JP6081028B1 - 超音波測定装置 - Google Patents

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Abstract

超音波測定装置(1)は、素子配列方向(Y軸方向)に沿って配列された複数の超音波放射素子を含むアレイ探触子(10)と、これら複数の超音波放射素子の最大放射方向と素子配列方向との双方に直交する方向(X軸方向)にアレイ探触子(10)を移動させるアクチュエータ(30)と、試験体(2)の周方向から視たときの超音波ビーム(Tw)の第1の入射角度を制御する超音波制御部(21A)と、アクチュエータ(30)の動作を制御して試験体(2)の長手方向(Y軸方向)から視たときの超音波ビーム(Tw)の第2の入射角度(αxz)を制御する移動制御部(22)とを備える。アレイ探触子(10)における複数の超音波放射素子の最大放射方向は、素子配列方向(Y軸方向)に対して傾斜している。

Description

本発明は、超音波を用いて試験体の表面及び内部の物理的な性質または状態(以下「性状」ともいう。)を非破壊で測定するための超音波測定技術に関するものである。
超音波測定技術では、超音波を試験体の内部に入射させて当該試験体の内部の欠陥部位で反射された超音波(以下「反射エコー」ともいう。)を検出することにより、当該欠陥部位の性状を判定することができる。また、近年、フェーズドアレイ法と呼ばれる超音波測定技術が注目されている。フェーズドアレイ法は、1次元配列または2次元配列がなされた多数の振動素子を含むアレイ探触子を利用する技術であり、それら多数の振動素子から超音波が放射されるタイミングを電子的に制御することにより、当該超音波の合成波すなわち超音波ビームの波面を制御する方法である。フェーズドアレイ法を使用すれば、たとえば、超音波ビームの伝搬方向及び広がりを電子的に制御することができ、また、試験体内部における超音波ビームの集束位置を電子的に制御することもできる。
フェーズドアレイ法に関する従来技術は、たとえば、特許文献1(特開2006−177845号公報)に開示されている。特許文献1には、アレイ探触子を使用して被検査管の斜めきずを検出する超音波探傷方法が開示されている。ここで、斜めきずとは、被検査管において当該被検査管の管軸方向から傾斜する方向に延びるきずをいう。この超音波探傷方法では、所定の式を用いた計算によって、超音波ビームの管周方向の入射角及び管軸方向の入射角が算出される。そして、アレイ探触子を構成する各振動素子の発振タイミングを電子的に制御することにより超音波ビームの管軸方向の入射角が当該算出値に設定され、且つ、アレイ型超音波探触子全体の管周方向の傾きまたは管軸中心からの芯ずれ量を機械的に制御することにより超音波ビームの管周方向の入射角が当該算出値に設定される。このように管周方向の入射角及び管軸方向の入射角を設定することによって、被検査管への超音波ビームの入射角が定められる。
特開2006−177845号公報(段落0020〜0021、並びに、図1及び段落0023〜0050)
被検査管における斜めきずは、当該斜めきずの傾斜角度が0°〜90°となる範囲内で発生する可能性がある。しかしながら、特許文献1の従来技術では、アレイ探触子を構成する各振動素子の放射指向性が考慮されていないので、傾斜角度が大きいと、斜めきずの検出精度が低下するおそれが生ずる。
すなわち、特許文献1の従来技術では、斜めきずの傾斜角度が大きいと、アレイ探触子を構成する振動素子の最大放射方向(最大放射強度を指す方向)と被検査管への超音波ビームの入射方向との間の差が大きくならざるを得ない場合がある。この場合には、各振動素子の放射指向性に起因して超音波ビームの入射強度が低くなり、これにより反射エコーの受信強度が弱くなる。この結果、その反射エコーのSN比(信号対雑音比)が低下して斜めきずの検出精度を低下させるおそれが生じる。
上記に鑑みて本発明の目的は、被検査管などの柱状構造を有する試験体において当該試験体の長軸方向に対して斜め方向に延びる欠陥部位の性状を高い精度で判定することができる超音波測定装置を提供することである。
本発明の一態様による超音波測定装置は、電気信号によって駆動され超音波ビームを管状試験体中に伝搬させ、かつ、管状試験体中を伝搬した超音波を電気信号に変換するアレイ探触子と、アレイ探触子を駆動し、かつ、アレイ探触子からの電気信号を受信する送受信器と、アレイ探触子の位置を機械的に制御する制御機構と、を備え、アレイ探触子は、管状試験体に対して配置された状態において前記管状試験体の管軸方向に沿って配列される複数の超音波放射素子を含み、前記複数の超音波放射素子の各々が、管状試験体の管軸方向に対してオフセット角を有するよう構成され、送受信器は、制御機構に対してアレイ探触子の移動情報を伝達し、かつ、アレイ探触子に対してビーム制御の指示信号を伝達し、制御機構は、移動情報に基いてアレイ探触子の位置を移動させ、アレイ探触子は、指示信号に基づいて超音波ビームの伝搬方向を、前記複数の超音波放射素子の最大放射方向に対して前記オフセット角を相殺する角度だけ傾斜する方向から、前記最大放射方向に対して前記オフセット角に等しい角度だけ傾斜する方向までの範囲内で管軸方向に変えることを特徴とする。
本発明によれば、超音波放射素子の放射指向性に起因する検出感度の低下が抑制されるので、試験体内部における欠陥部位の性状を高い精度で判定することができる。
本発明に係る実施の形態1の超音波測定装置の概略構成を示す図である。 実施の形態1におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 実施の形態1におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す上面図である。 図4Aは、水と鋼との間の超音波の透過の様子を示す図であり、図4Bは、水と鋼との間の超音波の横波の往復透過率の測定結果を示すグラフである。 実施の形態1に係る入射角ときず傾斜角との間の関係を示すグラフである。 実施の形態1に係る超音波測定方法の手順の一例を示すフローチャートである。 実施の形態1におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 図7に示したVIII−VIII線におけるアレイ探触子及び試験体の概略断面を示す図である。 実施の形態1におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す上面図である。 実施の形態1におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 図10に示したXI−XI線におけるアレイ探触子及び試験体の概略断面を示す図である。 実施の形態1におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す上面図である。 振動素子単体の放射指向性の測定結果の例を示すグラフである。 比較例におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 図14に示したXV−XV線におけるアレイ探触子及び試験体の概略断面を示す図である。 比較例におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 図16に示したXVII−XVII線におけるアレイ探触子及び試験体の概略断面を示す図である。 比較例におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 図19に示したXIX−XIX線におけるアレイ探触子及び試験体の概略断面を示す図である。 本発明に係る実施の形態2におけるアレイ探触子の概略断面図である。 本発明に係る実施の形態3の超音波測定装置の概略構成を示す図である。 実施の形態3におけるアレイ探触子の概略断面図である。 実施の形態3におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 実施の形態3におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す上面図である。 実施の形態3におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 実施の形態3におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す断面図である。 実施の形態3におけるアレイ探触子と試験体とを概略的に示す上面図である。 振動素子単体の放射指向性の測定結果の例を示すグラフである。 本発明に係る実施の形態4におけるアレイ探触子の概略断面図である。 実施の形態4におけるアレイ探触子の概略断面図である。 実施の形態4におけるアレイ探触子の概略断面図である。 実施の形態4におけるアクチュエータ及び駆動機構の一例を概略的に示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る種々の実施の形態について詳細に説明する。なお、図面全体において同一符号を付された構成要素は、同一構成及び同一機能を有するものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る実施の形態1である超音波測定装置1の概略構成を示す図である。この超音波測定装置1は、柱状構造を有する試験体の表面または内部に存在し得る欠陥部位の性状を超音波を用いて非破壊で測定する機能を有する。図1に示されるように超音波測定装置1は、試験体2に対向して配置されるべきアレイ探触子10と、送受信器20と、アレイ探触子10を図1のX軸方向に沿って移動させるアクチュエータ30とを備えて構成される。
図1には、試験体2の正面方向から視たときのアレイ探触子10及び試験体2の断面構造の例が概略的に示されている。また、図2は、図1に示したII−II線におけるアレイ探触子10及び試験体2の概略断面図である。図2には、試験体2の右側方から視たときのアレイ探触子10及び試験体2の概略断面が示されている。そして、図3は、図1に示したアレイ探触子10及び試験体2の上面を概略的に示す外観図である。なお、試験体2とアレイ探触子3との間に介在する接触媒質として水が存在するが、この接触媒質は図示されていない。
図3に示されるように、Y軸方向は、試験体2の長手方向における中心軸CAと平行な方向である。図1及び図2に示されるように、試験体2は、Y軸方向に沿って延在する外周面2a及び内周面2bを有する管状構造物である。外周面2aは、試験体2の周方向に沿って湾曲している。この種の管状構造物としては、たとえば、一定の肉厚を有する鋼管が挙げられる。なお、超音波測定装置1の測定対象物は、超音波を伝搬する柱状構造物であればよく、図1及び図2に示した管状構造物に限定されるものではない。
アレイ探触子10は、本体部11に固定された複数の振動素子Tr,…,Trを超音波放射素子として有する。各振動素子Trは、たとえば、高周波の励振信号に応じて超音波を放射する圧電素子を用いて構成されればよい。また、振動素子Tr,…,Trは、図2に示されるように、予め定められた素子配列方向(図2の場合、Y軸方向)に沿って配列されており、同じ放射指向性を有する。これら振動素子Tr,…,Trの最大放射方向(最大放射強度を指す方向)は、素子配列方向に対して90°−αの角度で傾斜している(以下、αをオフセット角と呼ぶ。)。このようなアレイ探触子10は、素子配列方向が試験体2の中心軸CAと平行になるように配置される。
アクチュエータ30は、アレイ探触子10を保持するホルダ31を移動させる機構である。すなわち、アクチュエータ30は、振動素子Tr,…,Trの最大放射方向と素子配列方向(Y軸方向)との双方に直交する試験体2の周方向(図1〜図3の場合、X軸方向)に沿ってアレイ探触子10を移動させることができる。
一方、図1を参照すると、送受信器20は、主制御部21と、この主制御部21による制御に応じてアクチュエータ30の動作を制御する移動制御部22と、主制御部21による制御に応じて励振信号群を発生する信号発生器23と、当該励振信号群を増幅する送信用増幅器24と、この送信用増幅器24で増幅された励振信号群をアレイ探触子10内の振動素子Tr,…,Trに伝達する配線群28と、この配線群28から入力された受信アナログ信号群を増幅する受信用増幅器25と、この受信用増幅器25で増幅された受信アナログ信号群を受信ディジタル信号群に変換するA/D変換器26と、当該受信ディジタル信号群を記憶するメモリ27とを含んで構成されている。なお、受信アナログ信号群の強度が大きい場合には、受信用増幅器25は省略されてもよい。
主制御部21は、超音波制御部21A及び性状判定部21Bを含む。超音波制御部21Aは、フェーズドアレイ法に従って、アレイ探触子10内の振動素子Tr,…,Trを励振するための指令信号を信号発生器23に供給する。信号発生器23は、この指令信号に基づいて、振動素子Tr,…,Trにそれぞれ対応する複数の励振信号を発生する。送信用増幅器24は、これら励振信号を増幅し、当該増幅された励振信号を配線群28を介して振動素子Tr,…,Trにそれぞれ供給する。超音波制御部21Aは、各励振信号を遅延させる遅延時間を調整することにより、アレイ探触子10内の各振動素子Trから超音波が放射されるタイミングを電子的に制御することができる。これにより、図2に例示されるように、試験体2の周方向(X軸方向)から視たときの試験体2に入射する超音波ビームTwの入射角αyzを可変制御することが可能となる。この入射角αyzは、試験体2への超音波ビームTwの入射角αのY−Z平面(Y軸方向及びZ軸方向の双方に平行な平面)への投影角である。ここで、図中のZ軸方向は、X軸方向及びY軸方向の双方に垂直な方向である。
本明細書では、このように電子的な制御により超音波ビームの伝搬方向を制御することを「ステアリング(steering)」または「ビームステアリング(beam steering)」と呼ぶこととする。
また、移動制御部22は、図1及び図3に例示されるように、アクチュエータ30の動作を制御してアレイ探触子10のX軸方向における移動量δを調整することができる。これにより、移動制御部22は、図1に例示されるように、試験体2の長手方向(Y軸方向)から視たときの超音波ビームTwの入射角度αxzを可変制御することができる。この入射角αxzは、試験体2への超音波ビームTwの入射角αのX−Z平面(X軸方向及びZ軸方向の双方に平行な平面)への投影角である。超音波ビームTwは、試験体2に入射されると、回折波Dwとなって試験体2の内部を伝搬する。
一方、アレイ探触子10内の振動素子Tr,…,Trは、試験体2から反射エコーが到来したとき、当該反射エコーを電気信号群に変換して受信アナログ信号群を配線群28に出力する。受信用増幅器25は、この配線群28から入力された受信アナログ信号群を増幅する。A/D変換器26は、当該増幅された受信アナログ信号群を受信ディジタル信号群に変換する。そして、メモリ27は、この受信ディジタル信号群を記憶する。性状判定部21Bは、メモリ27から受信ディジタル信号群を読み出し、これら受信ディジタル信号群を解析して試験体2の表面及び内部の性状を判定する機能を有する。性状判定部21Bは、たとえば、反射エコーの振幅または強度の測定結果に基づいて試験体2内の欠陥部位の寸法を推定することができ、反射エコーの伝搬時間の測定結果に基づいて試験体2内の欠陥部位の存在位置を推定することもできる。
なお、上記した主制御部21及び移動制御部22は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)内蔵のコンピュータにより実現可能である。あるいは、主制御部21及び移動制御部22は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field−Programmable Gate Array)などのLSI(Large Scale Integrated circuit)により実現されてもよい。
次に、図1〜図3を参照すると、試験体2の内周面2bには、当該試験体2の長手方向に対して斜め方向に延びる欠陥部位Dx(以下「斜めきずDx」ともいう。)が形成されている。この斜めきずDxは、図3に示されるように試験体2の長手方向に対して角度β(以下「きず傾斜角β」ともいう。)で傾斜しているものとする。このような斜めきずDxの性状を超音波を用いて測定する場合には、以下の関係式(1),(2)が成立することが知られている。
tanαxz=tanα×cosβ (1)
tanαyz=tanα×sinβ (2)
上記関係式(1),(2)と等価な式が、たとえば、特許文献2(特開2005−221371号公報)に開示されている。
上記関係式(1),(2)と、試験体2の表面における超音波の透過率とに基づき、きず傾斜角βに対して入射角αxz,αyxの両方を定めることができる。この理由を、図4A,図4B及び図5を例に挙げて以下に説明する。図4Aは、水と鋼との境界面において超音波UWの横波が透過する様子を概略的に示す図である。図4Aに示されるように、超音波UWは、入射角αで水から鋼に入射する。図4Bは、水と鋼との境界面における超音波の横波の往復透過率を示すグラフであり、このグラフの横軸は入射角αを示している。言い換えれば、図4Bは、横波の往復透過率の入射角依存性を表すグラフである。図4Bに示されるように、当該往復透過率の入射角依存性が低い角度範囲として16°〜22°が存在する。図5は、上式(1)を用いて算出された入射角αの特性曲線を示すグラフであり、このグラフの横軸はきず傾斜角βを示している。図5のグラフでは、αxz=17°に固定された場合の特性曲線が実線で示され、αxz=7°に固定された場合の特性曲線が点線で示されている。
図4Bに示されるように、水と鋼との境界面における往復透過率は、入射角α=16°付近でピークを示す。しかしながら、入射角αが16°に初期設定されると、設置誤差または音速変動などの要因により、実際の入射角αが15°程度になることが考えられ、この場合には急激に透過率が低下するおそれがある。このため、入射角αの初期設定値としては17°程度を用いることが好ましい。
傾斜角β=0°の斜めきずの性状は、上式(1),(2)から明らかなように、αxz=α=17°とし、αyz=0°として測定されればよい。きず傾斜角βが小さい場合には、入射角αxzが17°に固定された状態で、超音波ビームTwの入射角αyzを電子的に可変制御する方法によって、斜めきずの性状が測定可能である。
また、図4Bに示すように往復透過率は25°程度まで比較的大きな値を保っているが、斜めきずでの反射率を考慮すると22°程度を有効範囲の上限することが好ましい。図5に示すように、αxz=17°に固定されても、きず傾斜角β=41°まで測定可能である。しかしながら、きず傾斜角βが41°を超えると、入射角αを22°以上の値に設定する必要がある。この値は、好適な往復透過率を与える入射角の有効範囲(17°〜22°)を超えてしまう。
したがって、きず傾斜角βが大きい斜めきずの性状を測定するには、入射角αxzも変える必要がある。図5に示すように、たとえば、αxz=7°とすれば、きず傾斜角β=71°の斜めきずであっても、入射角αの有効範囲(17°〜22°)内で測定可能である。このようにして2種類の入射角αxz,αyzの両方を変化させることにより、きず傾斜角βの広い範囲について斜めきずの性状を測定することが可能となる。
次に、上記超音波測定装置1の動作について説明する。図6は、送受信器20による超音波測定処理の基本的な手順の一例を概略的に示すフローチャートである。先ず、超音波制御部21Aは、アレイ探触子10に関する制御条件を設定する(ステップST11)。具体的には、超音波制御部21Aは、上記入射角αxz,αyzの目標値をそれぞれ適当な初期値に設定する。次に、移動制御部22は、超音波ビームTwの入射角αxzが目標値となるように移動量δだけアレイ探触子10を移動させる(ステップST12)。また、超音波制御部21Aは、超音波ビームTwの入射角αyzが目標値となるようにアレイ探触子10から試験体2へ超音波ビームTwを送信させる(ステップST13)。
その後、送受信器20は、アレイ探触子10で検出された受信アナログ信号群を受信する(ステップST14)。すなわち、受信用増幅器25は、配線群28から入力された受信アナログ信号群を増幅する。A/D変換器26は、当該増幅された受信アナログ信号群を受信ディジタル信号群に変換する。そして、メモリ27は、この受信ディジタル信号群を記憶する(ステップST15)
次に、超音波制御部21Aは、試験体2の所定の角度範囲の走査が完了したか否かを判定する(ステップST16)。所定の角度範囲の走査が完了していない場合は(ステップST16のNO)、超音波制御部21Aは、ステアリングに関する制御条件を変更する(ステップST17)。その後、ステップST13〜ST16が実行される。所定の角度範囲の走査が完了した場合は(ステップST16のYES)、超音波制御部21Aは、超音波ビームTwの送信を終了させる(ステップST18)。そして、性状判定部21Bは、メモリ27から受信ディジタル信号群を読み出し、これら受信ディジタル信号群を解析して試験体2の表面及び内部の性状を判定する(ステップST19)。
上記した超音波測定装置1の特徴は、アレイ探触子10内の振動素子Tr,…,Trの最大放射方向が、素子配列方向に対して90°−αの角度で傾斜し、非零のオフセット角αを有する点である。これにより、振動素子Tr,…,Trの最大放射方向は、試験体2の長手方向に対しても90°−αの角度で傾斜する。以下に説明するように、振動素子Tr,…,Trの最大放射方向が素子配列方向に対して傾斜しない場合と比べると、振動素子Trの放射指向性に起因する検出感度の低下が抑制されるので、試験体2の欠陥部位の性状を高い精度で判定することが可能となる。
図7は、きず傾斜角β=0°の欠陥部位D1を有する試験体2と対向して配置されたアレイ探触子10の概略断面図である。欠陥部位D1は、試験体2の内周面2bに、当該試験体2の長手方向に延在するように形成されている。また、図8は、図7に示したVIII−VIII線におけるアレイ探触子10及び試験体2の概略断面を示す図であり、図9は、図7に示したアレイ探触子10及び試験体2の上面を概略的に示す外観図である。図8に示されるようにアレイ探触子10の振動素子Tr,…,Trは、非零のオフセット角αを有する。図7〜図9の例では、試験体2は鋼管であり、振動素子Trのオフセット角αは+8.5°に設定されているものとする。
図7に示されるように、きず傾斜角β=0°の欠陥部位D1の性状を測定するために、移動制御部22は、アレイ探触子10を試験体2の頂点位置からX軸負方向に移動させて超音波ビームTwの入射角αxzを17°とする。一方、欠陥部位D1の延在方向に対して垂直に超音波ビームが入射されると当該欠陥部位D1を感度良く検出することができるため、超音波ビームTwの入射角αyzは0°に設定される必要がある。このため、超音波制御部21Aは、図8に示されるように、超音波ビームTwの伝搬方向が振動素子Trの最大放射方向から角度γ(以下「ステアリング角γ」ともいう。)だけ傾斜する方向となるように超音波ビームTwをステアリングする。ここで、ステアリング角γは、オフセット角αを相殺する−8.5°に設定されている。
一方、図10は、きず傾斜角β=90°の欠陥部位D2を有する試験体2と対向して配置されたアレイ探触子10の概略断面図である。欠陥部位D2は、試験体2の内周面2bに、当該試験体2の長手方向と直交する方向に延在するように形成されている。また、図11は、図10に示したXI−XI線におけるアレイ探触子10及び試験体2の概略断面を示す図であり、図12は、図10に示したアレイ探触子10及び試験体2の上面を概略的に示す外観図である。図10〜図12の例でも、試験体2は鋼管であり、振動素子Trのオフセット角αは+8.5°に設定されているものとする。
図10に示されるように、きず傾斜角β=90°の欠陥部位D2の性状を測定するために、移動制御部22は、アレイ探触子10を試験体2の頂点位置から移動させずに超音波ビームTwの入射角αxzを0°とする。一方、欠陥部位D2の延在方向に対して垂直に超音波ビームが入射されると当該欠陥部位D2を感度良く検出することができるため、図11に示されるように、超音波ビームTwの入射角αyzは17°に設定される必要がある。よって、この場合のステアリング角γは+8.5°に設定されている。
きず傾斜角βが0°〜90°となる範囲内で欠陥部位が発生し得る場合には、移動制御部22は、試験体2の頂点位置からのアレイ探触子10の移動量δを変化させることにより、試験体2の長手方向から視た入射角αxzを0°〜17°の範囲内で変化させればよい。また、超音波制御部21Aは、超音波ビームTwのステアリング角γを−8.5°〜+8.5°の範囲内で変化させることにより、試験体2の周方向から視た入射角αyzを0°〜17°の範囲内で変化させることができる。このように、オフセット角αを与えることにより、きず傾斜角βの0°〜90°の範囲に対応するステアリング角γの範囲を−8.5°〜+8.5°とすることができる。
図13は、振動素子Tr単体の放射指向性の測定結果の例を示すグラフである。図13では、素子幅0.9mmで且つ周波数3MHzとした場合の振動素子Tr単体の放射指向性の測定結果が示されている。また、グラフの横軸は、最大放射強度を中心とするステアリング角γ(単位:°)を示し、グラフの縦軸は、超音波の相対振幅(単位:dB)を示している。図13の場合、ステアリング角γの範囲Δ1(−8.5°〜+8.5°)では、相対振幅の最大変化幅(感度差)は4dB以内である。したがって、アレイ探触子10の振動素子Tr単体の放射指向性が強い場合でも、本実施の形態の超音波測定装置1は、感度低下を抑制することができることが分かる。
一方、仮に、振動素子Tr,…,Trの最大放射方向が素子配列方向に対して傾斜せずに垂直である場合には、感度低下は著しく大きくなる。以下、この点について説明する。図14は、欠陥部位Dxを有する試験体2と対向して配置されたアレイ探触子100の概略断面図である。また、図15は、図14に示したXV−XV線におけるアレイ探触子10及び試験体2の概略断面を示す図である。このアレイ探触子100の構成は、振動素子Tr,…,Trの最大放射方向が素子配列方向に対して垂直である点を除いて、上記アレイ探触子10の構成と同じである。
図16は、きず傾斜角β=0°の欠陥部位D1を有する試験体2と対向して配置されたアレイ探触子100の概略断面図である。また、図17は、図16に示したXVII−XVII線におけるアレイ探触子100及び試験体2の概略断面を示す図である。一方、図18は、きず傾斜角β=90°の欠陥部位D2を有する試験体2と対向して配置されたアレイ探触子100の概略断面図である。また、図19は、図18に示したXIX−XIX線におけるアレイ探触子100及び試験体2の概略断面を示す図である。図16〜図19の例では、試験体2は鋼管である。
図16に示されるように、きず傾斜角βが0°の場合には、入射角度αxzは17°に設定され、超音波ビームTwの電子的な制御は行われない。また、図17に示されるように、入射角度αyzは0°に設定されている。振動素子Tr,…,Trは、同時に励振され、同時に反射エコーを受信する。
一方、図18に示されるように、きず傾斜角βが90°の場合には、入射角度αxzは0°に設定され、図19に示されるように、超音波ビームTwの電子的な制御により入射角度αyzは17°に設定される。
図16〜図19から分かるように、きず傾斜角βの0°〜90°の範囲に対応するには、ステアリングにより入射角度αyzを0°〜17°に設定する必要がある。この結果、大きく反射エコーの受信強度(感度)が低下する可能性がある。図13の場合、ステアリング範囲Δ2は、入射角度αyzの0°〜17°の範囲となる。このため、図13に示されるように、0°と17°との感度差は10dB以上ある。送信だけで10dB以上の差があるので、送受信兼用の場合には、20dB以上の差があることになる。したがって、図13に示したような放射指向性が強い振動素子Trを用いた場合、図16に示したきず傾斜角β=0°の場合と比較して、図18に示したきず傾斜角β=90°の場合は、20dB以上の感度低下が生じる可能性がある。
以上に説明したように実施の形態1の超音波測定装置1では、アレイ探触子10内の振動素子Tr,…,Trの最大放射方向が素子配列方向に対して傾斜している。これにより、振動素子Tr単体の放射指向性が強い場合でも、感度低下を抑制することができる。したがって、試験体2の内部における欠陥部位の性状を高い精度で判定することができる。
なお、アレイ探触子10の移動量δは、試験体2の直径及びきず傾斜角βに応じて変化し得る。また、アレイ探触子10の各振動素子Trを励振するタイミングも、きず傾斜角βに応じて変化し得る。これら移動量δ及びタイミングを予め計算しておき、メモリ27内に情報として記憶させておくことが望ましい。この場合、主制御部21は、試験体2の直径及びきず傾斜角βに応じてメモリ27内に記憶させた情報を読み出し、その情報に基づいて、移動量δを決定したり、信号発生器23に供給すべき指令信号を生成したりしてもよい。
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態1の変形例である。図20は、実施の形態2におけるアレイ探触子12の概略断面図である。本実施の形態の超音波測定装置の構成は、上記アレイ探触子10に代えてアレイ探触子12を有する点を除いて、上記実施の形態1の超音波測定装置1の構成と同じである。
図20に示されるように、本実施の形態におけるアレイ探触子12は、予め定められたアレイ配列方向(Y軸方向)に沿って配列されたM個(Mは正整数)のサブアレイ探触子12,…,12を含んで構成されている。サブアレイ探触子12,…,12の各々は、複数の振動素子Tr,…,Trを有する。なお、サブアレイ探触子12,…,12の個数は、4個以上である必要はなく、2個または3個であってもよい。
図20に示されるように、本実施の形態の振動素子Tr,…,Trの最大放射方向は、アレイ配列方向(Y軸方向)に対して非零のオフセット角αで傾斜している。よって、上記実施の形態1の場合と同様に、振動素子Tr単体の放射指向性が強い場合でも、ステアリング角γの範囲を感度差の小さい範囲に設定することができるため、感度低下を抑制することができる。したがって、試験体2の内部における欠陥部位の性状を高い精度で判定することが可能である。
また、上記実施の形態のアレイ探触子10と比べると、小さな振動素子Tr,…,Trの最大放射方向を素子配列方向に対して一定角度で傾斜させる必要がないので、本実施の形態のアレイ探触子12は製造しやすいという利点がある。
なお、本実施の形態のアレイ探触子12はサブアレイ化されているので、アレイ配列方向における超音波ビームTwのビーム幅に谷間が発生する可能性がある。当該谷間に欠陥部位が存在する場合には、当該欠陥部位の検出精度が低下するおそれがある。これに対処すべく、超音波制御部21Aは、各サブアレイ探触子12(mは1〜Mのうちの任意整数)の振動素子Tr,…,Trから超音波が放射されるタイミングを制御することにより、各サブアレイ探触子12から放射される超音波ビームのビーム幅をアレイ配列方向に拡げることが望ましい。これにより、超音波ビームTwの谷間が狭く、あるいは当該谷間が浅くなるので、欠陥部位の検出精度の低下を抑制することができる。
実施の形態3.
次に、本発明に係る実施の形態3について説明する。図21は、本発明に係る実施の形態3である超音波測定装置1Aの概略構成を示す図である。この超音波測定装置1Aも、柱状構造を有する試験体の表面または内部に存在し得る欠陥部位の性状を超音波を用いて非破壊で測定する機能を有する。図21に示されるように超音波測定装置1Aは、試験体2に対向して配置されるべきアレイ探触子13と、送受信器20Mと、アレイ探触子13を図21のX軸方向に沿って移動させるアクチュエータ32とを備えて構成されている。
図21には、試験体2の正面方向から視たときのアレイ探触子13及び試験体2の断面構造の例が概略的に示されている。図22は、図21に示したアレイ探触子13の断面構造の拡大図である。また、図23は、図21に示したXXIII−XXIII線におけるアレイ探触子13及び試験体2の概略断面図である。図23には、試験体2の右側方から視たときのアレイ探触子10及び試験体2の概略断面が示されている。そして、図24は、図21に示したアレイ探触子13及び試験体2の上面を概略的に示す外観図である。なお、試験体2とアレイ探触子13との間に介在する接触媒質として水が存在するが、この接触媒質は図示されていない。
アレイ探触子13は、図22に示されるように、本体部14に固定された複数の振動素子Tra,…,Traを超音波放射素子として有する。これら振動素子Tra,…,Traは、予め定められた素子配列方向に沿って配列されており、同じ放射指向性を有する。また、図23に示されるように、各振動素子Traは、素子配列方向と直交する方向(図23の場合、Y軸方向)に沿って延在している。各振動素子Traは、たとえば、高周波の励振信号に応じて超音波を放射する圧電素子を用いて構成されればよい。
また、図21及び図24に示されるように、アレイ探触子13は、試験体2と対向し、且つ試験体2の中心軸CAを含む平面と交差する位置に配置されている。この平面は、Y−Z平面と平行である。振動素子Tra,…,Traの最大放射方向は、この平面に対してオフセット角αで傾斜している。
アクチュエータ32は、振動素子Tra,…,Traの延在方向が試験体2の長手方向と平行になる平行状態から、その延在方向が試験体2の長手方向に対して傾斜する傾斜状態へアレイ探触子13の配置状態を変化させる機構を有する。図21〜図24には、アレイ探触子13の平行状態が示されている。アレイ探触子13の傾斜状態については、後述する。
一方、図21を参照すると、送受信器20Mは、主制御部21Mと、この主制御部21Mによる制御に応じてアクチュエータ32の動作を制御する移動制御部22Mと、主制御部21Mによる制御に応じて励振信号群を発生する信号発生器23Mと、当該励振信号群を増幅する送信用増幅器24Mと、この送信用増幅器24Mで増幅された励振信号群をアレイ探触子13内の振動素子Tra,…,Traに伝達する配線群28Mと、この配線群28Mから入力された受信アナログ信号群を増幅する受信用増幅器25Mと、この受信用増幅器25Mで増幅された受信アナログ信号群を受信ディジタル信号群に変換するA/D変換器26Mと、当該受信ディジタル信号群を記憶するメモリ27とを含んで構成されている。なお、受信アナログ信号群の強度が大きい場合には、受信用増幅器25Mは省略されてもよい。
主制御部21Mは、超音波制御部21MA及び性状判定部21MBを含む。超音波制御部21MAは、フェーズドアレイ法に従って、アレイ探触子13内の振動素子Tra,…,Traを励振するための指令信号を信号発生器23Mに供給する。信号発生器23Mは、この指令信号に基づいて、振動素子Tra,…,Traにそれぞれ対応する複数の励振信号を発生する。送信用増幅器24Mは、これら励振信号を増幅し、当該増幅された励振信号を配線群28Mを介して振動素子Tra,…,Traにそれぞれ供給する。超音波制御部21MAは、各励振信号を遅延させる遅延時間を調整することにより、アレイ探触子13内の各振動素子Traから超音波が放射されるタイミングを電子的に制御することができる。これにより、図21に例示されるように、試験体2の長手方向(Y軸方向)から視たときの試験体2に入射する超音波ビームTwの入射角αxzを可変制御することが可能となる。この入射角αxzは、試験体2への超音波ビームTwの入射角αのX−Z平面(X軸方向及びZ軸方向の双方に平行な平面)への投影角である。
また、移動制御部22Mは、アクチュエータ32の動作を制御してアレイ探触子13の配置状態を変化させることができる。
一方、アレイ探触子13内の振動素子Tra,…,Traは、試験体2から反射エコーが到来したとき、当該反射エコーを電気信号群に変換して受信アナログ信号群を配線群28Mに出力する。受信用増幅器25Mは、この配線群28Mから入力された受信アナログ信号群を増幅する。A/D変換器26Mは、当該増幅された受信アナログ信号群を受信ディジタル信号群に変換する。そして、メモリ27は、この受信ディジタル信号群を記憶する。性状判定部21MBは、メモリ27から受信ディジタル信号群を読み出し、これら受信ディジタル信号群を解析して試験体2の表面及び内部の性状を判定する機能を有する。性状判定部21MBは、たとえば、反射エコーの振幅または強度の測定結果に基づいて試験体2内の欠陥部位の寸法を推定することができ、反射エコーの伝搬時間の測定結果に基づいて試験体2内の欠陥部位の存在位置を推定することもできる。
なお、上記した主制御部21M及び移動制御部22Mは、たとえば、CPU内蔵のコンピュータにより実現可能である。あるいは、主制御部21M及び移動制御部22Mは、DSP、ASICまたはFPGAなどのLSIにより実現されてもよい。また、上記送受信器20Mによる超音波測定処理の基本的な手順は、図6に示した手順と同様である。
上記した超音波測定装置1Aの特徴は、振動素子Tra,…,Traの最大放射方向が、試験体2の中心軸CAを含む平面に対してオフセット角αで傾斜している点にある。以下に説明するように、この特徴により、振動素子Traの放射指向性に起因する検出感度の低下が抑制されるので、試験体2の欠陥部位の性状を高い精度で判定することが可能となる。
図21、図23及び図24に示される試験体2は、きず傾斜角β=0°の欠陥部位D1を有している。オフセット角αは+8.5°に設定されているものとする。図21に示されるように、超音波制御部21MAは、超音波ビームTwの伝搬方向が入射角αxz=17°を形成するように超音波ビームTwをステアリングする。この場合のステアリング角γは、8.5°−θである。ここで、θは、図21に示すように、欠陥部位D1の性状を測定するときの超音波ビームTwの入射点位置に対応する角度である。一方、図23に示されるように入射角αyzは0°に設定される必要があるので、アレイ探触子13の配置状態は、平行状態である。
一方、図25は、きず傾斜角β=90°の欠陥部位D2を有する試験体2と対向して配置されたアレイ探触子13の端面を概略的に示す図である。また、図26は、図25に示したXXVI−XXVI線におけるアレイ探触子13及び試験体2の概略断面図であり、図27は、図25に示したアレイ探触子13及び試験体2の上面を概略的に示す外観図である。図25に示されるように、超音波制御部21MAは、超音波ビームTwの入射角αxzを0°にするように超音波ビームTwをステアリングする。ここで、ステアリング角γは、オフセット角αを相殺する−8.5°に設定されている。一方、入射角αyzは17°に設定される必要があるので、図26に示されるように、アレイ探触子13の振動素子Tra,…,Traの延在方向を長手方向に対して17°で傾斜させる。
きず傾斜角βが0°〜90°の場合、アレイ探触子13のステアリング角γを変えることにより入射角αxzを0°〜17°の範囲内で変化させることができ、入射角αyzを0°〜17°まで変化させることができる。このようにアレイ探触子13にオフセット角αを与えることにより、超音波ビームTwのステアリング角γを−8.5°〜8.5°−θの範囲とすることができる。
図28は、図13に示した測定結果と同じ測定結果を示すグラフである。図28の場合、ステアリング角γの範囲Δ3(−8.5°〜+8.5°−θ)では、相対振幅の最大変化幅(感度差)は4dB以内である。したがって、アレイ探触子13の振動素子Tra単体の放射指向性が強い場合でも、本実施の形態の超音波測定装置1Aは、感度低下を抑制することができることが分かる。
実施の形態4.
次に、本発明に係る実施の形態4について説明する。本実施の形態は、上記実施の形態3の変形例である。図29及び図30は、実施の形態4におけるアレイ探触子15の概略断面図であり、図31は、k番目のサブアレイ探触子15の概略断面図である。また、図32は、実施の形態4におけるアクチュエータ32A及び駆動機構の概略構成を示す図である。
本実施の形態の超音波測定装置の構成は、上記アレイ探触子13に代えてアレイ探触子15を有する点と、上記アクチュエータ32に代えて図23のアクチュエータ32A及び駆動機構を有する点とを除いて、上記実施の形態3の超音波測定装置1Aの構成と略同じである。また、図31に示す断面構造は、図22に示した断面構造と実質的に同じ構造を含む。
図29に示されるように、本実施の形態におけるアレイ探触子15は、予め定められたアレイ配列方向(Y軸方向)に沿って配列されたK個(Kは正整数)のサブアレイ探触子15,…,15を含んで構成されている。サブアレイ探触子15,…,15の各々は、複数の振動素子Trb,…,Trbを有する。なお、サブアレイ探触子15,…,15の個数は、4個以上である必要はなく、2個または3個であってもよい。
また、本実施の形態のアレイ探触子15はサブアレイ化されているので、アレイ配列方向における超音波ビームTwのビーム幅に谷間が発生する可能性がある。当該谷間に欠陥部位が存在する場合には、当該欠陥部位の検出精度が低下するおそれがある。これに対処すべく、各サブアレイ探触子15は、超音波ビームTwを試験体2の長手方向に拡げる音響レンズLsを有している。これにより、超音波ビームTwの谷間が狭く、あるいは当該谷間が浅くなるので、欠陥部位の検出精度の低下を抑制することができる。なお、音響レンズLsが無くてもビーム幅が十分広ければ、音響レンズLsは用いなくてもよい。
図32のアクチュエータ32Aは、各サブアレイ探触子15の振動素子Trb,…,Trbの延在方向が試験体2の長手方向と平行になる平行状態(図30)から、その延在方向が試験体2の長手方向に対して傾斜する傾斜状態(図29)へアレイ探触子15の配置状態を変化させる機構を有する。図30に示されるように、アクチュエータ32Aは駆動軸40を用いて、支持部材41,42間にずれを生じさせることができる。駆動軸40は、回転軸部43,44に接続されている。また、支持部材41,42は、回転軸部43〜43及び回転軸部44〜44を介してサブアレイ探触子15,…,15を支持している。アクチュエータ32Aは、支持部材41,42間のずれ量を調整することで、図29の傾斜状態と図30の平行状態との間を切り替えることができる。
実施の形態4でも、図31に示されるように、振動素子Trb,…,Trbの最大放射方向が、試験体2の中心軸CAを含む平面に対して傾斜している。したがって、振動素子Trbの放射指向性に起因する検出感度の低下が抑制されるので、試験体2の欠陥部位の性状を高い精度で判定することが可能となる。
以上、図面を参照して本発明に係る種々の実施の形態について述べたが、これら実施の形態は本発明の例示であり、これら実施の形態以外の様々な形態を採用することもできる。なお、本発明の範囲内において、上記実施の形態1〜4の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、または各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
本発明に係る超音波測定装置は、柱状試験体の表面または内部の性状を非破壊で測定することができるので、その柱状試験体の欠陥部位の有無、存在位置、大きさ、形状または分布などを調べる非破壊試験(nondestructive testing)に使用されることに適している。
1,1A 超音波測定装置、2 試験体、2a 外周面、2b 内周面、10,12,13,15 アレイ探触子、12,…,12 サブアレイ探触子、15,…,15 サブアレイ探触子、20,20M 送受信器、21,21M 主制御部、21A,21MA 超音波制御部、21B,21MB 性状判定部、22,22M 移動制御部、23,23M 信号発生器、24,24M 送信用増幅器、25,25M 受信用増幅器、26,26M A/D変換器、27 メモリ、28,28M 配線群、30,32,32A アクチュエータ、100 アレイ探触子、Tw 超音波ビーム、Dw 回折波、Tr 振動素子、Tr,Tra,Trb 振動素子、Dx,D1,D2 欠陥部位、UW 超音波、CA 中心軸、Ls 音響レンズ。

Claims (6)

  1. 電気信号によって駆動され超音波ビームを管状試験体中に伝搬させ、かつ、前記管状試験体中を伝搬した超音波を電気信号に変換するアレイ探触子と、
    前記アレイ探触子を駆動し、かつ、前記アレイ探触子からの電気信号を受信する送受信器と、
    前記アレイ探触子の位置を機械的に制御する制御機構と、
    を備え、
    前記アレイ探触子は、前記管状試験体に対して配置された状態において前記管状試験体の管軸方向に沿って配列される複数の超音波放射素子を含み、
    前記複数の超音波放射素子の各々が、前記管状試験体の管軸方向に対してオフセット角を有するように構成され、
    前記送受信器は、前記制御機構に対して前記アレイ探触子の移動情報を伝達し、かつ、前記アレイ探触子に対してビーム制御の指示信号を伝達し、
    前記制御機構は、前記移動情報に基いて前記アレイ探触子の位置を移動させ、
    前記アレイ探触子は、前記指示信号に基づいて前記超音波ビームの伝搬方向を、前記複数の超音波放射素子の最大放射方向に対して前記オフセット角を相殺する角度だけ傾斜する方向から、前記最大放射方向に対して前記オフセット角に等しい角度だけ傾斜する方向までの範囲内で前記管軸方向に変えることを特徴とする超音波測定装置。
  2. 前記アレイ探触子は、前記管状試験体の管軸方向に対して複数個のサブアレイ探触子が配列されて構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波測定装置。
  3. 前記送受信器からの指示信号は、前記管軸方向に超音波ビームを広げて探傷する指示を含んでいることを特徴とする請求項2記載の超音波測定装置。
  4. 電気信号によって駆動され超音波ビームを管状試験体中に伝搬させ、かつ、前記管状試験体中を伝搬した超音波を電気信号に変換するアレイ探触子と、
    前記アレイ探触子を駆動し、かつ、前記アレイ探触子からの電気信号を受信する送受信器と、
    前記アレイ探触子の位置を機械的に制御する制御機構と、
    を備え、
    前記アレイ探触子は、前記管状試験体に対して配置された状態において前記管状試験体の管軸方向に直交する方向に沿って配列される複数の超音波放射素子を含み、
    前記複数の超音波放射素子の各々が、前記管状試験体の管周方向に対してオフセット角を有するよう構成され、
    前記送受信器は、前記制御機構に対して前記アレイ探触子の角度情報を伝達し、かつ、前記アレイ探触子に対してビーム制御の指示信号を伝達し、
    前記制御機構は、前記角度情報に基いて前記アレイ探触子の角度を変化させ、
    前記アレイ探触子は、前記指示信号に基づいて前記超音波ビームの伝搬方向を、前記超音波放射素子の最大放射方向に対して前記オフセット角を相殺する角度だけ傾斜する方向から、前記最大放射方向に対して、前記オフセット角に等しい角度から所定角度を減じて得た角度だけ傾斜する方向までの範囲内で前記管周方向に変えることを特徴とする超音波測定装置。
  5. 前記アレイ探触子は、前記管状試験体の管軸方向に対して複数個のサブアレイ探触子が配列されて構成されることを特徴とする請求項4記載の超音波測定装置。
  6. 前記サブアレイ探触子は、前記管軸方向に超音波ビームを広げる音響レンズを有していることを特徴とする請求項5記載の超音波測定装置。
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