JP6060008B2 - 酸化物超電導薄膜形成用ターゲットおよびその製造方法と酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜形成用ターゲットおよびその製造方法と酸化物超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物超電導薄膜形成用ターゲットおよびその製造方法と酸化物超電導線材の製造方法に関する。
RE−123系の酸化物超電導体(REBaCu:REは希土類元素)を線材に加工して電力供給用の超電導導体あるいは超電導コイルを提供することが要望されている。酸化物超電導導体の一例構造として、金属テープ基材の表面にイオンビームアシスト蒸着法(IBAD法)などにより結晶配向性の良好な中間層を形成し、該中間層上に成膜法により酸化物超電導薄膜を形成し、その表面にAgの保護層とCuの安定化層を積層した構造の酸化物超電導導体が開発されている。
RE123系の酸化物超電導導体の製造方法の一例として、RE123系の酸化物超電導体の組成と同等組成とした焼結体からなるターゲットを用い、このターゲットにパルスレーザー光を照射して基板上に酸化物超電導体の薄膜を成膜することで、酸化物超電導線材を作製するレーザー蒸着法がなされている。
このレーザー蒸着法に用いるターゲットは、一般に、REBaCuなる組成の原料粉末を圧粉成形した後、高温で焼結して作製される。例えば、目的の組成比の混合粉末を化学反応により得た後、粉砕、分級し、圧縮成形して目的の形状に加工した後、焼結することで作製されている。しかし、圧粉成形体からなるターゲットは圧粉成形の工程において成形体にひびや割れなどの欠陥が入り易い問題がある。例えば、一般に、この種の粉末を圧粉した後の成形体を金型から取り出す際、金型内壁との摩擦により成形体に力が加わり、金型から剥がす際に皿状に上下に分かれるように傷が入るキャッピングやラミネーションと称される欠陥を生じる問題があった。
このため一般に、ターゲットの作成時に結合剤の役割をするバインダーと称される有機物を原料粉末に混合し、成形体の強度を上げ、成形時に割れなどの欠陥が入らないようにしている。
この種の有機バインダーを酸化物超電導体の製造に利用した技術の一例として、酸化物超電導体の粉末と極性基を有する有機バインダーの無水の有機溶剤溶液とを用意し、酸化物超電導体100重量部あたり、0.1〜15重量部となるように混合した組成物を所定の形状に成形し、次いでこの成形体を脱脂し、焼成した後、酸素含有雰囲気中で600℃以下の温度で熱処理する技術が開示されている(特許文献1参照)。
特開平1−270562号公報
前述のように有機物をターゲットに混合すると、酸化物超電導薄膜に不要な元素混入を引き起こすおそれがあるため、成形時に添加した有機バインダーは、成形後、充分な時間をかけて加熱脱脂する必要がある。
しかし、長尺の酸化物超電導線材を製造するために成形体のサイズが大きくなると、含まれる有機バインダーの量も増加するため、成形体の内部から有機バインダーを完全に除去することが困難となる問題がある。結果として、得られたターゲットの内部に有機バインダー由来の炭素が残留することとなり、製造された酸化物超電導薄膜の内部にも炭素が取り込まれ、酸化物超電導薄膜の特性を劣化させるおそれがあった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みなされたものであり、焼結体からなる酸化物超電導薄膜形成のためのターゲットであって、割れや亀裂の生じ難いターゲットとその製造方法の提供を目的とする。また、本発明は、前記ターゲットを用いた酸化物超電導線材の製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、REBaCuなる組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)で示される酸化物超電導薄膜を基材上に成膜法により生成する場合に用いられ、REBa Cu なる組成の焼結体からなり、ターゲットの内部を占めるコア部と、該コア部の周囲を囲むように形成された外郭部とからなり、前記コア部には、炭素が含まれておらず、前記外郭部には、炭素が含まれており、焼結体内の炭素含有量が350ppm以下であることを特徴とする。
炭素含有量を350ppm以下としたターゲットであるならば、ターゲットを用いて成膜法により酸化物超電導薄膜を形成した場合、酸化物超電導薄膜内へ取り込まれる炭素量を充分に低くできるので、超電導特性の優れた酸化物超電導薄膜を形成できる。
更に、前記外郭部の厚みが1〜3.5mmであり、又は、前記炭素含有量が50ppm以上350ppm以下である。
本発明のターゲットにおいて、有機バインダーが添加されていないREBaCu組成物からなるコア部と、該コア部の周囲を囲み有機バインダーが添加されたREBaCu組成物からなる外郭部とからなる構成にすることができる。
有機バインダーを外郭部のみに含むREBaCu組成物からなる焼結体である場合、外郭部の強度が高いので、製造時に圧粉した後、金型から取り出す場合にクラックや割れなどの生じ難い構造にすることができる。また、外郭部のみに有機バインダーが含まれているREBaCu組成物であるならば、加熱処理により有機物を気化分解させて容易に有機物を除去することができる。よって、有機バインダーの含有量が少ないターゲットであって、酸化物超電導薄膜を形成した場合、形成した酸化物超電導薄膜に有機物に由来する炭素などの異物の少ない、超電導特性の優れた酸化物超電導薄膜を形成できる。
本発明のターゲットの製造方法は、REBaCuなる組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)で示される酸化物超電導薄膜を基材上に成膜法により生成する場合に用いられ、REBaCu組成物と該REBaCu組成物に添加した有機バインダーとの圧粉体を加熱処理することにより得られる焼結体からなり、有機バインダーが添加されていないREBaCu組成物の圧粉体からなるコア部と、該コア部の周囲を囲み有機バインダーが添加されたREBaCu組成物の圧粉体からなる外郭部とからなる圧粉体を加熱処理することで得られる酸化物超電導薄膜形成用ターゲットを製造するに際し、金型の成形キャビティに前記REBaCu組成物を装入する際、成形キャビティの外郭側に前記有機バインダーを含むREBaCu組成物を装入し、成形キャビティの内部側に前記有機バインダーを含まないREBaCu組成物を装入して内外2層の積層物を形成し、該積層物を金型で圧粉してから加熱処理し、焼結後の炭素含有量が350ppm以下であるターゲットを製造することを特徴とする。
この製造方法により、ひびや割れなどの欠陥を生じていないターゲットを製造することができる。また、ターゲットの外郭部に含まれている有機物を加熱により気化させて除去する際、気化成分を容易に外部に排出できるので、外郭部において炭素分の少ないターゲットであって、生成する酸化物超電導薄膜に有機バインダー由来の炭素を含ませるおそれが少なく、超電導特性の優れた酸化物超電導薄膜を形成できるターゲットを提供できる。
本発明の製造方法において、前記金型により前記積層物を圧粉して得た圧粉体を加熱処理して脱脂した後、焼結することができる。
焼結前に加熱処理する脱脂を行うならば、有機バインダーを構成する有機物を気化させて除去することができ、有機バインダー由来の炭素量を少なくした酸化物超電導薄膜を形成できる。
本発明の酸化物超電導線材の製造方法は、テープ状の金属基材上に、中間層を形成し、その上方に酸化物超電導薄膜を成膜法により形成して酸化物超電導線材を製造する場合、先のいずれかに記載のターゲットを用いて酸化物超電導薄膜を形成することを特徴とする。
先のいずれかに記載のターゲットを用いて酸化物超電導薄膜を形成することにより、炭素含有量の少ない超電導特性の優れた酸化物超電導薄膜を備えた酸化物超電導線材を製造できる。
本発明によれば、有機バインダー由来の炭素量を少なくした酸化物超電導薄膜を成膜法により形成できるターゲットを提供できる。
図1(a)は本発明に係る超電導薄膜作製用ターゲットの第1実施形態の断面図、図1(b)は同ターゲットを製造する方法の一例について説明するための構成図。 図2は同ターゲットを用いて酸化物超電導薄膜を成膜する場合に用いる成膜装置の概略構成を示す側面図。 本発明に係る超電導薄膜作製用ターゲットを用いて製造された超電導線材の斜視図。
以下、本発明に係る酸化物超電導薄膜作製用ターゲットおよびその製造方法について図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下説明の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするため、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本発明に係る酸化物超電導薄膜作製用ターゲットは、例えば後述するパルスレーザー蒸着法(PLD法)を用いて酸化物超電導薄膜を成膜する際、ターゲットとして用いられるものである。
このターゲットは、希土類酸化物超電導焼結体を含み、希土類元素の化合物(元素REの化合物)、Ba化合物、Cu化合物を含む原料粉末を仮焼きして仮焼体を得る1回または複数回の仮焼き工程と、仮焼体を粉砕して粉砕粉を得る粉砕工程と、粉砕粉に必要に応じて有機バインダーを混合してから成型して成形体を得る成型工程と、成形体を加熱して脱脂する脱脂工程と、成形体を焼成して焼結体を得る焼成工程とによって製造されたものである。
前記希土類元素REの化合物、Baの化合物、Cuの化合物として、これら元素の酸化物や炭酸塩などの粉末を用いることができる。
これらの粉末を目的の酸化物超電導体の組成比になるように秤量して混合し、必要に応じて仮焼きする。仮焼きには、混合粉末とした後、800〜1000℃程度に加熱して焼成することで行う。焼成後、仮焼き物を粉砕し、粉砕粉として篩い分けを行い、粒径の揃った粉砕物として、後に説明する金型による成型工程に供する。
また、成形工程の際、金型を用いて成形するが、金型に触れる成形体の外郭部を構成する粉砕粉に有機バインダーを混合し、外郭部の内側には有機バインダーを含まない粉砕粉のみを充填して圧粉することが好ましい。以上の工程については後に詳述する。
ターゲットに含まれる希土類酸化物超電導焼結体は、REBaCu(REは希土類元素の内から選択される1種以上の元素)で表されるREBaCu組成物の焼結体であり、構成元素REとしてはY、La、Nd、Sm、Eu、Er、Gd等が挙げられる。RE−123系組成物として好ましくは、Y123(YBaCu)又はGd123(GdBaCu)を例示することができる。
なお、ターゲットは、REBaCu組成物の他、このターゲットを製造する場合に用いた原料としての希土類元素の化合物、Baの化合物、Cuの化合物由来の異相が含有されていても良い。また、酸化物超電導体の薄膜に対し、人工ピンを導入する場合、ターゲットには、人工ピン材料が添加されていても良い。
本実施形態のターゲット11は、図1(a)に示すように全体として円板状であるが、ターゲット11の内部を占める円板状の焼結体からなるコア部11Aと、該コア部11Aの外側を取り囲むように形成された焼結体からなる外郭部11Bからなる。本実施形態で用いるターゲット11の外径は100〜数100mm程度、全体厚さは10〜数10mm程度、そのうち、コア部11Aを覆っている外郭部11Bの厚さは、1〜4mm程度で均一な厚さであることが好ましく、2〜3mm程度であることがより好ましい。
ターゲット11においてコア部11Aには、有機バインダー由来の炭素が含まれておらず、外郭部11Bには若干の有機バインダー由来の炭素が含まれている。
ターゲット11において、目的のRE−123系酸化物を構成する元素REの化合物粉末とBa化合物粉末とCu化合物粉末を目的の組成比になるように配合したREBaCu組成物あるいは該REBaCu組成物を仮焼きした仮焼き後のREBaCu組成物を圧粉後焼結した焼結体からコア部11Aが形成され、前記原料混合物に0.5〜5質量%程度の有機バインダーを添加したREBaCu組成物を圧粉後焼結した焼結体から外郭部11Bが構成されている。
2層構造のターゲット11を製造するには、一例として、図1(b)に示す上パンチPと下パンチPを筒型のダイ本体Pの内側に備えた金型Pを用いることができる。この上パンチPと下パンチPを上下に離間させておくとそれらの間には成形キャビティCが形成される。
この成型キャビティCに前記有機バインダーを含むREBaCu組成物B1と有機バインダーを含まないREBaCu組成物B2を必要量装入して上パンチPと下パンチPにより一軸方向の圧力を加えて圧粉(圧密)することで円板状の圧粉体を得ることができる。
REBaCu組成物を金型に装入する際、上パンチPを外し、下パンチPの上の成形キャビティCに、薄く1〜4mm程度、より好ましくは2〜3mm程度、有機バインダーを含む原料混合物を充填して敷均した後、成形キャビティより若干外径の小さな筒型の枠を装入し、この枠の内側に有機バインダーを含まないREBaCu組成物を充填し、枠の外側に枠の上端部あたりまで有機バインダーを含むREBaCu組成物を装入する。
この後、枠を真上に引き抜いて取り外し、残ったREBaCu組成物の上に更に有機バインダーを含むREBaCu組成物を前述の如く成形キャビティの下側に装入した厚さと同程度装入することで、コア部とそれを取り囲む外郭部の2層構造とすることができる。なお、枠の高さは目的とするターゲットの厚さより若干低い枠を用い、枠の外径も成型キャビティの内径より数mm程度小さい枠を用いることができる。
REBaCu組成物を装入後、上パンチPを図1(b)の矢印に示すように下降させ、約0.5t/cmなどの必要な一軸プレス圧力を作用させると、コア部とそれを取り囲む外郭部とからなる2層構造の円板状の圧粉体を得ることができる。
この圧粉体では外郭部を構成する部分に有機バインダーが含まれて強度が向上されているので、金型Pから取り外す際、圧粉体が上パンチPと下パンチPのいずれかに、わずかに密着した状態となっても、あるいは圧粉体がダイ本体Pの内面にわずかに密着した状態となっても、割れやクラックなどを生じさせることなく取り外すことができる。
金型Pから2層構造の円板状の圧粉体を取り出し、脱脂処理を行う。この脱脂処理は、有機バインダーを除去する目的で行うので、有機物を揮発できる温度、例えば、300〜500℃程度の温度で数時間〜数10時間加熱することで行う。この脱脂処理により圧粉体の外郭部に存在する有機バインダーを揮散させて除去することができ、圧粉体の外郭部に存在する有機バインダーの量を可能な限り削減できる。有機バインダーを揮散させる場合、圧粉体の内部側深い部分まで有機バインダーが存在していると有機バインダーを全部除去できない可能性が高いが、圧粉体の外面側数mm程度の部分にのみ有機バインダーが存在しているので、加熱処理に伴う気化現象を利用して圧粉体の外部に効率良く有機物の揮散ガスを逃がして有機バインダーを効率良く除去することができる。
脱脂処理後の圧粉体を900〜1000℃程度に加熱して数10時間焼成することで圧粉体を焼結体とすることができ、焼結体のコア部と外郭部からなる2重構造の図1(a)に断面構造を示す円板状のターゲット11を得ることができる。
このターゲット11であるならば、圧粉体の状態で金型から取り出す場合、割れやクラックなどの欠陥を生じ難いので、焼結後においても割れやクラックなどの欠陥の生じていない高品質のターゲットを得ることができる。また、圧粉体を成型する場合に外郭部に添加しておいた有機バインダーは脱脂処理と焼結時の加熱によりほとんど揮散されて除去されているので、極めて少ない量の炭素を外郭部11Bのみに含むターゲット11を得ることができる。
このため、このターゲット11を用いて後述するようにレーザー蒸着法により酸化物超電導薄膜を形成して酸化物超電導線材を製造した場合、酸化物超電導薄膜中に炭素が取り込まれていない、異物の少ない高品質の酸化物超電導薄膜を形成できる。
以下に前述のように製造されたターゲット11を用いて酸化物超電導線材を製造する場合に用いるレーザー蒸着装置の一例について説明する。
本発明に係るターゲット11を適用するレーザー蒸着装置(成膜装置)Aは、図2に示すようにテープ状の基材2をその長手方向に走行するための走行装置10と、この走行装置10の下側に設置されたターゲット11と、このターゲット11にレーザー光を照射するために図2に示すように処理容器(真空チャンバ)18の外部に設けられたレーザー光源12を備えている。
前記走行装置10は、一例として、成膜領域15に沿って走行するテープ状の基材2を案内するための転向リールの集合体である転向部材群16、17を備え、これら転向部材群16、17に基材2を巻き掛けて成膜領域15に基材2の複数のレーンを構成するように基材2を案内できる装置として構成される。
前記走行装置10とターゲット11は処理容器18の内部に収容され、処理容器18は外部と成膜空間とを仕切る容器であり、気密性を有するとともに、内部が高真空状態とされるため耐圧性を有する構成とされる。この処理容器18には、処理容器内のガスを排気する排気手段(真空ポンプ)19が接続され、他に、処理容器内にキャリアガスおよび反応ガスを導入するガス供給手段が形成されているが、図2ではガス供給手段を略し、各装置の概要のみを示している。
基材2は処理容器18の内部に設けられている供給リール20に巻き付けられ、必要長さ繰り出すことができるように構成されている。供給リール20から繰り出された基材2は、複数の転向リール16aを同軸的に隣接配置した転向部材群16と、複数の転向リール17aを同軸的に隣接配置した転向部材群17に交互に巻き掛けられている。これらの転向部材群16、17は処理容器18の内部において離間して配置され、それらの間に複数の平行なレーン2Aを構成するように基材2が配置され、基材2は転向部材群17から引き出されて巻取リール21に巻き取られるように構成されている。
また、処理容器18の内部に、転向部材群16、17とその周囲を囲む矩形箱状のヒーターボックス23が設けられ、供給リール20から繰り出された基材2はヒーターボックス23の一側の入口部23aを通過して転向部材群16に至るように構成され、転向部材群17から引き出された基材2はヒーターボックス23の他側の出口部23bを介し巻取リール21側に巻き取られるようになっている。なお、図2に示す装置においてヒーターボックス23は成膜領域15の温度制御を行うために設けられているが、ヒーターボックス23は略しても差し支えない。
転向部材群16、17の間の中間位置の下方に本発明に係る円板状のターゲット11が設けられている。このターゲット11は、円板状のターゲットホルダ25に装着されて支持され、ターゲットホルダ25は、その下面中央部に取り付けられた支持ロッド26により回転自在(自転自在)に支持され、更に図示略の往復移動機構により図2に示すY、Y方向(転向部材群16、17の間に形成される基材2のレーン2Aに沿う前後方向)に水平に往復移動自在に支持されている。これらの機構によるターゲットホルダ25の回転移動と往復前後移動により、ターゲット11の表面に対するレーザー光の照射位置を適宜変更できるように構成されている。
ターゲット11の上方のヒーターボックス23の下面には、転向部材群16、17間において基材2が走行する複数のレーン2Aの全幅に該当するように開口部23cが形成されている。また、ヒーターボックス23において開口部23cの内側には熱板などの加熱装置27が配置され、転向部材群16、17の間を複数のレーン状に走行移動される基材2をそれらの裏面側から所望の温度に加熱できるように構成されている。加熱装置27は基材2をその裏面側から目的の加熱できる装置であればその構成は問わないが、通電式の電熱ヒータを内蔵した金属盤からなる一般的な加熱ヒータを用いることができる。
処理容器18において、ターゲット11を中心としてターゲット11の一側に位置する側壁にターゲット11に対向するように照射窓が形成され、この照射窓の外方には集光レンズ32と反射ミラー33を介しアブレーション用のレーザー光源12が配置されている。
前記アブレーション用のレーザー光源12はエキシマレーザーあるいはYAGレーザー等のようにパルスレーザーとして良好なエネルギー出力を示すレーザー光源を用いることができる。レーザー光源12の出力として、例えば、エネルギー密度1〜5J/cm程度、パルス周波数200〜600Hzのレーザー光源を用いることができる。
なお、レーザー蒸着装置Aでは、処理容器18の内部であって、ターゲット11の斜め上方側にターゲット表面のレーザー光照射領域の温度を計測するための赤外放射温度計が設置されている。
ところで、酸化物超電導線材1は、一例として図3に示すように、テープ状の基材2の一面(表面)上に、中間層5、酸化物超電導薄膜6、第1の金属安定化層7、第2の金属安定化層8を積層して積層体9が形成され、この積層体9のほぼ全周を絶縁材料などからなる被覆層10で覆って構成されている。なお、被覆層10は積層体9のほぼ全周を覆うように接合層10aを介し密着されているが、超電導線材として絶縁処理が必要ない場合は被覆層10を略しても良い。
図3に示す酸化物超電導線材1において、基材2は、通常の酸化物超電導導体用の基板として使用し得るものであれば良く、可撓性を有するテープ状であることが好ましく、耐熱性の金属からなるものが好ましい。耐熱性の金属の中でも、ニッケル(Ni)合金が好ましい。中でも、市販品であればハステロイ(商品名、ヘインズ社製)が好適であり、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)等の成分量が異なる、ハステロイB、C、G、N、W等のいずれの種類も使用できる。また、基材2としてニッケル合金などに集合組織を導入した配向Ni-W合金テープ基材を用い、その上に中間層5および酸化物超電導層6を形成してもよい。
基材2の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、通常は、10〜500μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。
前記中間層5は、その上に形成する酸化物超電導薄膜6との物理的特性(熱膨張率や格子定数等)の差を緩和するバッファー層として機能し、物理的特性が基材2と酸化物超電導薄膜6との中間的な値を示す金属酸化物が好ましい。中間層5として具体的には、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示でき、これらをIBAD法(イオンビームアシスト蒸着法)で形成して結晶配向性を整えたものが好ましい。
中間層5は、単層でも良いし、複数層でも良く、複数層である場合は、最外層(最も酸化物超電導薄膜6に近い層)が少なくとも良好な結晶配向性を有していることが好ましい。このため、IBAD法で結晶配向性の良好な第一の配向層を形成後、スパッタ法などの成膜法によりこの第一の配向層の上にエピタキシャル成長可能な第二の配向層を積層した複層構造とすることもできる。複層構造の場合、第一の配向層と第二の配向層は同じ材料からなる層であっても良いし、異なる材料からなる層であっても良い。
中間層5は、基板2側にベッド層が介在された複数層構造でもよい。ベッド層は、必要に応じて配され、イットリア(Y)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al、「アルミナ」とも呼ぶ)等から構成される。ベッド層の厚さは例えば10〜200nmである。
さらに、本発明において、中間層5は、基材2側に拡散防止層とベッド層からなる下地層5Aが積層された複数層構造でもよい。この場合、基材2とベッド層との間に拡散防止層が介在された構造となる。拡散防止層は、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、あるいは希土類金属酸化物等から、単層あるいは複層構造とされ、その厚さは例えば10〜400nmである。
中間層5は、前記IBAD法による金属酸化物の配向層5Bの上に、さらにキャップ層5Cが積層された複層構造でも良い。キャップ層5Cは、酸化物超電導層6の配向性を制御し、単結晶のように良好な結晶配向性とする機能を有する。キャップ層5Cは、特に限定されないが、好ましいものとして具体的には、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、Ho、Nd、YSZ、LaMnO等を例示できる。これらの中でも酸化物超電導薄膜6とのマッチング性からCeO、LaMnOが好ましい。キャップ層5Cの材質がCeOである場合、キャップ層5Cは、Ceの一部が他の金属原子又は金属イオンで置換されたCe−M−O系酸化物を含んでいても良い。
前記酸化物超電導薄膜6は通常知られている組成の酸化物超電導体からなるものを広く適用することができ、REBaCu(REはY、La、Nd、Sm、Er、Gd等の希土類元素を表す)なる材質のもの、具体的には、Y123(YBaCu)又はGd123(GdBaCu)を例示できる。また、その他の酸化物超電導体、例えば、BiSrCan−1Cu4+2n+δなる組成等に代表される臨界温度の高い他の酸化物超電導体からなるものを用いても良いのは勿論である。酸化物超電導体の薄膜6の厚みは、0.5〜5μm程度であって、均一な厚みであることが好ましい。
前記第1の金属安定化層7は、AgあるいはAg合金などの良電導性かつ酸化物超電導薄膜6と接触抵抗が低くなじみの良い金属材料からなる。
第1の金属安定化層7をAgから構成する理由としては、酸化物超電導薄膜6に酸素をドープするアニール工程において、ドープした酸素を酸化物超電導薄膜6から逃避し難くする性質を有する点を挙げることができる。Agからなる第1の金属安定化層7を成膜するには、スパッタ法などの成膜法を採用し、その厚さは1〜30μm程度とされる。
前記第2の金属安定化層8は、一例として良導電性の金属材料からなり、酸化物超電導薄膜6が超電導状態から常電導状態に遷移しようとした時に、第1の安定化層7とともに、酸化物超電導薄膜6の電流が転流するバイパスとして機能する。
第2の金属安定化層8を構成する金属材料としては、良導電性を有するものであればよく、特に限定されないが、銅、黄銅(Cu−Zn合金)、Cu−Ni合金等の銅合金、ステンレス等の比較的安価な材質からなるものを用いることが好ましく、中でも高い導電性を有し、安価であることから銅が好ましい。なお、酸化物超電導導体1を超電導限流器に使用する場合、第2の金属安定化層8は抵抗金属材料より構成され、Ni−Cr等のNi系合金などを使用できる。
図3に示す構造の酸化物超電導線材1を製造するには、基材2上に前述した種々の成膜法により必要に応じて拡散防止層やベッド層を形成後、IBAD法などを利用して中間層5を成膜し、以下に説明するレーザー蒸着法により酸化物超電導薄膜6を形成後、第1の金属安定化層7と第2の金属安定化層8を積層したテープ状の積層体9を作製し、必要に応じて被覆層10を形成して酸化物超電導線材1とすることができる。なお、被覆層10が不要な場合は第2の金属安定化層8の形成でもって最終製品としての酸化物超電導線材とする。
以下に、図2に示すレーザー蒸着装置Aを用いて酸化物超電導薄膜6を形成する方法について説明する。
酸化物超電導薄膜6を成膜するには、一例として、基材2上に配向層5Bとキャップ層5Cを備えた中間層5を先に説明した種々の成膜法で形成したテープ状の基材を用いる。
このテープ状の基材を供給リール20から転向部材群16、17を介して巻取リール21に図2に示すように巻き掛け、ターゲットホルダ25にターゲット11を装着した後、処理容器18の内部を減圧する。
目的の圧力に減圧後、レーザー光源12からパルス状のレーザー光をターゲット11の表面に集光照射する。
この場合、ターゲット11を備えたターゲットホルダ25を支持ロッド26を中心として回転させ、更に図示略の往復移動機構により図2に示すY、Y方向に水平に往復移動させてターゲット11の表面の周縁部分を除くほぼ全域にレーザー光を照射するようにレーザー光の走査を行う。なお、ターゲット11の外周縁部分にレーザー光を照射するとターゲット11の外周縁部にクラックや欠けを生じさせるおそれがあるので、ターゲット11の外周縁部分を除いた領域にレーザー光を照射することが好ましい。
ターゲット11の表面にレーザー光を照射すると、ターゲット11の表面からターゲット構成材料の原子、分子あるいは蒸発粒子などが構成する蒸気噴流(プルーム)が生じるので、このプルームを基材2の中間層5上に向けることで中間層5上に酸化物超電導薄膜6を形成できる。具体的には、長尺の基材2を供給リール20から転向部材群16、17を介して巻取リール21に巻き取る間、転向部材群16、17間の走行レーンを移動中にプルームからの粒子堆積を行って中間層5上に酸化物超電導薄膜6を形成できる。
本実施形態のターゲット11は、コア部11Aと外郭部11Bとからなり、外郭部11Bは前述した如く圧粉体の段階で有機バインダーが含まれていて金型Pからの離型時に割れやクラックを生じていないので、高品質であり、このため、レーザー蒸着時においても割れや欠けなどを生じ難く、プルームを安定的に生成できるので、長尺の酸化物超電導線材1を製造する場合であっても品質の安定した酸化物超電導薄膜6を生成できる。
レーザー蒸着法は高エネルギーのレーザー光をターゲット11に照射しつつ成膜するので、ターゲット11に負荷をかけ易い成膜法であり、ターゲット11に小さなクラックや欠陥が生じているとターゲット11全体の割れに繋がるおそれがある。この点において、前述したように欠陥を有していないターゲット11を製造できることは、安定した成膜を長時間連続的に行うことができるレーザー蒸着用ターゲットとして特に好ましい。
「実施例1」
原料粉末としてY粉末とBaCO粉末とCuO粉末をY:Ba:Cuの比率で1:2:3になるように秤量し、ボールミルを用いて湿式混合し、均一混合されたスラリーを乾燥することで混合粉末を得た。混合粉末をアルミナ製のるつぼに入れ、900℃に加熱した電気炉中で24時間焼成する仮焼き処理を行った。これにより、YBaCu(YBCO)粉末を得た。
このYBCO粉末をディスクミルで粗粉砕し、更にボールミルで粉砕することにより微粉末を作製した。この微粉末から篩い分けにより粒径53μm未満の微粉末に選別し、原料混合物を得た。
選別後のYBCO微粉末に対し、アクリル系バインダーを重量割合で1.0%添加し、イソプロピルアルコールを溶媒としてボールミル混合することでスラリーを作製した。これを噴霧乾燥法により乾燥させ、粒径が100〜150μm程度のバインダー添加微粉末からなるREBaCu組成物とした。
以上のように作製したバインダー添加微粉末からなるREBaCu組成物と、有機バインダーを含んでいない微粉末からなるREBaCu組成物を使用して2層構造の円板状の圧粉体からなる成形体を以下のように作製した。
まず、円形の金型の成型キャビティ(内径200mm)の底部に2〜3mmの厚さになるまで有機バインダー添加微粉末を充填し、充填した微粉末を平らになるように整えた。次に肉薄の樹脂製の筒状の枠を均した微粉末上に設置した。この枠の内部側に有機バインダーを含んでいない微粉末を高さ12〜13mm程度になるように充填し、枠の外側に有機バインダーを含んでいる微粉末を高さ12〜13mm程度になるように充填した後、内外の微粉末どうしが混合しないように枠を真上に引き出した。
枠を引き出した後、枠の内外に充填されていた微粉末は枠を引き抜いた部分を埋めるように若干流動したが、基本的に枠を挿入していた位置の内側には有機バインダーを添加していない微粉末が存在し、枠を挿入していた位置の外側には有機バインダーを添加した微粉末が存在する状態を維持させた。次いで、これら充填した微粉末の上に、有機バインダーを添加した微粉末を高さ2〜3mmになるように充填し、充填を完了した。
この後、金型の上パンチと下パンチを接近させて両型により微粉末に対し約0.5t/cmの圧力で一軸プレスをかけて円板状の圧粉体を成型した。
この成型工程で用いたバインダー添加微粉末とバインダー無添加微粉末の重量比を後記する表1に示す。
圧粉成型後、金型から円板状の圧粉体を取り出し外観検査して割れやクラックなどの欠陥の有無を調べ、欠陥の無い圧粉体に対し350℃で24時間加熱する脱脂処理を施した。
その後、950℃で48時間、大気中で焼結し、焼結体からなるターゲットを得た。
得られた各ターゲットの炭素量を高周波燃焼・赤外線吸収法を用いて測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006060008
表1に示すNo.2〜8の試料を用い、以下の工程に基づき、テープ状の基材上に中間層を介し酸化物超電導層を形成し酸化物超電導線材を作製した。
まず、幅10mm、厚さ100μm、長さ10mのテープ状のハステロイC276(米国ヘインズ社製商品名)製の基材上に、スパッタ法によりAl(拡散防止層;膜厚150nm)を成膜した上に、イオンビームスパッタ法によりY(ベッド層;膜厚20nm)を成膜した。次いで、このベッド層上に、イオンビームアシストスパッタ法(IBAD法)によりMgO(中間層;膜厚10nm)を形成した上に、パルスレーザー蒸着法(PLD法)により300nm厚のCeO(キャップ層)を成膜した。
次いで図2に示す構成のレーザー蒸着装置に上述の各ターゲットをセットして酸化物超電導層の成膜をキャップ層上に行った。レーザー蒸着装置により1μm厚のYBaCu層(酸化物超電導薄膜)を形成し、さらに酸化物超電導薄膜上にスパッタ法により8μm厚のAgの第1の金属安定化層を形成し、更にCuテープからなる厚さ300μmの第2の金属安定化層を半田により貼り合わせてテープ状の酸化物超電導線材を作製した。
酸化物超電導薄膜を成膜する条件は、レーザー光源として、エキシマレーザー(KrF:248nm)を用い、エネルギー密度3.0J/cm、テープ基材の移動時の線速30m/h、パルスレーザーの繰り返し周波数300Hz、処理容器の酸素分圧PO=80mTorr、熱板によるテープ状基材の加熱温度800℃、転向部材間に配置する基材のレーン数を5レーンとして、キャップ層上に膜厚1μmになるように酸化物超電導薄膜の堆積を行った。図2に示すレーザー蒸着装置において、円板状のターゲットの自転速度45rpm、ターゲット移動速度55mm/分としてターゲット表面全域にレーザー光を走査しながら成膜した。パルスレーザー蒸着法に用いるターゲットは上述した各試料のターゲットである。
前記酸化物超電導線材について、第1の安定化層を形成する前のサンプルを一部切り出し、酸化物超電導薄膜の膜厚の測定、X線回折による結晶性の評価、ICP発光分光分析による組成分析を行ったところ、ターゲットの違いによる有意な差異は見られなかった。また、超電導薄膜中の炭素量をICP発光分光分析により検出可能か試みたが薄膜中の炭素を検出することはできなかった。
次に、各ターゲットを用いて作製された酸化物超電導薄膜を備えた各酸化物超電導線材試料について、臨界電流密度(Jc)を測定した。その結果を表1に併せて示す。
表1に示す結果のように有機バインダー未添加微粉末のみでターゲットを製造すると、金型からの脱型時に割れを生じた。有機バインダーを添加した微粉末を用いて作製したターゲットであれば、いずれの割合でも脱型時に割れを生じることはなかった。ただし、有機バインダーの添加量を多くしたターゲットは、酸化物超電導薄膜を形成し、酸化物超電導線材を製造した場合、臨界電流密度が低下することが分かった。
表1に示す結果から、良好な臨界電流密度を示す酸化物超電導線材を製造するためには、炭素含有量350ppm以下の場合優れた臨界電流密度を得られることがわかった。なお、臨界電流密度がほとんど低下しないレベルを満たすためには、炭素含有量190ppm以下とすることが好ましいことも分かった。
本発明は、例えば超電導ケーブル、超電導マグネット、超電導モーター、超電導限流器など、各種超電導機器に用いられる酸化物超電導線材の製造に利用することができる。
1…酸化物超電導線材、2…基材、5…中間層、6…酸化物超電導薄膜、7…第1の金属安定化層、8…第2の金属安定化層、9…超電導積層体、11…ターゲット、11A…コア部、11B…外郭部、P…金型、P…上パンチ、P…下パンチ、P…ダイ本体、A…レーザー蒸着装置(成膜装置)、12…レーザー光源、13…走行装置、15…成膜領域、16、17…転向部材群、18…処理容器、19…排気手段。

Claims (5)

  1. REBaCuなる組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)で示される酸化物超電導薄膜を基材上に成膜法により生成する場合に用いられ、REBa Cu なる組成の焼結体からなり、
    ターゲットの内部を占めるコア部と、該コア部の周囲を囲むように形成された外郭部とからなり、前記コア部には、炭素が含まれておらず、前記外郭部には、炭素が含まれており、前記外郭部の厚みが1〜3.5mmであり、焼結体内の炭素含有量が350ppm以下であることを特徴とする酸化物超電導薄膜形成用ターゲット。
  2. REBaCuなる組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)で示される酸化物超電導薄膜を基材上に成膜法により生成する場合に用いられ、REBa Cu なる組成の焼結体からなり、
    ターゲットの内部を占めるコア部と、該コア部の周囲を囲むように形成された外郭部とからなり、前記コア部には、炭素が含まれておらず、前記外郭部には、炭素が含まれており、焼結体内の炭素含有量が50ppm以上350ppm以下であることを特徴とする酸化物超電導薄膜形成用ターゲット。
  3. REBaCuなる組成式(REは希土類元素の1種または2種以上)で示される酸化物超電導薄膜を基材上に成膜法により生成する場合に用いられ、REBaCu組成物と該REBaCu組成物に添加した有機バインダーとの圧粉体を加熱処理することにより得られる焼結体からなり、
    有機バインダーが添加されていないREBaCu組成物の圧粉体からなるコア部と、該コア部の周囲を囲み有機バインダーが添加されたREBaCu組成物の圧粉体からなる外郭部とからなる圧粉体を加熱処理することで得られる酸化物超電導薄膜形成用ターゲットを製造するに際し、
    金型の成形キャビティに前記REBaCu組成物を装入する際、成形キャビティの外郭側に前記有機バインダーを含むREBaCu組成物を装入し、成形キャビティの内部側に前記有機バインダーを含まないREBaCu組成物を装入して内外2層の積層物を形成し、該積層物を金型で圧粉してから加熱処理し、焼結後の炭素含有量が350ppm以下であるターゲットを製造することを特徴とする酸化物超電導薄膜形成用ターゲットの製造方法。
  4. 前記金型により前記積層物を圧粉して得た圧粉体を加熱処理して脱脂した後、焼結することを特徴とする請求項3に記載の酸化物超電導薄膜形成用ターゲットの製造方法。
  5. テープ状の金属基材上に、中間層を形成し、その上方に酸化物超電導薄膜を成膜法により形成して酸化物超電導線材を製造する場合、請求項1または2に記載のターゲットを用いて酸化物超電導薄膜を形成することを特徴とする酸化物超電導線材の製造方法。
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