JP6078333B2 - アルカリ電池およびアルカリ電池の製造方法 - Google Patents

アルカリ電池およびアルカリ電池の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、電解二酸化マンガンを正極活物質として含む環状の正極合剤を備えたアルカリ電池に関する。
図1に本発明の対象となるアルカリ電池の一般的な構造を示した。当該図に示したアルカリ電池は、LR6型の円筒形アルカリ電池1であり、当該図1では、円筒軸10の延長方向を上下(縦)方向としたときのアルカリ電池1の縦断面図を示している。このアルカリ電池1は、有底筒状の金属製電池缶(正極缶)2内に、環状に成形された正極合剤3、この正極合剤3の内側に配設された有底円筒状のセパレーター4、亜鉛合金を含んでセパレーター4の内側に充填される負極ゲル5、この負極ゲル5中に挿入された負極集電子6、および電解液が発電要素として収納されたものである。そして、正極缶2の開口には、負極端子板7が封口ガスケット8を介して嵌着されて、発電要素の収納空間が密閉されている。
正極合剤3は、正極活物質となる電解二酸化マンガン(EMD)、導電材となる黒鉛、および電解液をポリアクリル酸などのバインダーとともに混合し、その混合物を圧延、解砕、造粒、分級等の工程で処理した後、圧縮されて環状に成形されたものである。正極缶2内には、複数の環状の正極合剤3が、正極缶2の円筒軸10と同軸となるように、その正極缶2内に上下方向に積層された状態で圧入されている。図1に示した例では、3個の正極合剤3が積層されている。
そして、正極合剤側の改良によりアルカリ電池の放電性能を向上させるためには、正極合剤や、正極合剤中の活物質の量を増やしたり、正極活物質の利用効率を向上させたりすることが考えられる。なお、以下の特許文献1には、アルカリ電池の性能を向上させるために、正極活物質であるEMDの比表面積を最適化することが記載されている。また、以下の特許文献2には、正極合剤の製造方法や、比表面積を含むEMDの各種物性とその物性の測定方法などについて詳しく記載されている。
特開平10−302793号公報 特開平10−228899号公報
正極合剤側の改良によってアルカリ電池の性能を向上させるため、正極合剤や正極活物質の量を増やすと、放電容量の向上が期待される。しかし、その増量は電池の規格サイズ内で行う必要があるため、正極合剤中の正極活物質の配合割合を多くするか、あるいは正極合剤の成形密度を高くすることになる。ところが、正極活物質の配合割合を多くすると、導電剤の配合割合が減って内部抵抗が増大し、高負荷放電性能(大電流放電特性)が低下してしまうという問題が生じる。成形密度を上げる場合は、成形体を高密度化した分、成形体内部の空隙体積が減少して電解液の吸液含浸量が少なくなり、これにより正極活物質の利用率が低下するとともに、高負荷放電性能が低下してしまうという問題が生じる。
そこで、正極活物質の利用率を高め、正極合剤成形体に吸液含浸させる電解液の量を多くするために、正極合剤内の微細空隙体積を大きくしようとすれば、自ずと、その成形密度を低くすることになる。しかし、上記の微細空隙体積を大きくした分、活物質量が目減りして放電容量が低下してしまうという問題が生じる。
このように、正極合剤側の改良によってアルカリ電池の放電性能を劇的に向上させることは難しい。そこで、上記特許文献1に記載の発明では、活物質の利用率を高める、という観点から、EMDの比表面積を最適化しているが、実際のところ、正極合剤側の改良によって放電性能を劇的に向上させることは難しい。
一方、アルカリ電池に求められる性能は、放電性能だけではない。高い安全性も求められている。例えば、過放電時における耐漏液性能である。そして、放電性能と耐漏液性能は背反する。概略的には、放電性能を向上させるためには、正極缶内に電解液を介して化学反応を起こす物質をより多く充填することである。換言すれば、正極缶内に、正極活物質と負極活物質との化学反応の量に対して十分量の電解液を注入することである。しかし、化学反応がほとんど起こらない状態で放電させる過放電時には、電解液が余った状態となり、その余剰分の電解液が分解し、内圧の上昇とその後の漏液の原因となるガスが発生する。
そこで、本発明は、従来のアルカリ電池と同等以上の放電性能を備えつつ、耐漏液性能に優れたアルカリ電池を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、正極を兼ねる有底円筒状の金属製電池缶内に環状に成形された複数の正極合剤が挿入されてなるLR6型のアルカリ電池であって、
前記正極合剤は電解二酸化マンガンを正極活物質として含み、当該電解二酸化マンガンは、BET法によって測定された比表面積が20m/g以上30m/g以下であり、
中空円筒状の前記電池缶の円筒軸の延長方向を上下方向として、前記環状の複数の正極合剤は、前記円筒軸と同軸に上下方向に互いに離間した状態で積層配置され、
前記複数の正極合剤は、それぞれの正極合剤の高さを合計した値が37.2mm以上40.8mm以下であるとともに、互いに離間する距離の合計値が2.6mm以上6.2mm以下である、
ことを特徴とするアルカリ電池としている。
上記アルカリか電池において、
3個の正極合剤を備えて、上下方向の2カ所にて前記上下方向に互いに離間し、
前記正極合剤が、高さが12.4mm以上13.6mm以下であり、
前記2カ所の一方では、正極合剤が、0.9mm以上2.1mm以下の距離で離間していることとしてもよい。
また、本発明は、正極を兼ねる有底円筒状の金属製電池缶内に環状に成形された複数の正極合剤が挿入されてなるLR6型のアルカリ電池の製造方法にも及んでおり、当該製造方法に係る発明は、
BET法によって測定された比表面積が20m/g以上30m/g以下の二酸化マンガンを正極活物質として含んだ正極合剤を環状に成形するステップと、
前記電池缶内に複数の前記正極合剤を挿入する正極合剤挿入ステップと、
有底円筒状の前記電池缶の円筒軸の延長方向を上下方向として、前記環状に成形された複数の正極合剤を、前記円筒軸と同軸に上下方向に互いに離間した状態で積層配置するステップと、
を含み、
前記正極合剤挿入ステップでは、前記複数の正極合剤について、それぞれの正極合剤の高さを合計した値を37.2mm以上40.8mm以下とするとともに、互いに離間する距離の合計値を2.6mm以上6.2mm以下にする、
ことを特徴としている。
本発明に係るアルカリ電池によれば、従来と同等以上の放電性能と、優れた耐漏液性能を備えている。
一般的な円筒形アルカリ電池の構造を示す図である。 本発明の一実施形態であるアルカリ電池の構造を示す図である。 上記実施形態に係るアルカリ電池を構成する正極缶内における正極合剤の配置状態を示す図である。
===アルカリ電池の構造===
図2は、本発明の一実施形態に係るアルカリ電池1aの概略構造を示す図である。このアルカリ電池1aを構成する個々の要素(2〜8)は、基本的に図1に示した従来のアルカリ電池1と同様である。しかし、本実施形態に係るアルカリ電池1aでは、正極缶2内で上下方向に積層されている複数(ここでは3個)の正極合剤3が相互に密着せずに、間隙Dを有して互いに離間するように配置されている。さらに、正極合剤3を構成する正極活物質であるEMDの比表面積が、離間配置される正極合剤3用に最適化されている。それによって、本実施形態に係るアルカリ電池1aは、従来のアルカリ電池1と同等以上の放電性能と、優れた耐漏液性能を備えている。
===性能評価===
ここで、図2に示した本実施形態に係るアルカリ電池1aの放電性能と耐漏液性能を評価するため、また、正極合剤中のEMDの比表面積の適正数値範囲を規定するために、製造条件が異なる各種正極合剤を作製し、その正極合剤を正極缶2に組み込んで図1に示した従来の構造のLR6型のアルカリ電池1、および図2に示した本実施形態と同様の構造のLR6型のアルカリ電池1aをサンプルとして作製した。
各サンプルにおいて、正極合剤3は、外形13.5mm、内径9.0mmの環状であり、その高さ方向のサイズは、サンプルに応じた正極合剤3の質量、EMDの比表面積、成形圧力によって増減させている。また、負極ゲル5は、亜鉛の濃度が66%で、その質量は、正極合剤3の質量に比例するように増減させている。なお、EMDの比表面積は周知のBET法によって測定されたものである。そして、各サンプルに対し、放電試験と漏液試験とを行い、放電性能と耐漏液性能を評価した。
<正極合剤の配置について>
各サンプルは、図1または図2に示したように、サンプルに応じて上下方向に積層される正極合剤3同士が密着、あるいは離間するように配置されている。図3に、封口前の正極缶2に複数の正極合剤3(31〜33)を挿入したときの状態を示した。一つの正極缶2には同じ条件で製造された3個の正極合剤3(31〜33)が挿入されており、図1に示した従来の構造のアルカリ電池1に相当するサンプルでは、3個の正極合剤3(31〜33)が、正極缶2の開口22から底面21方向に向かって同じ圧力で押圧されて順次挿入されて正極缶2内に配置されたものであり、上下方向で隣接する正極合剤(31−32、32−33)同士が離間することなく密着した状態で配置されている。すなわち、図3における正極合剤間(31−32、32−33)の離間距離(D3、D4)が0となる。
一方、図2に示したアルカリ電池1aのように、正極合剤3(31〜33)を離間して配置する場合、最初に正極缶2に挿入する正極合剤33については、従来のアルカリ電池1と同様に一定の圧力で挿入して、当該正極合剤33の下面34を正極缶2の底面21に当接させた状態で配置する。2個目以降に挿入される正極合剤(32、31)については、図3に示したように、正極缶2の開口端22から正極合剤(32、31)の上面(36、35)までの距離(D2、D1)を測定しながら挿入している。そして、正極合剤3(31〜33)の高さhに応じてこれらの距離(D1、D2)を調整することで、各正極合剤間(31−32、32−33)を距離(D3、D4)だけ離間させて、空隙Dを設けている。
<性能評価試験>
つぎに、作製した各サンプルに対し、放電性能と耐漏液性能とを評価した。放電性能については、軽負荷放電試験と重負荷放電試験を行い、それぞれの放電試験結果に基づいて軽負荷放電性能と重負荷放電性能の双方の放電性能を評価した。軽負荷放電試験は、43Ωの負荷で一日4時間放電することで行い、終止電圧0.9Vとなるまでの時間(日数)によって軽負荷放電性能を評価した。重負荷放電試験は、1500mWの電気容量を2秒間で放電させた後、650mWの電気容量を28秒間で放電させる1サイクル分のパルス放電動作を1時間に10サイクル行い、終止電圧1.05Vとなるまでの時間(サイクル数)によって重負荷放電性能を評価した。なお、軽負荷と重負荷のそれぞれの放電性能については、各サンプルについて同じ条件で5個の個体を作製し、その5個の個体の平均値によって各サンプルの放電性能を評価した。
一方、耐漏液性能については、各サンプルを10Ωの負荷で48時間連続放電させた後、60℃の温度下で10日間保存する漏液試験を行い、その漏液試験後に漏液の有無によって評価した。なお、漏液試験は、各サンプルについて10個の個体を用い、その10個の内、漏液した個体の割合(%)によって各サンプルの耐漏液性能を評価した。
表1に各サンプルの製造条件と評価結果を示した。
Figure 0006078333
表1には、9種類のサンプル1〜9における正極合剤3(31〜33)の製造条件と正極缶2内での配置状態、および放電試験と漏液試験の結果が示されている。この表1において、サンプル1と2は、図1に示した従来例に係るアルカリ電池1と同じ構造を有しており、サンプル3〜9は、図2に示した本実施形態に係るアルカリ電池1aと同じ構造を有している。そして、表1における各サンプルの放電性能は、サンプル1の性能を基準(100%)としたときの相対値となっている。
<正極合剤の配置と高さについて>
サンプル3〜9では、3個の正極合剤3(31〜33)を上下方向で密着配置させたサンプル1や2に対し、3個分の正極合剤3(31〜33)を積層したときの高さが高くなる。そのため、正極缶2の開口端面22から一番上の正極合剤31の上面35までの距離D1が、自ずと小さくなる。しかし、正極缶2における開口端面22近傍の領域には、負極端子板7と封口ガスケット8による封口体が嵌着されるため、この距離D1の下限には限度がある。
そこで、正極合剤3(31〜33)が増量されて、その高さhが高いサンプル2における距離D1=5.9mmに対し、二箇所の間隙Dの高さに相当するD3+D4の高さ分を加味し、サンプル3〜9では、一律にD1=5.4mmと規定した。したがって、サンプル3〜9では、正極合剤間(31−32、32−33)が確実に離間配置されるように、正極合剤3(31〜33)の高さhは、サンプル2の正極合剤3(31〜33)の高さh=14.3mmと同等以下となるように調整している。
さらに、正極缶2内の3個の正極合剤3(31〜33)が確実に離間して配置されるようにするためには、上述したように、正極合剤3(31〜33)の高さhに上限(h≒14.3mm)を設けつつ、その上で、その高さhに応じ、上下方向で中央に配置される二番目の正極合剤32の上面36から正極缶2の開口端面22までの距離D2も適切に設定する必要がある。ここでは、サンプル2におけるD2=20.2mmに間隙Dを考慮して一律にD2=19.8mmに設定した。
また、サンプル5〜9は、正極合剤3(31〜33)中のEMDの比表面積と放電性能や耐漏液性能との関係を評価するために作製したものであるが、正極合剤3(31〜33)は、同じ圧力でプレス成形した場合、その密度は、EMDの比表面積に反比例することから、内外の径が同じ環状の正極合剤3(31〜33)では、EMDの比表面積が大きいほどその高さhが高くなる。そこで、比表面積が最も大きなEMDを用いたサンプル5における正極合剤3(31〜33)の高さhがサンプル2や4とほぼ同様となるように正極合剤3(31〜33)をプレス成形するときの圧力をサンプル1〜4よりも高くした。ここでは、サンプル5における正極合剤3(31〜33)の高さhがh=14.4mmとなるように、プレス圧力を調整し、サンプル6〜9もサンプル5の正極合剤3(31〜33)と同じプレス圧力で正極合剤3(31〜33)を成形した。例えば、正極合剤3(31〜33)の質量と比表面積がサンプル2、4と同じサンプル6では、サンプル2、4の正極合剤間3(31〜33)の高さh=14.3mmであったのに対し、サンプル6では、h=13.6mmとなっている。
<評価結果>
表1に示したように、基準となるサンプル1に対し、正極合剤3(31〜33)が増量されている以外は製造条件が同じサンプル2では、軽負荷、重負荷の放電性能がともに10%程度向上していた。しかし、耐漏液性能では、サンプル1では、漏液試験後に漏液したサンプルが半数の50%であったのに対し、サンプル2では全数に漏液が発生し、従来のアルカリ電池1では、放電性能と耐漏液性能とが相反する性能であることが確認できた。
サンプル3〜9は、正極合剤3(31〜33)を離間配置したサンプルであり、この内、サンプル3と4は、それぞれ、サンプル1と2に対し、正極合剤3(31〜33)の配置状態のみを変えたものである。そして、サンプル3では、軽負荷放電性能についてはサンプル1に対して性能が向上していなかったが、重負荷放電性能については、正極合剤3(31〜33)が増量されているサンプル2と同等の性能を示した。さらに、漏液試験によって漏液したサンプルは10個中1個であり、サンプル1や2に対して耐漏液性能が格段に向上することが確認できた。また、サンプル3に対して正極合剤3(31〜33)を増量して、正極合剤3(31〜33)の質量をサンプル2と同じ11.55gにしたサンプル4では、軽負荷放電性能がサンプル2と同等で、重負荷放電性能がサンプル2よりもさらに向上し、サンプル1に対して20%の性能向上が認められた。そして、漏液試験後では、サンプル3には劣ったものの、正極合剤3(31〜33)の質量が同じサンプル2に対し、漏液の発生数が1/5になった。基準となるサンプル1に対しても漏液した個体数が30%も減少した。
サンプル5〜9は、正極合剤3(31〜33)を離間配置しつつ、EMDの比表面積を変えたサンプルである。正極合剤3(31〜33)の質量は、サンプル2および3と同じ11.55gとしている。ここで、表1に示したサンプル5〜9についての評価結果を見ると、軽負荷放電性能については、サンプル4と同様に、正極合剤3(31〜33)の質量に依存し、サンプル2やサンプル4と同じ性能を示した。重負荷放電性能については、比表面積が大きいほど向上する傾向が見られた。しかし、比表面積が30m/gより大きいサンプル5では、耐漏液性能が劣化し、漏液試験によって漏液が発生した個体の割合が50%となり、サンプル1と同じ結果となった。また、比表面積が20m/gより小さいサンプル9では、正極合剤3(31〜33)の質量が同じサンプル2よりも重負荷放電性能が低下していた。したがって、比表面積の最適数値範囲は、20m/g以上、30m/g以下と規定することができる。
===作用、効果===
以上に示した評価結果より、図2に示した本実施形態に係るアルカリ電池では、正極合剤3(31〜33)が電解液を吸収して膨潤しようとするとき、正極合剤間(31−32、32−33)にその膨潤による体積の増加分を吸収するための空間が存在するため、正極合剤3(31〜33)が十分に膨潤でき、その結果、重負荷放電性能が向上したものと考えることができる。すなわち、従来では、正極合剤3(31〜33)の電解液の吸収に伴う体積増加分に見合う空間が存在しなかったために電解液の吸収量が制限されていたが、正極合剤間(31−32、32−33)に空隙Dを設けたため、電解液がより効率的に吸収された、と考えることができる。
しかし、比表面積が小さすぎると、EMDが不活性、すなわち発電反応に寄与する表面積が減少し、正極合剤3(31〜33)を離間配置することによる重負荷放電性能の向上効果を相殺させてしまうこともわかった。また、正極合剤3(31〜33)は、同じ圧力でプレス成形する場合、含有するEMDの比表面積が大きいと密度が小さくなり、比表面積が小さいと密度が大きくなることから、EMDの比表面積が大きすぎると、正極合剤3(31〜33)の充填効率が低下し、それに伴って電解液の吸収効率が低下し、耐漏液性能が劣化する、ということもわかった。したがって、正極合剤3(31〜33)を離間して配置することによる効果を得るためには、正極合剤3(31〜33)中のEMDの比表面積を適切に調整することが必要となる。また、電解液が効率的に吸収される、ということは、余剰の電解液が減少することでもあり、それによって過放電による耐漏液性能も向上した、と考えることができる。
なお、表1におけるサンプル3〜9では、上下方向で中央に配置される正極合剤32の上面36から正極缶2の開口端面22までの距離D2が一定であったため、正極合剤3(31〜33)の高さhに応じた正極合剤間(31−32、32−33)の距離(D3、D4)が一律ではなかった。しかしながら、表1に示した、正極合剤間(31−32、32−33)が離間しているサンプル1、2と離間しているサンプル3〜9との性能を比較する限り、また、正極合剤間(31−32、32−33)を離間しつつ、EMDの比表面積を変えたサンプル5〜9における性能試験結果を見る限り、正極合剤間(31−32、32−33)の距離(D3、D4)と、放電性能や耐漏液性能との相関性は無い、あるいは極めて小さい、と考えた方がよい。すなわち、放電性能や耐漏液性能は、正極合剤間(31−32、32−33)の距離(D3、D4)の違いによる効果よりも、EMDの比表面積の違いによる効果の方が支配的である、と言える。いずれにしても、正極缶2の高さには限りがあるので、その高さ制限を満たした上で正極合剤3(31〜33)を離間させた状態で正極缶2内に積層配置することになり、EMDの比表面積が大きすぎれば、正極合剤3(31〜33)の高さhが高くなり、結局、間隙Dを設けることができなくなる。したがって、正極合剤3(31〜33)を離間配置する際にEMDの比表面積を規定することには大きな技術的意義がある。
===その他の実施形態===
本実施形態に係るアルカリ電池 1aでは、正極缶2内に同じサイズの正極合剤3(31〜33)を3個挿入していたが、正極缶内に挿入される正極合剤は、複数個であればよく、また、環状の内径と外形が同じであれば、高さが異なる複数の正極合剤を一つの正極缶内に混在させて挿入してもよい。いずれにしても、有底円筒状の正極缶の円筒軸方向法を上下方向として、複数の環状の正極合剤が上下方向で離間した状態で挿入されていればよい。
また、上記実施形態に係るアルカリ電池1aでは、正極合剤3(31〜33)は、環状にプレス成形された上で正極缶2内に挿入されていたが、正極合剤の成形方法としては、周知のごとく、粉末状の正極合剤を正極缶内に充填させた後、その正極缶自体をプレス型として粉体を押圧して環状に成形する方法もある。このように成形方法を採用した場合でも、例えば、複数の正極合剤を正極缶内で順次成形し、一つの正極合剤を成形するごとに、図2における間隙Dに相当するリング状のスペーサ部材を挿入するようにしてもよい。なお、スペーサ部材には、吸液した正極合剤の膨潤を阻害せず、かつ成形時にはある程度の硬度を有する素材を用いればよい。電解液(液体)を吸収して軟化する素材や、電解液によって分解するとともに、分解後は、電池内における化学反応を阻害したり、性能を劣化させない素材としたりすることも考えられる。
1,1a アルカリ電池、2 正極缶、3,31〜33 正極合剤、4 セパレーター、5 負極ゲル、6 負極集電子、7 負極端子板、8 ガスケット、9 正極端子

Claims (3)

  1. 正極を兼ねる有底円筒状の金属製電池缶内に環状に成形された複数の正極合剤が挿入されてなるLR6型のアルカリ電池であって、
    前記正極合剤は電解二酸化マンガンを正極活物質として含み、当該電解二酸化マンガンは、BET法によって測定された比表面積が20m/g以上30m/g以下であり、
    中空円筒状の前記電池缶の円筒軸の延長方向を上下方向として、前記環状の複数の正極合剤は、前記円筒軸と同軸に上下方向に互いに離間した状態で積層配置され、
    前記複数の正極合剤は、それぞれの正極合剤の高さを合計した値が37.2mm以上40.8mm以下であるとともに、互いに離間する距離の合計値が2.6mm以上6.2mm以下である、
    ことを特徴とするアルカリ電池。
  2. 請求項1において、
    3個の正極合剤を備えて、上下方向の2カ所にて前記上下方向に互いに離間し、
    前記正極合剤は、高さが12.4mm以上13.6mm以下であり、
    前記2カ所の一方では、正極合剤が、0.9mm以上2.1mm以下の距離で離間している、
    ことを特徴とするアルカリ電池。
  3. 正極を兼ねる有底円筒状の金属製電池缶内に環状に成形された複数の正極合剤が挿入されてなるLR6型のアルカリ電池の製造方法であって、
    BET法によって測定された比表面積が20m/g以上30m/g以下の二酸化マンガンを正極活物質として含んだ正極合剤を環状に成形するステップと、
    前記電池缶内に複数の前記正極合剤を挿入する正極合剤挿入ステップと、
    有底円筒状の前記電池缶の円筒軸の延長方向を上下方向として、前記環状に成形された複数の正極合剤を、前記円筒軸と同軸に上下方向に互いに離間した状態で積層配置するステップと、
    を含み、
    前記正極合剤挿入ステップでは、前記複数の正極合剤について、それぞれの正極合剤の高さを合計した値を37.2mm以上40.8mm以下とするとともに、互いに離間する距離の合計値を2.6mm以上6.2mm以下にする、
    ことを特徴とするアルカリ電池の製造方法。
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