JP6055227B2 - 歯科用常温重合レジン - Google Patents
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ii)上記i)液材に可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなり、
該i)液材及びii)粉材の少なくとも一方にはラジカル重合開始剤が配合されてなる粉
液型歯科用硬化性材料において、
さらに、該i)液材及びii)粉材の少なくとも一方に樹枝状ポリマーが配合されてなる
歯科用常温重合レジンである。
本実施形態の歯科用硬化性材料に用いられる樹枝状ポリマーは、従来のポリマーが一般的に紐状(または線状)の形状であるのに対し、3次元的に枝分かれ構造を繰り返し、高度に分岐している高分子である。こうした構造の樹枝状ポリマーは、1)球形に近い形状を有すること、2)ナノメートルオーダーのサイズを有すること、3)分子間の絡み合いが少なく微粒子的挙動を示すこと、4)紐状ポリマーに比べて溶媒や液状の重合性単量体と混合した際の分散性が高く、かつ、粘度の増加を低く抑えることができること、5)機能性基を導入可能な分子鎖末端を表面に多数有すること、6)分子内に空隙を有していることなどの特徴を有している。
本発明において、i)液材は、25℃程度の室温下で液状のラジカル重合性単量体を主成分とする部材であり、これは該温度下で固体状のラジカル重合性単量体を有機溶剤に溶解させて用いても良いが、通常は該温度下で液状のラジカル重合性単量体を用いることにより実現するのが好ましい。
本発明の粉液型歯科用硬化性材料においてii)粉材は、上記i)液材の主成分であるラジカル重合性単量体に可溶性の非架橋有機樹脂粒子を主成分とする。液材と粉材を混合した際に、斯様な非架橋有機樹脂粒子の少なくとも一部が、液材に溶解し、且つ溶解残滓の粒子は膨潤することにより混合物は増粘し、上記ラジカル重合性単量体の重合性が促進される。併せて、この成分の溶解残滓の粒子は、歯科用硬化性材料の硬化体の靭性を高める作用も有する。
本発明の粉液型歯科用硬化性材料には、必要に応じて他の成分を添加することができる。例えば、i)液材には、エタノール等の有機溶媒、ブチルヒドロキシトルエン、メトキシハイドロキノン等の重合禁止剤、2−(2−ベンゾトリアゾール)−p−クレゾール等の紫外線吸収剤、色素、顔料、及び香料等を配合しても良い。
・HA−DVB−500
日産化学工業株式会社、GPC法による重量平均分子量48000であり、流体力学的平均直径が11.7nm(in THF)であるハイパーブランチポリマー。樹枝状ポリマーの末端部分に位置する官能基(末端官能基)はメチルエステル基である。
・HA−DMA−200
日産化学工業株式会社、GPC法による重量平均分子量22000であり、流体力学的平均直径が5.2nm(in THF)であるハイパーブランチポリマー。末端官能基はメチルエステル基である。
・HA−DMA−50
日産化学工業株式会社、GPC法による重量平均分子量4000のハイパーブランチポリマー。末端官能基はメチルエステル基である。
・HA−DMA−700
日産化学工業株式会社、GPC法による重量平均分子量67000のハイパーブランチポリマー。末端官能基はメチルエステル基である。
・HPS−200
日産化学工業株式会社、GPC法による重量平均分子量23000であり、流体力学的平均直径が7.5nmであるハイパーブランチポリマー。末端官能基はスチリル基である。
・PB
末端基に水酸基を有するハイパーブランチポリマーであるPerstop社のBoltornH20(トリメチロールプロパンを核とするジメチロールプロパンの重縮合物、GPC法による重量平均分子量2100)
MMA:メチルメタクリレート
TMPT:トリメチロールプロパントリメタクリレート
<非架橋有機樹脂>
PEMA:ポリメタクリル酸エチル
P(MMA−EMA):メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体
<ラジカル重合開始剤>
cHexEt−PTO:1−シクロヘキシル−5−エチルピリミジントリオン
cHexMe−PTO:1−シクロヘキシル−5−メチルピリミジントリオン
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
CuAcAc:アセチルアセトン銅
CuAc:酢酸第二銅
<有機ハロゲン化合物>
DLDMACl:ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド
DLDMABr:ジラウリルジメチルアンモニウムブロマイド
<芳香族3級アミン>
DEPT:p−トリルジエタノールアミン
<ラジカル連鎖移動剤>
α−MSD:2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
<重合禁止剤>
BHT:ブチルヒドロキシトルエン
<無機充填材>
F1:平均粒径0.02μmの非晶質シリカ(メチルトリクロロシラン処理物)
<練和法でのペースト性状評価>
・操作時間、使用可能時間の測定
粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で各成分を混練用のラバーカップ内に量り取って、直ちに練和用ヘラを用いて均一なペースト状になるまで混ぜ合わせた。練和を開始してから、ペースト状になるまでの時間(操作時間)を計測した。引き続き、ペースト状となった練和物に先端に丸みを持たせたアクリル棒を挿入し、取り出すという操作を繰り返し、ペーストの糸引きの有無を観察し、ペースト状になってから、ペーストとしての糸引きが無くなるまでの時間(使用可能時間)を計測した。
・筆積み性の評価
粉材及び液材を別々の容器に取り出し、液材を筆に含ませた。その筆を粉材に付けて筆先に付着した粉材と筆から滲み出る液材とを馴染ませてレジン泥を作製し、練和紙の上にレジン泥を盛り付けた直後に透明なアクリル板でレジン泥を押しつぶした。この時、レジン泥の均一性と硬化後の硬化体の様子を、下記評価基準に従って評価した。なお、筆積みによるレジン泥は、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で混合している。
評価基準:
◎:均一なペースト状であり、硬化後は、均一な硬さを有する硬化体が得られた。
○:僅かに粉ダマが確認されたが、硬化後は、均一な硬さを有する硬化体が得られた。
△:一部粉ダマが確認され、硬化はしたものの、ところどころで粉吹きが確認された。
×:粉ダマが多く発生しており、硬化後に指で揉むと、ボソボソと壊れた。
・曲げ強さの測定
硬化体の曲げ強さ測定は、以下の方法で行った。まず、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で各成分を混合し、20秒間練和した。次いで、25mm×2mm×2mmのモールドに流し込み、37℃で24時間硬化させた。このようにして得られた硬化体を支点間距離20mmで曲げ破壊試験を行った。クロスヘッドスピードは1mm/minである。なお、測定は23℃の恒温室で行った。
・適合性の測定
適合性の評価の評価に関しては、上底:7mm径、下底:8mm径、高さ:5mmの円錐台の適合性評価用支台歯模型を用いて、TEC(テンポラリークラウン)を作製して行った。まず、支台歯模型上に、粉材(g)/液材(ml)=2/1の割合で各成分を混合して作製したレジンを盛り付け、内径10mm、外径18mm、高さ9mmの樹脂製チューブを、レジンを盛り付けた支台歯模型を中心に置くように被せて、アクリル製の板を抑えつけてレジンの形状を整えた。次に、チューブを撤去し、レジンを支台歯模型から取り外し、レジンが硬化するまで放置した。レジンが硬化した後、再度、支台歯模型に硬化したレジン(テンポラリークラウン)を装着した。その際、支台歯模型底辺からのからの浮き上がり(適合性)を、ノギスを用いて計測した。
樹枝状ポリマーとしてHA−DVB−500を20g、ラジカル重合性単量体としてメチルメタクリレート90g及びトリメチロールプロパントリメタクリレート10g、有機ハロゲン化合物としてジラウリルジメチルアンモニウムクロリド0.3g、重合禁止剤としてブチルヒドロキシトルエン0.1gを計り取り、3時間攪拌混合し、液材を得た。
表1に示した組成の異なる歯科用常温重合レジンを調製する以外は、実施例1の方法に準じ、操作時間、使用可能時間、筆積み性、曲げ強さ、適合性を評価した。試験結果を表2に示した。
表3に示した組成の異なる歯科用常温重合レジンを調製する以外は、実施例1の方法に準じ、操作時間、使用可能時間、筆積み性、曲げ強さ、適合性を評価した。試験結果を表4に示した。
Claims (5)
- i)ラジカル重合性単量体を主成分とする液材、及び
ii)上記i)液材に可溶性の非架橋有機樹脂を主成分とする粉材からなり、該i)液材及びii)粉材の少なくとも一方にはラジカル重合開始剤が配合されてなる粉液型歯科用硬化性材料において、さらに、該i)液材及びii)粉材の少なくとも一方に重量平均分子量が15000以上200000以下である樹枝状ポリマーが配合されてなる歯科用常温重合レジン。 - 樹枝状ポリマーが、ハイパーブランチポリマーである請求項1に記載の歯科用常温重合レジン。
- 樹枝状ポリマーが、i)液材に配合されてなる請求項1又は2に記載の歯科用常温重合レジン。
- i)液材の主成分であるラジカル重合性単量体が、低級アルキル(メタ)アクリレートである請求項1〜3のいずれか一項に記載の歯科用常温重合レジン。
- ii)粉材の主成分である非架橋有機樹脂が、ポリ低級アルキル(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれか一項に記載の歯科用常温重合レジン。
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