JP6078133B1 - 分布型回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】LO信号伝送線路の漏洩損失を減少させた分布型回路を提供する。【解決手段】局部発振信号を変調するデータ信号を伝送するデータ信号伝送線路1と、データ信号で局部発振信号を変調したRF信号を出力するLO信号伝送線路2と、LO信号伝送線路2の所定の間隔を空けた複数の線路部分と接地電位との間にそれぞれ接続されるN個(N≧1)のソース接地FET3nと、データ信号伝送線路1の所定の間隔を空けたN個の線路上の信号の位相を、それぞれ遅延させてソース接地FET3nの制御端子に入力するN個の移相器4nとを備え、移相器4nは、LO信号伝送線路2からデータ信号伝送線路1に漏洩して信号伝送方向で隣接するソース接地FET3n+1とLO信号伝送線路との接続点に伝搬するLO信号の位相を、LO信号伝送線路2を伝搬するLO信号の信号強度を強める位相に移相する。【選択図】図1

Description

本発明は、高周波電気信号を扱う分布型回路に関する。
分布型回路とは、高周波信号が伝送される伝送線路の信号伝搬方向に、例えば変調器、増幅器等が分布的に配置されて構成された回路である。例えば広帯域な振幅変調器としては、非特許文献1に開示された分布変調器が知られている。
分布変調器は、トランジスタで構成される変調器と伝送線路とからなる複数の単位変調器を多段に接続(cascading connection)した構成である。分布変調器は、下記に述べる分布変調器の各端子(LO信号入力端子、RF信号出力端子、データ信号入力端子)から分布変調器側を見込んだインピーダンスが一定の値(通常は50Ω)となる特性を有する。これは、各ポートから分布変調器をみると、トランジスタの持つ容量とトランジスタ間を接続する伝送線路の持つインダクタンスから成る、疑似的な伝送線路が構成されることに起因する。疑似的な伝送線路を、単に疑似線路と称することもある。
トランジスタに例えばソース接地FETを用いた分布変調器は、LO信号伝送線路と、データ信号伝送線路と、複数のソース接地FETとを具備する。複数のソース接地FETのそれぞれは変調機能を担う。ソース接地FETは、信号伝送方向に分布的に配置される。
LO信号伝送線路は、一端を搬送波である局部発振信号(以降、LO(Local Oscillator)信号)が入力されるLO信号入力端子とし、他端をLO信号がデータ信号で変調されたRF信号が出力されるRF信号出力端子とする疑似線路である。データ信号伝送線路は、LO信号を変調するデータ信号を伝送する疑似線路である。データ信号伝送線路の一端は、データ信号が入力されるデータ信号入力端子である。データ信号伝送線路の他端は、終端抵抗によって電源に終端される。
LO信号伝送線路とデータ信号伝送線路とは、周波数によらない一定のインピーダンスを有するため他の変調器では実現できない高周波特性を実現することができる。
Hiroshi Mizutani and Yoichiro Takayama,"A DC-60 GHz GaAs MMIC Switch Using Novel Distributed FET," IEEE MTT-S International June 1997
従来の分布変調器において、ミリ波帯、テラヘルツ波帯といった極めて高い周波数のLO信号を用いる場合、変調器の挿入損失が大きくなるという課題がある。分布変調器においては、搬送波であるLO信号を、データ信号により強度変調することで振幅変調を行う。つまり、RF信号出力端子に現れるLO信号電力が大きくなるON状態、RF信号出力端子に現れるLO信号電力が小さくなるOFF状態を、データ信号により切り替えることで振幅変調を行う。この時、ON状態でのLO信号の損失が大きくなると、RF信号出力が減衰してしまう。そこで、分布変調器では、LO信号のON状態における損失を小さく抑えることが重要である。
しかし、ミリ波帯、テラヘルツ波帯といった高周波帯で分布変調器を使用する場合、上記の損失を抑えることが難しくなる。その理由は、LO信号の周波数が高くなると、変調器を構成するトランジスタの結合容量を介してLO信号がデータ信号伝送線路に結合し、LO信号伝送線路の漏洩損失が増加するためである。
本発明は、この課題に鑑みてなされたものであり、LO信号伝送線路を伝搬するLO信号の漏洩損失を減少させる分布型回路を提供することを目的とする。
本発明の分布型回路は、局部発振信号を変調するデータ信号を伝送するデータ信号伝送線路と、前記データ信号で前記局部発振信号を変調したRF信号を出力するLO信号伝送線路と、前記LO信号伝送線路の所定の間隔を空けた複数の線路部分と接地電位との間にそれぞれ接続されるN個(N≧1)のソース接地FETと、前記データ信号伝送線路の所定の間隔を空けたN個の線路上の信号の位相を、それぞれ遅延させて前記ソース接地FETの制御端子に入力するN個の移相器とを備え、前記移相器は、前記LO信号伝送線路から前記データ信号伝送線路に漏洩して信号伝送方向で隣接するソース接地FETと前記LO信号伝送線路との接続点に伝搬するLO信号の位相を、前記LO信号伝送線路を伝搬するLO信号の信号強度を強める位相に移相することを要旨とする。
本発明によれば、LO信号伝送線路を伝搬するLO信号の漏洩損失を減少させる分布型回路を提供することができる。
本発明の実施形態に係る分布型回路10の構成例を示す図である。 比較例の分布型回路20の構成例を示す図である。 分布型回路20の等価回路を示す図である。 分布型回路20の通過特性のシミュレーション結果を示す図である。 FETのデバイスモデルを用いてシミュレーションした分布型回路20の通過特性のシミュレーション結果を示す図である。 ソース接地FETを等価回路で表した分布型回路20の一部の構成例を示す図である。 分布型回路10の3段目と4段目の等価回路を示す図である。 分布型回路10の経路αと経路βの位相差の周波数特性の例を示す図である。 分布型回路10の挿入損失の周波数特性を示す図である。 分布型回路10の群遅延特性を示す図である。 移相器4の変形例を示す図である。 移相器4の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る分布型回路10の構成例を示す。分布型回路10は、例えば分布変調器として説明する。
〔分布型回路10の構成〕
分布変調器である分布型回路10は、データ信号伝送線路1と、LO信号伝送線路2と、N個(N≧1)のソース接地FET3(nは任意の整数、他の参照符号の添え字nも同様である)と、N個の移相器4とを備える。なお、分布型回路10は、同じ構成で分布スイッチとして作用することも可能である。分布スイッチについては後述する。
データ信号伝送線路1は、局部発振信号を変調するデータ信号を伝送する。データ信号伝送線路1の一端は、データ信号が入力されるデータ入力端子5である。データ信号伝送線路1の他端は、終端抵抗6で接地電位(▽)に接地される。データ信号伝送線路1は、データ入力端子5から終端抵抗6を見たインピーダンスが一定の特性インピーダンスを示す伝送線路である。
LO信号伝送線路2は、局部発振信号(以降、LO信号)を伝送し、当該LO信号をデータ信号で変調したRF信号として出力する。LO信号伝送線路2の一端は、LO信号が入力されるLO信号入力端子7である。LO信号伝送線路2の他端は、RF信号を出力するRF信号出力端子8である。LO信号伝送線路2は、LO信号入力端子7からRF信号出力端子8を見たインピーダンスが一定の特性インピーダンスを示す伝送線路である。
ソース接地FET3は、LO信号伝送線路2の所定の間隔を空けた複数の線路部分と接地電位(▽)との間にそれぞれ接続されるN個の電界効果型トランジスタである。所定の間隔のLO信号伝送線路2は、参照符号2に添え字を付した長方形のLO信号伝送線路2〜2N+1で表記している。なお、電界効果型トランジスタの極性は、N型又はP型のどちらでも構わない。
移相器4は、データ信号伝送線路1の所定の間隔を空けたN個の線路上の信号の位相を、それぞれ遅延させてソース接地FET3の制御端子(ゲート電極)に入力するN個の移相器である。所定の間隔のデータ信号伝送線路1を、LO信号伝送線路2と同様に参照符号1に添え字を付した長方形のデータ信号伝送線路1〜1N+1で表記している。
LO信号伝送線路2を伝搬するLO信号は、ソース接地FET3と移相器4とを介してデータ信号伝送線路1に漏洩する。漏洩したLO信号は、信号伝送方向で隣接する移相器4n+1とソース接地FET3n+1とを経由して再びLO信号伝送線路2n+1に伝搬する。
移相器4と移相器4n+1との移相量は、LO信号伝送線路2を伝搬するLO信号と、漏洩したLO信号とが、LO信号伝送線路2n+1で強め合う量に設定される。本実施形態では、LO信号の漏洩信号を積極的に活用することで、分布型回路10の低損失化を実現する。本実施形態の動作を説明する前に、比較例の分布型回路20の特性について説明する。
〔比較例〕
図2に、比較例の分布型回路20の構成例を示す。分布型回路20の構成は、移相器4を具備しない点で、分布型回路10と異なる。参照符号を、図1と同じにすることで、分布型回路20の構成についての説明は省略する。
図3に、ソース接地FET3を用いた分布型回路20の等価回路を示す。ソース接地FET3は、ドレイン−ソース間の容量Cds3とドレイン−ゲート間の容量Cdg3とで表せる。
分布型回路20のデータ信号伝送線路1とLO信号伝送線路2とは、ドレイン−ゲート間の容量である容量Cdg3(上記の結合容量)で容量結合する。図4に、容量Cdg3をパラメータとした分布型回路20の通過特性のシミュレーション結果を示す。横軸は周波数[GHz]、縦軸はSパラメータのS21[dB]である。S21は、分布型回路20の挿入損失を表す。
容量Cdg3=0fFを実線、容量Cdg3=1.2fFを破線、容量Cdg3=2.4fFを一点鎖線、容量Cdg3=3.6fFを二点鎖線で表記する。容量Cdg3を大きくすると、高周波数側の挿入損失が増加する特性を示す。容量Cdg3を3.6fF増加したことによる周波数=250GHzにおける挿入損失は4dB以上悪化する。
挿入損失が増加する理由は、容量Cdg3が大きくなるとLO信号伝送線路2とデータ信号伝送線路1との間のインピーダンスが低下するためだと考えられる。その結果、LO信号伝送線路2からデータ信号伝送線路1に漏洩するLO信号が増加し、LO信号伝送線路2を伝搬するLO信号の信号強度が低下する。
図5に、ソース接地FET3のデバイスモデルを用いて通過特性をシミュレーションしたシミュレーション結果を示す。容量Cdg3=0fFとした場合を実線、容量Cdg3を考慮した場合を破線で示す。横軸と縦軸の関係は図4と同じである。
容量Cdg3を考慮すると、分布型回路20の高周波数側での挿入損失が増加する。容量Cdg3を考慮した場合の挿入損失は、周波数=300GHzにおいて約5dB増加する。
このように、容量Cdg3を介して漏洩するLO信号が増加することで分布型回路20の挿入損失が増加することが分かる。次に、この挿入損失を低損失化する原理について説明する。
〔低損失化の原理〕
図6に、ソース接地FET3を等価回路で表現した分布型回路20の一部を示す。n段目のLO信号伝送線路2とn段目のソース接地FET3との接続点を端子n、n+1段目のLO信号伝送線路2n+1とn+1段目のソース接地FET3n+1との接続点を端子n+1と表記する。ソース接地FET3のドレイン−ゲート電極間の容量Cdgを、容量Cdg3と表記する。他のソース接地FET3についても同様である。
また、図6では、三極管領域で動作するソース接地FET3を、可変抵抗(Rds3)の回路シンボルで表記している。三極管領域で動作するFETは、そのドレイン電流がドレイン電圧にほぼ比例して増加するため、可変抵抗として等価的に記述できる。
分布型回路20の挿入損失は、分布型回路20を構成する各段の各ソース接地FET3における損失の総和と考えることができる。ここで、端子nから端子n+1に伝搬するLO信号の損失を考える。
端子nから端子n+1に向かう経路は、LO信号伝送線路2n+1を通る経路αが存在する。図6において、経路αを太い実線で表記する。
また、LO信号伝送線路2とデータ信号伝送線路1とは、容量Cdg3によって結合しているため、容量Cdg3とデータ信号伝送線路1n+1と容量Cdg3n+1とを通る経路βも存在する。経路βは、漏洩信号が通る経路であり、図6において破線で表記する。
ここで、経路αと経路βとを通るLO信号の位相を、端子n+1で同位相にすることができれば、端子n+1に現れるLO信号の信号強度を大きくでき、端子nから端子n+1に伝搬するLO信号の損失を小さくすることが可能である。上記のように分布型回路20の挿入損失は、各ソース接地FET3での損失の総和であるから、端子nから端子n+1に伝搬する信号の損失を小さくすることにより、分布型回路20全体の挿入損失を小さくすることができる。
分布型回路20を低損失化するためには、経路αと経路βとを通るLO信号の位相が、端子n+1において同位相になるようにすればよい。理想的には、次式を満足するように経路αと経路βとを伝搬するLO信号の移相量を調整する。
Figure 0006078133
ここでθ1(ラジアン)は、経路αをLO信号が伝搬する際の位相遅延量である。また、θ2(ラジアン)は、経路βをLO信号が伝搬する際の位相遅延量である。なお、nは整数である。
式(1)に示す移相量の条件は、理想状態であり、必ずしもその条件が満たされる必要はない。隣り合うソース接地FET3間で漏洩信号が互いに強め合うような位相を作り出せれば分布型回路20の挿入損失を改善することができる。
〔分布型回路10の動作〕
図7を参照して本実施形態の動作を説明する。図7は、分布型回路10(図1)の3段目と4段目を、ソース接地FET3がON状態の場合の等価回路で表記した図である。3段目のLO信号伝送線路2と3段目のソース接地FET3のドレイン電極との接続点が、上記の端子nに相当する端子2である。また、信号伝送方向で隣接するソース接地FET3のドレイン電極とLO信号伝送線路2との接続点が、上記の端子n+1に相当する端子2である。
ON状態のソース接地FET3,3は、ドレイン−ソース間の容量Cdsとドレイン−ゲート間の容量Cdgの二つの容量で表現できる。よって、端子2と端子2とは、ドレイン−ソース間の容量Cds3,3によって接地電位(▽)に接地される。
また、端子2は、ドレイン−ゲート間の容量Cdg3と移相器4を通してデータ信号伝送線路1の端子1に接続される。端子1からデータ入力端子5の方向を見たインピーダンス15は例えば50Ωである。
また、端子2は、ドレイン−ゲート間の容量Cdg3と移相器4を通してデータ信号伝送線路1の端子1に接続される。端子1から終端抵抗6の方向を見たインピーダンス16は例えば50Ωである。
図7における経路αと経路βは、図6と同じである。よって、経路αを伝搬するLO信号の位相と、経路βを伝搬するLO信号(漏洩信号)との位相差が2πの整数倍になるように移相器4,4の移相量を設定すれば、分布型回路10の挿入損失を小さくできる。
図8に、移相器4,4の移相量を変化させた場合の経路αと経路βとの位相差の周波数特性を示す。ここでは、移相量を伝送線路の線路長で変化させた。横軸は周波数[GHz]、縦軸は経路αとβの位相差[度]である。
パラメータのLgateは、移相器4,4の伝送線路の線路長[μm]である。Lgate=0は移相器4,4が無い場合である(実線)。Lgate=40は線路長が40μm(破線)、Lgate=80は線路長が80μm(一点鎖線)である。
移相器4,4が無い場合とは、LO信号がドレイン−ゲート間の容量Cdg3を介してデータ信号伝送線路1に漏洩し、漏洩したLO信号がドレイン−ゲート間の容量Cdg3を介してLO信号伝送線路2に伝搬する場合のことである。Lgate=40では、周波数が約370GHzで経路αとβの位相差は0になる。また、Lgate=80では、周波数が約270GHzで経路αとβとの位相差は0になる。
図9に、図8と同じ条件における分布型回路10の挿入損失の周波数特性を示す。横軸は周波数[GHz]、縦軸は分布型回路10の挿入損失[dB]である。移相器4,4で位相を遅らせない場合(Lgate=0)の挿入損失は、周波数が高くなるほど増加する特性を示す。
移相器4,4で漏洩したLO信号の位相を遅らせた場合の挿入損失も周波数が高くなるほど増加するが、位相を遅らせない場合(Lgate=0)に比べて挿入損失が小さくなっている。図9を見ると、経路αと経路βの位相差が0となる周波数近傍で、挿入損失特性が平坦化される、すなわち、挿入損失の周波数に対する増加率が小さくなることが判る。例えば、Lgate=80の場合には、図8より270GHz付近で経路α、経路βの位相差が0となるが、図9より、270GHz付近で挿入損失が平坦になっている。周波数=300GHzにおいては、Lgate=40とLgate=80との両方で、挿入損失が4dB程度改善されている。また、周波数が高くなるほど、挿入損失の改善量は大きくなる特性を示す。
このように移相器4によって、漏洩したLO信号の位相を移相することで分布型回路10の挿入損失を小さくすることができる。なお、図8と図9との関係から、経路αとβの位相差を0度にしなくても挿入損失を改善できることが分かる。
図8と図9において、例えば周波数=300GHzの経路αとβの位相差は0度では無いが、挿入損失は小さくなっている。このように挿入損失は、位相差を0にしなくても小さくできる。
このことから経路αとβの位相差は、必ず2πの整数倍の値にしなくてもよいことが分かる。つまり、LO信号伝送線路2上の各々の端子2の部分で漏洩したLO信号の位相が、隣接する端子2n+1の部分でLO信号を強める方向に作用するように移相器4の移相量を設定すればよい。
なお、図9から明らかなように本実施形態の分布型回路10は、カットオフ周波数を上昇させるように作用する。よって、分布型回路10は、カットオフ周波数付近で劣化する群遅延特性を改善する効果も奏する。
図10に、図8と図9と同条件における分布型回路10の群遅延特性を示す。横軸は周波数[GHz]、縦軸は群遅延時間[秒]である。群遅延時間とは、入力波形と出力波形の位相差を、角周波数ωで微分した時間である。経路αとβの位相差=0度になる周波数付近で群遅延特性にピーキングが掛かり、移相器4が無い場合の特性と比較して高い周波数における群遅延時間の変化量が改善され、群遅延特性が平坦化される。
以上説明したように本実施形態の分布型回路10は、LO信号伝送線路2の漏洩損失を減少させることができる。また、群遅延特性を平坦化することができる。
なお、分布型回路10は、同じ構成で分布スイッチとして作用させる事もできる。分布型回路10を分布スイッチとして作用させる場合は、データ入力端子5にスイッチ制御信号を入力する。
スイッチ制御信号の電圧を、ソース接地FET3のドレイン−ソース間のチャネル抵抗を小さくする方向に変化させると、RF信号出力端子8から出力されるRF信号の振幅を減衰させることができる。更に、スイッチ制御信号の電圧を同方向に大きくすると、RF信号を遮断できる。このように分布型回路10は、スイッチ制御信号の電圧によって、RF信号を遮断又は通過させるスイッチとして作用させることが可能である。
分布型回路10を分布スイッチとして作用させた場合においても、隣接する移相器4,4n+1との移相量を、LO信号伝送線路2を伝搬するLO信号と漏洩したLO信号とが、LO信号伝送線路2上(2n+1)で強め合う量に設定する。そうすることで、LO信号の損失を少なくできる。また、分布型回路10は、ほぼ同じ構成で分布増幅器及び分布逓倍器等として作用させることも可能であり、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、移相器4は、伝送線路で構成する例を示した説明したが、伝送線路とコンデンサとを組み合わせて構成してもよい。図11に、伝送線路とコンデンサとを組み合わせて構成した移相器24の構成例を示す。
移相器24は、伝送線路240とコンデンサ241とを含む。図11に示す例は、データ信号伝送線路1側に伝送線路240が配置され、伝送線路240のソース接地FET3のゲート電極側の端部と接地電位(▽)との間にコンデンサ241が接続される。
コンデンサ241の作用によって、移相器24は位相回転量(移相量)を大きくすることができる。よって、移相器24は、移相器4よりも短い線路長で移相器4と同じ移相量を作ることができる。つまり移相器24は、移相器を小型化する効果を奏する。
なお、コンデンサ241の位置は、図11とは逆にデータ信号伝送線路1側に配置されてもよい。また、伝送線路240とコンデンサ241との組みを多段に接続するようにしてもよい。
また、コンデンサ241は可変容量素子で構成してもよい。図12に、可変容量素子で構成した移相器34の構成例を示す。移相器34は、伝送線路340n,342と、可変容量素子341,343とで構成される。移相器34は、伝送線路340と可変容量素子341との組みと、伝送線路342と可変容量素子343との組みを2段に接続したものである。
可変容量素子341,343は、ダイオードや電界効果トランジスタ等で実現できる。移相器34は、移相量を調整することが出来るため、複数の周波数において上記の作用効果を奏する分布型回路を実現できる。
以上説明したように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。本発明は、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
1:データ信号伝送線路
2:LO信号伝送線路
3:ソース接地FET
4,24,34:移相器
5:データ入力端子
6:終端抵抗
7:LO信号入力端子
8:RF信号出力端子
10,20:分布型回路
240,340,342:伝送線路
241:コンデンサ
341,343:可変容量素子

Claims (5)

  1. 局部発振信号を変調するデータ信号を伝送するデータ信号伝送線路と、
    前記データ信号で前記局部発振信号を変調したRF信号を出力するLO信号伝送線路と、
    前記LO信号伝送線路の所定の間隔を空けた複数の線路部分と接地電位との間にそれぞれ接続されるN個(N≧1)のソース接地FETと、
    前記データ信号伝送線路の所定の間隔を空けたN個の線路上の信号の位相を、それぞれ遅延させて前記ソース接地FETの制御端子に入力するN個の移相器とを備え、
    前記移相器は、前記LO信号伝送線路から前記データ信号伝送線路に漏洩して信号伝送方向で隣接するソース接地FETと前記LO信号伝送線路との接続点に伝搬するLO信号の位相を、前記LO信号伝送線路を伝搬するLO信号の信号強度を強める位相に移相することを特徴とする分布型回路。
  2. 請求項1に記載した分布型回路において、
    前記移相器の移相量は、隣接する前記ソース接地FETの間の前記LO信号伝送線路を伝搬するLO信号の位相遅延量をθ1、前記LO信号伝送線路から前記データ信号伝送線路に漏洩して信号伝送方向で隣接するソース接地FETと前記LO信号伝送線路との接続点に伝搬するLO信号の位相遅延量をθ2とした場合に、nを整数とした次式の関係を満たす
    Figure 0006078133
    ことを特徴とする分布型回路。
  3. 請求項1又は2に記載した分布型回路において、
    前記移相器は、伝送線路で構成されることを特徴とする分布型回路。
  4. 請求項3に記載した分布型回路において、
    前記移相器は、前記伝送線路と接地電位との間に接続されるコンデンサを含むことを特徴とする分布型回路。
  5. 請求項4に記載した分布型回路において、
    前記コンデンサは、可変容量素子であることを特徴とする分布型回路。
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