JP6057841B2 - 遅延時間差測定装置、フェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定方法 - Google Patents
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Description
ビーム指向誤差やサイドローブレベルの上昇の発生を回避するため、実時間遅延手段と360度移相器を併用しているフェーズドアレーアンテナ装置が下記の特許文献1に開示されている。
ここで、図14は放射パターンの一例を示す説明図である。
図14では、45度を理想的に指向している場合の放射パターンを破線で示し、実時間遅延手段の設定値と実際の出力値との間に誤差がある場合の放射パターンを実線で示している。
図14から明らかなように、遅延時間に誤差が有る場合、指向方向のずれや、サイドローブレベルの上昇が生じている。
ただし、例えば、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延は補正することができない。
また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができない。また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた後に、再調整が必要になった場合には、フェーズドアレーアンテナ装置を分解して、有線区間の遅延時間を測定する必要があるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置には適用することができない。
しかし、この方法は、位相の測定や校正を目的としており、実時間遅延の測定や校正には適用することができない。
また、フェーズドアレーアンテナ装置を組み上げた後に、再調整が必要になった場合には、フェーズドアレーアンテナ装置を分解しなければ、有線区間の遅延時間を測定することができず、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置には適用することができない課題があった。
また、この発明は、上記の遅延時間差測定装置により測定された遅延時間差にしたがって遅延時間が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置を得ることを目的とする。
図1はこの発明の実施の形態1によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図である。
図1において、フェーズドアレーアンテナ装置1は信号源2、実時間遅延部(TTD)3、360度移相器4及び素子アンテナ5から構成されている。
信号源2は制御部13が指示する周波数の高周波信号を発生し、その高周波信号をN個の実時間遅延部3−n(n=1,2,・・・,N)に出力する信号発生回路である。
360度移相器4−n(n=1,2,・・・,N)は実時間遅延部3−nによる遅延処理後の高周波信号に対する位相可変処理を実施する。
なお、実時間遅延部3−n及び360度移相器4−nから信号処理系統が構成されている。
素子アンテナ5−n(n=1,2,・・・,N)は360度移相器4−nによる位相可変処理後の高周波信号を送信する部材である。
電界強度測定器12は受信アンテナ11により受信された高周波信号の電界強度を測定する処理を実施する。なお、電界強度測定器12は電界強度測定手段を構成している。
制御部13の信号処理系統選択部21はN個の信号処理系統の中から、任意の2つの信号処理系統を選択する処理を実施する。なお、信号処理系統選択部21は信号処理系統選択手段を構成している。
例えば、信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
制御部13の遅延時間差推定部23は電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する処理を実施する。なお、遅延時間差推定部23は遅延時間差推定手段を構成している。
遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されている場合、電界強度測定器12及び制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による遅延時間差測定装置の処理内容(遅延時間差測定方法)を示すフローチャートである。
遅延時間差算出部33は第1の伝搬時間差算出部31により算出された第1の伝搬時間差Tと、第2の伝搬時間差算出部32により算出された第2の伝搬時間差(Air1−Air2)との差分を2つの信号処理系統間の遅延時間差(Wire1−Wire2)として算出する処理を実施する。
この実施の形態1では、N個の信号処理系統における高周波信号の伝搬時間差、即ち、フェーズドアレーアンテナ装置1における各系統の有線区間での伝搬時間差を遅延時間差として推定する。
具体的には、以下の通りである。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、複数の遅延素子のうち、ユーザにより指定された1つの遅延素子が選択されており、現在選択されている遅延素子を用いて、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2に出力する。
これにより、素子アンテナ5−1から高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2から高周波信号が送信される。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、その高周波信号の電界強度を測定する(ステップST3)。
ここで、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire1+Air1)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire2+Air2)とが完全に等しい場合、信号源2から発生される高周波信号の周波数をスイープしても、受信アンテナ11で合成される系統(1)の高周波信号と系統(2)の高周波信号との位相差が変化しない。
このため、アンテナ等の周波数特性が無いものとすれば、電界強度測定器12により測定される電界強度は、伝搬損失の周波数特性程度の変化になる。
T=±((Wire1+Air1)−(Wire2+Air2)) (2)
図4は高周波信号の周波数fと受信電界レベル|E|の関係を示す説明図である。
図4に示すように、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域(例えば、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点の間)をFとすると、下記の式(3)に示す関係が成立する。
F×(±T)=1
T=±(1/F) (3)
したがって、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fが分かれば、式(3)より、第1の伝搬時間差Tを算出することができる。ただし、第1の伝搬時間差Tの符号は分からないので、+T、または、−Tのいずれかが正しいという結果にとどまる。
受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fは、図4に示すように、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点を検出することで特定してもよいが、図5に示すように、隣り合う受信電界レベル|E|のピーク点を検出することで特定してもよい。
また、受信電界レベル|E|の2乗値は、図6に示すように、余弦状に変化するので、受信電界レベル|E|の2乗値を算出し、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、受信電界レベル|E|の2乗値における隣り合う極大値に対応する周波数の間隔を特定するようにしてもよい。
また、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、受信電界レベル|E|の2乗値における隣り合う極小値に対応する周波数の間隔を特定するようにしてもよい。
同様に、受信電界レベル|E|の2乗値における極小値の中から、隣接している2つの極小値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極小値に対応する周波数の間隔を求め、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fとして、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出するようにしてもよい。
なお、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点を検出することで、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定する際、ヌル点を検出することが困難な場合がある。このような場合、図7に示すように、●で表している8点を用いて直線を4本引き、2本の直線の交点をヌル点とみなして、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定するようにしてもよい。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
したがって、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置1の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延を補正することができるとともに、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができる。
また、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後に、再調整が必要になった場合でも、フェーズドアレーアンテナ装置1を分解せずに、有線区間の伝搬時間差を測定することができるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置にも適用することができる。
遅延時間差推定部23は、電界強度測定器12が電界強度を測定すると、メモリに格納されている各々の遅延時間差に対応する電界強度と、電界強度測定器12により測定された電界強度との相関を求める。相関を求める処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
遅延時間差推定部23は、メモリに格納されている各々の遅延時間差に対応する電界強度の中から、電界強度測定器12により測定された電界強度と最も相関が高い電界強度を特定し、その電界強度に対応する遅延時間差を2つの信号処理系統間の遅延時間差として推定する。
図8はこの発明の実施の形態2によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
制御部13の遅延時間差推定部24は電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する処理を実施する。なお、遅延時間差推定部24は遅延時間差推定手段を構成している。
遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されている場合、電界強度測定器12及び制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図9はこの発明の実施の形態2による遅延時間差測定装置の処理内容(遅延時間差測定方法)を示すフローチャートである。
第1の伝搬時間差算出部41は例えば信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択された場合、電界強度測定器12により測定された電界強度の変動周期から、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire1+TTD1+Air1)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire2+TTD2+Air2)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する処理を実施する。
遅延時間差算出部43は2つの信号処理系統間の遅延時間差(Wire1−Wire2)として、第1の伝搬時間差算出部41により算出された第1の伝搬時間差Tから、第2の伝搬時間差算出部32により算出された第2の伝搬時間差(Air1−Air2)と遅延処理時間差算出部42により算出された遅延処理時間差(TTD1−TTD2)を減算する処理を実施する。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
ただし、遅延時間(TTD1)と遅延時間(TTD2)は異なる時間であり、双方の遅延処理に時間差を持たせるようにする。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、先に設定された遅延時間(TTD2)だけ、信号源2により発生された高周波信号を遅延する処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2に出力する。
これにより、素子アンテナ5−1から高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2から高周波信号が送信される。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号の電界強度を測定する(ステップST14)。
ここで、信号源2から系統(1)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire1+TTD1+Air1)と、信号源2から系統(2)を経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire2+TTD2+Air2)とが完全に等しい場合、信号源2から発生される高周波信号の周波数をスイープしても、受信アンテナ11で合成される系統(1)の高周波信号と系統(2)の高周波信号との位相差が変化しない。
このため、アンテナ等の周波数特性が無いものとすれば、電界強度測定器12により測定される電界強度は、伝搬損失の周波数特性程度の変化になる。
T=±((Wire1+TTD1+Air1)−(Wire2+TTD2+Air2)) (5)
図4に示すように、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域(例えば、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点の間)をFとすると、下記の式(6)に示す関係が成立する。
F×(±T)=1
T=±(1/F) (6)
したがって、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fが分かれば、式(6)より、第1の伝搬時間差Tを算出することができる。ただし、第1の伝搬時間差Tの符号は分からないので、+T、または、−Tのいずれかが正しいという結果にとどまる。
受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fの特定方法は、上記実施の形態1における第1の伝搬時間差算出部31が用いる方法と同様であるため詳細な説明を省略する。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
したがって、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置1の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延を補正することができるとともに、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができる。
また、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後に、再調整が必要になった場合でも、フェーズドアレーアンテナ装置1を分解せずに、有線区間の伝搬時間差を測定することができるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置にも適用することができる。
なお、この実施の形態2では、遅延時間(TTD1)と遅延時間(TTD2)を異なる時間に設定して、実時間遅延部3−1と実時間遅延部3−2の遅延処理に時間差を持たせているので、第1の伝搬時間差算出部41により算出される第1の伝搬時間差T(全体の伝搬時間差)を大きくすることができる。その結果、狭い周波数間隔で受信電界レベル|E|が変化するため、必要な周波数帯域を狭くすることができる。
図11はこの発明の実施の形態3によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1及び図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
360度移相器4−na及び360度移相器4−nbは実時間遅延部3−nと接続されており、実時間遅延部3−nによる遅延処理後の高周波信号に対する位相可変処理を実施する。
なお、実時間遅延部3−n及び360度移相器4−na,4−nbから信号処理系統が構成されている。
以下、説明の便宜上、実時間遅延部3−1と360度移相器4−1a,4−1bからなる信号処理系統を系統(1)、実時間遅延部3−2と360度移相器4−2a,4−2bからなる信号処理系統を系統(2)、実時間遅延部3−3と360度移相器4−3a,4−3bからなる信号処理系統を系統(3)のように表記する。
素子アンテナ5−naは360度移相器4−naによる位相可変処理後の高周波信号を送信する部材である。
素子アンテナ5−nbは360度移相器4−nbによる位相可変処理後の高周波信号を送信する部材である。
制御部13の遅延時間差推定部26は信号送信制御部25により素子アンテナが切り替えられる毎に、信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定し、複数の推定結果の平均値を算出する処理を実施する。なお、遅延時間差推定部26は遅延時間差推定手段を構成している。
遅延時間差測定装置の一部である電界強度測定器12及び制御部13がコンピュータで構成されている場合、電界強度測定器12及び制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
遅延時間差推定部26が信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する際には、信号送信制御部25が、2本の素子アンテナ5−na,5−nbの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替えるようにする。
具体的には、以下の通りである。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
また、系統(2)と接続されている素子アンテナ5−2a,5−2bの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施する。
ここでは、説明の便宜上、素子アンテナ5−1a,5−2aから高周波信号を送信させたのち、素子アンテナ5−1b,5−2bから高周波信号を送信させるように切り替えるものとする。
なお、上記実施の形態2と同様に、信号処理系統選択部21が、実時間遅延部3−1,3−2における遅延処理での遅延時間(TTD1)(TTD2)を設定するようにしてもよいが、ここでは説明の簡単化のため、特に遅延時間(TTD1)(TTD2)を設定しないものとして説明する。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、上記実施の形態1と同様に、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2aに出力する。
これにより、素子アンテナ5−1aから高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2aから高周波信号が送信される。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号の電界強度を測定する。
遅延時間差推定部26は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(3)に代入して、信号源2から素子アンテナ5−1aを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire1+Air1)と、信号源2から素子アンテナ5−2aを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire2+Air2)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する。
フェーズドアレーアンテナ装置1の信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生する。
これにより、周波数が順次変化する高周波信号が系統(1)の実時間遅延部3−1及び系統(2)の実時間遅延部3−2に入力される。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、上記実施の形態1と同様に、信号源2により発生された高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を360度移相器4−2に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、実時間遅延部3−2から遅延処理後の高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を素子アンテナ5−2bに出力する。
これにより、素子アンテナ5−1bから高周波信号が送信されるとともに、素子アンテナ5−2bから高周波信号が送信される。
電界強度測定器12は、受信アンテナ11から高周波信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、その高周波信号の電界強度を測定する。
遅延時間差推定部26は、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fを特定すると、その周波数帯域Fを式(3)に代入して、信号源2から素子アンテナ5−1bを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire1+Air1)と、信号源2から素子アンテナ5−2bを経由して受信アンテナ11に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire2+Air2)との差分である第1の伝搬時間差Tを算出する。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
上記実施の形態1〜3では、1つの信号源2が高周波信号をN個の実時間遅延部3−nに分配している例を示したが、実時間遅延部3−n毎に、信号源2を備えるようにしてもよい。
信号源2−n(n=1,2,・・・,N)は制御部13が指示する周波数の高周波信号を発生し、その高周波信号を実時間遅延部3−nに出力する信号発生回路である。信号源間2−1〜2−Nは互いに位相及び周波数が同期している。
図12の例では、信号源2−nと実時間遅延部3−nが一体化されているダイレクトディジタルシンセサイザ6−nが実装されている。
上記実施の形態1〜4では、フェーズドアレーアンテナ装置が高周波信号を送信する例を示したが、フェーズドアレーアンテナ装置が高周波信号を受信するものであってもよい。
図13はこの発明の実施の形態5によるフェーズドアレーアンテナ装置及び遅延時間差測定装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
送信アンテナ51は信号源2により発生された高周波信号をフェーズドアレーアンテナ装置1に送信する部材である。
電界強度測定器52は信号処理系統選択部21により選択された2つの信号処理系統における実時間遅延部3から出力された高周波信号の電界強度を測定する処理を実施する。なお、電界強度測定器52は電界強度測定手段を構成している。
遅延時間差測定装置の一部である制御部13がコンピュータで構成されている場合、制御部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
この実施の形態5では、N個の信号処理系統における高周波信号の伝搬時間差、即ち、フェーズドアレーアンテナ装置1における各系統の有線区間での伝搬時間差を遅延時間差として推定する。
具体的には、以下の通りである。
ここでは、説明の便宜上、2つの信号処理系統として、系統(1)と系統(2)を選択するものとする。
信号処理系統選択部21により系統(1)と系統(2)が選択されると、選択されていない系統(3)〜系統(N)は停止状態になるものとする。
信号源2は、信号送信制御部22からスイープ指令を受けると、周波数が順次変化する高周波信号を発生し、その高周波信号を送信アンテナ51に出力する。
これにより、送信アンテナ51から周波数が順次変化する高周波信号がフェーズドアレーアンテナ装置1に送信される。
フェーズドアレーアンテナ装置1の素子アンテナ5−2は、送信アンテナ51から送信された高周波信号を受信し、その高周波信号を系統(2)の360度移相器4−2に出力する。
系統(2)の360度移相器4−2は、素子アンテナ5−2から高周波信号を受けると、その高周波信号に対する位相可変処理を実施し、位相可変処理後の高周波信号を実時間遅延部3−2に出力する。
系統(2)の実時間遅延部3−2は、複数の遅延素子のうち、ユーザにより指定された1つの遅延素子が選択されており、現在選択されている遅延素子を用いて、360度移相器4−2から出力された位相可変処理後の高周波信号に対する遅延処理を実施し、遅延処理後の高周波信号を電界強度測定器52に出力する。
ここで、送信アンテナ51から系統(1)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire1+Air1)と、送信アンテナ51から系統(2)を経由して電界強度測定器52に至るまでの高周波信号の伝搬時間(Wire2+Air2)とが完全に等しい場合、信号源2から発生される高周波信号の周波数をスイープしても、電界強度測定器52で合成される系統(1)の高周波信号と系統(2)の高周波信号との位相差が変化しない。
このため、アンテナ等の周波数特性が無いものとすれば、電界強度測定器52により測定される電界強度は、伝搬損失の周波数特性程度の変化になる。
T=±((Wire1+Air1)−(Wire2+Air2)) (8)
図4に示すように、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域(例えば、隣り合う受信電界レベル|E|のヌル点の間)をFとすると、下記の式(3)に示す関係が成立する。
F×(±T)=1
T=±(1/F) (9)
したがって、受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fが分かれば、式(7)より、第1の伝搬時間差Tを算出することができる。ただし、第1の伝搬時間差Tの符号は分からないので、+T、または、−Tのいずれかが正しいという結果にとどまる。
受信電界レベル|E|が1周期変動する周波数帯域Fの特定方法は、上記実施の形態1と同様であるため詳細な説明を省略する。
また、系統(1)を基準とすれば、順番に、系統(1)と系統(2)、系統(1)と系統(3)、系統(1)と系統(4)、・・・、系統(1)と系統(N)のように選択して同様の処理を実施しても、全ての系統間の遅延時間差を算出することができる。
したがって、ケーブルの引き回しやコネクタの結線部分など、フェーズドアレーアンテナ装置1の全体を構成するまで分からない事前不明部分についての遅延を補正することができるとともに、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた上で、遅延補正が適切であるか否かを確認することができる。
また、フェーズドアレーアンテナ装置1を組み上げた後に、再調整が必要になった場合でも、フェーズドアレーアンテナ装置1を分解せずに、有線区間の伝搬時間差を測定することができるので、分解不可能なフェーズドアレーアンテナ装置にも適用することができる。
Claims (18)
- 高周波信号を発生する信号源と、上記信号源により発生された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統と、上記信号処理系統による処理後の高周波信号を送信する複数の素子アンテナとから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定装置において、
上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択手段と、
上記信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナから高周波信号を送信させる信号送信制御手段と、
上記素子アンテナから送信された高周波信号を受信する高周波信号受信手段と、
上記高周波信号受信手段により受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定手段と、
上記電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定手段とを備えていることを特徴とする遅延時間差測定装置。 - 遅延時間差推定手段は、
電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択手段により選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択手段により選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出部と、
上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出部と、
上記第1の伝搬時間差算出部により算出された第1の伝搬時間差と、上記第2の伝搬時間差算出部により算出された第2の伝搬時間差との差分を2つの信号処理系統間の遅延時間差として算出する遅延時間差算出部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の遅延時間差測定装置。 - 遅延時間差推定手段は、
電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択手段により選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択手段により選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出部と、
上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出部と、
上記一方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間と、上記他方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間との差分である遅延処理時間差を算出する遅延処理時間差算出部と、
2つの信号処理系統間の遅延時間差として、上記第1の伝搬時間差算出部により算出された第1の伝搬時間差から、上記第2の伝搬時間差算出部により算出された第2の伝搬時間差と上記遅延処理時間差算出部により算出された遅延処理時間差を減算する遅延時間差算出部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の遅延時間差測定装置。 - 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極大値の中から、隣接している2つの極大値を選択し、上記電界強度の変動周期として、2つの極大値に対応する周波数の間隔を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極大値の中から、隣接している2つの極大値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極大値に対応する周波数の間隔を求め、上記電界強度の変動周期として、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極小値の中から、隣接している2つの極小値を選択し、上記電界強度の変動周期として、2つの極小値に対応する周波数の間隔を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度の極小値の中から、隣接している2つの極小値の組み合わせを複数選択して、その組み合わせ毎に、2つの極小値に対応する周波数の間隔を求め、上記電界強度の変動周期として、各組み合わせに係る周波数の間隔の平均値を算出することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 遅延時間差推定手段は、電界強度測定手段により測定された電界強度をフーリエ変換し、その変換結果から上記電界強度の変動周期を求めることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 遅延時間差推定手段は、予め、各々の遅延時間差に対応する電界強度を保持しており、各々の遅延時間差に対応する電界強度の中から、電界強度測定手段により測定された電界強度と最も相関が高い電界強度を特定し、上記電界強度に対応する遅延時間差を2つの信号処理系統間の遅延時間差として推定することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 1つの信号処理系統に対して複数の素子アンテナが接続されている場合、
信号送信制御手段は、信号処理系統選択手段により選択された信号処理系統と接続されている複数の素子アンテナの中から、高周波信号を送信させる1つの素子アンテナを順番に切り替える処理を実施し、
遅延時間差推定手段は、上記信号送信制御手段により素子アンテナが切り替えられる毎に、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定して、複数の推定結果の平均値を算出することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。 - 信号処理系統毎に、信号源を備えていることを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置。
- 信号源と信号処理系統からなるダイレクトディジタルシンセサイザを実装していることを特徴とする請求項11記載の遅延時間差測定装置。
- 高周波信号を受信する複数の素子アンテナと、上記素子アンテナにより受信された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統とから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定装置において、
高周波信号を発生する信号源と、
上記信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、送信アンテナから上記高周波信号を上記フェーズドアレーアンテナ装置に送信させる信号送信制御手段と、
上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択手段と、
上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統による処理後の高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定手段と、
上記電界強度測定手段により測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択手段により選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定手段とを備えていることを特徴とする遅延時間差測定装置。 - 請求項1から請求項13のうちのいずれか1項記載の遅延時間差測定装置により推定された遅延時間差にしたがって信号処理系統における遅延処理での遅延時間が校正されているフェーズドアレーアンテナ装置。
- 高周波信号を発生する信号源と、上記信号源により発生された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統と、上記信号処理系統による処理後の高周波信号を送信する複数の素子アンテナとから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定方法において、
信号処理系統選択手段が、上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択処理ステップと、
信号送信制御手段が、上記信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統と接続されている素子アンテナから高周波信号を送信させる信号送信制御ステップと、
高周波信号受信手段が、上記素子アンテナから送信された高周波信号を受信する高周波信号受信処理ステップと、
電界強度測定手段が、上記高周波信号受信処理ステップで受信された高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定処理ステップと、
遅延時間差推定手段が、上記電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定処理ステップとを備えていることを特徴とする遅延時間差測定方法。 - 遅延時間差推定処理ステップは、
電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択処理ステップで選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択処理ステップで選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出処理ステップと、
上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出処理ステップと、
上記第1の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第1の伝搬時間差と、上記第2の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第2の伝搬時間差との差分を2つの信号処理系統間の遅延時間差として算出する遅延時間差算出処理ステップとから構成されていることを特徴とする請求項15記載の遅延時間差測定方法。 - 遅延時間差推定処理ステップは、
電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、信号源から信号処理系統選択処理ステップで選択された一方の信号処理系統を経由して高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記信号源から上記信号処理系統選択処理ステップで選択された他方の信号処理系統を経由して上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第1の伝搬時間差を算出する第1の伝搬時間差算出処理ステップと、
上記一方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間と、上記他方の信号処理系統と接続されている素子アンテナから上記高周波信号受信手段に至るまでの高周波信号の伝搬時間との差分である第2の伝搬時間差を算出する第2の伝搬時間差算出処理ステップと、
上記一方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間と、上記他方の信号処理系統における遅延処理での遅延時間との差分である遅延処理時間差を算出する遅延処理時間差算出処理ステップと、
上記第1の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第1の伝搬時間差から、上記第2の伝搬時間差算出処理ステップで算出された第2の伝搬時間差と上記遅延処理時間差算出処理ステップで算出された遅延処理時間差を減算し、その減算結果を2つの信号処理系統間の遅延時間差として出力する遅延時間差算出処理ステップとから構成されていることを特徴とする請求項15記載の遅延時間差測定方法。 - 高周波信号を受信する複数の素子アンテナと、上記素子アンテナにより受信された高周波信号に対する遅延処理及び位相可変処理を実施する複数の信号処理系統とから構成されているフェーズドアレーアンテナ装置における信号処理系統間の遅延時間差を測定する遅延時間差測定方法において、
信号送信制御手段が、信号源により発生される高周波信号の周波数をスイープさせながら、送信アンテナから上記高周波信号を上記フェーズドアレーアンテナ装置に送信させる信号送信制御処理ステップと、
信号処理系統選択手段が、上記複数の信号処理系統の中から、2つの信号処理系統を選択する信号処理系統選択処理ステップと、
電界強度測定手段が、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統による処理後の高周波信号の電界強度を測定する電界強度測定処理ステップと、
遅延時間差推定手段が、上記電界強度測定処理ステップで測定された電界強度の変動周期から、上記信号処理系統選択処理ステップで選択された2つの信号処理系統間の遅延時間差を推定する遅延時間差推定処理ステップとを備えていることを特徴とする遅延時間差測定方法。
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