JP6057841B2 - 遅延時間差測定装置、フェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定方法 - Google Patents

遅延時間差測定装置、フェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定方法 Download PDF

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Description

この発明は、例えば、通信装置やレーダ装置などに搭載されるフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定装置及び遅延時間差測定方法と、その遅延時間差測定装置により測定された遅延時間差にしたがって信号処理系統における遅延処理での遅延時間が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置とに関するものである。
広帯域なフェーズドアレーアンテナ装置において、高周波信号の周波数に依らずに、同じ移相量を与える移相器(以下、「360度移相器」と称する)を用いて、各素子アンテナの励振位相が設定された場合、帯域内でビーム指向誤差やサイドローブレベルの上昇が発生する。
ビーム指向誤差やサイドローブレベルの上昇の発生を回避するため、実時間遅延手段と360度移相器を併用しているフェーズドアレーアンテナ装置が下記の特許文献1に開示されている。
しかし、実時間遅延手段と360度移相器を併用しているフェーズドアレーアンテナ装置でも、実時間遅延手段の設定値と実際の出力値との間に誤差がある場合には放射パターンが劣化する問題が生じる。
ここで、図14は放射パターンの一例を示す説明図である。
図14では、45度を理想的に指向している場合の放射パターンを破線で示し、実時間遅延手段の設定値と実際の出力値との間に誤差がある場合の放射パターンを実線で示している。
図14から明らかなように、遅延時間に誤差が有る場合、指向方向のずれや、サイドローブレベルの上昇が生じている。
以下の特許文献2に開示されているフェーズドアレーアンテナ装置では、実時間遅延手段の設定値と実際の出力値との間に誤差がある場合の放射パターンの劣化を解消するため、予め、実時間遅延手段の実際の出力値を測定して実際の出力値を保持し、実時間遅延手段の設定値と実際の出力値との間に誤差があれば、保持している実際の出力値を参照して、360度移相器の移相量を設定するようにしている。
ただし、例えば、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延は補正することができない。
また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができない。また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた後に、再調整が必要になった場合には、フェーズドアレーアンテナ装置を分解して、有線区間の遅延時間を測定する必要があるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置には適用することができない。
なお、フェーズドアレーアンテナ装置の全体を構成した上で、空間を介した測定を行って各素子アンテナの位相を校正する方法が以下の特許文献3に開示されている。
しかし、この方法は、位相の測定や校正を目的としており、実時間遅延の測定や校正には適用することができない。
特開平11−340723号公報(段落番号[0006]) 特開2002−076743号公報(段落番号[0007]) 特開昭57−162803号公報
従来のフェーズドアレーアンテナ装置は以上のように構成されているので、予め、実時間遅延手段の実際の出力値を測定して実際の出力値を保持するようにすれば、実時間遅延手段の設定値と実際の出力値との間に誤差がある場合の放射パターンの劣化を解消することができる。しかし、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延は補正することができない。また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができない課題があった。
また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた後に、再調整が必要になった場合には、フェーズドアレーアンテナ装置を分解しなければ、有線区間の遅延時間を測定することができず、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置には適用することができない課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた後でも、事前不明部分を含む各々の信号処理系統間の遅延時間差を測定することができる遅延時間差測定装置及び遅延時間差測定方法を得ることを目的とする。
また、この発明は、上記の遅延時間差測定装置により測定された遅延時間差にしたがって遅延時間が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置を得ることを目的とする。
この発明に係る遅延時間差測定装置は、複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択手段と、信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナから高周波信号を送信させる信号送信制御手段と、上記素子アンテナから送信された高周波信号を受信する高周波信号受信手段と、高周波信号受信手段により受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定手段とを設け、遅延時間差推定手段が、電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定するようにしたものである。
この発明によれば、高周波信号受信手段により受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定手段を設け、遅延時間差推定手段が、電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定するように構成したので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた後でも、事前不明部分を含む各々の信号処理系統間の遅延時間差を測定することができる効果がある。
この発明の実施の形態1によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による遅延時間差測定装置の処理内容(遅延時間差測定方法)を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による遅延時間差測定装置の遅延時間差推定部23を示す構成図である。 高周波信号の周波数fと受信電界レベル|E|の関係を示す説明図である。 隣り合う受信電界レベル|E|のピーク点から受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定する例を示す説明図である。 受信電界レベル|E|の2乗値における隣り合う極大値から受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定する例を示す説明図である。 2本の直線の交点をヌル点とみなして、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定する例を示す説明図である。 この発明の実施の形態2によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態2による遅延時間差測定装置の処理内容(遅延時間差測定方法)を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による遅延時間差測定装置の遅延時間差推定部24を示す構成図である。 この発明の実施の形態3によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態4によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態5によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。 放射パターンの一例を示す説明図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。
図1において、フェーズドアレーアンテナ装置1は信号源2、実時間遅延部(TTD)3、360度移相器4及び素子アンテナ5から構成されている。
信号源2は制御部13が指示する周波数の高周波信号を発生し、その高周波信号をN個の実時間遅延部3−n(n=1,2,・・・,N)に出力する信号発生回路である。
実時間遅延部3−n(n=1,2,・・・,N)は遅延時間が異なる複数の遅延素子と、複数の遅延素子の中から、ユーザにより指定された1つの遅延素子を選択する選択スイッチとから構成されており、現在選択されている遅延素子を用いて、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施する。
360度移相器4−n(n=1,2,・・・,N)は実時間遅延部3−nによる遅延処理後の高周波信号に対する位相可変処理を実施する。
なお、実時間遅延部3−n及び360度移相器4−nから信号処理系統が構成されている。
以下、説明の便宜上、実時間遅延部3−1と360度移相器4−1からなる信号処理系統を系統(1)、実時間遅延部3−2と360度移相器4−2からなる信号処理系統を系統(2)、実時間遅延部3−3と360度移相器4−3からなる信号処理系統を系統(3)のように表記する。
素子アンテナ5−n(n=1,2,・・・,N)は360度移相器4−nによる位相可変処理後の高周波信号を送信する部材である。
受信アンテナ11はフェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−nから送信された高周波信号を受信する部材である。なお、受信アンテナ11は高周波信号受信手段を構成している。
電界強度測定器12は受信アンテナ11により受信された高周波信号の電界強度を測定する処理を実施する。なお、電界強度測定器12は電界強度測定手段を構成している。
制御部13は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、フェーズドアレーアンテナ装置1に対する制御や、信号処理系統間の遅延時間差を推定する処理などを実施する。
制御部13の信号処理系統選択部21はN個の信号処理系統の中から、任意の2つの信号処理系統を選択する処理を実施する。なお、信号処理系統選択部21は信号処理系統選択手段を構成している。
例えば、信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
制御部13の信号送信制御部22は信号源2により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナ5から高周波信号を送信させる処理を実施する。なお、信号送信制御部22は信号送信制御手段を構成している。
制御部13の遅延時間差推定部23は電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する処理を実施する。なお、遅延時間差推定部23は遅延時間差推定手段を構成している。
図1の例では、遅延時間差測定装置の構成要素である受信アンテナ11、電界強度測定器12及び制御部13のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、例えば、遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されていてもよい。
遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されている場合、電界強度測定器12及び制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による遅延時間差測定装置の処理内容(遅延時間差測定方法)を示すフローチャートである。
図3はこの発明の実施の形態1による遅延時間差測定装置の遅延時間差推定部23を示す構成図であり、図3において、第1の伝搬時間差算出部31は例えば信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する処理を実施する。
第2の伝搬時間差算出部32は例えば信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、例えば、受信アンテナ11から素子アンテナ5−1,5−2までを測距することで、素子アンテナ5−1から受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airと、素子アンテナ5−2から受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airとの差分である第2の伝搬時間差(Air−Air)を算出する処理を実施する。
遅延時間差算出部33は第1の伝搬時間差算出部31により算出された第1の伝搬時間差Tと、第2の伝搬時間差算出部32により算出された第2の伝搬時間差(Air−Air)との差分を2つの信号処理系統間の遅延時間差(Wire−Wire)として算出する処理を実施する。
次に動作について説明する。
この実施の形態1では、N個の信号処理系統における高周波信号の伝搬時間差、即ち、フェーズドアレーアンテナ装置1における各系統の有線区間での伝搬時間差を遅延時間差として推定する。
具体的には、以下の通りである。
まず、制御部13の信号処理系統選択部21は、N個の信号処理系統の中から、任意の2つの信号処理系統を選択する(図2のステップST1)。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
制御部13の信号送信制御部22は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、高周波信号の周波数のスイープを指示するスイープ指令を信号源2に出力する(ステップST2)。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(1)の実時間遅延部3−1は、複数の遅延素子のうち、ユーザにより指定された1つの遅延素子が選択されており、現在選択されている遅延素子を用いて、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−1に出力する。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、複数の遅延素子のうち、ユーザにより指定された1つの遅延素子が選択されており、現在選択されている遅延素子を用いて、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(1)の360度移相器4−1は、実時間遅延部3−1から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−1に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2に出力する。
これにより、素子アンテナ5−1から高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2から高周波信号が送信される。
受信アンテナ11は、フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−1,5−2から送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を電界強度測定器12に出力する。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、その高周波信号の電界強度を測定する(ステップST3)。
ここで、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)とが完全に等しい場合、信号源2から発生される高周波信号の周波数をスイープしても、受信アンテナ11で合成される系統(1)の高周波信号と系統(2)の高周波信号との位相差が変化しない。
このため、アンテナ等の周波数特性が無いものとすれば、電界強度測定器12により測定される電界強度は、伝搬損失の周波数特性程度の変化になる。
一方、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との間に差がある場合には、電界強度測定器12により測定される電界強度(複素受信電界)をEとすると、複素受信電界Eの絶対値をとった受信電界レベル|E|は、下記の式(1)のように表される。
Figure 0006057841
式(1)において、Tは信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分(第1の伝搬時間差)である。また、fは高周波信号の周波数である。
T=±((Wire+Air)−(Wire+Air)) (2)
信号源2が信号送信制御部22の制御の下で、高周波信号の周波数fをスイープすると、式(1)に示す受信電界レベル|E|は周期的に変化する。
図4は高周波信号の周波数fと受信電界レベル|E|の関係を示す説明図である。
図4に示すように、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域(例えば、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点の間)をFとすると、下記の式(3)に示す関係が成立する。
F×(±T)=1
T=±(1/F) (3)
したがって、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fが分かれば、式(3)より、第1の伝搬時間差Tを算出することができる。ただし、第1の伝搬時間差Tの符号は分からないので、+T、または、−Tのいずれかが正しいという結果にとどまる。
そこで、遅延時間差推定部23の第1の伝搬時間差算出部31は、電界強度測定器12により測定された電界強度Eの受信電界レベル|E|の変動を監視して、その受信電界レベル|E|の変動周期(受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域F)を特定する。
受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fは、図4に示すように、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点を検出することで特定してもよいが、図5に示すように、隣り合う受信電界レベル|E|のピーク点を検出することで特定してもよい。
また、受信電界レベル|E|の2乗値は、図6に示すように、余弦状に変化するので、受信電界レベル|E|の2乗値を算出し、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、受信電界レベル|E|の2乗値における隣り合う極大値に対応する周波数の間隔を特定するようにしてもよい。
また、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、受信電界レベル|E|の2乗値における隣り合う極小値に対応する周波数の間隔を特定するようにしてもよい。
ここでは、受信電界レベル|E|の2乗値における極大値の中から、隣接している任意の2つの極大値を選択し、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、2つの極大値に対応する周波数の間隔を求めるものを示したが、全ての極大値に対応する周波数の間隔が一定であるとは限らないので、受信電界レベル|E|の2乗値における極大値の中から、隣接している2つの極大値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極大値に対応する周波数の間隔を求め、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出するようにしてもよい。
同様に、受信電界レベル|E|の2乗値における極小値の中から、隣接している2つの極小値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極小値に対応する周波数の間隔を求め、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出するようにしてもよい。
さらに、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fは、電界強度測定器12により測定された電界強度Eをフーリエ変換し、その変換結果から特定するようにしてもよい。
なお、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点を検出することで、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定する際、ヌル点を検出することが困難な場合がある。このような場合、図7に示すように、●で表している8点を用いて直線を4本引き、2本の直線の交点をヌル点とみなして、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定するようにしてもよい。
遅延時間差推定部23の第1の伝搬時間差算出部31は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(3)に代入して、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する(ステップST4)。
遅延時間差推定部23の第2の伝搬時間差算出部32は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、例えば、受信アンテナ11から素子アンテナ5−1,5−2までを測距することで、素子アンテナ5−1から受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airと、素子アンテナ5−2から受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airとを求め、その伝搬時間Airと伝搬時間Airの差分である第2の伝搬時間差(Air−Air)を算出する。なお、伝搬時間Air,Airは、言うまでもないが、無線区間(空間)の伝搬時間である。
遅延時間差推定部23の遅延時間差算出部33は、第1の伝搬時間差算出部31が第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を算出し、第2の伝搬時間差算出部32が第2の伝搬時間差(Air−Air:無線区間の伝搬時間差)を算出すると、第1の伝搬時間差Tから第2の伝搬時間差(Air−Air)を減算することで、系統(1)と系統(2)間の有線区間の伝搬時間差である遅延時間差(Wire−Wire)を算出する(ステップST5)。
ここまでは、信号処理系統選択部21が、N個の信号処理系統の中から、系統(1)と系統(2)を選択している例を説明したが、順番に、系統(2)と系統(3)、系統(3)と系統(4)、・・・、系統(N−1)と系統(N)を選択して同様の処理を実施すれば、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
制御部13は、遅延時間差算出部33が全ての系統間の遅延時間差(有線区間の伝搬時間差)を算出すると、それらの遅延時間差にしたがって実時間遅延部3−1〜3−Nにおける遅延処理での遅延時間を校正する。即ち、有線区間の伝搬時間差が相殺されるように、実時間遅延部3−1〜3−Nが用いる遅延素子を選択することで、遅延が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置を得るようにする。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、受信アンテナ11により受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定器12を設け、遅延時間差推定部23が、電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定するように構成したので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後でも、事前不明部分を含む各々の信号処理系統間の遅延時間差を測定することができる効果を奏する。
したがって、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置1の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延を補正することができるとともに、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができる。
また、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後に、再調整が必要になった場合でも、フェーズドアレーアンテナ装置1を分解せずに、有線区間の伝搬時間差を測定することができるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置にも適用することができる。
なお、この実施の形態1では、遅延時間差推定部23が、電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定するものを示したが、遅延時間差推定部23が、予め、2つの信号処理系統間における各々の遅延時間差に対応する電界強度を保持しておき、各々の遅延時間差に対応する電界強度の中から、電界強度測定器12により測定された電界強度と最も相関が高い電界強度を特定し、その電界強度に対応する遅延時間差を2つの信号処理系統間の遅延時間差として推定するようにしてもよい。
即ち、遅延時間差推定部23は、各々の遅延時間差に対応する電界強度を計算(例えば、コンピュータでシミュレーションを実施することで、各々の遅延時間差に対応する電界強度を計算)し、その計算結果をメモリに格納する。
遅延時間差推定部23は、電界強度測定器12が電界強度を測定すると、メモリに格納されている各々の遅延時間差に対応する電界強度と、電界強度測定器12により測定された電界強度との相関を求める。相関を求める処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
遅延時間差推定部23は、メモリに格納されている各々の遅延時間差に対応する電界強度の中から、電界強度測定器12により測定された電界強度と最も相関が高い電界強度を特定し、その電界強度に対応する遅延時間差を2つの信号処理系統間の遅延時間差として推定する。
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
制御部13の遅延時間差推定部24は電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する処理を実施する。なお、遅延時間差推定部24は遅延時間差推定手段を構成している。
図8の例では、遅延時間差測定装置の構成要素である受信アンテナ11、電界強度測定器12及び制御部13のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、例えば、遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されていてもよい。
遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されている場合、電界強度測定器12及び制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図9はこの発明の実施の形態2による遅延時間差測定装置の処理内容(遅延時間差測定方法)を示すフローチャートである。
図10はこの発明の実施の形態2による遅延時間差測定装置の遅延時間差推定部24を示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第1の伝搬時間差算出部41は例えば信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する処理を実施する。
遅延処理時間差算出部42は例えば信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、実時間遅延部3−1における伝搬時間(遅延処理での遅延時間TTD)と、実時間遅延部3−2における伝搬時間(遅延処理での遅延時間TTD)との差分である遅延処理時間差(TTD−TTD)を算出する処理を実施する。
遅延時間差算出部43は2つの信号処理系統間の遅延時間差(Wire−Wire)として、第1の伝搬時間差算出部41により算出された第1の伝搬時間差Tから、第2の伝搬時間差算出部32により算出された第2の伝搬時間差(Air−Air)と遅延処理時間差算出部42により算出された遅延処理時間差(TTD−TTD)を減算する処理を実施する。
上記実施の形態1では、信号源2から素子アンテナ5−nに至るまでの遅延時間差を推定するものを示したが、この実施の形態2では、その遅延時間差から実時間遅延部3−2における遅延処理での遅延時間を除いた遅延時間差(信号源2から実時間遅延部3−nに至るまでの遅延時間差と、実時間遅延部3−nから素子アンテナ5−nに至るまでの遅延時間差との合計)を推定するものについて説明する。
まず、制御部13の信号処理系統選択部21は、上記実施の形態1と同様に、N個の信号処理系統の中から、任意の2つの信号処理系統を選択する(図9のステップST11)。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
信号処理系統選択部21は、系統(1)と系統(2)を選択すると、系統(1)の実時間遅延部3−1における遅延処理での遅延時間(TTD)を設定するとともに、系統(2)の実時間遅延部3−1における遅延処理での遅延時間(TTD)を設定する(ステップST12)。
ただし、遅延時間(TTD)と遅延時間(TTD)は異なる時間であり、双方の遅延処理に時間差を持たせるようにする。
制御部13の信号送信制御部22は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、上記実施の形態1と同様に、高周波信号の周波数のスイープを指示するスイープ指令を信号源2に出力する(ステップST13)。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(1)の実時間遅延部3−1は、先に設定された遅延時間(TTD)だけ、信号源2により発生された高周波信号を遅延する処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−1に出力する。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、先に設定された遅延時間(TTD)だけ、信号源2により発生された高周波信号を遅延する処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(1)の360度移相器4−1は、実時間遅延部3−1から遅延処理後の高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−1に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2に出力する。
これにより、素子アンテナ5−1から高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2から高周波信号が送信される。
受信アンテナ11は、上記実施の形態1と同様に、フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−1,5−2から送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を電界強度測定器12に出力する。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号の電界強度を測定する(ステップST14)。
ここで、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)とが完全に等しい場合、信号源2から発生される高周波信号の周波数をスイープしても、受信アンテナ11で合成される系統(1)の高周波信号と系統(2)の高周波信号との位相差が変化しない。
このため、アンテナ等の周波数特性が無いものとすれば、電界強度測定器12により測定される電界強度は、伝搬損失の周波数特性程度の変化になる。
一方、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)との間に差がある場合には、電界強度測定器12により測定される電界強度(複素受信電界)をEとすると、複素受信電界Eの絶対値をとった受信電界レベル|E|は、下記の式(4)のように表される。
Figure 0006057841
式(4)において、Tは信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)との差分(第1の伝搬時間差)である。また、fは高周波信号の周波数である。
T=±((Wire+TTD+Air)−(Wire+TTD+Air)) (5)
上記実施の形態1でも説明したように、信号源2が信号送信制御部22の制御の下で、高周波信号の周波数fをスイープすると、式(4)に示す受信電界レベル|E|は周期的に変化する。
図4に示すように、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域(例えば、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点の間)をFとすると、下記の式(6)に示す関係が成立する。
F×(±T)=1
T=±(1/F) (6)
したがって、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fが分かれば、式(6)より、第1の伝搬時間差Tを算出することができる。ただし、第1の伝搬時間差Tの符号は分からないので、+T、または、−Tのいずれかが正しいという結果にとどまる。
そこで、遅延時間差推定部24の第1の伝搬時間差算出部41は、電界強度測定器12により測定された電界強度Eの受信電界レベル|E|の変動を監視して、その受信電界レベル|E|の変動周期(受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域F)を特定する。
受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fの特定方法は、上記実施の形態1における第1の伝搬時間差算出部31が用いる方法と同様であるため詳細な説明を省略する。
第1の伝搬時間差算出部41は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(6)に代入して、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+TTD+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する(ステップST15)。
遅延時間差推定部24の第2の伝搬時間差算出部32は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、上記実施の形態1と同様に、例えば、受信アンテナ11から素子アンテナ5−1,5−2までを測距することで、素子アンテナ5−1から受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airと、素子アンテナ5−2から受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airとを求め、その伝搬時間Airと伝搬時間Airの差分である第2の伝搬時間差(Air−Air)を算出する。
遅延時間差推定部24の遅延処理時間差算出部42は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択して、系統(1)の実時間遅延部3−1における遅延処理での遅延時間をTTDに設定し、系統(2)の実時間遅延部3−2における遅延処理での遅延時間をTTDに設定すると、その遅延時間(TTD)と遅延時間(TTD)との差分である遅延処理時間差(TTD−TTD)を算出する。
遅延時間差推定部24の遅延時間差算出部43は、第1の伝搬時間差算出部41が第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を算出し、第2の伝搬時間差算出部32が第2の伝搬時間差(Air−Air:無線区間の伝搬時間差)を算出し、遅延処理時間差算出部42が遅延処理時間差(TTD−TTD)を算出すると、第1の伝搬時間差算出部41により算出された第1の伝搬時間差Tから、第2の伝搬時間差(Air−Air)と遅延処理時間差(TTD−TTD)を減算することで、系統(1)と系統(2)間の有線区間の伝搬時間差である遅延時間差(Wire−Wire)を算出する(ステップST16)。
ここまでは、信号処理系統選択部21が、N個の信号処理系統の中から、系統(1)と系統(2)を選択している例を説明したが、順番に、系統(2)と系統(3)、系統(3)と系統(4)、・・・、系統(N−1)と系統(N)を選択して同様の処理を実施すれば、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
制御部13は、遅延時間差算出部43が全ての系統間の遅延時間差(有線区間の伝搬時間差)を算出すると、それらの遅延時間差にしたがって実時間遅延部3−1〜3−Nにおける遅延処理での遅延時間を校正する。即ち、有線区間の伝搬時間差が相殺されるように、実時間遅延部3−1〜3−Nが用いる遅延素子を選択することで、遅延が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置を得るようにする。
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、受信アンテナ11により受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定器12を設け、遅延時間差推定部23が、電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定するように構成したので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後でも、事前不明部分を含む各々の信号処理系統間の遅延時間差を測定することができる効果を奏する。
したがって、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置1の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延を補正することができるとともに、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができる。
また、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後に、再調整が必要になった場合でも、フェーズドアレーアンテナ装置1を分解せずに、有線区間の伝搬時間差を測定することができるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置にも適用することができる。
なお、この実施の形態2では、遅延時間(TTD)と遅延時間(TTD)を異なる時間に設定して、実時間遅延部3−1と実時間遅延部3−2の遅延処理に時間差を持たせているので、第1の伝搬時間差算出部41により算出される第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を大きくすることができる。その結果、狭い周波数間隔で受信電界レベル|E|が変化するため、必要な周波数帯域を狭くすることができる。
実施の形態3.
図11はこの発明の実施の形態3によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1及び図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
360度移相器4−na及び360度移相器4−nbは実時間遅延部3−nと接続されており、実時間遅延部3−nによる遅延処理後の高周波信号に対する位相可変処理を実施する。
なお、実時間遅延部3−n及び360度移相器4−na,4−nbから信号処理系統が構成されている。
以下、説明の便宜上、実時間遅延部3−1と360度移相器4−1a,4−1bからなる信号処理系統を系統(1)、実時間遅延部3−2と360度移相器4−2a,4−2bからなる信号処理系統を系統(2)、実時間遅延部3−3と360度移相器4−3a,4−3bからなる信号処理系統を系統(3)のように表記する。
素子アンテナ5−naは360度移相器4−naによる位相可変処理後の高周波信号を送信する部材である。
素子アンテナ5−nbは360度移相器4−nbによる位相可変処理後の高周波信号を送信する部材である。
制御部13の信号送信制御部25は図1及び図8の信号送信制御部22と同様に、信号源2により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナ5から高周波信号を送信させる処理を実施するほか、信号処理系統選択部21により選択された信号処理系統と接続されている素子アンテナ5−na,5−nbの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施する。なお、信号送信制御部25は信号送信制御手段を構成している。
制御部13の遅延時間差推定部26は信号送信制御部25により素子アンテナが切り替えられる毎に、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定し、複数の推定結果の平均値を算出する処理を実施する。なお、遅延時間差推定部26は遅延時間差推定手段を構成している。
図11の例では、遅延時間差測定装置の構成要素である受信アンテナ11、電界強度測定器12及び制御部13のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、例えば、遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されていてもよい。
遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されている場合、電界強度測定器12及び制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
この実施の形態3では、各々の信号処理系統に対して、2本の素子アンテナ5−na,5−nbが接続されている点で、上記実施の形態1,2と相違している。
遅延時間差推定部26が信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する際には、信号送信制御部25が、2本の素子アンテナ5−na,5−nbの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替えるようにする。
具体的には、以下の通りである。
まず、制御部13の信号処理系統選択部21は、上記実施の形態1,2と同様に、N個の信号処理系統の中から、任意の2つの信号処理系統を選択する。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
制御部13の信号送信制御部25は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、系統(1)と接続されている素子アンテナ5−1a,5−1bの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施する。
また、系統(2)と接続されている素子アンテナ5−2a,5−2bの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施する。
ここでは、説明の便宜上、素子アンテナ5−1a,5−2aから高周波信号を送信させたのち、素子アンテナ5−1b,5−2bから高周波信号を送信させるように切り替えるものとする。
なお、上記実施の形態2と同様に、信号処理系統選択部21が、実時間遅延部3−1,3−2における遅延処理での遅延時間(TTD)(TTD)を設定するようにしてもよいが、ここでは説明の簡単化のため、特に遅延時間(TTD)(TTD)を設定しないものとして説明する。
信号送信制御部25は、高周波信号を送信させる素子アンテナを素子アンテナ5−1a,5−2aに設定すると、高周波信号の周波数のスイープを指示するスイープ指令を信号源2に出力する。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(1)の実時間遅延部3−1は、上記実施の形態1と同様に、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−1に出力する。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、上記実施の形態1と同様に、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(1)の360度移相器4−1は、実時間遅延部3−1から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−1aに出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2aに出力する。
これにより、素子アンテナ5−1aから高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2aから高周波信号が送信される。
受信アンテナ11は、フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−1a,5−2aから送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を電界強度測定器12に出力する。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号の電界強度を測定する。
遅延時間差推定部26は、図1の遅延時間差推定部23における第1の伝搬時間差算出部31と同様に、電界強度測定器12により測定された電界強度Eの受信電界レベル|E|の変動を監視して、その受信電界レベル|E|の変動周期(受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域F)を特定する。
遅延時間差推定部26は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(3)に代入して、信号源2から素子アンテナ5−1aを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から素子アンテナ5−2aを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する。
遅延時間差推定部26は、図1の遅延時間差推定部23における第2の伝搬時間差算出部32と同様に、例えば、受信アンテナ11から素子アンテナ5−1a,5−2aまでを測距することで、素子アンテナ5−1aから受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airと、素子アンテナ5−2aから受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airとを求め、その伝搬時間Airと伝搬時間Airの差分である第2の伝搬時間差(Air−Air)を算出する。
遅延時間差推定部26は、図1の遅延時間差推定部23における遅延時間差算出部33と同様に、第1の伝搬時間差算出部31が第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を算出し、第2の伝搬時間差算出部32が第2の伝搬時間差(Air−Air:無線区間の伝搬時間差)を算出すると、第1の伝搬時間差Tから第2の伝搬時間差(Air−Air)を減算することで、系統(1)と系統(2)間の有線区間の伝搬時間差である遅延時間差(Wire−Wire)を算出する。
次に、制御部13の信号送信制御部25は、高周波信号を送信させる素子アンテナを素子アンテナ5−1b,5−2bに切り替えて、高周波信号の周波数のスイープを指示するスイープ指令を信号源2に出力する。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(1)の実時間遅延部3−1は、上記実施の形態1と同様に、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−1に出力する。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、上記実施の形態1と同様に、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(1)の360度移相器4−1は、実時間遅延部3−1から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−1bに出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2bに出力する。
これにより、素子アンテナ5−1bから高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2bから高周波信号が送信される。
受信アンテナ11は、フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−1b,5−2bから送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を電界強度測定器12に出力する。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号の電界強度を測定する。
遅延時間差推定部26は、図1の遅延時間差推定部23における第1の伝搬時間差算出部31と同様に、電界強度測定器12により測定された電界強度Eの受信電界レベル|E|の変動を監視して、その受信電界レベル|E|の変動周期(受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域F)を特定する。
遅延時間差推定部26は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(3)に代入して、信号源2から素子アンテナ5−1bを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、信号源2から素子アンテナ5−2bを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する。
遅延時間差推定部26は、図1の遅延時間差推定部23における第2の伝搬時間差算出部32と同様に、例えば、受信アンテナ11から素子アンテナ5−1b,5−2bまでを測距することで、素子アンテナ5−1bから受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airと、素子アンテナ5−2bから受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airとを求め、その伝搬時間Airと伝搬時間Airの差分である第2の伝搬時間差(Air−Air)を算出する。
遅延時間差推定部26は、図1の遅延時間差推定部23における遅延時間差算出部33と同様に、第1の伝搬時間差算出部31が第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を算出し、第2の伝搬時間差算出部32が第2の伝搬時間差(Air−Air:無線区間の伝搬時間差)を算出すると、第1の伝搬時間差Tから第2の伝搬時間差(Air−Air)を減算することで、系統(1)と系統(2)間の有線区間の伝搬時間差である遅延時間差(Wire−Wire)を算出する。
遅延時間差推定部26は、素子アンテナ5−1a,5−2aが高周波信号を送信しているときの遅延時間差(Wire−Wire)と、素子アンテナ5−1b,5−2bが高周波信号を送信しているときの遅延時間差(Wire−Wire)とを算出すると、双方の算出結果の平均値を算出し、最終的に、その平均値を系統(1)と系統(2)間の有線区間の伝搬時間差である遅延時間差(Wire−Wire)とする。
ここまでは、信号処理系統選択部21が、N個の信号処理系統の中から、系統(1)と系統(2)を選択している例を説明したが、順番に、系統(2)と系統(3)、系統(3)と系統(4)、・・・、系統(N−1)と系統(N)を選択して同様の処理を実施すれば、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
制御部13は、遅延時間差算出部43が全ての系統間の遅延時間差(有線区間の伝搬時間差)を算出すると、それらの遅延時間差にしたがって実時間遅延部3−1〜3−Nにおける遅延処理での遅延時間を校正する。即ち、有線区間の伝搬時間差が相殺されるように、実時間遅延部3−1〜3−Nが用いる遅延素子を選択することで、遅延が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置を得るようにする。
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、制御部13の信号送信制御部25が、信号処理系統選択部21により選択された信号処理系統と接続されている素子アンテナ5−na,5−nbの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施し、遅延時間差推定部26が、信号送信制御部25により素子アンテナが切り替えられる毎に、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定して、複数の推定結果の平均値を算出するように構成したので、2つの信号処理系統間の遅延時間差の測定精度を高めることができる効果を奏する。
図11では、1つの信号処理系統に対して、2本の素子アンテナ5が接続されているフェーズドアレーアンテナ装置の例を示しているが、3本以上の素子アンテナ5が接続されていてもよい。
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、1つの信号源2が高周波信号をN個の実時間遅延部3−nに分配している例を示したが、実時間遅延部3−n毎に、信号源2を備えるようにしてもよい。
図12はこの発明の実施の形態4によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1、図8及び図11と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
信号源2−n(n=1,2,・・・,N)は制御部13が指示する周波数の高周波信号を発生し、その高周波信号を実時間遅延部3−nに出力する信号発生回路である。信号源間2−1〜2−Nは互いに位相及び周波数が同期している。
図12の例では、信号源2−nと実時間遅延部3−nが一体化されているダイレクトディジタルシンセサイザ6−nが実装されている。
遅延時間差測定装置の処理内容は、上記実施の形態1〜3と同様であるため詳細な説明を省略するが、上記実施の形態2のように、各信号処理系統における実時間遅延部3−nの間に遅延時間差を付加する場合、ダイレクトディジタルシンセサイザ6−nを実装していれば、遅延時間をディジタル的に付加することができる。したがって、遅延時間を柔軟に設定することができるため、受信電界レベル|E|が変動する周期を簡単に調整することができる。
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、フェーズドアレーアンテナ装置が高周波信号を送信する例を示したが、フェーズドアレーアンテナ装置が高周波信号を受信するものであってもよい。
図13はこの発明の実施の形態5によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
送信アンテナ51は信号源2により発生された高周波信号をフェーズドアレーアンテナ装置1に送信する部材である。
電界強度測定器52は信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統における実時間遅延部3から出力された高周波信号の電界強度を測定する処理を実施する。なお、電界強度測定器52は電界強度測定手段を構成している。
図13の例では、遅延時間差測定装置の構成要素である信号源2、送信アンテナ51及び制御部13のそれぞれが専用のハードウェアで構成されているものを想定しているが、例えば、遅延時間差測定装置の一部である制御部13がコンピュータで構成されていてもよい。
遅延時間差測定装置の一部である制御部13がコンピュータで構成されている場合、制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
この実施の形態5では、上記実施の形態1における図1の制御部13を遅延時間差測定装置に適用する例を説明するが、上記実施の形態2〜4における図8、図11及び図12の制御部13を適用してもよい。
次に動作について説明する。
この実施の形態5では、N個の信号処理系統における高周波信号の伝搬時間差、即ち、フェーズドアレーアンテナ装置1における各系統の有線区間での伝搬時間差を遅延時間差として推定する。
具体的には、以下の通りである。
まず、制御部13の信号処理系統選択部21は、N個の信号処理系統の中から、任意の2つの信号処理系統を選択する。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
制御部13の信号送信制御部22は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、高周波信号の周波数のスイープを指示するスイープ指令を信号源2に出力する。
信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生し、その高周波信号を送信アンテナ51に出力する。
これにより、送信アンテナ51から周波数が順次変化する高周波信号がフェーズドアレーアンテナ装置1に送信される。
フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−1は、送信アンテナ51から送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を系統(1)の360度移相器4−1に出力する。
フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−2は、送信アンテナ51から送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を系統(2)の360度移相器4−2に出力する。
系統(1)の360度移相器4−1は、素子アンテナ5−1から高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を実時間遅延部3−1に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、素子アンテナ5−2から高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を実時間遅延部3−2に出力する。
系統(1)の実時間遅延部3−1は、複数の遅延素子のうち、ユーザにより指定された1つの遅延素子が選択されており、現在選択されている遅延素子を用いて、360度移相器4−1から出力された位相可変処理後の高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を電界強度測定器52に出力する。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、複数の遅延素子のうち、ユーザにより指定された1つの遅延素子が選択されており、現在選択されている遅延素子を用いて、360度移相器4−2から出力された位相可変処理後の高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を電界強度測定器52に出力する。
電界強度測定器52は、実時間遅延部3−1,3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号の電界強度を測定する。
ここで、送信アンテナ51から系統(1)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、送信アンテナ51から系統(2)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)とが完全に等しい場合、信号源2から発生される高周波信号の周波数をスイープしても、電界強度測定器52で合成される系統(1)の高周波信号と系統(2)の高周波信号との位相差が変化しない。
このため、アンテナ等の周波数特性が無いものとすれば、電界強度測定器52により測定される電界強度は、伝搬損失の周波数特性程度の変化になる。
一方、送信アンテナ51から系統(1)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、送信アンテナ51から系統(2)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との間に差がある場合には、電界強度測定器52により測定される電界強度(複素受信電界)をEとすると、複素受信電界Eの絶対値をとった受信電界レベル|E|は、下記の式(7)のように表される。
Figure 0006057841
式(7)において、Tは送信アンテナ51から系統(1)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、送信アンテナ51から系統(2)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分(第1の伝搬時間差)である。また、fは高周波信号の周波数である。
T=±((Wire+Air)−(Wire+Air)) (8)
信号源2が信号送信制御部22の制御の下で、高周波信号の周波数fをスイープすると、式(7)に示す受信電界レベル|E|は周期的に変化する。
図4に示すように、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域(例えば、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点の間)をFとすると、下記の式(3)に示す関係が成立する。
F×(±T)=1
T=±(1/F) (9)
したがって、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fが分かれば、式(7)より、第1の伝搬時間差Tを算出することができる。ただし、第1の伝搬時間差Tの符号は分からないので、+T、または、−Tのいずれかが正しいという結果にとどまる。
そこで、遅延時間差推定部23の第1の伝搬時間差算出部31は、電界強度測定器12により測定された電界強度Eの受信電界レベル|E|の変動を監視して、その受信電界レベル|E|の変動周期(受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域F)を特定する。
受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fの特定方法は、上記実施の形態1と同様であるため詳細な説明を省略する。
遅延時間差推定部23の第1の伝搬時間差算出部31は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(9)に代入して、送信アンテナ51から系統(1)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)と、送信アンテナ51から系統(2)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire+Air)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する。
遅延時間差推定部23の第2の伝搬時間差算出部32は、信号処理系統選択部21が系統(1)と系統(2)を選択すると、例えば、送信アンテナ51から素子アンテナ5−1,5−2までを測距することで、送信アンテナ51から素子アンテナ5−1に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airと、送信アンテナ51から素子アンテナ5−2に至るまでの高周波信号の伝搬時間Airとを求め、その伝搬時間Airと伝搬時間Airの差分である第2の伝搬時間差(Air−Air)を算出する。
遅延時間差推定部23の遅延時間差算出部33は、第1の伝搬時間差算出部31が第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を算出し、第2の伝搬時間差算出部32が第2の伝搬時間差(Air−Air:無線区間の伝搬時間差)を算出すると、第1の伝搬時間差Tから第2の伝搬時間差(Air−Air)を減算することで、系統(1)と系統(2)間の有線区間の伝搬時間差である遅延時間差(Wire−Wire)を算出する。
ここまでは、信号処理系統選択部21が、N個の信号処理系統の中から、系統(1)と系統(2)を選択している例を説明したが、順番に、系統(2)と系統(3)、系統(3)と系統(4)、・・・、系統(N−1)と系統(N)を選択して同様の処理を実施すれば、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
制御部13は、遅延時間差算出部33が全ての系統間の遅延時間差(有線区間の伝搬時間差)を算出すると、それらの遅延時間差にしたがって実時間遅延部3−1〜3−Nにおける遅延処理での遅延時間を校正する。即ち、有線区間の伝搬時間差が相殺されるように、実時間遅延部3−1〜3−Nが用いる遅延素子を選択することで、遅延が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置を得るようにする。
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統における実時間遅延部3から出力された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定器52を設け、遅延時間差推定部23が、電界強度測定器52により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定するように構成したので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後でも、事前不明部分を含む各々の信号処理系統間の遅延時間差を測定することができる効果を奏する。
したがって、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置1の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延を補正することができるとともに、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができる。
また、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後に、再調整が必要になった場合でも、フェーズドアレーアンテナ装置1を分解せずに、有線区間の伝搬時間差を測定することができるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置にも適用することができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 フェーズドアレーアンテナ装置、2,2−1〜2−3 信号源、3−1〜3−3 実時間遅延部(信号処理系統)、4−1〜4−3,4−1a〜4−3a,4−1b〜4−3b 360度移相器(信号処理系統)、5−1〜5−3,5−1a〜5−3a,5−1b〜5−3b 素子アンテナ、6−1〜6−3 ダイレクトディジタルシンセサイザ、11 受信アンテナ(高周波信号受信手段)、12 電界強度測定器(電界強度測定手段)、13 制御部、21 信号処理系統選択部(信号処理系統選択手段)、22,25 信号送信制御部(信号送信制御手段)、23,24,26 遅延時間差推定部(遅延時間差推定手段)、31 第1の伝搬時間差算出部、32 第2の伝搬時間差算出部、33 遅延時間差算出部、41 第1の伝搬時間差算出部、42 遅延処理時間差算出部、43 遅延時間差算出部、51 送信アンテナ、52 電界強度測定器(電界強度測定手段)。

Claims (18)

  1. 高周波信号を発生する信号源と、上記信号源により発生された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統と、上記信号処理系統による処理後の高周波信号を送信する複数の素子アンテナとから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定装置において、
    上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択手段と、
    上記信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナから高周波信号を送信させる信号送信制御手段と、
    上記素子アンテナから送信された高周波信号を受信する高周波信号受信手段と、
    上記高周波信号受信手段により受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定手段と、
    上記電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定手段とを備えていることを特徴とする遅延時間差測定装置。
  2. 遅延時間差推定手段は、
    電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択手段により選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択手段により選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出部と、
    上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出部と、
    上記第1の伝搬時間差算出部により算出された第1の伝搬時間差と、上記第2の伝搬時間差算出部により算出された第2の伝搬時間差との差分を2つの信号処理系統間の遅延時間差として算出する遅延時間差算出部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の遅延時間差測定装置。
  3. 遅延時間差推定手段は、
    電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択手段により選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択手段により選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出部と、
    上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出部と、
    上記一方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間と、上記他方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間との差分である遅延処理時間差を算出する遅延処理時間差算出部と、
    2つの信号処理系統間の遅延時間差として、上記第1の伝搬時間差算出部により算出された第1の伝搬時間差から、上記第2の伝搬時間差算出部により算出された第2の伝搬時間差と上記遅延処理時間差算出部により算出された遅延処理時間差を減算する遅延時間差算出部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の遅延時間差測定装置。
  4. 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極大値の中から、隣接している2つの極大値を選択し、上記電界強度の変動周期として、2つの極大値に対応する周波数の間隔を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  5. 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極大値の中から、隣接している2つの極大値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極大値に対応する周波数の間隔を求め、上記電界強度の変動周期として、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  6. 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極小値の中から、隣接している2つの極小値を選択し、上記電界強度の変動周期として、2つの極小値に対応する周波数の間隔を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  7. 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極小値の中から、隣接している2つの極小値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極小値に対応する周波数の間隔を求め、上記電界強度の変動周期として、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  8. 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度をフーリエ変換し、その変換結果から上記電界強度の変動周期を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  9. 遅延時間差推定手段は、予め、各々の遅延時間差に対応する電界強度を保持しており、各々の遅延時間差に対応する電界強度の中から、電界強度測定手段により測定された電界強度と最も相関が高い電界強度を特定し、上記電界強度に対応する遅延時間差を2つの信号処理系統間の遅延時間差として推定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  10. 1つの信号処理系統に対して複数の素子アンテナが接続されている場合、
    信号送信制御手段は、信号処理系統選択手段により選択された信号処理系統と接続されている複数の素子アンテナの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施し、
    遅延時間差推定手段は、上記信号送信制御手段により素子アンテナが切り替えられる毎に、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定して、複数の推定結果の平均値を算出することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  11. 信号処理系統毎に、信号源を備えていることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
  12. 信号源と信号処理系統からなるダイレクトディジタルシンセサイザを実装していることを特徴とする請求項11記載の遅延時間差測定装置。
  13. 高周波信号を受信する複数の素子アンテナと、上記素子アンテナにより受信された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統とから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定装置において、
    高周波信号を発生する信号源と、
    上記信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、送信アンテナから上記高周波信号を上記フェーズドアレーアンテナ装置に送信させる信号送信制御手段と、
    上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択手段と、
    上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統による処理後の高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定手段と、
    上記電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定手段とを備えていることを特徴とする遅延時間差測定装置。
  14. 請求項1から請求項13のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置により推定された遅延時間差にしたがって信号処理系統における遅延処理での遅延時間が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置。
  15. 高周波信号を発生する信号源と、上記信号源により発生された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統と、上記信号処理系統による処理後の高周波信号を送信する複数の素子アンテナとから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定方法において、
    信号処理系統選択手段が、上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択処理ステップと、
    信号送信制御手段が、上記信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナから高周波信号を送信させる信号送信制御ステップと、
    高周波信号受信手段が、上記素子アンテナから送信された高周波信号を受信する高周波信号受信処理ステップと、
    電界強度測定手段が、上記高周波信号受信処理ステップで受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定処理ステップと、
    遅延時間差推定手段が、上記電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定処理ステップとを備えていることを特徴とする遅延時間差測定方法。
  16. 遅延時間差推定処理ステップは、
    電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択処理ステップで選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択処理ステップで選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出処理ステップと、
    上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出処理ステップと、
    上記第1の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第1の伝搬時間差と、上記第2の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第2の伝搬時間差との差分を2つの信号処理系統間の遅延時間差として算出する遅延時間差算出処理ステップとから構成されていることを特徴とする請求項15記載の遅延時間差測定方法。
  17. 遅延時間差推定処理ステップは、
    電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択処理ステップで選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択処理ステップで選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出処理ステップと、
    上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出処理ステップと、
    上記一方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間と、上記他方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間との差分である遅延処理時間差を算出する遅延処理時間差算出処理ステップと、
    上記第1の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第1の伝搬時間差から、上記第2の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第2の伝搬時間差と上記遅延処理時間差算出処理ステップで算出された遅延処理時間差を減算し、その減算結果を2つの信号処理系統間の遅延時間差として出力する遅延時間差算出処理ステップとから構成されていることを特徴とする請求項15記載の遅延時間差測定方法。
  18. 高周波信号を受信する複数の素子アンテナと、上記素子アンテナにより受信された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統とから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定方法において、
    信号送信制御手段が、信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、送信アンテナから上記高周波信号を上記フェーズドアレーアンテナ装置に送信させる信号送信制御処理ステップと、
    信号処理系統選択手段が、上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択処理ステップと、
    電界強度測定手段が、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統による処理後の高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定処理ステップと、
    遅延時間差推定手段が、上記電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定処理ステップとを備えていることを特徴とする遅延時間差測定方法。
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