JP6066099B2 - 自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造 - Google Patents

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Description

本発明は、動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造に係わり、特に、自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造に関する。
従来、エンジンで生成された動力を変速して出力する自動変速機が知られている。この自動変速機は、エンジンで生成された動力が流体伝達装置を介して入力される入力軸と、この入力軸に入力された動力の増速及び減速を行なうための複数のプラネタリギヤセットと、これらの入力軸とプラネタリギヤセットに含まれる回転要素とを断接するクラッチと、回転要素を固定するブレーキとを備えており、クラッチ及びブレーキを選択的に締結制御することにより、複数の前進変速段及び後退変速段を実現している。
クラッチは、入力軸と回転要素とを摩擦締結する摩擦板と、摩擦板を入力軸の軸線方向に押圧する締結ピストンと、この締結ピストンを押圧するための油圧(作動油)が供給される締結油圧室を備えている。このクラッチの締結油圧室は、入力軸の周りを回転するので、締結油圧室に供給される作動油に遠心圧が生じる。この遠心圧により、締結ピストンが摩擦板を締結方向に押圧され、クラッチの誤締結が生じる可能性がある。そこで、遠心圧によるクラッチの誤締結を防止するために、入力軸が延びる方向において、締結ピストンに対して締結油圧室の反対側に遠心キャンセル室が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
また、遠心キャンセル室に対して作動油が給排される油路にチェック弁を設けることにより、エンジンの停止に伴って、クラッチの締結油圧室及び遠心キャンセル室に作動油を供給するオイルポンプが停止した場合でも、遠心キャンセル室内に常に所定量の作動油を貯留させることも行なわれている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−048318号公報 特開平1−210623号公報
しかしながら、上述したような遠心キャンセル室には、エンジンやモータにより駆動されるオイルポンプを用いて作動油を絶えず供給しなければならないので、燃費悪化の要因となる。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、オイルポンプを使用することなく作動媒体を遠心キャンセル室内に常に保持することができ、燃費を向上することができる自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造は、自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造であって、動力源で生成された動力が入力される入力軸と、この入力軸の周りに配置された変速機構と、この変速機構に動力を伝達する動力伝達用クラッチであって、作動油が供給される締結油圧室と、この作動油による油圧の受圧面を有する締結ピストンと、入力軸が延びる方向に沿って、締結ピストンに対して締結油圧室の反対側に設けられる遠心キャンセル室と、を有する動力伝達用クラッチと、この動力伝達用クラッチの遠心キャンセル室内に設けられ、動力伝達用クラッチの締結時の遠心キャンセル室の容積よりも小さい容積であり、内部に流体媒体が封入された変形自在な密閉型の袋体と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明においては、動力伝達用クラッチの締結時の遠心キャンセル室の容積よりも小さい容積であり、内部に流体媒体が封入された変形自在な密閉型の袋体が、遠心キャンセル室内に設けられているので、オイルポンプの駆動状態や入力軸の回転状態に関わらず、締結油圧室内の作動油による遠心圧を相殺するための流体媒体を遠心キャンセル室内に保持することができる。即ち、オイルポンプを使用することなく作動媒体を遠心キャンセル室内に常に保持することができ、燃費を向上することができる。
また、本発明において、好ましくは、自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造は、さらに、動力伝達用クラッチの締結ピストンを解放方向に付勢するリターンスプリングを有し、このリターンスプリングは、遠心キャンセル室内に設けられ、遠心キャンセル室内に設けられた密閉型の袋体は、リターンスプリングの外周側又は内周側に設けられる。
このように構成された本発明においては、遠心キャンセル室内に設けられた密閉型の袋体は、リターンスプリングの外周側又は内周側に設けられているので、遠心キャンセル室内において密閉型の袋体とリターンスプリングとが干渉することを防止でき、これにより、リターンスプリングによる動力伝達用クラッチの締結ピストンの作動が密閉型の袋体により妨げられることを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、遠心キャンセル室内に設けられた密閉型の袋体は、リターンスプリングの外周側に設けられ、且つ、締結ピストンを押圧する押圧面が形成されるよう設けられ、さらに、この密閉型の袋体の押圧面の外周端が、入力軸が延びる方向で見て、締結ピストンの受圧面の外周端の位置よりも外周側になるよう設けられる。
このように構成された本発明においては、遠心キャンセル室内に設けられた密閉型の袋体の押圧面の外周端が、入力軸が延びる方向で見て、締結ピストンの受圧面の外周端の位置よりも外周側になるよう設けられているので、密閉型の袋体内の流体媒体に生じる遠心圧を、締結油圧室内の作動油による遠心圧よりも大きいものとすることができ、これにより、動力伝達用クラッチの締結ピストンの作動が密閉型の袋体により妨げられることを防止しつつ、締結油圧室内の作動油に生じる遠心圧を相殺するのに十分な遠心圧を袋体の押圧面から締結ピストンに働かせることができる。
また、本発明において、好ましくは、密閉型の袋体が設けられる動力伝達用クラッチは、発進時には非締結となるように作動される。
このように構成された本発明においては、密閉型の袋体が設けられる動力伝達用クラッチには、発進時における比較的大きなトルクが入力されない。従って、密閉型の袋体の押圧面の外周端を締結ピストンの受圧面の外周端の位置よりも外周側にするために、締結ピストンを小型化し、それにより動力伝達用クラッチの容量が低下しても、この動力伝達用クラッチの容量を超えるトルクが入力されることを防止できる。
また、本発明において、好ましくは、密閉型の袋体の内部に密閉される流体媒体は、締結油圧室に供給される作動油よりも比重が大きい。
このように構成された本発明においては、密閉型の袋体には、締結油圧室に供給される作動油よりも比重が大きい流体媒体が封入されているので、密閉型の袋体内の流体媒体に生じる遠心圧を、締結油圧室内の作動油による遠心圧よりも大きいものとすることができ、これにより、締結油圧室内の作動油による遠心圧を相殺するのに十分な遠心圧を袋体の押圧面から締結ピストンに働かせることができる。
また、本発明において、好ましくは、自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造は、さらに、動力伝達用クラッチの締結ピストンを解放方向に付勢するリターンスプリングを有し、このリターンスプリングは、遠心キャンセル室の外部に設けられる。
このように構成された本発明においては、密閉型の袋体は遠心キャンセル室内に設けられ、リターンスプリングは遠心キャンセル室の外部に設けられているので、これらの密閉型の袋体とリターンスプリングとが干渉することを防止でき、これにより、リターンスプリングによる動力伝達用クラッチの締結ピストンの作動が密閉型の袋体により妨げられることを防止できる。
本発明による自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造によれば、オイルポンプを使用することなく作動媒体を遠心キャンセル室内に常に保持することができ、燃費を向上することができる。
本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造を適用した自動変速機の中心軸線を通る水平断面を上方から見たスケルトン図である。 図1に示した自動変速機の締結表である。 本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造の袋体の斜視図である。 本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第2実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第3実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第3実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第3実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第4実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第4実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。 本発明の第4実施形態による遠心キャンセル構造を適用した動力伝達用クラッチの部分拡大断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造を説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造を適用した自動変速機の全体構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造を適用した自動変速機の中心軸線を通る水平断面を上方から見たスケルトン図であり、図2は、図1に示した自動変速機の締結表である。
まず、図1において、符号1はパワートレイン構造を示している。このパワートレイン構造1は、エンジン2を車両の前部に横置き搭載した前輪駆動車(FF車)に適用されている。図1における矢印FRは、パワートレイン構造1を適用したFF車の進行方向を示す。
この車両の動力源であるエンジン2の出力軸4には、トルクコンバータ6を介して自動変速機8が接続されている。この自動変速機8の出力側にはカウンタ機構10が接続されており、自動変速機8からカウンタ機構10を介して出力される動力により、デファレンシャル機構12が駆動される。
自動変速機8は、エンジン2により生成された動力がトルクコンバータ6を介して入力される入力軸14を備えており、この入力軸14の周りに、変速機構16が配置されている。
また、自動変速機8は、エンジン2の出力軸4から自動変速機8の入力軸14に入力された動力を変速機構16に伝達する第1クラッチ18、第2クラッチ20及び第3クラッチ22を備えている。第2クラッチ20は、入力軸14に入力された動力を変速機構16、第1クラッチ18及び第3クラッチ22に伝達する。第1クラッチ18及び第3クラッチ22は、第2クラッチ20から入力された動力を変速機構16に伝達する。また、自動変速機8は、変速機構16に含まれる回転要素の作動を制限する第1ブレーキ24及び第2ブレーキ26を備えている。
さらに、変速機構16と第2クラッチ20との間に、変速機構16からの動力を出力する出力ギヤ28が配置されている。
そして、これらの入力軸14、変速機構16、クラッチ18、20、22、ブレーキ24、26、及び出力ギヤ28が、変速機ケース30に格納されている。この変速機ケース30は、入力軸14、変速機構16、クラッチ18、20、22、ブレーキ24、26、及び出力ギヤ28の周りに形成されたケース部32と、このケース部32のエンジン2側の端面に取り付けられたハウジング部34とを有している。ハウジング部34は、ケース部32の端面からエンジン2に向かって外径が拡大するように形成されている。このハウジング部34には、トルクコンバータ6が収容される。
変速機構16は、入力軸14の周りに配置された第1プラネタリギヤセット36、第2プラネタリギヤセット38、第3プラネタリギヤセット40、及び第4プラネタリギヤセット42を含んでいる。これらのプラネタリギヤセット36、38、40、42の内、第2プラネタリギヤセット38は第3プラネタリギヤセット40の外周部に重ねて配置されており、これらの第2プラネタリギヤセット38と第3プラネタリギヤセット40とによって複数段プラネタリギヤセット44が構成されている。
これらのプラネタリギヤセット36、38、40、42は、入力軸14が延びる方向に沿って、エンジン2に遠い側からエンジン2に向かって、複数段プラネタリギヤセット44、第1プラネタリギヤセット36、第4プラネタリギヤセット42の順に配置され、この第4プラネタリギヤセット42のエンジン2側に隣接して出力ギヤ28が配置されている。
各プラネタリギヤセット36、38、40、42は、それぞれ、外歯車のサンギヤ36a、38a、40a、42aと、このサンギヤ36a、38a、40a、42aに噛み合った複数のプラネタリピニオンと、これらのプラネタリピニオンを支持するキャリヤ36b、38b、40b、42bと、ピニオンに噛み合った内歯車のリングギヤ36c、38c、40c、42cとを備えている。
そして、入力軸14が第3プラネタリギヤセット40のキャリヤ40bに連結されていると共に、第2プラネタリギヤセット38のキャリヤ38bと第4プラネタリギヤセット42のキャリヤ42bとが連結され、第1プラネタリギヤセット36のキャリヤ36bと第4プラネタリギヤセット42のリングギヤ42cとが連結され、第4プラネタリギヤセット42のキャリヤ42bと出力ギヤ28とが連結されている。
また、第2クラッチ20は、出力ギヤ28よりもエンジン2側に配置され、第1クラッチ18及び第3クラッチ22は、複数段プラネタリギヤセット44に隣接して、第1クラッチ18が第3クラッチ22の外周部に重なるように配置されている。
そして、第1プラネタリギヤセット36のサンギヤ36a、第1クラッチ18、及び第3クラッチ22は、それぞれ第2クラッチ20の出力軸20aに連結されており、これにより、第2クラッチ20を介して入力軸14に断接可能に連結されている。
また、第2プラネタリギヤセット38のリングギヤ38cは、第1クラッチ18の出力軸18aに連結されており、これにより、第1クラッチ18及び第2クラッチ20を介して入力軸14に断接可能に連結されている。
また、第2プラネタリギヤセット38のサンギヤ38a(即ち、第3プラネタリギヤセット40のリングギヤ40c)は、第3クラッチ22の出力軸22aに連結されており、これにより、第3クラッチ22及び第2クラッチ20を介して入力軸14に断接可能に連結されている。
また、第1ブレーキ24は、第2クラッチ20と出力ギヤ28との間においてケース部32の内周に固定されており、第3プラネタリギヤセット40のサンギヤ40a及び第4プラネタリギヤセット42のサンギヤ42aと連結されて、これらのサンギヤ40a、42aの作動を制限する。
また、第2ブレーキ26は、第1プラネタリギヤセット36のリングギヤ36cの外周部においてケース部32の内周に固定されており、第1プラネタリギヤセット36のリングギヤ36cと連結されて、このリングギヤ36cの作動を制限する。
上述した第1クラッチ18、第2クラッチ20、第3クラッチ22、第1ブレーキ24、及び第2ブレーキ26の締結状態の組み合わせにより、所望の前進変速段又は後退変速段が得られる。本実施形態の自動変速機8は、図2の締結表に示すように、前進8速及び後退速を出力可能となっている。なお、図2の締結表における丸印は、クラッチ18、20、22又はブレーキ24、26が締結状態にあることを示し、無印は、クラッチ18、20、22又はブレーキ24、26が解放状態にあることを示している。
例えば、自動変速機8の1速においては、第1クラッチ18及び第3クラッチ22が解放され、且つ、第2クラッチ20、第1ブレーキ24、及び第2ブレーキ26が締結される。これにより、入力軸14の回転は、第3プラネタリギヤセット40のキャリヤ40bに伝達されると共に、第2クラッチ20を介して第1プラネタリギヤセット36のサンギヤ36aに伝達される。このサンギヤ36aの回転は、第1プラネタリギヤセット36のキャリヤ36bから第4プラネタリギヤセット42のリングギヤ42cに減速出力される。そして、このリングギヤ42cの回転は、第4プラネタリギヤセット42のキャリヤ42bから出力ギヤ28に減速出力される。
次に、本発明の第1実施形態による自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造を、図3乃至図6を参照して説明する。
この第1実施形態による遠心キャンセル構造は、自動変速機8の1速(即ち発進時)において非締結となるように作動される第1クラッチ18及び第3クラッチ22に適用されている。図3乃至図6は、第1実施形態による遠心キャンセル構造が適用された第3クラッチ22を例示しているが、第1クラッチ18も同様の遠心キャンセル構造を有している。具体的には、図3は、入力軸14が停止している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図5は、入力軸14が回転している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図6は、入力軸14が回転している場合において締結状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図である。また、図4は、図3、図5、及び図6に示す遠心キャンセル構造の袋体の斜視図である。
まず、図3、図5、及び図6に示すように、本実施形態による遠心キャンセル構造46が適用された第3クラッチ22は、入力軸14に結合されたクラッチドラム48と、この第3クラッチ22の出力軸22aに結合されたクラッチハブ50とを有している。
クラッチハブ50の外周には、入力軸14の軸線方向に沿って延びるスプライン50aが設けられており、複数の摩擦板52が、このスプライン50aに沿って摺動可能に嵌合されている。また、クラッチドラム48の内周には、入力軸14の軸線方向に沿って延びるスプライン48aが設けられており、複数の摩擦相手板54が、摩擦板52を交互に挟み込むようにスプライン48aに沿って摺動可能に嵌合されている。さらに、入力軸14の延びる方向において一方の端部に位置する摩擦相手板54(図3、図5、及び図6では最も右側の摩擦相手板54)は、クラッチドラム48に固定されたスナップリング48bにより、このスプライン48aに沿った摺動が規制される。
クラッチドラム48の内部には、入力軸14の軸線方向に沿って、摩擦板52と摩擦相手板54とを互いに圧接させる締結方向(図3、図5、及び図6では右方向)に作動する締結ピストン56が設けられている。締結ピストン56は、シールリング56aを介してクラッチドラム48の内周に摺動可能に密着するように形成されていると共に、摩擦相手板54と対向する位置に、その摩擦相手板54を押圧する押圧部56bが形成されている。そして、この締結ピストン56とクラッチドラム48との間に、この締結ピストン56の締結を制御するための作動油(ATF)が供給される締結油圧室58が形成される。締結ピストン56において締結油圧室58に対向する面は、この締結油圧室58に供給された作動油の油圧を受ける受圧面56cとなっている。締結油圧室58には、自動変速機8の近傍に配置されたバルブボディから油路60を介して作動油が供給される。
また、入力軸14が延びる方向に沿って、締結ピストン56に対して締結油圧室58の反対側には、この締結ピストン56の受圧面56cと対向するようにシールプレート62が設けられている。このシールプレート62は、スナップリング62aによって入力軸14に固定されている。そして、このシールプレート62と締結ピストン56との間に、遠心キャンセル室64が形成されている。この遠心キャンセル室64には、シールプレート62に固定されて、締結ピストン56を摩擦板52及び摩擦相手板54から遠ざかる解放方向(図3、図5、及び図6では左方向)に付勢するリターンスプリング66が設けられている。
さらに、遠心キャンセル室64内において、リターンスプリング66の外周側には、内部に流体媒体が封入された変形自在な密閉型の袋体68が設けられている。図4に示すように、この密閉型の袋体68は、例えばポリウレタン等の柔軟な材料を用いてドーナツ型に形成され、その内部には、締結油圧室58に供給される作動油よりも比重が大きい流体媒体(水やオイル等)が封入されている。また、密閉型の袋体68は、図6に示すように、その容積が第3クラッチ22の締結時の遠心キャンセル室64の容積よりも小さいように形成されている。
この密閉型の袋体68は、締結ピストン56とシールプレート62によって挟まれており、袋体68と締結ピストン56との接触面が、その締結ピストン56を押圧する押圧面68aとなっている。そして、この押圧面68aの外周端は、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの外周端とほぼ同じ径方向位置になるように設けられており、且つ、この押圧面68aの内周端は、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの内周端の径方向位置よりも外周側になるように設けられている。これにより、密閉型の袋体68の押圧面68aの面積は、締結ピストン56の受圧面56cの面積よりも小さくなっている。
次に、上述した本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造46の作用を説明する。
まず、入力軸14が停止しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合には、図3に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56がリターンスプリング66によって解放方向(図3では左方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図5では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図5では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。上述したように、密閉型の袋体68の押圧面68aの面積は、締結ピストン56の受圧面56cの面積よりも小さいが、この袋体68には、締結油圧室58に供給される作動油よりも比重が大きい流体媒体が封入されているので、密閉型の袋体68内の流体媒体に生じる遠心圧は、締結油圧室58内の作動油による遠心圧よりも大きいものとなる。従って、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺するのに十分な遠心圧が袋体68の押圧面68aから締結ピストン56に働く。
これにより、第3クラッチ22の締結ピストン56は、図5に示すようにリターンスプリング66によって解放方向(図5では左方向)に確実に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給された場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図6では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図6では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。これにより、図6に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56は、バルブボディから締結油圧室58に供給された作動油の油圧によって締結方向(図6では右方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが接触した締結状態に維持される。即ち、バルブボディによる油圧制御に応じて、第3クラッチ22の締結状態が適切に制御される。
次に、上述した本発明の第1実施形態による遠心キャンセル構造46の効果を説明する。
まず、第1クラッチ18及び第3クラッチ22の締結時の遠心キャンセル室64の容積よりも小さい容積であり、内部に流体媒体が封入された変形自在な密閉型の袋体68が、遠心キャンセル室64内に設けられているので、オイルポンプの駆動状態や入力軸の回転状態に関わらず、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺するための流体媒体を遠心キャンセル室64内に保持することができる。即ち、オイルポンプを使用することなく作動媒体を遠心キャンセル室64内に常に保持することができ、燃費を向上することができる。
また、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68は、リターンスプリング66の外周側又は内周側に設けられているので、遠心キャンセル室64内において密閉型の袋体68とリターンスプリング66とが干渉することを防止でき、これにより、リターンスプリング66による第1クラッチ18及び第3クラッチ22の締結ピストン56の作動が密閉型の袋体68により妨げられることを防止できる。
また、密閉型の袋体68には、締結油圧室58に供給される作動油よりも比重が大きい流体媒体が封入されているので、密閉型の袋体68内の流体媒体に生じる遠心圧を、締結油圧室58内の作動油による遠心圧よりも大きいものとすることができ、これにより、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺するのに十分な遠心圧を袋体68の押圧面68aから締結ピストン56に働かせることができる。
次に、図7乃至図9により、本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、上述した第1実施形態における遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68と締結ピストン56との位置関係が異なるものであり、他の構成は同一であるので、ここでは、異なる点についてのみ説明する。図7は、入力軸14が停止している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図8は、入力軸14が回転している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図9は、入力軸14が回転している場合において締結状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図である。
この第2実施形態によれば、図7乃至図9に示すように、締結ピストン56の受圧面56cの外周端が、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68の押圧面68aの内周端とほぼ同じ径方向位置となるように設けられている。言い換えると、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68は、その押圧面68aの外周端が、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの外周端の径方向位置よりも外周側になるように設けられており、且つ、この押圧面68aの内周端が、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの外周端とほぼ同じ径方向位置となるように設けられている。また、密閉型の袋体68の内部には、締結油圧室58に供給されるものと同じ作動油(ATF)が流体媒体として封入されている。
次に、上述した本発明の第2実施形態による遠心キャンセル構造46の作用を説明する。
まず、入力軸14が停止しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合には、図7に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56がリターンスプリング66によって解放方向(図7では左方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図8では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図8では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。上述したように、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68は、その押圧面68aの外周端が、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの外周端の径方向位置よりも外周側になるように設けられているので、密閉型の袋体68内の流体媒体に生じる遠心圧は、締結油圧室58内の作動油による遠心圧よりも大きいものとなる。従って、締結油圧室58内の作動油に生じる遠心圧を相殺するのに十分な遠心圧が袋体68の押圧面68aから締結ピストン56に働く。
これにより、第3クラッチ22の締結ピストン56は、図8に示すようにリターンスプリング66によって解放方向(図8では左方向)に確実に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給された場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図9では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図9では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。これにより、図9に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56は、バルブボディから締結油圧室58に供給された作動油の油圧によって締結方向(図9では右方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが接触した締結状態に維持される。即ち、バルブボディによる油圧制御に応じて、第3クラッチ22の締結状態が適切に制御される。
このように第2実施形態によれば、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68の押圧面68aの外周端が、入力軸が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの外周端の位置よりも外周側になるよう設けられているので、密閉型の袋体68内の流体媒体に生じる遠心圧を、締結油圧室58内の作動油による遠心圧よりも大きいものとすることができ、これにより、第1クラッチ18及び第3クラッチ22の締結ピストン56の作動が密閉型の袋体68により妨げられることを防止しつつ、締結油圧室58内の作動油に生じる遠心圧を相殺するのに十分な遠心圧を袋体68の押圧面68aから締結ピストン56に働かせることができる。
また、密閉型の袋体68が設けられる第1クラッチ18及び第3クラッチ22は、発進時には非締結となるように作動されるので、密閉型の袋体68が設けられる第1クラッチ18及び第3クラッチ22には、発進時における比較的大きなトルクが入力されない。従って、密閉型の袋体68の押圧面68aの外周端を締結ピストン56の受圧面56cの外周端の位置よりも外周側にするために、締結ピストン56を小型化し、それにより第1クラッチ18及び第3クラッチ22の容量が低下しても、この第1クラッチ18及び第3クラッチ22の容量を超えるトルクが入力されることを防止できる。
次に、図10乃至図12により、本発明の第3実施形態を説明する。この第3実施形態は、上述した第1実施形態におけるリターンスプリング66、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68、及び締結ピストン56の位置関係が異なるものであり、他の構成は同一であるので、ここでは、異なる点についてのみ説明する。図10は、入力軸14が停止している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図11は、入力軸14が回転している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図12は、入力軸14が回転している場合において締結状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図である。
この第3実施形態によれば、図10乃至図12に示すように、締結ピストン56を摩擦板52及び摩擦相手板54から遠ざかる解放方向(図10乃至図12では左方向)に付勢するリターンスプリング66が、遠心キャンセル室64の外周側においてシールプレート62に固定されている。
そして、リターンスプリング66よりも内周側に位置する遠心キャンセル室64の内部に、密閉型の袋体68が設けられている。この密閉型の袋体68は、その押圧面68aの外周端が、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの外周端とほぼ同じ径方向位置となるように設けられており、且つ、この押圧面68aの内周端が、入力軸14が延びる方向で見て、締結ピストン56の受圧面56cの内周端の径方向位置よりも外周側になるように設けられている。また、密閉型の袋体68の内部には、締結油圧室58に供給される作動油よりも比重が大きい流体媒体(水やオイル等)が封入されている。
次に、上述した本発明の第3実施形態による遠心キャンセル構造46の作用を説明する。
まず、入力軸14が停止しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合には、図10に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56がリターンスプリング66によって解放方向(図10では左方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図11では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図11では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。
これにより、第3クラッチ22の締結ピストン56は、図11に示すようにリターンスプリング66によって解放方向(図11では左方向)に確実に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給された場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図12では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図12では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。これにより、図12に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56は、バルブボディから締結油圧室58に供給された作動油の油圧によって締結方向(図12では右方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが接触した締結状態に維持される。即ち、バルブボディによる油圧制御に応じて、第3クラッチ22の締結状態が適切に制御される。
また、上述したように、密閉型の袋体68は、その容積が第3クラッチ22の締結時の遠心キャンセル室64の容積よりも小さいように形成されているので、図12に示すように締結ピストン56が締結方向に移動することによって遠心キャンセル室64の容積が減少した場合でも、遠心キャンセル室64内の袋体68により締結ピストン56の移動が妨げられることはない。
このように第3実施形態によれば、密閉型の袋体68は遠心キャンセル室64内に設けられ、リターンスプリング66は遠心キャンセル室64の外部に設けられているので、これらの密閉型の袋体68とリターンスプリング66とが干渉することを防止でき、これにより、リターンスプリング66による第1クラッチ18及び第3クラッチ22の締結ピストン56の作動が密閉型の袋体68により妨げられることを防止できる。
次に、図13乃至図15により、本発明の第4実施形態を説明する。この第4実施形態は、上述した第1実施形態におけるリターンスプリング66及び遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68の構成が異なるものであり、他の構成は同一であるので、ここでは、異なる点についてのみ説明する。図13は、入力軸14が停止している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図14は、入力軸14が回転している場合において開放状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図であり、図15は、入力軸14が回転している場合において締結状態にある第3クラッチ22を示す部分拡大断面図である。
この第4実施形態によれば、図13乃至図15に示すように、遠心キャンセル室64内に設けられた密閉型の袋体68は、締結ピストン56に当接する円環板状の押圧面68aと、この押圧面68aと向かい合うように形成されシールプレート62に当接する円環板状の端面68bと、この押圧面68aの外周と端面68bの外周との間に連結された弾性を有する外周面68cと、押圧面68aの内周と端面68bの内周との間に連結された変形自在な内周面68dとを備えている。外周面68cは、例えば、押圧面68aの外周と端面68bの外周との間に連結されたスプリングと、このスプリングを外周側から覆う柔軟部材とにより、蛇腹状に形成されている。また、内周面68dは、ポリウレタン等の柔軟な材料を用いて形成されている。また、密閉型の袋体68の内部には、締結油圧室58に供給されるものと同じ作動油(ATF)が流体媒体として封入されている。
この密閉型の袋体68の外周面68cは、締結ピストン56を摩擦板52及び摩擦相手板54から遠ざかる解放方向(図13乃至図15では左方向)に付勢するリターンスプリングとして作用する。
次に、上述した本発明の第4実施形態による遠心キャンセル構造46の作用を説明する。
まず、入力軸14が停止しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合には、図13に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56が袋体68の外周面68cによって解放方向(図13では左方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給されていない場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図14では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図14では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。
これにより、第3クラッチ22の締結ピストン56は、図14に示すように袋体68の外周面68cによって解放方向(図14では左方向)に確実に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが非接触の解放状態に維持される。
次に、入力軸14が回転しており、且つ、第3クラッチ22の締結油圧室58に作動油が供給された場合、入力軸14と共に第3クラッチ22の締結油圧室58も回転しているので、締結油圧室58内の作動油に遠心圧が生じ、この遠心圧により、締結ピストン56は摩擦板52と摩擦相手板54とを圧接させる締結方向(図15では右方向)に押圧される。しかし、遠心キャンセル室64に配置された密閉型の袋体68も入力軸14と共に回転しているので、この密閉型の袋体68内の流体媒体に遠心圧が生じ、この遠心圧が締結ピストン56に対して解放方向(図15では左方向)に働き、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺する。これにより、図15に示すように、第3クラッチ22の締結ピストン56は、バルブボディから締結油圧室58に供給された作動油の油圧によって締結方向(図15では右方向)に押圧され、摩擦板52と摩擦相手板54とが接触した締結状態に維持される。即ち、バルブボディによる油圧制御に応じて、第3クラッチ22の締結状態が適切に制御される。
このように第4実施形態によれば、第1クラッチ18及び第3クラッチ22の締結時の遠心キャンセル室64の容積よりも小さい容積であり、内部に流体媒体が封入された変形自在な密閉型の袋体68が、遠心キャンセル室64内に設けられているので、オイルポンプの駆動状態や入力軸の回転状態に関わらず、締結油圧室58内の作動油による遠心圧を相殺するための流体媒体を遠心キャンセル室64内に保持することができる。即ち、オイルポンプを使用することなく作動媒体を遠心キャンセル室64内に常に保持することができ、燃費を向上することができる。従って、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
1 パワートレイン構造
2 エンジン
8 自動変速機
14 入力軸
16 変速機構
18 第1クラッチ
20 第2クラッチ
22 第3クラッチ
46 遠心キャンセル構造
56 締結ピストン
56c 受圧面
58 締結油圧室
64 遠心キャンセル室
66 リターンスプリング
68 密閉型の袋体
68a 押圧面
68b 端面
68c 外周面
68d 内周面

Claims (6)

  1. 自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造であって、
    動力源で生成された動力が入力される入力軸と、
    この入力軸の周りに配置された変速機構と、
    この変速機構に動力を伝達する動力伝達用クラッチであって、作動油が供給される締結油圧室と、この作動油による油圧の受圧面を有する締結ピストンと、上記入力軸が延びる方向に沿って、上記締結ピストンに対して上記締結油圧室の反対側に設けられる遠心キャンセル室と、を有する上記動力伝達用クラッチと、
    この動力伝達用クラッチの遠心キャンセル室内に設けられ、上記動力伝達用クラッチの締結時の上記遠心キャンセル室の容積よりも小さい容積であり、内部に流体媒体が封入された変形自在な密閉型の袋体と、を有することを特徴とする自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造。
  2. さらに、上記動力伝達用クラッチの上記締結ピストンを解放方向に付勢するリターンスプリングを有し、
    このリターンスプリングは、上記遠心キャンセル室内に設けられ、
    上記遠心キャンセル室内に設けられた密閉型の袋体は、上記リターンスプリングの外周側又は内周側に設けられる請求項1に記載の自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造。
  3. 上記遠心キャンセル室内に設けられた密閉型の袋体は、上記リターンスプリングの外周側に設けられ、且つ、上記締結ピストンを押圧する押圧面が形成されるよう設けられ、さらに、この密閉型の袋体の押圧面の外周端が、上記入力軸が延びる方向で見て、上記締結ピストンの受圧面の外周端の位置よりも外周側になるよう設けられる請求項2に記載の自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造。
  4. 上記密閉型の袋体が設けられる動力伝達用クラッチは、発進時には非締結となるように作動される請求項3に記載の自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造
  5. 上記密閉型の袋体の内部に密閉される流体媒体は、上記締結油圧室に供給される作動油よりも比重が大きい請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造。
  6. さらに、上記動力伝達用クラッチの上記締結ピストンを解放方向に付勢するリターンスプリングを有し、
    このリターンスプリングは、上記遠心キャンセル室の外部に設けられる請求項1に記載の自動変速機用の動力伝達用クラッチの遠心キャンセル構造。
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