JP6064067B1 - 回転体のストッパ - Google Patents
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Abstract
Description
キャスタを装着した場合には、例えば、装着した台車が荷物の積み降ろし時等に不測の動き出しを起こすことのないよう、キャスタを回転不能状態に拘束するストッパを設けることが多い。このようなストッパとしては、キャスタ又はそれに固着された回転体に摩擦板等を押し付けて回転不能とするもの、あるいは、多数の凹凸部を備えた歯車状の掛止め部材をキャスタに固着し、掛止め部材に固定側部材を噛み合わせて回転不能に固定するものなどが知られている。
複数の楔形の空間部SPは、隣接する空間部SPにおいて距離Xの周方向の変化が逆となるように設定されており、隣接する空間部SPが一対の組み合わせ空間部PSPをなしている。組み合わせ空間部PSPは回転体RBの外周に周方向に間隔を置いて3組配置されている。そして、一組の組み合わせ空間部PSPには、板ばねSによる押圧に抗して一対の転動体REを距離Xが増大する方向に相互に移動させる操作手段MMが設置されている。操作手段MMは、一対の転動体REの各々に当接する一対の押圧片PP、この一対の押圧片PPの中央に置かれた楕円形状のカム体CB、及びカム体CBに固着されたレバーLを備えている。
この状態では、操作手段MMが設置された一組の組み合わせ空間部PSPにおいては、設置された転動体(ローラー)REは、板ばねSにより押圧されて距離Xの減少する方向への移動が可能となる。そのため、回転体RBが回転しようとしたときは、ローラー型の一方向クラッチと同様に、回転体RBの回転方向に応じていずれか一方の空間部SP内で、板ばねSにより押圧された転動体REが直ちにハウジングHGのカム面CSと回転体RBとの間に噛み込むこととなる。他の組み合わせ空間部PSPおいても、回転体RBが回転しようとする方向に応じて、いずれか一方の空間部SP内で転動体REの噛み込みが生じる。これにより、回転体RBが正転するときも逆転するときも、組み合わせ空間部PSPを構成する一対の空間部SPのいずれかに設置された転動体REが噛み込み、回転体RBは停止状態となる。
これにより、操作手段MMが設置された組み合わせ空間部PSPにおいては、各々の転動体REが押圧片PPによって板ばねSに抗して距離Xが増大する方向に各々の空間部SP内を移動させられ、転動体REのカム面CSと回転体RBとの間での噛み込みが解除される。このとき、転動体REの噛み込みにより図の上方に撓んでいた回転体RBは、操作手段MMが設置された組み合わせ空間部PSPに向かって僅かに変位するため、操作手段MMが設置されていない組み合わせ空間部PSPにおいては、転動体REの噛み込み作用に必要な反力が喪失して、やはり転動体REと回転体RBとの間の噛み込みが解除される。従って、回転体RBは、正・逆どちらの回転方向であっても自由に回転可能な状態となる。
また、図8のストッパにおいては、全ての転動体(ローラー)REの噛み込みを解除するために回転体RBの僅かな変位が必要となるが、組合せ空間部PSPが周方向に多数配置されている場合には、回転体RBが多数の個所で拘束される形となり、操作手段MMが設置された一組の組み合わせ空間部PSPにおける転動体(ローラー)REの噛み込みを解除しても、回転体RBの変位が生じにくくなる。そのため、周方向に配置した組合せ空間部PSPの数を多くして、回転体RBを停止状態に維持可能な最大トルク、即ち、ロックトルクを増大することが困難となる。
「回転体を回転可能な状態と停止状態とに切り換えるストッパであって、
前記回転体の外周を取り囲んで設置された固定部材を備え、
前記固定部材には、前記回転体の外周との距離が周方向に変化するカム面の形成された複数の空間部が設けられ、前記複数の空間部は、隣接する空間部において前記距離の増大する方向が相互に逆となるように設定されて、隣接する空間部が一対の組み合わせ空間部をなし、前記組み合わせ空間部が、複数、前記回転体の外周に配置され、
前記空間部の各々には、前記距離が減少する方向にばねにより押圧された転動体と、前記転動体を前記距離が増大する方向に移動させる押圧片とが設置され、さらに、
前記押圧片を同時に作動させる操作手段を備え、前記操作手段が操作されないときは、前記転動体が前記カム面と前記回転体との間に噛み込んで、前記回転体を停止状態にすると共に、前記操作手段が操作されたときは、前記転動体の噛み込みを解除して、前記回転体を回転可能状態とする」
ことを特徴とするストッパとなっている。
操作手段を働かせないとき(即ち、操作手段を操作しないとき)は、全ての転動体がばねによって空間部の噛み込み方向に押されることとなり、この状態は、ローラー型の一方向クラッチにおいてローラーが噛み込み方向に押されている状態と同様である。本発明のストッパでは、隣接する空間部において前記距離の増大する方向が相互に逆となるように設定されて、隣接する空間部が一対の組み合わせ空間部をなしているので、組み合わせ空間部を構成する一対の空間部の一方に設置された転動体が回転体の正回転で噛み込み、他方に設置されたものが逆回転で噛み込むようになり、回転体がどちらの方向に回転してもロックされて停止する結果となる(後述の図1−2(b)参照)。
ここで、本発明のストッパにおいては、噛み込みを解除するよう転動体(ローラー)を移動させる押圧片が各々の空間部に設置してあり、回転体を回転可能状態とする際に、全ての押圧片が同時に作動される。図8に示すストッパのように、複数の組み合わせ空間部の内の一組だけに設置された押圧片を作動するものではないので、噛み込み解除に伴い回転体の中心が特定の方向に変位することはない。そのため、例えば、回転体の両端にベアリングを配置して中心軸を定位置に保持するようにした回転体に対しても、本発明のストッパを適用することが可能となる。
また、回転体の周囲に置かれる組み合わせ空間部の数を増大しても、回転体が変位することなく、転動体の噛み込みの解除が可能となる。したがって、回転体の外周に多数の組み合わせ空間部を設け、回転体に噛み込ませる転動体の数を増すことにより、回転体を停止状態に維持可能なロックトルクを増大することが容易となる。
空間部21の各々には、ばね5によって距離Xが減少する方向(噛み込み方向)に押圧された転動体(ローラー)6が設置してある。こうした構造はローラー型の一方向クラッチと同様であるが、本発明のストッパでは、噛み込み方向が逆となった一対の組み合わせ空間部23に転動体6が設置されるため、回転体3は、回転方向にかかわらず転動体6の噛み込みによりロックされることとなる。本実施例においては、ばね5は板ばね、転動体6は円柱形状のローラーであるが、所望ならば、ばね5はコイルスプリング等適宜の付勢手段、転動体6は球形状のものであってもよい。
一対の作動部材8、8´は、転動体6の噛み込みを解除して回転体3を回転可能な状態に切り換えるための操作手段4の一部をなす。操作手段4には、一対の作動部材8、8´の各々の相対的角度位置を変化させる3個のカム体9、及び、カム体9の姿勢を変更するための変更部材10も含まれる。
ハウジング1は、断面が略円形である筒状の周壁11を有し、周壁11の内側はその軸線方向中間位置において円板形状の仕切り壁12によって第一の領域1Aと第二の領域1Bとに仕切られている(図4(a)を参照)。仕切り壁12には、円形の中央穴13が形成されている。仕切り壁12には更に、中央孔13よりも幾分半径方向外方において周方向に等角度間隔をおいて3個の円弧状の窓14が形成されており、半径方向に見て窓14の各々と周壁11の内周面との間には小穴15も形成されている。
仕切り壁12の第二の領域1B側の面には、矩形形状の壁16が周方向に等角度間隔をおいて3個配設されている。壁16の各々は、周方向に隣接する窓14の間において、壁16の半径方向内側端が中央孔13の外周よりも半径方向外方に、壁16の半径方向外側端が周壁11の内周面より半径方向内方に位置するように配置されている。また、第一の領域1Aにおける周壁11の内周面には、軸線方向に延在する突条17が周方向に等角度間隔をおいて3個形成されている。さらに、ハウジング1の第二の領域1Bは蓋部材18(図2を参照)によってシールドされ、蓋部材18には小穴19が周方向に等角度間隔をおいて3個形成されている。
空間部21の外周面である筒壁24の内周面は、回転体3の外周との距離Xが周方向に変化するカム面22となっている。複数の空間部21は、隣接する空間部21において距離Xの増大する方向が相互に逆となるように設定されており(図3も参照)、隣接する空間部21が一対の組み合わせ空間部23をなしている。図示の実施例においては、各々の空間部21におけるカム面22の距離Xは、壁部27に近い側が遠い側よりも大きく設定され、各々の組み合わせ空間部23を構成する一対の空間部21は周方向に相互に接続されている。一対の組み合わせ空間部23は周方向に等角度間隔をおいて3個配置されている。
本実施例のストッパでは、回転体3を中空の管状としてキャスタなどの回転軸を挿入しているが、キャスタなどの回転軸を回転体3とし、その回転軸に直接転動体(ローラー)6を接触させてストッパを構成できるのは、勿論である。
一対の作動部材8、8´は、外側リング状部81、81´と、外側リング状部81、81´の内周面から半径方向内側に向かって延びる3個のスポーク部82、82´と、スポーク部82、82´の各々の半径方向内側端が接続される内側リング状部83、83´とを有している(図5(a)及び(b)を参照)。各々のスポーク部82、82´には、周方向に一つおきの空間部21に設置される棒状の押圧片7が固着される。一対の作動部材8、8´は、ほぼ同一の形状となっており、軸線方向に重ねて設置される。
一対の作動部材8、8´は、作動部材8が作動部材8´よりも第一の領域1A側に位置するようにして組み合わされた状態で、スポーク部82、82´に固着された押圧片7を仕切り壁12に形成された窓14に挿通させ、押圧片7が空間部21の所定位置(即ち転動体6と隣接する位置)に到達するようにして設置される。
一対の作動部材8、8´が設置されると、周方向に隣接して位置する一対のスポーク部82、82´が夫々ハウジング1の第二の領域1B内において、周方向に隣接する壁16の間に位置することとなる。このとき、スポーク部82、82´とハウジング1の壁16との間には周方向に弾性力を付与するばね体84を設置し、作動部材8、8´の内の一方がばね体84によって周方向片側に押圧されると共に、作動部材8、8´の内の他方が周方向他側に押圧されるようにする。これにより、変更部材10を操作する際の所謂節度感が良好なものになる。
変更部材10は、作動部材8´の内側リング状部83´の一部が駆動歯車102の内側に形成された穴部に挿入されて内側ステップ部104と面接触すると共に、外側ステップ部103が蓋部材18と面接触することで回転可能に支持される。
操作手段4が一方向に操作された状態、即ち、変更部材10が図1−2(b)のA−A断面図において時計方向に回転された状態(操作手段4が操作されていないOFF状態)、においては、図1−2(b)のB−B断面図に示すとおり、全ての長円カム91はその短径が周方向と合致している。これにより、各々の長円カム91を挟んで周方向に隣接するスポーク部82、82´は相互に近接することとなり、図1−2(b)のC−C断面図に示すとおり、組み合わせ空間部23を構成する一対の空間部21に設置された一対の押圧片7も相互に近接する。つまり、押圧片7は、空間部21内において距離Xが最小となる場所に位置し、転動体6はばね5によって距離Xが減少する方向に押圧される。したがって、全ての転動体6は、カム面22と回転体3の外周面との間で噛み込みを生じ、回転体3は停止状態となる。
まず、図6に示す第1の変形例のストッパは、図1の実施例のストッパにおいて周方向に3個配置しているカム体9を1個のみとし、この1個のカム体9によって一対の作動部材8a、8a´の相対的角度位置を変化させて、回転体2の停止状態と回転可能な状態とを切り換えるものである。図6の第1の変形例では、ハウジングの壁16と作動部材8a、8a´との間に置かれるばね体84を2個に限定することができるとともに、図8のストッパで用いられている操作レバーと同様なレバーをカム体9に固着して、切り換え用の操作手段とすることができる。
駆動カム91aには歯車9aが固着され、歯車9aは、図1の実施例の駆動歯車と同様な歯車により同時に回動される。この駆動カム91aの姿勢を変更することにより、転動体が回転体に噛み込む停止状態(図7(a)に示すOFF状態)と、噛み込みが解除される回転可能状態(図7(b)に示すON状態)とを切り換えることができる。
2:固定部材
21:空間部
22:カム面
23:組み合わせ空間部
3:回転体
4:操作手段
5:ばね
6:転動体(ローラー)
7:押圧片
8、8´:作動部材
9:カム体
91:長円カム
10:変更部材
Claims (6)
- 回転体を回転可能な状態と停止状態とに切り換えるストッパであって、
前記回転体の外周を取り囲んで設置された固定部材を備え、
前記固定部材には、前記回転体の外周との距離が周方向に変化するカム面の形成された複数の空間部が設けられ、前記複数の空間部は、隣接する空間部において前記距離の増大する方向が相互に逆となるように設定されて、隣接する空間部が一対の組み合わせ空間部をなし、前記組み合わせ空間部が、複数、前記回転体の外周に配置され、
前記空間部の各々には、前記距離が減少する方向にばねにより押圧された転動体と、前記転動体を前記距離が増大する方向に移動させる押圧片とが設置され、さらに、
前記押圧片を同時に作動させる操作手段を備え、前記操作手段が操作されないときは、前記転動体が前記カム面と前記回転体との間に噛み込んで、前記回転体を停止状態にすると共に、前記操作手段が操作されたときは、前記転動体の噛み込みを解除して、前記回転体を回転可能状態とすることを特徴とするストッパ。 - 前記複数の組み合わせ空間部が、前記回転体の外周に均等な間隔で配置されている請求項1に記載のストッパ。
- 前記操作手段は、前記回転体の中心軸の周りを回動する一対の作動部材と、前記一対の作動部材の各々の相対的角度位置を変化させるカム体と、前記カム体の姿勢を変更させる変更部材とを備えており、
前記一対の作動部材の各々には、前記回転体の周方向に一つおきの前記空間部に設置された前記押圧片の全てがそれぞれ固着されている、請求項1又は2に記載のストッパ。 - 前記複数の組み合わせ空間部の各々に対して前記カム体が備えられるとともに前記カム体の各々には歯車が固着されており、
前記変更部材が、前記歯車と噛み合い前記回転体の中心軸の周りを回転する駆動歯車を有する請求項3に記載のストッパ。 - 前記組み合わせ空間部に設置される一対の前記押圧片が、一体化された駆動カムとして形成され、前記組み合わせ空間部のそれぞれに前記駆動カムが設けられており、かつ、全ての前記駆動カムの姿勢を同時に変更させる変更部材が設けられ、全ての前記転動体を前記距離が増大する方向に移動させる請求項1又は2に記載のストッパ。
- 前記駆動カムの各々には歯車が固着され、
前記変更部材が、前記歯車と噛み合い前記回転体の中心軸の周りを回転する駆動歯車を有する請求項5記載のストッパ。
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