以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1〜図4等に示すように、蓋付き容器1は、上方に開口する略箱状の容器本体2と、容器本体2の開口部を開閉可能な一対の蓋部材3とを備えている。詳しくは後述するが、本実施形態の蓋部材3は、容器本体2の上辺部に対して回動可能に取付けられているとともに、容器本体2の外面側にスライドさせて、容器本体2の外面に沿わせて並設させておくことができるように構成されている。尚、容器本体2及び蓋部材3はポリプロピレンにより構成されている。
また、本実施形態の容器本体2は折り畳み可能に構成されている。図5〜図8等に示すように、容器本体2は、略正方形板状の底壁部11と、底壁部11の各側辺部に対応してそれぞれ回動可能に取付けられた側壁部12とを備えている。図5、図7、図8に示すように、底壁部11には、相対する一対の側辺部に沿ってそれぞれ底壁部11から上方に突出する一対の第1土台部14と、一対の第1土台部14の一方の端部同士を連結するようにして底壁部11の側辺部から上方に突出する第2土台部15と、一対の第1土台部14の他方の端部同士を連結するようにして底壁部11の側辺部から上方に突出する第3土台部16とが設けられている。
本実施形態では、側壁部12は、それぞれ第1土台部14、第2土台部15、及び第3土台部16に対して回動可能に支持されており、それぞれ土台部14、15、16の上方に立設される起立位置と、底壁部11の上方に重ねられるようにして畳まれる寝かせ位置との間を回動変位可能に構成されている。以下、第1土台部14に対して回動可能に取付けられる側壁部12を「第1側壁部12a」とも称し、第2土台部15に対して回動可能に取付けられる側壁部12を「第2側壁部12b」とも称し、第3土台部16に対して回動可能に取付けられる側壁部12を「第3側壁部12c」とも称する。
また、図8に示すように、第3土台部16の底壁部11上面からの突出長は、第3側壁部12cの厚みとほぼ同じであり、寝かせ位置にある第3側壁部12cの上端縁(外面)と、第3土台部16の上面とがほぼ面一とされる。さらに、第2土台部15の底壁部11上面からの突出長は、第3側壁部12cの厚みと、第2側壁部12bの厚みとを足した長さとほぼ同じであり、寝かせ位置にある第2側壁部12bの上端縁(外面)と、第2土台部15の上面とがほぼ面一とされる。加えて、図9に示すように、第1土台部14の底壁部11上面からの突出長は、第3側壁部12cの厚みと、第2側壁部12bの厚みと、第1側壁部12aの厚みとを足した長さよりも長く、寝かせ位置にある第1側壁部12aの上端縁(外面)は、第1土台部14の上面よりも下方に位置するようになっている。
さらに、図4等に示すように、起立位置にある各側壁部12a、12b、12cの上辺部の高さ位置が揃う(略面一となる)ように構成されている。つまり、第2側壁部12bの高さ方向における幅は、第1側壁部12aの高さ方向における幅よりも長く、第3側壁部12cの高さ方向における幅は、第2側壁部12bの高さ方向における幅よりも長くなっている。特に、本実施形態では、第1側壁部12aの高さ方向における幅の2倍の長さが、一対の第1土台部14間の距離よりも若干短く、第2側壁部12bの高さ方向における幅と、第3側壁部12cの高さ方向における幅とを足した長さが、第2土台部15と第3土台部16との間の距離よりも長くなっている。
以上のような構成により、容器本体2は、図5等に示すように、全ての側壁部12を起立位置として箱型に組立てられた状態から全ての側壁部12を寝かせ位置とした折り畳み状態とする際に、第3側壁部12c→第2側壁部12b→第1側壁部12aの順に折り畳むこととなる。また、折り畳み状態では、第3側壁部12cが、底壁部11の直上方に重なり、第2側壁部12bが第3側壁部12cの直上方に重なり、第1側壁部12aが第2側壁部12bの直上方に重なることとなる。さらに、寝かせ位置とされた一対の第1側壁部12aは、上辺部同士が突き合わされるようにして、一対の第1土台部14の間にほぼぴったりと収まるようになっている(図9参照)。
図10、図11等に示すように、第1側壁部12aは、第1土台部14の長手方向における長さとほぼ同じ幅を有する略矩形状の壁本体21と、壁本体21の両側辺部において壁本体21の内面(起立位置では底壁部11の内周側を向き、寝かせ位置では下側を向く面)から突出する係止壁22と、壁本体21の下面(起立位置では下側を向き、寝かせ位置では底壁部11の外周側を向く面)から突出するヒンジ部23とを備えている。
さらに、壁本体21の係止壁22との連接部近傍には、壁本体21に対してコ字状にスリットが形成されることにより、その内周側において壁本体21の厚み方向において撓み得る係止片24が設けられている。係止片24は、第1側壁部12aの長手方向(横幅方向)中央部側の端縁が壁本体21と連結されて第1側壁部12aの側辺部側に向けて延び、その先端部には係止爪24aが設けられている。加えて、各係止壁22には、第1側壁部12aの長手方向において貫通する挿入孔25が形成されている。
また、ヒンジ部23は、壁本体21の下面から下方に向けて垂直に延出する略棒状の連結部27と、連結部27の先端部の両側面からそれぞれ第1側壁部12aの長手方向に沿って突出する一対の軸部28とを備え、全体として略T字状をなしている。
図5等に示すように、第2側壁部12bは、第2土台部15の長手方向における長さとほぼ同じ幅を有する略矩形状の壁本体31と、壁本体31の両側部において壁本体31の外面から突出する挿入突起32と、壁本体31の下面から突出するヒンジ部33とを備えている。挿入突起32は、前記第1側壁部12aの係止壁22に形成された挿入孔25に対応して設けられている。そして、第1側壁部12aを起立させた後、第2側壁部12bを起立させることで、挿入突起32が挿入孔25に挿入されることとなる。さらに、第2側壁部12bを起立させることで、第2側壁部12bの壁本体31の内面が、前記第1側壁部12aの係止片24の係止爪24aによって係止されることとなる。これにより、第1側壁部12a及び第2側壁部12bの傾倒変位が防止されることができる。また、第2側壁部12bのヒンジ部33は、第1側壁部12aのものと同様に、連結部及び軸部を備えて略T字状をなしている。
尚、第3側壁部12cは、基本的に第2側壁部12bと同様の構成(第2側壁部12bの壁本体31を若干延ばしたような構成)を具備しており、壁本体31と、挿入突起32と、ヒンジ部33とを備えている。また、第2側壁部12b及び第3側壁部12cのヒンジ部33の突出長は、第2側壁部12b及び第3側壁部12cの厚みと同程度である。一方、第1側壁部12aのヒンジ部23の突出長は、第1側壁部12aの厚みよりも長く構成され、上記のように第1側壁部12aを寝かせ位置とした場合に第1側壁部12aの上端縁(外面)を第1土台部14の上面よりも下方に位置させることができるようになっている。
図7等に示すように、第1土台部14は、底壁部11の側辺部から上方に延びる内壁部41と、内壁部41の上縁部から外方に延出する上壁部42と、上壁部42の外縁部から下方に延びる外壁部43とを備えている。また、各第1土台部14には、第1側壁部12aのヒンジ部23の軸部28を軸支する壁軸受45が形成されている。壁軸受45は、内壁部41と外壁部43との間にヒンジ部23の先端部を上方から挿入可能とするべく上壁部42を切欠いて第1土台部14を上方に開口させるとともに、ヒンジ部23の連結部27の回動変位を許容させるべく内壁部41を切欠いて開口部を形成し、当該開口部の両側方において内壁部41の上縁部から外壁部43側に突出するフック部(図示略)を設けることで構成されている。そして、軸部28が壁軸受45のフック部の下面側に引っ掛かって軸支されることによって、第1側壁部12aが底壁部11(第1土台部14)に回動可能に支持されている。
尚、第2土台部15及び第3土台部16についても、基本構成は第1土台部14と同様であるため、その説明を省略する。また、図5に示すように、第2土台部15及び第3土台部16には、第1側壁部12aを寝かせ位置とした場合に、第1側壁部12aの係止壁22等が嵌入する位置決め凹部48が形成されている。これにより、寝かせ位置とされた第1側壁部12aに対して水平方向に力が付加された場合に、第1側壁部12aのヒンジ部23へ負担をかけることなく、第1側壁部12aのずれ移動を防止することができる。
さて、本実施形態では、相対する一対の第1側壁部12aの上辺部に対してそれぞれ蓋部材3が回動可能に取付けられている。さらには、蓋部材3が容器本体2の開口部に対してほぼ垂直になるまで開放された状態から、第1側壁部12aの外面に沿って下方にスライド可能に構成されている。尚、一対の蓋部材3は同形状のものであり、向い合せにしてそれぞれ第1側壁部12aに取付けられている。
より具体的に説明すると、図10、図11等に示すように、蓋付き容器1は、第1側壁部12aの上辺部に対して回動可能に取付けられる連結部材5と、連結部材5を第1側壁部12aの上辺部に対して回動可能に取付けるピン部材6とを備えている。本実施形態では、各第1側壁部12aの上辺部の両端部近傍位置にそれぞれ軸受部29が設けられており、該一対の軸受部29に対してそれぞれ連結部材5が取付けられている。そして、蓋部材3は、一対の連結部材5に対してスライド可能に取付けられている。これによって、蓋部材3は、第1側壁部12aに対し、一対の連結部材5を介して、回動可能かつスライド可能に取付けられている。
連結部材5は、略長板状の本体部51と、本体部51の長手方向一端部側から直交方向に突出し、蓋部材3を支持する蓋側連結部としてのフック部52と、本体部51の長手方向他端部側において、本体部51の厚み方向に貫通し、ピン部材6を介して軸受部29に軸支されることとなる側壁側連結部としての軸孔54とを備えている。また、軸孔54を囲うようにして周縁部から前記フック部52と同方向に突出する円筒状のボス55が設けられている。
本体部51は、軸孔54が設けられた端部側からフック部52が設けられた端部側に向けて次第に幅広となるように構成されている。また、軸孔54が形成された側の端部の外周縁は円弧状に形成されている。加えて、軸孔54及びボス55(ボス孔)は、当該本体部51の円弧状の端縁と同心状に配置され、円弧状の端縁よりも一回り小さくなっている。
ピン部材6は、連結部材5の軸孔54及びボス55に挿通される円柱状の軸ピン61と、軸ピン61の一端部側に一体的に設けられた略四角箱状の摘み部62とを備えている。摘み部62には弾性変形可能な係止片63(図10参照)が設けられている。
これに対し、軸受部29は、図10等に示すように、第1側壁部12aの上辺部の両端部よりも若干中央部側の位置において下方に凹となるようにして形成され、連結部材5を挿入可能な挿入凹部71と、挿入凹部71の内側空間と第1側壁部12aの側辺部との間を連通させる第1取付孔72と、挿入凹部71を挟んで第1取付孔72と対向する位置に形成された第2取付孔73とを有している。
第1取付孔72のうち第1側壁部12aの側辺部側の開口は、ピン部材6の摘み部62を嵌入可能な四角形状に構成されている。また、第1取付孔72のうち挿入凹部71側の開口は、ピン部材6の軸ピン61を挿入可能な円形状に構成されている。そして、図12〜図14等に示すように、挿入凹部71に対して連結部材5を挿入し、第1取付孔72及び第2取付孔73と、連結部材5の軸孔54及びボス55とを位置合わせした状態で、ピン部材6の軸ピン61を第1取付孔72、軸孔54、及び、ボス55のボス孔に挿通(貫通)させるとともに、軸ピン61の先端部を第2取付孔73に挿入する(第2取付孔73の内周面に支持させる)ことで、連結部材5が第1側壁部12aに対して回動可能に取付けられている。本実施形態では、連結部材5は、フック部52が軸孔54(ボス55)の上方に相対位置する第1姿勢(図12、図13参照)と、フック部52がボス55の第1側壁部12a外面側の側方に相対位置する第2姿勢(図14、図17(c)、(d)参照)との間を変位可能に構成されている。
加えて、図10、図12に示すように、軸受部29には、第1取付孔72に摘み部62を嵌入すると、摘み部62の係止片63が係止される引っ掛け窓74が形成されている。当該構成により、ピン部材6の脱落が防止されるようになっている。尚、第1取付孔72に嵌入された摘み部62は、第1側壁部12aの側辺部よりも外側に突出しないように構成されている。
また、図13、図16等に示すように、蓋部材3には、閉状態にある場合に下方を向く下面側において、各連結部材5のフック部52に対してそれぞれスライド可能に係止される一対のスライドレール81が設けられている。図13、図14等に示すように、各スライドレール81は、蓋部材3の下面から突出する突出部82と、突出部82の先端縁から蓋部材3の側辺部側に向けて直交する方向に突出し、連結部材5のフック部52に対してスライド可能に係止される係止部83とを備えている。さらに、スライドレール81は、蓋部材3の回転軸の遠心方向に沿って、蓋部材3の開放側端縁3aから軸側端縁3bにかけて延びている。
そして、一対のスライドレール81の係止部83に対してそれぞれ連結部材5のフック部52を引っ掛けた状態で、連結部材5を軸受部29に挿入し、ピン部材6で連結部材5を第1側壁部12aに取付けることで、蓋部材3が連結部材5を介して第1側壁部12aに取付けられている(図14、図17(b)等参照)。また、第1側壁部12aに対して回動可能な連結部材5に対して蓋部材3がスライド可能に取付けられることで、図1〜図4、図17に示すように、蓋部材3は、連結部材5とともに第1側壁部12aに対して相対的に回動変位し、容器本体2の開口部を開閉可能に構成されるとともに、容器本体2の開口部に対してほぼ垂直になるまで開放された状態から、第1側壁部12aの外面に沿って連結部材5及び第1側壁部12aに対して相対的に下方へスライド変位し、第1側壁部12aの外面側に並設可能に構成されている。尚、軸受部29の挿入凹部71は、連結部材5のフック部52に係止されたスライドレール81の挿入をも許容するように形成されている。
また、図12等に示すように、蓋部材3が容器本体2の開口部を閉鎖した閉状態にある場合、連結部材5が第1姿勢とされるとともに、当該連結部材5の上端部が第1側壁部12aの上辺部と略面一となる(又は上辺部よりも下方に位置する)ようになっている。特に、本実施形態では、連結部材5が第1姿勢にある場合には、連結部材5が第1側壁部12aの外面から突出しないように構成されている。このように、蓋部材3が閉状態にある場合には、連結部材5が第1姿勢となって第1側壁部12aの外面から突出しなくなるため、蓋部材3が閉状態にある場合においても第1側壁部12aから突出しているような場合の各種不具合(設置スペースを余分に取ってしまったり、連結部材5が損傷し易くなってしまったりする等)を回避することができる。
さらに、図8等に示すように、本実施形態のスライドレール81は、蓋部材3の閉状態において、隣接側壁部としての第2側壁部12b及び第3側壁部12cよりも容器本体2の内側に配置されるように構成されている。加えて、蓋部材3の閉状態においては、蓋部材3の下面のうちスライドレール81よりも蓋部材3の側辺部側の部位等が、側壁部12(第1側壁部12a、第2側壁部12b、及び第3側壁部12c)の上辺部に載置されるようになっている。これにより、一対の蓋部材3を閉状態とすることで、容器本体2の開口部を完全に閉塞可能となっている。
一方、蓋部材3が第1側壁部12aの外面に沿って(上下に)延在した状態にある場合、連結部材5が第2姿勢とされるとともに、当該連結部材5のフック部52は第1側壁部12aの外面よりも外方に突出位置するようになっている。これにより、蓋部材3全体を第1側壁部12aよりも外側に位置させ、蓋部材3を第1側壁部12aの外面側に並設させることが可能となっている。
加えて、図13等に示すように、スライドレール81は、係止部83の長手方向両端部と、蓋部材3の下面との間を連結するストッパー部84を備えている。これにより、蓋部材3のスライド量を制限することができ、蓋部材3の脱落等を防止することができる。ちなみに、蓋部材3の閉状態や、容器本体2の開口部を開閉するべく蓋部材3を回動変位させている状態においては、蓋部材3の軸側端縁3b側のストッパー部84と、連結部材5のフック部52とが略当接状態とされる。一方、蓋部材3の第1側壁部12aの外面側への並設状態においては、蓋部材3の開放側端縁3a側のストッパー部84と、連結部材5のフック部52とが略当接状態とされる。
また、図10、図11、図14等に示すように、連結部材5のフック部52のうちスライドレール81の突出部82と対向する側端面52aは、蓋部材3(連結部材5)の回転軸線方向に対して直交する平坦面となっている上、蓋部材3のスライド方向において長い長方形状をなしている。特に、本実施形態では、蓋部材3のスライド方向において、フック部52の側端面52aの幅は、ボス55の外径よりも広く構成されている。さらに、本実施形態では、フック部52の本体部51からの突出長が、係止部83の突出部82からの突出長と同じか若干長く構成されており、フック部52の側端面52aと、突出部82とが当接可能に構成されている。例えば、蓋部材3が第1側壁部12aの外面側に並設した状態において正面視で時計回り方向に傾いた場合には、右側の連結部材5のフック部52の側端面52a上縁部と、右側のスライドレール81の突出部82とが当接するとともに、左側の連結部材5のフック部52の側端面52a下縁部と、左側のスライドレール81の突出部82とが当接し、それ以上の傾動変位が規制されることとなる。
尚、本実施形態では、蓋部材3が第1側壁部12aの外面側に並設した状態において、蓋部材3を第1側壁部12aのどちらかの側辺部側に水平にスライドさせて寄せることで、一対の連結部材5のうち一方の連結部材5のフック部52の側端面52aと、対応するスライドレール81の突出部82とを面で当接させることができるとともに、この状態において、他方の連結部材5のフック部52の側端面52aと、対応するスライドレール81の突出部82との間の距離(隙間)が1mm以上、5mm以下(例えば、約1mm)となっている。
加えて、フック部52(側端面52a)の蓋部材3のスライド方向における長さは、スライドレール81の係止部83と蓋部材3の下面との間の距離よりも大きくなっている。このため、フック部52が、スライドレール81の係止部83と蓋部材3の下面との間の空間で回転することはなく、ひいては、連結部材5に対して蓋部材3が相対的に回動変位するようなこともない。
但し、フック部52と、スライドレール81の係止部83、及び、蓋部材3の下面との間に全く隙間がないわけではなく、蓋部材3が完全に閉状態とされる際に蓋部材3の下面が側壁部12の上辺部に対して広い範囲で当接するまで下降することを許容するのに十分な隙間が形成されている。このため、蓋部材3の回動動作をスムースに行うことができる、蓋部材3で容器本体2の開口部をぴったりと閉塞することができる、閉状態にある蓋部材3に対して下向きの力が付加されたとしても連結部材5に対してその力が作用することを回避し、連結部材5の損傷を防止することができる等の作用効果が奏される。
尚、上記隙間によって、蓋部材3が第1側壁部12aの外面側に並設した状態においても、蓋部材3の下面(この状態では第1側壁部12aの外面と対向している)が第1側壁部12aの外面に対して上下方向において広い範囲で当接するまでの蓋部材3の水平方向における変位が許容されるようになっていることとしてもよい。この場合、並設状態にある蓋部材3に対して第1側壁部12aに近接する側に力が付加されたとしても連結部材5に対してその力が作用することを回避することができるため、連結部材5の損傷を防止することができる。
また、図2、図15等に示すように、蓋部材3には、蓋部材3の開放側端縁3aから蓋部材3のうち容器本体2の開口部を閉鎖した閉状態で上方を向く上面を延長させるようにして突出形成された平面視略台形状の張出し部85が設けられている。張出し部85は、蓋部材3の開放側端縁3aのうち、蓋部材3の回転軸線方向における中央部から、蓋部材3の一方の側辺部までの範囲において形成されている。さらに、蓋部材3の上面側には、一対の蓋部材3をともに閉状態とする際に、他方の蓋部材3の張出し部85を収容可能な収容凹部86が形成されている。そして、開状態にある一対の蓋部材3を同時に閉方向に変位させることで、張出し部85の干渉を回避しつつ、一対の蓋部材3を閉状態とすることができ、一対の蓋部材3が閉状態とされると、各蓋部材3の張出し部85が相手側の蓋部材3の収容凹部86に収容されることとなる。これによって、張出し部85を蓋部材3の上面から上方に突出しないように収納することができるとともに、蓋部材3同士が噛み合って、両者間の位置ずれや浮き上がりを防止することができる。
加えて、図2、図16等に示すように、張出し部85の下面側には、端縁等に沿って下方に突出する張出し側補強リブ87が設けられる。また、図2、図15等に示すように、収容凹部86の上面側には、蓋部材3の開放側端縁3aよりも内側に変位した位置において凹部側補強リブ88が設けられている。さらに、張出し側補強リブ87には、蓋部材3を閉状態とした場合に凹部側補強リブ88と合致する位置において嵌合凹部86が形成されている。これにより、一対の蓋部材3を閉状態とすることで、嵌合凹部86が凹部側補強リブ88に嵌合することとなり、閉状態とされた一対の蓋部材3が互いに離間するような相対変位を防止することができる。
尚、図4に示すように、蓋部材3を第1側壁部12aの外面側に並設させた状態では、蓋部材3の開放側端縁3aは第1側壁部12aの上辺部と面一となっているが、張出し部85は第1側壁部12aの上辺部よりも上方に突出している。さらに、かかる蓋部材3の並設状態では、蓋部材3の軸側端縁3bが第1側壁部12aの下辺部よりも下方に突出位置している。
また、本実施形態では、このように蓋部材3を第1側壁部12aの外面側に並設させた状態としてから、一対の第1側壁部12aを同時に内側へ傾倒させていくことで、上記のように、容器本体2を折り畳むことができるようになる(図6参照)。さらに、図6、図9に示すように、蓋付き容器1を折り畳んだ状態では、第1土台部14の上面全体が蓋部材3で覆われるとともに、蓋部材3の下面が第1土台部14の上面に当接する(支持される)ように構成されている。尚、上記のように、寝かせ位置とされた第1側壁部12aの上方において一対の第1土台部14間の空間が確保されるため、蓋部材3のスライドレール81等をかかる空間に収容するとともに、蓋部材3の下面を第1土台部14の上面に支持させることができる。
加えて、図2、図4等に示すように、第2側壁部12b及び第3側壁部12cの上辺部(上面)には、上方に突出する位置決め突部35が設けられている。これに対応して、各蓋部材3には、閉状態とすることで、位置決め突部35が挿通される位置決め開口部91が形成されている。当該構成により、閉状態にある蓋部材3の水平方向における位置ずれが防止されることとなる。すなわち、蓋部材3が連結部材5に対してスライド可能に構成されていても、蓋部材3の閉状態においては、位置決め開口部91に位置決め突部35が挿通されること、及び、一方の蓋部材3の張出し部85の張出し側補強リブ87に形成された嵌合凹部86が、他方の蓋部材の収容凹部86に形成された凹部側補強リブ88に嵌合すること等によって、蓋部材3の水平方向へのスライド変位が規制されるようになっている。
また、図1等に示すように、蓋部材3の上面には、蓋部材3の軸側端縁3bに沿って上方に突出するずれ止め凸部92が設けられている。尚、ずれ止め凸部92は、軸側端縁3bの長手方向両端部近傍には形成されていない。
これに対し、底壁部11の下面側には、組立状態にある容器本体2の開口部を蓋部材3で閉塞した状態、又は、蓋付き容器1を折り畳んだ状態において、蓋付き容器1同士を上下に積み重ねる(段積みする)場合に、下側の蓋付き容器1のずれ止め凸部92を嵌入可能なずれ止め凹部19が形成されている。ずれ止め凹部19は、略正方形板状をなす底壁部11の4つの側辺部にそれぞれ対応して形成されている。そして、蓋付き容器1同士を段積みした場合に、下側の蓋付き容器1のずれ止め凸部92が、上側の蓋付き容器1のずれ止め凹部19に嵌入することで、上下に段積みされた蓋付き容器1同士の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。
尚、閉状態にある蓋部材3の位置決め開口部91に挿通された位置決め突部35は、図1等に示すように、蓋部材3の上面よりも上方にまで突出している。さらに、蓋部材3が閉状態にある蓋付き容器1の上に別の蓋付き容器1を段積みした場合には、下側の蓋付き容器1の位置決め突部35についても上側の蓋付き容器1のずれ止め凹部19に嵌入されるようになっている。これにより、位置決め効果がより一層奏されることとなる。
また、図1、図7、図15等に示すように、本実施形態では、各蓋部材3の上面側には、それぞれ一対の凹部94が形成されることによって、当該一対の凹部94間に作業者が把持可能な把持部95が設けられている。これにより、作業者は、把持部95を持って(握って)蓋部材3を開閉動作させることができるようになっている。さらに、把持部95(一対の凹部94)は、蓋部材3の回転軸線に沿って延びている。特に、本実施形態では、蓋部材3の回転軸線方向が蓋部材3の長手方向となっているため、把持部95は、蓋部材3の長手方向に沿って延在していることとなる。尚、本実施形態の凹部94の深さ、すなわち、把持部95の凹部94底面からの突出長は約10mmとなっている。
さらに、一対の凹部94間の距離、すなわち、把持部95の厚みは、10mm〜70mm程度(例えば、約20mm)であって、図7に示すように、一対の凹部94の内側空間は、把持部95を構成する一対の隔壁部96によって隔てられている。このため、例えば、一対の凹部94が1枚の隔壁部のみで隔てられる、すなわち、把持部95が1枚の隔壁部で構成されるような場合に比べて、把持部95の剛性を高めることができる。さらに、一対の凹部94間の距離が離れすぎず、かつ、近すぎないことで、作業者が一対の凹部94のうち一方の凹部94に親指を挿入し、他方の凹部94に親指以外の複数の指を挿入して、把持部95を比較的容易に把持できるようになっている。また、把持部95(一対の凹部94)は、蓋部材3の回転軸線方向における中央位置、かつ、蓋部材3の回転軸の遠心方向における中央位置を含む範囲に設けられている。
また、図7等に示すように、蓋部材3の回転軸の遠心方向において並ぶ一対の凹部94のうち、蓋部材3の開放側端縁3a側の凹部94に対応して、把持部95(隔壁部96)の上縁部からかかる凹部94の内周側(蓋部材3の開放側端縁3a側)に突出する庇部97が設けられている。庇部97の突出長は、庇部97の厚みよりも若干長い程度となっている。尚、他方の凹部94には庇部97は設けられていない。また、庇部97が設けられた凹部94については、型成形時の型抜き性を考慮して、庇部97が延出する隔壁部96に対向する壁部が傾斜している。
以上のように、各蓋部材3に対してそれぞれ把持部95が設けられることによって、作業者は、蓋部材3が閉状態にある蓋付き容器1に対して一対の蓋部材3の突き合わせの位置が体の正面に来るようにして相対位置し、各蓋部材3の一対の凹部94のうち開放側端縁3a側の凹部94に親指を挿入して該親指を庇部97に引っ掛けるとともに、親指以外の複数本の指を他方の凹部94(蓋部材3の回転軸側の凹部94)に挿入して把持部95を握り、蓋部材3を持ち上げるようにして蓋部材3を開方向へ変位させることができる。
また、折り畳み状態にある蓋付き容器1の容器本体2を箱型に組み立てる場合には、上記のように、先ず一対の第1側壁部12aを起立位置へと変位させる。本実施形態では、第1側壁部12a自体には持ち手が形成されていないが、第1側壁部12aの外面側に並設状態となっている蓋部材3の把持部95を持って寝かせ位置にある第1側壁部12aを起立位置へと変位させることができる。尚、第1側壁部12aを起立位置とする際には、第1側壁部12aに対して蓋部材3が第1側壁部12aの上方に抜け出してしまわないように、蓋部材3に対して極力第1側壁部12aの回転軸側に力を掛けつつ外側に引っ張ることとなる。さらに、第1側壁部12aが起立位置とされると、第1側壁部12aの下縁部よりも下方にまで延びる蓋部材3が第1土台部14の外面(外壁部43)に係止されるため、第1側壁部12aの内側への傾倒変位が抑制される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1側壁部12aの上辺部に対して蓋部材3を回動可能かつスライド可能に連結する連結部材5は、第1側壁部12aの上辺部に形成された挿入凹部71に挿入されるようにして軸受部29に軸支されるようになっている。このため、蓋部材3の回転軸線方向において連結部材5が軸受部29によって保護されることとなる。従って、連結部材5に対してその他の部材等が衝突し、連結部材5が損傷等してしまうといった事態を防止することができる。さらには、連結部材5をその両側方において支持可能であるため、連結部材5及び蓋部材3をより安定して支持可能であるとともに、連結部材5の両側方が軸受部29の内側面で挟まれることによって、蓋部材3の回転軸線方向における連結部材5の変形を防止することができる。
さらに、蓋部材3の閉状態においてスライドレール81が第2側壁部12bと第3側壁部12cとの間に位置するとともに、蓋部材3が第2側壁部12b及び第3側壁部12cの上辺部に支持されるように構成されている。このため、蓋部材3の閉状態においてスライドレール81が露出しなくなり、スライドレール81の保護を図ることができる。従って、スライドレール81に対してその他の部材等が衝突し、スライドレール81が損傷等してしまうといった事態を防止することができる。さらには、スライドレール81に埃等の異物が堆積してしまうことを抑制することができ、蓋部材3のスムースなスライド動作を比較的容易に維持することができる。
また、蓋部材3の閉状態において、連結部材5が第1側壁部12aの上辺部よりも上方に突出せず、かつ、スライドレール81が第2側壁部12b及び第3側壁部12cに干渉することもない。このため、第2側壁部12b及び第3側壁部12cの上辺部と、蓋部材3の下面とを当接させることができ、容器本体2に対して蓋部材3が浮いてしまう(比較的大きな隙間ができてしまう)といった事態を回避することができる。従って、容器本体2の開口部を蓋部材3で好適に閉鎖することができる。さらには、蓋部材3の閉状態において、蓋部材3を連結部材5やスライドレール81で支持しなくても済む。従って、連結部材5やスライドレール81の損傷等を防止することができる。特に、蓋付き容器1同士の段積み等が可能で、蓋部材3に対して比較的大きな負荷がかかり得る構成においては、かかる作用効果が一層顕著なものとなる。
さらに、連結部材5のフック部52のうち、スライドレール81の突出部82と当接可能な側端面52aは、蓋部材3(連結部材5)の回転軸線方向に対して直交する平坦面となっている上、蓋部材3のスライド方向において、フック部52の側端面52aの幅が、ボス55の外径よりも広く構成されている。このように側端面52aの幅をある程度確保することで、フック部52と突出部82との間に蓋部材3のスライドをスムースに行わせるための隙間を確保したとしても、蓋部材3を第1側壁部12aの外面に沿ってスライドさせる際に、蓋部材3が左右に(正面視で時計回りや反時計回り方向に)若干量傾いただけで、一対の連結部材5のフック部52の側端面52aと、一対のスライドレール81の突出部82とが当接し、それ以上の傾倒変位が規制されるように構成することができる。従って、フック部52の側端面52aと突出部82との間に全く隙間がなかったり、或いは、蓋部材3をスライドさせる際に蓋部材3が左右に大きく傾倒してしまってつっかえたりすることを回避することができ、蓋部材3をスライドさせる際の作業性の向上等を図ることができる。加えて、並設状態にある蓋部材3が左右に傾いて第1側壁部12aの側辺部よりも側方に突出してしまうといった事態を回避することができ、蓋部材3の損傷防止等を図ることができる。
また、本実施形態では、各蓋部材3に把持部95が設けられているため、蓋部材3の上面側から把持部95を持って蓋部材3を開閉動作させることができる。従って、蓋部材3の開閉作業性を向上させることができるとともに、蓋部材3と側壁部12(第1側壁部12a)との間に手を挟む等の事態を回避することができる。また、把持部95は、蓋部材3の上面側において一対の凹部94を設けることによって形成されているため、把持部95の配置を比較的自由に設定することができる。特に、本実施形態では、把持部95が蓋部材3の回転軸線方向における中央部付近に設けられている。このため、蓋部材3を(片手でも)バランスよく持つことができ、蓋部材3を開閉させる際に蓋部材3が変形してしまうといった事態を抑制しつつ、蓋部材3の開閉作業性をより向上させることができる。
さらに、把持部95は、一対の凹部94を設けることによって形成されているため、把持部95が蓋部材3の上面よりも上方に突出するといった事態を回避することができる。従って、例えば、蓋付き容器1同士を段積みするような場合の利便性、安定性の向上等を図ることができる。また、蓋部材3に一対の凹部94、ひいては、把持部95が形成されることによって、蓋部材3の強度向上を図ることができ、蓋部材3の変形等を抑制することができる。
また、把持部95は、蓋部材3の長手方向に沿って延在している。このため、把持部95を形成することで蓋部材3の撓み変形を抑制するといった効果がより一層奏されることとなる。従って、蓋部材3の開閉に際しての蓋部材3の変形等をより確実に抑制することができ、開閉作業性の向上、シール性の向上、第1側壁部12aの外面側への並設時や折り畳み時の収納性の向上等を図ることができる。
さらに、各蓋部材3に形成された一対の凹部94のうち蓋部材3の開放側端縁3a側の凹部94に対応して、把持部95の上辺部からかかる凹部94の内周側に突出する庇部97が設けられている。このため、把持部95を持つ際に庇部97に指を引っ掛けることができ、蓋部材3の持ち易さを向上させることができる。従って、蓋部材3の開閉作業性の向上をより一層図ることができる。
特に、一対の凹部94のうち庇部97が設けられた側の凹部94は、作業者が把持部95を持つ際に、作業者の親指が挿入される側の凹部94である。このため、把持部95を持つ際の親指の引っ掛かりが良くなり、蓋部材3の持ち易さをより確実に向上させることができる。尚、親指と、親指以外の指とで把持部95を挟んで蓋部材3を持った状態において、親指だけで把持部95の側面(隔壁部96)を圧接支持するのに比べ、親指以外の複数の指で把持部95の側面(隔壁部96)を圧接支持する方が容易であり、滑り難い。このため、一対の凹部94のうち親指が挿入される側に庇部97を設けることで、蓋部材3の持ち易さを向上させるといった作用効果がより確実に奏されることとなる。
また、蓋部材3を第1側壁部12aの外面側に並設させた状態において、容器本体2を折り畳み可能となっている本実施形態においては、第1側壁部12aを起立位置と寝かせ位置とに変位させる際にも、蓋部材3の把持部95を持って、蓋部材3及び第1側壁部12aともども傾動動作させることとなる。このとき、本実施形態のように、一対の凹部94のうち蓋部材3の開放側端縁3a側の凹部94に庇部97が設けられることによって、親指を庇部97に引っ掛けて、蓋部材3が第1側壁部12aの上辺部よりも上方に抜け出さないように下側に押さえつつ、蓋部材3及び第1側壁部12aを傾動させることができる。これに対し、例えば、蓋部材3の開放側端縁3a側の凹部94に庇部97がなく、蓋部材3の軸側端縁3b側の凹部94に庇部が設けられるような場合には、蓋部材3が抜け出さないように押さえておくことが比較的困難となる上、親指以外の指が庇部に引っ掛かって蓋部材3が持ち上がり易くなってしまうことが懸念される。従って、特に本実施形態のように容器本体2が折り畳み可能な蓋付き容器1の場合には、庇部97を蓋部材3の開放側端縁3a側の凹部94に対応して設けることが望ましい。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、容器本体2が折り畳み可能に構成されているが、折り畳みのできない構成であってもよい。また、上記実施形態では、蓋部材3が一対で設けられているが、蓋部材が1枚だけであってもよい。さらに、各第1側壁部12aに対して複数枚の蓋部材を蓋部材の回転軸線方向において並ぶようにして取付けることとしてもよい。また、上記実施形態では、蓋部材3で容器本体2の開口部を完全に閉塞しているが、蓋部材3を閉状態としても一部開放されていたり、蓋部材3に開口部が形成されていたりしてもよい。
(b)上記実施形態では、連結部材5は、ピン部材6によって第1側壁部12aに取付けられているが、連結部材5自体が軸ピンを一体的に備えて、第1側壁部12aに直接回動可能に取付けられるように構成してもよい。尚、当該構成を採用する場合、連結部材5の第1側壁部12aからの取外し方向と、蓋部材3を開閉する際に連結部材5が引っ張られる方向とが極力異なることが望ましい。つまり、蓋部材3(連結部材5)の回転軸線方向において連結部材5を着脱可能に構成したり、連結部材5の取外し方向が下方かつ容器本体2の内周方向となるように構成したりすることとしてもよい。
(c)上記実施形態において、蓋部材3の下面側において、把持部95を構成する一対の隔壁部96間(一対の凹部94間)を連結するリブを設けることとしてもよい。この場合、把持部95、ひいては、蓋部材3の強度をより一層向上させることができる。尚、上記実施形態において、一対の凹部94が一枚の隔壁部のみを挟んで隣接するように構成することも可能であるが、この場合、把持部95の強度の低下を招くおそれがある上、持ち難くなるため、上記実施形態のように、把持部95は相対する一対の隔壁部96によって構成されることが望ましい。
(d)上記実施形態では、把持部95(一対の凹部94)は、蓋部材3の長手方向でもある蓋部材3の回転軸線方向に沿って延びているが、その他の方向、例えば、図18に示すように、蓋部材3の回転軸の遠心方向に沿って延びるように構成してもよい。また、把持部95を蓋部材3の回転軸の遠心方向に延在させる場合には、一対の凹部94の両方に対応して、把持部95の上辺部から凹部94の内周側に突出する庇部97を設けることとする。すなわち、かかる構成においては、一対の凹部94のどちらに対しても親指が挿入される可能性があるため、両方に庇部97を設けておくことで、蓋部材3の開閉作業性の向上を確実に図ることができる。
また、各蓋部材3にそれぞれ形成される一対の凹部94の形状や大きさは特に限定されるものではなく、把持部95を構成する一対の凹部94のうち、少なくとも一方(蓋部材3の開放側端縁3a側の凹部94)は親指を挿入可能に構成され、他方は親指以外の指を複数本挿入可能に構成されていればよい。加えて、各蓋部材3には一対の凹部94が設けられているが、少なくとも一対で設けられていれば把持部95を構成することができ、例えば、所定の凹部94の内側の空間を2つに区切るようにして壁部を形成することとしてもよい。
尚、把持部95を省略することも可能である。また、一対の凹部94を形成することで構成された把持部95を蓋部材3の持ち手とするのではなく、別の構成、例えば、1つの凹部と庇部とで蓋部材3の持ち手を構成してもよい。但し、当該構成を採用する場合には、庇部の突出長をある程度長く確保する必要があり、庇部の強度低下を招くおそれがある上、凹部の成形も難しくなる。従って、上記実施形態のように、一対の凹部94を形成して把持部95を設けることが望ましい。また、上記実施形態のように、一対の凹部94のうち一方だけに対応して庇部97を設ける構成とすることで、アンダーカット形状となる部位を減少させることができ、蓋部材3を成形する金型構造の簡略化等を図ることができる。
(e)上記実施形態では、連結部材5のフック部52の側端面52aは、蓋部材3(連結部材5)の回転軸に対して直交する平坦面であり、かつ、蓋部材3のスライド方向に沿って長い長方形状をなしているが、当該側端面52aに対して碁盤目状に溝を形成したり、側端面52aの長手方向中間位置に切欠き部を形成したり、側端面52aを正面視略楕円形状や5角形以上の多角形状等にしたりしてもよい。
さらに、上記実施形態では、フック部52の本体部51からの突出長が、係止部83の突出部82からの突出長と同じか若干長く構成されているが、スライドレール81の係止部83の突出長をフック部52の突出長よりも長くして、係止部83の側端面が、連結部材5の本体部51のうちフック部52とボス55との間の部位に当接可能に構成することとしてもよい。この場合においても、蓋部材3のスライド方向において、本体部51のうち係止部83の側端面と当接可能な部位の幅をある程度確保することで、蓋部材3のスライドに際しての左右への傾きを極力抑制することができる。但し、連結部材5の本体部51のうちフック部52が設けられる端部の方が中間部位よりも幅を広げ易い上、フック部52の幅を広げることでスライドレール81の係止状態の安定化やフック部52の強化等も同時に図られるため、上記実施形態のように、フック部52の側端面52aを突出部82に当接可能に構成することが望ましい。
また、上記実施形態では、スライドレール81の係止部83は突出部82から蓋部材3の側辺部側に突出しているが、蓋部材3の回転軸線方向における蓋部材3の中央部側に突出するように構成してもよい。この場合、さらに、蓋部材3の閉状態において、スライドレール81(突出部82)が第2側壁部12b及び第3側壁部12cの内面に近接配置されることとしてもよい。この場合、蓋部材3と容器本体2との水平方向における位置ずれをスライドレール81の側面(非使用面)によっても規制することができ、連結部材5の負担軽減を図ることができる。
加えて、上記実施形態では、底壁部11が略正方形板状をなしているが、略長方形板状であってもよい。また、上記実施形態では、第2側壁部12b及び第3側壁部12cを寝かせ位置とした場合に第2側壁部12b及び第3側壁部12cの一部が上下に重なるように構成されているが、重なることなく水平方向に並んで収容されるように構成してもよい。
(f)上記実施形態では、蓋付き容器1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。