JP6059056B2 - 農作物収穫機及びこの農作物収穫機に組み込まれる携帯通信端末のためのプログラム - Google Patents

農作物収穫機及びこの農作物収穫機に組み込まれる携帯通信端末のためのプログラム Download PDF

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Description

本発明は、収穫後に乾燥施設で乾燥させる農作物を収穫する農作物収穫機、及びこの農作物収穫機に組み込まれる携帯通信端末のためのプログラムに関する。
収穫後に乾燥施設で乾燥させる農作物として、例えば米や麦がある。米や麦を収穫する収穫機(一般にはコンバインと呼ばれている)では、所定の刈取り面積を有する圃場内を走行しながら前処理部で穀稈を刈り取り、この刈り取った穀稈を脱穀部に供給して脱穀及び選別処理がなされた穀粒を穀粒タンクに貯留する収穫作業が行われる。穀粒タンクが穀粒で満杯になると、その穀粒はトラック等の運搬車両に積み替えられ、乾燥機施設に持ち込まれ、乾燥処理を受ける。穀粒などの収穫物の品質保持のためには、その日に収穫された収穫物はその日のうちに乾燥されることが望ましい。このためには、乾燥機施設における乾燥処理の能力と、この乾燥機施設に持ち込む収穫物を収穫する収穫機の収量との均衡化が重要である。
刈取り走行中の穀粒タンク内における穀粒の貯留量を検出する検出手段である籾センサの検出値に基づいて、演算手段により算出した単位刈取り面積あたりの穀粒の収穫量を表示する表示モニタを設けたコンバインが、特許文献1から知られている。この構成により、運転者は、収穫作業走行における単位刈取り面積あたりの穀粒の収穫量を的確に把握することができるともに、未刈り行程における穀粒の収穫量も予想可能である。従って、乾燥機センタの乾燥処理能力以上の収穫作業は行わずに作業を打ち切って、穀粒タンク内に貯留した穀粒を運搬車両に積み替えて乾燥機センタに持ち込んで乾燥させることができる。しかしながら、乾燥機センタは共同体が運営しているのが通常であり、このコンバインではなく、多くのコンバインからの穀粒の持ち込みも受け入れる。それゆえに、単に、予め知られている乾燥機センタの乾燥処理能力だけで、自己のコンバインによる収穫作業を計画しても、持ち込んだ穀粒の明日に延ばされる可能性が生じる。
刈取り作業から乾燥処理に至るまでの一連の作業を効率よく行うために、刈取開始から満タンに達するまでの穀粒センサの検出時間の総和を所要時間として求め、その所要時間を、出力側の発信機に制御信号として出力して指定の携帯電話に送信するコントローラを備えたコンバインが、特許文献2から知られている。従って、待機中の関係作業者は、受信した携帯電話に表示される刈取り開始から満タンに達するまでの初回の全作業時間を知ることができ、1日の目標収穫量を収穫するまでの収穫作業の全部に要する概略の所要時間を推定できる。これによって、関係作業者は、次工程の準備を収穫作業が完了する推定時間に合わせて行うことが可能となる。その際、運転者は、その日に収穫する目標収穫量を、目標収穫量設定ダイヤルによって設定し、コントローラに設定値として記憶させて作業を開始するが、この目標収穫量は、乾燥施設における定格の1日当りの乾燥容量に基づいて決められる。つまり、この公知技術においても、予め知られている乾燥機センタの乾燥処理能力だけに基づいて自己のコンバインによる収穫作業が計画されるので、乾燥機センタの混み具合によっては、持ち込んだ穀粒の明日に延ばされる可能性が生じる。
収穫機によって収穫した収穫物を移載して搬送する搬送車と、搬送されてきた収穫物の乾燥などの調製を行う複数の調製施設と、これらの複数の調製施設管理する管理センタとにそれぞれ情報端末を備え、通信網を介して相互に情報を伝達可能とする収穫物管理システムが特許文献3から知られている。このシステムでは、調製施設は、調製を行っている収穫物の種類や処理能力や受け入れ可能量などの調製施設情報を前記管理センタへ送信し、搬送車は、管理センタの情報を受信して、搬送先とする調製施設を選択することができる。また、この特許文献3には、収穫作業中に収穫機から搬送車に直接もしくは管理センタを介して間接的に圃場位置や収穫済みの収穫物の量(または満量予測時間)が送信されることで、収穫機に対して搬送車を効率的に配車することも開示されている。しかしながら、その日に収穫された穀粒がその日のうちに乾燥されるために、収穫機がどのぐらい収穫すればよいかという問題に対する解決策は、この特許文献3からは開示されていない。
特開2009−44995号公報(図5) 特開2006−94780号公報(図1) 特開2008−228630号公報(図2)
上記実情に鑑み、その日に収穫された収穫物をその日のうちに乾燥するために、乾燥機施設における乾燥処理の能力と、この乾燥機施設に持ち込まれる収穫物を収穫している農作物収穫機の収量とが均衡化される技術が所望されている。
本発明による農作物収穫機は、収穫物を収納するタンクと、作業走行を行いながら前記タンクに収容されている収穫物の穀粒量を測定する収量センサと、前記収量センサからの測定信号に基づいて前記タンクに収納されている収穫物の現状収量を算定する収量算定部と、乾燥施設から送られてきた乾燥機稼働状況を示す乾燥機稼働情報を受け取る通信部と、前記現状収量と前記乾燥機稼働情報とに基づいて収穫作業の終了タイミングを判定する作業管理部と、前記終了タイミングを報知する報知部とを備えている。
この構成によれば、農作物収穫機は、現状において自己のタンクに収納されている収穫物の収量と、現状の乾燥機の稼働状況を示す乾燥機稼働情報とから、どの時点で収穫を終了すれば、乾燥施設に持ち込んだ収穫物が全てその日のうちに乾燥されるかを判定することが可能である。従って、この判定結果に基づいて収穫作業の終了タイミングを報知することで、乾燥機施設における乾燥処理の能力と農作物収穫機の収量とを均衡させることが可能となる。
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記乾燥機稼働情報から前記乾燥施設における本機のための当日持ち込み乾燥可能な持ち込み可能乾燥容量を決定する乾燥容量決定部が備えられており、前記作業管理部は前記現状収量と前記持ち込み可能乾燥容量とに基づいて前記終了タイミングを判定するように構成されている。この構成では、乾燥容量決定部が乾燥施設から送られてくる乾燥機稼働情報から当日持ち込み乾燥可能な乾燥容量を決定する。そして、収穫作業の終了タイミングが、この乾燥容量と、実際にタンクに貯留されている収穫物の現状収量とに基づいて判定されるので、当日持ち込み乾燥可能な乾燥容量が正確であれば、確実に本日中に乾燥できる量の収穫物を収穫することができる。
より正確な、当日持ち込み乾燥可能な乾燥容量を得るためには、できるだけ最新の乾燥機稼働情報を得ることが重要である。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記現状収量の算定または前記持ち込み可能乾燥容量の決定あるいはその両方が、時間経過とともに繰り返し行われ、その都度前記作業管理部が前記終了タイミングを再算定するように構成されている。
乾燥機の稼働時間や稼働条件は、乾燥すべき収穫物の水分によって異なってくる。このため、水分別で乾燥機を稼働させている乾燥施設は少なくない。このような乾燥施設に対しても適応できるように、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記乾燥機稼働情報には収穫物の水分別の乾燥機稼働状況が含まれており、前記タンクに収納されている収穫物の水分を算定する水分算定部が備えられ、前記持ち込み可能乾燥容量が前記水分別の乾燥機稼働状況と前記収穫物の水分とに基づいて設定される。
一般的な農作物収穫機には、通信回線を通じて乾燥施設のコンピュータシステムとの間でデータ通信できる通信部は備えられていない。このような場合、専用の回線通信部を新たに装備するよりは、穀粒収穫機の運転者が持参する携帯通信端末を通信部として利用すると好都合である。その際、穀粒収穫機と携帯通信端末との間のデータ通信は、穀粒収穫機の車載LANに設けられたデータ入出力部と携帯通信端末に設けられているデータ入出力部との間で行うことができる。そのようなデータ通信として、USB接続などの有線通信やWi−Fiなどの無線通信を用いることができる。このような目的を達成するため、本発明の好適な実施形態では、前記通信部が当該農作物収穫機の制御ユニットにデータ交換可能に接続される携帯通信端末に備えられている。つまり、乾燥施設のコンピュータシステムとの交信のために必要となる農作物収穫機の通信部を、携帯通信端末の通信部で代用するのである。
タブレットコンピュータやスマートフォンのような携帯通信端末では、プログラムアプリケーション(アプリ)をインストールすることにより種々の機能を実現することが可能である。従って、上述した前記収量算定部と前記乾燥容量決定部と前記作業管理部との少なくとも1つが前記携帯通信端末に備えられるような構成を採用すると好都合である。
農作物収穫機の車内に持ち込まれた携帯通信端末の機能を、その制御系に組み込まれた農作物収穫機も本発明の主題の1つである。したがって、本発明を携帯通信端末側から考察すれば、本発明にとって重要な機能を、携帯通信端末にインストールされる対地作業情報表示プログラムによって実現させることは可能である。したがって、携帯通信端末にインストールされる農作業管理プログラムも本発明の権利の対象である。そのような、収穫物をタンクに収容すると共に作業走行を行いながら前記タンクに収容されている収穫物の穀粒量を収量センサで測定する農作物収穫機の制御ユニットに対してデータ交換可能に接続される携帯通信端末に組み込まれる、本発明による農作業管理プログラムは、前記収量センサからの測定信号に基づいて前記タンクに収納されている収穫物の現状収量を算定する収量算定機能と、乾燥施設から送られた乾燥機稼働状況を示す乾燥機稼働情報を受け取る通信機能と、前記現状収量と前記乾燥機稼働情報とに基づいて収穫作業の終了タイミングを判定する作業管理機能と、前記終了タイミングを報知する報知機能とをコンピュータに実現させる。このように構成された作業管理プログラムにより、上述した関連する機能部によって得られる作用効果と同じ作用効果を得ることができる。
さらに、本発明による農作業管理プログラムを拡張することで、前記乾燥機稼働情報から前記乾燥施設における本機のための当日持ち込み乾燥可能な持ち込み可能乾燥容量を決定する乾燥容量決定機能が付加され、携帯通信端末側で、前記現状収量と前記持ち込み可能乾燥容量とに基づいて前記終了タイミングを算定することも可能となる。さらに、前記終了タイミングを、前記制御ユニットを介して前記農作物収穫機に搭載されている報知デバイスを通じて報知するような構成を採用することが可能となる。携帯通信端末が、常に運転者が身に着けているとすれば、前記終了タイミングを、携帯通信端末に搭載されている報知デバイスを通じて報知することも好都合である。
本発明の基本的な構成を説明する模式図である。 本発明による農作物収穫機の具体的な実施形態の1つであるコンバインの側面図である。 コンバインの平面図である。 収量センサと食味センサの配置を示す模式図である。 コンバインの制御系とこのコンバインに組み込まれたスマートフォンとにおける機能ブロック図である。 コンバインとこのコンバインに組み込まれたスマートフォンと乾燥施設との間における情報の流れを示すチャート図である。 食味測定機構の別実施形態を示す模式図である。
本発明による農作物収穫機の具体的な実施形態を説明する前に、図1を用いて本発明を特徴付けている基本的な構成を説明する。
図1に示すように、この農作物収穫機(以下単に収穫機と称する)1には、制御系として、収穫機1の走行を制御する走行制御ユニット53と、収穫機1の収穫作業装置を制御する作業制御ユニット54が備えられている。また、測定系として、収穫物を収納するタンクに収納されている収穫物の現状収量を算定する収量算定部51とが備えられている。さらに、データ処理系を構成するデータ処理モジュール6も備えられている。ここでは、制御系と測定系とは車載LANで接続されており、この車載LANとデータ処理モジュール6はデータ入出力部50と60とを介してデータ交換可能に接続されているが、もちろん、制御系と測定系とデータ処理モジュール6とを同一の車載LANで接続してもよい。
このデータ処理モジュール6には、通信部61、作業管理部62、報知部63、乾燥容量決定部64、乾燥依頼部65が含まれている。通信部61は、公衆LAN、携帯電話回線、インターネットなどの通信網を介して、データ処理モジュール6つまり収穫機1と遠隔地の乾燥施設7のコンピュータシステムとをデータ交換可能に接続する。乾燥施設7のコンピュータシステムは、後で詳しく説明するが、乾燥施設7に設置されている乾燥機群81、82・・・の稼働状況を示す乾燥機稼働情報が生成する。乾燥依頼部65が、乾燥施設7に乾燥機稼働情報をリクエストすることで、乾燥施設7は収穫機1に乾燥機稼働情報を送信する。
データ処理モジュール6は、収量算定部51で現状の収量を示す現状収量と、乾燥施設7から送られてきた乾燥機稼働情報とを受け取る。この現状収量と乾燥機稼働情報とから、その日に収穫された収穫物をその日のうちに乾燥するためには、残りどの程度収量が増加してもよいかどうか、つまりこの収穫機1による本日の収穫作業をいつ終了しなければならないかという終了タイミングを判定することができる。ここでは、乾燥容量決定部64が、受け取った乾燥機稼働情報から読み出されるデータから、乾燥施設7における本機のための当日持ち込み乾燥可能な持ち込み可能乾燥容量を決定する。また、乾燥施設7における乾燥機群81、82・・・の稼働状況は、時々刻々と変動するので、現状収量の算定や持ち込み可能乾燥容量の決定は、時間経過とともに繰り返し行われることが好ましい。決定された持ち込み可能乾燥容量が作業管理部62に転送されると、作業管理部62は、この持ち込み可能乾燥容量と収量算定部51から送られてきた現状収量とから、収穫作業の終了タイミングを判定する。まだ持ち込み可能乾燥容量が現状収量を大きく上回っている場合には、収穫作業は続行されるが、持ち込み可能乾燥容量と現状収量の差は小さくなった場合には、作業管理部62は、現時点が終了タイミングであるとし、収穫作業の中止を要求する作業中止コマンドを出力する。
なお、作業管理部62、乾燥容量決定部64、乾燥依頼部65は、説明をわかりやすくするために、独立した機能部として扱われているが、これらの機能部は、実質的にはプログラムの実行によって実現するものであり、統合化すること、またはさらに分割化することは自由である。
報知部63は、作業管理部62によって判定された作業中止コマンドを含む終了タイミングに関する情報を運転者に報知すべく、ディスプレイに表示データを出力する機能及びランプやブザーに駆動信号を出力する機能を有する。
乾燥施設7のコンピュータシステムは、通信部70、乾燥依頼処理部71、乾燥機稼働情報作成部72、データ入力部73を備えている。通信部70は、通信網を介して、データ処理モジュール6、つまり収穫機1との間でデータ交換を行う。乾燥依頼処理部71は、収穫機1から送られてきた乾燥依頼に基づいて、乾燥依頼の待ち行列を生成する。データ入力部73は、乾燥施設7における乾燥機群81、82・・・を制御している乾燥機制御ユニット80から乾燥機群81、82・・・の動作データを入力し、乾燥機稼働情報作成部72に転送する。乾燥機稼働情報作成部72は、受け取った動作データから、乾燥機群81、82・・・の稼働状況、例えば、待機している乾燥機の数やその乾燥容量、稼働中乾燥機の終了時間などを読み出し、乾燥依頼処理部71で生成されている待ち行列も考慮して乾燥機稼働情報を生成する。この乾燥機稼働情報は、収穫機1の乾燥依頼部65からのリクエストに応答して、現時点の乾燥機稼働情報を収穫機1に送信する。
上述した基本構成により、この収穫機1は、これまでに収穫した収穫物の収量と、乾燥施設7の現状の稼働状況とから、あとどれぐらい収穫しても乾燥施設7で本日中に乾燥可能であるかどうかを判定することができる。この判定結果に基づいて収穫作業の終了タイミングを報知することで、運転者は、可能な限り効率的に収穫作業を行うことができる。
一般的な収穫機1には、通信回線を通じて乾燥施設7との間でデータ通信できる通信部61は備えられていない。その場合には、データ処理モジュール6を、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの携帯通信端末で構築し、そのデータ入出力部60と、収穫機1のデータ入出力部50とをデータ伝送可能に接続する構成を採用することができる。このデータ入出力部60とデータ入出力部50の接続には、USB接続などの有線通信や、Wi−Fiなどの無線通信が適している。
次に、図面を用いて、本発明による農作物収穫機の具体的な実施形態の1つを説明する。ここでは農作物収穫機はクローラ式の自脱型コンバイン(以下単にコンバインと称する)1として構成されているので、その収穫物は穀粒である。図2にコンバイン1の側面図が示され、図3にコンバイン1の平面図が示されている。
コンバイン1は、角パイプ材などの複数の鋼材を連結した機体フレーム10を備えている。機体フレーム10の下部には左右一対のクローラ11を装備している。機体フレーム10における右半部の前側には、エンジンEが搭載され、その上部に運転部13が形成されている。運転部13には、運転席16、操縦レバー17、車載ディスプレイ18などが配置されている。機体フレーム10における左側の前端部には、作業走行時に機体の前方に位置する収穫対象の作物穀稈を刈り取って後方に搬送する刈取り部12が備えられている。機体フレーム10の左半部には、刈取り部12によって搬送された刈取穀稈を受け取って後方に搬送しながら刈取穀稈の着粒部に脱穀処理を施し、この脱穀処理で得た穀粒に選別処理を施す脱穀装置14が搭載されている。機体フレーム10における右半部の後側には、脱穀装置14からスクリュ揚送式の供給コンベヤ31を介して揚送搬出した穀粒を貯留する板金製の穀粒タンク15が搭載されている。穀粒タンク15には、穀粒タンク15に貯留した穀粒を機外へ排出する穀粒排出装置19が装備されている。図3と図4では、模式的にしか示されていないが、穀粒タンク15の下部に穀粒の重量を検出する収量センサ21が装備され、穀粒タンク15の内部に、食味センサ22を組み込んだ食味測定機構30が装備されている。食味センサ22からは、品質データとして穀粒の水分値とタンパク値の測定データが出力されるので、この食味センサ22は収穫物の水分測定センサとして用いることができる。
図4で模式的に示されているように、収量センサ21は、機体フレーム10に取り付けられたロードセルであり、このロードセルに穀粒タンク15が載置されている。つまり、この収量センサ21は、穀粒タンク15を含めてそこに貯留された穀粒の重さを測定することで収穫穀粒の収量を測定する。所定のサンプリング時間毎に収量センサ21によって増加量を算定することにより、所定時間当たりの収量が得られる。その際、走行速度を考慮すれば、所定距離当たりの収量を求めることも可能である。食味センサ22は、図4に模式的に示されているように、この実施形態では、穀粒タンク15の側壁に外側から装着された食味測定機構30に組み込まれている。食味測定機構30は、平行姿勢と垂れ下がり姿勢との間で開閉搖動する測定台30aを穀粒タンク内部側に備えている。測定台30aは上部開口と下部開口を有する筒状ケースで覆われている。また、測定台30aは、脱穀装置14から供給コンベヤ31によって搬送され、羽根車によって穀粒タンク15への投入口15aから放出された穀粒の一部が到達する位置に配置されている。これにより、水平姿勢の測定台30aは、投入口15aから飛翔してくる穀粒を受け止めることができる。所定量の穀粒が測定台30aに載った段階で、食味センサ22による測定が行われる。ここでは、分光分析が用いられており、穀粒水分やタンパク値の測定が可能であり、水分やタンパク、さらにはそれらの成分比から求められる食味値を測定値とすることができる。食味センサ22による測定が完了すれば、測定台30aは垂れ下がり姿勢に搖動され、これにより測定台30aの載せられていた穀粒が放出される。穀粒が放出され、次の測定サンプリング時間になれば、再び測定台30aが水平姿勢に搖動される。
この実施形態における乾燥施設7の構成要素は実質的に図1で示されたものと同じであるが、乾燥施設7の乾燥機群81、82・・・が、収穫物つまり穀粒の水分に応じて稼働するように構成されている。つまり、持ち込まれる穀粒の水分によりクラス分けを行い、そのクラス毎に乾燥作業が行われる。したがって、収穫物である穀粒の水分によって、当日の受け入れ可能な量が異なるので、乾燥機稼働情報には、穀粒の水分に応じた乾燥機稼働状況が含まれている。
さらに、図5から明らかなように、この実施形態では、データ処理モジュール6は、運転者が持参する携帯通信端末であるスマートフォンによって構築されている。以下に、コンバイン1の制御系と、このコンバイン1の制御系に組み込まれるスマートフォンとにおける機能部を説明する。
コンバイン1側の制御系に構築されている、本発明に関係する機能部は、走行制御ユニット53と、作業制御ユニット54と、センサ管理モジュール5と、車載ディスプレイ18に接続されている報知部63aと、データ入出力部50である。走行制御ユニット53は、車両走行に関する種々の制御情報を取り扱うECUであり、例えば、車載LANを通じてセンサ管理モジュール5から取得した、走行速度、エンジン回転数、走行距離、燃費などのデータを取り扱う。作業制御ユニット54は、刈取り部12や脱穀装置14などの刈取り収穫装置を制御するECUであり、センサ管理モジュール5から取得したセンサ情報に基づいて刈取り収穫装置の操作状態や稼働状態を示すデータを取り扱う。
センサ管理モジュール5には、本発明に特に関係するものとして、収量センサ21からの測定信号に基づいて、穀粒タンク15に貯留されている穀粒の現状収量を算定する収量算定部51、及び食味センサ22からの測定信号に基づいて穀粒の水分を算定する水分算定部52が構築されている。もちろん、センサ管理モジュール5は、上述した水分検出センサとして利用できる食味センサ22や収量センサ21以外に、走行速度センサや走行距離センサなど種々のセンサからの測定信号を入力して、他の機能部に転送する機能を有する。
データ入出力部50は、運転者が持参しているスマートフォンとデータ交換するための比較的近距離での通信を行う無線通信部であり、Wi−Fiやブルートゥース(登録商標)などのプロトコルで動作する。
図1の基本原理で説明された、作業管理部62と乾燥容量決定部64と乾燥依頼部65とは、ここでは、スマートフォンのアプリとして構築されている。このため、作業管理部62は、コンバイン側のデータ入出力部50とスマートフォン側のデータ入出力部60を通じて、収量算定部51と水分算定部52とから現状収量と貯留穀粒の水分を示すデータを受け取る。また、スマートフォンには、本来的に、所有者ID管理部66や通信網を通じてデータ伝送可能な通信部61やディスプレイ67に各種情報を表示する報知部63bが備わっている。従って、この実施形態では、所有者ID管理部66の機能を利用して、運転者の認証を行うことで、コンバイン1で生成された情報のセキュリティを確保することができる。また、通信部61を利用することで、特別な通信機能をコンバイン1に用意しなくても、遠隔地の乾燥施設7との間でデータ交換を行うことができる。さらには、スマートフォンの報知部63bを利用して、作業管理部62で判定された収穫作業の終了タイミングを運転者に報知する情報をディスプレイ67に表示することができる。
次に、図6のチャート図を用いて、コンバイン1とこのコンバイン1に組み込まれたスマートフォンと乾燥施設7との間における情報の流れ一例を説明する。
コンバイン1が収穫作業を始めると、作業制御ユニット54からスマートフォン(データ処理モジュール6)に作業開始イベントが送られる(#01)。作業開始イベントを受けることで、スマートフォンにおけるコンバイン作業管理に関するプログラムである、作業管理部62と乾燥容量決定部64と乾燥依頼部65が起動する。このコンバイン作業管理は所定時間間隔で行われるので、時間チェックが行われる(#02)。この時間条件が成立すれば、作業管理部62がコンバイン1のセンサ管理モジュール5に穀粒の収量と水分のデータをリクエストする(#03)。さらに、乾燥依頼部65が乾燥機センタ(コンピュータシステム)7に本日中の穀粒乾燥を依頼するために現状の乾燥機稼働情報をリクエストする(#04)。コンバイン1のセンサ管理モジュール5は、現状の収量と水分のデータをスマートフォンに返す(#05)。乾燥施設7の乾燥機稼働情報作成部72が穀粒水分別の乾燥機稼働状況を含む乾燥機稼働情報をスマートフォンに返す(#06)。
乾燥容量決定部64が、収穫穀粒の水分と乾燥機稼働情報とから持ち込み可能乾燥量を算定する(#07)。さらに作業管理部62が、現状収量と算定された持ち込み可能乾燥量とから収穫作業の終了タイミングを算定する(#08)。ここで算定された終了タイミングが現時点であるかどうか、つまりここで収穫作業を終了するかどうかを判定する(#10)。まだ収穫作業の終了まで時間がある場合は、その旨を中間報知としてスマートフォンのディスプレイ67(#11)及びコンバイン1の車載ディスプレイ18(#12)に報知する。その後、ステップ#02に戻り、次のコンバイン作業管理の開始時間まで待機する。
ステップ#10で終了タイミングが現時点であり、収穫作業の終了が判定されると、作業終了イベントが発生する(#13)。この作業終了イベントを受けて、スマートフォンのディスプレイ67には、収穫作業の終了を促すコメントが表示される(#14)。また、コンバイン1の車載ディスプレイ18には、収穫作業の終了を促す点滅表示が行われる。もちろん、スマートフォンのディスプレイ67や車載ディスプレイ18における表示形態はその他種々のものが採用可能である。また、スマートフォンのディスプレイ67での表示に代え、あるいは同時にスマートフォンを振動させて、運転者の注意を引くようにしてもよい。
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、乾燥施設7は単一であるとしていたが、複数の乾燥施設7がある場合には、複数の乾燥施設7から送られてくる乾燥機稼働情報から最適な乾燥施設7を選択するような構成を採用してもよい。
(2)上述した実施形態では、データ処理モジュール6は、コンバイン1の制御系または、運転者が持参するスマートフォンなどの携帯通信端末に構築されるとしたが、データ処理モジュール6を圃場から離れた場所に設置された通信機能付きコンピュータシステムに構築されてもよい。その場合、報知部63はコンバイン1側に装備されたものを利用することになる。
(3)上述した実施形態では、食味センサ22を組み込んだ食味測定機構30の測定台30aは、水平姿勢と垂れ下がり姿勢の間の搖動するものであったが、その他の構造を採用することも可能である。例えば、図7で模式的に示されているように、測定台30aを、食味測定機構30のボックス状のケースから進退移動させる構造を採用してもよい。その際、食味測定機構30は、伸長した状態の測定台30aが、脱穀装置14から供給コンベヤ31によって搬送され穀粒タンク15の投入口15aから放出される穀粒を受け止めることができるように配置される。この構造では、所定量の穀粒が測定台30aに載った段階で、測定台30aが食味測定機構30の内部に引き込み、食味センサ22による測定が行われる。
また、食味測定機構30の配置場所は、穀粒タンク15には限られず、脱穀装置14から穀粒タンク15への穀粒搬送経路3の適当な箇所に配置することも可能である。さらに、高速測定処理が可能な食味測定機構30を採用する場合には、搬送中の穀粒、特に投入口15aから放出された飛翔中の穀粒を測定対象とすることも可能である。
(4)上述した実施形態では、収量センサ21は、穀粒タンク15の底面の中央付近に配置された単一のロードセルで構成されていたが、より正確な測定を行うために、穀粒タンク15の底面の4つのコーナ領域にそれぞれロードセルを配置する構成を採用してもよい。
(5)上述した実施形態では、農作物収穫機として米、麦、トウモロコシなどの穀粒コンバインが取り扱われたが、これに限定されるわけでなく、乾燥が必要な農作物を収穫するすべての収穫機が本発明の対象となる。
本発明は、乾燥施設との間で乾燥処理に関する情報のやり取りを行う農作物収穫機に適用することができる。
1:農作物収穫機(コンバイン)
15:穀粒タンク
21:収量センサ(ロードセル)
22:食味センサ
51:収量算定部
52:水分算定部
61:通信部
62:作業管理部
63:報知部
64:乾燥容量算定部
65:乾燥依頼部
7:乾燥施設(コンピュータシステム)
71:乾燥依頼処理部
72:乾燥機稼働情報生成部
80:乾燥機制御ユニット
81,82:乾燥機

Claims (10)

  1. 収穫物を収納するタンクと、
    作業走行を行いながら前記タンクに収容されている収穫物の穀粒量を測定する収量センサと、
    前記収量センサからの測定信号に基づいて前記タンクに収納されている収穫物の現状収量を算定する収量算定部と、
    乾燥施設から送られてきた乾燥機稼働状況を示す乾燥機稼働情報を受け取る通信部と、
    前記現状収量と前記乾燥機稼働情報とに基づいて収穫作業の終了タイミングを判定する作業管理部と、
    前記終了タイミングを報知する報知部と、を備えた農作物収穫機。
  2. 前記乾燥機稼働情報から前記乾燥施設における本機のための当日持ち込み乾燥可能な持ち込み可能乾燥容量を決定する乾燥容量決定部が備えられており、前記作業管理部は前記現状収量と前記持ち込み可能乾燥容量とに基づいて前記終了タイミングを判定する請求項1に記載の農作物収穫機。
  3. 前記現状収量の算定または前記持ち込み可能乾燥容量の決定あるいはその両方が、時間経過とともに繰り返し行われ、その都度前記作業管理部が前記終了タイミングを再算定する請求項2に記載の農作物収穫機。
  4. 前記乾燥機稼働情報には収穫物の水分別の乾燥機稼働状況が含まれており、前記タンクに収納されている収穫物の水分を算定する水分算定部が備えられ、前記持ち込み可能乾燥容量が前記水分別の乾燥機稼働状況と前記収穫物の水分とに基づいて設定される請求項2または3に記載の農作物収穫機。
  5. 前記通信部が当該農作物収穫機の制御ユニットにデータ交換可能に接続される携帯通信端末に備えられている請求項1から4のいずれか一項に記載の農作物収穫機。
  6. 前記乾燥機稼働情報から前記乾燥施設における本機のための当日持ち込み乾燥可能な持ち込み可能乾燥容量を決定する乾燥容量決定部が備えられており、
    前記収量算定部と前記乾燥容量決定部と前記作業管理部との少なくとも1つが前記携帯通信端末に備えられている請求項5に記載の農作物収穫機。
  7. 収穫物をタンクに収容すると共に作業走行を行いながら前記タンクに収容されている収穫物の穀粒量を収量センサで測定する農作物収穫機の制御ユニットに対してデータ交換可能に接続される携帯通信端末に組み込まれる農作業管理プログラムであって、
    前記収量センサからの測定信号に基づいて前記タンクに収納されている収穫物の現状収量を算定する収量算定機能と、
    乾燥施設から送られた乾燥機稼働状況を示す乾燥機稼働情報を受け取る通信機能と、
    前記現状収量と前記乾燥機稼働情報とに基づいて収穫作業の終了タイミングを判定する作業管理機能と、
    前記終了タイミングを報知する報知機能と、をコンピュータに実現させる農作業管理プログラム。
  8. 前記乾燥機稼働情報から前記乾燥施設における本機のための当日持ち込み乾燥可能な持ち込み可能乾燥容量を決定する乾燥容量決定機能がさらに含まれ、前記現状収量と前記持ち込み可能乾燥容量とに基づいて前記終了タイミングが算定される請求項7に記載の農作業管理プログラム。
  9. 前記終了タイミングは、前記制御ユニットを介して前記農作物収穫機に搭載されている報知デバイスを通じて報知される請求項7または8に記載の農作業管理プログラム。
  10. 前記終了タイミングは、前記携帯通信端末に搭載されている報知デバイスを通じて報知される請求項7から9のいずれか一項に記載の農作業管理プログラム。
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