JP6064732B2 - 磁性酸化物焼結体、及びこれを用いた高周波磁性部品 - Google Patents

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Description

本発明は、GHz帯の高周波領域での使用に適した磁性酸化物焼結体、及びこの磁性酸化物焼結体を用いた高周波磁性部品に関する。
近年、携帯電話機や携帯情報端末等の無線通信機器の利用周波数帯域の高周波化が進行し、使用される無線信号周波数はGHz帯となっている。そこで、そのようなGHz帯の高周波領域で使用される電子部品、例えば、インダクタ、電子機器の高周波ノイズ対策用として用いられるEMIフィルタ、無線通信機器に用いられるアンテナなどに対して、GHz帯の高周波領域においても透磁率が比較的大きい磁性材料を適用することで、フィルタ特性の改善やアンテナ寸法の小型化を図る試みがなされている。
無線通信機器に用いられるアンテナを一例にあげると、無線通信機器の多機能化に伴い、GPS、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等の複数の無線方式に対応したマルチバンド・モード化が進展している。すなわち、無線通信機器に用いられるアンテナに対しては、GHz帯において広帯域で使用可能であることが要求されている。一方、無線通信機器の小型化に伴い、アンテナ自体の更なる小型化も喫緊の課題となっている。このように、近年の無線通信機器に用いられるアンテナには、GHz帯において広帯域で使用可能であること、及び小型化の両立が熱望されている。
GHz帯の広帯域でアンテナを使用することを想定した場合、材料の磁気損失tanδμが放射効率低下の原因となるため、放射効率の低下を防ぐためには、磁気損失tanδμは使用周波数範囲内で十分に小さい値、好ましくは0.01以下とすることが望まれる。一方、アンテナに用いる磁性材料の比誘電率をε、比透磁率をμとすると、真空中を伝播する電磁波の波長λに対して前記磁性材料内を伝播する電磁波の波長λはλ=λ/(ε×μ1/2で表される(波長短縮効果)ため、比誘電率εと比透磁率μとの少なくとも一方を1.0よりも大きくすることにより、λを小さくすることができ、前記磁性材料を用いたアンテナの寸法を小型化することが可能となる。
すなわち、GHz帯の高周波領域で用いられるアンテナが広帯域で使用可能であり、且つその寸法が小型化されるためには、アンテナに用いられる磁性材料の磁気損失tanδμを十分に小さい値、好ましくは0.01以下に維持しつつ、比透磁率μをできるだけ大きい値にする必要がある。
磁性材料として、金属、または合金を用いた場合、それらの抵抗率は比較的低いため、GHz帯の高周波領域において渦電流損失に起因する磁気損失tanδμが過大となり、実用に適さない。一方、抵抗率が高い磁性材料として、例えばスピネルフェライトを用いた場合でも、自然共鳴周波数f、初透磁率μ及び飽和磁化Mが、f(μ−1)=γM/(3πμ)と表される(γはジャイロ磁気定数、μは真空の透磁率)、いわゆるスネークの限界があるため、自然共鳴周波数を高周波化することが出来ず、GHz帯において1.0よりも大きい透磁率と低磁気損失を得ることはできない。
かかる技術に関し、スピネルフェライトよりも、自然共鳴周波数fを高周波化することができる六方晶フェライトを用いた例として、特許文献1には、Y型フェライトを主相として含有する六方晶フェライト、及び、それを用いたアンテナが記載されている。また、特許文献2には、本出願人らにより、Co置換型W型六方晶フェライトを主相とする磁性酸化物が、樹脂に分散されて複合化されたことを特徴とする複合磁性材料、及びそれを用いたアンテナが記載されている。さらに、特許文献3には、M型六方晶フェライトを主相として含み、且つ、平均結晶粒子径が5μm以上である、アンテナ用磁性材料、並びに、アンテナ及び無線通信機器が記載されている。
特開2009−170704号公報 特開2010−238748号公報 特開2012−190920号公報
しかし、特許文献1に記載のY型六方晶フェライトを用いても、500MHzの磁気損失tanδμが0.03程度であり、GHz帯の磁気損失tanδμはさらに大きくなると考えられることから、GHz帯の放射効率は低減し、使用可能な周波数帯域が不都合な程度に制限されてしまう。
一方、特許文献2に記載されたCo置換型W型六方晶フェライトを主相とする磁性酸化物が樹脂中に分散されて複合化されたことを特徴とする複合磁性材料を用いると、六方晶フェライトの高い結晶磁気異方性を利用することで共鳴周波数が高周波化され、さらに個々の粒子を粒子径1μm以下の単磁区粒子として樹脂中に分散させることで磁壁共鳴に伴う磁気損失tanδμが抑制されるため、2GHzにおける磁気損失tanδμの値が0.01と十分に小さい値となる。しかしながら、透磁率μ´(複素透磁率の実部)は樹脂との複合化に伴い、1.4程度の小さい値に低減され、未だ透磁率μ´の値は不十分である。
他方、特許文献3に記載されたM型六方晶フェライトを主相として含み、且つ、平均結晶粒子径が5μm以上である、アンテナ用磁性材料を用いた場合、共鳴周波数がより高周波化され、且つ、焼結体を用いることから、樹脂との複合化に伴う透磁率μ´の低減が無いため、2GHzにおいて、0.01以下の十分に小さい磁気損失tanδμを維持しつつ、透磁率μ´が1.4以上に高められる。しかし、なお2GHzにおけるμ´の値は1.7程度に留まっており、透磁率の値としてより大きい値が望まれる。
以上のように、従来技術においては、GHz帯の高周波領域において、十分高い透磁率μ´と、0.01以下の十分に小さい磁気損失tanδμを備えた高周波用の磁性材料が提供されていないという課題がある。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、GHz帯の高周波領域において十分高い透磁率μ´と十分に小さい磁気損失tanδμを備える、磁性酸化物焼結体、及びこれを用いた高周波磁性部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、特定の結晶構造を有するフェライトの組成、結晶粒径、及び結晶のアスペクト比に着目して鋭意検討を重ねた結果、上記課題に対する有効な解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による磁性酸化物焼結体は、AFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19(式中、Aは、Ba、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、2.0≦x≦6.0、0.01≦y≦0.20)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含むことを特徴とする磁性酸化物焼結体とする。
なお、上記において、「主相」とは、磁性酸化物焼結体に主たる成分(磁性酸化物焼結体全体に対する比率が、50質量%を超える成分)として含まれるものをいう。
本発明者らが、かかる構成を有する磁性酸化物焼結体の特性を測定したところ、1.5GHzにおける磁気損失tanδμは0.01以下と十分小さい値を取り、且つ透磁率μ´が2.0以上と十分大きい値を取る。さらに、前記磁性酸化物焼結体を用いて作製したアンテナは、従来のものに比して、1.5GHzにおいて有効な帯域幅及び放射効率に優れ、且つ十分に小型化が可能であることが確認された。このような有利な効果が奏される作用機構の詳細は、未だ明らかではないものの、例えば、以下のとおり推察される。但し、作用はそれらに限定されない。
上述した磁性酸化物焼結体に主相として含まれる、上記組成のM型六方晶フェライトは、六方晶のc軸方向の一軸磁気異方性が強められるため、自然共鳴周波数は高周波側へシフトする。より具体的には、自然共鳴周波数が4GHz以上であり、自然共鳴周波数未満の周波数における磁気損失tanδμは十分に抑えられることから、1.5GHzにおける磁気損失tanδμが0.01以下になったものと推察される。また、前記M型六方晶フェライトは、結晶格子中にCo2+を含むことで、前記一軸磁気異方性が効果的に緩和され、Co2+を含まないM型六方晶フェライトよりも透磁率μ´が高められ、その結果、透磁率μ´が2.0以上の大きい値となったものと推察される。
さらに、本発明の磁性酸化物焼結体における、結晶粒径の平均値とアスペクト比(結晶の長径と短径の比)の平均値の比(平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比)の値は8以上であることが好ましい。
磁化回転に関わる初透磁率μは、異方性定数をKとすると、μ∝M /Kと表され、Kが小さいほど、μをより高めることが可能となるが、結晶の異方性に関するアスペクト比が小さい場合であっても、μをより高めることが可能となる。一方、結晶粒径が小さくなると、結晶粒界などの格子欠陥の増加に起因して、μの向上は妨げられる。前記磁性酸化物焼結体の結晶粒径の平均値とアスペクト比の平均値の比(平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比)の値が8以上である場合、更なる透磁率μ´の向上が可能となる。
また、前記磁性酸化物焼結体の平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比の値は、200未満であることが好ましい。磁性酸化物焼結体の平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比の値を200未満とすることで、自然共鳴周波数は4GHz以上に保たれるため、1.5GHzにおける磁気損失tanδμを0.01以下に維持しつつ、透磁率μ´を高めることができる。
なお、本発明における「平均結晶粒径」とは、走査型電子顕微鏡にて観察した各結晶に対して、結晶の面積と同一の面積を持つ円の直径の長さ(Heywood径)を求め、それを平均した値である。
また、「平均アスペスト比」とは、各結晶に対して、結晶の長径(結晶に外接する面積が最小となる四角形の、長辺の長さ)と短径(結晶に外接する面積が最小となる四角形の、短辺の長さ)の比を求め、それを平均した値である。
また、本発明による高周波磁性部品は、本発明による前述の磁性酸化物焼結体を用いることを特徴とし、例えば、インダクタや、電子機器の高周波ノイズ対策用として用いられるEMIフィルタ、無線通信機器に用いられるアンテナとして電子機器あるいは無線通信機器内で使用される。
本発明によれば、磁性酸化物焼結体の1.5GHzにおける磁気損失tanδμを0.01以下の十分小さい値に維持しつつ透磁率μ´を2.0以上の大きい値とすることができる。したがって、本発明の磁性酸化物焼結体をインダクタ、EMIフィルタ、アンテナなどの高周波部品の材料として適用することにより、それら高周波磁性部品の特性を改善することができる。
図1は、本実施形態に係る磁性酸化物焼結体を用いて構成されるアンテナの一例を示す概念図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
[磁性酸化物焼結体]
本実施形態の磁性酸化物焼結体は、主相としてM型六方晶フェライトを含有しており、そのM型六方晶フェライトは、下記式;
AFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19 (1)
で表され、式中、Aは、Ba、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、xは2.0以上、6.0以下、yは0.01以上、0.20以下であり、好ましくは、xは2.5以上、4.5以下、yは0.03以上、0.18以下である。磁性酸化物焼結体は、xが2.0未満の場合、異方性磁界の低減効果は小さく、自然共鳴周波数は十分に高いが、透磁率μ´が小さい。一方、xが6.0よりも大きい場合、異方性磁界の低減効果が大きくなりすぎるため、自然共鳴周波数が4GHz以下となり、1.5GHzにおける磁気損失tanδμは大きい。また、yが0.01未満の場合、結晶格子中にCo2+を含むことによる一軸磁気異方性の緩和の効果が小さいため、透磁率μ´を十分に高めることができない。一方、yが0.20よりも大きい場合、磁気損失tanδμが大きくなる。
本実施形態の磁性酸化物焼結体は、M型六方晶フェライト単相であることが好ましい。しかしながら、製造過程のばらつき等により、Y型、Z型等、他の六方晶フェライト、及びFe等の異相が磁性酸化物焼結体に生成する場合がある。したがって、本実施形態に係る磁性酸化物焼結体は、M型六方晶フェライトを主相とするが、上述したような異相を含むことも許容する。ただし、異相の存在に伴ってGHz帯の高周波領域における磁気損失tanδμが増加することを防ぐため、M型六方晶フェライトの比率は95%以上とする。ここでM型六方晶フェライトの比率とは、本実施形態に係る磁性酸化物焼結体を構成する各相のX線回折におけるメインピーク(強度が最も強いピーク)の強度の和に対するM型フェライトのメインピ−ク強度の割合である。
このように組成された磁性酸化物焼結体によれば主相として含まれるM型六方晶フェライトの自然共鳴周波数が高いため、1.5GHzにおける磁気損失tanδμが十分に小さい値となり、且つ、前記M型六方晶フェライトはCo2+イオンを含むため、透磁率μ´が高められる。
また、本実施形態の磁性酸化物焼結体は、前記M型六方晶フェライトの平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比の値が8以上であることが好ましい。そのように前記M型六方晶フェライトの結晶粒を成長させることにより、磁気異方性が低減されるため、1.5GHzにおける透磁率μ´をより高めることが可能となる。
[高周波磁性部品]
本発明の磁性酸化物焼結体を用いた高周波磁性部品は優れた高周波特性を示すことから、例えば、GHz帯の高周波領域で使用されるインダクタ、EMIフィルタ、アンテナなどの高周波磁性部品に好適である。
本実施形態に係る磁性酸化物焼結体を用いて構成される高周波磁性部品の一例として、図1に無線通信機器に用いられるアンテナの概念図を示した。アンテナ1は、基体2の表面に導体3が設けられ、この導体3と電気的に接続される給電端子4とで構成される。導体3は、例えば、銅や銅合金を印刷、蒸着、貼り合わせ、あるいはメッキによって基体2の表面に設けられる。導体3の形状は、図1に示すものに限定されるものではなく、ミアンダ状、ヘリカル状等様々な形状を用いることができる。給電端子4は、導体3と外部の給電線とを電気的に接続するための端子であり、所定の給電線から供給された電圧が、その給電端子4を経由して導体3に印加される。基体2は、本実施形態に係る磁性酸化物焼結体で構成される。基体2の形状は、図1に示すような直方体が好ましいが、これに限定されるものではなく、無線通信機器に実装する際には様々な形状を用いることができる。
次に、本実施形態に係る磁性酸化物焼結体の作製方法について説明する。
本実施形態に係る磁性酸化物焼結体は、例えば、次のように作製される。まず、M型六方晶フェライト粉を作製する。所望の組成となるように原料となるBaCO、(SrCO、CaCO、)Fe、TiO、Mn、Co等を秤量し、ボールミル等の混合手段によって所定の時間配合し、配合が終了した配合粉について電気炉等を用いて適宜の温度、且つ、適宜の時間仮焼する。そして、仮焼終了後の仮焼粉を振動ミルやボールミル等の粉末作製手段で所定の時間粉砕して粉末とすることで、M型六方晶フェライト粉が完成する。
次に、このM型六方晶フェライトの焼結体を作製する。まず、作製したM型六方晶フェライト粉にPVAなどのバインダーを添加した後、スプレイドライヤー等によって造粒することにより造粒粉を得る。この造粒粉を所定の圧力でプレス機により所望の形状に成形した後、電気炉等を用いて適宜の温度、且つ、適宜の時間焼成を行い、焼結体を得る。
この焼結体の平均結晶粒径、及び平均アスペクト比は、適宜の焼成温度、焼成雰囲気で結晶成長を制御することにより、ある程度制御することができる。例えば、処理温度を高くする程、また、処理時間を長くする程、焼結体の平均結晶粒径は大きくなり、一方、平均アスペクト比は小さくなる傾向にある。また、SiO、CaCO、及びBiなどの副成分を所定の量添加することによって、結晶成長は促進し、且つ、均一化し易くなる傾向がある。平均結晶粒径は1μm〜200μmが好ましく、平均アスペクト比は1〜5であることが好ましい。
このようして作製した本実施形態の磁性酸化物焼結体は、AFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19(式中、Aは、Ba、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、2.0≦x≦6.0、0.01≦y≦0.20)で表されるM型六方晶フェライト焼結体である。
次に、上述した実施形態をより具体的に実施した実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。表1に、実施例、比較例、及び参考例に係る磁性酸化物焼結体を構成するM型フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19のx、y、結晶粒径[μm]/アスペクト比、1.5GHzにおける複素透磁率の実部μ´、磁気損失tanδμ、複素誘電率の実部ε´、誘電損失tanδε、及びアンテナの特性として小型化率[%]、帯域幅[MHz](放射効率が−3dB以上となる周波数範囲)の評価結果を示す。
Figure 0006064732
(実施例1〜27)
実施例として、炭酸バリウム(BaCO)、酸化鉄(Fe)、酸化マンガン(Mn)、酸化チタン(TiO)、酸化コバルト(Co)を原料とし、これらを表1に示す実施例1〜実施例27それぞれに対応する所定の組成となるように秤量した。そして、秤量後の原料を湿式ボールミルで水を媒体として16時間配合した後、大気中において1200℃で仮焼した。これによって得られた磁性酸化物を振動ミルで10分間乾式粉砕した後、湿式ボールミルで水を媒体として24時間粉砕し、粉砕後の磁性酸化物を150℃で24時間乾燥させて、磁性酸化物の粉末を作製した。この磁性酸化物は、M型六方晶フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19(2.0≦x≦6.0、0.01≦x≦0.20)を主成分とする。
次に、この磁性酸化物粉末にバインダーとしてPVAを添加して造粒することにより造粒粉を得た。この造粒粉をプレス機により所定の圧力(100MPa)で成形してから、酸素雰囲気中において所定の温度(1250℃〜1380℃)で所定の時間(2時間)焼成して磁性酸化物焼結体を作製した。
(比較例1〜11)
比較例として、M型六方晶フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19を主成分としながら、xの範囲が2.0≦x≦6.0から逸脱する磁性酸化物焼結体(比較例1〜比較例3、及び比較例9〜比較例11)、また、yの範囲が0.01≦x≦0.20から逸脱する磁性酸化物焼結体(比較例4〜比較例8)を、上記の実施例と同様にして作製した。
(参考例1)
参考例として、CaTiOを主成分とする誘電体粉を原料粉末として用いた酸化物焼結体(参考例1)を、上記の実施例と同様にして作製した。
(平均結晶粒径/平均アスペクト比)
フッ酸でエッチング後の焼結体試料表面を走査型電子顕微鏡にて観察し、平均結晶粒径、及び平均アスペクト比を、それぞれN=150個の結晶の結晶粒径の平均、及びアスペクト比の平均から求めた。その際に、各結晶に対して結晶の面積と同一の面積を持つ円の直径の長さを結晶粒径とし(Heywood径)、結晶の長径(結晶に外接する面積が最小となる四角形の、長辺の長さ)と短径(結晶に外接する面積が最小となる四角形の、短辺の長さ)の比をアスペクト比とした。
(複素透磁率(μ′、tanδμ)・複素誘電率(ε′、tanδε))
調製した各原料粉末の焼結体からリング状試料(外径7mm×内径3mm×厚さ1〜2mm)を各々成形加工し、得られた各リング状試料の室温25℃における複素透磁率の実部μ′、虚部μ″、及び、磁気損失tanδμ、また、複素誘電率の実部ε′、虚部ε″、及び、誘電損失tanδεを、ネットワークアナライザ(Agilent社製:HP8510C)を用いて測定したSパラメーターの結果から導出した。
(アンテナ特性(帯域幅、小型化率))
調製した各原料粉末の焼結体から直方体ブロック状試料を各々成形加工し、得られた各直方体ブロック状試料の表面に電極を形成して(それぞれの試料によって電極パターンを適宜調整した)、図1に示すものと略同等の構成を有する、高さ3mm、幅4mm、長さLmmの各チップ型アンテナを作製した。得られたチップ型アンテナをそれぞれ平面基板に実装し、電極の一端を給電電極に接続した状態で、小型3D放射指向性測定機(SATIMO社製:STARLAB)を用いて測定した放射効率から、帯域幅(放射効率が−3dB以上となる1.5GHzを中心とした周波数の範囲)を評価した。また、小型化率は、1.5GHzで反射損失のピークを有するようにLの値を各々求め、参考例1のLの値を基準値とした相対評価とした。すなわち、小型化率は、参考例1のアンテナと比較して、どの程度アンテナの長さが小さくなるかを表す。
表1の結果から分かるように、実施例1〜実施例27に係る磁性酸化物焼結体を用いて作製されたアンテナは、いずれも1.5GHzにおける帯域幅が、参考例1に係る酸化物焼結体を用いて作製された、従来の誘電体アンテナにおいて示される値(38MHz)よりも大きい値を維持し、且つ、アンテナの小型化率が25%以上となっている。これらの磁性酸化物焼結体は全て、磁性酸化物焼結体を構成するM型フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19のx、及びyが、2.0≦x≦6.0、0.01≦y≦0.20の範囲にあるため、1.5GHzにおける磁気損失tanδμが0.01以下となり、且つ複素透磁率の実部μ′が2.0以上となることから、十分な帯域幅を維持しつつ波長短縮効果によるアンテナの小型化が達成できたものと考えられる。
また、実施例7〜実施例9、実施例12〜実施例15、及び、実施例18〜実施例20に係る磁性酸化物焼結体は、いずれもアンテナの小型化率が40%以上となっており、他の実施例におけるアンテナの小型化率と比して大きな値となっている。これらの実施例に係る磁性酸化物焼結体は、磁性酸化物焼結体を構成するM型フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19のx、及びyが、2.5≦x≦4.5、0.03≦y≦0.18の範囲にあるため、複素透磁率の実部μ′が3.0以上となることから、波長短縮効果によるアンテナの小型化の効果が、より顕著に現れたことが原因と考えられる。
さらに、実施例2、実施例4、実施例6、実施例11、実施例14、実施例17、実施例23、実施例25、及び、実施例27に係る磁性酸化物焼結体は、いずれも、各々の同一組成のものに比して、帯域幅についてはほぼ違いが無い一方、アンテナサイズの小型化率は増大し、小型化率が30%以上となっている。これらの実施例に係る磁性酸化物焼結体は、磁性酸化物焼結体を構成するM型フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19の平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比の値が8以上であるため、透磁率μ´がより高められたことから、波長短縮効果によるアンテナの小型化の効果が、より顕著に現れたことが原因と考えられる。
比較例1〜比較例11に係る磁性酸化物焼結体は、いずれも、アンテナの小型化率が小さく、14%以下となっている。これらの磁性酸化物焼結体は全て、磁性酸化物焼結体を構成するM型フェライトBaFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19のx、またはyが、2.0≦x≦6.0、0.01≦x≦0.20の範囲から逸脱するため、1.5GHzにおける複素透磁率の実部μ′が2.0よりも小さくなることから、波長短縮効果によるアンテナの小型化の効果が、抑制されたことが原因と考えられる。
以上説明したとおり、本発明の磁性酸化物焼結体によれば、特定のM型六方晶フェライトを主相として含むことにより、GHz帯の高周波領域において、磁気損失tanδμを十分に小さい値に維持しつつ、透磁率μ′を大きい値にすることで、高周波磁性部品の特性を改善することができる。そのため、本発明による磁性酸化物焼結体、及びこれを用いた高周波磁性部品は、例えば、GHz帯の高周波信号を対象とするアンテナにおける広帯域化及び小型化、また、インダクタにおけるQ値向上及び小型化などに利用することができる。
1 アンテナ
2 基体
3 導体
4 給電端子

Claims (3)

  1. AFe12−x(Ti0.5Mn0.5−yCo19(式中、Aは、Ba、Sr、及びCaからなる群より選択される少なくとも一種であり、2.0≦x≦6.0、0.01≦y≦0.20)で表されるM型六方晶フェライトを主相として含む、磁性酸化物焼結体。
  2. 前記磁性酸化物焼結体における、結晶粒径の平均値とアスペクト比(結晶の長径と短径の比)の平均値の比(平均結晶粒径[μm]/平均アスペクト比)の値が8以上であることを特徴とする、請求項1に記載の磁性酸化物焼結体。
  3. 前記請求項1、及び2のいずれかに記載の磁性酸化物焼結体を用いることを特徴とする高周波磁性部品。
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