フラグをOFFに設定する(S1106)。
なお、前輪回転速度演算部51、後輪回転速度演算部52および車速把握部56は、それぞれ切換弁制御部57がこの開閉制御処理を実行する周期以下の周期で前輪回転速度Rf、後輪回転速度Rrおよび車速Vcを演算し、RAMに記憶する。また、上記基準車速Vtは、ROMに予め記憶されている。
次に、フローチャートを用いて、第1の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う故障時処理の手順について説明する。
図12は、制御装置50の切換弁制御部57が行う故障時処理の手順を示すフローチャートである。切換弁制御部57は、この故障時処理を予め定めた期間毎に繰り返し実行する。
先ず、切換弁制御部57は、RAMにおいてセットされるフラグの設定において車高調整フラグがONになっているか否かを調べる(S1201)。そして、車高調整フラグがONになっている場合(S1201でYES)、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の内のいずれかに故障が生じているか否かを判断する(S1202)。これは、RAMに記憶された、左前輪側移動量Llf、右前輪側移動量Lrf、左後輪側移動量Llrおよび右後輪側移動量Lrrを読み込み、これらの値が予め定められた所定値L0より小さいか否かを判別することにより判断する処理である。ただ、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の4つの装置の内、すでに故障フラグまたは故障対応フラグがONとなっている装置の故障については判断しない。言い換えれば、前輪側切換弁270または後輪側切換弁170が開かれている装置の故障については判断しない。
そして、いずれかに故障が生じている場合(S1202でYES)、その故障が、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の4つの装置の内の1つ目の装置の故障であるか否かを判別する(S1203)。これは、後述する故障フラグがONとなっている数を把握し、その数で判別する。例えば、故障フラグがONとなっている装置が零である場合には1つ目の故障と判断し、故障フラグがONとなっている装置が1である場合には2つ目の故障と判断する。
そして、1つ目の故障である場合(S1203でYES)、故障したと判断された装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270(1つ目の故障がフロントフォーク13である場合)または後輪側切換弁170(1つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)を開くとともに、RAMに、故障したと判断された装置についての故障フラグをONに設定する(S1204)。その後、1つ目の故障が前輪側の故障であるのか否かを判別する(S1205)。そして、1つ目の故障が前輪側である場合(S1205でYES)、正常に作動している2つのリヤサスペンション22の内の1つのリヤサスペンション22の後輪側切換弁170を開くとともに、RAMに、この1つのリヤサスペンション22に対して故障対応の処理を行っている旨を示す故障対応フラグをONに設定し(S1206)、インストルメント・パネルに警告表示を行う(S1207)。他方、1つ目の故障が後輪側である場合(S1205でNO)、正常に作動している2つのフロントフォーク13の内の1つのフロントフォーク13の前輪側切換弁270を開くとともに、RAMに、この1つのフロントフォーク13についての故障対応フラグをONに設定し(S1208)、警告表示を行う(S1207)。
他方、1つ目の故障ではない場合(S1203でNO)、2つ目の装置の故障であるか否かを判別する(S1209)。そして、2つ目の装置の故障である場合(S1209でYES)、故障したと判断された装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270(2つ目の故障がフロントフォーク13である場合)または後輪側切換弁170(2つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)を開くとともに、RAMに、今回故障したと判断された装置についての故障フラグをONに設定する(S1210)。
その後、2つ目の装置の故障が前輪側の故障であるのか否かを判別する(S1211)。そして、2つ目の装置の故障が前輪側である場合(S1211でYES)、1つ目の故障が前輪側の故障であるのか否かを判別する(S1212)。そして、1つ目の故障が前輪側である場合(S1212でYES)、2つのフロントフォーク13がともに故障しているので、正常に作動している2つのリヤサスペンション22の後輪側切換弁170を開く(S1213)。つまり、全ての前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開いて、フロントフォーク13およびリヤサスペンション22で行う車高調整を停止する。他方、1つ目の故障が後輪側である場合(S1212でNO)、故障していない方のフロントフォーク13の前輪側切換弁270を閉じるとともに故障対応フラグをOFFにする(S1214)。これは、片方のリヤサスペンション22が1つ目に故障したことに起因して前輪側切換弁270が開かれたフロントフォーク13とは異なるフロントフォーク13が故障したと考えられるため、故障していない方のフロントフォーク13の前輪側切換弁270を閉じる処理である。
2つ目の装置の故障が後輪側である場合(S1211でNO)、1つ目の故障が後輪側の故障であるのか否かを判別する(S1215)。そして、後輪側である場合(S1215でYES)、2つのリヤサスペンション22がともに故障しているので、正常に作動している2つのフロントフォーク13の前輪側切換弁270を開く(S1216)。つまり、全ての前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開いて、フロントフォーク13およびリヤサスペンション22で行う車高調整を停止する。他方、1つ目の故障が前輪側である場合(S1215でNO)、故障していない方のリヤサスペンション22の後輪側切換弁170を閉じるとともに故障対応フラグをOFFにする(S1217)。これは、片方のフロントフォーク13が1つ目に故障したことに起因して後輪側切換弁170が開かれたリヤサスペンション22とは異なるリヤサスペンション22が故障したと考えられるため、故障していない方のリヤサスペンション22の後輪側切換弁170を閉じる処理である。
一方、2つ目の装置の故障ではない場合(S1209でNO)、3つ目の装置の故障と考えられるので、故障したと判断された装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270(3つ目の故障がフロントフォーク13である場合)または後輪側切換弁170(3つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)を開くとともに、RAMに、故障したと判断された装置についての故障フラグをONに設定する(S1218)。そして、正常に作動していると考えられる残り1つの装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270(3つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)または後輪側切換弁170(3つ目の故障がフロントフォーク13である場合)を開き、フロントフォーク13およびリヤサスペンション22で行う車高調整を停止する(S1219)。
なお、前輪側移動量把握部53および後輪側移動量把握部54は、それぞれ切換弁制御部57がこの故障時処理を実行する周期以下の周期で左前輪側移動量Llf、右前輪側移動量Lrf、左後輪側移動量Llrおよび右後輪側移動量Lrrを演算し、RAMに記憶する。また、上記所定値L0は、ROMに予め記憶されている。
制御装置50の切換弁制御部57がこのように制御することで、より適切なタイミングで車高を上昇させることができるとともに車高を下降させることができる。また、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の内のいずれかに液圧漏れ故障が生じたとしても前傾姿勢または後傾姿勢となることを抑制することができる。その結果、自動二輪車1の操縦安定性が悪くなることや、ヘッドランプ23の光軸へ悪影響が発生することや、制動能力が低下することを抑制することができる。
なお、図12のフローチャートを用いて説明した故障時処理では、液圧漏れ故障を前提として説明しているが、特に液圧漏れ故障に限定されるのではなく、前輪側切換弁270または後輪側切換弁170が閉じられていても2つのフロントフォーク13または2つのリヤサスペンション22が最大状態とならない全ての故障に対して有効である。
<第2の実施形態>
以下では、第1の実施形態と異なる点について説明する。
図13は、第2の実施形態に係るリヤサスペンション22の断面図である。
第2の実施形態に係るリヤサスペンション22においては、図13に示すように、シリンダ125の外シリンダ121に、戻し路121aに加えて、戻し路121aよりも中心線方向の他方の端部側(図13では上側)に形成された第2戻し路121bが形成されている。そして、後輪側相対位置変更装置140は、第2戻し路121bを開閉する開閉部133と、開閉部133を移動させる後輪側駆動部134と、を備えている。開閉部133は、第2戻し路121bの開口部を覆う板状の部材であることを例示することができる。後輪側駆動部134は、開閉部133を支持するとともに動作することで開閉部133を中心線方向の一方の側(図13では下側)に移動させて第2戻し路121bの開口部を覆う位置に位置させ、非動作のときには開閉部133を第2戻し路121bの開口部を覆わない位置に位置させる。この後輪側駆動部134としては、通電することにより中心線方向に直進動作を行うソレノイドであることを例示することができる。後輪側駆動部134がソレノイドである場合、後輪側駆動部134が通電されて動作状態となると、開閉部133が中心線方向の一方の端部側(図13では下側)に移動して第2戻し路121bを閉じ、後輪側駆動部134が通電されなくなり非動作状態となると、開閉部133が中心線方向の他方の端部側(図13では上側)に移動して第2戻し路121bを開く。
なお、後輪側駆動部134は、制御装置50によりその動作が制御される。
図14は、車高が維持されるメカニズムを示す図である。
第2の実施形態に係る後輪側相対位置変更装置140においては、支持部材141が油圧ジャッキ143に対して中心線方向の一方の端部側(図14では下側)の2段階の位置に維持される。図14(a)は、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の第1段階の位置に維持されている状態を示す図であり、図14(b)は、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の第2段階の位置に維持されている状態を示す図である。
後輪側駆動部134が非動作状態であり開閉部133が第2戻し路121bを開いている状態のときであって後輪側切換弁170が閉弁しているときに、ジャッキ室142内に液体が供給され続けると、供給された液体は、第2戻し路121bを介してシリンダ125内に戻されるようになる。その結果、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の位置が、図14(a)に示した第1の位置に維持される。
他方、後輪側駆動部134が動作状態であり開閉部133が第2戻し路121bを閉じている状態のときであって後輪側切換弁170が閉弁しているときに、ジャッキ室142内に液体が供給され続けると、供給された液体は、戻し路121aを介してシリンダ125内に戻されるようになる。その結果、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の位置が、図14(b)に示した第2の位置に維持される。
このように、第2の実施形態に係る後輪側相対位置変更装置140においては、後輪側駆動部134が動作状態であるか否か(後輪側駆動部134がソレノイドである場合には通電されるか否か)に応じて、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の位置が第1の位置か第2の位置に維持される。その結果、車体フレーム11から後輪21側へ力が作用したとしても両者の相対位置を変化させない初期セット荷重が2段階に切り替わり、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の位置が第1の位置に維持される場合の初期セット荷重は、第2の位置に維持される場合の初期セット荷重よりも小さくなる。
なお、シリンダ125の外シリンダ121に形成された第2戻し路121bの中心線方向の位置は、片方のフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じたことに起因して前輪側が上述した中間位置となったときに、正常に作動する2つのリヤサスペンション22をともに第1の位置にすることで、車両本体の姿勢(シート19の姿勢)が、液圧漏れ故障が生じる前と同じとなるように設定されている。以下では、後輪側切換弁170を閉じるとともに後輪側駆動部134を非動作状態として、油圧ジャッキ143に対する支持部材141の位置が第1の位置となったときの状態を中間状態と称す。また、中間状態となったときに、後輪側相対位置は上述した中間位置となる。
図15は、第2の実施形態に係るフロントフォーク13の断面図である。
第2の実施形態に係るフロントフォーク13においては、図15に示すように、支持部材241の上側円筒状部241bに、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向の一方の端部側(図15では下側)に予め定められた位置まで移動したときに、ジャッキ室242内の液体を油溜室R3内まで戻す第2戻し路241cが形成されている。そして、前輪側相対位置変更装置240は、第2戻し路241cを開閉する開閉部233と、開閉部233を移動させる前輪側駆動部234と、を備えている。開閉部233は、第2戻し路241cの開口部を覆う板状の部材であることを例示することができる。前輪側駆動部234は、開閉部233を支持するとともに動作することで開閉部233を中心線方向の一方の側(図15では下側)に移動させて第2戻し路241cの開口部を覆う位置に位置させ、非動作のときには開閉部233を第2戻し路241cの開口部を覆わない位置に位置させる。この前輪側駆動部234としては、通電することにより中心線方向に直進動作を行うソレノイドであることを例示することができる。前輪側駆動部234がソレノイドである場合、前輪側駆動部234が通電されて動作状態となると、開閉部233が中心線方向の一方の端部側(図15では下側)に移動して第2戻し路241cを閉じ、前輪側駆動部234が通電されなくなり非動作状態となると、開閉部233が中心線方向の他方の端部側(図15では上側)に移動して第2戻し路241cを開く。
なお、前輪側駆動部234は、制御装置50によりその動作が制御される。
図16は、車高が維持されるメカニズムを示す図である。
第2の実施形態に係る前輪側相対位置変更装置240においては、支持部材241が油圧ジャッキ243に対して中心線方向の一方の端部側(図16では下側)の2段階の位置に維持される。図16(a)は、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の第1段階の位置に維持されている状態を示す図であり、図16(b)は、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の第2段階の位置に維持されている状態を示す図である。
前輪側駆動部234が非動作状態であり開閉部233が第2戻し路241cを開いている状態のときであって前輪側切換弁270が閉弁しているときに、ジャッキ室242内に液体が供給され続けると、供給された液体は、第2戻し路241cを介して油溜室R3内に戻されるようになる。その結果、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の位置が、図16(a)に示した第1の位置に維持される。
他方、前輪側駆動部234が動作状態であり開閉部233が第2戻し路241cを閉じている状態のときであって前輪側切換弁270が閉弁しているときに、ジャッキ室242内に液体が供給され続けると、供給された液体は、戻し路(不図示)を介して油溜室R3内に戻されるようになる。その結果、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の位置が、図16(b)に示した第2の位置に維持される。
このように、第2の実施形態に係る前輪側相対位置変更装置240においては、前輪側駆動部234が動作状態であるか否か(前輪側駆動部234がソレノイドである場合には通電されるか否か)に応じて、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の位置が第1の位置か第2の位置に維持される。その結果、車体フレーム11から前輪14側へ力が作用したとしても両者の相対位置を変化させない初期セット荷重が2段階に切り替わり、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の位置が第1の位置に維持される場合の初期セット荷重は、第2の位置に維持される場合の初期セット荷重よりも小さくなる。
なお、支持部材241に形成された第2戻し路241cの中心線方向の位置は、片方のリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じたことに起因して後輪側が上述した中間位置となったときに、正常に作動する2つのフロントフォーク13をともに第1の位置にすることで、車両本体の姿勢(シート19の姿勢)が、液圧漏れ故障が生じる前と同じとなるように設定されている。以下では、前輪側切換弁270を閉じるとともに前輪側駆動部234を非動作状態として、油圧ジャッキ243に対する支持部材241の位置が第1の位置となったときの状態を中間状態と称す。また、中間状態となったときに、前輪側相対位置は上述した中間位置となる。
以下に、第2の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う後輪側切換弁170および前輪側切換弁270の開閉制御処理について詳しく説明する。
切換弁制御部57は、基本的には、自動二輪車1の車速Vcが基準車速Vt以上である場合には前輪側相対位置変更装置240の前輪側切換弁270を閉じるとともに前輪側駆動部234を動作状態にし、かつ後輪側相対位置変更装置140の後輪側切換弁170を閉じるとともに後輪側駆動部134を動作状態にすることで車高を最も高くする。他方、切換弁制御部57は、自動二輪車1が基準車速Vt未満である場合には前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開いて車高を最も低くする。このとき、切換弁制御部57は、前輪側駆動部234および後輪側駆動部134を非動作状態とする。
ただし、制御装置50の切換弁制御部57は、車速Vcが基準車速Vt以上で車高を最も高くしている状態のときに、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の内のいずれかに液圧漏れ故障が生じた場合には以下のように制御する。
すなわち、制御装置50は、2つのフロントフォーク13を用いて前輪側相対位置を最も大きくするとともに2つのリヤサスペンション22を用いて後輪側相対位置を最も大きくして車高を高くするように制御しているときに、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22内のいずれかの装置に液圧漏れ故障が生じた場合には、前輪側相対位置および後輪側相対位置の内、故障した装置を用いて変更しない方の相対位置を小さくするように制御する。言い換えれば、故障していない装置にて変更する相対位置を小さくするように制御する。
つまり、2つのフロントフォーク13の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、後輪側相対位置を小さくするようにリヤサスペンション22を制御する。このとき、制御装置50は、2つのフロントフォーク13の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、前輪側相対位置が上述した中間位置となることに鑑み、2つのリヤサスペンション22の後輪側相対位置変更装置140の後輪側駆動部134を非動作状態とし、第2戻し路121bを開く。これにより、2つのリヤサスペンション22が最大状態から中間状態へ切り替わり、後輪側相対位置は、上述した中間位置となる。その結果、片方のフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じて前輪側相対位置が中間位置となるが、後輪側相対位置も中間位置となるため、片方のフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じたことに起因して前傾姿勢となることが抑制される。
一方、2つのリヤサスペンション22の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、前輪側相対位置を小さくするようにフロントフォーク13を制御する。このとき、制御装置50は、2つのリヤサスペンション22の片方に液圧漏れ故障が生じた場合には、後輪側相対位置が上述した中間位置となることに鑑み、2つのフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240の前輪側駆動部234を非動作状態とし、第2戻し路241cを開く。これにより、2つのフロントフォーク13が最大状態から中間状態へ切り替わり、前輪側相対位置は、上述した中間位置となる。その結果、片方のリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じて後輪側相対位置が中間位置となるが、前輪側相対位置も中間位置となるため、片方のリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じたことに起因して後傾姿勢となることが抑制される。
また、制御装置50は、上述したように、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22内のいずれかの装置に液圧漏れ故障が生じ、前輪側相対位置および後輪側相対位置の内、故障していない装置にて変更する相対位置を小さくするように制御しているときに、さらに正常な装置のいずれかの装置に液圧漏れ故障が生じた場合には以下のように制御する。
すなわち、例えば、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のフロントフォーク13であり、後に液圧漏れ故障を生じたのが片方のリヤサスペンション22である場合に、液圧漏れ故障を生じていないフロントフォーク13およびリヤサスペンション22が最大状態に維持されるとすると、片方のフロントフォーク13が故障したことに起因して前輪側相対位置が中間位置となり、片方のリヤサスペンション22が故障したことに起因して後輪側相対位置が中間位置となる。そのため、液圧漏れ故障を生じていない正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態に維持したとしても前傾姿勢または後傾姿勢にはなり難いので、制御装置50は、正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態にする。つまり、制御装置50は、正常なフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240の前輪側切換弁270を閉じるとともに前輪側駆動部234を動作状態にし、かつ正常なリヤサスペンション22の後輪側相対位置変更装置140の後輪側切換弁170を閉じるとともに後輪側駆動部134を動作状態にする。
また、同様に、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のリヤサスペンション22であり、後に液圧漏れ故障を生じたのが片方のフロントフォーク13である場合に、液圧漏れ故障を生じていないフロントフォーク13およびリヤサスペンション22が最大状態に維持されると、前輪側相対位置および後輪側相対位置が中間位置となる。そのため、液圧漏れ故障を生じていない正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態に維持したとしても前傾姿勢または後傾姿勢にはなり難いので、制御装置50は、正常なフロントフォーク13およびリヤサスペンション22を最大状態にする。つまり、制御装置50は、正常なフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240の前輪側切換弁270を閉じるとともに前輪側駆動部234を動作状態にし、かつ正常なリヤサスペンション22の後輪側相対位置変更装置140の後輪側切換弁170を閉じるとともに後輪側駆動部134を動作状態にする。
一方、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のフロントフォーク13であり、後に液圧漏れ故障を生じたのがもう一方のフロントフォーク13である場合には、2つのフロントフォーク13がともに最小状態となるため、2つのリヤサスペンション22にて後輪側相対位置が中間位置にされたとしても自動二輪車1が前傾姿勢となってしまう。そのため、2つのフロントフォーク13に液圧漏れ故障が生じた場合には、制御装置50は、2つのリヤサスペンション22を最小状態とするべく後輪側切換弁170を開く。
同様に、先に液圧漏れ故障を生じたのが片方のリヤサスペンション22であり、後に液圧漏れ故障を生じたのがもう一方のリヤサスペンション22である場合には、2つのリヤサスペンション22がともに最小状態となるため、2つのフロントフォーク13にて前輪側相対位置が中間位置にされたとしても自動二輪車1が後傾姿勢となってしまう。そのため、2つのリヤサスペンション22に液圧漏れ故障が生じた場合には、制御装置50は、2つのフロントフォーク13を最小状態とするべく前輪側切換弁270を開く。
次に、フローチャートを用いて、第2の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う開閉制御処理の手順について説明する。
図17は、第2の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う開閉制御処理の手順を示すフローチャートである。切換弁制御部57は、この開閉制御処理を予め定めた期間毎に繰り返し実行する。
先ず、切換弁制御部57は、RAMに記憶された、自動二輪車1の車速Vcを読み込むことにより取得する(S1701)。その後、S1701にて取得した車速Vcが基準車速Vt以上であるか否かを判別する(S1702)。そして、車速Vcが基準車速Vt以上である場合(S1702でYES)、後述する故障フラグがONとなっていない装置の前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を閉じるとともに(S1703)、後述する故障対応フラグがONとなっていない装置の前輪側駆動部234および後輪側駆動部134を動作状態にし(S1707)、車高調整フラグをONに設定する(S1704)。他方、車速Vcが基準車速Vt以上ではない場合(S1702でNO)、全ての前輪側切換弁270を開けるとともに全ての前輪側駆動部234を非動作状態にし、かつ全ての後輪側相対位置変更装置140の後輪側切換弁170を開けるとともに全ての後輪側駆動部134を非動作状態にし(S1705)、車高調整フラグをOFFに設定する(S1706)。
次に、フローチャートを用いて、第2の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う故障時処理の手順について説明する。
図18は、第2の実施形態に係る制御装置50の切換弁制御部57が行う故障時処理の手順を示すフローチャートである。切換弁制御部57は、この故障時処理を予め定めた期間毎に繰り返し実行する。
先ず、切換弁制御部57は、RAMにおいてセットされるフラグの設定において車高調整フラグがONになっているか否かを調べる(S1801)。そして、車高調整フラグがONになっている場合(S1801でYES)、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の内のいずれかに故障が生じているか否かを判断する(S1802)。そして、いずれかに故障が生じている場合(S1802でYES)、その故障が、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の4つの装置の内の1つ目の装置の故障であるか否かを判別する(S1803)。ただ、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の4つの装置の内、すでに故障フラグまたは故障対応フラグがONとなっている装置の故障については判断しない。言い換えれば、前輪側切換弁270または後輪側切換弁170が開かれている装置の故障については判断しない。
そして、1つ目の故障である場合(S1803でYES)、故障したと判断された装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270を開くとともに前輪側駆動部234を非動作状態(1つ目の故障がフロントフォーク13である場合)または後輪側切換弁170を開くとともに後輪側駆動部134を非動作状態(1つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)とし、故障したと判断された装置についての故障フラグをONに設定する(S1804)。その後、1つ目の故障が前輪側の故障であるのか否かを判別する(S1805)。そして、1つ目の故障が前輪側である場合(S1805でYES)、正常に作動している2つのリヤサスペンション22の後輪側相対位置変更装置140の後輪側駆動部134を非動作状態とし、第2戻し路121bを開くとともに、RAMに、この1つのリヤサスペンション22についての故障対応フラグをONに設定し(S1806)、インストルメント・パネルに警告表示を行う(S1807)。他方、1つ目の故障が後輪側である場合(S1805でNO)、正常に作動している2つのフロントフォーク13の前輪側相対位置変更装置240の前輪側駆動部234を非動作状態とし、第2戻し路241cを開くとともに、RAMに、この1つのフロントフォーク13についての故障対応フラグをONに設定し(S1808)、警告表示を行う(S1807)。
他方、1つ目の故障ではない場合(S1803でNO)、2つ目の装置の故障であるか否かを判別する(S1809)。そして、2つ目の装置の故障である場合(S1809でYES)、故障したと判断された装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270を開くとともに前輪側駆動部234を非動作状態(2つ目の故障がフロントフォーク13である場合)または後輪側切換弁170を開くとともに後輪側駆動部134を非動作状態(2つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)とし、今回故障したと判断された装置についての故障フラグをONに設定する(S1810)。
その後、2つ目の装置の故障が前輪側の故障であるのか否かを判別する(S1811)。そして、2つ目の装置の故障が前輪側である場合(S1811でYES)、1つ目の故障が前輪側の故障であるのか否かを判別する(S1812)。そして、1つ目の故障が前輪側である場合(S1812でYES)、2つのフロントフォーク13がともに故障しているので、正常に作動している2つのリヤサスペンション22の後輪側切換弁170を開くとともに後輪側駆動部134を非動作状態とする(S1813)。つまり、全ての前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開くとともに前輪側駆動部234および後輪側駆動部134を非動作状態として、フロントフォーク13およびリヤサスペンション22で行う車高調整を停止する。他方、1つ目の故障が後輪側である場合(S1812でNO)、故障していない方のフロントフォーク13の前輪側駆動部234を動作状態とするとともに、このフロントフォーク13についての故障対応フラグをONに設定する(S1814)。
2つ目の装置の故障が後輪側である場合(S1811でNO)、1つ目の故障が後輪側の故障であるのか否かを判別する(S1815)。そして、後輪側である場合(S1815でYES)、2つのリヤサスペンション22がともに故障しているので、正常に作動している2つのフロントフォーク13の前輪側切換弁270を開くとともに前輪側駆動部234を非動作状態とする(S1816)。つまり、全ての前輪側切換弁270および後輪側切換弁170を開くとともに前輪側駆動部234および後輪側駆動部134を非動作状態とし、フロントフォーク13およびリヤサスペンション22で行う車高調整を停止する。他方、1つ目の故障が前輪側である場合(S1815でNO)、故障していない方のリヤサスペンション22の後輪側切換弁170の前輪側駆動部234を動作状態とするとともに、このリヤサスペンション22についての故障対応フラグをONに設定する(S1817)。
一方、2つ目の装置の故障ではない場合(S1809でNO)、3つ目の装置の故障と考えられるので、故障したと判断された装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270を開くとともに前輪側駆動部234を非動作状態(3つ目の故障がフロントフォーク13である場合)または後輪側切換弁170を開くとともに後輪側駆動部134を非動作状態(3つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)とし、RAMに、故障したと判断された装置についての故障フラグをONに設定する(S1818)。そして、正常に作動していると考えられる残り1つの装置を最小状態とするべく、前輪側切換弁270を開くとともに前輪側駆動部234を非動作状態(3つ目の故障がリヤサスペンション22である場合)または後輪側切換弁170を開くとともに後輪側駆動部134を非動作状態(3つ目の故障がフロントフォーク13である場合)とし、フロントフォーク13およびリヤサスペンション22で行う車高調整を停止する(S1819)。
制御装置50の切換弁制御部57がこのように制御することで、より適切なタイミングで車高を上昇させることができるとともに車高を下降させることができる。また、2つのフロントフォーク13および2つのリヤサスペンション22の内のいずれかに液圧漏れ故障が生じたとしても前傾姿勢または後傾姿勢となることを抑制することができる。その結果、自動二輪車1の操縦安定性が悪くなることや、ヘッドランプ23の光軸へ悪影響が発生することや、制動能力が低下することを抑制することができる。
1…自動二輪車、11…車体フレーム、13…フロントフォーク、14…前輪、21…後輪、22…リヤサスペンション、50…制御装置、57…切換弁制御部、110…後輪側懸架スプリング、120…後輪側ダンパ、134…後輪側駆動部、140…後輪側相対位置変更装置、160…後輪側液体供給装置、170…後輪側切換弁、210…前輪側懸架スプリング、220…前輪側ダンパ、234…後輪側駆動部、240…前輪側相対位置変更装置、260…前輪側液体供給装置、270…前輪側切換弁

Claims (3)

  1. 車両の車両本体と前輪との相対的な位置である前輪側相対位置を変更可能な複数の前輪側変更手段と、
    車両の車両本体と後輪との相対的な位置である後輪側相対位置を変更可能な複数の後輪側変更手段と、
    前記複数の前輪側変更手段および前記複数の後輪側変更手段を制御して前記前輪側相対位置および前記後輪側相対位置を変更することで前記車両本体の高さである車高を調整する制御手段と、
    を備え、
    前記前輪側変更手段は、衝撃を吸収する前輪側懸架スプリングと、前輪側ジャッキ室を形成する前輪側油圧ジャッキと、当該前輪側懸架スプリングの端部を支持し、当該前輪側油圧ジャッキとともに当該前輪側ジャッキ室を形成する前輪側支持部材と、当該前輪側ジャッキ室に充填される液体量を制御する前輪側電磁弁とを有し、当該前輪側ジャッキ室内に充填された液体量に応じて当該前輪側懸架スプリングの長さを変更して当該前輪側懸架スプリングの荷重を変更することで前記前輪側相対位置を変更し、
    前記後輪側変更手段は、衝撃を吸収する後輪側懸架スプリングと、後輪側ジャッキ室を形成する後輪側油圧ジャッキと、当該後輪側懸架スプリングの端部を支持し、当該後輪側油圧ジャッキとともに当該後輪側ジャッキ室を形成する後輪側支持部材と、当該後輪側ジャッキ室に充填される液体量を制御する後輪側電磁弁とを有し、当該後輪側ジャッキ室内に充填された液体量に応じて当該後輪側懸架スプリングの長さを変更して当該後輪側懸架スプリングの荷重を変更することで前記後輪側相対位置を変更し、
    前記制御手段は、前記複数の前輪側変更手段を用いて前記前輪側相対位置を大きくするとともに前記複数の後輪側変更手段を用いて前記後輪側相対位置を大きくして前記車高を高くするように制御しているときに当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段内のいずれかの変更手段が故障した場合には、当該前輪側変更手段および当該後輪側変更手段の内、故障していない変更手段にて変更する相対位置を小さくするように制御する
    ことを特徴とする車高調整装置。
  2. 前記前輪側変更手段および前記後輪側変更手段は、それぞれ前記前輪側相対位置または前記後輪側相対位置を最大とする最大状態と最小とする最小状態とを切り替え可能であり、
    前記制御手段は、前記複数の前輪側変更手段および前記複数の後輪側変更手段を最大状態として前記車高を高くするように制御しているときに当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段内のいずれかの変更手段が故障した場合には、当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段の内、故障していない当該複数の前輪側変更手段または当該複数の後輪側変更手段のいくつかの変更手段を前記最小状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車高調整装置。
  3. 前記前輪側変更手段および前記後輪側変更手段は、それぞれ前記前輪側相対位置または前記後輪側相対位置を最大とする最大状態と、最小とする最小状態と、当該最大状態と当該最小状態との間の中間状態とに切り替え可能であり、
    前記制御手段は、前記複数の前輪側変更手段および前記複数の後輪側変更手段を最大状態として前記車高を高くするように制御しているときに当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段内のいずれかの変更手段が故障した場合には、当該複数の前輪側変更手段および当該複数の後輪側変更手段の内、故障していない当該複数の前輪側変更手段または当該複数の後輪側変更手段の全ての変更手段を前記中間状態に切り替える
    ことを特徴とする請求項1に記載の車高調整装置。
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