JP6079280B2 - 振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器、及び移動体 - Google Patents

振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器、及び移動体 Download PDF

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本発明は、厚み滑り振動を励振する振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器、及び移動体に関する。
主振動の振動モードとして厚み滑り振動を励振するATカット水晶振動子は、小型化、高周波数化に適し、且つ周波数温度特性が優れた三次曲線を呈するので、発振器、電子機器等の多方面で使用されている。特に、近年では伝送通信機器やOA機器の処理速度の高速化、或いは通信データや処理量の大容量化が進むのに伴い、それに用いられる基準周波数信号源としてのATカット水晶振動子に対し高周波化の要求が強まっている。
特許文献1には、主面の一部に凹陥部を形成して高周波化を図った逆メサ構造のATカット水晶振動子が開示されている。即ち、300MHz以上の基本波振動を得る水晶振動子において、水晶素板の板厚と、電極膜厚を水晶密度に換算した膜厚との比を、7%〜13%とすることにより、良好な周波数温度特性が得られるという。
更に、特許文献2には、特許文献1と同様に主面の一部に凹陥部を形成して高周波化を図った逆メサ構造のATカット水晶振動子が開示されている。即ち、300MHz以上の基本波振動を得る水晶振動子において、水晶素板の板厚と電極膜厚との比を0.014又は0.012以下(前記水晶基板の板厚と、前記電極膜厚を水晶密度に換算した膜厚との比で、19.2%又は16.5%以下)とすることにより、リフロー前後の周波数変化を防止し、良好な周波数温度特性が得られるという。
特開平11−284484号公報 特開2005−203858号公報
ところで、基本波振動が200MHz以上の共振周波数で振動する水晶振動子の小型化、高周波化を図ろうとすると、前述のごとき構造を備えている水晶振動子は、発振回路で要求されるCI(クリスタル・インピーダンス=水晶振動子の等価抵抗)値の要求仕様を満たせない場合が生じるという問題があることが判明した。特に、周波数が200MHz以上の高周波になると、水晶振動子に形成する励振電極、及びリード電極の電極膜厚が主振動のCI値に大きな影響を与える。水晶振動子の主振動のみを閉じ込めモードにしようとすると、電極膜を薄くすることが必要となり、電極膜の薄膜化に伴って電極膜が100nm以下になると、シート抵抗は急激に増大するため、励振電極部やリード電極部で大きなオーミックロス(表面抵抗による抵抗損)が生じ、結果的に水晶振動子のCI値が大きくなるという課題があった。
また、電極膜のオーミックロスを防ぐために膜厚を厚くすると、主振動の他に多くのインハーモニックモードの振動が閉じ込められてしまいスプリアスが発生し、条件によっては主振動のCI値より主振動に近接したスプリアスのCI値の方が小さくなり、発振回路でスプリアスの共振周波数で発振してしまうという課題があった。
したがって本願発明において、振動素子を提供する際の課題は、インハーモニックモードに起因したスプリアスの改善である。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[形態1]本形態に係る振動素子は、厚み滑り振動で振動し、表裏の関係にある第1の主面及び第2の主面を含む基板と、前記第1の主面に配置されている第1の励振電極と、前記第2の主面に配置されている第2の励振電極と、を含み、
前記第1の励振電極は、平面視で、前記第2の励振電極の外縁以内に配置されており、
前記基板の厚さをts、前記第1の励振電極と前記第2の励振電極の厚さの合計をte、前記第2の励振電極の厚さをte2、前記第1の励振電極の厚みすべり振動の振動方向に沿った方向の長さをhx、前記第1の励振電極および前記第2の励振電極の密度をρe、前記基板の密度をρx、前記基板のカットオフ周波数をfs、前記基板に前記第1の励振電極および前記第2の励振電極を配置したときに前記基板で励振される周波数をfe、前記基板のエネルギー閉じ込め係数をM、周波数低下量を△、前記基板の周波数定数をR、前記基板の異方性定数をK、として
M=K×(hx/(2×ts))×√△
△=(fs− fe)/fs
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]
15.5≦M≦36.7
の関係を満たすことを特徴とする。
本形態によれば、基本波の厚み滑り振動モードで励振する高周波の振動素子において、励振電極及びリード電極の薄膜化に伴うオーミックロスの影響によるCI値の劣化を低減し、励振電極の寸法や膜厚により決定されるインハーモニックモードのスプリアスの励振強度を低減することが可能となる。これにより、主振動のCI値は小さくなり、主振動のCIm値に対する近接したスプリアスのCIs値との比、即ちCI値比(CIs/CIm)の大きな振動素子が得られるという効果がある。
[形態2]上記形態に記載の振動素子において、17.1≦M≦35.7の関係を満たすことを特徴とする。
本形態によれば、インハーモニックモードのスプリアスの励振強度をよりいっそう低減することが可能となるという効果がある。
[形態3]上記形態に記載の振動素子において、前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った長さをhzとしたとき、
1.25≦hx/hz≦1.31
の関係を満たすことを特徴とする。
本形態によれば、結晶の異方性により定まる変位方向の変位分布と、それと直交する方向の変位分布が異なる基板を用いた場合、主振動のエネルギー閉じ込めの効率を高めることができる。さらに、振動素子の容量比γ(=C0/C1、ここで、C0は静電容量、C1は直列共振容量)を小さくできる。
ここで、厚み滑り振動の共振周波数が200MHz以上とした場合、厚み滑り振動モードで励振する振動素子は、その周波数が基板の板厚に反比例し決定されるので、200MHz以上の高周波になると基板の板厚が8.4μm以下と非常に薄くなるため、形成する励振電極の膜厚も非常に薄くする必要がある。そのため、電極の薄膜化によるオーミックロスの影響が非常に大きくなり、エネルギー閉じ込め係数Mを前記範囲にすることは、これらの問題を低減できるので、発振回路が必要とするCI値仕様とスプリアス仕様を満足できる振動素子が得られるという効果がある。
[適用例1]本適用例に係る振動素子は、厚み滑り振動で振動し、表裏の関係にある第1の主面及び第2の主面を含む基板と、前記第1の主面に設けられている第1の励振電極と、前記第2の主面に設けられ、平面視で、前記第1の励振電極よりも大きい第2の励振電極と、を含み、
前記第1の励振電極は、平面視で、前記第2の励振電極の外縁内に収まっており、
M=K×(hx/2×ts)×√△
△=(fs−fe)/fs
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]
15.5≦M≦36.7
の関係を満たすことを特徴とする。
但し、Mはエネルギー閉じ込め係数、Kは基板の異方性係数、hxは前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向に沿った長さ、tsは前記基板の厚み、△は周波数低下量、fsは前記基板のカットオフ周波数、feは前記基板に前記励振電極を配置したときの周波数、Rは前記基板の周波数定数、teは前記第1の励振電極と前記第2の励振電極の厚みの合計、te2は前記第2の励振電極の厚み、ρeは前記励振電極の密度、ρxは前記基板の密度である。
本適用例によれば、基本波の厚み滑り振動モードで励振する高周波の振動素子において、励振電極及びリード電極の薄膜化に伴うオーミックロスの影響によるCI値の劣化を低減し、励振電極の寸法や膜厚により決定されるインハーモニックモードのスプリアスの励振強度を低減することが可能となる。これにより、主振動のCI値は小さくなり、主振動のCIm値に対する近接したスプリアスのCIs値との比、即ちCI値比(CIs/CIm)の大きな振動素子が得られるという効果がある。
[適用例2]上記適用例に記載の振動素子において、17.1≦M≦35.7を満たすことを特徴とする。
本適用例によれば、インハーモニックモードのスプリアスの励振強度をよりいっそう低減することが可能となるという効果がある。
[適用例3]上記適用例に記載の振動素子において、前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った長さをhzとしたとき、
1.25≦hx/hz≦1.31
を満たすことを特徴とする。
本適用例によれば、結晶の異方性により定まる変位方向の変位分布と、それと直交する方向の変位分布が異なる基板を用いた場合、主振動のエネルギー閉じ込めの効率を高めることができる。さらに、振動素子の容量比γ(=C0/C1、ここで、C0は静電容量、C1は直列共振容量)を小さくできる。
ここで、厚み滑り振動の共振周波数が200MHz以上とした場合、厚み滑り振動モードで励振する振動素子は、その周波数が基板の板厚に反比例し決定されるので、200MHz以上の高周波になると基板の板厚が8.4μm以下と非常に薄くなるため、形成する励振電極の膜厚も非常に薄くする必要がある。そのため、電極の薄膜化によるオーミックロスの影響が非常に大きくなり、エネルギー閉じ込め係数Mを前記範囲にすることは、これらの問題を低減できるので、発振回路が必要とするCI値仕様とスプリアス仕様を満足できる振動素子が得られるという効果がある。
[適用例4]上記適用例に記載の振動素子において、前記基板は水晶基板であることを特徴とする。
本適用例によれば、水晶基板はQ値が高く、温度特性に優れた振動素子が得られるという効果がある。
[適用例5]上記適用例に記載の振動素子において、前記水晶基板がATカット水晶基板であることを特徴とする。
本適用例によれば、基板に温度特性に優れた切断角度を有しているATカット水晶基板を用いることにより、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術に関する実績や経験が活用でき、特性のばらつきの小さい振動素子の量産が可能になるという効果がある。
[適用例6]本適用例に係る振動子は、上記適用例に記載の振動素子と、前記振動素子を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、振動素子をパッケージに収容することで、信頼性の高い振動子が得られる。たとえば、温度変化や湿度変化等の外乱の影響や汚染による影響を防ぐことができるため、周波数再現性、周波数温度特性、CI温度特性、及び周波数エージング特性に優れた振動子が得られるという効果がる。
[適用例7]本適用例に係る電子デバイスは、上記適用例に記載の振動素子と、前記振動素子を駆動する発振回路と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、基本波で励振する高周波の振動素子を用いて電子デバイスを構成すると、振動素子の容量比が小さいので、周波数可変幅が広がり、更に、S/N比の良好な高周波の電圧制御型発振器が得られるという効果がある。
また、電子デバイスとして発振器、温度補償型発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた発振器を構成できるという効果がある。
[適用例8]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の振動素子を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、上記適用例に記載の振動素子を電子機器に用いることにより、高周波で周波数安定度に優れ、S/N比の良好な基準周波数源を備えた電子機器が構成できるという効果がある。
[適用例9]本適用例に係る移動体は、上記適用例に記載の振動素子を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、信頼性の高い移動体が得られる。
本発明の一実施形態に係る振動素子の構造を示した概略図であり、(a)は平面図、(b)はP−P断面図、(c)はQ−Q断面図。 ATカット水晶基板と結晶軸との関係を説明する図。 電極の膜厚に対する抵抗を示す図。 ATカット水晶振動素子の試作条件と測定結果を示す図。 エネルギー閉じ込め係数Mに対する振動子のCI値を示す図。 エネルギー閉じ込め係数Mに対する振動子の主振動CI値とスプリアスCI値とのCI値比を示す図。 リード電極とパッド電極を厚膜化したATカット水晶振動素子の試作条件とCI値を示す図。 本発明の一実施形態に係る振動子の構造を示した概略図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図。 本発明の一実施形態に係る電子デバイスの構造を示した概略図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図。 本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器を適用したモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図。 本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図。 本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器を適用したディジタルスチールカメラの構成を示す斜視図。 本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図。
以下、本発明の振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器および移動体を図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.振動素子
まず、本発明の振動素子について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動素子の構成を示す概略図であり、図1(a)は振動素子の平面図、図1(b)は図1(a)のP−P断面図、図1(c)は図1(a)のQ−Q断面図である。
振動素子1は、振動部12及び振動部12と一体化され、振動部12の厚みよりも厚い厚肉部13を有する基板10と、振動部12の両主面(±Y’方向の表裏面)に夫々対向するようにして形成された励振電極25a,25bと、励振電極25a,25bから厚肉部に設けられたパッド電極29a,29bに向けて、夫々延出されて形成されたリード電極27a,27bと、を備えている。
基板10は、矩形状をなし、且つ肉薄でY’軸に直交し厚みが一定である平板状の振動部12と、振動部12の一辺を除いた三辺に沿って一体化された第1の厚肉部14、第2の厚肉部15、及び第3の厚肉部16(第1、第2及び第3の厚肉部14,15,16とも称する)からなる厚肉部13と、支持固定した際に生じるマウント応力を振動部12に伝わるのを防止するためのスリット17と、を備えている。
なお、第1の厚肉本体14a、第2の厚肉本体15a、及び第3の厚肉本体16a(第1、第2及び第3の厚肉本体14a,15a,16aとも称する)とは、Y’軸に平行な厚みが一定である領域をいう。
また、第1の傾斜部14b、第2の傾斜部15b、及び第3の傾斜部16b(第1、第2及び第3の傾斜部14b,15b,16bとも称する)とは、第1、第2及び第3の厚肉本体14a,15a,16aと、振動部12と、の間に生じる傾斜面をいう。
振動部12の一方の主面と、第1、第2及び第3の厚肉部14,15,16の夫々の一方の面とは、同一平面上、即ち図1に示す座標軸のX−Z’平面上にあり、この面(図1(b)の−Y’方向にある下面側)をフラット面(平坦面)といい、凹陥部11を有する反対側の面(図1(b)の+Y’方向にある上面側)を凹陥面という。
励振電極25a,25bは、図1に示す実施形態例では矩形状であり、振動部12のほぼ中央部の両主面(表面及び裏面)に平面視で重なるように夫々形成されている。第1の励振電極としての励振電極25aと、第2の励振電極としての励振電極25bは大きさが異なり、励振電極25bの方が励振電極25aよりも大きい。振動部12において実際に励振する領域は、励振電極25aと励振電極25bとにより挟まれている領域である。つまり、励振電極25b(第2の励振電極)において、実際に振動部12を励振させることに寄与する領域は、平面視で励振電極25a(第1の励振電極)と重なる部分である。すなわち、第2の励振電極は、励振に寄与する電極と、当該励振に寄与する電極の外縁に一体化されている励振に寄与しない電極とから構成されている。
リード電極27aは、凹陥面に形成した励振電極25aから延出し、振動部12上から第3の傾斜部16bと、第3の厚肉本体16aとを経由して、第2の厚肉本体15aの凹陥面に形成されたパッド電極29aに導通接続されている。また、リード電極27bは、フラット面に形成された励振電極25bから延出し、基板10のフラット面の端縁部を経由して、第2の厚肉本体15aのフラット面に形成されたパッド電極29bと導通接続されている。
なお、励振電極25a,25bは、リード電極27a,27bと接続している部分について、励振電極形状の外縁(外辺)に沿った延長線(仮想線)を境界として形状や面積として説明する。
図1(a)に示した実施形態例は、リード電極27a,27bの引出し構造の一例であり、リード電極27aは他の厚肉部を経由してもよい。ただ、リード電極27a,27bの長さは最短であることが望ましく、リード電極27a,27b同士が基板10を挟んで交差しないように配慮することにより静電容量の増加を抑えることが望ましい。
また、励振電極25a,25b、リード電極27a,27b、パッド電極29a,29bは、蒸着装置、あるいはスパッタ装置等を用いて、例えば、下地層としてニッケル(Ni)を成膜し、その上に上地層として金(Au)を重ねて成膜してある。なお、電極材料として、下地層のニッケル(Ni)の代わりにクロム(Cr)、また、上地層の金(Au)の代わりに銀(Ag)、白金(Pt)を用いても構わない。
水晶等の圧電材料は三方晶系に属し、図2に示すように互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有する。X軸、Y軸、Z軸は、夫々電気軸、機械軸、光学軸と呼称される。そして水晶基板は、XZ面をX軸の回りに所定の角度θだけ回転させた平面に沿って、水晶から切り出された「回転Yカット水晶基板」が基板10として用いられる。例えば、ATカット水晶基板の場合は、角度θは略35°15’である。なお、Y軸及びZ軸もX軸の周りにθ回転させて、夫々Y’軸及びZ’軸とする。従って、ATカット水晶基板は、直交する結晶軸X,Y’,Z’を有する。ATカット水晶基板は、厚み方向がY’軸であって、Y’軸に直交するXZ’面(X軸及びZ’軸を含む面)が主面であり、厚み滑り振動が主振動として励振される。
即ち、基板10は、図2に示すようにX軸(電気軸)、Y軸(機械軸)、Z軸(光学軸)からなる直交座標系のX軸を回転軸として、前記Z軸を前記Y軸の−Y方向へ+Z側が回転するように傾けた軸をZ’軸、前記Y軸を前記Z軸の+Z方向へ+Y側が回転するように傾けた軸をY’軸とし、前記X軸及び前記Z’軸を含む面を主面とし、前記Y’軸に沿った方向を厚みとする「回転Yカット水晶基板」である。
なお、本実施形態例に係る基板10は、角度θが略35°15’のATカットに限定されるものではなく、厚み滑り振動を励振するBTカット等の基板にも広く適用できる。
更に、振動部12の外縁に沿って厚肉部を設けた例を用いて説明したが、これに限らず、振動部12の外縁全周に沿って厚肉部を設けた基板や厚肉部が設けられていない平板状の基板にも広く適用できる。
一般的に厚み滑り振動モードは基板上に部分電極を形成するか、厚み差を設けると、その部分近傍に振動エネルギーを閉じ込めることができ、安定した共振周波数を得ることができる。この場合の閉じ込めモードの共振周波数は、基板の板厚tsや励振電極の膜厚teと寸法hxにより求まるエネルギー閉じ込め係数Mの関数として表される。
エネルギー閉じ込め係数Mは、下記式(1)で表される。
M=K×(hx/2×ts)×√△・・・(1)
ここで、Kは基板の異方性係数(ATカット基板の場合は1.538)、hxは励振電極の厚み滑り振動の変位方向に沿った寸法、tsは基板の厚み、△は周波数低下量である。尚、hxは、励振電極が円形や楕円形のように形状が矩形でない場合は、厚み滑り振動モードの変位方向に沿った長さのうち最大値を寸法とする。
また、周波数低下量△は下記式(2)で表される。
△=(fs−fe)/fs・・・(2)
ここで、fsは基板のカットオフ周波数、feは基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数である。
なお、表裏の励振電極の形状と面積が同一の場合、基板のカットオフ周波数fsは下記式(3)で、基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数feは下記式(4)で表される。
fs=R/ts・・・(3)
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]・・・(4)
ここで、Rは基板の周波数定数、tsは基板の厚み、teは表裏の励振電極の厚みの合計、ρeは励振電極の密度、ρxは基板の密度である。
また、表裏の励振電極の形状と面積が異なる場合、基板のカットオフ周波数fsは下記式(5)で、基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数feは下記式(6)で表される。
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]・・・(5)
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]・・・(6)
ここで、Rは基板の周波数定数、tsは基板の厚み、te2は面積の大きい方の励振電極の厚み、teは表裏の励振電極の厚みの合計、ρeは励振電極の密度、ρxは基板の密度である。また、式(1)において、hxは面積の小さい方の励振電極の厚み滑り振動の変位方向に沿った寸法とする。
式(1)乃至式(6)より、表裏の励振電極の形状と面積が異なる場合は、基板の厚みtsや励振電極の厚みteと寸法hx等が同一条件である場合、表裏の励振電極の形状と面積が同一の場合に比べ、面積の大きい方の励振電極の厚みが基板の厚みに加わることになるため、その結果、基板が厚くなることによって、基板のカットオフ周波数fsが低下することとなる。そのため、周波数低下量△が小さくなるので、エネルギー閉じ込め係数Mは小さくなり、インハーモニックモードのスプリアスを低減し易くなる。
また、エネルギー閉じ込め係数Mを同一とした場合には、表裏の励振電極の形状と面積が同一の場合に比べ、励振電極の膜厚teを厚くすることができる。
一般的にATカット水晶基板の厚み滑り振動モードにおいて、基本波の単一モードを閉じ込める条件はエネルギー閉じ込め係数M=2.8以下と言われている。
例えば、491MHz帯の共振周波数で共振するATカット水晶振動素子は、励振電極寸法hx=0.30mmとした場合、エネルギー閉じ込め係数M=2.8となる励振電極の膜厚が約1nmと非常に薄く、製造上実現不可能な膜厚となり、例え実現できたとしても電極薄膜化によるオーミックロスの影響によりCI値が非常に大きくなり発振回路で発振することはできない。
そこで、高周波においては電極膜厚のオーミックロスを避けるように成膜する(膜厚を厚くする)と、主振動だけを閉じ込めるエネルギー閉じ込め係数M=2.8から大幅に大きくなるため、主振動以外に低次のインハーモニックモードのスプリアスが閉じ込められることは避けられない。しかし、閉じ込められたスプリアスの最小のCI値と主振動CI値とのCI値比が1.8以上であればインハーモニックモードのスプリアスで発振することは理論上無いと言える。そこで、本願発明者は、主振動のCI値が20Ω以下と小さくし、主振動のCI値とスプリアスのCI値とのCI値比について製造ばらつきを考慮して2.0以上とすれば、発振回路の要求仕様を満たし発振することが可能となるので実用化が可能であることに思い至った。
図3はニッケル(Ni)を下地層とし、上地層としての金(Au)層の厚みとシート抵抗値を示したものである。下地層のニッケル(Ni)層の厚みを7nmで一定とし、金(Au)の厚みを45nm〜150nmに変化させた場合のシート抵抗の測定結果である。図3より、厚みが90nm以下になるとシート抵抗が急激に増大することが判る。従って、エネルギー閉じ込め係数Mを決定する励振電極膜厚以外で、オーミックロスの影響で主振動のCI値が大きくなるのを防ぐためにはリード電極27a,27bやパッド電極29a,29bの膜厚を大きくする必要がある。特に、リード電極部はパット部に比べ、細く長いためオーミックロスの影響は大きい。例えば、リード電極部の長さを10□(正方形を10個接続した長さ)と仮定した場合、リード電極部の抵抗値を2Ω以下とするには、図3より、シート抵抗が0.2Ω/□となる電極の厚みを150nm以上とする必要がある。
図1(a)に示した実施形態例では、凹陥面側(図1(b)の表面側)の励振電極25aの平面形状は、フラット面側(図1(b)の裏面側)の励振電極25bの外形形状の外縁内に収まる大きさに設定してある。つまり、励振電極25aは励振電極25bより小さな形状に形成されている。これは、励振電極の質量負荷効果によるエネルギー閉じ込め係数Mを、必要以上に大きくしないためである。つまり、裏面側(下面側)の励振電極25bを大きくすることにより、周波数低下量Δは、表面側(上面側)の励振電極25aの質量負荷効果のみに依存するためエネルギー閉じ込め係数Mは、ほぼ半減する。よって、閉じ込められるインハーモニックモードのスプリアスを少なくすることができる。
例えば、励振電極25a,25bが表裏同一の形状と面積の場合に電極膜厚を表裏それぞれ60nmとすると、励振電極25a,25bの表裏の形状と面積が異なる場合、エネルギー閉じ込め係数Mを前記表裏同一の形状と面積の場合と同等にするためには表裏の電極膜厚がそれぞれ120nmとなる。それぞれの電極膜厚における励振電極部分の抵抗値を計算すると、図3より、前記表裏同一の形状と面積の場合は電極膜厚60nmのシート抵抗が1.2Ω/□であるため、表裏の励振電極部での抵抗値は約2.4Ωとなる。それに対し、前記表裏の形状と面積が異なる場合は電極膜厚120nmのシート抵抗が0.3Ω/□となり、表裏の励振電極部での抵抗値は約0.6Ωとなる。従って、同等のエネルギー閉じ込め係数Mを有する振動素子を設計する場合、励振電極の表裏の形状と面積が異なる設計ではオーミックロスの影響を約1/4とすることができるのでCI値低下に有利
である。
図4は図1の実施形態例で試作した246MHz〜491MHz帯の共振周波数で振動するATカット水晶振動素子の試作条件と測定結果を示したものである。
表裏の励振電極25a,25bは下地層としてのニッケル(Ni)層の厚みを7nmで一定とし、上地層としての金(Au)層の厚みを45nm〜120nmとしている。励振電極25aの寸法は、hx/hz=1.28を中心として、1.25≦hx/hz≦1.31を満足するように、hxを0.14mm〜0.70mm、hzを0.11mm〜0.56mmとしている。尚、hzは励振電極25aの厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った寸法(長さ)である。
また、表裏のリード電極27a,27bとパッド電極29a,29bはオーミックロスの影響を回避するために励振電極と同等の厚みを形成した上層部に、厚みが7nmのニッケル(Ni)の層を積層し、その上に厚みが200nmの金(Au)層を積層している。
ここで、図4に示す試作条件は、前述の式(1)、(2)、(5)、(6)を満たしている。
M=K×(hx/2×ts)×√△・・・(1)
△=(fs− fe)/fs・・・(2)
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]・・・(5)
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]・・・(6)
尚、各パラメータは以下の通りである。
K=1.538
R=1.67(MHz・mm)
ρx=2.649(g/cm3)
ρAu(金の密度)=19.3(g/cm
ρNi(ニッケルの密度)=8.9(g/cm
2層構造からなる励振電極の密度ρeは以下のように算出される。
ρe=(ρAu×tAu+ρNi×tNi)/(tAu+tNi
ここで、tAuは上地層の金(Au)層の厚み、tNiは下地層のニッケル(Ni)層の厚みである。
fsは振動部12のカットオフ周波数、feは振動部12に励振電極を配置したときの周波数である。
図4からエネルギー閉じ込め係数Mは、15.5≦M≦36.7としたとき、主振動のCI値を20(Ω)以下に低減できることが分かる。
図5は図4に示したATカット水晶振動素子のエネルギー閉じ込め係数Mに対するCI値をグラフ上にプロットして示したものである。エネルギー閉じ込め係数Mが大きくなるとCI値は小さくなる傾向を示し、電極膜厚が大きくなることでオーミックロスの影響が小さくなることと、電極面積が大きくなることで励振電荷が多くなり抵抗が小さくなるためと考えられる。
よって、図5より、エネルギー閉じ込め係数Mが17.1以上とすることで、発振回路が必要とするCI値仕様(CI≦20Ω)を満足することができる。
図6は図4に示したATカット水晶振動素子のエネルギー閉じ込め係数Mに対する主振動のCI値(CIm)とスプリアスのCI値(CIs)とのCI値比(CIs/CIm)を示したものである。エネルギー閉じ込め係数Mが大きくなるとCI値比(CIs/CIm)は小さくなる傾向を示し、励振電極の膜厚や面積が大きくなることでインハーモニックモードのスプリアスを強く閉じ込めてしまうためであると考えられる。
図6より、エネルギー閉じ込め係数Mが35.7以下とすることで、発振回路が必要とするスプリアスの仕様(CIs/CIm≧2.0)を満足することができる。
以上の結果から、励振電極25a,25bの表裏の形状と面積が異なる場合、発振回路が必要とするCI値の仕様(CI≦20Ω)とスプリアスの仕様(CIs/CIm≧2.0)を同時に満足できるのはエネルギー閉じ込め係数Mが17.1≦M≦35.7を満たすときであることが判明した。
図1の実施形態例では、励振電極25a,25bの形状として四角形、つまり正方形、又は矩形(X軸方向を長辺とする)の例を示したが、これに限定する必要はない。表面側の励振電極25aが円形や楕円形であり、裏面側の励振電極25bは、励振電極25aより十分に大きな四角形、円形および楕円形であっても良い。
更に、ATカット水晶基板を用いた厚み滑り振動モードの場合、結晶の異方性により定まる変位方向の変位分布と、それと直交する方向の変位分が異なり、その電極寸法比(hx/hz)は約1.28が最も効率が良いと言われているので、その比の楕円形状や矩形形状の励振電極形状が水晶振動素子の容量比γ(=C0/C1、ここで、C0は静電容量、C1は直列共振容量)を最小にできる。
次に、オーミックロスの影響を回避するために表裏のリード電極27a,27bとパッド電極29a,29bを厚膜化した実験結果を図7に示す。厚膜化は励振電極25a,25bと同等の膜厚を形成した上層部に、ニッケル(Ni)膜厚を7nm積層し、その上に金(Au)を膜厚200nm積層し形成している。図7は図1の実施形態例で試作した491MHz帯の共振周波数で振動するATカット水晶振動素子のリード電極膜厚に対するCI値を示したものである。
図7より、リード電極27a,27bとパッド電極29a,29bの膜厚を厚膜化することで、CI値は25.1Ωから13.2Ωへと低減することができる。従って、リード電極27a,27bやパッド電極29a,29bの膜厚化は、振動素子1の低CI化に有効である。特に、細く長くする必要のあるリード電極27a,27bは膜厚化による低CI化の効果が非常に大きい。
2.振動子
次に、前述した振動素子1を適用した振動子(本発明の振動子)について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る振動子の構成を示す図であり、図8(a)は蓋部材を省略した平面図であり、図8(b)は縦断面図である。振動子2は、振動素子1と、振動素子1を収容するために矩形の箱状に形成されているパッケージ本体40と、金属、セラミック、ガラス等から成る蓋部材49と、で構成されている。
パッケージ本体40は、図8に示すように、第1の基板41と、第2の基板42と、第3の基板43と、シールリング44と、実装端子45と、を積層して形成されている。実装端子45は、第1の基板41の外部底面に複数形成されている。第3の基板43は中央部が除去された環状体であり、第3の基板43の上部周縁に例えばコバール等のシールリング44が形成されている。
第3の基板43と第2の基板42とにより、振動素子1を収容する凹部(キャビティ)が形成される。第2の基板42の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47は、振動素子1を載置した際に第2の厚肉本体15aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
振動素子1を固定する際には、先ず、振動素子1を反転(裏返し)してパッド電極29aを導電性接着剤30が塗布された素子搭載パッド47に載置して荷重をかける。導電性接着剤30は経年変化を考慮して脱ガスの少ないポリイミド系接着剤を用いている。
次に、パッケージ本体40に搭載された振動素子1の導電性接着剤30を硬化させるために、所定の温度の高温炉に所定の時間入れる。導電性接着剤30を硬化させた後、反転して上面側になったパッド電極29bと、パッケージ本体40の電極端子48とをボンディングワイヤーBWで導通接続する。図8(b)に示すように、振動素子1をパッケージ本体40に支持・固定する部分は、一カ所(一点)であるため、支持固定により生じるマウント応力の大きさを小さくすることが可能となる。
アニール処理を施した後、励振電極25bに質量を付加するか、又は質量を減じて周波数調整を行う。その後、パッケージ本体40の上面に形成したシールリング44上に、蓋部材49を載置し、減圧雰囲気中、又は窒素ガスの雰囲気中で蓋部材49をシーム溶接して密封し、振動子2が完成する。又は、パッケージ本体40の第3の基板43の上面に塗布した低融点ガラスに蓋部材49を載置し、溶融して密着する方法もある。この場合もパッケージのキャビティ内は減圧雰囲気にするか、又は窒素ガス等の不活性ガスで充填して、振動子2が完成する。
パッド電極29a,29bの間隔をZ’軸方向に離して形成した振動素子1を構成してもよい。この場合も図8で説明した振動子2と同様に振動子を構成することができる。また、パッド電極29a,29bを同一面上に間隔を離して形成した振動素子1を構成してもよい。この場合、振動素子1は、二カ所(二点)に導電性接着剤30を塗布して、導通と支持・固定を図るようにした構造である。低背化に適した構造であるが、導電性接着剤30に起因するマウント応力が少し大きくなる虞がある。
以上の振動子2の実施形態例では、パッケージ本体40に積層板を用いた例を説明したが、パッケージ本体40に単層セラミック板を用い、蓋体に絞り加工を施したキャップを用いて振動子を構成してもよい。
図8に示すように、振動素子1を支持する部位が一点であり、且つ厚肉部13と振動部12の間にスリット17を設けることにより、導電性接着剤30に起因して生じるマウント応力を小さくすることができるため、周波数再現性、周波数温度特性、CI温度特性、及び周波数エージング特性に優れた振動子2が得られるという効果がある。
3.電子デバイス
次に、本発明の振動素子を適用した発振器(本発明の電子デバイス)について説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る電子デバイスの構成を示す図であって、図9(a)は蓋部材を省略した平面図であり、図9(b)は縦断面図である。電子デバイス3は、パッケージ本体50と、蓋部材49と、振動素子1と、振動素子1を励振する発振回路を搭載したIC部品51と、電圧により容量が変化する可変容量素子、温度より抵抗が変化するサーミスター、インダクター等の電子部品52の少なくとも1つと、を備えている。
パッケージ本体50は、図9に示すように、第1の基板61と、第2の基板62と、第3の基板63と、を積層して形成されている。実装端子45は、第1の基板61の外部底面に複数形成されている。第2の基板62と第3の基板63とは中央部が除去された環状体で形成されている。
第1の基板61と、第2の基板62と、第3の基板63と、により、振動素子1、IC部品51、および電子部品52などを収容する凹部(キャビティ)が形成される。第2の基板62の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47は、振動素子1を載置した際に第2の厚肉本体15aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
反転した振動素子1のパッド電極29aを、導電性接着剤(ポリイミド系)30を塗布したパッケージ本体50の素子搭載パッド47に載置し、パッド電極29aと素子搭載パッド47との導通を図る。反転して上面側になったパッド電極29bと、パッケージ本体50の電極端子48とをボンディングワイヤーBWにて接続し、パッケージ本体50の基板間に形成された導体を通じて、IC部品51の1つの電極端子55との導通を図る。IC部品51をパッケージ本体50の所定の位置に固定し、IC部品51の端子と、パッケージ本体50の電極端子55とをボンディングワイヤーBWにて接続する。また、電子部品52は、パッケージ本体50の所定の位置に載置し、金属バンプ等を用いて導体46に接続する。パッケージ本体50を真空、あるいは窒素等の不活性気体で満たし、パッケージ本体50を蓋部材49で密封して電子デバイス3を完成する。
パッド電極29bとパッケージ本体50の電極端子48とをボンディングワイヤーBWで接続する工法は、振動素子1を支持する部位が一カ所(一点)になり、導電性接着剤30に起因して生じるマウント応力を小さくする。また、パッケージ本体50に収容するに当たり、振動素子1を反転して、より大きな励振電極25bを上面にしたので、電子デバイス3の周波数調整が容易となる。
図9に示すように、電子デバイス3を構成することにより、基本波で励振する高周波の振動素子1を用いているので、容量比が小さく、周波数可変幅が広がり、更に、S/N比の良好な電圧制御型発振器が得られるという効果がある。
また、電子デバイス3として発振器、温度補償型発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた発振器を構成できるという効果がある。
4.電子機器
次いで、本発明の一実施形態に係る振動素子を適用した電子機器(本発明の電子機器)について、図10〜図12に基づき、詳細に説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動素子1が内蔵されている。
図11は、本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器としての携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、フィルター、共振器等として機能する振動素子1が内蔵されている。
図12は、本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器としてのディジタルスチールカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチールカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチールカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動素子1が内蔵されている。
なお、本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器は、図10のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図11の携帯電話機、図12のディジタルスチールカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
5.移動体
次に、本発明の振動子を適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。
図13は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、振動子2(振動素子1)が搭載されている。振動子2は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)1510に広く適用できる。
以上、本発明の振動素子、振動子、発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
1…振動素子、2…振動子、3…電子デバイス、10…基板、11…凹陥部、12…振動部、13…厚肉部、14…第1の厚肉部、14a…第1の厚肉本体、14b…第1の傾斜部、15…第2の厚肉部、15a…第2の厚肉本体、15b…第2の傾斜部、16…第3の厚肉部、16a…第3の厚肉本体、16b…第3の傾斜部、17…スリット、25a,25b…励振電極、27a,27b…リード電極、29a,29b…パッド電極、30…導電性接着剤、40…パッケージ本体、41…第1の基板、42…第2の基板、43…第3の基板、44…シールリング、45…実装端子、46…導体、47…素子搭載パッド、48…電極端子、49…蓋部材、50…パッケージ本体、51…IC部品、52…電子部品、55…電極端子、61…第1の基板、62…第2の基板、63…第3の基板、100…表示部、1100…パーソナルコンピューター、1102…キーボード、1104…本体部、1106…表示ユニット、1200…携帯電話機、1202…操作ボタン、1204…受話口、1206…送話口、1300…ディジタルスチールカメラ、1302…ケース、1304…受光ユニット、1306…シャッターボタン、1308…メモリー、1312…ビデオ信号出力端子、1314…入出力端子、1430…テレビモニター、1440…パーソナルコンピューター、1500…自動車、1510…電子制御ユニット。

Claims (9)

  1. 厚み滑り振動で振動し、表裏の関係にある第1の主面及び第2の主面を含む基板と、
    前記第1の主面に配置されている第1の励振電極と、
    前記第2の主面に配置さている第2の励振電極と、
    を含み、
    前記第1の励振電極は、平面視で、前記第2の励振電極の外縁内に配置されており、
    前記基板の厚さをts、前記第1の励振電極と前記第2の励振電極の厚さの合計をte、前記第2の励振電極の厚さをte2、前記第1の励振電極の厚みすべり振動の振動方向に沿った方向の長さをhx、前記第1の励振電極および前記第2の励振電極の密度をρe、前記基板の密度をρx、前記基板のカットオフ周波数をfs、前記基板に前記第1の励振電極および前記第2の励振電極を配置したときに前記基板で励振される周波数をfe、前記基板のエネルギー閉じ込め係数をM、周波数低下量を△、前記基板の周波数定数をR、前記基板の異方性定数をK、として
    M=K×(hx/2×ts)×√△
    △=(fs−fe)/fs
    fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]
    fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]
    15.5≦M≦36.7
    の関係を満たすことを特徴とする振動素子
  2. 請求項1において、
    17.1≦M≦35.7
    の関係を満たすことを特徴とする振動素子。
  3. 請求項1又は2において、
    前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った長さをhzとしたとき、
    1.25≦hx/hz≦1.31
    の関係を満たすことを特徴とする振動素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記基板は水晶基板であることを特徴とする振動素子。
  5. 請求項4において、
    前記水晶基板がATカット水晶基板であることを特徴とする振動素子。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子と、
    前記振動素子を収容するパッケージと、
    を備えていることを特徴とする振動子。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子と、
    前記振動素子を駆動する発振回路と、
    を備えていることを特徴とする電子デバイス。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
  9. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする移動体。
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