JP6074635B2 - 粒子集合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、少なくとも水酸化ニッケルと、粒表面に偏在するコバルト及び/又はコバルト化合物とを有し、細孔の状態が規定された粒状ニッケル電極用活物質が記載されている。またこの文献には、粒状水酸化ニッケルと溶解したコバルト化合物とを含む懸濁液に対し、攪拌条件下で所定量のアルカリを徐々に加えることで、粒状水酸化ニッケルの表面に水酸化コバルトを偏在形成するコバルト偏在形成工程と、作製したコバルト偏在ニッケル粒子を、アルカリ金属の水酸化物と酸素の存在下で加熱し、前記粒子中のコバルト化合物を高次コバルト酸化物に変化せしめるコバルト高次化工程を備える粒状ニッケル電極用活物質の製造方法も記載されている。
例えば、特許文献2には、少なくともマグネシウムを固溶状態で含む水酸化ニッケル含有粒子と、該水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆する特定の性質を有するコバルト化合物層とを有するアルカリ蓄電池用正極活物質が記載されている。またこの文献には、水酸化ニッケル含有粒子を含む水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を供給してpHを11.5〜13.5の範囲に保ちつつ、コバルトイオンを含む水溶液を供給すると共に空気を供給して、上記水酸化ニッケル含有粒子の表面にコバルト化合物層を形成する工程を有するアルカリ蓄電池用正極活物質の製造方法も記載されている。
しかしながら、従来の方法を用いて、コバルト化合物で表面を被覆した水酸化ニッケル含有粒子を含む粒子集合体を製造すると、得られる粒子集合体が、コバルト化合物の剥離により生じた微細な粒子を多く含有することがあった。そして、微細な粒子を多く含有する粒子集合体を用いてペーストを調製すると、高粘度のペーストになり易いため、正極を作製する際の作業性が低下したり、粒子の導電性が低下するという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、微細な粒子の含有量が少なく、アルカリ蓄電池の正極活物質として有用な粒子集合体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
(1)以下の工程A〜工程Cを有する製造方法によって得られる粒子集合体であって、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバルト化合物により表面が被覆された、水酸化ニッケル含有粒子からなる粒子集合体。
工程A:水酸化ニッケル含有粒子を含む原料粒子集合体であって、粒子径D50が10〜15μm、粒子径が5μm以下の粒子の累積頻度%値が12.0%以下である原料粒子集合体を含む懸濁液に、攪拌下、懸濁液のpHを8.0〜11.0、溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記原料粒子集合体100重量部あたり2〜10重量部となる量のコバルト(II)塩を含む水溶液を添加することにより、α−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程B:工程Aで得られた懸濁液の溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記懸濁液のpHを11.5〜13.5に調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するα−水酸化コバルトを、β−水酸化コバルトに変換して、β−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程C:工程Bで得られた懸濁液のpHを11.5〜13.5、溶存酸素濃度を1.0〜15.0mg/Lにそれぞれ調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するβ−水酸化コバルトを酸化して、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバルト化合物により表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程A:水酸化ニッケル含有粒子を含む原料粒子集合体であって、粒子径D50が10〜15μm、粒子径が5μm以下の粒子の累積頻度%値が12.0%以下である原料粒子集合体を含む懸濁液に、攪拌下、懸濁液のpHを8.0〜11.0、溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記原料粒子集合体100重量部あたり2〜10重量部となる量のコバルト(II)塩を含む水溶液を添加することにより、α−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程B:工程Aで得られた懸濁液の溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記懸濁液のpHを11.5〜13.5に調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するα−水酸化コバルトを、β−水酸化コバルトに変換して、β−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程C:工程Bで得られた懸濁液のpHを11.5〜13.5、溶存酸素濃度を1.0〜15.0mg/Lにそれぞれ調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するβ−水酸化コバルトを酸化して、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバルト化合物により表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程A:水酸化ニッケル含有粒子を含む原料粒子集合体であって、粒子径D50が10〜15μm、粒子径が5μm以下の粒子の累積頻度%値が12.0%以下である原料粒子集合体を含む懸濁液に、攪拌下、懸濁液のpHを8.0〜11.0、溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記原料粒子集合体100重量部あたり2〜10重量部となる量のコバルト(II)塩を含む水溶液を添加することにより、α−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程B:工程Aで得られた懸濁液の溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記懸濁液のpHを11.5〜13.5に調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するα−水酸化コバルトをβ−水酸化コバルトに変換して、β−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程C:工程Bで得られた懸濁液のpHを11.5〜13.5、溶存酸素濃度を1.0〜15.0mg/Lにそれぞれ調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するβ−水酸化コバルトを酸化して、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバルト化合物により表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
以下において、Co/Ni含有粒子の、水酸化ニッケルの粒子部分を「核部分」といい、Co/Ni含有粒子の前記コバルト化合物からなる部分を「高次コバルト化合物層」ということがある。
工程Aは、前記原料粒子集合体を含む懸濁液に、攪拌下、前記懸濁液のpHを8.0〜11.0、溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記原料粒子集合体100重量部あたり2〜10重量部となる量のコバルト(II)塩を含む水溶液を添加することにより、α−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程である。
水酸化ニッケル含有粒子は、ニッケル以外の金属原子を1種又は2種以上含有するものであってもよい。かかる金属原子としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、コバルト、鉄、銅、亜鉛等が挙げられる。なかでも、水酸化ニッケル含有粒子は、少なくともマグネシウムを含有することが好ましく、マグネシウム及びコバルトを含有することがより好ましい。水酸化ニッケルからなる粒子に、少なくともマグネシウムを固溶状態で含ませることにより、高率放電特性及び出力特性が良好なCo/Ni含有粒子を得ることができる。
ここで、「粒子径が5μm以下の粒子の累積頻度%値」とは、粒子集合体に含まれる粒子の全体積%のうち、粒子径が5.00μm以下(通常、0.01μm〜5.00μm)である粒子の体積分布頻度%を合計したものである。
粒子径D50や、粒子径が5μm以下の粒子の累積頻度%値は、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、体積基準で粒度分布を測定することで求めることができる。
原料粒子集合体のタップ密度は、好ましくは1.5〜2.5g/cm3、より好ましくは、1.6〜2.4g/cm3である。
原料粒子集合体のバルク密度は、好ましくは0.8〜1.8g/cm3、より好ましくは、0.9〜1.7g/cm3である。
原料粒子集合体のBET比表面積、タップ密度、及びバルク密度が上記範囲内であることで、目的のCo/Ni含有粒子を含有する粒子集合体を効率よく得ることができる。
具体的には、反応槽内の液のpHを適切な範囲に調節しながら、攪拌下に、ニッケル(II)塩水溶液を反応槽に添加することで水酸化ニッケルの沈殿を析出させ、次いで、得られた沈殿物をろ過し、水洗し、さらに必要に応じて、脱水処理や乾燥処理を行うことで、原料粒子集合体を得ることができる。
用いるコバルト(II)塩としては、硫酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、塩化コバルト(II)等が挙げられる。なかでも、硫酸コバルト(II)が好ましい。
コバルト(II)塩を含む水溶液のpHは、通常、0.5〜6.0、好ましくは1.0〜5.0である。コバルト(II)塩を含む水溶液のpHがこの範囲内にあることで、コバルト含有水溶液中に沈殿が析出することを抑制することができる。
コバルト(II)塩を含む水溶液のpHは、必要に応じて、公知の酸性化合物やアルカリ性化合物を用いて調整することができる。
コバルト(II)塩を含む水溶液を懸濁液に添加する際は、懸濁液のpH調節が容易であることから、一定量を連続的に添加するのが好ましい。
懸濁液のpHを8.0〜11.0の範囲内に保持することで、水酸化ニッケル含有粒子の表面をα−水酸化コバルトで効率よく被覆することができる。より均一に、水酸化ニッケル含有粒子の表面をα−水酸化コバルトで被覆することができることから、懸濁液のpHは、上記範囲内で一定の値に保持することが好ましい。なお、「pHが一定の値」とは、pHが、所定の値のプラスマイナス0.1以内であることをいう。
アルカリ性水溶液の調製に用いるアルカリ性化合物としては、アルカリ金属の、水酸化物や炭酸塩、アルカリ土類金属の、水酸化物や炭酸塩等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の、水酸化物や炭酸塩が好ましい。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。
アルカリ性水溶液のpHは、通常、9〜13、好ましくは10〜13である。
懸濁液の溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持することで、α−水酸化コバルトの酸化が避けられ、細孔がほとんどない高次コバルト化合物が生成するのを防ぐことができる。
用いる不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、ラドンガス等が挙げられる。
懸濁液の溶存酸素濃度は、反応容器内に備えた溶存酸素計によって測定することができる。
工程Aの反応温度は、通常10〜80℃、好ましくは20〜60℃である。
α−水酸化コバルトからなる水酸化コバルト層は、β−水酸化コバルトからなる水酸化コバルト層に比して、水酸化ニッケル含有粒子の表面に対する密着性に優れる。
工程Bは、工程Aで得られた懸濁液の溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、前記懸濁液のpHを11.5〜13.5に調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するα−水酸化コバルトをβ−水酸化コバルトに変換して、β−水酸化コバルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程である。
より均一にβ−水酸化コバルトに変換することができることから、懸濁液のpH値は、上記範囲内で一定の値に保持することが好ましい。
懸濁液のpHは、懸濁液にアルカリ性水溶液を添加することで調整することができる。用いるアルカリ性水溶液としては、先に工程Aの中で説明したものが挙げられる。
溶存酸素濃度を0.5mg/L以下にする方法としては、先に工程Aにおいて説明した方法を用いることができる。
工程Bの反応温度は、通常10〜80℃、好ましくは20〜60℃である。
工程Cは、工程Bで得られた懸濁液のpHを11.5〜13.5、溶存酸素濃度を1.0〜15.0mg/Lに調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するβ−水酸化コバルトを酸化して、コバルト原子の平均価数が2.1〜3.0のコバルト化合物に変換することで、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバルト化合物により表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程である。
より均一に酸化させることができることから、pH値は、上記範囲内で一定の値に保持することが好ましい。ここで、「pHが一定の値」とは、pHが、所定の値のプラスマイナス0.1以内であることをいう。
懸濁液の溶存酸素濃度を上記範囲内に調整することで、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆するβ−水酸化コバルトを酸化して、コバルト原子の平均価数が2.1〜3.0のコバルト化合物に効率よく変換することができる。
溶存酸素濃度を上記範囲にする方法としては、空気や酸素ガス、酸素ガスを不活性ガスで希釈した混合ガスを懸濁液に吹き込む方法が挙げられる。
工程Cの反応温度は、通常10〜80℃、好ましくは20〜60℃である。
本発明の粒子集合体は、上記工程A〜工程Cを有する製造方法によって得られるものであり、表面から高次コバルト化合物層が剥離しにくいCo/Ni含有粒子を含有するものである。本発明の粒子集合体中のCo/Ni含有粒子の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは、95〜99重量%である。
高次コバルト化合物層を構成するコバルト化合物のコバルト原子の平均価数は、例えば、ヨードメトリー法等の分析方法により調べることができる。具体的には、ICP発光分析によりCo/Ni含有粒子中に含まれるコバルト量を測定し、次いで、Co/Ni含有粒子とヨウ化カリウムとを塩酸に溶解させて調製した溶液を、チオ硫酸ナトリウム溶液を用いて適定することにより、コバルト原子の平均価数を算出することができる。
(a)組成
ICP発光分析装置(リガク社製、CIROS−120 EOP)を用いて、粒子の組成を分析した。
(b)コバルトの平均価数
ICP発光分析を行い、コバルト量を測定した。次いで、試料とヨウ化カリウムとを塩酸に溶かして試料溶液を調製し、この試料溶液をチオ硫酸ナトリウム溶液で適定した。これらの測定結果に基づき、コバルトの平均価数を算出した。
(c)粒子径
レーザ回折粒度分布計(堀場製作所社製、LA−950)にて、分散媒に純水を用いて、粒子径が5μm以下の粒子の量、及び粒子径D50を測定した。
(d)BET比表面積
比表面積測定装置(マウンテック社製、Macsorb)を用い、1点BET法によって測定を行った。
タップデンサー(セイシン社製、KYT−4000)を用いて、JIS R1628に記載の手法の内、定容積測定法によって測定を行った。
(f)バルク密度
試料を自然落下させて容器に充填し、容器の容積と試料の質量からバルク密度を求めた。
(g)X線回折
X線回折装置(リガク社製、RINT2200)を用い、下記条件にて測定を行った。
X線:CuKα/40kV/40mA
スリット:DS/SS=1°,RS=0.3mm
走査モード:FT測定
Sampling Time:0.4秒
Step Width:0.01°
(h)電子顕微鏡観察
電子顕微鏡(日立製作所社製、S−3400)を使用して粒子表面の観察を行った。倍率20000倍で観察したときの電子顕微鏡写真を図1〜図3に示す。
(a)酸素濃度測定
溶存酸素計(HORIBA社製、OM−051−L1)を用いて、懸濁液の溶存酸素濃度を測定した。
(b)pH測定
pH計(HORIBA社製、D−51S)を用いて、懸濁液のpHを測定した。
容積40Lの攪拌機付き反応槽に、金属イオン含有水溶液(硫酸ニッケル(II)、硫酸コバルト(II)及び硫酸マグネシウム(II)を、ニッケルイオン:コバルトイオン:マグネシウムイオンのモル比が95:2:3の割合で含有し、金属イオン濃度が2.4モル/Lの水溶液)、5.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液、6.0モル/Lのアンモニア水溶液を、それぞれ、15.0mL/分の流量で連続的に供給するとともに、反応槽内を攪拌し、温度を50℃に維持した。
反応系が定常状態(金属イオン濃度と、生成した粒子の濃度との割合が一定で、懸濁液のpHが12.5で一定の状態)に達した後、反応槽内の懸濁液をオーバーフロー管を通して取り出し、これを一時貯留し、次いで水洗、脱水処理を行うことで、水酸化ニッケル含有粒子を含むケークを得た。
ケークの一部を乾燥して水酸化ニッケル含有粒子の物性を測定した。測定結果を参考例として第1表に示す。
また、得られた水酸化ニッケル含有粒子のX線回折測定を行ったところ、得られたパターンは、JCPDS無機物質ファイルの番号:14−117に記載されているXRDパターンと一致し、β−Ni(OH)2型の単層であり、コバルト、マグネシウムが水酸化ニッケルに固溶していることが確認された。
容積40Lの攪拌機付き反応槽に、製造例1で得られた水酸化ニッケル含有粒子を含有するケーク(水酸化ニッケル含有粒子量、5600g)と、50℃の温水とを加えて攪拌し、懸濁液を得た。懸濁液の温度を50℃に維持した。また、5.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えることで懸濁液のpHを9.0に調節し、懸濁液に窒素ガスを吹き込むことで懸濁液の溶存酸素濃度を0.2mg/Lに調節した。
懸濁液の温度、pH、溶存酸素濃度をそれぞれ上記の値に維持しながら、懸濁液に、1.5モル/Lの硫酸コバルト(II)水溶液2.08Lを連続的に加えるとともに、pH調節用に5.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に加えて、120分間攪拌を継続した。
次に、懸濁液の温度及び溶存酸素濃度をそれぞれ維持しながら、懸濁液に、5.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて懸濁液のpHを12.0に上げ、そのまま60分間攪拌を継続した。次いで、懸濁液の温度及びpHをそれぞれ維持しながら、懸濁液に空気を吹き込むことで懸濁液の溶存酸素濃度を3.0mg/Lに上げ、そのまま120分間攪拌を継続した。その後、沈殿物をろ過、脱水、乾燥処理を行い、目的の粒子集合体を得た。
得られた粒子集合体の特性を第1表に示す。
容積40Lの攪拌機付き反応槽に、製造例1で得られた水酸化ニッケル含有粒子を含有するケーク(水酸化ニッケル含有粒子量、5600g)に50℃の温水を加えて攪拌し、懸濁液を得た。懸濁液の温度を50℃に維持しながら、5.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えることで懸濁液のpHを12.5に調節し、懸濁液に空気を吹き込むことで、懸濁液の溶存酸素濃度を3.0mg/Lに調節した。
懸濁液の温度、pH、溶存酸素濃度をそれぞれ上記の値に維持しながら、懸濁液に、1.5モル/Lの硫酸コバルト(II)水溶液2.08Lを連続的に加えるとともに、PH調節用に5.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に加えて、120分間攪拌を継続した。
次いで、その後、沈殿物をろ過、脱水、乾燥処理を行い、粒子集合体を得た。
得られた粒子集合体の物性を第1表に示す。
一方、水酸化ニッケル含有粒子の表面に水酸化コバルトを析出させるときの懸濁液のpHが実施例1のものよりも高い、比較例1で得られた粒子集合体は、粒子径が5μm以下の粒子の含有量が多いものであり、その量は、参考例の原料粒子集合体のものよりも増加していた。
Claims (1)
- 以下の工程A〜工程Cを有する、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバルト
化合物により表面が被覆された、水酸化ニッケル含有粒子からなる粒子集合体の製造方法
。
工程A:水酸化ニッケル含有粒子を含む原料粒子集合体であって、粒子径D50が10〜
15μm、粒子径が5μm以下の粒子の累積頻度%値が12.0%以下である原料粒子集
合体を含む懸濁液に、攪拌下、懸濁液のpHを8.0〜11.0、溶存酸素濃度を0.5
mg/L以下に保持しながら、前記原料粒子集合体100重量部あたり2〜10重量部と
なる量のコバルト(II)塩を含む水溶液を添加することにより、α−水酸化コバルトで
表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程B:工程Aで得られた懸濁液の溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に保持しながら、
前記懸濁液のpHを11.5〜13.5に調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子
の表面を被覆するα−水酸化コバルトを、β−水酸化コバルトに変換して、β−水酸化コ
バルトで表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
工程C:工程Bで得られた懸濁液のpHを11.5〜13.5、溶存酸素濃度を1.0〜
15.0mg/Lにそれぞれ調整することにより、水酸化ニッケル含有粒子の表面を被覆
するβ−水酸化コバルトを酸化して、コバルトの平均価数が2.1〜3.0であるコバル
ト化合物により表面が被覆された水酸化ニッケル含有粒子を含む懸濁液を得る工程
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