以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。
図1には、本実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を備えており、画像形成装置本体12の下部には、印刷用紙Pが束状に積層されて収納される給紙部14が配置されている。
この給紙部14の先端側(図1において右端側)の直上には、印刷用紙Pの上面の先端側に圧接して給紙部14から印刷用紙Pを送り出すピックアップロール16が配置されている。
ピックアップロール16の下流側には、印刷用紙Pを挟持搬送する複数(例えば、2つ)の搬送ロール対24と、印刷用紙Pをスキュー補正するためのレジロール対25が配置されている。搬送ロール対24とレジロール対25の間には、搬送ロール対24の間隙(ニップ)部から延出して緩やかに上方へ湾曲し、レジロール対25のニップ部へ延びる第1搬送路22が形成されている。
給紙部14から搬送された印刷用紙Pは、第1搬送路22により上方へ案内され、レジロール対25により一時停止された後、予め定めたタイミングにより後述する感光体ドラム30と転写装置38との間へ搬送される。
画像形成装置本体12には、上下方向に搬送ベルト26が配設されている。搬送ベルト26は、上方に配置された張架ローラ27と、下方に配置された張架ローラ29に張架されており、張架ローラ27又は張架ローラ29が回転駆動することにより、搬送ベルト26が予め定めた方向(矢印A方向)へ回転(循環駆動)する。この搬送ベルト26の用紙搬送方向上流側には、搬送ベルト26の表面上を帯電させると共に、搬送ベルト26へ静電吸着される印刷用紙Pを搬送ベルト26へ押し当てる帯電ロール31が搬送ベルト26に隣接して設けられている。
また、搬送ベルト26に対向する横方向には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した複数のプロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kが上下方向に縦列配置されている。各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kは、感光体ユニット35と現像装置64とを備えている。
感光体ユニット35は、回転駆動する感光体ドラム30と、帯電ローラ32、クリーニング装置39とを備えている。帯電ローラ32は、感光体ドラム30上を一様に帯電し、クリーニング装置39は、感光体ドラム30に残留するトナーを除去する。
また、各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kの側方には、それぞれ露光装置34が上下方向に配設されている。露光装置34は、帯電ローラ32によって一様に帯電した感光体ドラム30に対してレーザを照射し、感光体ドラム30上に静電潜像を形成する。
図1及び図2に示されるように、現像装置64は、感光体ドラム30に対向し且つ感光体ドラム30上の静電潜像をトナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤Gで可視像化してトナー像を形成する現像ユニット68と、この現像ユニット68に対してトナーを補給するトナー供給ユニット130で構成されている。なお、現像剤Gは一成分現像剤でもよい。
トナー供給ユニット130は、トナー収容室150を備えており、このトナー収容室150の内部には補給用トナーTが収容されている。また、トナー収容室150の内部には、補給用トナーTを攪拌し、供給管132を介して現像ユニット68へ補給用トナーTを搬送するトナー攪拌部材152が設けられている。このトナー攪拌部材152は、図示しない駆動モータにより回転駆動される。
また、供給管132内部には、ディスペンスオーガー134が回転可能に設けられている。このディスペンスオーガー134には、螺旋状の突起が設けられ、ディスペンスオーガー134も図示しない駆動モータにより回転駆動される。これにより、トナー収容室150に収容された補給用トナーTが、供給管132を経由して、現像剤収容室84に供給される。即ち、ディスペンスオーガー134に接続された図示しない駆動モータを制御し、ディスペンスオーガー134の回転時間を増減させることで、二成分現像剤Gのトナー濃度が調整される。なお、トナー攪拌部材152及びディスペンスオーガー134を同一の図示しない駆動モータで回転駆動することにより、モータ数が削減される。
現像ユニット68はハウジング80を備えており、このハウジング80内には現像剤収容室84が形成されている。現像剤収容室84には、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色に応じた二成分現像剤Gが充填されている。現像剤としては、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤が使用されているが、一成分現像剤を使用してもよい。トナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含み、目的に応じて外添剤が添加される。キャリアは、鉄等の磁性粉末が適用され、磁性粉末表面に樹脂被覆層を有していてもよい。
また、現像剤収容室84の内部には、現像ローラ86、二成分現像剤Gを攪拌搬送するオーガー88、オーガー89、及び現像ローラ86上の二成分現像剤Gの量を規制する現像剤規制ロール50が設けられている。
現像ローラ86は、感光体ドラム30に対向して配設されている。また、現像ローラ86は、非磁性導電材料から構成される円筒状のスリーブ86Aと、そのスリーブ86Aの中空内に配置されるマグネットロール86Bとから構成され、ハウジング80に回転可能に支持されている。マグネットロール86Bは固定支持され、スリーブ86Aは図示しない駆動源により、マグネットロール86Bの廻りを一定方向(矢印B方向)に回転するように構成されている。スリーブ86Aには、図示しない現像バイアス電源から予め定めた現像バイアスVB(例えば直流に交流を重畳した電圧)が印加されるようになっている。また、現像ローラ86と感光体ドラム30との間には、スリーブ86Aに印加されている現像バイアスVBによって現像電界が形成されている。
オーガー88及びオーガー89は、現像ローラ86の下方に配設されている。オーガー88及びオーガー89は、ハウジング80の周壁に回転可能に支持され、二成分現像剤Gを現像ローラ86へ攪拌しながら搬送する。これにより、二成分現像剤G中の各トナーが予め定めた極性に摩擦帯電される。また、搬送された二成分現像剤Gは、現像ローラ86に供給されて、現像ローラ86の表面に磁気ブラシを形成した状態で保持される。
現像ローラ86と対向する位置には、現像剤規制ロール50が配設されている。現像剤規制ロール50と現像ローラ86との間には隙間が設けられ、この現像剤規制ロール50によって、現像ローラ86の表面上に保持された二成分現像剤Gによる磁気ブラシが予め定めた厚さとなるように規制される。現像剤規制ロール50によって予め定めた厚さに規制された磁気ブラシは、感光体ドラム30の表面と対向する位置に達すると、現像電界によって二成分現像剤Gに含まれるトナーのみが感光体ドラム30上に形成された静電潜像部分に付着してトナー画像として可視化され、現像が行われる。
本実施形態では、現像ユニット68、トナー供給ユニット130、及び供給管132が一体で構成された現像装置64をトナーカートリッジとして交換可能に構成されている。
現像剤収容室84内には、ハウジング80に固定されて磁気センサ54が配置され、二成分現像剤Gの透磁率に応じた電圧値を検出することで、二成分現像剤Gのトナー濃度を検出する。
図1に示すように、感光体ドラム30に対向する横方向には、搬送ベルト26の内周側に、それぞれ感光体ドラム30上に形成されたトナー画像を印刷用紙Pへ転写する転写装置38が設けられている。
また、搬送ベルト26の側方には、濃度センサ224がその検出面を搬送ベルト26の周面に対向するように配設される。この濃度センサ224は、反射型のセンサであり、搬送ベルト26の表面の検出位置に形成されたパッチ画像(濃度調整用画像)に対してLED等の発光素子から光を照射し、その反射光をフォトダイオード等の受光素子で検出することで、パッチ画像の濃度値に応じた電気信号を図示しないコントローラに出力する。図示しないコントローラでは、検出したパッチ画像の濃度値に基づいて適切な濃度となるように濃度制御を行う。
なお、本実施形態に係る画像形成部77は、画像形成動作を実施するのに必要となる、上記した感光体ドラム30、帯電ローラ32、露光装置34、現像装置64及び転写装置38等を備えて構成されている。
搬送ベルト26より用紙搬送方向下流側には、搬送ベルト26から送り出された印刷用紙Pを排出部20へ導く第2搬送路23が形成されている。この第2搬送路23には、転写されたトナー画像を印刷用紙Pへ定着させる定着装置40、印刷用紙Pを挟持搬送する搬送ロール対42、及び印刷用紙Pを排出部20へ排出する排出ロール対44が、この順で配置されている。定着装置40は熱源を有し、トナー像が転写されたシートを加圧加熱することにより、トナー像を印刷用紙Pに定着させる。なお、トナー像を印刷用紙Pに定着していない間は、定着装置40の加熱は行われない。
定着装置40に隣接した位置には温度センサ52が配置され、画像形成動作に伴い、例えば、定着装置40等の加熱状況により変化する画像形成装置本体12内部の温度を検出する。
なお、画像形成装置本体12内部には、温度センサ52と異なる別の温度センサ51が配置されている。温度センサ51は、温度センサ52よりも画像形成動作に伴う温度変化の影響を受けにくく、画像形成動作に伴う温度変化が小さい位置に配置される。
具体的には、温度センサ51は、画像形成動作に伴い熱を発生する熱源から離れた吸気口に隣接する場所等に設置されることが好ましく、画像形成装置本体12の外部(外気に触れる位置)に設置されることがより好ましい。すなわち、温度センサ51は、温度センサ51で検出した温度が外気温と同一とみなせる位置に設置されることが好ましい。
また、搬送ベルト26と対向する位置には、排出ロール対44によりスイッチバックされた印刷用紙Pを再びレジロール対25へ送り戻すための第3搬送路46が形成されている。この第3搬送路46には、印刷用紙Pを下方へ挟持搬送する複数(例えば、2つ)の搬送ロール対48が配置されており、両面印刷時に片面に画像が形成された印刷用紙Pが、排出ロール対44によりスイッチバックされて第3搬送路46に導かれ、複数の搬送ロール対48によって下方へ搬送され、反転ローラ49でレジロール対25にニップされるように搬送される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置において、印刷用紙Pに画像を形成する場合は、先ず、給紙部14から取り出された印刷用紙Pが、複数の搬送ロール対24によってレジロール対25に搬送され、レジロール対25でスキュー補正がなされて、画像形成装置本体12に配置された搬送ベルト26へ送り込まれる。搬送ベルト26へ送り込まれた印刷用紙Pは、帯電ロール31によって搬送ベルト26へ押し当てられると共に、帯電する搬送ベルト26に静電吸着されて、上方へ搬送され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した転写位置へ順次送り込まれる。
転写位置へ送り込まれた印刷用紙Pは、感光体ドラム30と転写装置38とのニップ部に搬送されることで、感光体ドラム30に押し当てられる。その際、転写装置38に図示しない転写用電源から転写バイアス電圧が印加されると、感光体ドラム30上に形成された各色のトナー像が、印刷用紙Pに転写され、カラー画像が形成される。さらに印刷用紙Pは定着装置40へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置40により印刷用紙P上に定着される。
印刷用紙Pの片面へのみ画像を形成する場合(片面印刷時)は、トナー画像が定着された後、印刷用紙Pは排出ロール対44により排出部20へ排出される。他方、印刷用紙Pの両面へ画像を形成する場合(両面印刷時)は、片面に画像が形成された後、印刷用紙Pは、排出ロール対44でスイッチバックされ、反転して第3搬送路46へ送り込まれる。さらに、第3搬送路46から再びレジロール対25へ送り込まれ、画像が記録されていない反対面に、上記と同様に画像が形成され、印刷用紙Pの両面へ画像が形成される。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成を示す機能ブロック図である。同図に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10は、湿度情報検出部70、温度検出部71、トナー濃度検出部72、設定部73、算出部74、補正部75、制御部76、画像形成部77、及び転写部78、を備えている。
湿度情報検出部70は、画像形成装置本体12内部の湿度を検出する。湿度の検出にあたり、画像形成装置本体12内部に湿度センサを設置してもよいが、コスト低減のため、湿度センサに変わる湿度検出手段が用いられる。
本実施形態では、例えば、図4に示すように、湿度が高くなるに従って、画像形成部77内の転写部78に含まれる転写装置38の抵抗値が小さくなる性質を利用して湿度を検出する。具体的には、転写装置38に図示しない転写用電源から予め定めた定電圧を印加した際に、転写装置38を流れる電流を図示しない電流計で測定する。湿度の変化に応じて転写装置38の抵抗値が同図に示すように変化するため、図示しない電流計により測定された電流の値を湿度情報として利用する。
温度検出部71は、画像形成装置10の動作環境における温度を検出する。具体的には、例えば、画像形成動作に伴い変化する画像形成装置本体12内部の温度を検出する温度センサ52等を含んで構成される。
トナー濃度検出部72は、現像剤収容室84のトナーのトナー濃度を検出する。具体的には、例えば、二成分現像剤Gの透磁率に応じた電圧値を検出することで、二成分現像剤Gのトナー濃度を検出する磁気センサ54等を含んで構成される。
磁気センサ54の検出電圧とトナー濃度との関係は、図5に示すように、トナー濃度が高くなるほど磁気センサ54の検出する電圧値は低くなる。
なお、トナー濃度を検出するセンサとしては磁気センサ54に限らず、例えば、二成分現像剤Gの反射光量や透過光量を検知することでトナー濃度を検出する光学センサ、オーガー88、89の攪拌に必要な力を検出することでトナー濃度を検出するトルクセンサ等を用いてもよい。
設定部73は、湿度により生じる磁気センサ54の感度のずれによるトナー濃度のずれを調整するため、画像形成前状態において、湿度情報検出部70で検出した湿度情報に応じて磁気センサ54により検出されるべき電圧値(基準制御値)を設定する。
ここで、画像形成前状態とは、例えば、画像形成装置10で画像形成動作が行われなかった結果、画像形成装置本体12内部の温度が外気温と同一であるとみなせる状態にあることをいう。
画像形成前状態では、画像形成動作が行われなかった結果、オーガー88、89による二成分現像剤Gの攪拌搬送が実施されず、画像形成動作が実施されている場合と比較して、二成分現像剤Gの流動性が劣る。そのため、画像形成動作が実施されている場合と比較して、二成分現像剤Gは湿気をより含有した状態(湿気含有状態)となっている。二成分現像剤Gが湿気含有状態になると、トナー濃度検出部72の磁気センサ54は二成分現像剤Gが湿気含有状態にない場合と比較して、実際のトナー濃度より低い濃度を示す方向に感度がずれる。
更に、画像形成前状態ではオーガー88及びオーガー89による二成分現像剤Gの攪拌搬送が実施されていないため、トナーの帯電量は、画像形成動作が実施されている場合と比較して低くなっている。従って、トナーが磁性キャリアから剥離しやすい状態となり、画像形成動作が繰り返し実施された後と比較して、印字画像濃度が高くなる。
以上の理由により、画像形成前状態での画像形成動作(第1画像形成動作)により印刷用紙Pに転写されるトナー像の画像濃度(現像性)は、画像形成動作を繰り返し実施して、画像形成前状態にない状態での画像形成動作(第2画像形成動作)の際の現像性に比べて高くなる。
そこで、設定部73は、画像形成前状態において現像剤収容室84のトナーのトナー濃度が予め定めた目標とする画像濃度(目標画像濃度)に近づくように、湿度情報検出部70で検出した湿度情報に応じた基準制御値を設定する。
一方、画像形成動作が実施されるに伴い、例えば、定着装置40等の動作により画像形成装置本体12内部の温度が徐々に上昇する。すると、第1画像形成動作の際に見られた磁気センサ54の感度のずれも徐々に是正される。また、トナーの帯電量も画像形成装置本体12内部の温度が上昇するに従って高くなるため、トナーが磁性キャリアから剥離しにくい状態となる。
以上の理由により、画像形成動作が実施され画像形成装置本体12内部の温度が上昇すると、この場合の現像性は第1画像形成動作の現像性と比較して低くなる。
そのため、設定部73で設定した基準制御値に近づくように、後述する制御部76が、例えば、ディスペンスオーガー134の回転時間を制御して補給用トナーTの量を調整したとしても、徐々に現像性が低下する。
そこで、算出部74は、温度検出部71により検出された画像形成装置本体12内部の現状の温度と、画像形成前状態の温度との差分に基づいて、基準制御値を補正するための補正値を算出する。
補正部75は、画像形成装置本体12内部の温度が高くなるに従ってトナー濃度が高くなる方向に、設定部73で設定した基準制御値を算出部74で算出した補正値で補正する。
制御部76では、トナー濃度検出部72によって検出される現像剤収容室84内のトナーのトナー濃度が、目標トナー濃度に近づくように制御する。具体的には、トナー濃度検出部72によって検出される電圧値が、補正部75で補正された基準制御値(目標トナー濃度制御値)に近づくように、例えば、画像形成部77に含まれるディスペンスオーガー134の回転時間を制御して、補給用トナーTを現像剤収容室84に供給する。
図6に、本実施形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成を示すブロック図を例示した。同図に示すように、画像形成装置10は、コンピュータ90を含んで構成されている。
コンピュータ90は、CPU(Central Processing Unit)90A、ROM(Read Only Memory)90B、RAM(Random Access Memory)90C、不揮発性メモリ90D、及び入出力インターフェース(I/O)90Eが、バス90Fを介して各々接続された構成となっている。
I/O90Eには、例えば、湿度情報検出部70、温度検出部71、トナー濃度検出部72、画像形成部77、表示操作部91、用紙供給部92、用紙排出部93、及びネットワーク通信インターフェース(I/F)94等が接続されている。
操作表示部91は、例えば印刷に関する各種設定操作を行うための操作ボタンや設定画面等を表示するためのディスプレイ等を含んで構成される。
用紙供給部92は、例えば、印刷用紙Pが収容される給紙部14や、給紙部14から画像形成部77へ印刷用紙Pを供給する供給機構等を含んで構成される。
用紙排出部93は、例えば、印刷用紙Pが排出される排出部20や、画像形成部77で画像が形成された印刷用紙Pを排出部20上に排出する第2搬送路23等の排出機構等を含んで構成される。
ネットワーク通信I/F94は、図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置と、相互にデータ通信を行うためのインターフェースである。
なお、コンピュータ90が実行する後述する処理の制御プログラムは、本実施形態では一例としてROM90Bに予め記憶され、CPU90Aがこの予め記憶された制御プログラムを読み込むことにより実行される。
また、CD−ROM等の記憶媒体に制御プログラムを記録し、これをCD−ROMドライブ等で読み込むことにより実行する形態や、制御プログラムを有線又は無線による通信手段を介して受信することにより実行する形態等を用いてもよい。
次にコンピュータ90で実行される現像剤収容室84のトナー濃度制御処理について、図7及び図8を参照して説明する。
なお、図7に示す処理は、例えば、画像形成装置10の電源投入の際に実施される初期化処理や、画像形成動作を実施していない画像形成待機期間にCPU90Aにより実行され、図8に示す処理は、画像形成動作の実行が指示されるとCPU90Aにより実行される。
まず、ステップS100では、画像形成装置10が画像形成前状態であるか否かを判定する。画像形成前状態の判定方法は、画像形成動作に応じて温度が変化する位置に設けられた温度センサ52で検出された現在の温度と、温度センサ52よりも画像形成動作に伴う温度変化の影響を受けにくく、画像形成動作に応じた温度変化が小さい位置に設けられた温度センサ51で検出された現在の温度との差分が、予め定めた閾値以下であるか否かにより判定する。なお、この場合、閾値は、前記差分が閾値以下の場合に画像形成前状態であると判定される値に設定される。
肯定判定の場合にはステップS102に移行する。否定判定の場合には画像形成装置10は画像形成前状態にないため、図7の処理を終了する。
なお、画像形成前状態の判定方法はこれに限らず、例えば、前回の画像形成動作から予め定めた時間以上経過した場合に、画像形成前状態であると判定してもよい。この場合、温度センサ51は不要である。また、この場合、予め定めた時間は、前回の画像形成動作からこの時間以上経過していれば画像形成前状態であると判定される値に設定される。
ステップS102では、温度センサ52により画像形成前状態における温度(画像形成前温度)T0を測定して、例えば、RAM90Cの予め定めた領域に記憶する。
ステップS104では、画像形成前状態における転写装置38に定電圧を印加した際に流れる電流値から抵抗値R0を測定して、例えば、RAM90Cの予め定めた領域に記憶する。
ステップS106では、ステップS102及びステップS104で測定した画像形成前温度T0及び抵抗値R0を、例えば、不揮発性メモリ90Dの予め定めた領域に記憶する。
この後、例えば、図示しない通信回線を介して図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置から画像形成装置10へ画像形成対象である原画像の原画像情報が入力され、画像形成動作の実行指示が行われると、図8の処理が実行される。
ステップS110では、不揮発性メモリ90DからステップS104で測定した抵抗値R0を読み出して、抵抗値R0に対応する基準制御値V0を設定する。この際、図9に示すような抵抗値R0と基準制御値V0との対応関係を示す基準制御値設定テーブルに基づいて、基準制御値V0を設定する。なお、基準制御値設定テーブルは、例えば、不揮発性メモリ90Dの予め定めた領域に記憶されている。
同図において、V0a、V0b、及びV0cの大小関係は、V0a>V0b>V0cとなっており、抵抗値R0が大きくなるに従って、すなわち、画像形成装置本体12の湿度が高くなるに従って、基準制御値V0を大きくしている。
これは、既に説明したように、画像形成装置本体12の湿度が高くなるに従って、現像剤収容室84のトナーのトナー濃度が目標トナー濃度より高くなるため、湿度が高くなるに従って基準制御値V0を大きくすることで、制御部76による補給用トナーTの供給を調整して目標トナー濃度に近づけるためである。
ステップS112では、不揮発性メモリ90DからステップS102で測定した画像形成前温度T0を読み出して、画像形成前温度T0に対応する補正係数Kを算出する。この際、図10に示すような画像形成前温度T0と補正係数Kとの対応関係を示す補正係数算出テーブルに基づいて、補正係数Kを算出する。なお、補正係数算出テーブルは、例えば、不揮発性メモリ90Dの予め定めた領域に記憶されている。
同図において、K1、K2、及びK3の大小関係は、K1<K2<K3となっており、画像形成前温度T0が高くなるに従って補正係数Kは大きくなる。
ステップS114では、温度センサ52により、現在の画像形成装置本体12内の温度T1を測定して、例えば、RAM90Cの予め定めた領域に記憶する。
ステップS116では、基準制御値V0を補正する補正値ΔVを算出する。例えば、補正値ΔVは(1)式で算出される。
ΔV=K(T1−T0)・・・(1)
ステップS118では、温度T1が高くなるに従って、ステップS110で設定した基準制御値V0が小さくなるように、基準制御値V0をステップS116で算出した補正値ΔVで補正して目標トナー濃度制御値Vを算出する。例えば、目標トナー濃度制御値Vは(2)式で算出される。
V=V0−ΔV・・・(2)
第1画像形成動作の際の温度T1は、第2画像形成動作の際の画像形成装置本体12内部の温度と比較して、画像形成前温度T0に近くなる。そのため、第1画像形成動作の際には、補正値ΔVは基準制御値V0に比べて無視できる程度に小さい値となる。よって、第1画像形成動作の際の目標トナー濃度制御値Vは、第2画像形成動作の際に算出される目標トナー濃度制御値Vと比較して、より基準制御値V0付近の値になる。
すなわち、第1画像形成動作の際には、湿度の影響による目標トナー濃度とのずれを補正するように目標トナー濃度制御値Vが算出される。
一方、画像形成動作が引き続き実施されると、画像形成装置本体12内部の温度T1は第1画像形成動作の際の温度と比較して、より高くなる。すると、温度T1が高くなるに従って目標トナー濃度制御値Vは、第1画像形成動作の際に算出される目標トナー濃度制御値Vと比較して、徐々に基準制御値V0より小さい値になる。
すなわち、第2画像形成動作の際には、温度による影響による目標トナー濃度とのずれを補正するように目標トナー濃度制御値Vが算出される。
図11は、低温低湿、中温中湿、高温高湿、高温低湿、及び低湿低温の各環境条件の下で、本実施形態に示されるトナー濃度制御処理を行わずに、トナー画像を画像形成前状態直後から1000枚印刷用紙Pに印刷した際の、目標トナー濃度に対する実際に印刷用紙P上に形成されたトナー画像の画像濃度を示したものである。
同図に示すように、例えば、同じ枚数の画像形成を実施しても、画像形成前状態における温度が高いほど、現像性が低下する割合が大きくなってしまう。
ところが、既にステップS112で説明したように、補正係数算出テーブルでは画像形成前温度T0が高くなるに従って補正係数Kが大きな値に設定されている。そのため、画像形成前状態の画像形成前温度T0が高くなるに従って補正値ΔVは大きくなる。
すなわち、画像形成前状態の画像形成前温度T0に応じたトナー濃度の低下の割合を補正するような目標トナー濃度制御値Vが算出される。
ステップS120では、磁気センサ54によって検出される電圧値が、ステップS118で算出した目標トナー濃度制御値Vに近づくように、画像形成部77の各部の制御パラメータを制御する。
例えば、画像形成部77に含まれるディスペンスオーガー134の回転時間を制御して、補給用トナーTを現像剤収容室84に供給することで、現像剤収容室84のトナーのトナー濃度を目標トナー濃度に近づける。
なお、トナー濃度を制御する方法はこれに限らず、例えば、感光体ドラム30上の帯電量、露光装置34によるレーザ照射の露光量、及び現像ローラ86に印加される図示しない現像用電源からの現像バイアス電圧等を調整して、感光体ドラム30に付着するトナーのトナー濃度を制御する方法等がある。
このように本実施形態によれば、現像性が、第1画像形成動作の際には主に湿度の影響により目標画像濃度と比較して高くなるのを抑制し、第2画像形成動作の際には主に温度の影響により目標画像濃度と比較して低くなるのを抑制する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施の形態では、画像形成装置10の目標トナー濃度制御をソフトウエア構成によって実現した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば当該目標トナー濃度制御をハードウェア構成により実現する形態としてもよい。
この場合の形態例としては、例えば、設定部73、算出部74、補正部75、制御部76と同一の処理を実行する機能デバイスを作成して用いる形態がある。この場合は、上記実施の形態に比較して、処理の高速化が期待される。
なお、本実施形態では、転写装置38に定電圧を印加した際に、転写装置38を流れる電流を図示しない電流計で測定して湿度情報とした。しかし、湿度情報を検出する手段はこれに限らず、例えば、転写装置38に予め定めた定電流を供給した際に、転写装置38に印加される電圧を図示しない電圧計で測定して湿度情報としてもよい。
また、本実施形態では、転写装置38の湿度に対する電気特性の変化を利用して湿度情報を検出したが、これに限らず、転写装置38以外の湿度の変化に伴って電気特性が変化する部材を湿度情報の測定対象としてもよい。
更に、本実施形態では、温度T1が変化する毎に補正値ΔVが更新されるが、補正値ΔVの更新方法はこれに限らず、例えば、温度T1が予め定めた温度以上変化する毎に、補正値ΔVを更新するようにしてもよい。この場合、予め定めた温度は、ディスペンスオーガー134の制御が画像形成動作毎に行われないような温度に設定される。