(第1実施形態)
以下に、第1実施形態について図面を参照して説明する。図1、図2に示すように、箱型容器としての折畳み容器1は、上方に開口する略四角箱状をなし、物品を収容可能な容器本体2と、容器本体2の開口部を開閉可能な一対の蓋部材3とを備えている。本実施形態の容器本体2及び蓋部材3は、それぞれポリプロピレンにより構成されている。
容器本体2は、略矩形板状の底壁部11と、底壁部11の相対する一対の長辺部に対応してそれぞれ設けられた長辺側側壁部12と、底壁部11の相対する一対の短辺部に対応してそれぞれ設けられた短辺側側壁部13と、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13の上辺部に沿って設けられた四角枠状の上枠14とを備えている。
また、図3〜図5に示すように、本実施形態の容器本体2は折り畳み可能に構成されている。すなわち、長辺側側壁部12は、底壁部11の長辺部に対して回動可能に連結される下壁部15と、上枠14の長辺部に対して回動可能に連結される上壁部16とを備え、下壁部15の上辺部と上壁部16の下辺部とが回動可能に連結されている。本実施形態では、図3に示すように、上壁部16と下壁部15との連結部を容器本体2の内側に押し込むように押圧することで、上壁部16の外面と下壁部の外面とを合わせるようにして長辺側側壁部12を折り畳み可能になっている。
短辺側側壁部13は、上枠14の短辺部に対して回動可能に連結されている。本実施形態では、短辺側側壁部13を容器本体2の内側に押し込むように押圧することで、短辺側側壁部13を略水平に延在するまで回動可能になっている(図5参照)。また、短辺側側壁部13の横幅は、一対の長辺側側壁部12間の距離とほぼ同じであり、容器本体2の組立状態では一対の長辺側側壁部12の間に位置している上、短辺側側壁部13と上枠14との回転軸は、長辺側側壁部12と上枠14との回転軸よりも上方に位置している。このため、組立状態にある容器本体2は、先ず、一対の短辺側側壁部13を容器本体2の内側に押圧して水平に延在するまで回動させてから、一対の長辺側側壁部12を折り曲げることで、折り畳むことができるようになっている。尚、容器本体2の組立状態において、短辺側側壁部13と底壁部11とを係止させたり、短辺側側壁部13と長辺側側壁部12とを係止させたりする係止手段を設けることとしてもよい。
図2に示すように、上枠14は、一対の長辺側側壁部12にそれぞれ連結される一対の長辺部(以下、「長辺側枠構成部17」と称する)と、一対の短辺側側壁部13にそれぞれ連結される一対の短辺部(以下、「短辺側枠構成部18」と称する)とを備え、上枠14の外寸は、底壁部11の外寸とほぼ等しくなっている。また、容器本体2の組立状態では、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13の内面と、上枠14の内周面とがほぼ面一となるように構成されている。加えて、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13は、容器本体2の組立状態であっても、上枠14や底壁部11の外周縁よりも外周側には突出しないように構成されている(図1参照)。また、容器本体2の折り畳み状態では、折り畳まれた長辺側側壁部12と、その上方に重なる短辺側側壁部13とが上枠14の内周側に収容されるとともに、底壁部11と上枠14とが上下に直接当接するように構成されている(図4、図5参照)。
加えて、図5に示すように、底壁部11の下面側には、底壁部11のうち、容器本体2を平面視した場合に上枠14よりも内周側に位置する範囲から下方に突出する格子状の支持リブ19が設けられている。そして、容器本体2を床面に設置した場合には、支持リブ19の下縁部が床面に接地し、容器本体2が支持される構成となっている。
図1、図2に示すように、蓋部材3は、上枠14の相対する一対の長辺側枠構成部17の上辺部に対してそれぞれ回動可能に連結されている。本実施形態の蓋部材3は、容器本体2の開口部を覆って略水平に延び、上枠14の上辺部に支持される位置から、蓋部材3の上面が長辺側側壁部12の外面と対向するようにして長辺側側壁部12の外面側に並設されて略鉛直に延びる位置となるまで開放可能に構成されている。尚、一対の蓋部材3は同形状のものであり、向い合せにしてそれぞれ長辺側枠構成部17に取付けられている。
また、蓋部材3には、一対の蓋部材3の突合わせ側の開放側端縁から蓋部材3の上面を延長させるようにして突出形成された平面視略台形状の張出し部21が設けられている。これに対し、蓋部材3の上面側には、一対の蓋部材3をともに閉状態とする際に、他方の蓋部材3の張出し部21を収容可能な収容凹部22が形成されている。そして、開状態にある一対の蓋部材3を同時に閉方向に変位させることで、張出し部21の干渉を回避しつつ、一対の蓋部材3を閉状態とすることができ、一対の蓋部材3が閉状態とされると、各蓋部材3の張出し部21が相手側の蓋部材3の収容凹部22に収容されることとなる。
加えて、上枠14の長辺側枠構成部17及び短辺側枠構成部18の上辺部には、上方に突出する位置決め突部23が設けられている。これに対応して、各蓋部材3には、閉状態とされた場合に、位置決め突部23が挿通される位置決め開口部24が形成されている。当該構成により、閉状態にある蓋部材3の水平方向における位置ずれが防止されることとなる。さらに、図1等に示すように、位置決め突部23は、蓋部材3を閉状態とした場合においても、蓋部材3の上面よりも上方にまで突出している。そして、蓋部材3を閉状態として、折畳み容器1同士を上下に積み重ねた(段積みした)場合、上側の折畳み容器1の容器本体2の支持リブ19の下面が、下側の折畳み容器1の蓋部材3の上面に支持されるとともに、上側の折畳み容器1の支持リブ19の外周面が、下側の折畳み容器1の複数の位置決め突部23の側面と対向配置され、これによって上下に段積みされた折畳み容器1同士の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。尚、位置決め突部23によって段積み時の折畳み容器1の位置決めを行う構成に代えて、蓋部材3に対して上面から上方に突出するずれ止め凸部を設けて、かかるずれ止め凸部によって段積み時の折畳み容器1の位置決めを行うように構成してもよい。
さて、本実施形態では、折畳み容器1を折り畳む際に、閉状態にある蓋部材3の下面側に跳ね上げられることとなる短辺側側壁部13に特徴がある。以下、短辺側側壁部13について、図6〜図9等を参照して説明する。尚、本実施形態の短辺側側壁部13は左右対称形状であり、一対の短辺側側壁部13は同一形状である。
図6、図7に示すように、各短辺側側壁部13は、略平板状のベース壁部31と、ベース壁部31の外面から外方に突出する補強リブ32とを備えている。また、ベース壁部31の上辺部側には、上枠14の短辺側枠構成部18に対して回動可能に連結されるヒンジ部33が設けられている。さらに、ベース壁部31の横幅方向略中央、かつ、上辺部近傍位置には、作業者が手を差し入れることのできる持ち手孔34が形成されている。尚、ベース壁部31の内面側には、持ち手孔34を閉塞するとともに、持ち手孔34の直下方位置に対し、容器本体2の内側に向けて傾倒変位可能に取付けられた半透明の持ち手カバー35が設けられている。当該持ち手カバー35により、ベース壁部31の外面側から作業者が持ち手孔34へ手を進入させて短辺側側壁部13の持ち手孔34の上方部位を掴むことは許容される一方で、折畳み容器1に収容された物品がベース壁部31の内面側から持ち手孔34へ進入することは規制されるようになっている。
図7に示すように、補強リブ32は、短辺側側壁部13の高さ方向(上下方向)に延びる縦リブ36と、短辺側側壁部13の横幅方向(左右方向)に延びる横リブ37とを備え、複数の縦リブ36と複数の横リブ37とが適宜交差するようにして延在している。尚、短辺側側壁部13の外面側には補強リブ32等のベース壁部31から突出する構成が採用されている一方で、短辺側側壁部13の内面側には、ベース壁部31の内面から突出するような構成は採用されていない。つまり、短辺側側壁部13の内面は略平坦面をなしている。
また、本実施形態では、ベース壁部31外面の左右においてそれぞれ同一形状の縦リブ36が左右方向において一定間隔で4本並んで設けられている。さらに、短辺側側壁部13の高さ方向(上下方向)略中央部を含む範囲に対応して、これら4本の縦リブ36のベース壁部31からの突出方向先端縁(外縁)間を連結する補強壁部41が設けられている。換言すれば、ベース壁部31のうちその高さ方向略中央部を含む部位の外面に対向する補強壁部41が設けられるとともに、ベース壁部31と補強壁部41との間が、4本の縦リブ36によって連結されている。以下、ベース壁部31と補強壁部41とを連結する縦リブ36を「連結リブ42」と称する。尚、本実施形態では、縦リブ36である連結リブ42が連結部を構成する。
また、各連結リブ42は、基本的に、ベース壁部31の上縁部近傍から下縁部にかけて延在している。さらに、図7〜図9に示すように、各連結リブ42は、一般部43と、短辺側側壁部13の高さ方向中央部を含む部位において、一般部43よりもベース壁部31からの突出長の長い(外方に突出する)補強突出部44とを備えている。本実施形態では、短辺側側壁部13の高さ方向において、補強突出部44の形成範囲の中央部の位置と、補強壁部41の形成範囲の中央部の位置とが同じとなっているが、補強突出部44の形成範囲の方が、補強壁部41の形成範囲よりも広くなっている。加えて、補強突出部44のうち一般部43との連接部においては突出長が徐々に変化している。
また、補強突出部44と下側の一般部43との境界部からベース壁部31の下縁部までの範囲において、ベース壁部31の外面と対向するとともに、連結リブ42によってベース壁部31と連結されている補助壁部46が設けられている。当該補助壁部46は、4本で1セットになっている連結リブ42のうち短辺側側壁部13の横幅方向中央部側の3本の連結リブ42に跨るようにして形成されている。但し、図8に示すように、補助壁部46とベース壁部31とを連結するのは補助壁部46の両側部に対応する2本の連結リブ42となっており、補助壁部46の横幅方向中間位置に対応する連結リブ42に関しては、補助壁部46の形成区間では省略されている。尚、補助壁部46の存在により、折畳み容器1を折り畳むにあたって短辺側側壁部13を跳ね上げる際に、作業者が平坦な補助壁部46を押圧して短辺側側壁部13を跳ね上げることができ、補強リブ32を押圧して短辺側側壁部13を跳ね上げなければならない構成に比べて、作業性の向上等を図ることができる。
また、図5に示すように、折畳み容器1を折り畳んだ場合、一対の短辺側側壁部13同士は補強突出部44よりも下方の部位(補助壁部46)において互いに上下に重なり合うものの、補強突出部44においては互いに当接しないようになっている。
さらに、補強壁部41と、ベース壁部31と、一対の連結リブ42とによって、上方及び下方に開口する筒状の部分(以下、「筒状部47」と称する)が形成されることとなるが、本実施形態では、図8、図9に示すように、筒状部47の上下方向の丁度中間位置において、筒状部47の内側空間を上下に区切る内助壁48が設けられている。但し、内助壁48には、中央部において上下に貫通する貫通孔49が形成されており、内助壁48としては筒状部47の内周面に沿って延在する四角枠状をなしている。
ここで、筒状部47の成形に関して説明すると、図10に示すように、筒状部47の内面側については、上スライド型51と下スライド型52とによって成形されることとなる。上スライド型51と下スライド型52とはほぼ同形状をなしているが、上スライド型51には、貫通孔49を成形するための突起53が形成されている。また、上スライド型51から突起53の突出長分を差し引くと、上スライド型51及び下スライド型52は、筒状部47の内面を成形するための部位の長さが同じである。そして、図10(a)に示すように、上スライド型51と下スライド型52とを突起53において突き合わせた状態で短辺側側壁部13を成形するための金型装置を型締めし、成形材料を充填・固化させることで、筒状部47を含む短辺側側壁部13が一体的に成形されることとなる。
また、図10(b)に示すように、筒状部47の上方及び下方には、スライド型51、52を筒状部47から抜き出して、短辺側側壁部13の外面側から取出すための型抜きスペースが確保されている。すなわち、本実施形態では、連結リブ42のうち補強突出部44と、上下の一般部43との境界部において、それぞれ隣接する連結リブ42間を連結する横リブ37が形成されており、当該各横リブ37と、筒状部47との間のスペースがスライド型51、52の型抜きスペースとなっている。そして、前記各横リブ37と筒状部47との間の距離はスライド型51、52の上下方向の幅よりも若干大きく、筒状部47から抜き出したスライド型51、52は前記横リブ37に近接するようになっている。
以上詳述したように、第1実施形態によれば、短辺側側壁部13には、ベース壁部31の外面に対向し、連結リブ42によってベース壁部31と連結されている補強壁部41が設けられている。このため、短辺側側壁部13に対してベース壁部31を変形させようとする応力が作用した場合に、ベース壁部31と、連結リブ42と、補強壁部41とが協働してベース壁部31の変形を抑制することができる。特に、補強壁部41は、短辺側側壁部13に対して上下方向に圧縮されるような負荷が加えられた場合(例えば、組立状態にある折畳み容器1同士を上下に積み重ねた場合等)に比較的大きな応力が作用し易い部位である高さ方向中央部に対応して設けられている。このため、短辺側側壁部13に対して上下方向に圧縮される負荷が加えられた場合における短辺側側壁部13の変形を効果的、かつ、より確実に抑止することができる。さらに、補強壁部41を設けることによって、補強リブ32(縦リブ36や横リブ37)の数を減らしたり、補強リブ32のベース壁部31からの突出長を全体的に短くしたりしても十分な強度を確保することができ、短辺側側壁部13の軽量化、薄型化等を図ることができる。結果として、折畳み容器1が軽く、かつ、コンパクトになり、運搬・保管性能の向上、省資源化等を図ることができる。
さらに、短辺側側壁部13(ベース壁部31)の内面が略平坦面であることから、例えば、短辺側側壁部13の内面側に凹部が形成されているような場合において、折畳み容器1に収容された物品がかかる凹部に引っ掛かる等して損傷等してしまったり、凹部において埃等が溜まり易くなってしまったりするといった事態を回避することができる。
尚、本実施形態では、側壁部12、13単体での強度がより一層必要とされる上、折り畳み時のコンパクト化も要求される折り畳み式の容器に適用されていることから、本実施形態の構成を採用することで享受できる作用効果は非常に大きいものとなる。さらには、本実施形態では、長辺側側壁部12自体が屈曲してしまう構成であり、短辺側側壁部13単体での強度がより一層必要とされる折畳み容器1に適用されている。この点においても、本実施形態の構成を採用することで享受できる作用効果はより一層大きいといえる。
また、補強壁部41とベース壁部31とが縦リブ36で連結されているため、上下方向に圧縮されるような負荷に対する短辺側側壁部13の強度をより一層向上させることができる。その上、本実施形態では、補強壁部41とベース壁部31とが、4本の縦リブ36で連結されていることから、これらによって筒状部47が3つ形成されることとなり、短辺側側壁部13の強度を飛躍的の向上させることができる。さらに、例えば、補強壁部41とベース壁部31とが1本のリブで連結されているような場合に比べ、補強壁部41や連結リブ42自体の耐久性を向上させることができる。
加えて、筒状部47の内側には、筒状部47の内周面に沿って枠状に設けられた内助壁48が設けられている。このため、筒状部47(連結リブ42や補強壁部41)の変形等をより確実に防止することができ、短辺側側壁部13のより一層の強度の向上を図ることができる。また、内助壁48には貫通孔49が形成されており、筒状部47が上下に連通していることから、筒状部47の内側において埃や水を溜まり難くすることができる。従って、洗浄後の水切り性の向上、衛生面の向上等を図ることができる。
また、筒状部47の内面側(内側空間)は、上下一対のスライド型51、52によって成形されることとなる。すなわち、筒状部47が上方及び下方に開口し、短辺側側壁部13の外面側に連通する形状であることによって、筒状部47の内面側を2つのスライド型51、52によって成形することができる。これにより、各スライド型51、52のうち筒状部47を成形するための部位の長さを極力短くすることができ、当該スライド型51、52の耐久性の向上を図ることができる。さらには、前記スライド型51、52の型抜きに必要なスペースについても極力短くすることができる。このため、補強壁部41の上方や下方に対して横リブ37等を設ける場合において、かかる横リブ37等を補強壁部41に極力近づけることができる。従って、補強壁部41を設けることによって、その上方又は下方には横リブ37等を補強壁部41から大きく離間させた位置にしか設けることができず、これに起因して、補強壁部41や横リブ37等から離間した部位において強度が低下したり、或いは、強度の低下を回避するべく、補強壁部41を広範囲に形成する必要が生じてしまったりするといった事態を回避することができる。
加えて、上スライド型51には、内助壁48において貫通孔49を形成するための突起53が設けられている。また、上下一対のスライド型を前記空間において上下に突き合わせることができるため、成形時の相互の位置ずれ等を防止することができ、補強壁部41、ベース壁部31、及び、連結リブ42の肉厚等の製造誤差の発生を抑制することができる。
また、各連結リブ42には、一般部43よりもベース壁部31からの突出長の長い補強突出部44が設けられている。このように、補強リブ32のベース壁部31からの突出長を比較的長くすることで、補強リブ32によるベース壁部31の変形防止効果(本例では縦リブ36に設けられているため、上下方向を含む方向における変形防止効果)がより一層奏されることとなる。特に、本実施形態では、補強突出部44の形成範囲と、補強壁部41の形成範囲とが重複しており、補強壁部41は、補強突出部44を介して、ベース壁部31と連結されている格好となっている。このため、補強壁部41を設けることによる短辺側側壁部13の変形防止効果と相俟って、短辺側側壁部13の強度をより効果的に高めることができる。
また、補強リブ32の突出長が長くなると、補強リブ32自体の強度低下が懸念されるが、本実施形態では、突出長が比較的長く構成された補強突出部44の先端には補強壁部41が設けられることから、かかる不具合を抑制することができ、補強リブ32の損傷等を抑止することができる。特に、ベース壁部31と補強壁部41とが複数本の補強リブ32で連結されることから、かかる作用効果が一層顕著なものとなる。加えて、連結リブ42のうち補強壁部41と連接する部位である補強突出部44の突出長を長くすることで、補強壁部41とベース壁部31との間がより離間することから補強壁部41の内面等を成形するためのスライド型51、52を太く形成することができ、スライド型51、52の強度を向上させることができる。
加えて、本実施形態では、補強壁部41が設けられたからといって、補強壁部41の横幅方向中間位置に対応する縦リブ36が省略されるわけではなく、連結リブ42として補強壁部41とベース壁部31との間を連結しつつ、縦リブ36として上下方向において補強壁部41を上下に跨いで連続的に延在している。従って、補強壁部41の変形をより確実に防止することができるとともに、補強壁部41の上方と下方とで縦リブ36が分断されるような構成に比べて縦リブ36の強度を高めることができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図11〜図17を参照しつつ、特徴部分を中心に説明する。尚、折畳み容器1の基本構成は上記第1実施形態と同様であるため、便宜上、上記第1実施形態と同様の部材名称及び部材番号を使用して説明する。
図11、図12、図16等に示すように、本実施形態の短辺側側壁部13においても、上記第1実施形態と同様に、ベース壁部31外面の左右においてそれぞれ連結リブ42(縦リブ36)が4本ずつ設けられている。但し、本実施形態では、隣接する2本の連結リブ42が1組となるようにして、ベース壁部31からの突出方向先端縁間が補強壁部41によって連結されている。これにより、短辺側側壁部13を外面側から見れば、短辺側側壁部13外面の左右両側部に沿って上下に延びる突条部61がそれぞれ2条ずつ形成された格好となっている。
さらに、図15、図17等に示すように、ベース壁部31のうち、突条部61に対応する部位(補強壁部41によって連結された一対の連結リブ42の間の部位)には、突条部61の内面を短辺側側壁部13の内面側に露出させる切欠き部63が形成されている。本実施形態の切欠き部63は、突条部61の長手方向全域にわたって形成されている。尚、本実施形態では、第1実施形態の補助壁部46が省略され、連結リブ42及び補強壁部41がいずれもベース壁部31の下縁部近傍まで延設されている(下端部は横リブ37に連結されている)。
また、図16、図17等に示すように、本実施形態の連結リブ42についても、上下方向中間位置において、その他の一般部43よりもベース壁部31からの突出長が長い補強突出部44を備えている。さらに、図13、図14に示すように、折畳み容器1を折り畳んだ状態としても、上下に重なる短辺側側壁部13の補強突出部44は、他方の短辺側側壁部13に当接しない(少なくとも短辺側側壁部13のうち補強突出部44の形成部位が上下に重なり合わない)ようになっている。
以上詳述したように、第2実施形態によれば、縦リブ36である連結リブ42のうち短辺側側壁部13の上下方向中央部を含む部位において、ベース壁部31からの突出長が比較的長く構成された補強突出部44が設けられている。このため、短辺側側壁部13に対して上下方向に圧縮されるような負荷が加えられた場合における短辺側側壁部13の変形を効果的、かつ、より確実に抑止することができる。また、補強壁部41が設けられることによって、短辺側側壁部13に対してベース壁部31を変形させようとする応力が作用した場合に、ベース壁部31と、連結リブ42(補強壁部41)と、補強壁部41とが協働してベース壁部31の変形を抑制することができる。さらに、補強壁部41を設けることによって、補強リブ32の数を減らしたり、補強リブ32のベース壁部31からの突出長を全体的に短くしたりしても十分な強度を確保することができ、短辺側側壁部13の軽量化、薄型化等を図ることができる。結果として、折畳み容器1が軽く、かつ、コンパクトになり、運搬・保管性能の向上、省資源化等を図ることができる。
また、補強リブ32の先端に補強壁部41が設けられることによって、補強リブ32の強度を向上させることができ、補強リブ32の損傷等を抑止することができる。特に、補強壁部41とベース壁部31とが2本の連結リブ42で連結されているため、短辺側側壁部13の強度を飛躍的に向上させるとともに、連結リブ42や補強壁部41自体の耐久性を向上させることができる。
加えて、短辺側側壁部13同士を上下に重ねても、補強突出部44の形成部位同士は上下に重ならないため、補強突出部44の損傷を抑制することができるとともに、積み重ねられた一対の短辺側側壁部13全体の高さを抑制することができる。従って、折り畳み状態にある折畳み容器1のコンパクト化をより一層図ることができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、図18〜図20を参照しつつ説明する。尚、折畳み容器1の基本構成は上記第2実施形態と同様であるため、便宜上、上記第1、第2実施形態と同様の部材名称及び部材番号を使用して説明する。
図18に示すように、第3実施形態の折畳み容器1は、上記第2実施形態と同様に、短辺側側壁部13外面の左右両側部に沿って上下に延びる突条部61がそれぞれ2条ずつ形成されている。また、本実施形態の折畳み容器1においては、隣接する突条部61の間、或いは、突条部61とこれに隣接する縦リブ36との間を連結する外リブ71が形成されている。尚、外リブ71は所謂横リブ37であって、本例では、短辺側側壁部13の高さ方向において互いに所定距離を隔てて複数設けられているが、少なくとも補強突出部44に対応する位置に1つ設けられていればよい。
また、突条部61の内側(本例でも、上記第2実施形態と同様に、突条部61の長手方向全域にわたって切欠き部63が形成されている)には、一対の連結リブ42間を連結する内リブ73が形成されている。内リブ73及び外リブ71は、短辺側側壁部13の高さ方向において互いに対応する位置に設けられている。
さらに、本実施形態の折畳み容器1は、底壁部11が略正方形板状(上枠14が略正方形の枠状)をなしている。このため、図19、図20に示すように、折畳み容器1を折り畳むと、一対の短辺側側壁部13同士が、下部だけではなく、ほぼ全体的に上下に重なり合うこととなる。また、各短辺側側壁部13は左右対称形状であるとともに、一対の短辺側側壁部13は同一形状となっている。従って、折畳み容器1の折り畳み状態では、上側に重なる短辺側側壁部13の突条部61と、下側に重なる短辺側側壁部13の突条部61とが上下に重なることとなる。
これに対し、本実施形態の突条部61は、断面略テーパ状をなしている。すなわち、突条部61を構成する一対の連結リブ42は、ベース壁部31からの突出方向先端側に向けて互いに近接するようにして若干傾斜して延びている。さらに、折畳み容器1の折り畳み状態において、短辺側側壁部13の突条部61が上下に重なり得る部位に対応しては、外リブ71及び内リブ73の底面からの突出長が比較的短く構成されている。
そして、図20に示すように、折畳み容器1を折り畳んだ場合、上側に重なる短辺側側壁部13の突条部61が、下側に重なる短辺側側壁部13の切欠き部63を介して突条部61の内側に進入するようになっている。
以上詳述したように、第3実施形態によれば、補強突出部44を具備する突条部61を備えることで、上記第2実施形態と同様に短辺側側壁部13の変形をより確実に防止することができる。さらに、隣接する突条部61間を連結する外リブ71や、突条部61の内側に設けられる内リブ73を備えることによって、突条部61や短辺側側壁部13が短辺側側壁部13の横幅方向に伸縮するようにして変形してしまうといった事態をより確実に防止することができる。従って、突条部61の変形を防止し、ひいては、短辺側側壁部13をより一層強化することができる。また、本実施形態では、折畳み容器1を折り畳んだ場合に、短辺側側壁部13同士の大部分が上下に重なり合うこととなるが、上側に重なる短辺側側壁部13の突条部61が、下側に重なる短辺側側壁部13の切欠き部63を介して突条部61の内側に進入するようになっている。このため、重ねられた2枚の短辺側側壁部13の高さを抑制することができ、折り畳み状態にある折畳み容器1のコンパクト化をより一層図ることができる。
さらに、一対の短辺側側壁部13のうちどちらを先に跳ね上げても、上側に重なる短辺側側壁部13の突条部61を、下側に重なる短辺側側壁部13の突条部61の内側へ進入させるようにして、折畳み容器1を比較的コンパクトに折り畳むことができる。従って、折り畳み時の作業性の向上等を図ることができる。さらには、一対の短辺側側壁部13を跳ね上げる順番が設定されるような場合において、折畳み容器1製造時の短辺側側壁部13の組付け間違いが生じてしまうといった事態を回避することができる。従って、組付け作業性の向上等を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、容器本体2が折り畳み可能な折畳み容器1に具体化されているが、折り畳むことのできない容器本体を具備する(容器本体が一体成形された)箱型容器に適用することも可能である(但し、参考例)。また、上記実施形態では、容器本体2は、上枠14を備えるとともに、長辺側側壁部12の上下方向中間位置が内側に屈曲する折り畳み式の容器であったが、別の折り畳み式の容器(例えば、上枠14がなく、かつ、長辺側側壁部12が上下方向中間位置で屈曲せず、長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13が底壁部11に対して回動可能に連結されて底壁部11の上方に重ねて折り畳むことのできる折り畳み容器)を採用してもよい(但し、参考例)。
さらに、上記実施形態では、容器本体2に対して蓋部材3が回動可能に連結された容器に具体化されているが、別のタイプの蓋部材3、例えば、着脱自在な蓋部材を備える容器に適用してもよいし、蓋部材のない容器に適用してもよい。加えて、上記実施形態では、一対の短辺側側壁部13に対して補強壁部41及び補強突出部44が設けられる構成であったが、補強壁部41及び補強突出部44が設けられる対象となる側壁部は特に限定されるものではなく、適用される容器毎に適宜設定可能である。例えば、一方の長辺側側壁部12と、一方の短辺側側壁部13とに設けられることとしてもよい。また、かかる構成を採用した場合でも、折畳み容器1の折り畳み状態において、補強突出部44が形成された部位同士が上下に重ならないように構成されていることが望ましい。
(b)上記第1実施形態では、筒状部47が上方及び下方に開口形成されているが、どちらか一方、又は、両方が閉塞されていてもよい。また、筒状部47の長さについても特に限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。例えば、図21〜図23に示すように、筒状部47の内面側をガスインジェクション成形で形成する等して、上記第2実施形態の突条部61を閉塞したような形状となるように(密閉又はほぼ密閉された空間が形成されるように)構成してもよい。この場合、ベース壁部31のうち突条部61に対応する部位において切欠き部63(凹部)が形成されないことから、内面をより平坦に形成することができ、容器本体2に収容された物品をより安全に運搬可能となる等の作用効果が奏される。尚、筒状部47を開口させることで、金型装置の簡素化やコストの削減等を図ることができる。
(c)上記実施形態では、補強リブ32がベース壁部31の外面から外方に突出し、補強壁部41がベース壁部31の外面と対向しているが、補強リブ32がベース壁部31の内面から内方に突出し、補強壁部41がベース壁部31の内面と対向するように構成してもよい。また、上記実施形態では、短辺側側壁部13において、補強壁部41が設けられているが、図24に示すように、補強壁部41を省略してもよい。但し、この場合、補強壁部41を省略することで低下する強度を補うべく、補強リブ32の数が増えたり、補強リブ32の突出長が比較的長くなってしまったりして、重量が増えたり、厚みが増えたりしてしまうおそれがあるため、極力補強壁部41を設けることが望ましい。
(d)上記第1実施形態において、上下方向における補強壁部41の形成区間と、補強突出部44の形成区間とを一致させることとしてもよいし、補強突出部44の徐変区間を除く部位の形成区間と、補強壁部41の形成区間とが一致するように構成してもよい。これらの構成を採用する場合、補強突出部44の先端縁が露出するといった事態を回避することができ、補強突出部44の先端縁が損傷してしまう等の事態を防止することができる。ちなみに、上記第2、第3実施形態においては、連結リブ42の上下方向全域にわたって補強壁部41が設けられているため、連結リブ42の損傷をより確実に防止することができる。
尚、上記実施形態では、連結リブ42の先端縁に補強壁部41が連結されているが、例えば、連結リブ42の先端縁よりも若干ベース壁部31側の位置において補強壁部41が連結されるように構成することも可能である。但し、連結リブ42の先端縁の保護や、スライド型51、52が細くなることを防止する等の観点からすると、連結リブ42の先端縁に補強壁部41が設けられている方が望ましい。
(e)上記第1実施形態における筒状部47の断面形状は特に限定されるものではない。例えば、互いに対向するベース壁部31の外面と、補強壁部41の内面とは必ずしも平行して延びていなくてもよい。さらに、上記第1実施形態では、補強壁部41とベース壁部31とが4本の補強リブ32によって連結されているが、特に当該構成に限定されるものではなく、例えば、3本以下(1本でも可)又は5本以上の補強リブ32によって連結されていることとしてもよいし、補強壁部41とベース壁部31とが、左右方向(短辺側側壁部13の横幅方向)に延びる横リブによって連結されることとしてもよい。
また、上記第1実施形態では、補強壁部41が設けられた位置についても、4本の連結リブ42の全てが補強リブ32を上下に跨いで上下に連続して延在しているが、例えば、横幅方向中間位置に対応する連結リブ42等を適宜省略してもよい。但し、短辺側側壁部13の変形防止対策として、補強壁部41全体を効果的に活用するためには、補強壁部41の両側辺部に連接する連結リブ42については設けることが望ましく、さらには、補強壁部41の横幅方向中間位置に対応する連結リブ42についても省略せずに設ける方が望ましい。尚、第1実施形態の筒状部47を小物入れとして活用できるように(例えば、ドライバー等を差入れて係止しておけるように)構成してもよい。
(f)上記第2、第3実施形態における突条部61の断面形状は特に限定されるものではない。例えば、補強壁部41のように連結リブ42とは延出角度の異なる壁部を省略し、一対の連結リブ42を互いに近接するようにして斜めに突出させて直接連接させたような断面略三角状に構成してもよい。この場合、内リブ73や外リブ71を設けなくても、突条部61の強度を比較的高められる上(勿論内リブ73や外リブ71を設ければより強くなる)、上記第3実施形態のように短辺側側壁部13同士を上下に重ねた場合に、上側の短辺側側壁部13の突条部61を下側の短辺側側壁部13の突条部61の内側に進入させることもできる。
また、上記第2、第3実施形態において、切欠き部63は突条部61の長手方向全域にわたって形成されていなくてもよく、少なくとも折畳み容器1が折り畳まれる場合に、上側に重なる短辺側側壁部13の突条部61と重なり得る部位に形成されていればよい。
(g)上記実施形態では、折畳み容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。