JP6061710B2 - 樹脂被覆装置 - Google Patents

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本発明は、レーザ加工前のウェーハの上面を水溶性樹脂で被覆する樹脂被覆装置に関する。
半導体デバイスの製造工程においては、ウェーハの表面に格子状にストリートが形成され、ストリートによって区画された領域にIC、LSI等のデバイスが形成される。ウェーハは、格子状のストリートに沿って縦横に分離されて個々のデバイスに分割される。ウェーハをストリートに沿って分割する方法としては、チッピングの低減等の理由としてレーザ加工によって分割する方法も採用されている。ところが、レーザ光がウェーハ表面に照射されると、ウェーハの溶融で生じたデブリと呼ばれる飛沫が飛散して、デバイスの表面に付着して品質を低下させるという問題がある。
そこで、本出願人は、飛散したデブリがデバイスに直接付着するのを防止するために、ウェーハの表面を水溶性樹脂で被覆した状態でレーザ光を照射することを見出した(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の加工方法では、ウェーハが保護テープを介して環状フレームに支持されており、この状態のウェーハに水溶性樹脂が滴下され、いわゆるスピンコート法によってウェーハ表面が水溶性樹脂で均一に被覆される。しかしながら、環状フレームがウェーハの外周側にあるため、スピンナーテーブルの回転によってウェーハに滴下された水溶性樹脂が環状フレームの上面に付着していた。
このため、環状フレームに水溶性樹脂が付着した状態で以降の工程に進むと、搬送機構によるウェーハの搬送時に、吸着パッドが水溶性樹脂を介して環状フレームに接着されて離れなくなるという不具合がある。そこで、ウェーハに対する水溶性樹脂の塗布後に、環状フレームの上面に洗浄水を噴射すると共に、スピンナーテーブルを回転させて、環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を除去するフレーム洗浄を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−322168号公報 特開2007−73670号公報
特許文献2に記載のフレーム洗浄においては、スピンナーテーブルを高速回転させなければ、洗浄水に十分な遠心力が作用せず、ウェーハの上面に洗浄水が飛散するおそれがある。このため、樹脂膜を厚くしたい場合のように、水溶性樹脂の塗布後にスピンナーテーブルを高速回転できない場合には、飛散した洗浄水によってウェーハに塗布された水溶性樹脂が部分的に剥離され、後工程のレーザ加工においてデブリの付着によるデバイスの品質悪化を招くおそれがあった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、環状フレームの洗浄時にウェーハへの洗浄水の飛散を抑えて、ウェーハの上面を水溶性樹脂で良好に被覆することができる樹脂被覆装置を提供することを目的とする。
本発明の樹脂被覆装置は、保護テープを介して環状フレームと一体となったウェーハの上面を水溶性樹脂で被覆する樹脂被覆装置であって、保護テープを介して環状フレームと一体になったウェーハを保持して回転するスピンナーテーブルと、該スピンナーテーブルに保持されたウェーハに水溶性樹脂を滴下する水溶性樹脂ノズルと、該スピンナーテーブルに保持された該環状フレームに洗浄水を噴射する洗浄水供給手段と、ウェーハと該環状フレームの間である作用位置及びスピンナーテーブルから離反した非作用位置に移動可能に配設され且つ該作用位置においてウェーハと該環状フレームの間を仕切るエアーカーテンを生成するエアーカーテン生成手段とを備え、該環状フレームを洗浄する際には、該エアーカーテン生成手段は該作用位置に位置付けられウェーハと該環状フレームの間に洗浄水の流れを遮断するエアーカーテンを生成した状態で、該エアーカーテンによりウェーハ側と仕切られた該環状フレームの上方に該洗浄水供給手段を位置付け該洗浄水を噴射するとともに該スピンナーテーブルを回転させて該環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を洗浄除去することを特徴とする。
この構成によれば、環状フレームに洗浄水が噴射され、スピンナーテーブルの回転によって環状フレーム上に洗浄水の流れが形成されることで、環状フレームに付着した水溶性樹脂が洗浄除去される。このとき、ウェーハと環状フレームとの間がエアーカーテンによって仕切られた状態でフレーム洗浄されるため、洗浄水がウェーハ側に飛散することがない。よって、ウェーハに塗布された水溶性樹脂の部分的な剥離が抑えられ、後工程のレーザ加工においてデバイスにデブリが直に付着することがなく、デバイスの品質悪化を防止することができる。また、環状フレームが良好に洗浄されるので、吸着パッドで環状フレームを吸着して搬送する際にも、水溶性樹脂による不具合が生じることがない。
また、本発明の上記樹脂被覆装置は、該エアーカーテン生成手段はウェーハ外径より大きく該環状フレームの内周縁より小さい径のリング状のエアーカーテンを生成するエアー噴出孔を備え、該環状フレームを洗浄する際には、該エアーカーテン生成手段は該作用位置に位置付けられウェーハの外周で且つ該環状フレームの内周内側を囲繞してリング状のエアーカーテンが生成された状態で、該環状フレーム上方に該洗浄水供給手段を位置付け洗浄水を噴射するとともに該スピンナーテーブルを回転させて該環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を洗浄除去する。
また、本発明の上記樹脂被覆装置は、該エアーカーテン生成手段は、該環状フレームの外周を囲繞するリング状のエアーカーテンを生成するエアー噴出孔を更に備え、該環状フレームを洗浄する際には、該環状フレームの内周及び外周を囲繞してリング状のエアーカーテンが生成された状態で、該環状フレーム上方に該洗浄水供給手段を位置付け洗浄水を噴射するとともに該スピンナーテーブルを回転させて該環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を洗浄除去する。
本発明によれば、ウェーハと環状フレームとの間をエアーカーテンで仕切った状態で環状フレームに洗浄水を供給することで、ウェーハに塗布された水溶性樹脂の部分的な剥離を抑えて、ウェーハの上面を水溶性樹脂で良好に被覆することができる。
第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置の斜視図である。 第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置によるフレーム洗浄時の斜視図である。 第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置の動作説明図である。 第2の実施の形態に係るエアーカーテン生成手段を下方からみた斜視図である。 第2の実施の形態に係る樹脂被覆装置の洗浄動作の説明図である。 第2の実施の形態の変形例に係る樹脂被覆装置の洗浄動作の説明図である。
以下、添付の図面を参照して、本実施の形態に係る樹脂被覆装置について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置の斜視図である。図2は、第1の実施の形態に係るフレーム洗浄時の斜視図である。なお、第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置は、図1に示す構成に限定されない。樹脂被覆装置は、ウェーハと環状フレームとの間をエアーカーテンで仕切りながらフレーム洗浄する構成を備えれば、どのような構成でもよい。
図1に示すように、樹脂被覆装置1は、スピンコート法によってウェーハWの上面を水溶性樹脂で被覆した後、ウェーハWの周囲の環状フレームFをフレーム洗浄するように構成されている。ウェーハWは、シリコンウェーハ、ガリウムヒソ等の半導体ウェーハで円板状に形成されている。ウェーハWは、格子状に配列されたストリートによって複数の領域に区画され、この区画された領域にIC、LSI等の各種デバイスDが形成されている。また、ウェーハWは、表面を上向きにした状態で、環状フレームFに張られた保護テープTに貼着されている。
なお、本実施の形態においては、ウェーハWとして半導体ウェーハを例に挙げて説明するが、この構成に限定されるものではない。ウェーハWは、保護テープTを介して環状フレームFと一体となったものであればよく、例えば、半導体製品のパッケージ、セラミック、ガラス、サファイア(Al2O3)系の無機材料基板、各種電気部品やミクロンオーダーの加工位置精度が要求される各種加工材料をウェーハWとしてもよい。
樹脂被覆装置1は、円筒状の周壁部21と底壁部22とからなる有底筒状のケーシング2を有している。ケーシング2内には、ウェーハWを保持して回転するスピンナーテーブル3が収容されている。スピンナーテーブル3の周囲には、水溶性樹脂ノズル4、洗浄水供給手段5、エアーカーテン生成手段6が設けられている。スピンナーテーブル3は、ウェーハWの環状フレームFよりも大径に形成されており、多孔質材料で吸着チャックが形成されている。吸着チャックはスピンナーテーブル3の管路を通じて吸引源に接続され、吸着チャックに生じる負圧によって保護テープTを介してウェーハWを吸引保持する。
水溶性樹脂ノズル4は、スピンナーテーブル3の上方で水平に延在する水平部41と、水平部41の基端から下方に延びる垂直部42とで側面視略L字状に形成されている。水平部41の先端には、水溶性樹脂を滴下する供給ヘッド43が設けられている。また、水溶性樹脂ノズル4は、スピンナーテーブル3の上方で旋回可能なようにケーシング2に支持されている。水溶性樹脂ノズル4は、ケーシング2内の管路を通じて供給源(不図示)に接続され、供給ヘッド43からウェーハWの表面中央に水溶性樹脂を滴下する。そして、スピンナーテーブル3の回転に伴う遠心力によってウェーハWの上面全域に樹脂膜11(図2参照)が形成される。
この場合、ウェーハWの表面が樹脂膜11で被覆されるため、後工程のレーザ加工時には、ウェーハの溶融で生じたデブリが直にウェーハWの表面に付着することがない。なお、水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)等がウェーハWに滴下される。なお、水溶性樹脂には、レーザ波長の光を吸収する吸収剤を添加することが好ましい。これにより、レーザ加工時にウェーハWの加工と共に樹脂膜11も同時に除去されるため、ウェーハWの熱分解物の蒸気等によって樹脂膜11がウェーハWの表面から剥離することが防止される。
樹脂被覆装置1では、水溶性樹脂ノズル4による樹脂膜形成後に、洗浄水供給手段5によるフレーム洗浄が実施される。ケーシング2内には、水溶性樹脂ノズル4と同様に、洗浄水供給手段5及びエアーカーテン生成手段6が旋回可能に設けられている。洗浄水供給手段5は、スピンナーテーブル3の上方で水平に延在する水平部51と、水平部51の基端から下方に延びる垂直部52とで側面視略L字状に形成されている。水平部51の先端には、洗浄水を噴射する供給ヘッド53が設けられている。洗浄水供給手段5は、ケーシング2内の管路を通じて供給源(不図示)に接続され、供給ヘッド53から環状フレームFに洗浄水を噴射する。
エアーカーテン生成手段6は、長尺板状の噴射プレート61と、噴射プレート61の基端から下方に延びる垂直部62とで側面視略L字状に形成されている。噴射プレート61は、スピンナーテーブル3の上方で縦向き姿勢で水平に延在しており、延在方向の途中で僅かに屈曲して形成されている。噴射プレート61の下面には、噴射プレート61の延在方向に並んで多数のエアー噴出孔(不図示)が形成されている。エアーカーテン生成手段6は、ケーシング2内の管路を通じてエアー供給源63に接続され、多数のエアー噴出孔からエアーが噴射されることでエアーカーテンC1を生成する(図2参照)。
図2に示すように、樹脂被覆装置1のフレーム洗浄時には、エアーカーテン生成手段6の噴射プレート61が環状フレームFとウェーハWとの間に位置付けられる。この場合、噴射プレート61は、環状フレームFの一部を横切るようにして環状フレームFとウェーハWとの間で延在している。噴射プレート61からエアーが噴射されることで、環状フレームFとウェーハWとの間を仕切るようにエアーカーテンC1が生成される。この状態で、環状フレームFの上方に洗浄水供給手段5の供給ヘッド53が位置付けられ、供給ヘッド53から洗浄水を供給させながらスピンナーテーブル3が回転されてフレーム洗浄される。
フレーム洗浄では、スピンナーテーブル3の回転によって環状フレームF上に洗浄水の流れSが形成される。洗浄水は、洗浄水供給手段5の供給ヘッド53の噴射位置を上流とし、エアーカーテン生成手段6の噴射プレート61が環状フレームFに跨る下流に向かって流れている。この環状フレームF上の洗浄水の流れSによって、ウェーハWの樹脂塗布によって環状フレームFに付着した水溶性樹脂が洗浄される。このとき、ウェーハWと環状フレームFとの間がエアーカーテンC1によって仕切られているため、洗浄水がウェーハW上に飛散することがない。
また、洗浄水の流れSの下流では、エアーカーテンC1によって環状フレームFの一部が斜めに仕切られている。この位置では、環状フレームF上の洗浄水の流れSがエアーカーテンによって遮断されることで、一部の洗浄水がせき止められると共に、洗浄水に乱流が生じて環状フレームFの洗浄効率が高められる。また、環状フレームFから流れ落ちた洗浄水は、ケーシング2に設けられたドレインパイプ(不図示)を通って排水される。このように、洗浄水がエアーカーテンC1の内側に入ることなく排出されるため、ウェーハWの樹脂膜11が部分的に剥離することがなく、後工程のレーザ加工におけるデバイスDへのデブリの付着が抑制される。
図3を参照して、樹脂被覆装置によるウェーハに対する水溶性樹脂の塗布動作及び環状フレームに対する洗浄動作について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置の動作説明図である。なお、以下の樹脂被覆装置の動作は一例に過ぎず、適宜変更することが可能である。
図3Aに示すように、ウェーハWに対する水溶性樹脂の塗布動作では、スピンナーテーブル3上にウェーハWが載置されると、吸引チャックによって保護テープTを介してウェーハWが保持される。次に、水溶性樹脂ノズル4が旋回して、ノズルの先端の供給ヘッド43がウェーハWの中央に位置付けられる。そして、供給ヘッド43からウェーハWに対して水溶性樹脂が滴下されて、ウェーハWの表面中央に液溜まりRが形成される。このとき、洗浄水供給手段5及びエアーカーテン生成手段6はスピンナーテーブル3の上方から退避している。
図3Bに示すように、水溶性樹脂の供給が停止されると、スピンナーテーブル3の上方から水溶性樹脂ノズル4が退避して、ウェーハWを保持したスピンナーテーブル3が回転する。これにより、ウェーハWの上面中央の水溶性樹脂の液溜まりRに遠心力が作用して、水溶性樹脂がウェーハWの上面全域を覆うように広げられる。そして、水溶性樹脂が固化することでウェーハWの上面に、レーザ加工時にデバイスDへのデブリの付着を防止する樹脂膜11が均一に形成される。
図3Cに示すように、エアーカーテン生成手段6は、ウェーハWと環状フレームFとの間である作用位置とスピンナーテーブル3から離反した非作用位置との間に移動可能に配設されている。環状フレームFに対する洗浄動作では、ウェーハWの上面に樹脂膜11が形成されると、エアーカーテン生成手段6がウェーハW側に旋回して作用位置に位置付けられる。この場合、エアーカーテン生成手段6は、環状フレームFの一部を横切るようにして、ウェーハWと環状フレームFとの間に延在する。洗浄水供給手段5は、ウェーハWに対してエアーカーテン生成手段6よりも外側で環状フレームFの上方に位置付けられる。このため、エアーカーテン生成手段6よりも外側が洗浄領域として利用される。
次に、図3Dに示すように、エアーカーテン生成手段6によって環状フレームFとウェーハWとの間にエアーカーテンC1(図2参照)が生成されると共に、洗浄水供給手段5から環状フレームFに洗浄水が供給される。そして、スピンナーテーブル3が回転されることで、環状フレームF上に洗浄水の流れSが形成される。この洗浄水の流れSによって、樹脂塗布時に環状フレームFに付着した水溶性樹脂が除去される。このとき、環状フレームFとウェーハWとがエアーカーテンC1の壁によって仕切られるため、ウェーハW側に洗浄水が入り込むことがない。
洗浄水はエアーカーテンC1の外側を通って、エアーカーテンC1と環状フレームFとの交差部分でスピンナーテーブル3外に流れ落ちる。交差部分では洗浄水の流れSがエアーカーテンC1にせき止められることで乱流が生じており、流体の不規則な動きによって環状フレームFが効果的に洗浄される。フレーム洗浄後のウェーハWは、レーザ加工装置に搬入される。このウェーハWは、樹脂膜11への洗浄水の付着がエアーカーテンC1によって防止された状態でフレーム洗浄されるため、樹脂膜11の部分的な剥がれがない。よって、レーザ加工時に飛散したデブリが直にデバイスDに付着することない。
なお、第1の実施の形態では、洗浄水の流れSの全長を大きくすることで環状フレームFに対する洗浄効果を高めることができる。この場合、エアーカーテン生成手段6の噴射プレート61をウェーハWと環状フレームFとの間でウェーハWの外周縁に沿う形状で長く形成すると共に、洗浄水供給手段5による噴射位置をスピンナーテーブル3の回転方向の上流側に位置付けるようにする。
以上のように、第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置1によれば、環状フレームFに洗浄水が噴射され、スピンナーテーブル3の回転によって環状フレームF上に洗浄水の流れSが形成されることで、環状フレームFに付着した水溶性樹脂が洗浄除去される。このとき、ウェーハWと環状フレームFとの間がエアーカーテンC1によって仕切られた状態でフレーム洗浄されるため、洗浄水がウェーハW側に飛散することがない。よって、ウェーハWに塗布された樹脂膜11の部分的な剥離が抑えられ、後工程のレーザ加工においてデバイスDにデブリが直に付着することがなく、デバイスDの品質悪化を防止できる。
次に、図4及び図5を参照して、第2の実施の形態に係る樹脂被覆装置について説明する。なお、第2の実施の形態に係る樹脂被覆装置は、第1の実施の形態に係る樹脂被覆装置と、洗浄水供給手段及びエアーカーテン生成手段の構成が相違している。したがって、主に相違点について説明する。図4は、第2の実施の形態に係るエアーカーテン生成手段を下方からみた斜視図である。図5は、第2の実施の形態に係る樹脂被覆装置の洗浄動作の説明図である。
図4に示すように、エアーカーテン生成手段7は、ウェーハWよりも大径な中空円筒状に形成されている。エアーカーテン生成手段7の下面71には、内周縁に沿って円弧状の多数のエアー噴出孔72が形成され、外周縁に沿って円弧状の多数のエアー噴出孔73が形成されている。内周側のエアー噴出孔72は、ウェーハWの外周縁よりも大きく、環状フレームFの内周縁よりも小さい径のリング状のエアーカーテンC2を生成する(図5参照)。外周側のエアー噴出孔73は、環状フレームFの外周を囲繞するリング状のエアーカーテンC3を生成する(図5参照)。
また、エアーカーテン生成手段7の下面71には、内周側のエアー噴出孔72と外周側のエアー噴出孔73との間に、多数の洗浄水供給孔74がリング状に並んで形成されている。洗浄水供給孔74は、エアー噴出孔72、73に生成された2層のエアーカーテンC2、C3の内側で環状フレームFに洗浄水を供給する。すなわち、第2の実施の形態に係る樹脂被覆装置では、エアーカーテン生成手段7と洗浄水供給手段とが一体になっている。このように構成されたエアーカーテン生成手段7は、スピンナーテーブル3から上方に離れた非作用位置とスピンナーテーブル3に近い作用位置との間で移動可能に配設されている。
図5に示すように、フレーム洗浄時には、エアーカーテン生成手段7によって環状フレームFの内側と外側を仕切るように2層のエアーカーテンC2、C3が生成される。また、内側と外側の2層のエアーカーテンC2、C3に挟まれた空間で、環状フレームFに向けて洗浄水が噴射される。そして、スピンナーテーブル3が回転することで環状フレームFのフレーム洗浄が実施される。この場合、ウェーハWと環状フレームFとの間が内側のエアーカーテンC2によって仕切られているため、洗浄水がウェーハW上に飛散することがなく、樹脂膜11の部分的な剥離が防止される。
また、環状フレームFが内側と外側の2層のエアーカーテンC2、C3によって囲まれるため、環状フレームF上に洗浄水が滞留されて洗浄効果が高められている。さらに、多数の洗浄水供給孔74(図4参照)から環状フレームFに向けて一斉に洗浄水が供給されるため、洗浄時間を短縮化することができる。また、エアーカーテン生成手段7に洗浄水供給手段を一体化させたので、第1の実施の形態と比較して部品点数が低減されている。なお、2層のエアーカーテンC2、C3によって滞留された洗浄水は、外側のエアーカーテンC1と環状フレームFの外周縁との隙間や、環状フレームFに形成された切り欠きからスピンナーテーブル3外に排出される。
以上のように、第2の実施の形態に係る樹脂被覆装置1によれば、外側及び内側のエアーカーテンC2、C3で環状フレームF上に洗浄水が滞留されることで、環状フレームFに付着した水溶性樹脂が洗浄除去される。このとき、ウェーハWと環状フレームFとの間が内側のエアーカーテンC1によって仕切られた状態でフレーム洗浄されるため、洗浄水がウェーハW側に飛散することがない。よって、ウェーハWに塗布された樹脂膜11の部分的な剥離が抑えられ、後工程のレーザ加工においてデバイスDにデブリが直に付着することがなく、デバイスDの品質悪化を防止できる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記した第2の実施の形態において、エアーカーテン生成手段7と洗浄水供給手段とが一体化された構成としたが、この構成に限定されない。図6に示すように、エアーカーテン生成手段8とは別体に洗浄水供給手段9を備えていてもよい。この場合、エアーカーテン生成手段8によって環状フレームFの内側と外側を仕切るように2層のエアーカーテンC2、C3が生成され、この2層のエアーカーテンC2、C3の内側に洗浄水供給手段9の供給ヘッド91が位置付けられる。そして、供給ヘッド91から洗浄水を供給させながらスピンナーテーブル3が回転されてフレーム洗浄される。なお、図6に示すように、複数の供給ヘッド91から洗浄水が供給されてもよいし、単一の供給ヘッド91から洗浄水が供給されてもよい。
また、上記した第2の実施の形態において、エアーカーテン生成手段7、8は、内側と外側の2層のエアーカーテンC2、C3を生成する構成としたが、この構成に限定されない。エアーカーテン生成手段7、8は、少なくともウェーハWと環状フレームFとの間にエアーカーテンを生成する構成であればよい。
また、上記した第2の実施の形態において、エアーカーテン生成手段7、8は、中空円筒状に形成される構成としたが、この構成に限定されない。エアーカーテン生成手段7、8は、リング状のエアーカーテンを生成する構成であればよく、どのような形状に形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明は、環状フレームの洗浄時にウェーハへの洗浄水の飛散を抑えて、ウェーハの上面を樹脂膜で良好に被覆できるという効果を有し、特に、レーザ加工前にウェーハの上面を樹脂膜で被覆する樹脂被覆装置に有用である。
1 樹脂被覆装置
3 スピンナーテーブル
4 水溶性樹脂ノズル
5、9 洗浄水供給手段
6、7、8 エアーカーテン生成手段
11 樹脂膜
72、73 エアー噴出孔
C1、C2、C3 エアーカーテン
F 環状フレーム
T 保護テープ

Claims (3)

  1. 保護テープを介して環状フレームと一体となったウェーハの上面を水溶性樹脂で被覆する樹脂被覆装置であって、
    保護テープを介して環状フレームと一体になったウェーハを保持して回転するスピンナーテーブルと、該スピンナーテーブルに保持されたウェーハに水溶性樹脂を滴下する水溶性樹脂ノズルと、該スピンナーテーブルに保持された該環状フレームに洗浄水を噴射する洗浄水供給手段と、ウェーハと該環状フレームの間である作用位置及びスピンナーテーブルから離反した非作用位置に移動可能に配設され且つ該作用位置においてウェーハと該環状フレームの間を仕切るエアーカーテンを生成するエアーカーテン生成手段とを備え、
    該環状フレームを洗浄する際には、該エアーカーテン生成手段は該作用位置に位置付けられウェーハと該環状フレームの間に洗浄水の流れを遮断するエアーカーテンを生成した状態で、該エアーカーテンによりウェーハ側と仕切られた該環状フレームの上方に該洗浄水供給手段を位置付け該洗浄水を噴射するとともに該スピンナーテーブルを回転させて該環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を洗浄除去することを特徴とする樹脂被覆装置。
  2. 該エアーカーテン生成手段はウェーハ外径より大きく該環状フレームの内周縁より小さい径のリング状のエアーカーテンを生成するエアー噴出孔を備え、
    該環状フレームを洗浄する際には、該エアーカーテン生成手段は該作用位置に位置付けられウェーハの外周で且つ該環状フレームの内周内側を囲繞してリング状のエアーカーテンが生成された状態で、該環状フレーム上方に該洗浄水供給手段を位置付け洗浄水を噴射するとともに該スピンナーテーブルを回転させて該環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を洗浄除去すること、を特徴とする請求項1記載の樹脂被覆装置。
  3. 該エアーカーテン生成手段は、該環状フレームの外周を囲繞するリング状のエアーカーテンを生成するエアー噴出孔を更に備え、
    該環状フレームを洗浄する際には、該環状フレームの内周及び外周を囲繞してリング状のエアーカーテンが生成された状態で、該環状フレーム上方に該洗浄水供給手段を位置付け洗浄水を噴射するとともに該スピンナーテーブルを回転させて該環状フレームの上面に付着した水溶性樹脂を洗浄除去すること、を特徴とする請求項2記載の樹脂被覆装置。
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