以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係る巻き取り制御装置が適用される給紙装置の構成を示す。実施形態1に係る巻き取り制御装置100は、画像形成装置2において画像形成が行われたロール紙3を巻き取り部9にロール状に巻き取るときの巻き取りを制御する。
給紙装置1は、画像形成用の記録媒体として、ロール紙3を画像形成装置2へと供給する供給装置である。給紙装置1は、所定の巻き芯(紙管)の周りに用紙がロール状に巻き回されたロール紙3を連続的に巻き出して、画像形成装置2へと搬送する。具体的に説明すると、給紙装置1は、保持部(アンワインダ)8、及び搬送部10をその内部に備え、さらに巻き取り部(リワインダ)9をその上に備える。
保持部(アンワインダ)8は、画像形成装置2へ供給するべきロール紙3を保持するための部材である。保持部8は、ロール紙3の巻き中心にある巻き芯を貫通してロール紙3を保持する回転可能な回転軸(シャフト)と、この回転軸を支持する支持台と、によって構成され、ロール紙3を回転可能に保持する。
保持部8には、回転軸を回転させるための不図示のモータが搭載される。保持部8は、このモータの駆動により指示された単位時間当たりの回転数(単位時間当たりに回転する回数)で保持部8の回転軸を回転させて、保持しているロール紙3を巻き出して搬送部10に送り出すことができる。
搬送部10は、保持部8から巻き出されたロール紙3を所定の搬送経路に沿って搬送し、画像形成装置2へと供給する。具体的には、搬送部10は、テンションローラ12、従動ローラ13、用紙セットユニット14、用紙搬送ローラ対15、オートカッタ16、及び本体進入搬送ローラ対17を備える。
テンションローラ12は、搬送部10における保持部8の直後に設置され、保持部8から送り出されたロール紙3がたるまないように制御する。テンションローラ12は、鉛直方向に移動可能に設置され、自重又はバネ等の力により鉛直下向きに移動して搬送中のロール紙3にバックテンションを与える。このようなテンションローラ12の機能により、ロール紙3にかかるテンション(張力)が一定に保たれ、ロール紙3の搬送が安定する。
従動ローラ13は、ロール紙3の搬送に従動して、位置が固定された所定の回転軸の周りを回転するローラである。従動ローラ13は、搬送経路におけるテンションローラ12の下流に配置され、ロール紙3の搬送方向を調整する役割を果たす。
用紙セットユニット14は、オペレータが用紙をセットするために用意されたユニットである。用紙セットユニット14は、用紙搬送ローラ対15の片側のローラを保持する部材と一体的に構成されており、オペレータにより用紙搬送ローラ対15と共に開閉される。
用紙搬送ローラ対15は、用紙セットユニット14によりセットされたロール紙3を後続の搬送機構へと搬送するための部材である。用紙搬送ローラ対15は、不図示のモータにより駆動され、用紙セットユニット14によりセットされたロール紙3を挟時搬送し、オートカッタ16及び本体進入搬送ローラ対17へと供給する。
オートカッタ16は、必要に応じてロール紙3をカットするための部材である。オートカッタ16は、例えば画像形成装置2における画像形成に必要な長さのロール紙3を搬送し終えたときに、ロール紙3の終端をカットする。
本体進入搬送ローラ対17は、ロール紙3を画像形成装置2の内部へと搬送するための部材である。本体進入搬送ローラ対17は、不図示のモータにより駆動され、用紙搬送ローラ対15から供給されたロール紙3を挟時搬送し、画像形成装置2へと供給する。
ロール紙3をセットする操作を具体的に説明すると、オペレータは、ロール紙3を保持部8から引き出してテンションローラ12の下を通し、そして、開状態にした用紙セットユニット14までロール紙3を引き出して用紙搬送ローラ対15に挟む。この状態で用紙セットユニット14を閉じると、セットされたロール紙3が適宜のセンサにより検出され、用紙搬送ローラ対15が回転駆動する。すると、セットされたロール紙3は、オートカッタ16を通って本体進入搬送ローラ対17まで送られて、画像形成装置2への進入直前の待機位置(ホームポジション)に設置される。
一方で、給紙装置1上に設置された巻き取り部(リワインダ)9は、画像形成装置2から排出されたロール紙3を巻き取って保持するための部材である。巻き取り部9は、保持部8と同様、ロール紙3の巻き中心にある巻き芯(紙管)を貫通してロール紙3を保持する回転可能な第1の巻き取り軸としての巻き取り軸(シャフト)と、この巻き取り軸を支持する支持台と、によって構成され、ロール紙3を回転可能に保持する。
巻き取り部9には、巻き取り軸を回転させるための不図示のモータが搭載される。このモータの駆動により、巻き取り部9は、指示された単位時間当たりの回転数で巻き取り軸を回転させ、画像形成装置2から従動ローラ18を経由して送り出されたロール紙3を巻き取る。
また、給紙装置1上には、さらに巻き取り制御装置100が設置される。巻き取り制御装置100は、適宜の伝送路によって巻き取り部9のモータに接続され、巻き取り部9の巻き取り軸を回転駆動させることができる。巻き取り制御装置100は、画像形成装置2から排出されたロール紙3の巻き取り部9への巻き取りを制御する。巻き取り制御装置100が実行する処理の詳細は後述する。
画像形成装置2は、給紙装置1の上に据え置かれ、給紙装置1から供給されるロール紙3に画像形成すべき画像データを出力する。画像形成装置2は、例えばラベルプリンタであり、給紙装置1から連続的に供給されるロール紙3を記録媒体として、比較的大きな面積に及ぶ画像データの画像形成を用紙の切れ目なく行うことができる。
図2を参照して、画像形成装置2の内部構成を説明する。以下では、画像形成装置2として、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタを例にとって説明する。画像形成装置2は、画像形成部20、中間転写ベルトユニット30、及び定着装置40等を備える。
画像形成部20は、4つの画像形成ユニット21(21k、21c、21m、21y)が直列して設置された構成を備える。この4つの画像形成ユニット21のうちの上流側(図2における右側)の3つの画像形成ユニット21c、21m、及び21yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラートナーによるカラー画像を形成する。一方、下流側(図2における左側)の画像形成ユニット21kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
各画像形成ユニット21は、最下部に感光体ドラム22を備える。この感光体ドラム22は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成される。感光体ドラム22の近傍には、周面を取り巻くように、クリーナ23、帯電ローラ24、光書込ヘッド25、及び現像器26の現像ローラ27が配置される。
現像器26は、上部に設置されたトナー容器にブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ27を備える。現像器26は、さらに内部にトナー撹拌部材、現像ローラ27にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ27上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備える。
なお、図2ではブラック(K)用の画像形成ユニット21kの構成にのみ符号を付しているが、各画像形成ユニット21は、トナー容器に収納されたトナーの色を除いて同じ構成を備える。
中間転写ベルトユニット30は、プリンタ2内部のほぼ中央で、図2における左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト31、この転写ベルト31を掛け渡されて転写ベルト31を図2における反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ32、及び従動ローラ33を備える。転写ベルト31は、直接ベルト面に転写(一次転写)されたトナー像を、ロール紙3に転写(二次転写)すべくロール紙3への転写位置まで搬送する。
中間転写ベルトユニット30は、転写ベルト31のループ内に、4個の画像形成ユニット21k、21c、21m、及び21yに対応する4個の一次転写ローラ34を備える。一次転写ローラ34は、それぞれ、転写ベルト31を介して感光体ドラム22の下部周面に押圧するための導電性発泡スポンジによって構成され、指示された回転周期で回転し、転写ベルト31を感光体ドラム22に当接させたり感光体ドラム22から離接させたりする。
待機搬送ローラ対35は、給紙装置1から搬送されたロール紙3を受け取り、受け取ったロール紙3を二次転写ローラ36へと搬送する。二次転写ローラ36は、転写ベルト31を介して従動ローラ33に圧接するように配設されており、転写ベルト31のベルト面に転写されたトナー像をロール紙3へ二次転写する二次転写部を形成する。
定着装置40は、二次転写ローラ36の下流(図2では上方)に配置される。定着装置40は、ヒータ41を内蔵した加熱ローラ42と、この加熱ローラ42に圧接する加圧ローラ43と、を備える。
また、定着装置40のさらに下流側には、トナー画像の定着後のロール紙3を定着装置40から搬出し、さらに画像形成装置2の上面に形成されている排紙トレイに排紙する排紙ローラ対44が配設される。排紙ローラ対44を通って排出されたロール紙3は、画像形成装置2の側部に設置された従動ローラ18を経由して巻き取り部9へと供給される。
続いて、図3を参照して、画像生成装置2の制御に係る構成を説明する。
画像形成装置2は、ホストコンピュータ5及び巻き取り制御装置100と、LAN(Local Area Network)等のネットワーク、又はUSB(Universal Serial Bus)によって互いに接続されている。
画像形成装置2は、制御部50、及び印刷部60を備える。より詳細には、制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、LAN通信部52、USB通信部53、パネル制御部54、オペレーションパネル55、記憶装置56、記憶装置制御部57、及びコマンド解析部58を備える。そして、印刷部60は、印刷制御部61、及び印刷機構部62を備える。
CPU51は、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して画像形成装置2の各部と接続され、画像形成装置2の各部の動作を制御する。CPU51は、不図示のROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)をワークメモリとして用いながら、ROMや記憶装置56に記憶されているシステムソフトウェア等の各種プログラムを読み出し、適宜実行する。
LAN通信部52及びUSB通信部53は、それぞれLAN及びUSBを介して外部の機器と通信を行う。例えばCPU51は、LAN通信部52又はUSB通信部53を介してホストコンピュータ5及び巻き取り制御装置100と通信を行い、ホストコンピュータ5から送信された印刷ジョブを受信したり、巻き取り制御装置100にロール紙3の搬送要求を送信したりする。
パネル制御部54は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示パネル、及び各種の操作ボタン等の入力装置を備えるオペレーションパネル55に接続される。パネル制御部54は、CPU51の制御のもと、種々の画像や文字、記号等をオペレーションパネル55に表示する。また、パネル制御部54は、オペレーションパネル55に入力されたユーザからの各種操作を受け付け、受け付けた各種操作にそれぞれ対応する操作信号をCPU51に供給する。
なお、オペレーションパネル55の表示装置と入力装置とは、互いに重畳して配置されたいわゆるタッチパネル(タッチスクリーン)によって構成されるものであってもよい。
記憶装置56は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリやHDD(Hard Disk Drive)等によって構成され、画像形成装置2の動作に必要となる各種プログラム及びデータを記憶する。記憶装置制御部57は、CPU51の制御のもと、記憶装置56へのデータ書き込み、及び記憶装置56に記憶されたデータの読み出し制御を行う。
コマンド解析部58は、CPU51の制御のもと、ホストコンピュータ5から送信される印刷データに含まれるコマンドの解析を行い、印刷データをビットマップの画像データに変換する。そして、コマンド解析部58は、変換したビットマップの画像データを、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)ごとに、フレームメモリの対応する記憶エリアに展開する。フレームメモリに展開された画像データは、印刷制御部61に出力される。
印刷制御部61は、CPU51の制御のもと、画像形成部20、中間転写ベルトユニット30、及び定着装置40等を含む印刷機構部62を制御し、コマンド解析部58によって生成された画像データに従って印刷処理を行う。例えば、印刷制御部61は、中間転写ベルトユニット30の上下移動や転写ベルト31の回転駆動を行うための制御、駆動ローラ32、待機搬送ローラ対35、排紙ローラ対44等の回転駆動される搬送機構を駆動するための制御、及び回転駆動系等への電圧印加を行うための制御等を行う。
続いて、図4を参照して、巻き取り制御装置100の構成を説明する。巻き取り制御装置100は、制御部110、記憶部120、及び通信部130を備える。
制御部110は、例えばCPUと、CPUのメインメモリとして機能するRAM等と、を備える。制御部110は、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して巻き取り制御装置100の各部と接続され、巻き取り制御装置100全体を制御する。なお、制御部110は、一部にASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路を備えていてもよい。
記憶部120は、例えばROM、フラッシュメモリ等の記憶装置を備える。記憶部120は、制御部110が各種処理を行うために使用する各種プログラム及びデータ、制御部110が各種処理を行うことにより生成又は取得する各種データを記憶する。例えば、記憶部120は、画像形成装置2から巻き取り部9へと搬送されるロール紙3の線速度、厚み、巻き芯の径等の情報を記憶する。
通信部130は、制御部110の制御のもと、LANやUSB等を介して接続された画像形成装置2との通信を行う。例えば、通信部130は、画像形成の指示に応じて画像形成装置2から送信されたロール紙3の巻き取り要求を受信する。
そして、制御部110は、第1の巻き取り制御手段としての巻き取り制御部111として機能する。
巻き取り制御部111は、巻き取り部9の巻き取り軸を回転させて、画像形成装置2から排出され、従動ローラ18を経由して供給されたロール紙3を巻き取り部9に巻き取るときの巻き取りを制御する。そして、巻き取り制御部111は、ロール紙3を巻き取る速度が第1の速度としての所定の巻き取り速度に保たれるように、巻き取り軸の周りに巻き取ったロール紙3の長さが長くなるほど巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を小さくしてロール紙3を巻き取る。
具体的に説明すると、巻き取り制御部111は、図5に示すように、巻き取り部9に巻き取る速度が画像形成装置2から搬送されるロール紙3の線速度V(第1の速度)に合致するように、巻き取ったロール紙3の量に応じて巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御する。
巻き取り部9にロール状に巻き取られた状態にあるロール紙3の単位時間当たりの回転数Wは、巻き取り速度、すなわち巻き取られた状態にあるロール紙3の外周の速度がVのとき、このロール紙3の外径(巻径)をD、円周率をπとして、式(1)のように定まる。
W(rpm)=V(mm/s)/(D(mm)×π/60)・・・(1)
ここで、rpmは回転毎分(rotation per minute)である。
すなわち、巻き取り速度Vを画像形成装置2から搬送されるロール紙3の線速度に合致するように一定に保つためには、巻き取られたロール紙3の量が多くなって外径Dが大きくなるに従って単位時間当たりの回転数Wを小さくする必要がある。そのため、図5(a)のように、ロール紙3を巻き取り始めたばかりで外径D1が比較的小さいときは、巻き取り制御部111は、比較的大きな単位時間当たりの回転数W1で巻き取り軸を回転させる。一方で、図5(b)のように、巻き取られたロール紙3の量が多くなって外径がD2へと大きくなると、巻き取り制御部111は、巻き取り軸の単位時間当たりの回転数をW2へと小さくする。
一方で、巻き取り部9に巻き取られた状態のロール紙3の外径Dは、巻き取られたロール紙3の長さLによって定められる。すなわち、図6(a)に示すように、巻き取り軸9aの周りの半径がRの巻き芯9bの周りに厚みがtのロール紙3が長さLで巻かれているとき、巻き取り軸9aに垂直な面におけるロール紙3の断面積は、巻き芯9b及び巻き取り軸9aの面積まで含むと、円周率をπとしてπ×R×R+t×Lと表すことができる。そのため、巻き取り部9に巻き取られた状態のロール紙3の外径Dは、式(2)のように定まる。
D=2×√(R×R+t×L/π)・・・(2)
なお、以下では図6(a)に示すように、巻き取り軸9aの回転駆動に伴って同軸で回転する巻き芯9bの周りにロール紙3を巻き取る場合について説明するが、本発明では、図6(b)に示すように、巻き芯9bを介さずに巻き取り軸9aの周りに直接ロール紙3に巻き取る構成としてもよい。巻き芯9bを介さずにロール紙3を巻き取る場合は、式(2)における巻き芯9bの半径Rを巻き取り軸9aの半径に置き換えることで、巻き芯9bを介してロール紙3を巻き取る場合と同様に説明可能である。
例えば、巻き芯9bの半径Rが5mm、ロール紙3の厚みtが0.1mmのとき、式(2)により定められる巻き取られたロール紙3の長さLと外径Dとの関係をグラフに表すと、図6(c)のようになる。例えば、巻き取られたロール紙3の長さLが0のとき、外径Dは巻き芯9bの直径である10mmに一致する。一方で、外径Dは、巻き取られたロール紙3の長さLが長くなるほど徐々に大きくなって、10000mmの長さのロール紙3を巻き取ったときには、約37mmとなる。
また、ロール紙3が画像形成装置2への進入直前の待機位置(ホームポジション)に設置された後で、画像データが出力されて印刷を開始する時刻を時刻Tの開始点(T=0)とする。
また、ロール紙3の搬送経路に沿った、画像形成装置2の待機位置(ホームポジション)から巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bまでの距離をL1としたとき、時刻T1=L1/Vにおいて、ロール紙3が巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bに巻かれ始めるようにする。
よって、時刻Tにおいて、巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bに巻き取られたロール紙3の長さL(T)は、式(3)のように定まる。
L(T)=V×(T−T1)、但し、T1≦T
=0 、但し、0≦T<T1
・・・(3)
従って、式(2)と式(3)とにより、時刻Tにおいて、巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bに巻き取られた状態のロール紙3の外径D(T)は、式(4)のように定まる。
D(T)=2×√(R×R+t×L(T)/π)・・・(4)
このような式(4)により定められる、時刻Tにおいて、ロール紙3の長さL(T)と外径D(T)との関係に基づいて、巻き取り制御部111は、巻き取られたロール紙3の長さL(T)、ロール紙3の厚みt、巻き芯9bの半径Rに基づいて外径D(T)を算出する。そして、巻き取り制御部111は、巻き取り速度が所定の一定速度に保たれるように、算出した外径D(T)に基づいて式(1)により定められる単位時間当たりの回転数W(T)で、巻き取り部9の巻き取り軸9aを回転させる。
以上のような画像形成装置2及び巻き取り制御装置100の処理の流れについて、フローチャートを参照して説明する。
まず、図7に示すフローチャートを参照して、画像形成装置2において実行される処理の流れを説明する。
図7のフローチャートの処理は、画像形成装置2の制御部50が印刷ジョブを受け付けたことに応答して、開始する(ステップS11)。例えば、制御部50は、ホストコンピュータ5から送信された印刷データ及びその他の印刷設定条件を含んだ印刷ジョブを、LAN制御部52又はUSB制御部53を介して受信する。制御部50は、受信した印刷ジョブをコマンド解析部58により解析して、印刷ジョブに含まれる印刷データから画像データを生成してフレームメモリに展開し、また印刷処理に必要な設定条件の情報を取得する。
印刷ジョブを受け付けると、続いて制御部50は、ロール紙3の搬送要求を給紙装置1に送信する(ステップS12)。すなわち、制御部50は、画像データを出力して印刷を実行するためのロール紙3を供給する旨の要求を、LAN制御部52又はUSB制御部53を介して給紙装置1に送信する。
ロール紙3の搬送要求を給紙装置1に送信する一方で、制御部50は、ロール紙3の巻き取り要求を巻き取り制御装置100に送信する(ステップS13)。すなわち、制御部50は、印刷を行って排紙トレイから排出されたロール紙3を巻き取って収容する旨の要求を、LAN制御部52又はUSB制御部53を介して巻き取り制御装置100に送信する。
このとき、送信される搬送要求と巻き取り要求とには、印刷に必要なロール紙3の量(長さ)の情報も含まれる。すなわち、制御部50は、受信した印刷データから生成した画像データの面積から画像形成の長さ、すなわち画像形成を行うために必要なロール紙3の長さを算出する。そして、制御部50は、算出した画像形成の長さの情報を含んだ搬送要求と巻き取り要求とを、それぞれ給紙装置1と巻き取り制御装置100とに送信する。
ロール紙3の搬送要求と巻き取り要求とを送信し、搬送要求に応じて給紙装置1からロール紙3が画像形成装置2への進入直前の待機位置(ホームポジション)に給紙されると、続いて制御部50は、給紙装置1から供給されたロール紙3に画像形成を実行する(ステップS14)。すなわち、制御部50は、画像形成装置2が備える画像形成部20、中間転写ベルトユニット30、定着装置40等を用いて、給紙装置1から画像形成装置2にまで搬送されたロール紙3に、コマンド解析部58によって生成した画像データを順次出力していく。このとき、制御部50は、印刷を開始した時刻を巻き取り制御装置100に送信する。
画像形成を実行しながら、制御部50は、印刷終了か否かを判別し(ステップS15)、印刷終了でないと(ステップS15;NO)、ステップS14において、引き続き給紙装置1から供給されたロール紙3に画像形成を、印刷指示がされたデータの印刷が終了するまで実行する。そして、最終的に印刷が終了すると(ステップS15;YES)、図7のフローチャートにおける画像形成処理は終了する。
このように、画像形成装置2は、給紙装置1から順次供給されるロール紙3に画像形成を行い、画像形成がされたロール紙3を排出して、順次巻き取り部9に供給する。
続いて、図8に示すフローチャートを参照して、巻き取り制御装置100において実行される処理の流れを説明する。
巻き取り制御装置100が実行する巻き取り制御処理は、巻き取り対象であるロール紙3が画像形成装置2への進入直前の待機位置(ホームポジション)に設置された状態において、開始する。
このようにロール紙3が画像形成装置2への進入直前の待機位置(ホームポジション)に設置された状態で、巻き取り制御装置100の制御部110が画像形成装置2からロール紙3の巻き取り要求を受け付けると(ステップS21)、図8のフローチャートの処理は開始する。
巻き取り要求を受け付けると、巻き取り制御部111が、画像形成装置2においてロール紙3に行われる画像形成の長さを取得し(ステップS22)、巻き取り要求がされたロール紙3の長さを決定する。すなわち、巻き取り制御部111は、画像形成装置2から受け付けた巻き取り要求に含まれる画像形成の長さの情報を取得して、巻き取り部9の巻き取り軸9aの周りに巻き取るべきロール紙3の長さの情報を得る。
そして、巻き取り制御部111は、時刻Tにおける巻き取るロール紙3の長さと径との関係を取得する(ステップS23)。
時刻Tにおける巻き取るロール紙3の長さと径の関係は、上述した式(3)、式(4)及び図6(c)のグラフのように定められる関係であって、ロール紙3の厚みと巻き取り部9の巻き芯9bの径とに基づいて定められる関係である。ロール紙3の厚みと巻き芯9bの径の情報は、例えばあらかじめ記憶部120に記憶される。巻き取り制御部111は、巻き取り要求がされたことに応じて、ロール紙3の厚みと巻き芯9bの径の情報を記憶部120から読み出して、読み出したロール紙3の厚みと巻き芯9bの径に対応する、時刻Tにおけるロール紙3の長さと径との関係を特定する。
このように時刻Tにおける巻き取るロール紙3の長さと径との関係を特定することにより、巻き取り制御部111は、要求された長さのロール紙3を巻き取ると、巻き取りの開始から終了まで、巻き取り部9にロール状に巻き取られた状態のロール紙3の外径がどのように変化するのかの情報を得る。
ロール紙3の長さと径との関係を取得すると、巻き取り制御部111は、画像形成装置2から搬送されるロール紙3の線速度V(mm/s)に対応する巻き取り速度でロール紙3を巻き取るように、取得した関係に基づいてロール紙3の巻き取りを開始する(ステップS24)。
画像形成装置2において印刷が開始されると、巻き取り制御部111は、画像形成装置2から印刷を開始した時刻を取得して、時刻Tの開始点(T=0)とする。
ロール紙3が一定の線速度Vで搬送され、画像生成装置2の排紙トレイから排出され始めると、例えば、オペレータは、画像生成装置2の排紙トレイから排出されたロール紙3の前端を、巻き取り部9の巻き芯9bにテープ等の固定手段で固定することにより、時刻T=T1において、ロール紙3を巻き取り部9にセットする。
すなわち、巻き取り開始時(T=T1)は巻き取ったロール紙3の長さLが0なので、上述した式(1)により、巻き芯9bの径R(mm)を用いて、巻き取り開始時(T=T1)の単位時間当たりの回転数はV/(2×R×π/60)と定まる。例えば、ロール紙3の線速度Vが200mm/sであって、巻き芯9bの半径Rが5mmのとき、巻き取り制御部111は、約382rpmの単位時間当たりの回転数で巻き取り部9の巻き取り軸9aを回転駆動させて、ロール紙3を巻き取り始める。
このように巻き取りを開始すると、続いて巻き取り制御部111は、ステップS23において取得した時刻Tにおけるロール紙3の長さと径の関係に基づいて、巻き取ったロール紙3の長さが長くなるほど単位時間当たりの回転数を小さくするように巻き取り軸9aの単位時間当たりの回転数を制御しながら、ロール紙3を巻き取る(ステップS25)。
例えば、巻き取り制御部111は、巻き取り開始(T=T1)から所定の時刻ごとに、取得したロール紙3の長さと径との関係に基づいて、その時刻での巻き取り部9に巻き取られた状態のロール紙3の外径を算出する。そして、巻き取り制御部111は、巻き取り軸9aの単位時間当たりの回転数を、算出した外径を用いて式(1)により定まる単位時間当たりの回転数に更新する。このようにして、巻き取り制御部111は、巻き取るごとに増大するロール紙3の外径に反比例するように、徐々に単位時間当たりの回転数を小さくしながら、巻き取り部9にロール紙3を巻き取る。
そして、巻き取り制御部111は、要求された長さのロール紙3を巻き取ったか否かを判別する(ステップS26)。すなわち、巻き取り制御部111は、ステップS22において取得した画像形成の長さに対応する長さのロール紙3を巻き取ったか否かを判別する。
要求された長さのロール紙3を巻き取っていない場合は(ステップS26;NO)、巻き取り制御部111は、ステップS25において、要求された長さのロール紙3を巻き取り終わるまで、画像形成装置2において画像形成がされたロール紙3を、巻き取ったロール紙3の長さが長くなるほど巻き取り軸9aの単位時間当たりの回転数を小さくするように制御しながら、巻き取り続ける。
最終的に要求された長さのロール紙3を巻き取ると(ステップS26;YES)、巻き取り制御部111は、巻き取り軸9aの回転駆動を停止させて、巻き取りを終了する(ステップS27)。そして、図8のフローチャートの処理は終了する。
以上説明したように、実施形態1に係る巻き取り制御装置100は、画像形成装置2において画像形成が行われたロール紙3を、巻き取り速度が一定に保たれるように、巻き取ったロール紙3の長さが長くなるほど巻き取り軸9aの単位時間当たりの回転数を小さくして巻き取り部9に巻き取る。巻き取り制御のための部材をロール紙3に接触させたり、巻き取り軸9aの回転の駆動と停止とを切り替えたりする必要がないため、ロール紙3に汚れや傷等の損傷が生じることなくロール紙3のたわみやテンションを制御して、ロール紙3をスムーズに巻き取ることができる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る巻き取り制御装置について説明する。
上記実施形態1に係る巻き取り制御装置100は、画像形成装置2において画像形成が行われたロール紙3を巻き取り部9にロール状に巻き取るときの巻き取りを制御した。一方で、実施形態2に係る巻き取り制御装置は、巻き取り部9に巻き取られて保持されたロール紙3を巻き出して、保持部8に再度ロール状に巻き取るときの巻き取りを制御する。
図9を参照して、実施形態2に係る巻き取り制御装置の構成を説明する。巻き取り制御装置100aは、制御部110a、記憶部120、及び通信部130を備える。
制御部110aは、第1の巻き取り制御手段としての巻き取り制御部111に加え、巻き出し制御部112及び第2の巻き取り制御手段としての巻き取り制御部113として機能する。
巻き出し制御部112は、巻き取り部9に巻き取られたロール紙3の巻き出しを制御する。巻き出し制御部112は、ロール紙3を巻き出す速度が第2の速度としての所定の巻き出し速度に保たれるように、第1の巻き取り軸としての巻き取り部9の巻き取り軸9aから巻き出したロール紙3の長さが長くなるほど巻き取り部9の巻き取り軸9aの単位時間当たりの回転数を大きくしてロール紙3を巻き出す。
巻き取り制御部113は、第2の巻き取り軸としての保持部8の回転軸によって、巻き取り部9から巻き出されたロール紙3の再巻き取りを制御する。巻き取り制御部113は、ロール紙3を巻き取る速度が巻き出し制御部112における巻き出し速度(第2の速度)と同じ速度に保たれるように、巻き取ったロール紙3の長さが長くなるほど保持部8の回転軸の単位時間当たりの回転数を小さくしてロール紙3を巻き取る。
なお、記憶部120と通信部130とは、基本的に実施形態1のものと同様であるため、ここでは説明を割愛する。
図10を参照して、実施形態2に係る巻き取り制御装置100aが行う巻き取り制御の概要を説明する。
巻き取り制御装置100aは、適宜の伝送路によって巻き取り部9の回転駆動モータと保持部8の回転駆動モータとに接続される。そして、巻き取り制御装置100aは、巻き取り部9の巻き取り軸9aを、ロール紙3を巻き取ったときとは逆向き(図10の例では左回り)に回転させて、巻き取り部9においてロール状に巻き回されて保持されたロール紙3を巻き出す。
巻き出されたロール紙3は、従動ローラ19を経由して、巻き取り部9の下部に配置された保持部8へと搬送される。巻き取り制御装置100aは、保持部8の回転軸を回転させて、巻き取り部9から搬送されたロール紙3の再巻き取りを行う。
このとき、制御部110aは、巻き取り部9からロール紙3を巻き出す速度と保持部8にロール紙3を巻き取る速度とが同じ一定の速度U(第2の速度)に保たれるように、巻き出した又は巻き取ったロール紙3の長さに応じて巻き取り部9における巻き出しの単位時間当たりの回転数と保持部8における巻き取りの単位時間当たりの回転数とを制御する。
すなわち、巻き取り部9における巻き出しの単位時間当たりの回転数と保持部8における巻き取りの単位時間当たりの回転数は、いずれも、巻き取り又は巻き出しの速度Uと各軸の周りに巻かれた状態のロール紙3の外径Dとにより、上述した式(1)に対応した式(5)のように定まる。
W(rpm)=U(mm/s)/(D(mm)×π/60)・・・(5)
また、ロール紙3の外径Dは、巻き取り部9に残っている又は保持部8に巻き取られたロール紙3の長さLと巻き芯の半径Rとロール紙3の厚みtとにより、上述した式(2)のように定まる。
巻き取り制御装置100aは、このような式(5)と式(2)とに基づいて、巻き出しと巻き取りとが同じ一定の速度Uで行われるように、巻き出した又は巻き取ったロール紙3の長さに応じて巻き出しの単位時間当たりの回転数と巻き取りの単位時間当たりの回転数とを制御する。なお、この速度Uは、実施形態1において画像形成装置2から搬送されるロール紙3の線速度Vと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また図10において、従動ローラ19には、従動ローラ19の単位時間当たりの回転数を測定する回転センサ19sが設置される。回転センサ19sは、巻き取り部9から保持部8へと搬送されるロール紙3に従動して回転する従動ローラ19の単位時間当たりの回転数を測定する。例えば、回転センサ19sは、従動ローラ19と同軸で回転するエンコーダをフォトセンサで検出することにより単位時間当たりの角速度を検出して、従動ローラ19の単位時間当たりの回転数を取得する。
以上のような巻き取り制御装置100aにおいて実行される処理の流れについて、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
再巻き取りの対象である巻き取り部9のロール紙3が巻き出しを開始する時刻を時刻Tの開始点(T=0)とする。
画像形成装置2から供給されたロール紙3を巻き取り部9に巻き取ったときの長さの情報から得られる巻き取り部9のロール紙3の長さをLTOTとする。
よって、時刻Tにおいて、巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bに巻き取られているロール紙3の長さL(T)は、式(6)のように定まる。
L(T)=LTOT−U×T・・・(6)
従って、式(2)と式(6)とにより、時刻Tにおいて、巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bに巻き取られている状態のロール紙3の外径D(T)は、同様に式(4)のように定まる。
また、ロール紙3の搬送経路に沿った、巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bから保持部8の回転軸における巻き芯までの距離をL2としたとき、時刻T2=L2/Uにおいて、ロール紙3が保持部8の回転軸における巻き芯に巻かれ始めるようにする。
よって、時刻Tにおいて、保持部8の回転軸における巻き芯に巻き取られたロール紙3の長さL(T)は、式(6)のように定まる。
L(T)=U×(T−T2)、但し、T2≦T
=0 、但し、0≦T<T2
・・・(7)
従って、式(2)と式(7)とにより、時刻Tにおいて、保持部8の回転軸における巻き芯に巻き取られた状態のロール紙3の外径D(T)は、同様に式(4)のように定まる。
巻き取り制御装置100aが実行する処理は、再巻き取りの対象である巻き取り部9のロール紙3が巻き取り部9に準備された状態において、開始する。
このように再巻き取りの準備がされた状態で、巻き取り制御装置100aの制御部110aが、例えば通信部130を介してホストコンピュータ5から、又は適宜の操作部を介してロール紙3の再巻き取り要求を受け付けると(ステップS31)、図11のフローチャートの処理は開始する。
再巻き取り要求を受け付けると、制御部110aは、巻き取り部9に保持されたロール紙3の長さLTOTを取得する(ステップS32)。
例えば、制御部110aは、画像形成装置2から供給されたロール紙3を巻き取り部9に巻き取ったときの長さの情報、すなわち実施形態1におけるステップS22において取得した画像形成の長さの情報を記憶部120に記憶しておく。そして、制御部110aは、再巻き取りの要求がされたことに応じて、巻き取られて保持されたロール紙3の長さLTOTの情報を記憶部120から読み出すことにより、再巻き取りを行うべきロール紙3の長さLTOTの情報を得る。
そして、制御部110aは、時刻Tにおける巻き取り部9と保持部8におけるロール紙3の長さと径との関係を取得する(ステップS33)。
時刻Tにおけるロール紙3の長さと径との関係は、上述した式(6)若しくは式(7)、式(2)及び図6(c)のグラフのように定められる関係であって、ロール紙3の厚みと巻き芯の径とに基づいて定められる関係である。ロール紙3の厚みと巻き取り部9における巻き芯9bの径と保持部8における巻き芯の径との情報は、例えばあらかじめ記憶部120に記憶される。制御部110aは、再巻き取りの要求がされたことに応じて、ロール紙3の厚みと巻き芯の径との情報を記憶部120から読み出して、巻き取り部9と保持部8とのそれぞれについて、読み出したロール紙3の厚みと巻き芯の径に対応する時刻Tにおけるロール紙3の長さと径との関係を特定する。
このように再巻き取りを行う時刻Tにおけるロール紙3の長さと径との関係を特定することにより、制御部110aは、再巻き取りの開始から終了まで、巻き取り部9に残っているロール紙3の外径と、保持部8に巻き取られていくロール紙3の外径とが、それぞれどのように変化するのかの情報を取得する。
時刻Tにおけるロール紙3の長さと径との関係を取得すると、取得した関係に基づいて、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とが、それぞれ巻き取り部9における巻き出しと保持部8における巻き取りとを開始する(ステップS34)。
また、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、巻き取り部9が巻き出しを開始する時刻を時刻Tの開始点(T=0)として、巻き取りと巻き出しとを開始する。
ロール紙3が一定の線速度Uで搬送され、巻き取り部9から排出され始めると、例えば、オペレータは、巻き取り部9から排出されたロール紙3の前端を、従動ローラ19を介して保持部8の回転軸の巻き芯にテープ等の固定手段で固定することにより、時刻T=T2において、ロール紙3を保持部8にセットする。
例として、巻き取り部9における再巻き取りの開始時(T=0)に巻き取り部9に巻き取られて保持された状態のロール紙3の外径が、画像形成装置2から入手した巻き取ったロール紙3の長さにより200mmである場合、例えば巻き出し速度U=200mm/sでロール紙3を巻き出すための巻き出しの単位時間当たりの回転数は、式(5)により、約19rpmと定まる。そのため、巻き出し制御部112は、約19rpmの単位時間当たりの回転数で巻き取り部9の巻き取り軸9aを回転駆動させて、ロール紙3を巻き出し始める。
一方、保持部8における再巻き取りの開始時(T=T2)に保持部8の回転軸における巻き芯にロール紙3がない場合には、例えば保持部8における巻き芯の外径が10mmである場合、巻き取り速度U=200mm/sでロール紙3を巻き取るための巻き取りの単位時間当たりの回転数は、式(5)により約382rpmと定まる。そのため、巻き取り制御部113は、このような比較的大きな約382rpmの単位時間当たりの回転数で保持部8の回転軸を回転駆動させて、ロール紙3を巻き取り始める。
このように再巻き取りを開始すると、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113は、ステップS33において取得した時刻Tにおけるロール紙3の長さと径との関係に基づいて、巻き取り部9における巻き出しの単位時間当たりの回転数と保持部8における巻き取りの単位時間当たりの回転数を制御しながら、ロール紙3の再巻き取りを実行する(ステップS35)。
例えば、巻き出し制御部112は、巻き取り部9における再巻き取り開始時刻(T=0)から所定の時刻ごとに、時刻Tにおける取得したロール紙3の長さと径の関係に基づいて、その時刻での巻き取り部9に巻かれて残っている状態のロール紙3の外径を算出する。そして、巻き出し制御部112は、巻き出しの単位時間当たりの回転数を、算出した外径を用いて式(5)により定まる単位時間当たりの回転数に更新する。このようにして、巻き出し制御部112は、巻き出すごとに減少するロール紙3の外径に反比例するように、徐々に単位時間当たりの回転数を大きくしながら、巻き取り部9からロール紙3を巻き出す。
一方、巻き取り制御部113は、保持部8における再巻き取り開始時刻(T=T2)から所定の時刻ごとに、時刻Tにおける取得したロール紙3の長さと径の関係に基づいて、その時刻での保持部8に巻き取られた状態のロール紙3の外径を算出する。そして、巻き取り制御部113は、巻き取りの単位時間当たりの回転数を、算出した外径を用いて式(5)により定まる単位時間当たりの回転数に更新する。このようにして、巻き取り制御部113は、巻き取るごとに増大するロール紙3の外径に反比例するように、徐々に単位時間当たりの回転数を小さくしながら、保持部8にロール紙3を巻き取る。
ロール紙3の再巻き取りを実行する一方で、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、巻き出しと巻き取りとの単位時間当たりの回転数を調整する(ステップS36)。ステップS36における単位時間当たりの回転数の調整処理の詳細については、図12のフローチャートを参照して説明する。
図12のフローチャートにおいて、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、回転センサ19sにより測定された従動ローラ19の単位時間当たりの回転数により定められる従動ローラ19の周速度を計算し、計算した従動ローラ19の周速度と、ロール紙3を搬送すべき線速度と、を比較する(ステップS361)。具体的に説明すると、従動ローラ19の周速度は、従動ローラ19の外径をDf、従動ローラ19の単位時間当たりの回転数をWf、円周率をπとして、π×Df×Wfによって定められる。巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、回転センサ19sにより測定された従動ローラ19の単位時間当たりの回転数Wfから周速度を計算し、ロール紙3を搬送すべき線速度と比較する。
そして、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは2つの速度を比較した結果、速度差が許容範囲内か否かを判別する(ステップS362)。そして、速度差が許容範囲内でない場合には(ステップS362;NO)、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、従動ローラ19の周速度がロール紙3を搬送すべき線速度に近付くように、巻き出しと巻き取りとの単位時間当たりの回転数を調整する(ステップS363)。
すなわち、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、巻き出し速度と巻き取り速度とを同じ一定の速度Uに保たれるように巻き出しと巻き取りとの単位時間当たりの回転数を制御しているため、理想的には、従動ローラ19の周速度はこの一定の速度Uに一致するはずである。しかし、現実的には、温度変化による膨張・収縮のような部品の変形や、部品ごとに形状のばらつきが存在すること等があるため、実際にロール紙3が搬送される速度もばらつく。
そのため、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、2つの速度の比較結果に基づいて、従動ローラ19の周速度がロール紙3を搬送すべき線速度よりも大きい場合には単位時間当たりの回転数を小さくし、従動ローラ19の周速度がロール紙3を搬送すべき線速度よりも小さい場合には単位時間当たりの回転数を大きくするように、巻き出しと巻き取りとの単位時間当たりの回転数を調整する。このように、従動ローラ19の周速度をロール紙3が実際に搬送されているときの速度を見積もるための指標として用いることにより、ロール紙3の搬送速度が理想の速度から大きく逸脱することを回避することができる。
ステップS363において単位時間当たりの回転数を調整すると、又はステップS362において速度差が許容範囲内である場合には(ステップS362;YES)、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、図12に示した単位時間当たりの回転数の調整処理を終了する。
図11のフローチャートに戻って、巻き出しと巻き取りとの単位時間当たりの回転数を調整すると、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、要求された長さのロール紙3の再巻き取りが行われたか否かを判別する(ステップS37)。
要求された長さのロール紙3の再巻き取りが行われていない場合は(ステップS37;NO)、処理はステップS35に戻る。すなわち、要求された長さのロール紙3の再巻き取りが終わるまで、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、巻き出しと巻き取りとの時刻Tにおける単位時間当たりの回転数を制御・調整しながら、ロール紙3の再巻き取りを実行する。
最終的に要求された長さのロール紙3の再巻き取りが行われると(ステップS37;YES)、巻き出し制御部112と巻き取り制御部113とは、巻き取り部9における巻き取り軸9aと保持部8における回転軸との回転駆動を停止させて、再巻き取りを終了する(ステップS38)。そして、図11のフローチャートの処理は終了する。
以上説明したように、実施形態2に係る巻き取り制御装置100aは、巻き出しと巻き取りとの速度が同じ一定の速度Uに保たれるように、巻き出した又は巻き取ったロール紙3の長さに応じて巻き出しの単位時間当たりの回転数と巻き取りの単位時間当たりの回転数とを制御する。巻き出しと巻き取りとの制御のための部材をロール紙3に接触させたり、巻き取り軸9aの回転の駆動と停止とを切り替えたりする必要がないため、ロール紙3に汚れや傷等の損傷が生じることなくロール紙3のたわみやテンションを制御して、ロール紙3をスムーズに巻き取ることができる。
特にラベルプリンタ等により大面積の印刷を実行する場合には、ロール紙3が長距離に及んで重量も大きくなるため、出荷・梱包・運搬等の取り扱いが困難になりやすい。そのため、印刷し終わって巻き取り部9に収容されたロール紙3をより地面に近い位置にある保持部8へ移すことにより、印刷後の取り扱いへとスムーズに移行することが可能となる。
また、印刷し終わって巻き取り部9に収容されたロール紙3のラベルは、最初に印刷されたラベルが巻き取り部9の巻き取り軸9aの巻き芯9bに近い内側に収容されているため、そのまま巻き出すとラベルの配列順序が印刷順の逆順になってしまう。このため、再巻き取りによってラベルの配列順序を印刷順に並び替えることにより、印刷後の取り扱いがスムーズになることが可能となる。
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施の形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、ロール紙3が巻き取り制御の対象であった。しかし、本発明に係る巻き取り制御装置が巻き取りを制御する対象は、紙媒体に限らず、巻き取り部9にロール状に巻き取って収容される記録媒体であれば、フィルム状の記録媒体等、その他の材質の記録媒体であってもよい。
また、上記実施形態では、巻き取り部9の巻き取り軸9aにおける巻き芯9bと、保持部8の回転軸における巻き芯と、があるものとしているが、少なくとも一方の巻き芯は無くてもよい。
また、上記実施形態では、画像形成装置2は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラープリンタであった。しかし、本発明に係るロール状記録媒体の巻き取り制御装置は、他の形式のプリンタ、又は、複写機、ファクシミリ等のようなロール状記録媒体に画像形成を行う他の画像形成装置に接続して上述した処理を実行するように構成することも可能である。
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた巻き取り制御装置として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器等を、本発明に係る巻き取り制御装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した巻き取り制御装置100,100aによる各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存のパーソナルコンピュータや情報端末機器等を制御するCPU等が実行できるように適用することで、本発明に係る巻き取り制御装置として機能させることができる。また、本発明に係る巻き取り制御方法は、巻き取り制御装置を用いて実施できる。
また、このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
画像形成用の記録媒体を第1の巻き取り軸の周りに巻き取るときの巻き取りを制御する巻き取り制御装置であって、
画像形成手段において画像形成が行われた前記記録媒体を、前記記録媒体を巻き取る速度が第1の速度に保たれるように、前記第1の巻き取り軸の周りに巻き取った前記記録媒体の長さに基づいて、前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御する第1の巻き取り制御手段、
を備える、
ことを特徴とする巻き取り制御装置。
(付記2)
前記第1の巻き取り制御手段は、前記第1の巻き取り軸の周りに巻き取られた状態の前記記録媒体の径を、巻き取った前記記録媒体の長さと、前記記録媒体の厚みと、前記第1の巻き取り軸における巻き芯の径又は前記第1の巻き取り軸の径と、に基づいて算出し、当該算出した径に反比例するように前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御する、
ことを特徴とする付記1に記載の巻き取り制御装置。
(付記3)
前記記録媒体の径Dは、巻き取った前記記録媒体の長さをL、前記記録媒体の厚みをt、前記第1の巻き取り軸における巻き芯の半径又は前記第1の巻き取り軸の半径をR、円周率をπとしたときに、式(1)に基づいて算出される、
D=2×√(R×R+t×L/π)・・・(1)
ことを特徴とする付記2に記載の巻き取り制御装置。
(付記4)
前記第1の巻き取り制御手段は、前記画像形成手段において前記記録媒体に行われる前記画像形成の長さを取得し、当該取得した長さの前記記録媒体を巻き取り終わるまで、前記画像形成が行われた前記記録媒体を、前記第1の巻き取り軸の周りに巻き取った前記記録媒体の長さが長くなるほど前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を小さくして巻き取る、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の巻き取り制御装置。
(付記5)
前記第1の巻き取り軸の周りに巻き取られた前記記録媒体を、前記記録媒体を巻き出す速度が第2の速度に保たれるように、前記第1の巻き取り軸から巻き出した前記記録媒体の長さが長くなるほど前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を大きくして巻き出す巻き出し制御手段と、
前記第1の巻き取り軸から巻き出された前記記録媒体を、前記記録媒体を巻き取る速度が前記第2の速度に保たれるように、前記第1の巻き取り軸とは異なる第2の巻き取り軸の周りに巻き取った前記記録媒体の長さが長くなるほど当該第2の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を小さくして巻き取る第2の巻き取り制御手段と、
をさらに備える、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の巻き取り制御装置。
(付記6)
前記巻き出し制御手段は、前記第1の巻き取り軸の周りに巻かれた状態の前記記録媒体の径を、前記巻き出した記録媒体の長さと、前記記録媒体の厚みと、前記第1の巻き取り軸における巻き芯の径又は前記第1の巻き取り軸の径と、に基づいて算出し、当該算出した径に反比例するように前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御し、
前記第2の巻き取り制御手段は、前記第2の巻き取り軸の周りに巻き取られた状態の前記記録媒体の径を、前記第2の巻き取り軸の周りに巻き取った前記記録媒体の長さと、前記記録媒体の厚みと、前記第2の巻き取り軸における巻き芯の径又は前記第2の巻き取り軸の径と、に基づいて算出し、当該算出した径に反比例するように前記第2の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御する、
ことを特徴とする付記5に記載の巻き取り制御装置。
(付記7)
前記第1の巻き取り軸から巻き出されて前記第2の巻き取り軸に搬送される前記記録媒体に従動して回転する従動ローラの周速度と、前記第2の速度と、を比較する比較手段をさらに備え、
前記巻き出し制御手段は、前記比較手段による比較の結果に基づいて、前記従動ローラの周速度が前記第2の速度に近付くように、前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を調整し、
前記第2の巻き取り制御手段は、前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記従動ローラの周速度が前記第2の速度に近付くように、前記第2の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を調整する、
ことを特徴とする付記5又は6に記載の巻き取り制御装置。
(付記8)
前記第2の巻き取り軸は、前記画像形成手段において画像形成が行われる前の前記記録媒体を保持するための保持手段の回転軸である、
ことを特徴とする付記5から7のいずれか1つに記載の巻き取り制御装置。
(付記9)
画像形成用の記録媒体を第1の巻き取り軸の周りに巻き取るときの巻き取りを制御する巻き取り制御装置における巻き取り制御方法であって、
画像形成手段において画像形成が行われた前記記録媒体を、前記記録媒体を巻き取る速度が第1の速度に保たれるように、前記第1の巻き取り軸の周りに巻き取った前記記録媒体の長さに基づいて、前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御して巻き取る、
ことを特徴とする巻き取り制御方法。
(付記10)
画像形成用の記録媒体を第1の巻き取り軸の周りに巻き取るときの巻き取りを制御するコンピュータに、
画像形成手段において画像形成が行われた前記記録媒体を、前記記録媒体を巻き取る速度が第1の速度に保たれるように、前記第1の巻き取り軸の周りに巻き取った前記記録媒体の長さに基づいて、前記第1の巻き取り軸の単位時間当たりの回転数を制御して巻き取る第1の巻き取り制御機能、
を実現させる、
ことを特徴とするプログラム。