JP6079280B2 - 振動素子、振動子、電子デバイス、電子機器、及び移動体 - Google Patents
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更に、特許文献2には、特許文献1と同様に主面の一部に凹陥部を形成して高周波化を図った逆メサ構造のATカット水晶振動子が開示されている。即ち、300MHz以上の基本波振動を得る水晶振動子において、水晶素板の板厚と電極膜厚との比を0.014又は0.012以下(前記水晶基板の板厚と、前記電極膜厚を水晶密度に換算した膜厚との比で、19.2%又は16.5%以下)とすることにより、リフロー前後の周波数変化を防止し、良好な周波数温度特性が得られるという。
また、電極膜のオーミックロスを防ぐために膜厚を厚くすると、主振動の他に多くのインハーモニックモードの振動が閉じ込められてしまいスプリアスが発生し、条件によっては主振動のCI値より主振動に近接したスプリアスのCI値の方が小さくなり、発振回路でスプリアスの共振周波数で発振してしまうという課題があった。
したがって本願発明において、振動素子を提供する際の課題は、インハーモニックモードに起因したスプリアスの改善である。
[形態1]本形態に係る振動素子は、厚み滑り振動で振動し、表裏の関係にある第1の主面及び第2の主面を含む基板と、前記第1の主面に配置されている第1の励振電極と、前記第2の主面に配置されている第2の励振電極と、を含み、
前記第1の励振電極は、平面視で、前記第2の励振電極の外縁以内に配置されており、
前記基板の厚さをts、前記第1の励振電極と前記第2の励振電極の厚さの合計をte、前記第2の励振電極の厚さをte2、前記第1の励振電極の厚みすべり振動の振動方向に沿った方向の長さをhx、前記第1の励振電極および前記第2の励振電極の密度をρe、前記基板の密度をρx、前記基板のカットオフ周波数をfs、前記基板に前記第1の励振電極および前記第2の励振電極を配置したときに前記基板で励振される周波数をfe、前記基板のエネルギー閉じ込め係数をM、周波数低下量を△、前記基板の周波数定数をR、前記基板の異方性定数をK、として
M=K×(hx/(2×ts))×√△
△=(fs− fe)/fs
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]
15.5≦M≦36.7
の関係を満たすことを特徴とする。
本形態によれば、基本波の厚み滑り振動モードで励振する高周波の振動素子において、励振電極及びリード電極の薄膜化に伴うオーミックロスの影響によるCI値の劣化を低減し、励振電極の寸法や膜厚により決定されるインハーモニックモードのスプリアスの励振強度を低減することが可能となる。これにより、主振動のCI値は小さくなり、主振動のCIm値に対する近接したスプリアスのCIs値との比、即ちCI値比(CIs/CIm)の大きな振動素子が得られるという効果がある。
[形態2]上記形態に記載の振動素子において、17.1≦M≦35.7の関係を満たすことを特徴とする。
本形態によれば、インハーモニックモードのスプリアスの励振強度をよりいっそう低減することが可能となるという効果がある。
[形態3]上記形態に記載の振動素子において、前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った長さをhzとしたとき、
1.25≦hx/hz≦1.31
の関係を満たすことを特徴とする。
本形態によれば、結晶の異方性により定まる変位方向の変位分布と、それと直交する方向の変位分布が異なる基板を用いた場合、主振動のエネルギー閉じ込めの効率を高めることができる。さらに、振動素子の容量比γ(=C0/C1、ここで、C0は静電容量、C1は直列共振容量)を小さくできる。
ここで、厚み滑り振動の共振周波数が200MHz以上とした場合、厚み滑り振動モードで励振する振動素子は、その周波数が基板の板厚に反比例し決定されるので、200MHz以上の高周波になると基板の板厚が8.4μm以下と非常に薄くなるため、形成する励振電極の膜厚も非常に薄くする必要がある。そのため、電極の薄膜化によるオーミックロスの影響が非常に大きくなり、エネルギー閉じ込め係数Mを前記範囲にすることは、これらの問題を低減できるので、発振回路が必要とするCI値仕様とスプリアス仕様を満足できる振動素子が得られるという効果がある。
前記第1の励振電極は、平面視で、前記第2の励振電極の外縁内に収まっており、
M=K×(hx/2×ts)×√△
△=(fs−fe)/fs
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]
15.5≦M≦36.7
の関係を満たすことを特徴とする。
但し、Mはエネルギー閉じ込め係数、Kは基板の異方性係数、hxは前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向に沿った長さ、tsは前記基板の厚み、△は周波数低下量、fsは前記基板のカットオフ周波数、feは前記基板に前記励振電極を配置したときの周波数、Rは前記基板の周波数定数、teは前記第1の励振電極と前記第2の励振電極の厚みの合計、te2は前記第2の励振電極の厚み、ρeは前記励振電極の密度、ρxは前記基板の密度である。
1.25≦hx/hz≦1.31
を満たすことを特徴とする。
ここで、厚み滑り振動の共振周波数が200MHz以上とした場合、厚み滑り振動モードで励振する振動素子は、その周波数が基板の板厚に反比例し決定されるので、200MHz以上の高周波になると基板の板厚が8.4μm以下と非常に薄くなるため、形成する励振電極の膜厚も非常に薄くする必要がある。そのため、電極の薄膜化によるオーミックロスの影響が非常に大きくなり、エネルギー閉じ込め係数Mを前記範囲にすることは、これらの問題を低減できるので、発振回路が必要とするCI値仕様とスプリアス仕様を満足できる振動素子が得られるという効果がある。
また、電子デバイスとして発振器、温度補償型発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた発振器を構成できるという効果がある。
[適用例9]本適用例に係る移動体は、上記適用例に記載の振動素子を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、信頼性の高い移動体が得られる。
1.振動素子
まず、本発明の振動素子について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動素子の構成を示す概略図であり、図1(a)は振動素子の平面図、図1(b)は図1(a)のP−P断面図、図1(c)は図1(a)のQ−Q断面図である。
振動素子1は、振動部12及び振動部12と一体化され、振動部12の厚みよりも厚い厚肉部13を有する基板10と、振動部12の両主面(±Y’方向の表裏面)に夫々対向するようにして形成された励振電極25a,25bと、励振電極25a,25bから厚肉部に設けられたパッド電極29a,29bに向けて、夫々延出されて形成されたリード電極27a,27bと、を備えている。
なお、第1の厚肉本体14a、第2の厚肉本体15a、及び第3の厚肉本体16a(第1、第2及び第3の厚肉本体14a,15a,16aとも称する)とは、Y’軸に平行な厚みが一定である領域をいう。
また、第1の傾斜部14b、第2の傾斜部15b、及び第3の傾斜部16b(第1、第2及び第3の傾斜部14b,15b,16bとも称する)とは、第1、第2及び第3の厚肉本体14a,15a,16aと、振動部12と、の間に生じる傾斜面をいう。
振動部12の一方の主面と、第1、第2及び第3の厚肉部14,15,16の夫々の一方の面とは、同一平面上、即ち図1に示す座標軸のX−Z’平面上にあり、この面(図1(b)の−Y’方向にある下面側)をフラット面(平坦面)といい、凹陥部11を有する反対側の面(図1(b)の+Y’方向にある上面側)を凹陥面という。
リード電極27aは、凹陥面に形成した励振電極25aから延出し、振動部12上から第3の傾斜部16bと、第3の厚肉本体16aとを経由して、第2の厚肉本体15aの凹陥面に形成されたパッド電極29aに導通接続されている。また、リード電極27bは、フラット面に形成された励振電極25bから延出し、基板10のフラット面の端縁部を経由して、第2の厚肉本体15aのフラット面に形成されたパッド電極29bと導通接続されている。
なお、励振電極25a,25bは、リード電極27a,27bと接続している部分について、励振電極形状の外縁(外辺)に沿った延長線(仮想線)を境界として形状や面積として説明する。
また、励振電極25a,25b、リード電極27a,27b、パッド電極29a,29bは、蒸着装置、あるいはスパッタ装置等を用いて、例えば、下地層としてニッケル(Ni)を成膜し、その上に上地層として金(Au)を重ねて成膜してある。なお、電極材料として、下地層のニッケル(Ni)の代わりにクロム(Cr)、また、上地層の金(Au)の代わりに銀(Ag)、白金(Pt)を用いても構わない。
なお、本実施形態例に係る基板10は、角度θが略35°15’のATカットに限定されるものではなく、厚み滑り振動を励振するBTカット等の基板にも広く適用できる。
更に、振動部12の外縁に沿って厚肉部を設けた例を用いて説明したが、これに限らず、振動部12の外縁全周に沿って厚肉部を設けた基板や厚肉部が設けられていない平板状の基板にも広く適用できる。
エネルギー閉じ込め係数Mは、下記式(1)で表される。
M=K×(hx/(2×ts))×√△・・・(1)
ここで、Kは基板の異方性係数(ATカット基板の場合は1.538)、hxは励振電極の厚み滑り振動の変位方向に沿った寸法、tsは基板の厚み、△は周波数低下量である。尚、hxは、励振電極が円形や楕円形のように形状が矩形でない場合は、厚み滑り振動モードの変位方向に沿った長さのうち最大値を寸法とする。
また、周波数低下量△は下記式(2)で表される。
△=(fs−fe)/fs・・・(2)
ここで、fsは基板のカットオフ周波数、feは基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数である。
なお、表裏の励振電極の形状と面積が同一の場合、基板のカットオフ周波数fsは下記式(3)で、基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数feは下記式(4)で表される。
fs=R/ts・・・(3)
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]・・・(4)
ここで、Rは基板の周波数定数、tsは基板の厚み、teは表裏の励振電極の厚みの合計、ρeは励振電極の密度、ρxは基板の密度である。
また、表裏の励振電極の形状と面積が異なる場合、基板のカットオフ周波数fsは下記式(5)で、基板全面に励振電極を成膜した場合の周波数feは下記式(6)で表される。
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]・・・(5)
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]・・・(6)
ここで、Rは基板の周波数定数、tsは基板の厚み、te2は面積の大きい方の励振電極の厚み、teは表裏の励振電極の厚みの合計、ρeは励振電極の密度、ρxは基板の密度である。また、式(1)において、hxは面積の小さい方の励振電極の厚み滑り振動の変位方向に沿った寸法とする。
また、エネルギー閉じ込め係数Mを同一とした場合には、表裏の励振電極の形状と面積が同一の場合に比べ、励振電極の膜厚teを厚くすることができる。
例えば、491MHz帯の共振周波数で共振するATカット水晶振動素子は、励振電極寸法hx=0.30mmとした場合、エネルギー閉じ込め係数M=2.8となる励振電極の膜厚が約1nmと非常に薄く、製造上実現不可能な膜厚となり、例え実現できたとしても電極薄膜化によるオーミックロスの影響によりCI値が非常に大きくなり発振回路で発振することはできない。
そこで、高周波においては電極膜厚のオーミックロスを避けるように成膜する(膜厚を厚くする)と、主振動だけを閉じ込めるエネルギー閉じ込め係数M=2.8から大幅に大きくなるため、主振動以外に低次のインハーモニックモードのスプリアスが閉じ込められることは避けられない。しかし、閉じ込められたスプリアスの最小のCI値と主振動CI値とのCI値比が1.8以上であればインハーモニックモードのスプリアスで発振することは理論上無いと言える。そこで、本願発明者は、主振動のCI値が20Ω以下と小さくし、主振動のCI値とスプリアスのCI値とのCI値比について製造ばらつきを考慮して2.0以上とすれば、発振回路の要求仕様を満たし発振することが可能となるので実用化が可能であることに思い至った。
である。
表裏の励振電極25a,25bは下地層としてのニッケル(Ni)層の厚みを7nmで一定とし、上地層としての金(Au)層の厚みを45nm〜120nmとしている。励振電極25aの寸法は、hx/hz=1.28を中心として、1.25≦hx/hz≦1.31を満足するように、hxを0.14mm〜0.70mm、hzを0.11mm〜0.56mmとしている。尚、hzは励振電極25aの厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った寸法(長さ)である。
また、表裏のリード電極27a,27bとパッド電極29a,29bはオーミックロスの影響を回避するために励振電極と同等の厚みを形成した上層部に、厚みが7nmのニッケル(Ni)の層を積層し、その上に厚みが200nmの金(Au)層を積層している。
ここで、図4に示す試作条件は、前述の式(1)、(2)、(5)、(6)を満たしている。
M=K×(hx/(2×ts))×√△・・・(1)
△=(fs− fe)/fs・・・(2)
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]・・・(5)
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]・・・(6)
尚、各パラメータは以下の通りである。
K=1.538
R=1.67(MHz・mm)
ρx=2.649(g/cm3)
ρAu(金の密度)=19.3(g/cm3)
ρNi(ニッケルの密度)=8.9(g/cm3)
2層構造からなる励振電極の密度ρeは以下のように算出される。
ρe=(ρAu×tAu+ρNi×tNi)/(tAu+tNi)
ここで、tAuは上地層の金(Au)層の厚み、tNiは下地層のニッケル(Ni)層の厚みである。
fsは振動部12のカットオフ周波数、feは振動部12に励振電極を配置したときの周波数である。
図4からエネルギー閉じ込め係数Mは、15.5≦M≦36.7としたとき、主振動のCI値を20(Ω)以下に低減できることが分かる。
よって、図5より、エネルギー閉じ込め係数Mが17.1以上とすることで、発振回路が必要とするCI値仕様(CI≦20Ω)を満足することができる。
図6より、エネルギー閉じ込め係数Mが35.7以下とすることで、発振回路が必要とするスプリアスの仕様(CIs/CIm≧2.0)を満足することができる。
更に、ATカット水晶基板を用いた厚み滑り振動モードの場合、結晶の異方性により定まる変位方向の変位分布と、それと直交する方向の変位分が異なり、その電極寸法比(hx/hz)は約1.28が最も効率が良いと言われているので、その比の楕円形状や矩形形状の励振電極形状が水晶振動素子の容量比γ(=C0/C1、ここで、C0は静電容量、C1は直列共振容量)を最小にできる。
図7より、リード電極27a,27bとパッド電極29a,29bの膜厚を厚膜化することで、CI値は25.1Ωから13.2Ωへと低減することができる。従って、リード電極27a,27bやパッド電極29a,29bの膜厚化は、振動素子1の低CI化に有効である。特に、細く長くする必要のあるリード電極27a,27bは膜厚化による低CI化の効果が非常に大きい。
次に、前述した振動素子1を適用した振動子(本発明の振動子)について説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る振動子の構成を示す図であり、図8(a)は蓋部材を省略した平面図であり、図8(b)は縦断面図である。振動子2は、振動素子1と、振動素子1を収容するために矩形の箱状に形成されているパッケージ本体40と、金属、セラミック、ガラス等から成る蓋部材49と、で構成されている。
パッケージ本体40は、図8に示すように、第1の基板41と、第2の基板42と、第3の基板43と、シールリング44と、実装端子45と、を積層して形成されている。実装端子45は、第1の基板41の外部底面に複数形成されている。第3の基板43は中央部が除去された環状体であり、第3の基板43の上部周縁に例えばコバール等のシールリング44が形成されている。
第3の基板43と第2の基板42とにより、振動素子1を収容する凹部(キャビティ)が形成される。第2の基板42の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47は、振動素子1を載置した際に第2の厚肉本体15aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
アニール処理を施した後、励振電極25bに質量を付加するか、又は質量を減じて周波数調整を行う。その後、パッケージ本体40の上面に形成したシールリング44上に、蓋部材49を載置し、減圧雰囲気中、又は窒素ガスの雰囲気中で蓋部材49をシーム溶接して密封し、振動子2が完成する。又は、パッケージ本体40の第3の基板43の上面に塗布した低融点ガラスに蓋部材49を載置し、溶融して密着する方法もある。この場合もパッケージのキャビティ内は減圧雰囲気にするか、又は窒素ガス等の不活性ガスで充填して、振動子2が完成する。
以上の振動子2の実施形態例では、パッケージ本体40に積層板を用いた例を説明したが、パッケージ本体40に単層セラミック板を用い、蓋体に絞り加工を施したキャップを用いて振動子を構成してもよい。
次に、本発明の振動素子を適用した発振器(本発明の電子デバイス)について説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る電子デバイスの構成を示す図であって、図9(a)は蓋部材を省略した平面図であり、図9(b)は縦断面図である。電子デバイス3は、パッケージ本体50と、蓋部材49と、振動素子1と、振動素子1を励振する発振回路を搭載したIC部品51と、電圧により容量が変化する可変容量素子、温度より抵抗が変化するサーミスター、インダクター等の電子部品52の少なくとも1つと、を備えている。
第1の基板61と、第2の基板62と、第3の基板63と、により、振動素子1、IC部品51、および電子部品52などを収容する凹部(キャビティ)が形成される。第2の基板62の上面の所定の位置には、導体46により実装端子45と電気的に導通する複数の素子搭載パッド47が設けられている。素子搭載パッド47は、振動素子1を載置した際に第2の厚肉本体15aに形成したパッド電極29aに対応するように配置されている。
パッド電極29bとパッケージ本体50の電極端子48とをボンディングワイヤーBWで接続する工法は、振動素子1を支持する部位が一カ所(一点)になり、導電性接着剤30に起因して生じるマウント応力を小さくする。また、パッケージ本体50に収容するに当たり、振動素子1を反転して、より大きな励振電極25bを上面にしたので、電子デバイス3の周波数調整が容易となる。
また、電子デバイス3として発振器、温度補償型発振器等を構成することが可能であり、周波数再現性、エージング特性、周波数温度特性に優れた発振器を構成できるという効果がある。
次いで、本発明の一実施形態に係る振動素子を適用した電子機器(本発明の電子機器)について、図10〜図12に基づき、詳細に説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係る振動素子を備える電子機器としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、フィルター、共振器、基準クロック等として機能する振動素子1が内蔵されている。
ディジタルスチールカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部100が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部100は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCD等を含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部100に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチールカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチールカメラ1300には、フィルター、共振器等として機能する振動素子1が内蔵されている。
次に、本発明の振動子を適用した移動体(本発明の移動体)について説明する。
図13は、本発明の移動体の一例としての自動車を概略的に示す斜視図である。自動車1500には、振動子2(振動素子1)が搭載されている。振動子2は、キーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、等の電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)1510に広く適用できる。
Claims (9)
- 厚み滑り振動で振動し、表裏の関係にある第1の主面及び第2の主面を含む基板と、
前記第1の主面に配置されている第1の励振電極と、
前記第2の主面に配置されている第2の励振電極と、
を含み、
前記第1の励振電極は、平面視で、前記第2の励振電極の外縁以内に配置されており、
前記基板の厚さをts、前記第1の励振電極と前記第2の励振電極の厚さの合計をte、前記第2の励振電極の厚さをte2、前記第1の励振電極の厚みすべり振動の振動方向に沿った方向の長さをhx、前記第1の励振電極および前記第2の励振電極の密度をρe、前記基板の密度をρx、前記基板のカットオフ周波数をfs、前記基板に前記第1の励振電極および前記第2の励振電極を配置したときに前記基板で励振される周波数をfe、前記基板のエネルギー閉じ込め係数をM、周波数低下量を△、前記基板の周波数定数をR、前記基板の異方性定数をK、として
M=K×(hx/(2×ts))×√△
△=(fs−fe)/fs
fs=R/[ts+te2×(ρe/ρx)]
fe=R/[ts+te×(ρe/ρx)]
15.5≦M≦36.7
の関係を満たすことを特徴とする振動素子。 - 請求項1において、
17.1≦M≦35.7
の関係を満たすことを特徴とする振動素子。 - 請求項1又は2において、
前記第1の励振電極の厚み滑り振動方向と直交する方向に沿った長さをhzとしたとき、
1.25≦hx/hz≦1.31
の関係を満たすことを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記基板は水晶基板であることを特徴とする振動素子。 - 請求項4において、
前記水晶基板がATカット水晶基板であることを特徴とする振動素子。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を収容するパッケージと、
を備えていることを特徴とする振動子。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子と、
前記振動素子を駆動する発振回路と、
を備えていることを特徴とする電子デバイス。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする電子機器。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の振動素子を備えていることを特徴とする移動体。
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