以下、図面に基づき、本発明の電動船外機の収納構造における好適な実施の形態を説明する。
図1は、本発明の適用例としての電動式の船外機10の構成例を示している。図2は、船外機10のシステム構成を示すブロック図である。図3は、船外機10における電動モータ搭載時の船外機本体100の後方斜視図である。先ず図1〜図3を用いて、船外機10の全体構成について説明する。なお、図1を含め、以下の説明で用いる図において、必要に応じて船外機10の前方を矢印Frにより、後方を矢印Rrによりそれぞれ示し、また、船外機10の側方右側を矢印Rにより、側方左側を矢印Lによりそれぞれ示す。
船外機10は、船外機本体100と電源/制御ユニット(あるいは単に電源ユニットという)200とを有する。船外機本体100と電源/制御ユニット200とは別体構成され、両者は接続ケーブル11により電気的に接続される。船外機本体100は、図示しない船舶の船体船尾に配置されたトランサムボード等に取り付けて使用される。電源/制御ユニット200は船舶の船体適所に搭載され、接続ケーブル11を介して船外機本体100の後述する電動モータに対して駆動用の電力(ここでは、交流電流)を供給する。また、電源/制御ユニット200は、船外機10を制御する。船外機本体100が電源/制御ユニット200と別体であるため、船外機本体100を軽量化しその操作性の向上を図ることができる。本実施形態において、船外機本体100と電源/制御ユニット200とはカプラ等の接続手段を用いずに、接続ケーブル11により一体化して接続され、基本的には繋がったままの状態で使用される。
船外機本体100は主に図3に示されるように、動力源である電動モータ101(図2)等を含むアッパユニット100Aと、船外機本体100を船体に取り付けるためのマウント装置等を含むミドルユニット100Bと、推力を発生する推進機等を含むロアユニット100Cとを有する。この例ではアッパユニット100A〜ロアユニット100Cが上下方向に3段式に配置構成される。
電源/制御ユニット200は主に、船外機10を制御する制御部201と、船外機10の電源としての電池部202と、電池残量や船外機10の速度等を始めとして船外機10の運転操作に必要となる各種のパラメータ等を表示する表示部203とを含んでいる。
制御部201は、ソフトウェアや船外機10の設定に関するデータを格納できるメモリとそのメモリからソフトウェアや船外機10の設定を読み出して実行できるプロセッサとを有する。そして、制御部201が船外機10の設定に基づいてそのソフトウェアを実行することにより、船外機10は適正に制御されるようになっている。なお、制御部201にはメインスイッチ204や外部電源出力(例えば12V)205等が接続される。
電池部202は、単数又は複数のパッケージ化された電池パック(バッテリ)と、複数の電池を同時に装着できる電池パック装着部とを含み、電源/制御ユニット200に対して着脱可能である。電池部202の電池パックは直流電源であり、例えばリチウムイオン電池のセル集合体が適用可能であり、外部機器1としての充電器2によって充電することにより、繰り返して使用することができる。そして、電池パックが電池パック装着部に取り付けられることで、制御部201や船外機本体100の電動モータ101、あるいはその他の各部を駆動するための電力が供給可能になる。
なお、外部機器1において故障診断/データ書換えユニット3を更に有する。この故障診断/データ書換えユニット3は、電源/制御ユニット200の制御部201に対して、信号を送受信可能に電気的に接続することにより、船外機10の状態を読み出して正常であるか否かを判断できる。更に、故障診断/データ書換えユニット3は、制御部201のメモリに格納されるソフトウェアや設定を書き換えることができる。
ここで更に、船外機本体100についてその基本構成を説明する。先ず、前述のようにアッパユニット100Aに電動モータ101を備え、接続ケーブル11が接続された電動モータ101に電源/制御ユニット200から電力が供給される。この電動モータ101はベース103上に固定支持されたモータハウジング102内に収容される。また、ベース103から前方に延出したハンドルブラケット104には操舵ハンドル105がピン結合し、これによりモータハウジング102と操舵ハンドル105は相互に連結される。なお、操舵ハンドル105は上下方向に折畳み可能に取り付けられる。後述するようにアッパユニット100Aは操舵ハンドル105の回動操作により、船体側に固定のミドルユニット100Bに対して水平方向に回動可能である。
ミドルユニット100Bにおいてスイベルブラケット106を有し、このスイベルブラケット106の前側に左右方向に横架されたチルトピン107を介して、左右一対のクランプブラケット108が連結される。クランプブラケット108はトランサムボードを挟むかたちで船体船尾に固定して取り付けられる。このようにミドルユニット100Bにはクランプブラケット108を含んで構成されるマウント装置が設けられる。クランプブラケット108とスイベルブラケット106とは、チルトピン107を介して上下方向に相対的に回転できる。このためクランプブラケット108がトランサムボードに固定されている状態において、船外機本体100をチルトピン107のまわりに回動させ、チルトアップ/ダウン操作を行うことができる。
上記の場合、図1に示されるようにハンドルブラケット104とクランプブラケット108の間には引張りスプリング109が張架される。船外機本体100がクランプブラケット108を介して船体に取り付けられた際には、後述する推進部が略前方を指向するように引張りスプリング109がアッパユニット100Aを弾性付勢する。即ち、引張りスプリング109はリターンスプリングとして機能する。
ロアユニット100Cにおいて、電動モータ101の回転動力を船舶に対する推進力に変換する推進部を有する。図1に示されるように外観的にはスイベルブラケット106の下側にドライブシャフトハウジング110が配置されるが、このドライブシャフトハウジング110はその略上半部がスイベルブラケット106に内挿され、その上端部110A(図4参照)がスイベルブラケット106の直上部まで延出し、後述する結合構造によりアッパユニット100Aと連結する。ドライブシャフトハウジング110内には更に、後述するドライブシャフトが貫通配置される。該ドライブシャフトの上端部は電動モータ101の出力軸と後述する結合構造により連結され、その下端部はギヤケース111内のギヤ(ベベルギヤ)と連結される。このギヤはプロペラシャフトと結合しており、プロペラシャフトの後端部には推進プロペラ112が取り付けられている。このように推進部において電動モータ101の出力軸の回転がドライブシャフト及びベベルギヤを経て、プロペラシャフトに伝達され、最終的に推進プロペラ112を回転させる構造となっている。
アッパユニット100Aのモータハウジング102は、ドライブシャフトハウジング110と連結される。従って、操舵ハンドル105の回動操作により、モータハウジング102とドライブシャフトハウジング110、即ち推進部とを一体的に水平方向に回転可能である。つまり、操舵ハンドル105によって推力部を左右方向に操舵、即ちステアリング操作することができる。
上述した基本構成において電動モータ101は、推進部の推進プロペラ112を回転駆動させるための駆動源であり、例えば三相交流誘導電動機等の交流電動機が適用される。この場合、モータハウジング102の内部には交流電流により回転磁界を形成するコイルと、この回転磁界により回転する回転子とが収容される。回転子に設けられた出力軸は、その軸線方向が略垂直(上下方向)になるように設けられ、モータハウジング102の下側に延出する。
電動モータ101は、その出力軸の軸線方向視で略円形の形状を有し、出力軸を基準とする半径方向寸法が、軸線方向寸法よりも大きい略扁平な形状を有する。このような半径方向寸法が大きい電動機は、特に低回転時におけるトルクが大きい。このため船舶の始動時等に、中間減速機等を用いることなく大きな推進力が得られる。これにより船外機本体100として全高を低く抑えつつ、コンパクトな構成でありながら、必要且つ十分な出力が得られる。なお、電動モータ101は図2のように位相、速度及び温度等の作動パラメータを検出するセンサ113が付帯しており、それらの検知信号が制御部201に送出されるようになっている。
また、操舵ハンドル105には図1のようにアクセルグリップ114等が設けられる。アクセルグリップ114は、電動モータ101の回転方向及びその回転速度を調整するものである。このアクセルグリップ114は操舵ハンドル105の先端部において、操舵ハンドル105の軸心回りに正転及び逆転可能に取り付けれ、その回転方向及び回転量がスロットル/シフトセンサ115A(図2)により検出されるようになっている。それらの検出信号が制御部201に送出され、制御部201はその検出信号に基づき、アクセルグリップ114の回転量に応じて電動モータ101の回転数を設定する。更に操舵ハンドル105の適所には、船外機10を緊急停止させるためのスイッチであるエマージェンシースイッチ115Bが配設される。
本発明の船外機10において、アッパユニット100Aは図4に示すようにミドルユニット100B及びロアユニット100Cに対して分離可能であり、つまり電動モータ101が船外機本体100に対して着脱可能な結合構造を有する。このようにアッパユニット100A、即ちその主要部である電動モータ101を船外機本体100から取外し可能とするアッパユニット100Aとミドルユニット100B(及びロアユニット100C)の間の結合構造については次に述べるが、電動モータ101は常態では図1あるいは図3のように船外機本体100に取り付けられ、電動モータ101をその取付状態に保持するためのモータホルダ116を有している。このモータホルダ116は、スイベルブラケット106の直上部に位置する。
ここで、図4に示されるようにドライブシャフトハウジング110内に収容保持されるドライブシャフト117は、ミドルユニット100B及びロアユニット100Cの長手方向(上下方向)に沿って延設される。ドライブシャフト117の上端部117Aは図示のようにスイベルブラケット106の直上部まで延出する。なお、詳細図示を省略するが、ドライブシャフトハウジング110は軸受構造を介してスラスト方向及びラジアル方向ともスイベルブラケット106によって支持され、また、ドライブシャフト117は軸受構造を介してスラスト方向及びラジアル方向ともドライブシャフトハウジング110によって支持される。スイベルブラケット106、ドライブシャフトハウジング110及びドライブシャフト117はそれらの共軸に関して同心に配置され、各々相互間で相対回転もしくは回動可能に結合する。
次に、電動モータ101の船外機本体100に対する結合構造について説明する。本発明において、電動モータ101の出力軸とプロペラ駆動用のドライブシャフト117とが第1の係合機構を介して係脱可能に結合し、また、電動モータ101のモータハウジングとドライブシャフト117のドライブシャフトハウジング110とが第2の係合機構を介して係脱可能に結合する。
図5は、アッパユニット100Aとミドルユニット100Bの結合部まわりをそれぞれ示している。図5において、モータハウジング102内に収容された電動モータ101の出力軸118の先端部118Aはベース103の下方へ延出し、先端部118Aの軸線に沿って所定長さのスプライン119(雌)が形成される。なお、このスプライン119は、先端部118Aに嵌挿されたスリーブ120に形成され、あるいは先端部118A自体に直接形成したものであってもよい。一方、ドライブシャフト117の上端部117Aには、スプライン119と係合可能なスプライン121(雄)が形成され、これらのスプライン119及びスプライン121により第1の係合機構が形成される。つまり電動モータ101の出力軸118とドライブシャフト117とが第1の係合機構を介して係脱可能に結合する。
また、出力軸118の先端部118Aを囲むように円筒状のボス122がベース103の下方へ突設される。ボス122は出力軸118と同心に配置される。ボス122の内周面には、その円筒状の軸線に沿って所定長さのスプライン123(雌)が形成される。一方、ドライブシャフトハウジング110の上端部110Aには、スプライン123と係合可能なスプライン124(雄)が形成され、これらのスプライン123及びスプライン124により第2の係合機構が形成される。つまり、モータハウジング102とドライブシャフトハウジング110とが第2の係合機構を介して係脱可能に結合する。
上記のように内側の第1の係合機構とその外周に沿って配置された第2の係合機構とによる内外2重の結合構造を介して、アッパユニット100Aとミドルユニット100Bが結合する。この場合、ドライブシャフト117の上端部117Aのスプライン121が、ドライブシャフトハウジング110の上端部110Aのスプライン124に対して、アッパユニット100A側へ所定長さだけ長くもしくは多く、即ち図5のように高くなるように突出している。このように第1の係合機構のスプライン121を突出させることで、アッパユニット100A及びミドルユニット100Bが結合する際に、後述のように第1の係合機構が第2の係合機構に先行して係合開始する。
更に、モータホルダ116には電動モータ101を船外機本体100への取付状態に保持するための保持機構が構成される。図5に示されるようにボス122の外周面には、ロック用の係合ピン125が突設される。一方、モータホルダ116には係合ピン125が係合可能なロック溝126が形成される。このロック溝126は係合ピン125をスライド可能とすべく、その直径よりも若干幅広に形成され、モータホルダ116の上端縁から斜め下方へ切り込まれてスロープ状をなし、その端末部126aが鍵状もしくはL字状をなすようにモータホルダ115の周方向に沿って屈曲する。
また、モータホルダ116はドライブシャフトハウジング110に対して回動方向には可動である。両者間には図示を省略するが、例えばモータホルダ116の底部においてその回動方向に沿ってスプリングが装着される。このスプリングの弾力により、係合ピン125及びロック溝126が係合状態に保持される。
上記のような電動モータ101の結合構造において、例えば図4のように船外機本体100から取り外された電動モータ101を船外機本体100に取り付ける場合、アッパユニット100Aを下降させつつ、第1の係合機構及び第2の係合機構を順次係合させることで、実質的にワンタッチ操作で電動モータ101を船外機本体100に取り付け、その取付状態に保持することができる。一方、モータホルダ116を取り外す場合にはモータホルダ116を回動し、電動モータ101に対する取付状態のロックを解除することで電動モータ101を引き上げて、船外機本体100から簡単に取り外すことができる。
さて、本発明の船外機10において電動モータ101、電源/制御ユニット200及びケーブル11は、相互の連結関係を保持しながら一体に結合する。ここに一体とは、ケーブル11を介して繋がった電動モータ101と電源/制御ユニット200、このうち特に電池部202のバッテリとが、ワニグチクリップあるいはカプラ等の接続手段を用いることなく、基本的には繋がったままの状態となっている。なお、電動モータ101は、上述した結合構造を介して船外機本体100に対して着脱可能であるが、船外機本体100から取り外された場合でも電動モータ101は、ケーブル11を介して電源/制御ユニット200と一体化している。
本発明の実施形態を更に具体的に説明する。電源/制御ユニット200において先ず、図1のように収納ボックス206を有し、この収納ボックス206は図6のようにボックス本体206Aとこのボックス本体206Aに開閉可能に取り付けられたボックスカバー206Bからなる。この例では収納ボックス206は箱型(直方体)に形成され、電池部202(図2)を構成するバッテリ207が収納される。収納ボックス206内の一部位には、バッテリ207の形状に整合して該バッテリ207を収容するように凹設されたバッテリ装着部208を有し、更にバッテリ装着部208に装着されたバッテリ207が電気的に接続されるバッテリ接続部209が設けられている。バッテリ207はバッテリ装着部208に装着されることで、バッテリ接続部209に接続され、これにより最終的には電動モータ101と接続されるようになっている。なお、バッテリ207は図示例のような箱型のものであってよい。
収納ボックス206内の他の部位には、電動モータ101の形状に整合して該電動モータ101を収容するように凹設されたモータ装着部210を有する。モータ装着部210は図6のようにバッテリ装着部208に隣接して配置される。ここで、電動モータ101は前述したようにモータハウジング102内に収容されると共に、その出力軸118の外周部にボス122が突設配置される。更に、電動モータ101には操舵ハンドル105やアクセルグリップ114等が付帯し、これらによりアッパユニット100Aが構成される。モータ装着部210には、電動モータ101及びその周辺部材を含めて実質的にアッパユニット100A全体がモータ装着部210に収容されるようになっている。
電動モータ101をモータ装着部210に収容する際、電動モータ101を含むアッパユニット100Aを図6の矢印のように引き上げて、船外機本体100から簡単に取り外すことができる。このとき電動モータ101はケーブル11を介して電源/制御ユニット200と繋がったままの状態である。図7は、電動モータ101を含むアッパユニット100Aがモータ装着部210に収容された状態を示している。本例ではボス122が上側となるように、即ち上下反転させて電動モータ101が収納される。この場合、操舵ハンドル105及びアクセルグリップ114は折り畳まれた状態で、電動モータ101と一緒にモータ装着部210に収容される。なお、ケーブル11については適宜、渦巻き状等にコンパクトに丸めて付帯させることができる。
バッテリ装着部208及びモータ装着部210とも、バッテリ207又は電動モータ101の形状に合せて形成され、それらを収容した際には不用意に動きあるいはガタつかないように保持すべく、一定の剛性強度を有している。一方、ボックスカバー206Bの内側には、図7のようにバッテリ207又は電動モータ101の形状に合せて適度に凹むように形成された当て受け部211が設けられている。この当て受け部211はボックスカバー206Bが閉められた際に、バッテリ装着部208及びモータ装着部210に装着収容されたバッテリ207あるいは電動モータ101に適度に弾接しつつ、それらを保持保護するように機能する。当て受け部211の形成材料としては、弾性を有する比較的軟質材が好ましく、例えばスポンジ等が選ばれる。
電源/制御ユニット200において更に、図8に示されるようにインバータ212が搭載される。インバータ212は、バッテリ207から供給される直流電流を交流電流に変換して電動モータ101に供給するが、この例ではバッテリ装着部208の下側に格納される。インバータ212はケーブル11の一端が接続されると共に、バッテリ接続部209とも接続されている。また、図6又は図7に示すようにボックスカバー206Bには、充電器2(図2参照)を接続するためのコネクタ213が設けられ、充電器2はコネクタ213を介してインバータ212、更にはバッテリ207と接続されるようになっている。また、ボックスカバー206Bの上面には図1等に示すように、表示部203を構成するモニタ214が配置され、このモニタ214にて前述のようにパラメータ等を表示することができる。なお、図1等に示されるようにボックス本体206A及びボックスカバー206Bの合せ面には両者の閉合時に収納ボックス206の側面からケーブル11を引き出すことができるようにするためのケーブル挿通部215が設けられる。
更に、図9及び図10等に示されるように収納ボックス206の所定部位、典型的にはボックス本体206Aの長手方向の一端側に伸縮自在なキャリングハンドル216を有する。キャリングハンドル216を支持する一対のステー217が、ボックス本体206Aに出し入れ可能に取り付けられ、必要に応じてキャリングハンドル216をセットすることができる。常態、即ちその不使用時には図1等に示すようにステー217をボックス本体206A内に押し込んで、キャリングハンドル216は収納ボックス206の一端部にコンパクトに格納される。また、ステー217をボックス本体206Aから引き出すことで、図9あるいは図10のようにキャリングハンドル216がセットされる。更に、収納ボックス206の所定部位、例えばボックス本体206Aの長手方向の他端側に一対の走行輪218が付設される。図10のようにキャリングハンドル216をセットして、収納ボックス206を起こすことで走行輪218にて走行可能となる。
上記の場合、図9等に示すように収納ボックス206の側面部、例えばケーブル挿通部215の周辺部位に別のハンドル219が付設される。このハンドル219は不使用時には収納ボックス206の側面部に出っ張らないように格納され、必要に応じてセットして収納ボックス206を携帯可能とする。
一方、詳細図示を省略するが、例えばボックス本体206Aの底部付近の適所には、船体に設置された収納ボックス206を固定するための固定用ブラケットが付設される。収納ボックス206を搬送もしくは運搬可能にすると共に、使用時には船体にしっかり固定することができる。
本発明の船外機10は前述したように船外機本体100と電源/制御ユニット200とは別体構成され、図1のような通常の使用時には船外機本体100は船舶のトランサムボード等に取り付けられ、その電動モータ101に対してケーブル11を介して、船体に搭載された電源/制御ユニット200から電力が供給される。この場合、電動モータ101、電源/制御ユニット200及びケーブル11は、相互の連結関係を保持しながら一体に結合する。即ち、ケーブル11の一方の接続端である電動モータ101、他方の接続端であるバッテリ207ともケーブル11との接続手段としてワニグチクリップあるいはカプラ等を用いることなく、つまりそれらの接続部が露出しないため、完全防水が確保されショート等の虞れが全くない。
一方、電動モータ101あるいはバッテリ207を整備場等へ運んで行く場合、モータホルダ116のロックを解除することで、アッパユニット100Aのみを引き上げて、船外機本体100から簡単に取り外すことができる。このように船外機本体100から取り外された電動モータ101は、ケーブル11を介して電源/制御ユニット200と接続されてはいるが、この場合、船外機本体100を含む船外機10のセット全体を運ばないで済むため、その搬送性が大幅に向上し、保管場所等まで搬送する運搬負荷は格段に小さくなる。また、ミドルユニット100B及びロアユニット100Cを船体に取り付けたままの状態にして、アッパユニット100A及び電源/制御ユニット200だけを移動させ、必要に応じた整備等を行うことができる。また、バッテリ207を充電する際には、充電器2をコネクタ213に接続するだけで電池部202のバッテリ207を簡単に充電することができる。
特に本発明では電動モータ101及びバッテリ207等を搬送する際、図7あるいは図8に示すようにそれぞれモータ装着部210及びバッテリ装着部208に装着され、アッパユニット100A及び電源/制御ユニット200全体が収納ボックス206内にコンパクトに収納される。収納ボックス206内に密封されるかたちでガタつくことなく安定して収納されるため、搬送中の安全性が確保されると共に、この場合にも完全防水が保証される。
更に、収納ボックス206の搬送に際して、図9あるいは図10等に示されるようにキャリングハンドル216をセットすることで、走行輪218にて走行可能となり、容易且つ迅速に収納ボックス206を持ち運ぶことができる。キャリングハンドル216は不使用時には図1等に示すようにコンパクトに格納されるため、実使用において何ら問題とならない。また、必要に応じてハンドル219をセットし、収納ボックス206を携帯して搬送することができる。このように電動モータ101を単に船外機本体100から分離可能とするだけでなく、電源/制御ユニット200と共に一体的に収納ボックス206内にコンパクトに収納され、実使用において使用性及び取扱い性等に優れ、高い利便性を有する。
また、ボックスカバー206Bの上面に配置されたモニタ214は、表示部203として運転操作に必要となる各種のパラメータ等を表示する。モニタ214が見易い場所に配置されているため、運転中でも移動中であってもモニタ214にて必要な情報を的確に把握、確認することができる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、収納ボックス206において電動モータ101及びバッテリ207を平面方向に隣接配置する例を説明したが、それらを上下方向に段重ねするように配置することも可能である。