JP6074169B2 - 印象老化の予防または改善のための方法 - Google Patents

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Description

本発明は、美容方法に関するものである。本発明は、美容分野、化粧料組成物の製造・販売の分野等で有用である。
身体に物理的刺激である施術を施すことは、ストレスの緩和やストレスに起因する身体機能不全の回復に有用であることが知られている一方で、顔に施術することによる美容方法が提案されている。
例えば、特許文献1は、フェイスラインのリフトアップに効果的な美容方法として、顎および/または頬に20%以上30%以下の油分を含むクリーム状美容料を塗布するステップと、このクリーム状美容料が塗布された顎および/または頬に対してマッサージを行うステップと、マッサージの施術後に伸縮性を有する不織布を基材とし耳掛け部を有するマスクを装着することによる美容方法を提案する。また、特許文献2は、血行促進、皮膚のくすみ、むくみ防止等に有効な顔のマッサージ法として、適切な大きさのコルクボールを用い、特定の順序、方向で、顔の表面をマッサージする方法を提案する。
顔へのマッサージのための化粧料も検討されてきている。例えば、特許文献3は、角質除去効果、マッサージ効果および皮膚への密着性に優れ、使用後の後肌感がしっとりとしており、しかも、皮膚に対する刺激が少ないマッサージ化粧料として、(a)軽石粉末(b)半固体油(c)液体油を含有することを特徴とするマッサージ化粧料を提案する。また、特許文献4は、相転移が起こり易いマッサージ用化粧料組成物として、水相成分、オイル成分、ポリオールおよび界面活性化剤を含む水中油型エマルジョンの剤形を有するマッサージ用化粧料組成物において、前記界面活性化剤として、モノステアリン酸ポリエチレングリコールとグリセリルステアレート/PEG−100ステアレートとを含有することを特徴とする化粧料組成物を提案する。さらに特許文献5は、べたつき感のない良好な使用感を有し、適度な粘度やのび、滑りがあってマッサージがしやすく、充分なリラックス感が得られるものとして、粉末と、水溶性高分子と、油分とを含有し、油分量が化粧料全量中10重量%以下であることを特徴とする、マッサージ化粧料を提案する。さらに、特許文献6は、皮膚に負担をかけることなく、長時間、力強いマッサージ施術を安定に行うことが可能で、かつ、マッサージ施術後の水洗性、マッサージ効果に優れるものとして、(A)N−アシルアミノ酸および/またはその塩、(B)水溶性高分子および(C)炭素数が14〜24の直鎖飽和アルコール4〜20質量%を含有する乳化化粧料を提案する。
他方、夕方になると顔が疲れて見えたり、老けてみえたりすることは多くの女性が実感している。夕方になると目立つ目の下のくまや細かなしわの出現等に着目し、化粧料で潤いを与えることにより、それらを目立たなくして美しさを維持する方法が知られている。また、顔の形状には朝と夕方とで変動(日内変動)があることが知られており、特許文献7は、この日内変動を指標とすることを特徴とする、マッサージおよび/またはエステティックの施術の効果の評価法を提案する。この方法においては、非接触型三次元形状計測装置によって取得された施術前の顔部位の高低を表す座標から、該非接触型三次元形状計測装置によって取得された施術後の顔部位の高低を表す座標を減算し、減算結果が正であれば明るく、ゼロまたは負であればその程度に応じて暗く表示したエステティック効果図を作成する一方で、同じ人物から得た夕方の顔部位の高低を表す座標から朝の工程を表す座標を減算して同様に全日内変化図等を作成し、両図を比較することで、これにより、エステティックの効果を客観的かつ科学的に示し、正確に施術者に伝えることができるとしている。
特許第4695208号 特開2011-62296 特開2000-355514 特開2005-306872 特開平10-45532 特開2012-36145 特開2002-282063(特許第3853720号)
エステティシャンによる顔のマッサージは、前掲特許文献7からも理解されるように、顔施術前後で顔の立体形状が改善されうる。しかし、その効果をどの程度の期間維持できるかは不明である。また、期待した効果を維持するために、熟練の専門技術者による比較的長時間にわたる施術を、繰り返し受け続けなければなければならないとすれば、その美容方法は実用的であるとはいえない。
そして、従来の顔面への施術は、その時間内にわたって化粧料の延びや手指の滑りを維持するために、通常は油分を少なくとも30重量%、典型的には50〜80重量%配合したマッサージ専用の化粧料が用いられ、マッサージ後には化粧料をふき取るか洗い流す手間を要する(前掲特許文献3および4)。油分が比較的少なく、ふき取りや洗い流しが容易なマッサージ化粧料も検討されてきたが(前掲非特許文献5および6)、少なくとも5分間は継続してマッサージできるように揮発や肌への浸透が抑えられたようなマッサージ専用化粧料として、設計されてきた。
本発明は、多くの女性が実感する、夕方になると顔が疲れて見えたり、老けてみえたりすること、すなわち、後述するような起床後6時間以降の印象老化を予防または改善するための手段であって、熟練の専門技術者に頼らず、簡便に短時間で実施することのできる方法を提供することを課題とする。またその方法への使用に適した化粧料組成物を提供することを課題とする。上述の非特許文献7は、顔面の形状の日内変動に関するものであるが、日内変動を指標とするにとどまっている。起床後6時間以降の印象老化を、特に顔面の形状変化の観点から予防・改善すするのに有効であり、かつ簡便な手段があれば、望ましいことは言うまでもない。
本発明は、以下を提供する:
(1)洗い流しおよびふき取り不要な化粧料組成物を、あご、頬およびフェイスラインに塗布し、そして
(2)あご、頬およびフェイスラインを、1分以上5分未満の間、手指でマッサージする
ステップを含む処置を、1日1〜3回、少なくとも5日間連続して行うことによる、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善する方法。
[2] マッサージステップが、下記を含む、[1]に記載の方法。
(2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指先で、タッピングすることを、1〜5回行うステップ;そして
(2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ。
[3] あご、頬およびフェイスラインに塗布し、あご、頬およびフェイスラインを、1分以上5分未満の間、手指でマッサージすることを含む処置を、1日1〜3回、少なくとも5日間連続して行い、それにより起床後6時間以降の印象老化を予防または改善するために用いる、化粧料組成物の使用方法。
[4] マッサージステップが、下記を含む、[3]に記載の使用方法。
(2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指先で、タッピングすることを、1〜5回行うステップ;そして
(2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ。
[5] 下記を含む乳化物であって、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善するための剤:
(a)親水性界面活性剤、
(b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤、
(c)界面活性助剤、
(d)水溶性高分子、
(e)1質量%以上30質量%未満の油性成分。
[6] 化粧料として使用するための、[5]に記載の剤。
[7] (1)下記:
(a)親水性界面活性剤、
(b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤、
(c)界面活性助剤、
(d)水溶性高分子、
(e)1%質量以上30質量%未満の油性成分。
を含む乳化化粧料組成物を、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善したい対象の、少なくともあご、頬およびフェイスラインに塗布し;そして
(2)化粧料組成物が塗布されたあご、頬およびフェイスラインに対して、下記:
(2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指の背で、タッピングすることを、1〜5回行うステップ;そして
(2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ
を含み、かつ乳化化粧料組成物の洗い流しステップおよびふき取りステップを含まない処置をする
ことを、1日1〜3回(好ましくは2回)、少なくとも3日間(好ましくは5日間、より好ましくは7日間)連続して行う、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善する方法。
[8] 起床後6時間以降の印象老化を予防または改善したい対象の顔面全体に塗布し、さらに下記のステップを含む、[7]に記載の方法;
(2−3)首を左に傾け、左右の頬を、密着させた左右の手の平で、こめかみ方向へ引きあげるように左右交互に軽擦すること、および首を右に傾け、左右の頬を、密着させたそれぞれの手の平で、こめかみ方向へ左右交互に軽擦することを、1〜6回行うステップ;
(2−4)首の傾きを戻し、左右の頬を、密着させた左右の手の平で、あご先からこめかみ方向へ、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ;
(2−5)左右の親指をあご下、人差し指側を面口角および鼻側面に沿わせた状態から、徐々に手の平全体を頬に密着させつつ、耳前まで軽擦するが、このとき左右の中指および薬指のはらは左右の瞼の上を軽擦するようすることを、1〜6回行うステップ;そして
(2−6)左右の四指を耳下後方に密着させ、手の平全体で耳下後方から鎖骨下に向かって首を軽擦することを、1〜6回行うステップ。
[9] [7]または[8]に記載の方法に用いるための、乳化化粧料組成物。
[10] [7]に記載された乳化化粧料組成物と、7または8に定義されたマッサージステップを記録した媒体とを含む、製品。
[11] [7]または[8]に定義されたマッサージステップを記録した媒体。
[12] [7]または[8]に定義されたマッサージステップを記録した媒体を対象へ提供し、[7]または[8]に定義されたマッサージステップを含む処置を対象に実施させる、対象における起床後6時間以降の印象老化を予防または改善する方法。
本発明により、起床後6時間以降の印象老化を有効に予防・改善できる。
本発明の方法は簡便に実施できるので、熟練の技術者によらずに実施でき、そのため繰り返しや継続しての実施が容易である。
本発明により、顔面の立体形状変化を抑制しうる。
本発明により、起床後6時間以降の印象老化の予防・改善効果を、継続して維持することができる。
本発明により、肌のはり感、およびつやが改善されうる。
日内での顔面形状の変化の指標として設定した部位を示した図である。 朝晩の顔面の立体形状変化を、レーザー式非接触3次元スキャナーにより得られたデータに基づいて表した図である(参考例)。 朝晩の顔面の立体形状変化を、レーザー式非接触3次元スキャナーにより得られたデータに基づいて表した図である(試験例1)。 朝晩の顔面の立体形状変化を、レーザー式非接触3次元スキャナーにより得られたデータに基づいて表した図である(試験例2)。
本発明を通じ、特に記載した場合を除き、「 〜 」で表される範囲は、両端の値を含み、また特に記載した場合を除き、「 %」は質量に基づく値である。
本発明の方法は、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善するために実施される。
本発明で「起床後6時間以降の印象老化」というときは、特に記載した場合を除き、顔が、午前中に比較して午後には老けて見えることをいい、具体的には、起床後6時間以上経過すると、目周辺のくぼみ、頬のくぼみ、フェイスラインのたるみが進行する等、顔面の形状が変化することにより、起床時に比較して老けた印象を与えることをいう。印象老化の有無または程度は、目視により判断することができ、また顔の立体的形状の変化を、三次元スキャナ等の従来技術を用いて捉えることにより、評価することができる。評価のための方法および判断基準は、当業者は適宜設計することができるが、典型的には、本明細書の実施例の項に示された方法および基準に拠る。起床後6時間以降の印象老化は、場合により、「午後の印象老化」と表現することもできる。
本発明で起床後6時間以降の印象老化に関し、「予防または改善」というときは、特に記載した場合を除き、起床後6時間以降の印象老化を発生させないこと、発生リスクを低減すること、発生させるがその程度を低く抑えること(抑制すること)、および発生させるがその程度を維持するかまたは進行の度合いを低く抑えること(抑制すること)をいう。起床後6時間以降の印象老化が予防または改善されたかどうかは、当業者であれば、適切な方法と、適切な基準により、評価することができる。典型的には、本明細書の実施例の項に記載した方法および基準により、評価することができる。
〔マッサージステップ〕
本発明の方法は、特定の手順によるマッサージステップを含む。本発明で「マッサージ」というときは、特に記載した場合を除き、美容目的で行われるものであって、人の疾患または状態の治療を目的とする医療行為を含まない。
本発明のマッサージステップは、対象の、少なくともあご、頬、フェイスライン、場合により顔全体に、後述する乳化化粧料組成物を塗布した後に開始される。塗布は、手の平に使用量を取り、両手の平全体に広げることにより、行うことができる。次いで、手の平全体で顔を包み込むようにあご、頬、額、フェイスラインへと、乳化化粧料組成物を顔全体になじませるとよい。細かい部分(目、鼻、口)は指先を使用することができる。
本発明のマッサージステップは、下記を含む。
(2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指先で、タッピングするステップ。
(2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦するステップ。
(2−1)のステップは、主としてフェイスラインのためのものであり、あごを少し上げた状態で実施することができる。人差し指・中指をそろえ、指の背を使用してタッピングを行うことが好ましい。左右は同時に行うこともできるが、あご下〜左耳下〜あご下〜右耳下〜あご下に向かい、フェイスラインを引き上げるよう意識しながら左右交互に(往復するように)タッピングすることが好ましい。回数は、1〜5回とすることができ、好ましくは1〜3回であり、より好ましくは1回(一往復)である。5回を超える実施は、かえって肌への負担が大きいことがある。
このステップは、本発明において重要であり、このステップを欠くと、目的の効果が得られないことがある(試験例1参照)。
(2−2)のステップは、上記のステップに続いて行うべきステップであり、主としてフェイスラインのためのものである。上記のステップであごを少し上げた状態で行った場合は、顔は正面に戻すとよい。このステップは、親指のはらと人差し指の側面(親指を伸ばした状態でこぶしをつくる)を使用することができ、フェイスラインを親指のはらと人差し指の側面で挟むように、あご先から耳下に向かって軽擦するように行うことができる。回数は、1〜6回とすることができ、好ましくは、2〜5回であり、より好ましくは3回である。
本発明のマッサージステップは、上記の2つのステップに続いて、下記のいずれかを含むことができ、好ましくは下記のすべてを含む:
(2−3)首を左に傾け、左右の頬を、密着させた左右の手の平で、こめかみ方向へ引きあげるように左右交互に軽擦すること、および首を右に傾け、左右の頬を、密着させたそれぞれの手の平で、こめかみ方向へ左右交互に軽擦することを行うステップ。
(2−4)首の傾きを戻し、左右の頬を、密着させた左右の手の平で、あご先からこめかみ方向へ、左右同時に軽擦することを行うステップ。
(2−5)左右の親指をあご下、人差し指側を面口角および鼻側面に沿わせた状態から、徐々に手の平全体を頬に密着させつつ、耳前まで軽擦するが、このとき左右の中指および薬指のはらは左右の瞼の上を軽擦するようすることを行うステップ。
(2−6)左右の四指を耳下後方に密着させ、手の平全体で耳下後方から鎖骨下に向かって首を軽擦することを行うステップ。
(2−3)のステップは、主として、頬 (左または右)のためのものである。首を左または右に傾けて行う。両手の平全体を使用して行うことができる。具体的には、両手の平を左右それぞれの頬に密着させ、こめかみ方向に頬を引き上げるように意識しながら左右交互に軽擦することにより行う。このとき、首を左に傾けている場合は、左手は指先が上を向いた状態であり、右手は指先が横を向いた状態であることが好ましい。回数は、1〜6回とすることができ、好ましくは3〜5回であり、より好ましくは3回である。
(2−4)のステップは、主として両頬のためのものである。(2−3)のステップに続いて実施する場合は、傾けた首をまっすぐに戻して行う。両手の平全体を両頬にあて、あご先からこめかみ方向に頬全体を持ち上げるように、左右同時に軽擦する。回数は、1〜6回とすることができ、好ましくは3〜5回であり、より好ましくは3回である。
(2−5)のステップは、頬全体および目元のためのものである。両手の親指をあご下、人差し指側面を左右の口角および鼻側面に沿わせた状態で開始し、徐々に人差し指を耳前に移動させつつ手の平全体を頬に密着させ、耳前まで軽擦することにより行うことができる。その際、左右の中指・薬指のはらは、左右のまぶたの上を軽擦するようにすることが好ましい。回数は、1〜6回とすることができ、好ましくは3〜5回であり、より好ましくは3回である。
(2−6)のステップは、最後に行うことが好ましい。四指中心に、左右の手を左右の耳下後方に密着させ、耳下後方から鎖骨下まで、左右同時になでおろすように首を軽擦することにより実施することができる。回数は、1〜6回とすることができ、好ましくは3〜5回であり、より好ましくは3回である。
ステップの順は、特に限定されないが、記載の順に行うことがより好ましい。(2−6)を行う場合は、最後のステップとして行うことが好ましい。マッサージは、(2−1)〜(2−6)までのすべてのステップを、最も好ましい回数で行った場合、全体としては3分間程度で終了することができる。本発明の方法によれば、3分間という比較的短い時間の施術であっても、目的の効果が十分に得られる。
本発明のマッサージステップは、一日に1回以上行うことができ、1日1〜3回行うことが好ましく、1日2回行うことがより好ましく、午前1回および午後1回行うことがさらに好ましい。本発明のマッサージステップは、複数日連続して行うことができる。毎日行ってもよい。3日〜14日連続して行うことにより効果が実感でき、4日以上連続して行うことが好ましく、5日以上連続して行うことがより好ましい。本発明で「連続して」というときは、特に記載した場合を除き、途中、1日の中断が1〜2回含まれていてもよい。例えば、本発明で「5日間連続して」というときは、途中にマッサージを行わなかった日(中断)が2回含まれ、終了までに7日間要する場合も含まれる。中断する日が2日ある場合は、その2日は連続していないことが好ましい。
〔乳化化粧料組成物〕
本発明においては、以下を含む乳化化粧料組成物を用いる:
(a)親水性界面活性剤、
(b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤、
(c)界面活性助剤、
(d)水溶性高分子、
(e)1質量%以上30質量%未満の油性成分。
(a)親水性界面活性剤
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、親水性界面活性剤を含む。
親水性界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロビレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、アルキル硫酸塩、高級脂肪酸塩、POEアルキルエーテルリン酸塩(EO6〜10モル付加)等を挙げることができる。
本発明においては、マッサージ中の滑らかな伸びやべたつきのなさ、美肌効果、化粧料の安定性の観点から、このうち、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステルと、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−アシルアミノ酸またはその化粧料として許容される塩が特に好ましい。化粧料として許容される塩には、ナトリウム塩およびカリウム塩が含まれる。
本発明に用いる乳化化粧料組成物におけるこの成分の含有量は、特に限定はされないが、化粧料の安定性の観点から、0.01〜5%とすることができ、0.03〜3%が好ましく、0.06〜1.5%がより好ましい。
(b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤を含む。これは、化粧料の安定性を向上させ、滑らかな伸び、後肌の保湿感等といった優れた使用感を得るためのものである。
HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤は、具体的には、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル等のグリセリンおよびポリグリセリン脂肪酸エステル、ヘキサステアリン酸POE(6)ソルビット等のポリオキシエチレンソルビットエステル、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、POE(3〜10)硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸POE(5〜20)硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸POE(5〜30)硬化ヒマシ油等のヒマシ油誘導体、POE(2〜5)セチルエーテル、POE(2〜5)オレイルエーテル、POE(2〜6)ステアリルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(5)イソステアリルエーテル、POE(5)コレステリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、等が挙げられる。
本発明に用いる乳化化粧料組成物におけるこの成分の含有量は、特に限定はされないが、マッサージ後のべたつきや化粧料の安定性の観点から、0.01〜10%とすることができ、0.03〜6%が好ましく、0.06〜3%がより好ましい。
(c)界面活性助剤
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、界面活性助剤を含む。本成分は、界面活性剤成分とともに、乳化化粧料組成物の乳化安定性の改善に寄与するとともに、使用感(べたつきのなさ)の改善にも寄与する。
本成分として、具体的には、炭素数12〜22の高級アルコールおよび炭素数12〜22の脂肪酸モノグリセリルを併用すると、効果が高まるので好ましい。炭素数12〜22の高級アルコールは、不飽和結合を含まない飽和高級アルコールであっても、不飽和結合を含む不飽和高級アルコールであってもよい。炭素数12〜22の高級アルコールの例には、ラウリルアルコール(C12)、ミリスチルアルコール(C14)、セチルアルコール(C16)、ステアリルアルコール(C18)、オレイルアルコール(C18、不飽和を含む)、リノレイルアルコール(C18、不飽和結合を含む)およびベヘニルアルコール(C22)が含まれる。また、2種のアルコールの混合物である、セトステアリルアルコール(セタノールとステアリルアルコールとの混合物)等を用いることもできる。
本発明に用いる乳化化粧料組成物におけるこの成分の含有量は、特に限定はされないが、マッサージ後のべたつきや化粧料の安定性の観点から、0.01〜10%とすることができ、0.05〜7%が好ましく、0.1〜5%がより好ましい。
(d)水溶性高分子
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、水溶性高分子を含む。
使用される水溶性高分子の典型例は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの単純エステル1種以上と、アクリル酸アルキル(C10-30)から成る共重合体をショ糖のアリルエーテルまたはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したものである。他の例としては、具体的には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシートガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローガストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、メタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本発明に用いる乳化化粧料組成物におけるこの成分は、特に限定はされないが、マッサージ中の滑らかな伸びやべたつきのなさ、化粧料の安定性の観点から、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマーが好ましい。
本発明に用いる乳化化粧料組成物におけるこの成分の含有量は特に限定はされないが、化粧料の安定性の観点から、0.01〜5%とすることができ、0.03〜3%が好ましく、0.06〜1.5%がより好ましい。
(e)油性成分
本発明に用いる乳化化粧料組成物は、油性成分を含有する。マッサージ専用の化粧料組成物は、従来、少なくとも30%、通常50%〜80%の油性成分を含んでいるが、本発明に用いる乳化化粧料組成物は、マッサージを3分程度継続できれば十分であるので、油性成分の含量が比較的少ない。そのため、ふき取りや洗い流しといった手間が省けるという利点もある。
油性成分としては、化粧料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等のいずれの起源の油を用いてもよく、また、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わずいずれも用いることができる。具体的には、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。液状油を用いると、配合の際に過度の加熱が不要であるので、加熱による変臭(例えば成分(f)を加熱することによって生じる変臭)・変質を軽減できるので好ましい。使用可能な油性成分の例には、流動パラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、リンゴ酸ジイソステアリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリメリト酸トリデシル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、ダイマージリノール酸(フィトステリル・イソステアリル・セチル・ステアリル・ベヘニル)、メドウフォーム油、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、水添アビエチン酸グリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、沸点が常圧において260℃以下の側鎖を有する飽和炭化水素油、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルシクロペンタシロキサンなどの低分子鎖状ポリシロキサン、低重合度ジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の低分子環状のシリコーン油等の揮発性油剤、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、ポリオキシアルキル変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン等の炭化水素系油剤;トリオクタン酸グリセリル等のトリグリセライド系油剤;ジカプリン酸プロピレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸イソセチル、ジペンタエリスリット脂肪酸エステル、ホホバ油等のエステル系油剤;非揮発性のジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン系油剤、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、ヤシ油、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル等、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸、アジピン酸2−ヘキシルデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エチルポリシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、エチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられ、例えばペースト状の油剤としては、カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、マカデマナッツ油脂肪酸フィトステリル等が挙げられ、例えば固形状の油剤としては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ミツロウ、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン等が挙げられ、これらの油剤は必要に応じて一種、または二種以上用いることができる。
これらの中でも、皮膚への浸透により美肌効果が得られる点および乳化滴の状態や経時安定性の観点から、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリルを、単独または他の油性成分と組み合わせて、使用することが好ましい。
本発明に用いる乳化化粧料組成物におけるこの成分の含有量は、特に限定されないが、1%以上30%未満である。好ましくは5〜25%であり、より好ましくは7〜23%である。この範囲であれば、3分程度のマッサージを十分に行うことができ、かつ肌において十分なエモリエント効果が得られる。
(f)アスタキサンチン
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、アスタキサンチンを含むことができる。アスタキサンチンは、抗酸化作用を有し、マッサージ用の化粧料組成物に含ませることにより、起床後6時間以降の印象老化をより効果的に予防または改善することができると考えられる。
本発明において用いられるアスタキサンチンは、化粧料添加物として許容されるグレードである限り、由来等に特に限定はないが、安定性の観点からヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンが好ましい。
アスタキサンチンの配合量は、0.001〜0.1%とすることができ、好ましくは0.005〜0.05%であり、より好ましくは0.0075〜0.03%である。
その他の成分等
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、水を含む。本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、マッサージの実施に悪影響を与えない限り、化粧料添加物として許容される他の種々の成分を配合することができる。本発明に用いられる乳化化粧料組成物の形態は、特に限定されないが、例えば、水中油型の乳化組成物とすることができ、またローション、乳液、クリーム、液剤、スプレー剤等の種々の形態とすることができる。マッサージ中の使用性と、美肌効果の観点から水中油型乳化組成物であることが好ましい。
本発明に用いられる乳化化粧料組成物は、マッサージの際に塗布した後、洗い流しおよびふき取りが不要である。本発明で化粧料組成物に関し、「洗い流しおよびふき取り(が)不要」というときは、特に記載した場合を除き、マッサージをするために使用した化粧料組成物を皮膚に残しても、安全性上の問題を生じず、べたつき等の感触の問題がなく、また次のステップとしてメイクができないこと等の問題が生じず、マッサージをするために使用した化粧料組成物を除去する必要がないことをいう。
〔本発明の実施等〕
本発明の方法は、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善したい対象において実施することができる。実施の主体は、医師以外の、エステティシャン等の他人のための美容を目的とした施術を職業として行う者でもよく、対象自身であってもよい。対象自身に対して、本発明の方法を記載した媒体を示し、本発明の方法を実施するように進める行為もまた、本発明の実施に含まれる。本発明で「媒体」というときは、特に記載した場合を除き、紙面(包装紙、外箱、ラベル、使用説明書、タグを含む。)、DVD、CD、ICメモリカード(SD等)、FD、HDが含まれる。
本発明の一態様では、本発明は、特定の乳化化粧料組成物とその用い方を記録した媒体とを含む、製品である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔参考例〕
朝から夕方にかけて、目周辺のくぼみ、頬のくぼみ、フェイスラインのむくみ等に悩む40代女性を被験者とした。マッサージをしない場合の、午前9時と午後6時の顔面の立体的形状データを、レーザー式非接触3次元スキャナーVIVID(コニカミノルタセンシング株式会社製)で取得した(参考例1)。また、その後、午後6時の印象老化が比較的進んでいると考えられる状態に対して、プロのエステティシャンがマッサージ専用の化粧料を用いて30分のマッサージを一回行い、施術後の顔面の立体的形状データを、同様にレーザー式非接触3次元スキャナーVIVIDで取得した(参考例2)。さらに、その後は、マッサージを施さないまま、7日目の午前9時と午後6時の顔面の立体的形状データを同様に取得した(参考例3)。
なお、エステティシャンによるマッサージは下記のように行った:
1.マッサージクリームを手掌で暖めながら、全顔にのばす。
2.手掌で額の中心からこめかみに向かって左右同時に軽擦することを3回
3.人差し指と中指で、瞼の上を目頭から目尻、目の下を目尻から目頭、瞼の上を目頭から目尻の順で目の周りを左右同時に軽擦することを3回
4.人差指・中指・薬指で、頬を鼻横からこめかみに向かって左右同時に軽擦することを3回
5.人差指・中指で、頬を口角から耳前に向かって左右同時に軽擦することを3回
6.人差指・中指で、フェイスラインをあご先から耳下に向かって左右同時に軽擦することを3回
7.中指・薬指で、耳前を眉上と口を結ぶように左右同時に軽擦することを3回
8.人差指・中指で、首を首の付け根と肩甲骨を結ぶように左右同時に軽擦することを3回
9.2〜8のステップを5回繰り返す。
参考例1〜3について、法令線横、およびフェイスラインの変化量を算出した。また参考例3については、7日目の午後と施術前の午前との変化量(XおよびY)を算出した。なお、変化量は、図1の□で囲んだ辺りの2か所の部位(法令線横およびフェイスラインそれぞれの中央の、各1cm×1cm)について、それぞれの体積の総変化量として測定した。事前の検討から、法令線の上部皮膚の下垂、およびフェイスライン皮膚の下垂が印象年齢を上げる要因の一つであると考えられた。
結果を下表および図2に示した。
Figure 0006074169
図2からも明らかであるように、参考例1ではフェイスラインに下垂が見られたが、参考例2では、フェイスラインがすっきりする様子が確認でき、エステティシャンにより、起床後6時間以降の印象老化が改善された。また参考例3では、法令線横およびフェイスラインに下垂が見られ、1回の施術の効果が維持されておらず、かつ7日目と開始時との比較(XおよびY)では、下垂がかえって進行している様子が見られた。
ここで得られたエステティシャンによる施術前後の変化量は、起床後6時間以降の印象老化の改善可能な程度を表すと考え、以後の評価における判断基準の一つとした。
〔試験例1〕
(マッサージ方法の検討)
20代〜40代の女性3人を被験者とし、初期値として、それぞれの顔面の立体的形状データを午前9時と午後6時に、レーザー式非接触3次元スキャナーVIVIDで取得した。被験者に、後述する製造例1の乳液を用いて、下表に示す実施例1、比較例1、または比較例2のマッサージを1日2回、7日間連続して行わせた。7日目に初期値と同様に、午前9時と午後6時に、顔面の立体的形状データをレーザー式非接触3次元スキャナーVIVIDで取得した。
Figure 0006074169
(立体形状変化抑制効果の評価方法)
取得したデータから、法令線横、およびフェイスラインの変化量を、参考例に記載したのと同様に測定した。またそれぞれについて、参考例に記載したのと同様に、7日目と初日との変化量XおよびYを算出した。算出した変化量を、参考例で示したエステティシャンの施術前後の変化量に基づいて定めた下表の基準に照らし、立体形状変化を抑制する効果を評価した。
Figure 0006074169
◎:エステティシャンによるマッサージ以上の、下垂の予防または改善が見られる。
○:エステティシャンによるマッサージにはやや劣るが、十分な効果が見られる。
△:効果が見られるが、十分とはいえない。
×:効果が見られないか、または下垂が進行したように見える。
結果を下表および図3に示した。
Figure 0006074169
試験開始時、マッサージを行わない状態では、フェイスラインに下垂が見られたが(図3上段左、中、右)、実施例1では7日後にはフェイスラインの朝晩変化が少なくなった(図3下段右)。一方、比較例1の7日後の朝晩変化は、試験開始時のものと大差なく(図3下段中)、さらに比較例2では、実施例1と似たステップのマッサージを行っているにもかかわらず、実施例1とは大きく異なり、7日目のフェイスラインの朝晩変化は、かえってひどくなる方向であった(図3下段右)。
〔試験例2〕
20代〜40代の女性4人を被験者とし、初期値としてそれぞれの顔面の立体的形状データを午前9時と午後6時に、レーザー式非接触3次元スキャナーVIVIDで取得した。下記に示すように、被験者に、実施例2、または比較例3〜5の方法を行わせた。試験開始後7日目に初期値と同様にして、午前9時と午後6時に、顔面の立体的形状データをレーザー式非接触3次元スキャナーVIVIDで取得した。
実施例2:後述する製造例2のクリームを用いて、実施例1のマッサージ方法を1日2回(朝晩)7日間行わせた。
比較例3:後述する製造例1の乳液を用いて、実施例1のマッサージ方法を1日2回(朝晩)初日のみ行い、残りの6日間はマッサージせずに塗布させた。
比較例4:後述する製造例3のマッサージ専用クリームを用いて、実施例1のマッサージ方法を1日2回(朝晩)7日間行わせた。
比較例5:後述する製造例1の乳液を、1日2回(朝晩)7日間マッサージせずに塗布させた。
(立体形状変化抑制効果の評価)
試験例2と同様に評価した。
(美肌効果の評価)
塗布とマッサージによる美肌効果を、専門評価員3名が下記の基準によって目視により評価した。3人の評点の平均値をスコア化した。
(評点) (評価)
3点:試験開始前に比べ、肌のはり感、およびつやが改善された。
2点:試験開始前に比べ、肌のはり感、またはつやが改善された。
1点:試験開始前に比べ、肌のはり感、またはつやがやや改善された。
0点:試験開始前に比べ、変化がない。
(スコア)
2.5点以上〜3点以下:◎
1.5点以上〜2.5点未満:○
0.5点以上〜1.5点未満:△
0.5点未満:×
結果を、試験例1の実施例1の結果と並べて、下表および図4に示した。
Figure 0006074169
比較例3に示すようにマッサージ1日のみでは、立体形状の抑制効果が十分には認められなかった。また、比較例4に示すようにマッサージ専用クリームを用いた場合は、ある程度の立体形状変化の抑制効果は認められたが、美肌効果は認められなかった。
また、比較例5に示すようにマッサージをせずに製造例1の乳液の塗布のみでは、美肌効果は認められたが、立体形状変化の抑制効果は認められなかった。
〔製造例1:乳液〕
(処方)
(成分) (質量%)
1.N−ステアロイル−L−グルタミン酸 0.3
2.1,3−ブチレングリコール 1.2
3.セトステアリルアルコール 0.2
4.ベヘニルアルコール 0.1
5.親油型モノステアリン酸グリセリル 0.2
6.モノパルミチン酸ソルビタン 0.5
7.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
8.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 0.3
9.ステアリン酸硬化ヒマシ油 1.0
10.ジペンタエリスリット脂肪酸エステル 1.0
11.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10.0
12.流動パラフィン 5.0
13.メドウフォーム油 1.2
14.ホホバ油 2.5
15.パラオキシ安息香酸メチル 0.15
16.アスタキサンチン 0.01
17.N−ラウロイル−L−グルタミン酸
ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル) 0.1
18.オレイン酸フィトステリル 0.1
19.ビタミンE 0.05
20.フェノキシエタノール 0.01
21.グリセリン 6.0
22.1,3−ブチレングリコール 12
23.カルボキシビニルポリマー 0.06
24.(アクリレーツ/アクリル酸アルキルC10−30))
クロスポリマー 0.1
25.エデト酸二ナトリウム 0.01
26.精製水 残量
27.水酸化ナトリウム 0.06
28.水溶性コラーゲン 0.001
29.エタノール 1.0
30.香料 適量
(製造方法)
A.1と2を70℃で加熱混合する。
B.3〜20を70℃で加熱混合する。
C.BにAを加え、70℃で加熱混合する。
D.21〜27を70℃で加熱混合する。
E.DにCを加え、乳化する。
F.Eを冷却後、28〜30を加え、混合する。
〔製造例2:クリーム〕
以下の組成のクリームを、以下の方法で調製した。
(成分)%
1.モノステアリン酸ポリエチレングリコール *1 1.0
2.グリセリン 3.0
3.ジプロピレングリコール 10.0
4.1,3−ブチレングリコール 0.8
5.エデト酸二ナトリウム 0.02
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.15
7.精製水 残量
8.親油型モノステアリン酸グリセリル 0.5
9.セトステアリルアルコール 3.0
10.流動パラフィン 8.0
11.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
12.ワセリン 1.0
13.メチルポリシロキサン(100CS) 0.1
14.カルボキシビニルポリマー1%溶液 24.0
15.水酸化ナトリウム 0.072
16.エタノール 3.0
17.水溶性コラーゲン 0.001
18.香料 適量
*1 ニッコールMYS-55V(日光ケミカルズ社製)
(製法)
A.下記成分1〜7を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分8〜13を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、下記成分14〜18を加え混合し、クリームを得た。
〔製造例3:マッサージ専用クリーム〕
以下の組成のマッサージ専用クリームを、以下の方法で調製した。
(成分)%
1.ステアリン酸 1.5
2.ステアリルアルコール 2.5
3.ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 0.5
4.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.2
5.スクワラン 20
6.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル*2 3.0
7.ワセリン 7.5
8.流動パラフィン 15.0
9.マカデミアンナッツ油 10.0
10.キャンデリラワックス 1.2
11.メチルポリシロキサン(100CS) 1.5
12.フェノキシエタノール 0.2
13.1,3−ブチレングリコール 7.5
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
15.トリエタノールアミン 0.6
16.カルボキシビニルポリマー1%溶液 3.0
17.アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30)コポリマー1%溶液 3.0
18.香料 適量
19.精製水 残量
*2:コスモール168AR(日清オイリオグループ社製)
(製法)
A.成分1〜11を加熱溶解し、70℃に保つ。
B.下記成分12〜15、19を加熱溶解し、70℃に保つ。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを冷却後、下記成分16〜18を加え混合し、マッサージクリームを得た。

Claims (9)

  1. (1)洗い流しおよびふき取り不要な化粧料組成物を、対象のあご、頬およびフェイスラインに塗布し、そして
    (2)あご、頬およびフェイスラインを、1分以上5分未満の間、対象の手指でマッサージする
    ステップを含む処置を、1日1〜3回、少なくとも5日間連続して対象にわせることによる、対象における起床後6時間以降の印象老化を予防または改善する方法であって、
    化粧料組成物が下記を含む、方法:
    (a)親水性界面活性剤、
    (b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤、
    (c)界面活性助剤、
    (d)水溶性高分子、
    (e)1質量%以上30質量%未満の油性成分。
  2. マッサージステップが、下記を含む、請求項1に記載の方法:
    (2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指先で、タッピングすることを、1〜5回行うステップ;そして
    (2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ。
  3. 対象のあご、頬およびフェイスラインに塗布し、あご、頬およびフェイスラインを、1分以上5分未満の間、対象の手指でマッサージすることを含む処置を、1日1〜3回、少なくとも5日間連続して対象にわせ、それにより対象における起床後6時間以降の印象老化を予防または改善するために用いる、下記を含む化粧料組成物の使用方法
    (a)親水性界面活性剤、
    (b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤、
    (c)界面活性助剤、
    (d)水溶性高分子、
    (e)1質量%以上30質量%未満の油性成分。
  4. マッサージステップが、下記を含む、請求項3に記載の使用方法:
    (2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指先で、タッピングすることを、1〜5回行うステップ;そして
    (2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ。
  5. (1)下記:
    (a)親水性界面活性剤、
    (b)HLB7以下の親油性ノニオン界面活性剤、
    (c)界面活性助剤、
    (d)水溶性高分子、
    (e)1%質量以上30質量%未満の油性成分。
    を含む乳化化粧料組成物を、起床後6時間以降の印象老化を予防または改善したい他人である対象の、少なくともあご、頬およびフェイスラインに塗布し;そして
    (2)化粧料組成物が塗布されたあご、頬およびフェイスラインに対して、下記:
    (2−1)あご下〜左耳下〜あご下、およびあご下〜右耳下〜あご下を、指の背で、タッピングすることを、1〜5回行うステップ;そして
    (2−2)あご下〜左耳下、およびあご下〜右耳下を、親指のはらと人差し指の側面で、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ
    を含み、かつ乳化化粧料組成物の洗い流しステップおよびふき取りステップを含まない処置をする
    ことを、1日1〜3回、少なくとも3日間連続して行う、対象における起床後6時間以降の印象老化を予防または改善する方法。
  6. 起床後6時間以降の印象老化を予防または改善したい対象の顔面全体に塗布し、さらに下記のステップを含む、請求項に記載の方法;
    (2−3)首を左に傾け、左右の頬を、密着させた左右の手の平で、こめかみ方向へ引きあげるように左右交互に軽擦すること、および首を右に傾け、左右の頬を、密着させたそれぞれの手の平で、こめかみ方向へ左右交互に軽擦することを、1〜6回行うステップ;
    (2−4)首の傾きを戻し、左右の頬を、密着させた左右の手の平で、あご先からこめかみ方向へ、左右同時に軽擦することを、1〜6回行うステップ;
    (2−5)左右の親指をあご下、人差し指側を面口角および鼻側面に沿わせた状態から、徐々に手の平全体を頬に密着させつつ、耳前まで軽擦するが、このとき左右の中指および薬指のはらは左右の瞼の上を軽擦するようすることを、1〜6回行うステップ;そして
    (2−6)左右の四指を耳下後方に密着させ、手の平全体で耳下後方から鎖骨下に向かって首を軽擦することを、1〜6回行うステップ。
  7. 化粧料組成物が、アスタキサンチンをさらに含む、請求項1〜4、およびのいずれか1項に記載の方法。
  8. 請求項またはに定義されたマッサージステップを記録した媒体。
  9. 請求項またはに定義されたマッサージステップを記録した媒体を対象へ提供し、請求項またはに定義されたマッサージステップを含む処置を対象に実施させる、対象における起床後6時間以降の印象老化を予防または改善する方法。
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