JP5118339B2 - 超音波探傷装置および方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1には、所定位置に超音波ビームを集束させるために時間差を各振動子に与え、さらに受信信号は夫々送信時に対応して所定時間だけ遅延させた波形加算または遅延加算を行わず同時加算することが示されている。
さらに、特許文献2には、探傷面が平面でなく複雑形状の曲面をなす場合にも、超音波ビームを集束させるための遅延時間を算出する演算回路を備える構成が示されている。
また、特許文献2においては、複雑形状の曲面をなす被検体に対して遅延時間を補正することは示されているものの、探触子の走査に伴う移動によって受信時の焦点位置のズレを防止することまでは示されてなく、探触子の走査に伴う感度低下を防止して検査精度を高めることはできない。
かかる請求項2記載の発明によれば、送信時から受信時までの探触子の移動量に応じて受信側の遅延時間を補正する。すなわち、移動量が求められれば、既に設定されている送信側の焦点位置に対して新たな屈折角、路程距離が算出でき、この新たな屈折角、路程距離を条件として受信側の遅延時間が再計算される。
従って、走査手段の移動速度と探触子の送受信の時間差との積算によって移動量を算出して、この移動量に基づいて、受信側の遅延時間、周波数が再計算されて受信遅延時間が設定され、探触子の移動による送信時と受信時との焦点位置のズレが補正される。
かかる請求項3記載の発明によれば、探触子の移動量を位置検出センサからの検出信号によって求めるため、探触子を走査する走査手段の速度制御が困難で速度を算出できない場合に有効であり、前記請求項2と同様に送信時から受信時までの探触子の移動量に応じて適正に受信遅延時間を算出することができ、探触子の移動による送信時と受信時との焦点位置のズレが補正される。
かかる請求項4記載の発明によれば、走査手段によって探触子を走査中一定速度で移動することで、探触子の移動量は探傷中一定となり、受信位置に達したときに、ちょうど送信側の焦点位置と受信側の焦点位置とが一致するように送信遅延時間と受信遅延時間の設定を予めしておくことが可能になる。従って、探触子の移動による送信時と受信時との焦点位置のズレが補正される。
また、探触子の移動量を算出したり、位置検出センサで検出する必要が無く、予め遅延時間を設定しておくだけでよいため、装置構成および制御が簡単化する。
かかる請求項5記載の発明によれば、複雑な形状面を走査する場合でも、走査の移動に伴う送受信時の焦点位置のズレを防止して、感度が高く検出性の高い検査が可能となる。
また、探触子の移動量を算出したり、位置検出センサで検出する必要が無く、予め遅延時間を設定しておくだけでよいため、装置構成および制御が簡単化する。
かかる請求項9記載の発明によれば、複雑な形状面を走査する場合でも、走査の移動に伴う送受信時の焦点位置のズレを防止して、感度が高く検出性の高い検査が可能となる。
図1から図4を参照して第1の実施形態を説明する。図1に示すように、探触子1は複数の振動子3が1列に並んで配列されてなるフェーズドアレイ超音波探傷探触子である。超音波を効率よく被検体7中に伝搬させるために、探傷面にグリセリン等の接触媒体9が塗布されている。
被検体7内の受信側の焦点位置P2(図15(b)参照)に収束するように受信時の前記各振動子に対する所要の遅延時間を算出する受信遅延時間算出手段13と、探触子1を被検体7の表面に沿って移動せしめる走査手段15とを備えている。
次にステップS6で、被検体7から反射してくる超音波を受信する。そしてステップ8で、移動量算出手段17によって、走査手段15の移動速度V(t)と、探触子1の送信から受信までの時間差(Δt)との積算によって移動量を算出する。
そして、ステップS12では、受信信号処理手段20によって受信した超音波信号を前記の再計算された受信側の遅延時間によって合成して、受信信号を算出する。
次に、図5、6を参照して、第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、第1の実施形態の移動量算出手段17に変えて、位置センサであるエンコーダ21を用いて移動量を直接検出するものである。
また、図6に図3対応の制御フロー図を示す。ステップS16の超音波受信と、ステップS18の移動量受信が変更になったのみで他は第1の実施形態と同様であり同一符号付して説明は省略する。ステップS16では、被検体7から反射してくる超音波を受信し、ステップS18では、エンコーダ21からの移動量信号を入力する。これらステップS16、ステップS18は同時に処理し、その後ステップS10で、移動量算出手段17によって算出された移動量に基づいて受信時に受信側の焦点位置P2が送信側の焦点位置P1に一致するように受信遅延時間を算出する。
次に、図7、8、9を参照して、第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、第1、第2の実施形態では、探触子の移動による焦点位置のズレの補正を、受信側の遅延時間を移動量に基づいて再算出することによって行っていたのを、予め送信側もしくは受信側、または両方の遅延時間を設定することで補正を行うものである。
図7(a)に示すように、探触子1が停止しているときに、予め送信側の焦点位置P1と受信側の焦点位置P2とを送受信間の移動量fだけすらした位置に設定して、そのずらした位置P1、P2に集束するように遅延時間を設定する。この停止時のビーム形状は送信側を実線で示し、受信側を点線で示す。そして、矢印h方向に探触子1を走査して移動量fだけ移動した受信時に図7(b)に示すように一致させる。
この焦点位置のズレを補正するための遅延時間の設定は、送信側と受信側とをそれぞれ設定して行なってもよく、片側の受信側だけでも、送信側だけでもよい。
ステップS21では、予め焦点位置のズレを補正するための送信遅延時間が算出されて設定され、ステップS22では予め焦点位置のズレを補正するための送信遅延時間が算出されて設定される。
そして、ステップS12では、受信信号処理手段20によって受信した超音波信号をステップS22で設定された受信側の遅延時間によって合成して、受信信号を算出する。
また、受信時の探触子1の移動量を算出したり、エンコーダ21等の位置検出センサで位置を検出する必要が無く、予め遅延時間を設定しておくだけでよいため、装置構成および制御が簡単化する。
次に、図10に第4の実施形態を示す。第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、広い範囲を探傷するラスタースキャン手法で走査手段15が探触子1を移動した時の、送信時と受信時との焦点位置のズレを補正する例である。
前記第3の実施形態で設定した送信遅延時間と受信遅延時間の設定関係を保ちつつ、すなわち送信時と受信時との焦点位置のズレが補正される遅延時間の設定関係を保ちつつ、さらに、例えば、h1方向のときの送信遅延時間の遅延タイミングパターンT1と受信遅延時間の遅延タイミングパターンR1に対し、逆方向のh2方向のときの送信遅延時間の遅延タイミングパターンT2と受信遅延時間の遅延タイミングパターンR2は、T2=R1、およびR2=T1の関係式にすることで、h1方向の走査からh2方向の走査へ対応することができる。
図10(c)には、h1とは逆のh2方向に走査するときの停止時の超音波ビームの焦点位置P1(送信側の集束位置、実線のビーム形状)と焦点位置P2(受信側の集束位置、点線のビーム形状)の関係を示す。
また、往復走査に対して遅延タイミングパターンを逆の関係に置き換えるだけでよいため、簡単な制御で広い面積を感度よく探傷できるため探傷効率が向上する。
次に、図11、12、13、14を参照して、第5の実施形態について説明する。この第5の実施形態は、曲面状の被検体7に対して焦点位置のズレを補正する例である。第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
このように、検出手段30、およびエンコーダ21によって探触子1の位置情報を入手し、変化量算出手段28に与えている。
そして、ステップS4でその遅延時間によって各振動子3から超音波を送信し、ステップS6で、被検体7から反射してくる超音波を受信する。そしてステップ34で、変化量算出手段28によって、送受信の時間差(Δt)と、検出手段30とエンコーダ21によって得られる位置情報との積算によって変化量を算出する。
具体的には、第1の実施形態と同様に、探触子1の変化量が求められれば、移動後の探触子1と既に設定されている送信側の焦点位置P1との間の新たな屈折角θ'、路程距離W'が算出できる。この新たな屈折角θ'、路程距離W'を条件として夫々の振動子3に対する受信側の遅延時間が再計算される。
そして、ステップS38では、受信信号処理手段20によって受信した超音波信号を前記の再計算された受信側の遅延時間によって合成して、受信信号を算出する。
従って、湾曲している複雑な形状面を走査する場合でも、送受信時の焦点位置のズレを防止して、感度が高く検出性の高い検査が可能となる。
3 振動子
7 被検体
9 接触媒体
11 送信遅延時間算出手段
13 受信遅延時間算出手段
15 走査手段
17 移動量算出手段
19、23、29 補正手段
20 受信信号処理手段
21 エンコーダ
28 変化量算出手段
Claims (9)
- 複数個の振動子を列状に並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷探触子を用いる超音波探傷装置において、
前記各振動子によって発せられる超音波ビームを同時に被検体内の送信側の焦点位置に集束させるために前記各振動子に対する所要の遅延時間を算出する送信遅延時間算出手段と、
被検体内の受信側の焦点位置に収束するように受信時の前記各振動子に対する所要の遅延時間を算出する受信遅延時間算出手段と、
前記探触子を被検体の表面に沿って移動せしめる走査手段とを備え、
該走査手段によって探触子が送信時点から受信時点まで移動したときの移動後の受信位置において前記受信側の焦点位置と前記送信側の焦点位置とが一致するように前記送信遅延時間算出手段または前記受信遅延時間算出手段の少なくとも一方において遅延時間が補正されるように構成してなることを特徴とする超音波探傷装置。 - 前記探触子の移動量を前記走査手段による移動速度と探触子の送受信の時間差との積算によって算出する移動量算出手段を備え、
前記移動量に基づいて受信時に前記受信側の焦点位置が前記送信側の焦点位置に一致するように受信遅延時間を補正することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。 - 前記探触子の移動量を位置検出センサからの検出信号によって算出する移動量算出手段を備え、
前記移動量に基づいて受信時に前記受信側の焦点位置が前記送信側の焦点位置に一致するように受信遅延時間を補正することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。 - 前記探触子の移動速度が一定であり、受信時に前記受信側の焦点位置と前記送信側の焦点位置とが一致するように前記送信遅延時間算出手段または前記受信遅延時間算出手段の少なくとも一方に予め遅延時間が設定されることを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。
- 前記探触子の移動位置を二次元的または三次元的に検出して、該位置情報から算出された変移量に基づいて受信時に前記受信側の焦点位置が前記送信側の焦点位置に一致するように受信遅延時間を補正することを特徴とする請求項1記載の超音波探傷装置。
- 複数個の振動子を列状に並べてなるフェーズドアレイ超音波探傷探触子を用いる超音波探傷方法において、
前記各振動子によって発せられる超音波ビームを同時に被検体内の送信側の焦点位置に集束させるために前記各振動子に対する所要の遅延時間を算出し、
被検体内の受信側の焦点位置に収束するように受信時の前記各振動子に対する所要の遅延時間を算出し、
走査手段によって前記探触子を被検体の表面に沿って移動し、
移動後の探触子の受信位置において前記受信側の焦点位置が前記送信側の焦点位置に一致するように前記送信の遅延時間または前記受信の遅延時間の少なくとも一方を補正することを特徴とする超音波探傷方法。 - 前記探触子の移動量に基づいて受信時に前記受信側の焦点位置が前記送信側の焦点位置に一致するように受信の遅延時間を補正することを特徴とする請求項6に記載の超音波探傷方法。
- 前記探触子を一定の移動速度で移動し、受信時に前記受信側の焦点位置と前記送信側の焦点位置とが一致するように予め前記送信の遅延時間および前記受信の遅延時間が設定されることを特徴とする請求項6記載の超音波探傷方法。
- 前記探触子の移動位置を二次元的または三次元的に検出して、該位置情報から算出された変移量に基づいて受信時に前記受信側の焦点位置が前記送信側の焦点位置に一致するように受信の遅延時間を補正することを特徴とする請求項6記載の超音波探傷方法。
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