JP2012022013A - 超音波探傷方法及び超音波探傷装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アレイ型超音波センサ101から発振した超音波108の入射角度を振ってセクタスキャンにより検査対象100の内部を探傷しながら順次、走査手段107によりアレイ型超音波センサ101を位置101Aから位置101B、位置101Cに移動し、移動させては取得した探傷画像を、アレイ型超音波センサ101の移動量だけずらしながら加算或いは平均化し、処理画像103Cとして映像化したもの。検査対象100内での焦点深さを細かく設定すること無く超音波108の集束効果が得られるため、探傷領域の全ての深さ位置で高分解能な探傷画像が得られ、高精度な非破壊検査ができる。
【選択図】図1
Description
ンサを使用した超音波探傷方法及びその装置に関する。
一の素子からなる超音波センサを用い、検査対象内部の欠陥などにより反射された超音波
信号を検出し、伝播時間と超音波センサの位置に基づいて欠陥の検出を行っている。
対象の底面(遠い方の境界面)又は表面(近い方の境界面)からの反射波の受信時間の差と、
材料音速(検査対象材料中の音速)の積算により、当該欠陥の寸法を同定している。
検査によく用いられているが、超音波反射波を計測し反射波の受信時間だけから欠陥を評
価しなければならないため、高精度な検査には熟練した検査員を要する上、計測に多大の
時間が必要であった。
査対象内部を高精度に画像化して検査する探傷方法が開発されている(例えば、非特許文
献1参照。)。
イ型超音波センサを使用し、各圧電振動素子から送信される超音波の波面が干渉し合成波
面を形成して伝播していくという原理に基づいたものであり、従って、各圧電振動素子の
超音波送信タイミングを遅延制御し、それぞれのタイミングをずらすことで、超音波の入
射角度が制御でき、超音波を集束させることができる。
することで、送信時と同様、超音波の受信入射角度を制御したり、焦点を合わせて超音波
を受信したりすることができる。
ャン方式や、超音波の送信と受信方向を扇状に変化させるセクタスキャン方式が一般的に
知られているが、何れの方式の場合も、超音波センサを動かすことなく超音波を高速に走
査したり、超音波センサを交換することなく超音波の入射角度や集束深さの位置を任意に
制御したりすることができ、従って高速且つ高精度の検査が可能な技術であるということ
ができる。
超音波信号を受信した場合、受信された反射超音波の音源となる欠陥の位置は、超音波を
送信し受信した圧電振動素子の位置を中心とし、反射超音波の伝播距離を半径とした円弧
上に存在するという原理に基づいたものであり、このため、圧電振動素子の位置を順次変
えて超音波の送信と受信を行い、各位置における受信波形を、電子計算機上で演算して円
弧状に広げることにより、超音波反射源となる欠陥の存在位置に前記の円弧の交点が集中
し、欠陥の位置が特定されるようにするものである。
演算処理することで高分解能な画像化を行う技術であり、このときの演算処理の内容に付
いては、非特許文献1に記載されているものである。
近藤倫正、大橋由昌、実森彰郎 共著 ディジタル信号処理シリーズ12巻 「計測・センサにおけるディジタル信号処理」 143頁〜186頁 1993年5月20日 昭晃堂発行
を複数の圧電振動素子により任意に制御し、高速且つ高精度の検査が行える利点がある反
面、設定した集束深さ位置にしか焦点が合わないため、集束していない深さ位置では非集
束となってしまい、この結果、当該焦点が合っていない深さ位置においては、空間分解能
が低下してしまうという問題があった。
は超音波走査を行う必要があるが、このときの超音波の送信と受信の繰返し周期には限界
があるため、検査に多大の時間を要してしまい、現実的ではないという問題があった。
て評価を行う必要があり、探傷画像の評価が極めて煩雑な作業になってしまうという問題
があった。
形を電子計算機上で演算処理するので、高分解能の画像化が可能であるという利点がある
反面、原理上、超音波が広く拡散するようにして送信する必要があるため、超音波の伝播
距離が長くなるにつれ受信される超音波の強度(レベル)が低下し、このため超音波の拡散
による減衰が大きく、また、検査対象が厚く超音波の伝播距離が長い場合には、センサか
らの距離が遠い点での超音波の強度がかなり弱くなってしまうため、反射波の受信が困難
になる上、電気ノイズをはじめとする種々のノイズの影響を受け易くなってS/Nが低下
してしまうという問題があった。
の演算に時間を要し、従って検査を行いながら現場で探傷画像を評価する方法には向いて
いないという問題があった。
ようにした超音波探傷方法及び装置を提供することにある。
させ、該アレイ型超音波センサの前記検査対象における設置位置を移動させては各設置位
置毎に順次探傷画像を取得し、各設置位置毎の前記探傷画像を順次、前記アレイ型超音波
センサの移動量分だけずらしながら加算若しくは平均化して映像化することにより達成さ
れる。
レイ型超音波センサの前記検査対象における設置位置の移動に際して現われる前記検査対
象の表面の傾きに応じて補正されるようにしても上記目的を達成することができる。
レイ型超音波センサの各圧電振動素子との間で送信信号を送信するパルサーと受信信号を
送受するレシーバと、前記送信信号と受信信号に前記各圧電振動素子に遅延時間を可変し
て時間制御を行う遅延制御部と、前記アレイ型超音波センサで超音波を送信と受信した波
形を収録するデータ収録部と、前記アレイ型超音波センサを走査するセンサ移動手段及び
これを制御する走査制御部と、前記アレイ型超音波センサの移動量を計測する移動量検出
部と、収録した波形から探傷画像を生成し、前記アレイ型超音波センサの移動量検出部で
計測した移動量ずつずらして複数の探傷画像を加算或いは平均化する画像処理部と、前記
探傷画像及び加算した探傷画像を表示する表示部を備えることで、焦点深さを細かく設定
すること無く超音波の集束効果を得ることができ、探傷画像が高分解能となるため、高精
度な非破壊検査ができるようにした。
るリニアスキャンやセクタスキャンなどの探傷と、上記探傷画像の処理とを切替える処理
内容切替手段を有することで、従来の探傷と同様の動作も可能なものとした。
く設定すること無く超音波の集束効果を得ることができ、この結果、センサからの距離が
遠くてもほぼ全ての深さ位置で高分解能な探傷画像を得ることができる。
分解能かつ高S/Nの探傷画像が得られるので、検査の現場においても迅速に探傷結果を
評価することができる。
きるので、簡単な操作で迅速に高分解能且つ高S/Nの探傷画像を得ることができ、この
結果、高精度で信頼性に富んだ非破壊検査を実施することができる。
する。
を入射するアレイ型超音波センサ101、送・受信部102、受信信号及び探傷画像を表
示する表示部103、アレイ型超音波センサ101を走査する走査手段制御部105、ア
レイ型超音波センサ101の移動量を検出する移動量検出106、及びアレイ型超音波セ
ンサ101を走査するセンサ走査手段107で構成されている。
生し受信する複数個の圧電振動素子104で構成され、検査対象100の探傷面に設置さ
れた後、送・受信部102から供給される駆動信号により超音波108を発生し、これを
被検査体100内に伝播させ、これにより現れる反射波を検知して受信信号を送・受信部
102に入力する働きをする。
行うもので、このため、計算機102Aと遅延時間制御部102B、パルサー102C、
レシーバ102D、それにデータ収録部102Eを備え、パルサー102Cが駆動信号を
アレイ型超音波センサ101に供給し、これによりアレイ型超音波センサ101から入力
される受信信号をレシーバ102Dが処理するようになっている。
102D、それにデータ収録部102Eを制御し、必要な動作が得られるようにするもの
で、まず遅延時間制御部102Bは、パルサー102Cから出力される駆動信号のタイミ
ングとレシーバ102Dによる受信信号の入力タイミングの双方を制御し、これによりフ
ェーズドアレイ方式によるアレイ型超音波センサ101の動作が得られるようにする。
波108の焦点深さと入射角度109を制御して超音波を送信し受信する動作のことであ
り、これによりレシーバ102Dからデータ収録部102Eに受信信号が供給されること
になる。
録データとして収録させ、これにより、計算機102Aは各圧電振動素子で得られた波形
を遅延時間に応じて合成処理し、各超音波の入射角度ごとの波形を画像化処理して表示部
103に供給し、探傷画像103Bとして表示させる動作を実行する。
06の動作に合わせて、それぞれの位置で得られた複数の探傷画像103Bを加算或いは
平均化処理して表示手部103に処理画像103Cとして表示させる。
超音波入射角度103Fの位置に対応した波形103Aを表示する機能も備えている。な
お、このときの計算機102Aによる処理内容と表示部103の動作については、後で詳
述する。
想定して描かれているが、このように底面側に欠陥110が存在したとすると、表示部1
03の探傷画像103B及び処理画像103Cでは、底面位置103E上に欠陥の底部に
よるエコー、いわゆる欠陥コーナーエコー103Kと、欠陥の先端によるエコー、いわゆ
る先端エコー103J、それに検査対象100の底面によるエコー、いわゆる底面エコー
103Iが観測され、同時に合成波形103Aにおいても、これらのエコーに対応した反
射波が欠陥コーナーエコー103Kと欠陥先端エコー103Jとして観測される。
03C中に得られたエコーの中の底面位置103Eと欠陥先端エコー位置103Dを用い
る。このため、走査手段制御部105に含まれている位置制御部は、移動速度及び移動量
からなる移動信号を計算機102Aから受信し、これに基づいてセンサ移動手段107を
駆動し、アレイ型超音波センサ101を移動させ、位置101A、101B、101Dで
示すように、設置位置を変える。
検出信号が移動量検出部106に供給され、これにより移動量検出部106は、アレイ型
超音波センサ101の実際の移動量を計測している。なお、この図1では、アレイ型超音
波センサ101が、探傷開始時での位置101Aから途中の位置101Bを経て、探傷終
了時の位置101Cまで移動した場合が示されている。
画像の処理に用いられる。ここで詳細は後で説明するが、簡単に説明すると、計測された
移動量は、アレイ型超音波センサ101の各探傷位置での移動量を計測し、この移動量だ
け計算機102Aの中で探傷画像のピクセル位置をずらして加算或いは平均化を実施する
ために用いられる。
化処理による動作だけではなく、アレイ型超音波センサを用いた従来の超音波探傷装置に
よるリニアスキャンやセクタスキャンなどの動作も可能であり、従って、これらの動作モ
ードと、上述の探傷画像の加算或いは平均化の処理の動作モードを切替えて行うため、こ
の実施形態では、表示部103内にスイッチ或いはボタン式の処理内容切替手段103L
が設けてあり、これにより計算機102Aのソフトウエアによる処理内容が切替えられる
ようになっている。
説明すると、このアレイ型超音波センサ101は、上述したように、複数個の圧電振動素
子104の配列で構成され、これらの圧電振動素子104が送・受信部102から供給さ
れる電気信号により駆動され、圧電効果により振動して超音波108が発射されるように
なっているが、このとき各圧電振動素子104に供給される電気信号201は、送・受信
部102内にある遅延時間制御部102Bにより、それぞれ独立した時間遅延が与えられ
ている。
り合成波面203が形成され、この結果、任意深さ位置204に超音波を集束させたり、
超音波の入射角度205を制御したりできることになるが、このときの焦点深さの設定方
法について、この実施形態では、検査対象100の板厚を考慮し、検査対象100の底面
、若しくはそれよりも深い位置に焦点を設定し、これにより、開口合成法を適用した際に
課題となる超音波の拡散減衰を抑制でき、超音波の伝播距離が長い場合でも高S/Nで探
傷を実施することができるようにしている。
を、探傷に使用する範囲109にわたって所定のピッチで変えてゆくのであるが、このと
きの超音波の入射角度205のピッチは、探傷を実施する際に任意に設定することができ
る。但し、この角度ピッチは、遅延時間制御部102Bで設定される時間分解能に依存し
ているので、遅延時間制御部102Bで設定可能な最小時間分解能以上の角度ピッチにし
て探傷することになる。
ここでは、アレイ型超音波センサ101の中心直下を基準として一定距離に焦点を結び、
これを探傷に使用する超音波の入射角度10°から170°までを10°ピッチで設定し
た場合の遅延時間パターン300を一例として示したもので、このときの素子番号は、ア
レイ型超音波センサ101において、圧電振動素子104の中で一方の端にある素子、こ
こでは図1と図2において左端にある素子をNo.1としている。従って、圧電振動素子1
04がM個ある場合は、右端にある素子の素子番号はNo.Mとなる。
0°→角度80°の範囲で焦点を結ぶ遅延時間パターンであり、実線はアレイ型超音波セ
ンサの中心直下で、一点鎖線で示される角度100°→角度170°の範囲は、図2の右
下方に角度100°→角度170°の範囲で焦点を結ぶ遅延時間パターンであり、このよ
うに、超音波108を任意の位置に集束させることにより、開口合成法の弱点であった超
音波の拡散減衰を防止することができる。
間制御部102Bに伝達し、超音波108の送信と受信が行えるように制御するのである
が、このように超音波の集束距離を一定にしたまま角度を連続的に振る走査方法をセクタ
スキャン法と呼ぶ。
述すると、ここでまず図4は、計算機102A中での探傷画像の処理の内容を模式的に示
したもので、いま、探傷開始位置101Aで得られた探傷画像400の位置から、アレイ
型超音波センサ101を移動量X[m]だけ水平に移動したとする。このとき探傷画像の
収録範囲を同じにしたままでは画像に位置ずれが生じてしまう。そこで、移動量検出部1
06による計測値を用いて位置ずれの補正を行う。
相当するずれが生じるものとすると、この場合は、以下の(式1)に示すように、Δ[ピク
セル]分ずらして加算することになる。ここで、G(i,j)は処理画像403の画素アドレ
ス(i,j)における画素の値、gn(i,j)はn枚目の探傷画像の画素アドレス(i,j)における画素の値である。
1、402を加算し、処理画像403を得る場合について模式的に示してあり、欠陥の評
価を行う際には、処理画像403の中にハッチングを付して示したように、処理画像中の
同一枚数の探傷画像を処理した領域404で行うようにしているが、その理由は、加算或
いは平均化を行った場合、処理枚数が同じ領域403と処理枚数が異なる領域では、画素
の信号強度が異なるためである。
り、この図の探傷画像501において、(1)番目の探傷画像501Aは、探傷開始位置1
01Aにおける探傷画像であり、以下、(i)番目の探傷画像は探傷位置101Bで、(n)番
目の探傷画像は探傷位置401Cにそれぞれ対応しており、従って、この図から各位置で
探傷したn枚の探傷画像501が得られていることが判る。
が平行な場合、つまり被検査体100が平板材や管材の一部である場合を示しており、従
って、これらの探傷画像にはアレイ型超音波センサの設置位置の直下に底面からのエコー
103Iが得られ、底面側から欠陥が入っている場合には、欠陥コーナーエコー103K
及び欠陥先端エコー103Jが観測されることになる。
センサ101の移動量に相当する画素数だけずらして加算処理、或いは平均化処理すると
処理画像502が得られる。そして、この処理画像502では、2本の破線で挟んで示し
たように、同じ回数だけ加算、或いは平均化した部分に、ほぼ同程度の強度の底面エコー
103Iが得られるのが特徴である。
な角度から入射した超音波の波面の重ね合わせにより、真の欠陥位置の信号だけが選択的
に残ることになり、これらの画像が表示手段103に表示され、欠陥位置の確認や欠陥深
さの評価に用いられることになるが、このことについては、後で更に詳しく説明する。
る探傷画像の範囲を、アレイ型超音波センサ101の走査領域全体に設定し、探傷画像サ
イズも決定した状態で探傷する場合のものであり、上述の移動量検出部により検出したア
レイ型超音波センサ101の移動量を用い、各探傷位置で得られた探傷画像を、予め設定
した探傷画像の範囲内で、アレイ型超音波センサ101の移動量に相当する画素数だけず
らして重ね合わせ、探傷画像を得るようにしたものである。
位置において、探傷画像が同一の領域になっているため、アレイ型超音波センサ101の
移動量に合わせて画像をずらす必要が無く、このため、探傷画像601A、601B、6
01Cを加算或いは平均化するだけで処理画像502が得られることになり、従って、こ
の場合の処理内容は下記の(式2)で表わせる。但し、この(式2)は加算の場合を表わたも
のである。
エコー103K及び欠陥コーナーエコー103Jは、様々な角度から入射した超音波の波
面の重ね合わせにより、真の欠陥位置の信号だけが選択的に残ることになる。
として、試験体となる物体、例えば鋼の平板材にドリル(孔開け用の工具)により、ここで
はドリルホールと呼ぶ孔を深さ(厚み方向)が異なる位置に複数個、人為的に設けて欠陥に
見立てた試験体700を用い、この場合の探傷画像と、この探傷画像を複数枚加算した処
理画像を示したものであり、このときドリルホール700Aとして、(1)、(2)、(3)、(4)
の4個を設けたものである。
度10°から角度100°の範囲にしてセクタスキャンを行うようにしているため、セン
サ位置101Bによる単一探傷画像701には、ドリルホール(4)によるエコーは観察さ
れていないが、ドリルホール(1)〜(3)に対応するエコー701Aと底面エコー701Bが
観察されている。
も幾分深い位置にし、これにより単一探傷画像701では、底面で反射した超音波による
ドリルホールエコー701Cが第二エコーとして観察され、更には試験体700内で2往
復した超音波による底面エコー701Dも第二底面として観察されるようになり、この実
施形態において、超音波を集束させたことによる効果が実証されている。
心点とする円弧状を呈していていることも判り、更にドリルホールエコー701Aは何れ
も実際のドリルホールの寸法よりも広がっている上、底面エコー701Bはセンサ直下の
領域にしか観察されていないことも判る。
ら探傷終了位置101Cの間で取得し加算すると処理画像702が得られるが、この処理
画像702では、探傷開始位置101Aから探傷終了位置101Cの間の各探傷画像にお
いて、各ドリルホール(1)、(2)、(3)、(4)から見て様々な角度で入射する超音波により映
像化されている。
て残るが、その他の部分によるエコーは、特定の単一画像にしか現われないので、複数枚
の画像の合成により薄められてしまうという開口合成法と同じような原理が働くことにな
り、従って、処理後の画像702に示されているように、探傷画像全域でのエコーがS/
Nよく得られることになる。
よりも深い位置に設定しているため、底面反射によるドリルホールエコー701Cについ
ても焦点が合わせられることになり、この結果、処理後の画像702でも、第二エコーが
観察されている探傷画像が得られ、同じく、第一ドリルホールエコー702Aと第二ドリ
ルホールエコー702Cの強度がほぼ同程度になっていることから、底面700Bよりも
深い位置に超音波を集束させた結果、底面より深い位置でも超音波の拡散減衰による強度
低下が無いことが判り、この点でも本発明による欠陥探傷方法の効果が実証されているこ
とになる。
8により説明する。なお、この図8に示す処理は、計算機102Aに搭載した所定のプロ
グラムにより実行されるものである。
サの焦点深さ、超音波の入射角度範囲を設定した上で探傷を開始する(S800)。次に、
超音波センサ101を検査対象に設置し(S801)、この後、超音波の入射角を振ってセ
クタスキャンを実施し(S802)、次いで各超音波の入射角度での波形を送・受信部10
2により収録し画像化する(S803)。そして、ここで探傷範囲の全ての探傷が終了して
いるか否かを調べる。
の位置に移動し(S804)、S802とS803の処理をn回、つまり全位置の探傷が終
了するまで繰り返す(S805)。こうして全ての探傷範囲、つまり探傷開始位置101A
から探傷終了位置101Cまで範囲の探傷が終了したら、収録した探傷画像のそれぞれを
アレイ型超音波センサ101の移動量分ずらして加算若しくは平均化し(S806)、次い
で加算若しくは平均化して得られた探傷結果を表示部103に表示させ(S807)、処理
を終了するのである(S808)。
の移動量を考慮して個々の探傷画像を構成する場合は、S806の処理では探傷画像をず
らすことなく、そのまま加算若しくは平均化する。なお、このときの処理も計算機102
Aにより実行される。
表示されることになり、従って、以上が本発明の第1の実施形態による第1の処理手順で
ある。
に、次々と加算或いは平均化して表示する処理手順もある。そこで、次に、この場合の処
理について、図9により説明する。
・受信部102に探傷範囲やアレイ型超音波センサの焦点深さ、超音波の入射角度範囲を
設定してから探傷を開始することになる(S900)。そして、次に超音波センサ101を
検査対象に設置し(S901)、この後、超音波の入射角を振ってセクタスキャンを実施し
たら(S902)、次いで各超音波の入射角度での波形を送・受信部102により収録し画
像化する(S903)。
加算若しくは平均化し(S906)、次いで加算若しくは平均化して得られた探傷結果を表
示部103に表示する(S907)。
走査手段107によりアレイ型超音波センサ101を次の位置に移動し(S904)、S9
02からS907までの処理をn回、つまり全位置の探傷が終了するまで繰り返す(S9
05)。そして、全ての探傷範囲、つまり探傷開始位置101Aから探傷終了位置101
Cまで範囲の探傷が終了したら、この後、処理を終了する(S908)。
表示され、よって、これが本発明の実施形態による第2の処理手順であるが、これを図8
に示した第1の手順の場合と比較すると、この第2の処理手順によれば、探傷画像が順次
加算若しくは平均化され、画像表示されるため、検査員は、探傷作業中も随時、処理画像
(処理画像502や処理画像602)をモニタすることができ、従って、作業状況を確認し
ながら探傷できる点に特徴がある。
の実施形態の特徴は、アレイ型超音波センサ1000として、本来のアレイ型センサとし
ての動作に必要とする圧電振動素子104の個数よりも多くの個数の圧電振動素子を並べ
たものを用い、これに応じて、送・受信部102に送信切り切替回路1001Aと受信切
替回路1001Bを設けた点にある。なお、この図10では、圧電振動素子104の各々
から送信切り切替回路1001A及び受信切替回路1001Bに対する接続線の一部につ
いては、図示が省略してある。
より、探傷開始から終了までに必要なアレイ型超音波センサによる超音波の送信位置と受
信位置の移動(走査)が、アレイ型超音波センサ1000の中の素子の電気的な切替えだけ
で得られるようにしたものであり、従って、ここでは、図1の実施形態における走査手段
107は不要で、これに応じて走査手段制御部105と移動量検出部106も不要である
が、その他の構成は、図1の実施形態と同じである。
と呼ばれるものであり、従って、この図10の実施形態によれば、送音波の送信と受信位
置の走査がアレイ型超音波センサ1000の内部で行えるため、第1及び2の実施形態で
は必要とした機械的なセンサの移動手段を必要せず、アレイ型超音波センサ1000を固
定したままで検査対象100の内部が探傷可能になり、この結果、より高速の走査が可能
である。
00を検査対象100の探傷範囲に設置する。このとき探傷範囲の探傷開始位置に圧電振
動素子104の一番端にある素子がくるようにして設置する。そして、一番端の素子から
1回の探傷で使用する個数、例えば16素子、32素子など本来のアレイ型センサとして
の動作に必要とする任意の個数の素子を用いて超音波108の送信とエコーの受信を実施
する。
ンサ1000の内部で圧電振動素子104を少なくとも一素子以上ずらし、1回の探傷に
使用する16個づつの圧電振動素子104を使用して、前述と同様に超音波108を発生
し、超音波の送信と受信を実施して計算機102Aにより探傷画像を生成するまでの動作
を行ない、これを探傷終了位置までn回繰り返えし、n枚の探傷画像を得る。
傷画像を加算或いは平均化する。ここで、1回の探傷ごとに移動する素子数は、任意に決
定することができる。例えば、より詳細な探傷画像を得たい場合には1素子ずつ移動して
探傷画像をできるだけ多く取得すれば良く、ある程度の詳細さで十分な場合には2個以上
の複数素子分づつ移動して探傷を実施すれば良い。
傷画像のピクセル数分だけずらして加算或いは平均化する。そして、このときの素子移動
量は、アレイ型超音波センサ1000の圧電振動子の素子間隔(ピッチ)が既知であるとし
て計算する。ここで、この第3の実施形態における探傷画像の加算或いは平均化方法は、
前に説明した第1及び第2の実施形態で示した方法と同様の方法であるので、ここでの説
明は省略する。
ず、送・受信部102で探傷範囲とアレイ型超音波センサ1000の焦点深さと1回の探
傷に使用する圧電振動素子数、超音波の入射角度範囲を設定して探傷を開始する(S11
00)。次に、超音波センサ1000を検査対象100に設置し(S1101)、超音波の
入射角を振ってセクタスキャンを実施し(S702)、各超音波の入射角度での波形を収録
して計算機102Aにより画像化する(S1103)。
サ1000内部の探傷に使用している複数個(例えば16個)の圧電振動素子104を送信
切替回路1001A及び受信切替回路1001Bにより次の探傷に用いる圧電振動素子に
切替えて超音波の送信と受信位置を移動し(S1104)、セクタスキャンと画像化を全探
傷が終了するまでn回繰り返す(S1105)。
れぞれをアレイ型超音波センサ1000内部での圧電振動素子104の移動量分ずらして
加算若しくは平均化を行う(S1106)。但し、この場合も、図6で説明したように、ア
レイ型超音波センサ101の移動量を考慮して個々の探傷画像を構成する場合には、探傷
画像をずらすことなく加算若しくは平均化を行う。そして、この結果を表示部103に表
示し(S1107)、探傷を終了する(S1108)。
均化して表示する手順もあり、これを図12で説明する。まず、探傷範囲やアレイ型超音
波センサの焦点深さ、超音波の入射角度範囲を設定して探傷を開始する(S1200)。次
に、超音波センサを検査対象に設置し(S1201)、超音波の入射角を振ってセクタスキ
ャンを実施し(S1202)、各超音波の入射角度での波形を収録して計算機102Aによ
り画像化する(S1203)。
電振動素子の移動量分ずらして加算若しくは平均化し(S1206)、表示部に表示するの
である(S1108)。
サ1000内部の探傷に使用している圧電振動素子104を送信切替回路1001A及び
受信切替回路1001Bにより次の探傷に用いる圧電振動素子104に切替えて超音波の
送受信位置を移動させ(S1204)、セクタスキャンと画像化を全探傷が終了するまでn
回繰り返す(S1205)。そして、全ての探傷範囲の探傷が終了したら、探傷を終了する
のである(S1208)。
てアレイ型超音波センサを直線的に移動させたり、或いはアレイ型超音波センサ内部の圧
電振動素子を切替えて超音波送信と受信位置を移動して検査を実施するようにした実施形
態について説明したが、次に、本発明の第4の実施の形態として、検査対象が配管の周方
向にわたる部分のように曲面或いは複雑形状の場合に好適な実施形態について、図13に
より説明する。
械的に走査して、探傷画像を得る場合と、図10の実施形態のように、アレイ型超音波セ
ンサの表面形状そのものが検査対象と同様の形状となっている場合があるが、ここでは前
者による場合について詳述する。従って、この実施形態でも、装置構成は、図1の場合と
同じであり、異なっているのは、走査手段107によるアレイ型超音波センサ101の移
動方向が、図13に示すように、曲面形状の検査対象1300の表面に沿って曲線方向に
なっている点だけである。
からみた断面で示したものであり、これにおいて、一番目の探傷画像(1)1301Aは、
探傷開始位置(1)1302Aにおいて計測した探傷画像であり、i番目の探傷画像(i)13
01Bは探傷位置(i)1302B、n番目の探傷画像(n)1301Cは探傷位置(n)130
2Cにそれぞれ対応しており、従って、各位置でセクタスキャンを実施し探傷した結果、
得られたn枚の探傷画像1301が示されていることになる。
ンサ101を設置した面と底面が略平行な面になっているので、アレイ型超音波センサ1
01の設置位置の直下に底面からのエコー103Iが得られており、このとき底面側から
欠陥が入っている場合には、それぞれの欠陥1304A、1304Bが存在している位置
に対応して、欠陥コーナーエコー1303A及び1303Bと欠陥先端エコー1303C
及び1303Dがそれぞれ観測されている。
から位置1300Bに至までの移動量に相当する画素数だけずらして加算或いは平均化処
理を行う。ここで、第1、第2の実施の形態と異なる点は、検査対象1300が曲面形状
である点であり、この結果、画像を処理する際、この形状の影響を補正する必要がある点
であり、このため、この実施形態では、予め計測しておいた検査対象1300の表面形状
データを計算機102Aに持たせたり、或いは移動量検出部106にアレイ型超音波セン
サ101の角度計測機能を持たせることで探傷画像の加算(或いは平均化)時における画像
の回転補正を行うようになっている。
探傷画像を探傷開始位置からずらしたり、或いは探傷開始位置からの回転角度分だけ回転
して加算或いは平均化を行うことで、回転補正された処理画像1305が得られることに
なる。
ー1303C及び1303Dのそれぞれにおいて、様々な角度から入射した超音波の波面
の重ね合わせにより、真の欠陥位置の信号だけが選択的に残るようにし、これを欠陥位置
の確認や欠陥深さの評価に用いる。さらに表面形状が複雑な場合でも、上記と同様の処理
を行うことで、探傷画像を処理可能である。
探傷範囲やアレイ型超音波センサの焦点深さ、超音波の入射角度範囲を設定して探傷を開
始する(S1400)。次に、アレイ型超音波センサ101を検査対象に設置し(S140
1)、超音波の入射角を振ってセクタスキャンを実施し(S1402)、各超音波の入射角
度での波形を収録して、計算機102Aにより画像化する(S1403)。
101を走査手段107により検査対象1300の表面に沿って移動させ(S1404)、
セクタスキャンと画像化を全探傷が終了するまでn回繰り返す(S1405)。一方、全て
の探傷範囲の探傷が終了していたら、計算機102Aに収録した探傷画像のそれぞれを、
探傷開始位置1300Aからアレイ型超音波センサ101の中心位置の移動量分だけずら
し、且つ探傷開始位置からの回転角度分だけ回転させて加算或いは平均化を行う(S14
06)。そして、この結果を表示部に表示し(S1407)、探傷を終了するのである(S1
408)。
振した超音波の入射角度を変化させて検査対象内部を探傷(セクタスキャン探傷)し、順次
、アレイ型超音波センサの設置位置或いは超音波の送受信位置を移動し、得られた探傷画
像をアレイ型超音波センサ101の移動量或いは超音波の送信と受信位置だけずらしなが
ら各探傷位置で得られた探傷画像を加算或いは平均化して映像化し、様々な角度から入射
した超音波の重ね合わせにより探傷画像を構成することができる。
果が得られるようになり、また、この結果、ほとんど全ての深さ位置で高分解能の探傷画
像が得られるようになり、高精度で非破壊検査を行うことができる。
でセクタスキャンを実施することができ、これにより検査対象が厚く超音波の伝播距離が
長い場合でも、超音波の拡散減衰が抑制できるため、開口合成法の課題であった超音波の
拡散減衰についてもクリアでき、探傷画像のS/Nの向上が得られるようになり、探傷画
像の加算或いは平均化により、電気ノイズなどのランダムなノイズも低減できるため、探
傷画像のS/Nの向上が得られるようになる。
均化といった簡便な手法とすることで、計算機102A上での処理量が軽減でき、処理に
多くの時間を要しないため、検査の現場においても迅速に、高分解能且つ高S/Nの探傷
画像を取得した上で欠陥を評価することができる。
101:アレイ型超音波センサ
101A:探傷開始位置
101B:探傷位置
101C:探傷終了位置
102:送・受信部
102A:計算機
102B:遅延時間制御部
102C:パルサー(パルス発生器)
102D:レシーバ(受信回路部)
102E:データ収録部
103:表示部
103A:任意の超音波入射角度の波形
103B:探傷画像
103C:処理画像
103D:欠陥先端位置
103E:底面位置
103F:探傷画像中の任意の超音波入射角度
103I:底面エコー
103J:欠陥先端エコー
103K:欠陥コーナーエコー
103L:処理内容切替手段
104:圧電振動素子
105:走査手段制御部
106:移動量検出部
107:走査手段
108:超音波
109:超音波入射角度の振り幅
110:欠陥
Claims (7)
- アレイ型超音波センサを用いて検査対象に対する超音波の入射角度を変化させ、該アレイ型超音波センサを前記検査対象に沿って移動させて前記アレイ型超音波センサの設置位置を変え、各前記設置位置において探傷画像を取得し、複数の設置位置での各前記探傷画像を、前記アレイ型超音波センサの移動量分だけずらしながら加算若しくは平均化して一つの画像を生成することを特徴とする超音波探傷方法。
- 請求項1に記載の発明において、
前記探傷画像の加算若しくは平均化に際して、各探傷画像の傾き角度が、前記アレイ型超音波センサの前記設置位置の移動に際して現われる前記検査対象の表面の傾きに応じて補正されることを特徴とする超音波探傷方法。 - アレイ型超音波センサと、
前記アレイ型超音波センサを移動させる走査手段と、
前記アレイ型超音波センサとの間で駆動信号及び受信信号を授受するとともに前記駆動信号に遅延時間を与えて超音波の集束位置及び入射角度を変化させる送受信手段と、
複数の前記超音波送受信位置での各探傷画像に基づいて一つの画像を生成する計算機と、
前記一つの画像を表示する表面手段と、
を備えた超音波探傷装置。 - 複数の圧電振動素子を備えたアレイ型超音波センサと、前記アレイ型超音波センサの各圧電振動素子に送信信号を供給するパルサーと、
前記アレイ型超音波センサの各圧電振動素子から受信信号を入力するレシーバと、前記パルサーから出力される各前記送信信号のタイミング及び前記レシーバによる各前記受信信号の入力タイミングを制御する遅延制御部と、前記受信信号の超音波波形を収録するデータ収録部と、前記アレイ型超音波センサを検査対象に対して走査するセンサ移動手段と、このセンサ移動手段を制御する走査制御部と、前記アレイ型超音波センサの移動量を計測する移動量検出部と、前記データ収録部で収録した波形から探傷画像を生成し前記アレイ型超音波センサの移動量検出部で計測した移動量ずつずらして複数の探傷画像を加算若しくは平均化して一つの画像を生成する画像処理用の計算機と、前記一つの画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする超音波探傷装置。 - 請求項4に記載の発明において、
前記計算機は、前記複数の画像を加算若しくは平均化する際、各探傷画像の傾き角度を前記アレイ型超音波センサの前記検査対象における設置位置の移動に際して現われる前記検査対象の表面の傾きに応じて補正する計算機であることを特徴とする超音波探傷装置。 - 超音波の送受信に必要な個数よりも多い個数の圧電振動素子を備えたアレイ型超音波センサと、超音波の送信を行う各前記圧電振動素子に送信信号を供給するパルサーと、超音波の送信を行う各前記圧電振動素子に前記パルサーの出力が供給されるように、前記アレイ型超音波センサに設けられた各圧電振動素子を電気的に切替える送信切替回路と、超音波を受信する各前記圧電振動素子からの受信信号を入力するレシーバと、超音波を受信する各前記圧電振動素子の受信信号が前記レシーバに入力されるように、前記アレイ型超音波センサに設けられた各圧電振動素子を電気的に切替える受信切替回路と、前記パルサーから出力される前記送信信号のタイミング及び前記レシーバによる前記各受信信号の入力タイミングを制御する遅延制御部と、前記受信信号毎の超音波波形を収録するデータ収録部と、前記データ収録部で収録した波形から探傷画像を生成し、複数の前記各探傷画像を、前記電気的な切替えによる前記圧電振動素子の移動量分ずつずらして加算若しくは平均化して一つの画像を生成する画像処理用の計算機と、前記一つの画像を表示する表示部を備えることを特徴とする超音波探傷装置。
- 請求項4又は請求項6に記載の発明において、
通常の探傷動作と前記加算処理若しくは平均化処理による探傷動作を切替える処理内容切替手段が備えられていることを特徴とする超音波探傷装置。
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