(本開示に至った経緯)
まず、実施の形態について説明する前に、本開示に至った経緯について説明する。
長時間露光撮影では、露光時間が長いほど高いコントラストの画像が得られる。つまり、露光時間が長いほど暗い被写体を撮影できる。一方で、長時間露光撮影では、露光時間が長いほど、固体撮像素子の暗電流によって画質が劣化する。
よって、長時間露光撮影によって星空等の暗い被写体を撮影する場合には、露光時間が長いほど暗い星(等級の値が大きい星)まで撮影することができる一方、暗電流によって発生する白キズ、白浮き及びシェーディング等のノイズによって画質が劣化する。
そこで、長時間露光撮影では、被写体に応じた適切な露光時間で撮影することが求められる。
ここで、長時間露光撮影では、ユーザによってシャッターボタンが押されている間シャッタを開放し続けることにより、長い露光時間(例えば1秒〜数時間程度)で固体撮像素子を露光する場合がある。つまり、撮影前に露光時間を決めずに撮影を開始する場合がある。よって、このような場合において適切な露光時間で撮影するためには、適切なタイミングで露光を停止することが必要である。
しかしながら、撮影中に当該撮影において暗電流によって生じ得るノイズを正確に予測した上で、適切なタイミングで露光を停止することは困難である。これは次のような理由による。
すなわち、当該ノイズを予測するために、センサを用いて固体撮像素子の温度を撮影前に測定する方法が考えられるが、このような方法では、撮影中に生じ得る固体撮像素子の温度変化を考慮してノイズを正確に予測することが難しい。よって、適切なタイミングで露光を停止することは困難である。
また、暗電流によって発生するノイズは、固体撮像素子の暗電流によって生じる電荷(以下、暗電荷と記載する場合あり)に起因する。しかしながら、上記のようなセンサを用いて固体撮像素子の温度を撮影前に測定する方法では、発生している暗電荷量そのものを測定することができないために、暗電流によって生じ得るノイズを正確に予測することが難しい。よって、適切なタイミングで露光を停止することは困難である。
このように、露光時間を事前に決めないような長時間露光撮影では、撮影中に当該撮影において生じるノイズを考慮して、適切なタイミングで露光を停止することが困難であるという経緯がある。
そこで、本発明者は、適切なタイミングで露光を停止することができる撮像装置及び暗電荷測定方法を創作するに至った。
すなわち、本開示に係る撮像装置の一態様は、被写体を撮像する撮像装置であって、複数の画素が行列状に配置され、当該複数の画素のうち遮光された画素が複数行配置された第1画素部と、当該複数の画素のうち被写体からの光が入射する画素が配置された第2画素部とを含む固体撮像素子と、第2画素部を露光する露光制御部と、第2画素部の露光中の互いに異なる複数のタイミングで、第1画素部の画素行を順次選択し、選択した画素行の各画素から画素信号を出力させる行選択部と、行選択部の選択によって第1画素部から画素信号が出力される毎に、当該画素信号を用いて固体撮像素子の暗電流により発生した暗電荷量を測定する暗電荷測定部とを備える。
このように、当該撮像装置は、露光中の互いに異なる複数のタイミングで画素信号を読み出して暗電荷量を測定する。これにより、露光中の環境変化による暗電荷量の変動を測定することができる。よって、適切なタイミングで露光を停止することができる。つまり、当該撮像装置のユーザは、露光を停止する適切なタイミングを容易に決定できる。
また、さらに、暗電荷測定部によって暗電荷量が測定される毎に、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差を用いて残りの露光時間を示す残り時間情報を生成する残り時間生成部を備えてもよい。
このように生成された残り時間情報を用いることにより、画質の劣化を許容範囲に留めつつ、コントラストが高くなるような露光時間で撮像することが可能となる。つまり、露光を停止する適切なタイミングを容易に決定できる。
また、最大暗電荷量は、ユーザによって指定され、撮像装置は、さらに、第2画素部の露光前に、ユーザが最大暗電荷量を指定するための基準となる基準暗電荷量に対応するノイズ成分を画像に重畳する画像処理部と、ノイズ成分が重畳された画像を表示する表示部とを備えてもよい。
このように、ノイズ成分が重畳された画像を表示することにより、ユーザは最大暗電荷量の指定前に、予想される画質の劣化を確認することができる。よって、ユーザにとって適切な最大暗電荷量を指定することができる。
また、露光制御部は、暗電荷測定部で測定された暗電荷量が最大暗電荷量より大きい場合に露光を停止してもよい。
ここで、長時間露光撮影では、露光時間は、事前又は自動的に決定されることなく、ユーザによる操作のみに依存する場合がある。このような場合、ユーザが何らかの事情で露光停止操作ができない場合、ユーザが意図した以上に暗電荷が発生する虞がある。このような暗電荷は、ユーザの意図しない画質の劣化を引き起こす虞がある。このため、測定された暗電荷量が最大暗電荷量より大きい場合に露光を停止することにより、ユーザの意図しない画質の劣化を抑制できる。
また、さらに、残り時間生成部により残り時間情報が生成される毎に、生成された残り時間情報を用いて残りの露光時間をユーザに報知する報知部を備えてもよい。
ここで、残りの露光時間が報知されない場合、ユーザが露光中の環境変化を考慮して当該露光の停止タイミングを決定することは困難である。つまり、このような場合、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを逃す虞がある。このため、残りの露光時間を報知することによりユーザは残りの露光時間を認識することができるので、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを逃しにくくなる。
また、報知部は、差が最大暗電荷量に占める割合を示す図形を表示することにより、残りの露光時間を報知してもよい。
このように、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を示す図形を表示することにより、ユーザは表示された図形から残りの露光時間を直感的に認識することができる。よって、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを一層逃しにくくなる。
また、撮像装置は、さらに、暗電荷測定部によって暗電荷量が測定される毎に、測定された暗電荷量に対応するノイズ成分を画像に重畳する画像処理部と、当該ノイズ成分が重畳された画像を表示する表示部とを備えてもよい。
このように、暗電荷測定部で測定された暗電荷量に対応するノイズ成分が重畳された画像を表示することにより、ユーザは、予想される画質の劣化を露光中に確認することができる。よって、ユーザは、適切なタイミングで露光を停止することができる。
また、行選択部は、さらに、第2画素部の画素行を選択し、選択した画素行の各画素から画素信号を出力させ、画像処理部は、さらに、行選択部の選択によって第2画素部から出力された画素信号を用いて画像を生成し、生成した画像にノイズ成分を重畳してもよい。
つまり、表示部に表示される画像は、撮影中の被写体の画像に、測定された暗電荷量に対応するノイズ成分が重畳された画像となる。よって、暗電流による被写体の画像の画質の劣化を確認することができる。その結果、サンプル画像にノイズ成分が重畳された画像が表示されている場合よりも、被写体に応じた適切なタイミングで露光を停止することができる。
また、これらの包括的または具体的な態様は、被写体を撮像する撮像装置を用いた暗電荷測定方法として実現されてもよく、撮像装置は、複数の画素が行列状に配置され、当該複数の画素のうち遮光された画素が複数行配置された第1画素部と、当該複数の画素のうち被写体からの光が入射する画素が配置された第2画素部とを含む固体撮像素子を備え、暗電荷測定方法は、第1画素部の少なくとも1つの画素行を選択し、選択した画素行の各画素から画素信号を出力する行選択ステップと、行選択ステップで出力された画素信号を用いて、固体撮像素子の暗電流により発生した暗電荷量を測定する暗電荷測定ステップとを含み、行選択ステップにおいて選択する画素行を変えながら、第2画素部の露光中に、行選択ステップ及び暗電荷測定ステップを繰り返す。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る撮像装置は、被写体を撮像する、例えばデジタルカメラであり、被写体を長時間露光撮影することができる。また、ユーザによってシャッターボタンが押されている間シャッタを開放し続ける、バルブ撮影も可能である。
以下、実施の形態1について、図1〜11を用いて説明する。
[1−1.構成]
[1−1−1.撮像装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。この撮像装置10は、被写体を撮像する、例えばデジタルカメラである。
同図に示す撮像装置10は、固体撮像素子100と、レンズ110と、暗電流測定制御部120と、露光制御部130と、機械式シャッタ131と、読み出しライン選択部140(行選択部)と、暗電流成分測定部150(暗電荷成分測定部)と、表示信号生成部160(残り時間生成部)と、画像処理部170と、表示部180と、画像記録部190とを備える。
固体撮像素子100は、複数の画素が行列状に配置され、当該複数の画素のうち遮光された画素が複数行(例えば、数十行)配置されたOB(Optical Black;オプティカルブラック)画素部102(第1画素部)と、当該複数の画素のうち前記被写体からの光が入射する画素が配置された有効画素部101(第2画素部)とを含む。この固体撮像素子100は、レンズ110を通して入射された光を光電変換することにより、被写体の輝度を示す電気信号である画素信号を出力する。なお、この固体撮像素子100の詳細な構成については、後述する。
レンズ110は、被写体像を固体撮像素子100上に結像する。
暗電流測定制御部120は、ユーザからの指示を受け、露光制御部130及び暗電流成分測定部150を制御する。具体的には、暗電流測定制御部120は、ユーザのシャッターボタン(不図示)操作を受け付けて、ユーザによってシャッターボタンが押されているか否かを示すシャッタ操作信号を露光制御部130へ出力する。また、ユーザから「露光残り時間表示」の指示を受け付けた場合に、暗電流成分測定部150を動作させる。
露光制御部130は、固体撮像素子100を露光する。具体的には、露光制御部130は、暗電流測定制御部120から入力されたシャッタ操作信号を用いて、機械式シャッタ131の開放及び閉鎖を制御することにより、固体撮像素子100の露光を開始及び停止する。つまり、露光制御部130は、長時間露光撮影時において、固体撮像素子100の露光時間をユーザの指示に従って任意に設定することができる。
また、露光制御部130は、画素の読み出し信号及びリセット信号を生成し、読み出しライン選択部140に供給(発行)する。
機械式シャッタ131は、露光制御部130によって開放及び閉鎖される。つまり、機械式シャッタ131は、露光制御部130によって開放されることにより固体撮像素子100を露出し、露光制御部130によって閉鎖されることにより固体撮像素子100を遮光する。
読み出しライン選択部140は、固体撮像素子100のうち少なくとも1つの画素行(以下、水平ラインとも記載する)を選択し、選択した画素行の各画素から画素信号を出力させる。具体的には、読み出しライン選択部140は、有効画素部101またはOB画素部102から、1以上の水平ラインを選択し、露光制御部130から供給される画素の読み出し信号及びリセット信号を、選択した水平ラインに供給する。具体的には、読み出しライン選択部140は、露光制御部130から供給された読み出し信号及びリセット信号を分配することにより、各水平ラインに対応する読み出し信号及びリセット信号を生成して供給する。
ここで、読み出しライン選択部140は、長時間露光撮影時において、有効画素部101の露光中の互いに異なる複数のタイミングで、OB画素部102の画素行を順次選択し、選択した画素行の各画素から画素信号を出力させる。なお、以下では、画素信号を出力させることを、画素信号を読み出すとも記載する。
暗電流成分測定部150は、読み出しライン選択部140の選択によってOB画素部102から画素信号が出力される毎に、当該画素信号を用いて固体撮像素子100の暗電流により発生した暗電荷量を測定する。ここで、暗電荷とは、固体撮像素子100の暗電流により蓄積された電荷である。
このように、本実施の形態に係る撮像装置10では、露光中の互いに異なる複数のタイミングで画素信号を読み出して、画素信号を読み出す毎に暗電荷量を測定する。これにより、発生する暗電荷量の変動に追従して、露光を停止するタイミングを調節することができる。よって、露光を適切なタイミングで停止することができる。つまり、当該撮像装置10は、暗電荷の蓄積状態をリアルタイムで更新可能であるため、適切なタイミングで露光を停止することができる。
表示信号生成部160は、暗電流成分測定部150によって暗電荷量が測定される毎に、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差を用いて残りの露光時間を示す報知信号(残り時間情報)を生成する。つまり、表示信号生成部160は、暗電流成分測定部150から出力される暗電荷の測定値をもとに、ユーザに対して露光残り時間を報知するための報知信号を生成する。
本実施の形態に係る撮像装置10は、このように生成された報知信号を用いることにより、画質の劣化を許容範囲に留めつつ、コントラストが高くなるような露光時間で撮像することが可能となる。つまり、ユーザは、露光を停止する適切なタイミングを容易に決定できる。つまり、当該撮像装置10は、露光中に実測している暗電荷量を用いて報知信号をリアルタイムで更新可能であるため、適切なタイミングで露光を停止することができる。
画像処理部170は、読み出しライン選択部140の選択によって有効画素部101から出力された画素信号を用いて画像データ(以下、撮影画像データと記載する場合あり)を生成し、生成した撮影画像データに対して各種の画像処理を施す。例えば、画像処理部170は、撮影画像データに対して、表示部180に表示するための画像の拡大処理及び縮小処理や、切り出し処理や、画像記録部190に撮影画像データを記録するための圧縮処理などを行う。なお、画像処理部170は、これらの全ての画像処理を行うものであってもよいし、これらの中の一部を行うものであってもよいし、ここに記載した以外の画像処理(例えば、ホワイトバランス調整処理、ガンマ処理圧縮処理、及び、YC変換処理など)を行うものであってもよい。
表示部180は、表示信号生成部160により報知信号が生成される毎に、生成された報知信号を用いて残りの露光時間をユーザに報知する、例えば、ビューファインダである。具体的には、表示部180は、暗電流成分測定部150で測定された暗電荷量からユーザによって指定された最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を示す図形(本実施の形態では後述する柱状ゲージ)を表示することにより、残りの露光時間を報知する。
ここで、表示部180に表示される残りの露光時間の表示例について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態において長時間露光撮影中に、表示部180に表示される残りの露光時間の表示例である。
同図に示すように、長時間露光撮影時において、表示部180は、当該表示部180の表示画面181にバルブ撮影中であることを示す表示181aとして「Bulb」を表示する。また、表示部180は、表示画面181に、残りの露光時間を報知するための残り時間表示ウィンドウ181bを表示する。この残り時間表示ウィンドウ181bには、残りの露光時間を示す柱状ゲージ181cが表示されている。
この柱状ゲージ181cは、同図の(a)に示すように、長時間露光撮影が開始された直後では、残り時間表示ウィンドウ181b全体に表示されている。その後、同図の(b)及び(c)に示すように、当該撮影が経過するにしたがって低下する。つまり、表示部180は、暗電流成分測定部150で測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を、残り時間表示ウィンドウ181bの高さに対して柱状ゲージ181cの高さが占める割合として表示する。
このように、本実施の形態に係る撮像装置10は、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を示す柱状ゲージ181cを表示する。これにより、ユーザは表示された柱状ゲージ181cから残りの露光時間を直感的に認識することができる。よって、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを一層逃しにくくなる。つまり、当該撮像装置10は、露光中に実測している暗電荷量を用いて柱状ゲージ181cの高さをリアルタイムで更新できるので、ユーザは適切なタイミングで露光を停止することができる。
画像記録部190は、画像処理部170で生成された画像データを記憶する、例えばメモリである。また、画像記録部190は、画像処理部170で処理途上の画像データや処理が完了した後の画像データを一時的に記憶する。要するに、画像記録部190は、画像処理部170での画像処理を実現するために画像データを記憶する。
[1−1−2.固体撮像素子の構成]
次に、上述した固体撮像素子100の構成について、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、本実施の形態における固体撮像素子100の構成を模式的に示すレイアウト図であり、図4は、本実施の形態における固体撮像素子100の詳細な構成を示すための図3の一部拡大図である。なお、図3には、当該固体撮像素子100の水平ラインを順次選択し、選択した水平ラインの各画素から画素信号を出力させる読み出しライン選択部140も示されている。また、図4では、垂直信号線212の図示については省略されている。
図3に示すように、固体撮像素子100には、行列状に配置された複数の画素201と、水平ラインごとに設けられた複数の読み出し制御線211と、列ごとに設けられた垂直信号線212とが配置されている。
複数の読み出し制御線211は、読み出しライン選択部140から出力された画素読み出しパルスを、対応する水平ラインの各画素201に供給する。これにより、読み出しライン選択部140で選択された水平ラインの各画素201から画素信号が出力される。具体的には、図4に示すように、水平ラインごとに配置された複数(本実施の形態では3本)の読み出し制御線211は、パルスTX、パルスRX及びパルスSELを、対応する水平ラインの各画素201へ供給する。なお、パルスTX、パルスRX及びパルスSELを総称して、画素読み出しパルスと記載する場合がある。
垂直信号線212は、読み出しライン選択部140の選択によって各画素201から出力された画素信号を、暗電流成分測定部150又は画像処理部170へ伝達する。
ここで、固体撮像素子100のうち複数行の画素201を含むOB画素部102は、当該画素201を覆うように配置された遮光膜103によって遮光されている。これにより、被写体からの光は、OB画素部102の画素201に入射しない。よって、OB画素部102の画素201から出力される画素信号は、固体撮像素子100の暗電流により発生した暗電荷に対応する。
一方、有効画素部101は遮光されていないので、被写体からの光は、有効画素部101の画素201に入射する。よって、有効画素部の画素201から出力される画素信号は、被写体像の輝度に対応する。
[1−1−3.画素の構成]
次に、固体撮像素子100に配置された各画素201の構成について、図5Aを用いて説明する。図5Aは、本実施の形態における画素201の構成を示す回路図である。
同図に示すように、画素201は、フォトダイオードPD、転送トランジスタTtx、リセットトランジスタTrx、ソースフォロワトランジスタTamp、及び、選択トランジスタTselを有する。
フォトダイオードPDは、入射光を光電変換することにより、当該入射光に対応する量の電荷を生成して蓄積する。
転送トランジスタTtxは、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をソースフォロワトランジスタTampの入力であるフローティングディフュージョンへ転送するためのスイッチトランジスタである。この転送トランジスタTtxは、パルスTXをH(ハイ)レベルにすることにより導通(オン)し、L(ロー)レベルにすることにより非導通(オフ)となる。
リセットトランジスタTrxは、ソースフォロワトランジスタTampの入力(ゲート)を電源(VDD)レベルにリセットするためのスイッチトランジスタである。このリセットトランジスタTrxは、パルスRXをHレベルにすることにより導通し、Lレベルにすることにより非導通となる。
ソースフォロワトランジスタTampは、垂直信号線212に接続された負荷(不図示、例えば電流源等)とともにソースフォロワ回路を構成する。
選択トランジスタTselは、読み出しライン選択部140の選択によって、ソースフォロワトランジスタTampの出力を垂直信号線212に転送するためのスイッチトランジスタである。つまり、選択トランジスタTselは、読み出しライン選択部140の選択によって、フォトダイオードPDで発生した電荷に対応する電圧である画素信号を出力する。この選択トランジスタTselは、パルスSELをHレベルにすることにより導通し、Lレベルにすることにより非導通となる。
[1−1−4.画素信号の出力動作]
このように構成された画素201は、読み出しライン選択部140から供給される画素読み出しパルス(パルスTX、パルスRX及びパルスSEL)によって、画素信号を出力する。以下、画素信号の出力動作について、図5Bを用いて説明する。
図5Bは、読み出しライン選択部140による画素信号の出力動作を示すタイミングチャートである。同図には、上から順に、パルスSEL、パルスRX、パルスTX、及び、垂直信号線212の電圧(図中では画素出力と記載)が示されている。
同図に示すように、読み出しライン選択部140は、パルスSELをHとした状態で、パルスRXをHとすることにより、ソースフォロワトランジスタTampの入力をリセットする。つまり、画素出力のレベルをリセットする。その後、パルスRXをLとした後にパルスTXをHとすることにより、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をソースフォロワトランジスタTampの入力に転送する。つまり、画素出力のレベルを、フォトダイオードPDに蓄積された電荷に相当する電圧だけ変化させる。
このように、画素201は、画素読み出しパルスによって、フォトダイオードPDに蓄積された電荷に相当する電圧変動を画素信号として出力する。
[1−2.動作]
以上のように構成された撮像装置10のバルブ撮影時の動作について、以下説明する。なお、撮像装置10は、以下で説明するバルブ撮影以外に、露光時間が短い(例えば1秒以下)の通常の撮影が可能であってもよい。
[1−2−1.バルブ撮影の動作の概要]
ここでは、撮像装置10のバルブ撮影時の動作の概要について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態における撮像装置10のバルブ撮影時の動作を示すフローチャートである。
まず、露光制御部130が、固体撮像素子100の電子シャッタ動作により、固体撮像素子100の各画素201に蓄積されている残存電荷をリセットする(S101)。この電子シャッタ動作は、例えばRXパルスとTXパルスを同時にHレベルにすることにより実現される。
次に、露光制御部130が機械式シャッタ131を開放することにより、固体撮像素子100の露光を開始する(S102)。
次に、暗電流測定制御部120が、ユーザから「露光残り時間表示」の指示を受け付けたか否かを判定する(S103)。具体的には、暗電流測定制御部120は、ユーザからの指示に従って暗電荷測定の実施可否を判定する。
露光残り時間の表示の指示を受け付けた場合(S103でYes)、暗電流測定制御部120は、ユーザによる露光終了指示の有無を判定する(S104)。
露光終了指示がないと判定された場合(S104でNo)、暗電流成分測定部150は、OB画素部102の読み出し回数が規定回数に達したか否かを判定する(S105)。
OB画素部102の読み出し回数が規定回数に達していない場合(S105でNo)、読み出しライン選択部140が、OB画素部102のk行目の画素行を読み出す(S106)。具体的には、読み出しライン選択部140は、k番目の画素行を選択し、選択した画素行の各画素201から画素信号を出力させる。一方、OB画素部102の読み出し回数が規定回数に達している場合(S105でYes)、上記の露光終了指示の有無を判定する処理(S104)へ戻る。
次に、暗電流成分測定部150が暗電荷量を測定する(S107)。具体的には、読み出しライン選択部140の選択によってk番目の水平ラインの各画素201から出力された画素信号を用いて、固体撮像素子100の暗電流によりk番目の水平ラインに発生した暗電荷量Q(k)を測定する。ここで、例えば、Q(k)は、出力された1水平ライン分の画素信号を平均することにより算出する。なお、Q(k)は、当該1水平ライン分の画素信号の中央値や最大値でもよい。
次に、表示信号生成部160が、ユーザに露光残り時間の報知を行うための報知信号を生成する(S108)。つまり、表示信号生成部160は、暗電流成分測定部150によって測定された暗電荷量Q(k)から最大暗電荷量までの差を用いて報知信号を生成する。
次に、表示部180が表示を更新する(S109)ことにより、残りの露光時間をユーザに提示する。具体的には、表示部180は、表示信号生成部160によって生成された報知信号を用いて残りの露光時間をユーザに報知する。
次に、読み出しライン選択部140が、読み出しを行うOB画素部102の水平ライン番号をインクリメントして(S110)、上記の露光終了指示の有無を判定する処理(S104)へ戻る。
撮像装置10は、ユーザによる露光終了指示がある(S104でYes)まで、上記の処理S104〜処理S110を繰り返す。
また、上記の処理S103において、露光残り時間の表示の指示を受け付けていない場合(S103でNo)、暗電流測定制御部120は、ユーザによる露光終了指示の有無を判定し(S111)、露光終了指示があるまで(S111でYesとなるまで)、当該判定を繰り返す。
その後、ユーザによる露光終了指示があった場合(S104でYes、又は、S111でYes)、露光制御部130が、機械式シャッタ131を閉じて露光を終了(停止)する(S112)。
次に、読み出しライン選択部140が有効画素部101から画像を読み出す(S113)。具体的には、読み出しライン選択部140は、有効画素部101の画素行を順次選択し、選択した画素行の各画素201から画素信号を出力させる。
最後に、画像記録部190が撮影画像を記録(S114)することにより、バルブ撮影動作を終了する。具体的には、画像処理部170が、有効画素部101から出力された画素信号を用いて撮影画像データを生成し、生成した撮影画像データを画像記録部190に記録する。
このように、撮像装置10は、バルブ撮影時において、OB画素部102の少なくとも1つの水平ラインを選択し、選択した水平ラインの各画素201から画素信号を出力する行選択処理(S106)と、行選択処理(S106)で出力された画素信号を用いて、固体撮像素子100の暗電流により発生した暗電荷量を測定する暗電荷測定処理(S107)とを含み、行選択処理(S106)において選択する画素行を変えながら、固体撮像素子100の露光中に、行選択処理(S106)及び暗電荷測定処理(S107)を繰り返す。
[1−2−2.暗電荷量の測定]
このようにして測定される暗電荷量について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態において暗電流成分測定部150で測定される暗電荷量について説明するための図である。
同図に示すように、OB画素部102の1行目の各画素201は、露光開始時点から暗電荷を蓄積し、露光開始から時間T1(=TI)後に画素読み出しパルスが供給され、画素信号が出力される。また、OB画素部102の2行目の各画素201は、露光開始時点から暗電荷を蓄積し、露光開始から時間T2(=2*TI)後に画素読み出しパルスが供給され、画素信号が出力される。
以降の画素行も同様に、時間TIの測定間隔で画素信号が読み出される。つまり、OB画素部102のn行目の各画素201は、露光開始時点から暗電荷を蓄積し、露光開始から時間Tn(=n*TI)後に画素読み出しパルスが供給され、画素信号が出力される。
ここで、暗電荷の測定間隔TIは、バルブ撮影における露光時間よりも短く設定(例えば数十ms〜数百ms)されている。
このように、本実施の形態に係る撮像装置10は、固体撮像素子100の露光中の互いに異なる複数のタイミングで、OB画素部102の画素行を順次選択し、選択した画素行の各画素201から画素信号を出力させ、OB画素部102から画素信号が出力される毎に、当該画素信号を用いて固体撮像素子100の暗電流により発生した暗電荷量を測定する。これにより、発生する暗電荷量の変動に追従して、露光を停止するタイミングを調節することができる。よって、露光を適切なタイミングで停止することができる。
[1−2−3.画素信号の読み出し]
次に、固体撮像素子100からの画素信号の読み出し動作の詳細について、図8A及び図8Bを用いて説明する。図8Aは、本実施の形態における画素信号の読み出し動作について説明するための、固体撮像素子100の構成を示すレイアウト図であり、図8Bは、本実施の形態における画素信号の読み出し動作を示すタイミングチャートである。図8Bには、読み出しライン選択部140で選択された行(OB画素部:ob1、ob2、obn、有効画素部101:e1、e2、em)と、露光制御部130によって発行されたTXパルスと、図8Aに示すOB画素部102の1行目、2行目及びn行目に供給されるTXパルス(TX1、TX2及びTXn)と、図8Aに示す有効画素部101の1行目、2行目及びm行目に供給されるTXパルス(TXe1、TXe2及びTXem)とが示されている。
図8Bに示すように、露光開始期間601で機械式シャッタ131を開放して、露光を開始する。このとき、上述したように、露光開始前(露光開始期間601より前)に、固体撮像素子100の電子シャッタ動作により、固体撮像素子100の各画素201に蓄積されている残存電荷をリセットしておく。
その後、時間TIごとにOB画素部102の1行目から順に選択して、選択した行にTXパルスを発行することにより、時間TIごとにOB画素部102の画素信号を1行ずつ順に読み出す。つまり、OB画素部102の画素行を時間TIごとに順次選択し、選択した画素行の各画素201から画素信号を読み出す。
次に、露光終了期間602で機械式シャッタ131を閉じて、露光を終了(停止)する。
露光終了後、有効画素部101のラインを順次選択して、TXパルスを発行することにより、有効画素部101の各画素201から画素信号を読み出す。
このように、読み出しライン選択部140は、露光中の互いに異なる複数のタイミングでOB画素部102から画素信号を読み出し、露光を停止した後に有効画素部101から画素信号を読み出す。
[1−2−4.報知信号の生成]
次に、表示信号生成部160における報知信号の生成動作の詳細について、図9〜図11を用いて説明する。図9は、本実施の形態における報知信号の生成動作について説明するための図である。図10は、本実施の形態における固体撮像素子100に温度変化が無い場合の報知信号の時系列変化を示す図である。図11は、本実施の形態における固体撮像素子100に温度変化がある場合の報知信号の時系列変化を示す図である。
具体的には、図9には、露光開始から経過した時間に対するOB画素部102のk行目の画素201に蓄積された暗電荷量を示すグラフと、露光開始からk*TI時間経過後にk行目の画素201から読み出された画素信号を用いて生成された報知信号に対応する柱状ゲージとが示されている。また、図10には、露光開始から経過した時間に対するOB画素部102の1〜3行目の画素201に蓄積された暗電荷量を示すグラフと、これらの行の画素201から読み出された画素信号を用いて生成された報知信号に対応する柱状ゲージとが示されている。また、図11には、露光開始から経過した時間に対するOB画素部102のk〜k+2行目の画素201に蓄積された暗電荷量を示すグラフと、これらの行の画素201から読み出された画素信号を用いて生成された報知信号に対応する柱状ゲージとが示されている。
ここで、図11に示すように、固体撮像素子100は、時刻Tip以降において、温度が上昇している。
上述したように、表示信号生成部160は、暗電流成分測定部150によって暗電荷量が測定される毎に、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差を用いて残りの露光時間を示す報知信号を生成する。具体的には、表示信号生成部160は、暗電流成分測定部150で測定された暗電荷量からユーザによって指定された最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を、報知信号として表示部180に出力する。よって、表示部180の残り時間表示ウィンドウ181bには、残りの露光時間を示す柱状ゲージ181cが表示される。
つまり、暗電流成分測定部150で測定された暗電荷量をQ(k)、ユーザによって指定された最大暗電荷量をQmaxとした場合、OB画素部102のk行目の画素201の画素信号が読み出されることにより表示された柱状グラフの長さl(k)は、以下の式で表される。
ここで、Qdark(k)は露光時間が0のときのOB画素部102のk行目の各画素201の画素信号の平均値である。このQdark(k)は、例えばTXパルスをLレベルに固定した状態で画素信号を出力させることにより取得すればよい。また、Qmaxは、Qdark(k)分は含まない。なお、Q(k)は、詳細には、出力された1水平ライン分の画素信号の平均値である。
これにより、表示部180の残り時間表示ウィンドウ181bには、暗電流成分測定部150で測定された暗電荷が増加するにつれて、高さの低くなる柱状ゲージ181cが表示される。よって、ユーザは表示された柱状ゲージ181cから残りの露光時間を直感的に認識することができる。
つまり、上述したように、表示信号生成部160(残り時間生成部)は、暗電流成分測定部150によって暗電荷量が測定される毎(本実施の形態では測定間隔TI毎)に、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差を用いて残りの露光時間を示す報知信号(残り時間情報)を生成する。また、上述したように、表示部180(報知部)は、表示信号生成部160(残り時間生成部)により報知信号(残り時間情報)が生成される毎(本実施の形態では測定間隔TI毎)に、生成された報知信号を用いて残りの露光時間をユーザに報知する。
よって、撮像装置10は、図10に示すように、露光開始から時間が経過してOB画素部102の各画素201に蓄積された暗電荷量が増加するにつれて、高さの低くなる柱状ゲージ181cを表示できるので、ユーザはリアルタイムで更新される柱状ゲージ181cから残りの露光時間を直感的に認識することができる。したがって、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを一層逃しにくくなり、適切なタイミングで露光を停止することができる。
また、固体撮像素子100の暗電流により発生する暗電荷量は、当該固体撮像素子100の温度等に依存する。よって、図11に示すように、露光中に固体撮像素子100の温度が上昇した場合、発生する暗電荷量の単位時間当たりの増加量は、温度上昇以前と比較して、大きくなる。
このような露光中に温度変化が生じた場合でも、本実施の形態に係る撮像装置10は、適切なタイミングで露光を停止することができる。これは次のような理由による。すなわち、暗電流成分測定部150は画素信号が出力される毎に暗電荷量を測定し、表示信号生成部160は暗電流成分測定部150によって暗電荷量が測定される毎に報知信号を生成する。よって、図11に示すように、柱状ゲージ181cの高さは、露光中の温度変化をリアルタイムに反映する。つまり、柱状ゲージ181cは、露光中の温度変化に追従することができる。
よって、ユーザは、発生する暗電荷量の変動に追従して、露光を停止するタイミングを調節することができる。つまり、露光中に環境変化があった場合でも、適切なタイミングで当該露光を停止できる。
[1−3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、撮像装置10は、露光中の互いに異なる複数のタイミングで画素信号を読み出して暗電荷量を測定する。これにより、露光中の環境変化による暗電荷量の変動を測定することができる。よって、適切なタイミングで露光を停止することができる。つまり、当該撮像装置のユーザは、露光を停止する適切なタイミングを容易に決定できる。
また、本実施の形態において、表示信号生成部160(残り時間生成部)は、暗電流成分測定部150によって暗電荷量が測定される毎(本実施の形態では測定間隔TI毎)に、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差を用いて残りの露光時間を示す報知信号(残り時間情報)を生成する。
このように生成された残り時間情報を用いることにより、画質の劣化を許容範囲に留めつつ、コントラストが高くなるような露光時間で撮像することが可能となる。つまり、露光を停止する適切なタイミングを容易に決定できる。
また、本実施の形態において、表示部180は、表示信号生成部160により報知信号が生成される毎に、生成された報知信号を用いて残りの露光時間をユーザに報知する。
ここで、残りの露光時間が報知されない場合、ユーザが露光中の環境変化を考慮して当該露光の停止タイミングを決定することは困難である。つまり、このような場合、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを逃す虞がある。このため、残りの露光時間を報知することによりユーザは残りの露光時間を認識することができるので、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを逃しにくくなる。
具体的には、表示部180は、暗電流成分測定部150で測定された暗電荷量からユーザによって指定された最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を示す柱状ゲージ181cを表示することにより、残りの露光時間を報知する。
このように、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を示す柱状ゲージ181cを表示することにより、ユーザは表示された柱状ゲージ181cから残りの露光時間を直感的に認識することができる。よって、ユーザは露光を停止する適切なタイミングを一層逃しにくくなる。
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例について、図12を用いて説明する。図12は、本変形例に係る撮像装置10Aの構成を示すブロック図である。
同図に示す撮像装置10Aは、実施の形態1に係る撮像装置10と比較して、暗電流成分測定部150及び露光制御部130に代わり、暗電流成分測定部150A及び露光制御部130Aを備える点が異なる。以下、撮像装置10Aについて、撮像装置10と異なる点を中心に説明する。
暗電流成分測定部150Aは、暗電流成分測定部150と比較して、さらに、測定した暗電荷量が最大暗電荷量より大きい場合に、それを示す信号を露光制御部130Aに出力する。
露光制御部130Aは、露光制御部130と比較して、さらに、暗電流成分測定部150Aで測定された暗電荷量が最大暗電荷量より大きい場合に露光を停止する。具体的には、露光制御部130Aは、暗電流成分測定部150Aから測定した暗電荷量が最大暗電荷量より大きいことを示す信号が出力された場合に、機械式シャッタ131を閉鎖して露光を終了(停止)する。
このように、本変形例において、露光制御部130Aは、暗電流成分測定部150Aで測定された暗電荷量が最大暗電荷量より大きい場合に露光を停止する。
ここで、長時間露光撮影では、露光時間は、事前又は自動的に決定されることなく、ユーザによる操作のみに依存する場合がある。このような場合、ユーザが何らかの事情で露光停止操作ができない場合、ユーザが意図した以上に暗電荷が発生する虞がある。このような暗電荷は、ユーザの意図しない画質の劣化を引き起こす虞がある。このため、本変形例に係る撮像装置10Aは、測定された暗電荷量が最大暗電荷量より大きい場合に露光を停止することにより、ユーザの意図しない画質の劣化を抑制できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について図13を用いて説明する。本実施の形態に係る撮像装置は、固体撮像素子100の露光前に、暗電荷に対応するノイズを重畳した予想画像を表示し、当該画像を確認したユーザによって最大暗電荷量が指定される。
[2−1.構成]
図13は、本実施の形態に係る撮像装置20の構成を示すブロック図である。
同図に示す撮像装置20は、実施の形態1に係る撮像装置10と比較して、暗電流測定制御部120、表示信号生成部160及び画像処理部170に代わり、暗電流測定制御部220、表示信号生成部260及び画像処理部270を備える点が異なる。以下、撮像装置20について、撮像装置10と異なる点を中心に説明する。
暗電流測定制御部220は、暗電流測定制御部120と比較してさらに、ユーザによって指定される最大暗電荷量を受け付けて、受け付けた最大暗電荷量を示す情報を表示信号生成部260へ出力する。また、固体撮像素子100の露光前に、ユーザによって指定される暗電荷量であって、ユーザが最大暗電荷量を指定するための基準となる基準暗電荷量を受け付ける。さらに、受け付けた基準暗電荷量を示す情報を画像処理部270へ出力する。
表示信号生成部260は、表示信号生成部160と比較して、報知信号を生成する際の最大暗電荷量が、暗電流測定制御部220によって受け付けられたユーザの指定となる点が異なる。つまり、実施の形態1において、最大暗電荷量は、例えば、これまでのユーザの撮影経験に基づいて設定されていた。これに対し、本実施の形態では、最大暗電荷量は、後述する予想画像をユーザが確認した上で当該ユーザによって設定される。
画像処理部270は、画像処理部170と比較してさらに、固体撮像素子100の露光前に、暗電流測定制御部220によって受け付けられたユーザが最大暗電荷量を指定するための基準となる基準暗電荷量に対応するノイズ成分をサンプル画像に重畳する。具体的には、画像処理部270は、画像記録部190に記憶されているサンプル画像データに対して当該ノイズ成分を重畳し、ノイズ成分が重畳されたサンプル画像データを表示部180に供給する。
これにより、表示部180は、基準暗電荷量に相当するノイズが重畳されたサンプル画像を予想画像として表示画面に表示する。
図14は、本実施の形態において、露光前に表示部180の表示画面181に表示される予想画像の一例である。同図の(a)には、最大暗電荷量Qmaxを小(例えば、20LSB)に設定した場合の予想画像が示され、同図の(b)には、最大暗電荷量Qmaxを中(例えば、50LSB)に設定した場合の予想画像が示され、同図の(c)には、最大暗電荷量Qmaxを大(例えば、100LSB)に設定した場合の予想画像が示されている。つまり、同図の(a)、(b)、(c)は、基準暗電荷量を、この順に小レベル、中レベル、大レベルにした場合の予想画像である。
同図に示すように、最大暗電荷量Qmaxを大きくするほど、白キズ、白浮き及びシェーディング等のノイズによって、画質が劣化する。つまり、露光時間が長くなるほど、白キズ、白浮き及びシェーディング等のノイズによって画質が劣化する。一方で、露光時間が長くなるほど、コントラストは向上する。
そこで、ユーザは、長時間露光撮影の前に、最大暗電荷量Qmaxのレベルを変えた場合の予想画像を確認することにより、長時間露光撮影における最大暗電荷量Qmaxを、被写体に応じた適切な値に設定することができる。
このように、本実施の形態における撮像装置20は、固体撮像素子100の露光前に、暗電荷に対応するノイズを重畳した予想画像を表示し、当該画像を確認したユーザによって最大暗電荷量が指定される。
これにより、ユーザは予想される画質の劣化を確認した上で、自身が取りたい画像に要求するコントラスト及び露光時間等と画質の劣化とのバランスを考慮して最大暗電荷量を指定できる。よって、ユーザにとって適切な最大暗電荷量を指定することができる。
[2−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、画像処理部270は、有効画素部101の露光前に、ユーザが最大暗電荷量を指定するための基準となる基準暗電荷量に対応するノイズ成分をサンプル画像に重畳する。また、表示部180は、有効画素部101の露光前に、当該ノイズ成分が重畳されたサンプル画像を表示する。
このように、ノイズ成分が重畳されたサンプル画像を表示することにより、ユーザは最大暗電荷量の指定前に、予想される画質の劣化を確認することができる。よって、ユーザにとって適切な最大暗電荷量を指定することができる。
なお、画像処理部270は、サンプル画像でなく、直前に被写体を撮像した画像にノイズ成分を重畳してもよい。つまり、画像処理部270は、読み出しライン選択部140の選択によって有効画素部101から出力された画素信号を用いて画像を生成し、生成した画像にノイズ成分を重畳してもよい。
つまり、表示部180に表示される画像は、撮影中の被写体の画像に、測定された暗電荷量に対応するノイズ成分が重畳された画像となる。よって、暗電流による被写体の画像の画質の劣化を確認することができる。その結果、サンプル画像にノイズ成分が重畳された画像が表示されている場合よりも、被写体に応じた適切なタイミングで露光を停止することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について、図15〜図17を用いて説明する。本実施の形態に係る撮像装置は、固体撮像素子100の露光中の暗電荷量に対応するノイズ成分が重畳された画像を露光中に表示する。これにより、ユーザは適切なタイミングで露光を停止することができる。
[3−1.構成]
図15は、本実施の形態に係る撮像装置30の構成を示すブロック図である。
同図に示す撮像装置30は、実施の形態1に係る撮像装置10と比較して、表示信号生成部160を備えず、暗電流成分測定部150及び画像処理部170に代わり、暗電流成分測定部350及び画像処理部370を備える点が異なる。以下、撮像装置30について、撮像装置10と異なる点を中心に説明する。
暗電流成分測定部350は、暗電流成分測定部150と比較して、測定した暗電荷量を示す情報を画像処理部370へ出力する点が異なる。つまり、暗電流成分測定部350は、固体撮像素子100から画素信号が出力される毎に、当該画素信号を用いて暗電荷量を測定し、測定した暗電荷量を示す情報を画像処理部370へ出力する。
画像処理部370は、画像処理部170と比較して、さらに、暗電流成分測定部350によって暗電荷量が測定される毎に、測定された暗電荷量に対応するノイズ成分をサンプル画像に重畳する点が異なる。具体的には、画像処理部370は、画像記録部190に記憶されているサンプル画像データに対して当該ノイズ成分を重畳し、ノイズ成分が重畳されたサンプル画像データを表示部180に供給する。
これにより、表示部180は、露光中に、暗電流成分測定部350で測定された暗電荷量に相当するノイズが重畳されたサンプル画像を表示画面に表示する。
図16は、本実施の形態において、露光中に表示部180の表示画面181に表示される画像の一例である。同図の(a)には、経過時間が短い場合(経過時間:小)の画像が示され、同図の(b)には、経過時間が中程度(経過時間:中)の画像が示され、同図の(c)には、経過時間が長い場合(経過時間:大)の画像が示されている。
同図に示すように、露光開始からの経過時間が長くなるほど、白キズ、白浮き及びシェーディング等のノイズによって、画質が劣化する。つまり、露光時間が長くなるほど、白キズ、白浮き及びシェーディング等のノイズによって、画質が劣化する。一方で、露光時間が長くなるほど、コントラストは向上する。
そこで、ユーザは、予想される画質の劣化を露光中に確認することにより、適切なタイミングで露光を停止できる。つまり、ユーザは、画質の劣化をリアルタイムに確認した上で、自身が取りたい画像に要求するコントラストと画質の劣化とのバランスを考慮して、適切なタイミングで露光を停止できる。
[3−2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、画像処理部370は暗電流成分測定部350によって暗電荷量が測定される毎に、測定された暗電荷量に対応するノイズ成分をサンプル画像に重畳し、表示部180は、当該ノイズ成分が重畳された画像を表示する。
このように、暗電流成分測定部350で測定された暗電荷量に対応するノイズ成分が重畳されたサンプル画像を表示することにより、ユーザは、画質の劣化を露光中に確認することができる。よって、ユーザは、適切なタイミングで露光を停止することができる。
なお、上記説明では、画像処理部370はサンプル画像にノイズ成分を重畳するとしたが、ノイズ成分を重畳する画像はこれに限らず、ユーザが過去に撮像した画像であってもよいし、現在撮影中の被写体の画像であってもよい。
つまり、読み出しライン選択部140は、露光中に有効画素部101の一部の水平ラインの画素信号を読み出してもよく、画像処理部370は、読み出しライン選択部140の選択によって有効画素部101から出力された画素信号を用いて画像を生成し、生成した画像に対して、暗電流成分測定部350で測定された暗電荷に対応するノイズ成分を重畳してもよい。
このときは、例えば、暗電荷量の測定が行われる各々の時点において、暗電荷量の測定と併せて有効画素部101の一部の水平ラインの画素信号を読み出し、各時点での被写体画像を得る。この被写体画像の画像信号を、露光開始からの経過時間に応じたゲイン値によりゲインアップすることで、各暗電荷量測定時点での有効画素部101の出力予測画像を生成する。この出力予測画像に暗電流成分測定部350によって測定された暗電荷に対応するノイズ成分を重畳する。
このような、撮影中の被写体の画像にノイズ成分が重畳された場合の表示部180の表示例を図17に示す。図17は、本実施の形態において、露光中に表示部180の表示画面181に表示される画像の他の一例である。同図の上段には、露光開始からの経過時間が異なる複数の時点における撮像画像が示され、同図の下段には、上段の撮像画像から生成された出力予測画像が示されている。
同図(a)〜(c)に示すように、各時点での撮像画像(上段)は、一定の時間間隔で読み出されるために明るさに変化がないが、この撮像画像から生成した出力予測画像(下段)においては、露光開始からの経過時間が長くなるにしたがって、被写体と背景の両方の輝度が上昇している。ここで、背景の輝度上昇は、暗電荷によるノイズ成分の増大による。被写体の輝度上昇は、各々の暗電荷量測定時点までの露光時間に対応して、撮像画像がゲインアップされていることによる。
なお、測定されたノイズ成分を重畳する画像を取得する方法は、上記のような暗電荷量の測定のたびに取得する方法に限定されない。ノイズ成分を重畳する画像は、有効画素部101への露光開始直前に例えばTIの露光時間で別途撮影された同一シーンの画像を、上記と同様に各々の暗電荷量測定時点の露光開始からの経過時間に応じてゲインアップすることで生成してもよい。
つまり、上記のとおり説明した方法によって、表示部180に表示される画像は、撮像されている被写体の画像に、測定された暗電荷量に対応するノイズ成分が重畳された画像となる。よって、暗電流による被写体の画像の画質の劣化をリアルタイムに確認することができる。その結果、サンプル画像にノイズ成分が重畳された画像が表示されている場合よりも、被写体に応じた適切なタイミングで露光を停止することができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1〜3及びその変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態1〜3及びその変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
上記説明では、報知部が表示する図形の一例として表示部180に表示される柱状ゲージ181cを説明したが、当該図形は、暗電流成分測定部によって測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を示す図形であればよい。よって、当該図形は、例えば、表示部に表示される円グラフであってもよい。
また、上記説明では、報知部の一例として表示部180を説明したが、報知部は、表示部180と別の構成であってもよく、残り時間生成部により残り時間情報が生成される毎に、生成された残り時間情報を用いて残りの露光時間をユーザに報知すればよい。このような構成を有する撮像装置を図18に示す。図18は、他の実施の形態に係る撮像装置10Bの構成を示すブロック図である。
同図に示すように、報知部180Bは画像を表示する表示部180とは別の構成の例えば、スピーカであり、残り時間生成部160Bで生成された残り時間情報を用いて残りの露光時間を音声でユーザに報知してもよい。
また、報知部は、ビューファインダとは別に設けられた表示部であってもよく、例えば、ビューファインダとは別に列状に設けられた複数のLED(Light Emitting Diode)素子であってもよく、当該複数のLED素子のうち点灯しているLED素子の数を増減することによって残りの露光時間を報知してもよい。
また、報知部は、暗電流成分測定部で測定された暗電荷量を数値として表示してもよく、当該数値を、暗電流成分測定部で暗電荷量が測定される毎に更新してもよい。また、暗電流成分測定部で測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差が最大暗電荷量に占める割合を用いて、露光残り時間を算出し、算出した露光残り時間を数値として表示してもよい。
また、上記説明では、残り時間生成部の一例として表示信号生成部160を説明したが、残り時間生成部は、暗電流成分測定部によって暗電荷が測定される毎に、測定された暗電荷量から最大暗電荷量までの差を用いて残りの露光時間を示す残り時間情報を生成すればよい。よって、残り時間生成部は、例えば、残り時間情報を生成してユーザの携帯端末に送信する通信モジュールであってもよい。
また、OB画素部102から画素信号を読み出す間隔は一定でなくてもよく、例えば、露光時間が経過するにつれて読み出し間隔を狭くしてもよい。
また、上記説明では、固体撮像素子(イメージセンサ)の一例としてCMOSイメージセンサを説明したが、固体撮像素子は、複数の画素のうち遮光された画素が複数行配置された第1画素部と、被写体からの光が入射する画素が配置された第2画素部とを含めばよい。よって、固体撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサであってもよい。
また、例えば、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は典型的には集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
また、本開示に係る撮像装置の構成は上記説明に示す構成に限らず、少なくとも、固体撮像素子100と、露光制御部130と、読み出しライン選択部140と、暗電流成分測定部150とを備えればよい。このような構成であっても、露光中の環境変化による暗電荷量の変動を測定することができる。よって、適切なタイミングで露光を停止することができる。
また、例えば、露光制御部130は、少なくとも有効画素部101を露光すればよく、OB画素部102は露光しなくてもよい。
また、読み出しライン選択部140は、行順次に画素信号を読み出さなくてもよく、1行ずつ飛ばしながら画素信号を読み出してもよい。また、読み出しライン選択部140は、同時に複数の画素行の画素201から画素信号を読み出してもよい。
つまり、このような撮像装置は、図19に示すような暗電荷測定方法を実行する。図19は、他の実施の形態における暗電荷測定方法を示すフローチャートである。なお、同図に示す処理S201〜S206はこの順に、図6に示した処理S102、処理S105〜S107、処理S110及び処理S112に相当する。
同図に示すように、このような撮像装置において実行される暗電荷測定方法は、OB画素部102の少なくとも1つの画素行を選択し、選択した画素行の各画素201から画素信号を出力する行選択ステップ(処理S203)と、行選択ステップで出力された画素信号を用いて、固体撮像素子100の暗電流により発生した暗電荷量を測定する暗電荷測定ステップ(処理S203)とを含み、行選択ステップにおいて選択する画素行を変えながら、有効画素部101の露光中に、行選択ステップ及び暗電荷測定ステップを繰り返す。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。