以下、図面を用いて、本発明の錠剤供給システム(図1)について説明する。
図1は、供給された錠剤を包装する包装装置5と錠剤を取り出して包装装置5(以下、分包装置とも称する)に供給する錠剤供給装置10(以下、錠剤取出装置とも称する)と、手撒き投入部1401と、散薬投入部103を含む錠剤供給システム(以下、錠剤取出システムとも称する)を示す図である。錠剤供給装置10には、複数の錠剤取出ユニット1が搭載されており、この錠剤取出ユニット1により錠剤シートから錠剤が取り出される。このような錠剤取出ユニット1は、情報処理装置300や包装装置5に設けられたタッチパネル式のディスプレイ501等から分包条件を入力されることで、錠剤の取出動作を行うことができる。
図2(a)は、図1の一部領域を拡大して示す図である。さらに、図2(b)は、錠剤シートを錠剤取出ユニット1に投入するための投入口203の部分を拡大した図である。
錠剤シート51は、プラスチック等からなる錠剤を収容する錠剤収容部510を有するシート本体の下面に、アルミニウム等からなる金属箔などを用いた封止シートを設けることによって錠剤が1錠ずつ錠剤収容部に封入されたものである。錠剤シート51は、一般的にPTPシート(press through pack)と呼ばれている(以下錠剤シートのことをPTPシートとも称する)。このようなPTPシートは錠剤の種類によって、シートの幅や長さ、錠剤の数などが異なっており、様々なものが流通している。
錠剤供給装置10には複数の錠剤取出ユニット1(錠剤取出部)が収納されている。錠剤取出ユニット1は、本発明の錠剤取出装置の適用例である。錠剤取出ユニット1は、幅方向(左右方向)に6つが並べられ、この6つの錠剤取出ユニット1からなる組が上下に3段に配置されている。すなわち、錠剤取出ユニット1は、左右6列、上下3段に配列されている。このように錠剤供給装置10は錠剤取出ユニット1を複数備えているが、錠剤取出ユニット1の数は1でもよい。
103は、散薬投入部であり、包装装置5で分包する散薬を投入する部分である。散薬投入部103に投入された散薬は、投薬1回分ごとに分けられ、これを後述するメインホッパー505に投入することで、1回分ずつに分包される。10は、錠剤供給装置であり、1または複数の錠剤取出ユニット1と、錠剤取出ユニット1で取り出された錠剤を供給する錠剤供給ユニット400とを備えている。
錠剤供給装置10は、錠剤取出ユニット1により錠剤シート(PTPシート)から錠剤を取り出して、錠剤供給ユニット400の供給経路を経て、包装装置5に供給する。錠剤供給装置10は、図1に示す通り、複数の錠剤取出ユニット1を備えている。さらに錠剤供給装置10は、1又は複数の錠剤を、それぞれ錠剤収容部に封入された錠剤シート(PTPシート)から錠剤を取り出して供給する。
1401は、ユーザによって手撒きされた錠剤が投入される手撒き投入部である。手撒き投入部1401から投入された錠剤も、包装装置5に供給され分包されることになる。包装装置5は、錠剤供給装置10から供給された錠剤と手撒き投入部1401から供給された錠剤とを1つの分包として包装することもできるし、別々に分包することもできる。
図3は、錠剤供給システムのハードウェア構成の一例についてブロック図を用いて説明する。ここでは、情報処理装置300のCPU30と、包装装置5のCPU51と、錠剤供給装置10のCPU11とがそれぞれ連携して、包装装置5が制御する各装置(各ユニット)、及び、錠剤供給装置10が制御する各装置(各ユニット)の各種動作を制御している一例を示している。しかし1つのCPUが、錠剤供給システムの全ての各装置を制御する構成でも構わない。また、ここでは錠剤供給装置10にCPUが1つ設けられている状態を図示しているが、錠剤取出ユニット1ごとにCPUを設けてもよいし、錠剤取出ユニット1の段ごとにCPUを設けてもよい。
まず情報処理装置300のハードウェア構成について説明する。情報処理装置300のCPU30は、システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御することができる。また、ROM31あるいは外部メモリ36には、CPU30の制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM33は、CPU30の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU30は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM33にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
また、CPU30は、キーボードや不図示のマウス等の入力端末209からの入力を制御する。ビデオコントローラ(VC)206は、ディスプレイ210等の表示器への表示を制御することもでき、さらに、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピーディスク(登録商標FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュメモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御することもできる。
またI/F32は、ネットワークを介して外部機器と接続・通信するものであり、本実施形態においては包装装置5のI/F50と通信可能に接続されている。
次に、包装装置5のハードウェア構成について説明する。包装装置5のCPU51は、バスに接続されている各デバイスを統括的に制御することができる。ROM52にはCPU51の制御ブログラムや各種制御プログラムが記憶されている。RAM53は、CPU51が動作するためのシステムワークメモリとして機能する。CPU51は、タッチパネル式のディスプレイ501に対して表示制御したり、ディスプレイ501のタッチパネル機能を入力端末502としてユーザから情報の入力を受け付けたり、プリンタ706に印刷指示を出したりすることもできる。さらにCPU51は、包装装置5の散薬投入部103から投入された散薬を1包に包装する際に動作させる散薬分包機構55を制御したり、ユーザから手撒き投入部に手撒きされた錠剤を包装する際に動作させる手撒き投入機構56を制御したりすることができる。そして包装装置5と錠剤供給装置10とは、包装装置5のI/O54と錠剤供給装置10のI/O12とで通信可能に接続されている。
次に、錠剤供給装置10のハードウェア構成について説明する。錠剤供給装置10のCPU11は、バスに接続されている各デバイスを統括的に制御することができる。ROM14にはCPU11の制御ブログラムや各種制御プログラムが記憶されている。RAM13は、CPU11が動作するためのシステムワークメモリとして機能する。CPU11は、さらに錠剤取出機構15における取出動作を制御したり、錠剤シートを搬送する搬送機構16を制御したりすることもできる。
このようなハードウェア構成においては、以下のように錠剤取出を行うように制御することができる。まず包装装置5のCPU51が、錠剤供給装置10のCPU11に対して、錠剤の取出動作命令を送信する。そして、錠剤供給装置10のCPU11が、当該取出動作命令に従って、錠剤取出機構15や搬送機構16を制御して錠剤取出動作を行わせることができる。また、錠剤供給装置10のCPU11は、包装装置5のCPU50に対して、錠剤取出動作の状況を示す動作情報を送信することもできる。
次に、図4、図5、図10、図15を用いて、錠剤取出ユニット1の構造について説明する。
図4は、錠剤取出ユニット1の内部構造を示す図である。なお、図4は、錠剤取出ユニット1が2つ並んで配置されている例を示している。図5は、錠剤取出ユニット1の内部構造(断面)を示す図であり、錠剤取出ユニット1を右側面から見た図である。
錠剤取出ユニット1は、錠剤収容部510が重力方向に関して上側に来るような状態で複数の錠剤シート51を積層させて投入可能な投入口203(錠剤シート保持部)と、錠剤シート51を搬送する搬送機構16と、搬送機構16により搬送された錠剤シート51が載置される載置台と、載置台上の錠剤シート51の錠剤収容部の側から押圧して錠剤を取り出す押出し機構(錠剤取出機構15)とを有している。錠剤シートを投入する投入口203となる領域は、一対の稼働側壁213で位置が決められており、この幅は、投入される錠剤シートに応じて変更することができる。すなわち、投入する錠剤シートに応じて投入口203の幅を規定することができる。投入口203には、図10に示すようにカバー901が設けられており、このカバーを開けることにより、錠剤シートを投入口203に搭載することが可能となる。
そして投入口203に積層されている錠剤シートは、多重搬送防止板1411により、最下層に位置する錠剤シートが錠剤の取出動作が行われる除包位置(錠剤取出位置)へと搬送される。取出動作についての詳細は後述するが、錠剤シートの側端部が一対の端部支持体2201で支持され、錠剤収容部510の搬送方向に関する上流側が後部主支持体2203に支持され、錠剤収容部510の搬送方向に関する下流側が前部主支持体2202で支持されている状態で取出動作が行われる。すなわち、一対の端部支持体2201(一対の第一支持部材)と、前部主支持体2202及び後部主支持体2203(一対の第二支持部材)とが錠剤シートの載置台として用いられる。そして錠剤取出機構15により、一対の端部支持体2201の間であり、かつ、前部主支持体2202と後部主支持体との間に位置する錠剤収容部から錠剤が取り出され、錠剤落下口2205に落下される。
詳細については後述するが、このような一対の端部支持体2201、前部主支持体2202、後部主支持体2203、及び取出機構15の位置は、一対の稼働側壁213の位置によって連動して動くように設けられている。すなわち一対の稼働側壁213で特定される錠剤シートの幅に応じて、一対の端部支持体2201、前部主支持体2202、後部主支持体2203、及び取出機構15の位置が変化するように設けられている。
錠剤シート51は、錠剤を収容する錠剤収容部510を有するシート本体の下面に、アルミニウム等からなる金属箔などを用いた封止シートを設けることによって錠剤が錠剤収容部に密封されている。さらに錠剤シート51は、シート部上に凸状の錠剤収容部が幅方向に間隔をおいて2列に並んだ形態である。各列をなす複数の錠剤収容部は錠剤シート51の長さ方向に沿って並んでいる。
なお、錠剤シート51としては、シート部上に錠剤収容部が2列に並んだ形態のものに限らず、錠剤収容部が錠剤シート51の長さ方向に1列に並んだ形態や、錠剤収容部が幅方向に間隔をおいて3列以上の複数列に並んだ形態も可能である。
次に、図5を用いて錠剤収容部510から錠剤を取り出す際の様子を説明する。図5は、投入口203にセットされた錠剤シートが、錠剤の除包位置(錠剤取出位置)まで搬送された様子を示している。
錠剤取出ユニット1は、錠剤シートを搬送する錠剤シート搬送機構16(搬送機構)と、錠剤シートが載置される載置台18と、錠剤シートから錠剤を取り出す錠剤取出機構15(押出し機構)とを備えている。
錠剤シート搬送機構16は、錠剤シート51を進行方向に向け搬送するものであって、進行方向に沿って互いに間隔をおいて複数設けられた下部ローラ39と、進行方向に沿って互いに間隔をおいて設けられた上部ローラとを備えている。
下部ローラ39は、駆動源(不図示)により回転駆動可能であり、錠剤シート部の重力方向に関して下面側に当接して錠剤シート51に進行方法への力を加えることができる。そして上部ローラは、駆動源(不図示)により回転駆動可能であり、PTPシート部の重力方向に関して上面に当接して錠剤シート51に進行方向への力を加えることができる。
上部ローラおよび下部ローラの幅方向に関する配置位置は、2列の錠剤収容部の間に相当する位置であるため、上部ローラと下部ローラとは錠剤シートを搬送する際に錠剤収容部510に当接することはない。つまり、下部ローラ39と上部ローラとは、錠剤シート部を上下から挟み込んで錠剤シートを進行方向(錠剤取出装置の後方方向)に搬送できる。さらに、下部ローラ39と上部ローラは錠剤シート部を上下から挟み込んで錠剤シート51を進行方向とは逆の方向にも搬送できる。
24は、導入シュートである。導入シュート24は、載置台の下面側に設けられており、錠剤シート51から取り出され、錠剤落下口2205を通過して落下してきた錠剤を、後述する錠剤導入路401に導くものである。すなわち、導入シュート24は、載置台の下面側に排出口を有しており、錠剤シート51から取り出された錠剤はその排出口を通り、後述する錠剤導入路401に落ちていく。なお、この導入シュート24は、錠剤取出ホッパーとも言う。
錠剤取出ユニット1は、載置台上に錠剤シート51を搭載した状態で、錠剤取出機構15の押出し機構で錠剤を押し出すことで錠剤の取出動作を行う。また、錠剤取出ユニット1は、載置台上の錠剤シート51の錠剤収容部を押圧する速度を変更させる変更機構をさらに有している。そして錠剤取出ユニットの所定の動作で錠剤が取り出せなかった場合には、押出し機構の押出し速度を通常の速度より高速に変更して錠剤収容部の押圧を行い、取出動作の継続(リトライ)を行う。またリトライの際には、錠剤収容部の押圧を再度行う前に1度目の載置台18上の押圧位置から所定の距離だけ搬送手段で錠剤シート51を搬送させ、この状態で押出し機構を用いて錠剤収容部を押圧する。このような状態でリトライ動作を行うことにより、1度の取出動作で錠剤が取り出されなかったとしても、確実に錠剤を取り出すことができる。
次に、押出し機構の詳細について説明する。押出し機構は、錠剤収容部の中央付近を押圧する内側押圧体83と、内側押圧体83を取り囲むように設けられ、中央付近よりも外側の部分を押圧する外側押圧体84とを含んで設けられている。この内側押圧体83と外側押圧体84とが独立して動作することでPTPシートの錠剤収容部を押圧し、PTPシートから錠剤を取り出す。具体的には押出し機構は、内側押圧体83よりも先に外側押圧体84により錠剤収容部を押圧する。
内側押圧体83の先端は、錠剤取出ユニットに搭載されることが想定されるほとんどの錠剤シート51の錠剤収容部よりも面積が狭くなるように設けられている。そのため、内側押圧体83を錠剤を取り出すために下降させると、錠剤シートの錠剤収容部の面よりも重力方向に関して下側に至るまで先端が到達し、錠剤シート51の金属箔に開いた穴から先端が下側に突き出ることになる。一方、外側押圧体84の先端は、錠剤取出ユニットに搭載されることが想定されるほとんどの錠剤シート51の錠剤収容部よりも面積が広いので、錠剤を取り出すために下降させても、錠剤シート51の金属箔に開いた穴から先端が突き出ることはない。すなわち、外側押圧体84を用いて最初に錠剤シート51の錠剤収容部を押し潰し、その後内側押圧体83で錠剤を確実に押し出すというように用いられる。
また、錠剤取出機構15(押出し機構)は、外側押圧体84を昇降させる第1昇降機構と、内側押圧体83を昇降させる第2昇降機構も有しており、これらを動作させることにより、押圧体で錠剤を押し出すことができる。
第1昇降機構は、外側押圧体84が取り付けられた第1昇降体93と、回転駆動して第1昇降体93を昇降させるカム94と、第1昇降体93を上昇方向に付勢する付勢部材(ばね)とを備えている。
第1昇降体93は、前後方向にわたって延在する柱状体であり、前端部に外側押圧体84が取り付けられている。カム94は、外側押圧体84の昇降動作を考慮して設計された形状の板状体であり、駆動機構によって回転駆動する軸部に固定されている。
カム94は、第1昇降体93の上面側に設けられ、軸部の回転に伴って回転駆動し、第1昇降体93を押圧することによって高さ位置を調整し、これによって外側押圧体84の高さ位置を調整する(外側押圧体84の昇降動作を行う)ことができる。第1昇降機構は、カムの回転動作のタイミング、カムの形状、軸部に対するカムの固定位置などの設定によって、外側押圧体84の昇降動作のタイミングや変位量を任意に設定できる。
第2昇降機構は、内側押圧体83が取り付けられた第2昇降体98と、回転駆動して第2昇降体98を昇降させるカム99と、第2昇降体98を上昇方向に付勢する付勢部材(ばね)とを備えている。
第2昇降体98は、前後方向にわたって延在する柱状体であり、前端部に内側押圧体83が取り付けられている。カム99は、第2昇降体98の上面側に設けられ、軸部の回転に伴って回転駆動し、第2昇降体98を押圧して高さ位置を調整し、これによって内側押圧体83の高さ位置を調整する(内側押圧体83の昇降動作を行う)ことができる。第2昇降機構は、カム99の回転動作のタイミング、カムの形状、軸部に対するカムの固定位置などの設定によって、内側押圧体83の昇降動作のタイミングや変位量を任意に設定できる。
このため、カム94とカム99は、それぞれ第1昇降体と第2昇降体に対して互いに独立に動作可能であり、内側押圧体83と外側押圧体84は、互いに独立に昇降動作させることができる。
錠剤取出ユニット1は、PTPシートの錠剤収容部の押圧をする前に、押圧される錠剤収容部の長さや押圧される錠剤収容部の位置を検出することができる検出機構17をさらに有している。そして錠剤供給装置は、検出した錠剤収容部の幅や錠剤収容部の位置に応じて押圧に最適な搬送方向に関する位置を算出し、当該位置とするために必要な搬送距離を決定することもできる。つまり搬送機構16(下部ローラ39、上部ローラ)は、搬送距離により載置台18上の錠剤収容部が押圧するために必要な最適位置に錠剤シートを搬送することができる。
本実施形態において、検出機構17としては発光部17aと受光部17bとからなる光学センサを用いた例で説明する。光学センサ17は、発光部17aから発せられる光線が錠剤収容部の通過により遮られて受光部17bで受光する光量が減少した場合に、ONと検出し、当該ONとなっているタイミングをカウントすることにより、錠剤収容部の幅を特定することができる。また、同様にOFFとなっているタイミングをカウントすることにより、隣接する錠剤収容部の幅を特定することができる。
次に、図6を用いて、錠剤供給装置10の内部構造について説明する。図6は、錠剤供給装置10を背面側(裏側)から見た図である。
204は、光学センサ(ビームセンサ)等で設けられた、落下物を検知する検知機構である。除包された錠剤が導入シュート24内を落下する際、除包された錠剤がセンサ上を通過し光の一部を遮光することになる。このビームセンサの光の一部が遮光され、光量が変化した状態をON状態とし、遮光されておらず光量が変化しない状態をOFF状態とする。このON/OFF状態を用いて落下物の有無の判定を行うことができる。さらに錠剤落下検出機構は、光学センサ204と錠剤の通過をカウントする落下錠剤カウンタとを有する。すなわち錠剤供給装置10には、検知機構で錠剤の通過を検知可能となるように設けられており、押圧により錠剤収容部から錠剤が取り出されたか否かを判定することができる。
つまり取出動作を行っても錠剤の通過が検知されない場合には、押出し機構による錠剤収容部の押圧動作を継続(リトライ)させる。これにより、確実に錠剤の取り出しを行うことができる。一方、取出動作後に錠剤の通過が検知されない場合には、取出動作後に押出し機構による錠剤収容部の押圧動作を継続(リトライ)しない。
401は、錠剤導入路(通過経路)である。錠剤導入路401は、導入シュート24と導通しており、錠剤シートから取り出され落下した錠剤を導入シュート24から第1集積ホッパーに中継する。
次に、図7を用いて、錠剤供給ユニット400の内部構造について説明する。第1集積ホッパー402は、錠剤取出ユニット1により、PTPシートから取り出された錠剤が導入シュート24を落下して通り、そして、導入シュート24から錠剤導入路401を通り、該錠剤が集積される部分である。すなわち、錠剤導入路401は、第1集積ホッパー402と直接、導通している。
第2集積ホッパー501は、第1集積ホッパー402で集積された錠剤をさらに集積する。すなわち、第2集積ホッパー501は、第1集積ホッパー402と導通している。
つまり第1集積ホッパー402に落ちてきた錠剤50は、第2集積ホッパー501に落ちて集積される。
第1の送り出し機構502は、第2集積ホッパーに集積された錠剤50を第3の集積ホッパーに移動させる。第3集積ホッパー503は、第1の送り出し機構502により送り出(移動)された錠剤を集積する。そして第2の送り出し機構504が、第3集積ホッパーに集積された錠剤をメインホッパー505に移動させる。そしてメインホッパー505は、第2の送り出し機構504により送り出(移動)された錠剤(1回分)を集積し、包装シート(分包紙)の中に集積した錠剤を投入する。
次に、図8、図9を用いて、包装ユニット701の内部構造について説明する。
図8は、包装ユニット701の内部構造を示す図である。図9は、図8に示す包装ユニット701の内部構造の一部(703、704、705)を拡大した図である。
包装ユニット701は、包装装置5内のユニットである。702は、包装シートが連なるロール紙(分包紙がロール状になっている紙)を包装機構に送り出すロール紙送出機構である。703は、メインホッパー505内に集積された錠剤(1回分の錠剤)が包装シートの中に投入され、当該包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された錠剤を、包装シートの中に封入する(包装機構)。そして704では、メインホッパー505内に集積された錠剤が包装シートの中に投入され、当該包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された錠剤を、包装シートの中に封入する(包装機構)。すなわち、包装機構703と、包装機構704とで、包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された錠剤を、包装シートの中に封入する。
705は、連なるロール紙を1包毎の包装シート(1つの包み802)に分断するための分断用ミシン目801を包装シートに形成する分断機構である。706はプリンタであり、包装シートに、日付、患者データ、エラー情報を印字することができる(印字機構)。
図8及び図9に示す包装ユニットにより、投薬1回分の錠剤または散薬を包装シートに分包することができる。なお包装シートとしては、表面に熱溶着可能な樹脂材をコーティングした紙のみならず、中身を視認することができる透明なフィルム材を用いることもできる。
次に、図11を用いて、錠剤供給装置10について説明する。図11は、錠剤供給装置10を正面から見た図である。図11に示す1は、図1にも示している通り、錠剤取出ユニットである。錠剤取出ユニット1で、錠剤シートから取り出された錠剤は、導入シュート24を通り、そして、錠剤導入路401を通り、第1集積ホッパー402に落ちていく。
次に、図12を用いて、錠剤供給装置10の錠剤供給ユニット400が備える各構成について説明する。図12は、錠剤供給装置10を横(正面から見て右側)から見た図である。図11でも説明したが、錠剤取出ユニット1で、錠剤シートから取り出された錠剤は、導入シュート24、錠剤導入路を通り、第1集積ホッパー402内に落ちてくる。
そして、第1集積ホッパー402を通った錠剤は、第2集積ホッパー501を通り、第1の送り出し機構502に送られる。第1の送り出し機構は、第1の中継ユニットとして用いられる。
そして、第1の送り出し機構502は、錠剤を第3集積ホッパー503に送り、第3集積ホッパー503は、第2の送り出し機構504に錠剤を送る。第2の送り出し機構504は、第2の中継ユニットとして用いられる。第2の送り出し機構504は、第2の送り出し機構504に送られた錠剤を、メインホッパー505に送る。
次に、図13を用いて、錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤がどのように、導入シュート24、錠剤導入路401、第1集積ホッパー402を通るかについて説明する。
図13は、図11に示した錠剤供給装置10の一部を抜粋した図である。すなわち、図11に示す錠剤取出ユニット1を2段分削除した図が、図13である。図13に示す点線の矢印1201は、錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤の移動経路を示している。また、図13に示す通り、第1集積ホッパー402の左側の導管、及び真ん中の導管の幅は、直径が78mmである。
次に、図14を用いて、錠剤供給装置10の錠剤供給ユニット400が備える各構成について説明する。図14は、錠剤供給装置10の内部を横(正面から見て右側)から見た図である。図14に示す点線の矢印1201は、錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤の移動経路を示している。また錠剤供給ユニット400には、図14に示すように第1の段と第2の段と第3の段とが重力方向に関して重なるように設けられている。各段には、錠剤シートから錠剤を取り出す錠剤取出ユニット1、錠剤導入路401、及び導入シュート24が設けられている。
最上段(第1の段)の錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤は、第1の段の導入シュート24、中段(第2の段)の錠剤導入路401、下段(第3の段)の錠剤導入路401を通過して第1の傾斜部1301に至る。また、第2の段の錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤は、第2の段の導入シュート24、第3の段の錠剤導入路401を通過して第1の傾斜部1301に至る。また、第3の段の錠剤取出ユニット1から取り出された錠剤は、第3の段の導入シュート24を通過して第1の傾斜部1301に至る。
最上段(第1の段)の錠剤取出ユニット1の導入シュート24の出口から、第1の傾斜部1301までの距離は、約460mmである。そして中段(第2の段)の錠剤取出ユニット1の導入シュート24の出口から、第1の傾斜部1301までの距離は、約265mmである。
また、第1集積ホッパー402の長さは、約362mmである。すなわち、最下段の錠剤取出ユニット1の導入シュート24の出口から、第2集積ホッパー501までの距離は、約362mmである。各段の錠剤取出ユニット1で、錠剤シートから錠剤が取り出されると、錠剤は、導入シュート24を通り、導入シュート24の出口から、錠剤導入路401を通り、そして、第1集積ホッパー402に入り、第2集積ホッパー501に集積される。
この時、錠剤供給装置10全体の分包時間を短縮させることを考慮すると、導入シュート24(錠剤取出ホッパー)出口から、まっすぐ下に垂直落下させ、第2集積ホッパー下部に収めることが考えられる。しかし最上段の錠剤取出ユニット1で取り出された錠剤を、導入シュート24(錠剤取出ホッパー)出口からまっすぐ下に垂直落下させ、第2集積ホッパー下部に収めると約876mmもある。そのため、錠剤が割れたり、欠けたりして破損してしまう可能性が高くなる。また、錠剤シートから取り出される薬が、カプセルの場合は凹んだりして変形をしてしまう可能性が高くなる。
錠剤供給装置10は、錠剤取出ユニット1が複数積み上げられて使用できるようになっている。そのため、特に最上段の錠剤取出ユニット1から錠剤が落下する場合には、導入シュート24(錠剤取出ホッパー)出口から第2集積ホッパーまでの距離が非常に長くなり、錠剤シートから取り出される錠剤、又はカプセルが、破損してしまう可能性が高くなってしまう。
そこで、第1集積ホッパー402の上部に、分包時間を余りロスしない程度に錠剤をバウンドさせる第1の傾斜部1301を設ける。すなわち、第1集積ホッパー402の上部の一部をオフセットさせる。具体的には重力方向から約32°の傾斜を有する第1の傾斜部1301としている。
また、第2集積ホッパー501においても、第1集積ホッパー402から第2集積ホッパー501の下部にダイレクトに錠剤が到達しないように、第2集積ホッパー501も分包時間を余りロスしない程度に錠剤をバウンドさせる第2の傾斜部1302を設けている。
具体的には、第2の傾斜部1302は、水平方向より約40°の傾斜としている。
なお上述の第1の傾斜部1301及び第2の傾斜部1302の角度は一例であり、落下してくる錠剤がバウントして(落下スピードを落として)、その後の経路に移動可能な角度(次の供給部に落下により供給可能な角度の傾斜)であれば、どのような角度でもよい。
このように第1集積ホッパー402に第1の傾斜部1301、第2集積ホッパー501に第2の傾斜部1302を備えることで、錠剤取出ユニット1の導入シュート24出口から、第2集積ホッパー501の下部までダイレクトに錠剤が落下することを防止できる。これにより錠剤の落下向きを変えることができ、錠剤が破損や変形しない程度のクッションを与えることができる。その結果、落下してくる錠剤が第2集積ホッパー501の下部に到達した時の衝撃を和らげることができ、錠剤が破損、変形する可能性を低減させることが出来るようになる。
第1の傾斜部は、錠剤取出装置から落下してきた錠剤が接触する位置に設けられており、第2の傾斜部は、第1の傾斜部に接触した錠剤がさらに落下して接触する位置に設けられている。
また、第1の傾斜部1301、第2の傾斜部1302に、ゴムなどの、衝撃を吸収する材料(衝撃吸収材)を更に設けることにより、錠剤の衝撃をさらに抑えることが可能となる。
ところで、錠剤シートから錠剤を確実に取り出す方法として、押し出し機構の押し出し速度を可変としたり、取出動作を繰り返したり(リトライ)する方法をこれまで説明したが、錠剤取出動作により錠剤シート51の錠剤収容部から確実に錠剤50を落下させるためには、錠剤取出位置と錠剤収容部との位置関係すなわち、搬送機構により搬送される錠剤シートをどの位置で停止させるかの制御も重要である。これは錠剤によって錠剤収容部の幅や、錠剤シートの端部からの錠剤収容部の距離等が錠剤シートごとに異なるためである。
通常は光学センサで特定される錠剤収容部の幅(X)と、光学センサの検出位置と錠剤落下口2205の中心位置との距離(A)とから算出した距離(A−X/2)分、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから、錠剤シートを搬送させた位置を錠剤取出位置とし、錠剤の取出動作を行っている。これにより、どのような錠剤収容部の幅を有していても、確実に錠剤を取り出せる可能性の高い錠剤落下口2205の中心位置に錠剤収容部が来た状態で取出動作が行えている。
しかしながら、このような方法を採用していたとしても錠剤シートの種類によっては、最前列若しくは最後列の錠剤収容部においては錠剤シートの一部が支持されない状態で取出動作が行われてしまい、錠剤が取り出せない状況が生じていた。図16〜図18を用いて従来の支持部材の動きを詳細に説明する。
図16は、錠剤シートの種類について説明する図である。図16に示すように、一般的に流通している錠剤シートは、丸型錠剤の錠剤シート(左図)、カプセル型錠剤や長方形錠剤の錠剤シート(右図)が知られている。
丸型錠剤の錠剤シートの場合には、錠剤シートの横幅と収容部の縦幅とが比例して広がるため、錠剤シートの横幅が広がると、錠剤落下口2205の縦幅を広げる必要がある。一方、長方形錠剤の錠剤シートの場合には、錠剤シートの幅の変化と、錠剤収容部の縦幅の変化は比例していいないため、錠剤落下口2205の縦幅を広げる必要はない。そして、一般に流通している錠剤シートの種類を調査してみると、シート幅が40mm程度までが丸型錠剤の錠剤シートであることがほとんどであり、シート幅40mm程度を超えるとほぼ長方形錠剤の錠剤シートであることがわかる。つまり幅の長い錠剤シートが存在する原因の主たるものが、このカプセル型錠剤や長方形錠剤の錠剤シート存在であるといえる。
いずれの錠剤シートに対しても確実に錠剤を押し出すことができるように、これまでは、図17(b)に示すように錠剤シートの幅が40mm程度までは、錠剤シートの幅が広くなるにつれて、一対の端部支持体2201の間隔及び前部主支持体2202と後部主支持体2203との間隔とが広くなるように設けている。これは、一対の端部支持体2201の縁部2201aを傾斜するように設け、この縁部に沿って前部主支持体2202の規定部2202a及び後部主支持体2203の規定部2202aが動くように設けることで実現されている。すなわち、一対の稼働側壁213と連動して一対の端部支持体の間隔(錠剤落下口の開口幅)が広くなると、端部支持体の縁部(傾斜縁部2201aと平行縁部2201b)に沿って前部主支持体2202の規定部2202aと後部主支持体2203の規定部2203aとが移動する。これにより規定部2202a、2203aが傾斜縁部2201aに押し広げられ、前部主支持体2202と後部主支持体2203との間隔(錠剤落下口縦幅寸法)も広がることになる。
そして錠剤シートの幅が40mmより大きい場合では、錠剤シートの幅が広くなるにつれて、一対の端部支持体2201の間隔は広くなるが前部主支持体2202と後部主支持体2203との間隔は一定になるように設けている。これは、一対の端部支持体2201の縁部2201bを搬送方向と交差する方向に平行に設け、この縁部に沿って前記支持体2202の規定部2202a及び後部主支持体2203の規定部2202aが動くように設けることで実現されている。つまり、規定部2201a、2203aは平行縁部2201bに沿って移動するため、前部主支持体2202と後部主支持体2203との間隔(錠剤落下口縦幅寸法)は一定となる。
しかしながら、図16(a)の右図に示すカプセル型錠剤や長方形型錠剤のような錠剤シートでは、図17(a)のように搬送時に最前列若しくは最後列となる錠剤収容部510aと錠剤シート端部2402との間隔が極端に短いものも存在している。図17(a)は日本薬局方で定められているカプセル番号000号の錠剤が封入されている錠剤シートの一例である。ここでは、最前列若しくは最後列となる錠剤収容部510aと錠剤シート端部2402との間隔が2.5mm未満しかない例を示している。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態として錠剤シートの端部2402が後端となるような方向で、錠剤シートが投入口から搬送され錠剤取出動作が行われる状況を用いて説明を行う。このように投入された錠剤シートを用いて、本発明を適用せずに錠剤取出動作を行った様子を図17(b)に示す。図17(b)に示すように、錠剤収容部510aを錠剤落下口2205の中央に位置するように搬送制御した状態で、錠剤を取り出そうとすると、最後列の錠剤収容部510aの端部から後部主支持体2203との最短距離は、2.5mmとなる。そのため、図17(a)に示すような錠剤収容部510aと錠剤シート端部2402との間隔が2.5mm未満の錠剤シートでは、錠剤シートの端部2402を支持していない状態で取出動作が行われることになるため、錠剤シートを適切に支持することができず錠剤取出動作を行っても錠剤シートから錠剤を取り出すことができない場合が生じていた。
そのため、本実施形態においては、錠剤収容部と錠剤シートの端部との幅が狭い側が後端となるように錠剤シートを搬送する際に、最後列の錠剤収容部から錠剤を取り出す場合には、錠剤取出位置を搬送方向に関して上流側に若干ずらす制御を行う。すなわち、錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミングから、錠剤シートを搬送させる搬送距離を、距離(A−X/2)よりも短くする制御を行う。具体的には、距離(A−X/2)よりも2mm〜3mm程度短く搬送させることにより、図17(a)に示すように錠剤収容部510aと錠剤シート端部2402との間隔が2.5mm未満の錠剤シートであったとしても、図18に示すように錠剤シートの錠剤シート後端部が確実に後部主支持体で支持させた状態で取出動作が行えるようになる。なお、ここでは短くする距離を2mm〜3mm程度と示したが、この値は市場に流通している錠剤シート等により適宜変更してよい。
本実施形態における光学センサの検出位置と錠剤落下口との距離がわかる図を図19に一例として示し、これを用いて説明を続ける。図19は、錠剤取出位置を錠剤供給装置の重力方向上側から見ている図である。ここでは、光学センサの検出位置と錠剤落下口の中心位置との距離Aは、約23.7mmとなっている。最後列の錠剤収容部以外の場合には、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミング、すなわち光学センサ17がONからOFFとなったタイミングから距離(23.7mm−X/2)を搬送させた位置を錠剤取出位置とする。これにより、錠剤が錠剤収容部から取り出せる確率が高い位置で錠剤取出動作を行うことができる。
一方、最後列の錠剤収容部の場合には、最後列の錠剤収容部以外の場合の搬送距離(23.7mm−X/2)よりも短い距離(23.7mm−X/2−3mm)を、錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミング、すなわち光学センサ17がONからOFFとなったタイミングから錠剤シートを搬送させた位置を錠剤取出位置とする。これにより、最後列の錠剤収容部の場合には最後列の錠剤収容部以外よりも、搬送方向に関して上流側の位置が錠剤取出位置となるため、錠剤シートの錠剤シート後端部が確実に後部主支持体で支持させた状態で取出動作が行えるようになる。
次に、錠剤収容部と錠剤シートの端部との幅が狭い側が後端となるように錠剤シートを搬送する際に、錠剤取出位置までの搬送距離(すなわち錠剤取出位置までの搬送量)を決定する流れを、図20のフローチャートを用いて説明する。このような制御は、錠剤供給装置10のCPU11が記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
S2001では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データによって特定される錠剤分除包するために、1枚目の錠剤シートの搬送が開始されると搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定する。
S2002では、錠剤供給装置10のCPU11は、光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2003では、光学センサがOFFからONに変わったかどうかを判断する。具体的には、受光部17bで受光する光量が所定量よりも少ない場合に光学センサはONであるといえるため、光学センサがONとなる場合には、S2004に進む。一方、光学センサがOFFである場合には、まだ最前列の錠剤収容部を検出で来ていないため、S2001に戻る。
S2004では、錠剤幅を特定するための錠剤幅カウンタ値をインクリメントする。つまり搬送モータによるステップ数をカウントすることになるため、光学センサがONとなっている間にカウントされる錠剤幅カウンタ値と搬送モータによる1ステップ分に対応する搬送距離とから、搬送方向に関する錠剤収容部の幅を特定できる。
そしてS2005では、錠剤供給装置10のCPU11は、S2001と同様に搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定し、S2006でS2002と同様に光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2007では、光学センサがONからOFFに変わったかどうかを判断する。ONからOFFに変わった場合には、錠剤収容部が光学センサの検出位置を通過したといえるため、S2008に遷移する。
S2008では、錠剤収容部を通過し、隣接する錠剤収容部の間が光学センサの検出位置を通過しているといえるため、錠剤間の幅カウンタ値をインクリメントする。つまり搬送モータによるステップ数をカウントすることになるため、光学センサがOFFになっている間にカウントされる錠剤間の幅カウンタ値と搬送モータによる1ステップ分に対応する搬送距離とから、搬送方向に関する隣接する錠剤収容部の幅を特定できる。
S2009では、錠剤間のカウンタ値が閾値以上かどうかを判断する。閾値を超えた場合には、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検知してから所定距離以上搬送しても次の錠剤収容部を検知できないため、最後列の錠剤収容部510aであると判断し、S2016へと遷移する。一方閾値以上でない場合には、最後列の錠剤収容部510aではないと判断し、S2010へと遷移する。なお、S2015にて閾値を更新する前は閾値はデフォルト値が設定されている。デフォルト値としては、一般的に流通するいずれの錠剤シートにおける隣接する錠剤収容部の距離よりも大きい値であって、図21に示すようなZより小さい値が設定されていればよく、例えば20mmを用いることができる。そして、2列目以降の錠剤収容部を検知した場合には、後述のS2015で設定される閾値を用いて判断を行う。
S2010では、錠剤供給装置10のCPU11は、S2001と同様に搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定し、S2011でS2002と同様に光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2012では、光学センサがOFFからONに変わったかどうかを判断する。OFFからONに変わった場合には、次の錠剤収容部が光学センサに検出されたことがわかる。
S2013では、錠剤供給装置10のCPU11は、最後列の錠剤収容部ではないので、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、錠剤幅カウンタ値から特定される錠剤収容部の幅Xと光学センサの検出位置と錠剤落下口2205の中心位置との距離(A)とから、搬送距離(A−X/2)を算出する。図22(a)が最後列以外の錠剤収容部510cの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。
S2014では、S2013で搬送距離を算出される際に用いられた錠剤収容部が、処方データにおける最初の錠剤収容部であるかどうかを判断する。最初の錠剤収容部である場合には、S2015で、錠剤間の幅カウンタ値から特定される隣接する錠剤収容部間の幅Yから求まる値を閾値として更新した後に、S2017に遷移する。これにより、S2009の判断で用いられる閾値が、現在の錠剤シートに適した値とすることができるため、S2009の判断の信頼性を高めることができる。なお搬送量精度を加味して、隣接する錠剤収容部間の幅Yに所定量加えた値を閾値とすることが好ましい。
S2014で、処方データにおける最初の錠剤収容部ではない場合には、閾値は既に現在の錠剤シートに適した値に設定されているといえるため、閾値を更新することなくS2004に戻る。
一方、S2016では、搬送方向に関して最後列の錠剤収容部であるといえるため、錠剤シートの錠剤シート後端部が確実に後部主支持体で支持させた状態で取出動作が行える位置に、錠剤収容部が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、最後列の錠剤収容部以外の場合の搬送距離(23.7mm−X/2)よりも短い距離(23.7mm−X/2−3mm)を、搬送距離として算出する。図22(b)が、最後列の錠剤収容部510aの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置よりも、搬送方向に関して3mm程度上流側に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。そしてこのような状態で左列の除包動作と右列の除包動作が行われる。
S2017では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データで指定される全ての錠剤数の除包が終了したかを判断し、終了した場合には、S2018に遷移し、閾値をデフォルトにリセットして終了する。S2017で終了していないと判断された場合には、引き続き搬送動作が行われるので、S2001に戻る。
なお、本実施形態においては、閾値を隣接する錠剤収容部間の距離に応じて設定する例を用いて説明をしたが、予め定められた固定値を閾値としてもよい。その場合には、次の錠剤収容部を検出するまで処理を繰り返すことなく(S2012)、錠剤取出位置までの搬送距離を算出することができる。
図21は、連続して錠剤シートが搬送される様子を示した図である。ここから錠剤収容部の幅はXでほぼ一定であり、隣接する錠剤収容部間の幅はYでほぼ一定となっていることがわかる。さらに、搬送方向に関して最後列となる錠剤収容部510aと次の錠剤シートの最前列となる錠剤収容部510bとの間の幅Zは、隣接する錠剤収容部間の幅はYよりも十分に広い幅となっていることがわかる。そのため、本実施形態のように、隣接する錠剤収容部間の幅Yから求まる値を閾値としておくことにより、錠剤シートの切り替わりのタイミング、すなわち錠剤シートの最後列の錠剤収容部であることが判別できるため、必要なタイミングのみ、錠剤の取出位置をずらすことができる。
なお、あらかじめ錠剤シートの情報を本体に登録しておけば対象錠剤シートが5列シートなのか7列シートなのか等が事前に判断できるため、510a最後列の錠剤収容部の判別制度を向上させることもできる。以下に、このような錠剤シートの情報から最後列の錠剤収容部を判断する方法について図23乃至図25を用いて説明する。
図23は、錠剤取出位置までの搬送距離を決定する流れを説明するフローチャートである。このような制御は、錠剤供給装置10のCPU11が記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
S2301では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データに対応する錠剤数データもしくは錠剤列データを、情報処理装置300内の外部メモリに記憶された薬剤マスタ(データベース)から取得し、錠剤供給装置10内の外部メモリに記憶する。
図24(a)に情報処理装置300内に記憶されている薬剤マスタの一例を示す。薬剤マスタのデータベースファイルは、1行ごとに錠剤データまたは散薬データが記述されている。薬剤マスタでは1つの薬剤と対応づけて一意に対応する各種関連情報を持つことが出来き、各薬剤に対して各種関連情報設定を登録しておくことが出来る。図24(b)(c)は薬剤マスタに示す情報の錠剤シートにおける位置を示す図である。薬剤マスタには、登録されている薬剤を1つ1つ管理するための番号があり、薬品を識別する商品コード2401、販売名である薬品名2402、錠剤シートの幅であるシート幅2403、錠剤シートの長さであるシート長さ2404、シート厚み2405、先端部間隔2406、左側間隔2407、右側間隔2408、後端部間隔2409、錠剤収容部縦幅2410、錠剤収容部厚さ2411、錠剤収容部横間隔2412、錠剤収容部縦間隔2413、錠剤の形状がOD錠である場合にフラグが立つOD錠情報2414、カプセルの形状が軟カプセル(カプセルの硬さが柔らかい)の場合にフラグが立つ軟カプセル情報2415、錠剤シートに包装されている1シートあたりの錠剤数2417等が記憶されている。
図25は、S2301により取得された錠剤数を用いて生成された錠剤列テーブルである。錠剤列テーブルには、錠剤取出ユニットNo.2501、薬品名2502、錠剤数2503、計測済み錠剤列2504が記憶されている。錠剤供給装置10は、処方データをもとに各ユニットにどのような薬品名が登録されるかを管理しており、S2301では、薬品名2502をもとに薬品マスタを参照し、薬品名2502に対応する錠剤数2503を取得する。具体的には、同じ薬品名の薬品マスタの錠剤数2417から、ユニットごとに錠剤数2503を取得する。なお、管理マスタに錠剤列が記憶されている場合には、錠剤数のかわりに錠剤列を取得してもよい。そして、錠剤列2504はこの時点で0となるように設定する。なお、錠剤列マスターは錠剤列ではなく、錠剤数を記憶してもよい。
S2302では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データによって特定される錠剤分除包するために、1枚目の錠剤シートの搬送が開始されると搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定する。
S2303では、錠剤供給装置10のCPU11は、光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2304では、光学センサがOFFからONに変わったかどうかを判断する。具体的には、受光部17bで受光する光量が所定量よりも少ない場合に光学センサはONであるといえるため、光学センサがONとなる場合には、S2305に進む。一方、光学センサがOFFである場合には、まだ最前列の錠剤収容部を検出で来ていないため、S2302に戻る。
そしてS2305では、錠剤供給装置10のCPU11は、S2302と同様に搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定し、S2306でS2303と同様に光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2307では、光学センサがONからOFFに変わったかどうかを判断する。ONからOFFに変わった場合には、錠剤収容部が光学センサの検出位置を通過したといえるため、S2308に遷移する。一方、光学センサがOFFである場合には、まだ錠剤収容部が通過してないため、S2305に戻る。
S2308では、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤列テーブルの錠剤列2504を1カウントアップするように更新する。なお、本フローチャートでは、計測済み錠剤列の更新を、錠剤収容部が通過した後に行っているが、錠剤収容部の検知が開始されたタイミングで更新してもよい。
S2309では、錠剤供給装置10のCPU11は、更新された錠剤列2504の値をもとに、これから取り出そうとしている錠剤が最後列かどうかを判断する。具体的には、錠剤列テーブルの錠剤数2503が“10”の薬品の場合には、5列の錠剤シートであり、“14”の薬品の場合には7列の錠剤シートであることから、錠剤数2503と計測済み錠剤列2504とを比較することで最後列かどうかを判断することができる。S2309で最後列でないと判断された場合には、S2310に遷移し、S2309で最後列であると判断された場合には、S2311に遷移する。
S2310では、最後列の錠剤収容部ではないので、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、錠剤幅カウンタ値から特定される錠剤収容部の幅Xと光学センサの検出位置と錠剤落下口2205の中心位置との距離(A)とから、搬送距離(A−X/2)を算出する。図22(a)が最後列以外の錠剤収容部510cの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。
S2311では、搬送方向に関して最後列の錠剤収容部であるといえるため、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤シートの錠剤シート後端部が確実に後部主支持体で支持させた状態で取出動作が行える位置に錠剤収容部が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、最後列の錠剤収容部以外の場合の搬送距離(23.7mm−X/2)よりも短い距離(23.7mm−X/2−3mm)を、搬送距離として算出する。図22(b)が、最後列の錠剤収容部510aの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置よりも、搬送方向に関して3mm程度上流側に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。そしてこのような状態で左列の除包動作と右列の除包動作が行われる。
S2312では、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤列テーブルの錠剤列2504をこの時点で0となるように更新する。
S2313では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データで指定される全ての錠剤数の除包が終了したかを判断し、終了した場合には処理を終了する。一方S2313で全ての除包終了していないと判断された場合には、次の錠剤シートの搬送動作が開始されるので、S2302に戻る。
つまり図23及び図25を用いて説明したように、図20のように錠剤収容部間の幅をもとに最後列を特定しなくとも、錠剤マスタに記憶された錠剤数をもとに最後列であることを特定し、搬送量を決定することもできる。
次に、図26のフローチャートを用いて錠剤取出動作の流れを説明する。このような錠剤取出動作は、図20若しくは図23のフローチャートによって算出された搬送距離分、搬送された状態で行われる。このような制御は、錠剤供給装置10のCPU11が記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
S2601では、錠剤供給装置10のCPU11が、既に除包されている錠剤の除包数が処方データで指定された除包数となり除包動作が完了しているか否かを判断する。具体的には、光学センサ204が錠剤取出ユニット1ごとに検知した錠剤数の総数を錠剤数カウントデータとして記憶部にデータ管理しておくことにより、取出動作が完了したかどうかを判断することができる。
ここで取出動作が完了していると判断されている場合には、取出動作は完了したとして錠剤シートを排出ユニットに排出させて終了し、除包数に達していない場合には、S2602に進む。
S2602では、錠剤供給装置10のCPU11が、搬送機構16によって、錠剤取出位置になるように錠剤シートを搬送する。連続的に取出動作を行っている場合には、錠剤収容部の間隔の1列分だけ錠剤シートの搬送を行う。ここでの錠剤取出位置は、図20若しくは図23のフローチャートによって算出された搬送距離から定まる位置である。
S2603では、錠剤供給装置10のCPU11が、押出し機構に左側の錠剤収容部からの錠剤取出動作を行わせる。
S2604では、錠剤供給装置10のCPU11が、取出動作を行ってから所定時間以内に光学センサ204で錠剤の通過を検出(取り出し成功)したか否かで1錠検出したかを判断する。錠剤が検出されなかった場合には、S2605に進み錠剤取出動作のリトライ動作を行う。
S2606では、錠剤供給装置10のCPU11が、取出動作を行ってから所定時間以内に光学センサ204で錠剤の通過を検出(取り出し成功)したか否かで1錠検出したかを判断する。そして錠剤が検出されなかった場合には、S2607でリトライ上限に達したかを判断し、達していない場合には搬送機構16により錠剤の除包位置を変更させた後に、S2605に戻り再度リトライ除包動作を行う。一方S2607でリトライ上限に達したと判断された場合には、S2609に進む
S2604及びS2606で錠剤が検出された場合には、S2608において、既に除包されている錠剤の除包数が処方データで指定された除包数となり除包動作が完了しているか否かを判断する。具体的には、光学センサ204が錠剤取出ユニット1ごとに検知した錠剤数の総数を錠剤数カウントデータとして記憶部にデータ管理しておくことにより、取出動作が完了したかどうかを判断することができる。ここで完了していると判断されている場合には、取出動作は完了したとして錠剤シートを排出ユニットに排出させて終了し、除包数に達していない場合には、S2609に進む。
S2609では、錠剤供給装置10のCPU11が、押出し機構に右側の錠剤収容部からの錠剤取出動作を行わせる。S2610では、錠剤供給装置10のCPU11が、取出動作を行ってから所定時間以内に光学センサ204で錠剤の通過を検出(取り出し成功)したか否かで1錠検出したかを判断する。錠剤が検出されなかった場合には、S2611に進み錠剤取出動作のリトライ動作を行う。
S2612では、錠剤供給装置10のCPU11が、取出動作を行ってから所定時間以内に光学センサ204で錠剤の通過を検出(取り出し成功)したか否かで1錠検出したかを判断する。そして錠剤が検出されなかった場合には、S2613でリトライ上限に達したか判断し、達していない場合には搬送機構16により錠剤の除包位置を変更させた後に、S2611に戻り再度リトライ除包動作を行う。一方S2613でリトライ上限に達したと判断された場合には、S2602に戻り、除包動作を継続する。
また、S2610及びS2612で錠剤が取り出されたと判断された場合には、S2601に戻り、所定数除包が完了したかを判断する。以上の処理により錠剤の取出動作が行われる。
さらに、本実施形態においては、最後列の錠剤収容部以外の場合には、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置がくる位置を錠剤取出位置とした例を用いて説明したが、最後列の錠剤収容部以外の場合でも、錠剤落下口の中心位置と錠剤収容部の中心位置とが若干ずれるようにしてもよい。その場合にも、最後列の錠剤収容部は、最後列の錠剤収容部以外の場合よりも、搬送方向に関して上流側の位置が取出位置となるように搬送距離を決定させることにより、同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態においては、搬送距離を錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミングから搬送する距離として算出していたが、錠剤シートの錠剤収容部の通過開始を検出機構17で検知したタイミングから搬送する距離としてもよい。この場合には、最後列以外の錠剤収容部の場合の搬送距離は、A+X/2となり、最後列の錠剤収容部の場合の搬送距離は、A+X/2−3mmとなる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、錠剤シートの端部2402が後端となるような方向で、錠剤シートが投入口から搬送され錠剤取出動作が行われる状況を用いて説明を行ったが、本実施形態では、錠剤シートの端部2402が先端となるような方向で、錠剤シートが投入口から搬送され錠剤取出動作が行われる状況を説明する。
錠剤シートの端部2402が先端となる場合の制御と後端となる場合の制御のいずれを行うかは、例えば錠剤取出ユニット1の投入口203付近に切り替えボタンをそれぞれ設け、調剤者が錠剤シートの投入時に選択させることで決定することができる。また、錠剤取出ユニット1の投入口近傍に検知手段(不図示)をそれぞれ設け、端部2402をどちらの方向に向けて錠剤シートが投入されたかを検知し、当該検知結果に応じて錠剤シートの端部2402が先端となる場合の制御と後端となる場合の制御のいずれを行うかを決定させてもよい。
すなわち、錠剤収容部と錠剤シートの端部との距離が短い側が後ろになるように搬送される第1の場合と、錠剤収容部と錠剤シートの端部との距離が短い側が前になるように搬送される第2の場合とで、錠剤収容部の位置に応じた搬送距離を決定する仕組みを切り替えるように制御する。これにより、錠剤シートの搬送状況に応じた制御をおこなうことができる。
錠剤シートの端部2402が先端となるような方向で投入された錠剤シートを用いて、本発明を適用せずに錠剤取出動作を行った様子を図27(a)に示す。図27(a)に示すように、錠剤収容部510aを錠剤落下口2205の中央に位置するように搬送制御した状態で、錠剤を取り出そうとすると、最前列の錠剤収容部510aの端部から前部主支持体2202との最短距離は、2.5mmとなる。そのため、図27(a)に示すような錠剤収容部510aと錠剤シート端部2402との間隔が2.5mm未満の錠剤シートでは、錠剤シートの端部2402を支持していない状態で取出動作が行われることになるため、錠剤シートを適切に支持することができず錠剤取出動作を行っても錠剤シートから錠剤を取り出すことができない場合が生じていた。
そのため、本実施形態においては、錠剤収容部と錠剤シートの端部との幅が狭い側が先端となるように錠剤シートを搬送する際に、最前列の錠剤収容部から錠剤を取り出す場合には、錠剤取出位置を搬送方向に関して下流側に若干ずらす制御を行う。すなわち、錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミングから、錠剤シートを搬送させる搬送距離を、距離(A−X/2)よりも長くする制御を行う。具体的には、距離(A−X/2)よりも2mm〜3mm程度長く搬送させることにより、図17(a)に示すように錠剤収容部510aと錠剤シート端部2402との間隔が2.5mm未満の錠剤シートであったとしても、図27(b)に示すように錠剤シートの錠剤シート先端部が確実に前部主支持体で支持させた状態で取出動作が行えるようになる。なお、ここでは長くする距離を2mm〜3mm程度と示したが、この値は市場に流通している錠剤シート等により適宜変更してよい。
本実施形態における光学センサの検出位置と錠剤落下口との距離がわかる図を図28に一例として示し、これを用いて説明を続ける。図28は、錠剤取出位置を錠剤供給装置の重力方向上側から見ている図である。ここでは、光学センサの検出位置と錠剤落下口の中心位置との距離Aは、約23.7mmとなっている。最前列の錠剤収容部以外の場合には、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミング、すなわち光学センサ17がONからOFFとなったタイミングから距離(23.7mm−X/2)を搬送させた位置を錠剤取出位置とする。これにより、錠剤が錠剤収容部から取り出せる確率が高い位置で錠剤取出動作を行うことができる。
一方、最前列の錠剤収容部の場合には、最前列の錠剤収容部以外の場合の搬送距離(23.7mm−X/2)よりも長い距離(23.7mm−X/2+3mm)を、錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミング、すなわち光学センサ17がONからOFFとなったタイミングから錠剤シートを搬送させた位置を錠剤取出位置とする。これにより、最前列の錠剤収容部の場合には最前列の錠剤収容部以外よりも、搬送方向に関して下流側の位置が錠剤取出位置となるため、錠剤シートの錠剤シート先端部が確実に前部主支持体で支持させた状態で取出動作が行えるようになる。
次に、錠剤収容部と錠剤シートの端部との幅が狭い側が先端となるように錠剤シートを搬送する際に、錠剤取出位置までの搬送距離(すなわち錠剤取出位置までの搬送量)を決定する流れを図29のフローチャートを用いて説明する。このような制御は、錠剤供給装置10のCPU11が記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
S2901では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データによって特定される錠剤分除包するために、1枚目の錠剤シートの搬送が開始されると搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定する。
S2902では、錠剤供給装置10のCPU11は、光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2903では、光学センサがOFFからONに変わったかどうかを判断する。具体的には、受光部17bで受光する光量が所定量よりも少ない場合に光学センサはONであるといえるため、光学センサがONとなる場合には、S2905に進む。一方、光学センサがOFFである場合には、まだ錠剤収容部を検出できていないため、S2904に進む。
S2904では、錠剤間の幅を特定するための錠剤間の幅カウンタ値をインクリメントする。つまり搬送モータによるステップ数をカウントすることになるため、光学センサがOFFとなっている間にカウントされる錠剤間の幅カウンタ値と搬送モータによる1ステップ分に対応する搬送距離とから、搬送を開始してから錠剤収容部が検知されるまでの距離若しくは、錠剤収容部の間の距離を特定できる。
S2905では、錠剤幅を特定するための錠剤幅カウンタ値をインクリメントする。つまり搬送モータによるステップ数をカウントすることになるため、光学センサがONとなっている間にカウントされる錠剤幅カウンタ値と搬送モータによる1ステップ分に対応する搬送距離とから、搬送方向に関する錠剤収容部の幅を特定できる。
そしてS2906では、錠剤供給装置10のCPU11は、S2901と同様に搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定し、S2907でS2902と同様に光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS2908では、光学センサがONからOFFに変わったかどうかを判断する。ONからOFFに変わった場合には、錠剤収容部が光学センサの検出位置を通過したといえるため、S2909に遷移する。
S2909では、錠剤間の幅カウンタ値が閾値以上かどうかを判断する。閾値以上である場合には、最前列の錠剤収容部であると判断し、S2913へと遷移する。一方閾値以上でない場合には、最前列の錠剤収容部510aではないと判断し、S2910へと遷移する。なお、S2912で閾値が更新される前は、閾値としてデフォルト値が設定されている。デフォルト値としては、一般的に流通するいずれの錠剤シートにおける隣接する錠剤収容部の距離よりも大きい値であって、図30に示すようなZより小さい値が設定されていればよく、例えば20mmを用いることができる。
S2910では、錠剤供給装置10のCPU11は、最前列の錠剤収容部ではないので、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、錠剤幅カウンタ値から特定される錠剤収容部の幅Xと光学センサの検出位置と錠剤落下口2205の中心位置との距離(A)とから、搬送距離(A−X/2)を算出する。図31(a)が最前列以外の錠剤収容部510cの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。
S2911では、S2910で搬送距離を算出される際に用いられた錠剤収容部が、処方データにおける2列目の錠剤収容部であるかどうかを判断する。2列目の錠剤収容部である場合には、S2912で、錠剤間の幅カウンタ値から特定される隣接する錠剤収容部間の幅Yから求まる値を閾値として更新した後に、S2914に遷移する。これにより、S2909の判断で用いられる閾値が、現在の錠剤シートに適した値とすることができるため、S2909の判断の信頼性を高めることができる。なお搬送量精度を加味して、隣接する錠剤収容部間の幅Yに所定量加えた値を閾値とすることが好ましい。なお、S2911のように処方データの2列目の錠剤収容部の判断は必須ではなく、常に閾値を更新するようにしてもよい。
S2911で、処方データにおける2列目の錠剤収容部ではない場合には、閾値は既に現在の錠剤シートに適した値に設定されているといえるため、閾値を更新することなくS2914に遷移する。
一方、S2913では、搬送方向に関して最前列の錠剤収容部であるといえるため、錠剤シートの錠剤シート前端部が確実に前部主支持体で支持させた状態で取出動作が行える位置に、錠剤収容部が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、最前列の錠剤収容部以外の場合の搬送距離(23.7mm−X/2)よりも長い距離(23.7mm−X/2+3mm)を、搬送距離として算出する。図31(b)が、最前列の錠剤収容部510aの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置よりも、搬送方向に関して3mm程度下流側に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。そしてこのような状態で左列の除包動作と右列の除包動作が行われる。
S2914では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データで指定される全ての錠剤数の除包が終了したかを判断し、終了した場合には、S2915に遷移し、閾値をデフォルトにリセットして終了する。S2914で終了していないと判断された場合には、引き続き搬送動作が行われるので、S2904に戻る。なお、本実施形態においては、閾値を隣接する錠剤収容部間の距離に応じて設定する例を用いて説明をしたが、予め定められた固定値を閾値としてもよい。その場合には、次の錠剤収容部を検出するまで処理を繰り返すことなく、錠剤取出位置までの搬送距離を算出することができる。
図30は、連続して錠剤シートが搬送される様子を示した図である。ここから錠剤収容部の幅はXでほぼ一定であり、隣接する錠剤収容部間の幅はYでほぼ一定となっていることがわかる。さらに、搬送方向に関して最後列となる錠剤収容部510bと次の錠剤シートの最前列となる錠剤収容部510aとの間の幅Zは、隣接する錠剤収容部間の幅はYよりも十分に広い幅となっていることがわかる。そのため、本実施形態のように、隣接する錠剤収容部間の幅Yから求まる値を閾値としておくことにより、錠剤シートの切り替わりのタイミング、すなわち錠剤シートの最前列の錠剤収容部であることが判別できるため、必要なタイミングのみ、錠剤の取出位置をずらすことができる。
なお、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、あらかじめ錠剤シートの情報を本体に登録しておけば対象錠剤シートが5列シートなのか7列シートなのか等が事前に判断できるため、510a最前列の錠剤収容部の判別制度を向上させることができる。
図32は、錠剤取出位置までの搬送距離を決定する流れを説明するフローチャートである。このような制御は、錠剤供給装置10のCPU11が記憶されている制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
S3201では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データに対応する錠剤数データもしくは錠剤列データを、情報処理装置300内の外部メモリに記憶された薬剤マスタ(データベース)から取得し、錠剤供給装置10内の外部メモリに記憶する。S3202では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データによって特定される錠剤分除包するために、1枚目の錠剤シートの搬送が開始されると搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定する。
S3203では、錠剤供給装置10のCPU11は、光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS3204では、光学センサがOFFからONに変わったかどうかを判断する。具体的には、受光部17bで受光する光量が所定量よりも少ない場合に光学センサはONであるといえるため、光学センサがONとなる場合には、S3205に進む。一方、光学センサがOFFである場合には、まだ最前列の錠剤収容部を検出で来ていないため、S3202に戻る。
そしてS3205では、錠剤供給装置10のCPU11は、S3202と同様に搬送モータによる1ステップ分の搬送を特定し、S3206でS3203と同様に光学センサ17による錠剤収容部の検出状態を取得する。そしてS3207では、光学センサがONからOFFに変わったかどうかを判断する。ONからOFFに変わった場合には、錠剤収容部が光学センサの検出位置を通過したといえるため、S3208に遷移する。一方、光学センサがOFFである場合には、まだ錠剤収容部が通過してないため、S3205に戻る。
S3208では、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤列テーブルの錠剤列2504を1カウントアップするように更新する。なお、本フローチャートでは、計測済み錠剤列の更新を、錠剤収容部が通過した後に行っているが、錠剤収容部の検知が開始されたタイミングで更新してもよい。
S3209では、錠剤供給装置10のCPU11は、更新された錠剤列2504の値をもとに、これから取り出そうとしている錠剤が最前列かどうかを判断する。具体的には、錠剤列テーブルの計測済み錠剤列2504をもとに最前列かどうかを判断することができる。S3209で最前列でないと判断された場合には、S3210に遷移し、S3209で最前列であると判断された場合には、S3211に遷移する。
S3210では、搬送方向に関して最前列の錠剤収容部であるといえるため、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤シートの錠剤シート前端部が確実に前部主支持体で支持させた状態で取出動作が行える位置に錠剤収容部が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、最前列の錠剤収容部以外の場合の搬送距離(23.7mm−X/2)よりも長い距離(23.7mm−X/2+3mm)を、搬送距離として算出する。図31(b)が、最前列の錠剤収容部510aの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置よりも、搬送方向に関して3mm程度下流側に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。そしてこのような状態で左列の除包動作と右列の除包動作が行われる。
一方、S3211では、最前列の錠剤収容部ではないので、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように、錠剤シートの錠剤収容部の通過を検出機構17で検知したタイミングから錠剤シートを搬送させる搬送距離を算出する。具体的には、錠剤幅カウンタ値から特定される錠剤収容部の幅Xと光学センサの検出位置と錠剤落下口2205の中心位置との距離(A)とから、搬送距離(A−X/2)を算出する。図31(a)が最前列以外の錠剤収容部510cの錠剤取出時の様子を示す図である。錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置が来るように載置されていることがわかる。
S3212では、錠剤供給装置10のCPU11は、更新された錠剤列2504の値をもとに、これから取り出そうとしている錠剤が最後列かどうかを判断する。具体的には、錠剤列テーブルの錠剤数2503が“10”の薬品の場合には、5列の錠剤シートであり、“14”の薬品の場合には7列の錠剤シートであることから、錠剤数2503と計測済み錠剤列2504とを比較することで最後列かどうかを判断することができる。S3212で最後列でないと判断された場合には、S3213に遷移し、S3212で最後列であると判断された場合には、S3214に遷移する。
S3213では、錠剤供給装置10のCPU11は、錠剤列テーブルの錠剤列2504をこの時点で0となるように更新する。S3214では、錠剤供給装置10のCPU11は、処方データで指定される全ての錠剤数の除包が終了したかを判断し、終了した場合には処理を終了する。一方S3214で全ての除包終了していないと判断された場合には、次の錠剤シートの搬送動作が開始されるので、S3202に戻る。つまり図29のように錠剤収容部間の幅をもとに最前列を特定しなくとも、錠剤マスタに記憶された錠剤数をもとに最前列であることを特定し、搬送量を決定することもできる。
なお、錠剤取出動作の流れは第1の実施形態の図26と同様であるため、説明を省略する。
さらに、本実施形態においては、最前列の錠剤収容部以外の場合には、錠剤落下口の中心位置に錠剤収容部の中心位置がくる位置を錠剤取出位置とした例を用いて説明したが、最前列の錠剤収容部以外の場合でも、錠剤落下口の中心位置と錠剤収容部の中心位置とが若干ずれるようにしてもよい。その場合にも、最前列の錠剤収容部は、最前列の錠剤収容部以外の場合よりも、搬送方向に関して上流側の位置が取出位置となるように搬送距離を決定させることにより、同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態においては、搬送距離を錠剤シートの錠剤収容部の通過完了を検出機構17で検知したタイミングから搬送する距離として算出していたが、錠剤シートの錠剤収容部の通過開始を検出機構17で検知したタイミングから搬送する距離としてもよい。この場合には、最前列以外の錠剤収容部の場合の搬送距離は、A+X/2となり、最前列の錠剤収容部の場合の搬送距離は、A+X/2+3mmとなる。