以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に示すように、蓋付き容器1は、上方に開口する略箱状の容器本体2と、容器本体2の開口部を閉塞する閉位置と、容器本体2の開口部を開放する開位置との間を変位可能な一対の蓋部材3と、容器本体2に対して蓋部材3を回動可能に連結するヒンジブロック4とを備えている。本実施形態の容器本体2、蓋部材3、及び、ヒンジブロック4は、それぞれポリプロピレンにより構成されている。
図4等に示すように、容器本体2は、相対する一対の長辺部と相対する一対の短辺部とを備える略矩形板状の底壁構成部11と、底壁構成部11の各長辺部からそれぞれ上方に延出する長辺側側壁部12と、底壁構成部11の各短辺部からそれぞれ上方に延出する短辺側側壁部13と、各側壁部12、13の上辺部から外方に突出する上フランジ部14と、各側壁部12、13の下辺部から外方に突出する下フランジ部15とを備えている。
図3、図11等に示すように、底壁構成部11は、略矩形板状の底壁部21と、底壁部21から下方に突出し、底壁部21を支持する支持リブ22とを備えている。支持リブ22は、底壁部21の外周縁から下方に突出する枠リブ23と、枠リブ23の内周側において格子状に設けられる格子リブ24とを備えている。
図1〜図3等に示すように、蓋部材3は、ヒンジブロック4を介して、長辺側側壁部12の上辺部に対してそれぞれ回動可能に連結されている。本実施形態の蓋部材3は、容器本体2の開口部を覆う閉位置では、略水平に延びるとともに、側壁部12、13の上辺部や上フランジ部14の上面に当接して支持されるようになっている(図11、図12参照)。一方、容器本体2の開口部を開放する開位置とした場合には、蓋部材3は、長辺側側壁部12に対して上方かつ外方に向けて斜めに延びる姿勢で保持されるようになっている(図17、図18参照)。本実施形態では、開位置にある蓋部材3と、上フランジ部14とのなす角度が約109.8度となるように構成されている。尚、一対の蓋部材3は同形状のものであり、向い合せにしてそれぞれ長辺側側壁部12に取付けられている。
また、図1、図6、図7に示すように、蓋部材3には、一対の蓋部材3の突合わせ側の開放側端縁から蓋部材3の上面を延長させるようにして突出形成された張出し部31と、一対の蓋部材3をともに閉位置とした場合に、他方の蓋部材3の張出し部31の下面側に重なるようにして配置される下敷き部32とが設けられている。そして、開位置にある一対の蓋部材3を同時に閉位置側に変位させることで、張出し部31と下敷き部32との干渉を回避しつつ、一対の蓋部材3を閉位置とすることができ、一対の蓋部材3が閉位置とされると、各蓋部材3の張出し部31が相手側の蓋部材3の下敷き部32に載置されるようになっている。
加えて、図2に示すように、各蓋部材3には、張出し部31において、閉位置にある蓋部材3と、短辺側側壁部13とを連結するためのロック部材33が設けられている。ロック部材33をロック状態とすることで、容器本体2に対する蓋部材3の浮き上がり等が防止されるようになっている。また、図1に示すように、張出し部31の下面、及び、下敷き部32の上面において、一対の閉位置にある蓋部材3間の相対変位を防止する位置ずれ防止機構34が設けられている。さらに、図1、図11等に示すように、蓋部材3の下面側には、蓋部材3が閉位置にある場合に側壁部12、13の内面に当接又は近接配置される位置ずれ防止リブ35が設けられている。
また、図2に示すように、蓋部材3の上面側には、外周に沿った位置において上方に突出する位置決め凸部36が設けられている。そして、蓋部材3を閉じて、蓋付き容器1同士を上下に積み重ねた(段積みした)場合、上側の蓋付き容器1の容器本体2の支持リブ22の下面が、下側の蓋付き容器1の蓋部材3の上面に支持されるとともに、上側の蓋付き容器1の支持リブ22(枠リブ23)の外周面が、下側の蓋付き容器1の位置決め凸部36の側面と対向して当接又は近接配置される。これにより、上下に段積みされた蓋付き容器1同士の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。
図9〜図12に示すように、ヒンジブロック4は、ブロック本体41と、ブロック本体41を容器本体2に取付けるための軸部42と、ブロック本体41を蓋部材3に取付けるための連結部43とを備えている。軸部42は円柱状に構成され、ブロック本体41の左右の側面から突出するようにして左右一対で設けられている。連結部43についても円柱状に構成され、ブロック本体41の左右の側面から突出するようにして左右一対で設けられている。本実施形態では、1つの蓋部材3を2つのヒンジブロック4を介して容器本体2に連結するように構成されている。
ブロック本体41は、左右の側面を含まない面で構成される外周面の角部のうち連結部43側の1つの角部以外の角部が、軸部42又は連結部43と中心を同じくする円弧状にR加工されており、全体としては断面略長円形状に構成されている。また、軸部42の中心と、連結部43の中心との間の距離は、R加工された角部の円弧を含む仮想円の直径よりも大きく離間するように構成されている。尚、ブロック本体41の外周面の残りの角部(以下、「特定角部44」とも称する)についても、比較的小さな範囲でR加工が施されている。但し、当該特定角部44と、連結部43側のもう一つの角部との間には、平面部(以下、「第1平面部45」とも称する)が形成されるようになっている。また、特定角部44と、軸部42側の角部との間にも、平面部(以下、「第2平面部46」とも称する)が形成されるようになっている。
図6〜図8に示すように、蓋部材3には、長辺側側壁部12に対応する辺部に設けられた位置決め凸部36の下面側において、ヒンジブロック4のうち連結部43側の部位が挿入される蓋側ヒンジブロック挿入部51が設けられている。また、本実施形態では、蓋部材3が閉位置とされた場合に、蓋部材3が側壁部12、13(上フランジ部14)の上方に被さるように構成されている。このため、蓋側ヒンジブロック挿入部51は、閉位置にある蓋部材3のうち長辺側側壁部12と上下に重なる(突き合わされる)部位に設けられ、ヒンジブロック4は、閉位置にある蓋部材3から下方(長辺側側壁部12側)に突出するようにして設けられている。
また、蓋側ヒンジブロック挿入部51には、蓋部材3の長手方向におけるヒンジブロック4の位置ずれを防止する左右一対の連結壁部52が設けられ、各連結壁部52には、ヒンジブロック4に設けられた連結部43と連結される被連結部53が設けられている。本実施形態の被連結部53は連結部43よりも若干径の広い円形状の孔により構成されており、被連結部53に対し連結部43が挿入されることで、ヒンジブロック4が蓋部材3に取付けられている。尚、蓋側ヒンジブロック挿入部51は、下方だけでなく外方にも開口形成されており、これによって、被連結部53が目視し易くなる上、ヒンジブロック4の連結部43を被連結部53に連結する作業が行い易くなっている。
さらに、蓋側ヒンジブロック挿入部51には、連結部43が被連結部53に連結された状態において、ブロック本体41の第1平面部45、及び、第2平面部46にそれぞれ当接又は近接する平面部を有する位置決め固定部54が設けられている。本実施形態の位置決め固定部54は、位置決め凸部36の上壁部と内壁部とによって構成されており、ヒンジブロック4の蓋部材3への取付けに際しては、ヒンジブロック4の特定角部44を、位置決め凸部36の上壁部と内壁部との境界部に合わせるようにして、ヒンジブロック4を蓋側ヒンジブロック挿入部51に挿入させ、連結部43を被連結部53に連結させるようになっている。また、位置決め固定部54は、少なくとも蓋部材3が回動変位する際に、ブロック本体41の第1平面部45、及び、第2平面部46のうち少なくとも一方に当接するように構成されている。これにより、蓋部材3と、ヒンジブロック4との間の相対変位が防止されるようになっている。
図4、図5に示すように、容器本体2には、各長辺側側壁部12の上部において、ヒンジブロック4のうち軸部42側の部位が挿入される本体側ヒンジブロック挿入部61が設けられている。本体側ヒンジブロック挿入部61は、長辺側側壁部12の外面側上部の領域にヒンジブロック4を上方から挿入可能とするべく上フランジ部14に切欠き部を形成し、当該切欠き部における上フランジ部14の各端辺からそれぞれ下方に延びる一対の受壁部62と、一対の受壁部62の下辺部と長辺側側壁部12の外面との間を連結する下壁部63とを設けることにより、一対の受壁部62と、下壁部63と、長辺側側壁部12とで囲まれる部位によって構成されている。
本体側ヒンジブロック挿入部61には、一対の受壁部62において、ヒンジブロック4に設けられた軸部42を回転可能に支持する軸受部64が設けられている。本実施形態の軸受部64は上下に長い孔により構成されている(図11参照)。これにより、軸部42は、軸受部64によって回転可能、かつ、上下にスライド可能に支持されている。
尚、軸受部64の下部は円弧状に形成されている。その一方で、上フランジ部14のうち軸受部64の上方に位置する部位が切欠かれており、軸受部64として受壁部62に形成されている孔は上方に開口するようになっている。このため、本実施形態の軸部42は受壁部62を貫通して上フランジ部14の下方位置にまで延びている。加えて、本実施形態の軸受部64の横幅は、軸部42の直径よりも若干広く、軸受部64の上下幅(軸受部64の下部から上フランジ部14の下面までの距離)は、軸部42の直径の2倍程度となっている。
図11、図12に示すように、蓋部材3が閉位置にある場合(蓋付き容器1が閉状態にある場合)には、蓋部材3が、側壁部12、13、及び、上フランジ部14の上方に被さるようにして配置され、ヒンジブロック4の長手方向が上下に延びる(連結部43と軸部42とが上下に並ぶ)とともに、軸部42が軸受部64の下部に位置するようになっている。また、本体側ヒンジブロック挿入部61には、長辺側側壁部12の外面から突出し、上下に延びる突条部65が2列で設けられており(図5参照)、蓋部材3が閉位置にある場合に、ヒンジブロック4の第2平面部46と、突条部65とが当接又は近接するように構成されている。このため、閉位置にある蓋部材3に対して容器本体2の開口部に進入させられるような力(下向きの力)が作用した場合であっても、突条部65がヒンジブロック4に当接し、ヒンジブロック4が内側に倒れるような変位が規制されることから、蓋部材3の下方向への変位・変形が抑制されるようになっている。
尚、蓋付き容器1が閉状態にある場合には、蓋部材3のうち軸部42よりも外方に位置する部位の下面が上フランジ部14の上面に当接したり、蓋部材3の位置ずれ防止リブ35が長辺側側壁部12の内面に略当接したりしている。このため、閉位置にある蓋部材3を開位置側に変位させる際に蓋部材3が持ち上がらない、或いは、持ち上がり難いことが懸念される。この点、本実施形態では、軸部42が軸受部64に対して上下に変位可能に支持されていることから、蓋部材3を開く操作を行うだけで、蓋部材3は、これらの干渉が回避される位置まで上方にスライド変位した後、開位置側にスムースに回動変位することとなる。
また、図5等に示すように、各本体側ヒンジブロック挿入部61には、下壁部63の上面のうち、下壁部63の外側端縁に隣接し、かつ、下壁部63の横幅方向中央部を含む位置から上方に突出するアシスト手段としてのアシスト突起66が設けられている。図12に示すように、本実施形態では、蓋部材3が閉位置にある場合、ヒンジブロック4の下部と、本体側ヒンジブロック挿入部61の下壁部63とが略当接するように構成されており、閉位置にある蓋部材3の開位置側への変位に伴い、図13、図14に示すように、ヒンジブロック4が外側に倒れる(外側に開く)ようにして回動変位すると、ヒンジブロック4の側面(第2平面部46の反対側の平面である第3平面部47)が、アシスト突起66に当接するように構成されている。
さらに、本実施形態では、軸受部64が上下に長い孔によって構成されているため、ヒンジブロック4の第3平面部47と、アシスト突起66とが当接した後も、図15、図16に示すように、当該当接部位を中心として、ヒンジブロック4、及び、蓋部材3を外側に回動変位させることができる。このとき、軸部42は上昇し、連結部43、ひいては、当該連結部43と連結されている蓋部材3の端部は下降することとなる。そして、図17、図18に示すように、軸部42が軸受部64の上縁部(上フランジ部14の下面)に当接した時点で、ヒンジブロック4のそれ以上の回動変位が規制される。さらに、ヒンジブロック4の回動変位が規制された時点で、ヒンジブロック4が外方に向けて下方傾斜した姿勢とされるとともに、蓋部材3が上方かつ外方に向けて斜めに延びる姿勢とされるようになっている。このため、蓋部材3から手を離しても、蓋部材3は、その姿勢(開位置)にて保持されることとなる。
また、本実施形態では、図15、図16に示すように、蓋部材3を鉛直に延びる姿勢とした状態において、蓋部材3の重心が軸部42の中心よりも容器本体2の外側に位置するように構成されている。さらに、ヒンジブロック4は、長手方向中央部よりも軸部42側の部位においてのみアシスト突起66と当接するようになっている。加えて、位置決め固定部54は、ヒンジブロック4の第1平面部45と、第2平面部46のうち連結部43側の部位とに当接、又は、近接するように構成されていることから、結果的に、ヒンジブロック4の第1平面部45と、第2平面部46のうち連結部43側の部位とを覆うように構成されている。つまり、図12に示すように、蓋部材3が閉位置にある場合には、ヒンジブロック4の上面である第1平面部45、及び、内面である第2平面部46の上部が覆われ、図18に示すように、蓋部材3が開位置にある場合には、ヒンジブロック4の外面である第1平面部45、及び、上面である第2平面部46の外側部位が覆われるようになっている。
また、図1、図2に示すように、各長辺側側壁部12、及び、各短辺側側壁部13の外面には、カードを貼着したり、直接的に印刷・刻印したりする等して、収容される物品等に関する情報を表示する情報表示領域17が設けられている。長辺側側壁部12に設けられた情報表示領域17の形成範囲は、長辺側側壁部12の横幅方向において、左側の本体側ヒンジブロック挿入部61の下方位置から長辺側側壁部12の中央部よりもやや右側の位置までとされ、長辺側側壁部12の高さ方向において、本体側ヒンジブロック挿入部61の下壁部63から下フランジ部15までとされている。
加えて、本実施形態のヒンジブロック4は、容器本体2、及び、蓋部材3に対して着脱可能に構成されている。そして、容器本体2からヒンジブロック4を取外すことで、容器本体2の側壁部12、13の上辺部、及び、上フランジ部14よりも上方に突出するような部位が存在しなくなる。これにより、容器本体2のみを容器本体2同士で好適に段積みすることができるようになっている。尚、容器本体2の段積み状態では、上側の容器本体2の下フランジ部15が下側の容器本体2の上フランジ部14及び側壁部12、13の上辺部に支持されるとともに、上側の容器本体2の支持リブ22が下側の容器本体2の側壁部12、13の内周側に挿入される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、蓋部材3に対して相対変位不可能に取付けられたヒンジブロック4に設けられた軸部42を、容器本体2に設けられた本体側ヒンジブロック挿入部61の軸受部64に連結することで、蓋部材3を容器本体2に対して回動可能に取付けることができる。このため、例えば、容器本体の長辺側側壁部の上辺部から上方に突出するようにして当該長辺側側壁部の横幅方向に延びる筒状部と、蓋部材の側辺部から側方に突出するようにして当該蓋部材の側辺部に沿って延びる円筒部とを位置合わせし、当該筒状部及び円筒部に対して細長い心棒を貫通させることで、容器本体に対して蓋部材が開閉自在に取付けられるような構成に比べ、蓋部材3の取付作業性の向上を図ることができる。
また、ヒンジブロック4は、蓋部材3に対して相対変位不可能に設けられ、長辺側側壁部12に設けられた本体側ヒンジブロック挿入部61に対し、軸部42及び軸受部64を介して回動可能に連結されている。このため、例えば、ヒンジブロック4が、蓋部材3に対しても回動可能に連結される場合(蓋部材3が容器本体2に対して2軸において回動変位可能な場合)に比べ、蓋部材3の開閉動作をシンプルでスムースなものとすることができる。従って、蓋部材3の開閉操作性の向上を図ることができる。
さらに、ヒンジブロック4は、容器本体2、及び、蓋部材3とは別パーツとして構成されるとともに、容器本体2、及び、蓋部材3に対して着脱可能に構成されている。このため、例えば、ヒンジブロック4を容器本体2、又は、蓋部材3と一体的に形成する場合に比べ、容器本体2、又は、蓋部材3の構成(成形金型)の複雑化を抑止することができる。また、ヒンジブロック4を容器本体2、及び、蓋部材3から取外すことで、容器本体2のみで容器本体2同士を段積みしたり、蓋部材3のみをまとめて保管(蓋部材3同士を段積み)したりすることができる。この場合、例えば、容器本体2からヒンジブロック4が突出したり、蓋部材3からヒンジブロック4が突出したりするような構成のものをまとめて保管する場合に比べ、保管効率の向上(段積み状態にある容器本体2の高さの抑制)、容器本体2の段積み状態の安定化、ヒンジブロック4の変形や損傷の防止等を図ることができる。
また、ヒンジブロック4が相対変位不可能に設けられる蓋部材3においても、ヒンジブロック4のうち連結部43側の部位が挿入される蓋側ヒンジブロック挿入部51が設けられていることから、蓋部材3に対するヒンジブロック4の取付状態の安定化等を図ることができる。
加えて、蓋部材3にヒンジブロック4を取付ける構造として、ヒンジブロック4の連結部43と連結される被連結部53と、ヒンジブロック4の相対変位を防止する位置決め固定部54とが設けられている。このため、被連結部53に関しては、ヒンジブロック4の脱落を防止できる程度の構成とすることができ、連結部43、及び、被連結部53の構成の簡素化や、蓋部材3にヒンジブロック4を取付ける際の作業性の向上等を図ることができる。さらに、例えば、連結部43と被連結部53との連結のみで、蓋部材3と、ヒンジブロック4との間の相対変位を防止する構成に比べて、連結部43、及び、被連結部53の耐久性の向上を図ることができる。また、蓋部材3と、ヒンジブロック4とを相対変位不可能にするべく、両者間を、例えば、接着したり、ねじ等の連結手段で固定したりする場合に比べて、蓋部材3の取付作業性の向上等を図ることができる。
また、本実施形態によれば、図1、図18に示すように、蓋部材3を開位置とした場合、蓋部材3は、上方かつ外方に向けて斜めに延びる姿勢で保持される。このため、蓋部材3が取付けられた長辺側側壁部12の外面に情報表示領域17が設けられている場合であっても、開位置とされた蓋部材3により、情報表示領域17が覆われて視認することができなくなってしまうといった事態を回避することができる。従って、蓋部材3を閉めなくても、情報表示領域17を確実に確認することができ、利便性の向上等を図ることができる。
また、蓋部材3の回転軸線からの遠心方向における幅よりも容器本体2の高さが低くても、蓋部材3を開位置とした場合に、蓋部材3が床面に接触することを回避することができる。このため、蓋部材3が床面と接触して変形・損傷する、ひいては、蓋部材3が変形等することで蓋部材3を閉位置とした閉状態にある蓋付き容器1の密閉性の低下や、閉状態の蓋付き容器1同士を段積みした場合の不安定化等といった不具合を招くことなく、高さの低い容器本体2にも蓋部材3を取付けることができる。従って、容器本体2の開口部の形状・大きさが同じであれば、高さの異なる容器本体2に同一の蓋部材3を取付可能とすることもでき、蓋部材3の汎用性の向上、コストの抑制等を図ることができる。
さらに、開位置にある蓋部材3が上方かつ外方に向けて斜めに延びることから、例えば、蓋部材3が開位置において上方かつ鉛直に延びる構成に比べ、蓋付き容器1を開状態として物品を出し入れする際の容器本体2の上方の作業スペースを広げることができ、容器本体2の開口部へのアプローチを比較的容易なものとすることができる。従って、容器本体2への物品の出し入れに際しての作業性の向上、当該出し入れ作業にロボットを使用する場合にはロボットの動作制御の簡素化、当該出し入れ作業に際して、物品、作業者、又は、ロボットアームが蓋部材3と接触し、物品や蓋部材3等が損傷等するリスクの低減等を図ることができる。
また、蓋部材3を開位置とした場合に、位置決め固定部54がヒンジブロック4の外面(第1平面部45)、及び、上面(第2平面部46)の少なくとも一部を覆うように構成されている。このため、蓋付き容器1に物品を収容する作業を行う場合等において、物品やその他の容器等がヒンジブロック4に接触する等してヒンジブロック4等が損傷等してしまうといった事態を抑制することができる。さらに、蓋部材3を閉位置とした状態においても、位置決め固定部54によってヒンジブロック4の内面や上面の一部が覆われることとなり、その他の容器等がヒンジブロック4に接触する等してヒンジブロック4等が損傷等してしまうといった事態を抑制することができる。
さらに、閉位置にある蓋部材3は側壁部12、13と上下に重なるとともに、ヒンジブロック4は閉位置にある蓋部材3の下面から下方に突出するようにして蓋部材3に相対変位不可能に設けられている。このため、蓋部材3を開位置とした場合、ヒンジブロック4は外側に倒れるようにして長辺側側壁部12から外方に突出する。これにより、開位置にある蓋部材3の全体を長辺側側壁部12よりも外方に位置させることができ、容器本体2に物品を出し入れする際の容器本体2の上方の作業スペースを広げることができる。従って、容器本体2の開口部へのアプローチをより容易なものとすることができ、物品の出し入れ作業性の向上を図ることができる。
また、例えば、ヒンジブロック4が容器本体2に対して着脱不可能に設けられる場合のように、容器本体2から上方に突出する部位が形成されてしまうことに起因して、容器本体2のみで使用したり、容器本体2同士を段積みしたりしようとした場合に、ヒンジブロック4が損傷し易かったり、容器本体2同士の段積みができなくなったり、段積みを行ったとしても、段積みした状態の複数の容器本体2の高さが高くなったりしてしまうといった事態を回避することができる。従って、容器本体2のみで使用したり、容器本体2のみで保管したりする際の利便性の向上を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、ヒンジブロック4に軸部42が設けられ、本体側ヒンジブロック挿入部61に軸受部64が設けられているが、例えば、図19〜図23に示すように、ヒンジブロック71に軸受部72(長円状の凹部)を設け、本体側ヒンジブロック挿入部73に軸部74を設けることとしてもよい。また、当該構成を採用する場合、図20に示すように、蓋部材75が閉位置にある場合には、軸部74が軸受部72の上部に相対位置し、図21〜図23に示すように、蓋部材75を開位置側に変位させた場合には、軸部74が軸受部72の下部に相対位置する、すなわち、ヒンジブロック71のうち軸受部72側が上昇するように構成することが望ましい。この場合、開位置とされた蓋部材75のうち最下部とされる端部を極力上方に位置させることができる。
(b)また、上記実施形態では、ヒンジブロック4は、蓋部材3に対して相対変位不可能に連結されるとともに、容器本体2に対して回転可能(かつスライド可能)に連結されているが、蓋部材3に対して回転可能(かつスライド可能)に連結されるとともに、容器本体2に対して相対変位不可能に連結されるように構成してもよい。すなわち、例えば、図24〜図28に示すように、蓋部材81の蓋側ヒンジブロック挿入部82に対し上下に長い長孔状の軸受部83を設け、容器本体84の本体側ヒンジブロック挿入部85に対し、円形孔状の被連結部86、及び、ヒンジブロック4の平面部と当接してヒンジブロック4の相対変位を規制する位置決め固定部87を設け、上記実施形態と同じヒンジブロック4を上記実施形態とは上下反転させた(図25ではさらにヒンジブロック4を左右反転させた)姿勢として、軸部42を軸受部83に連結し、連結部43を被連結部86に連結するように構成してもよい。
尚、ヒンジブロック4が複数種類の蓋付き容器1に使用可能であり、取付対象によっては、ヒンジブロック4が相対変位不可能に取付けられる部材や、ヒンジブロック4の取付向き(姿勢)が異なる場合には、ヒンジブロック4を相対変位不可能に取付ける対象とその取付向きを把握可能な目印を設けるように構成してもよい。
また、ヒンジブロック4を蓋部材3又は容器本体2と一体的に構成してもよいが、その場合、蓋部材3又は容器本体2の構成の複雑化、ヒンジブロック4の損傷リスクの増加、保管効率の低下等を招くことが懸念されるため、別体として構成することが望ましい。
(c)さらに、上記実施形態では、蓋部材3が閉位置にある場合、蓋部材3が側壁部12、13の上方に載置されるような格好となり、ヒンジブロック4が蓋部材3から下方に突出するように構成されているが、例えば、蓋部材3が閉位置にある場合に、蓋部材3が側壁部12、13の内面から突出するような格好となり、ヒンジブロック4が蓋部材3の側面から側方に突出するように構成してもよい。但し、閉位置とされた蓋部材3の安定感や蓋部材3を開位置とした場合の容器本体2の開口部上方の作業スペースの拡張等の点を鑑みると、上記実施形態のように、蓋部材3の下面からヒンジブロック4を下方に突出させる構成を採用する方が望ましい。
尚、ヒンジブロック4が長辺側側壁部12に対して相対変位不可能に連結される場合、ヒンジブロック4が容器本体2の内部空間を阻害したり、蓋付き容器1の保管効率等を低下させたり、ヒンジブロック4の損傷リスクを高めたりすることを回避するべく、ヒンジブロック4が長辺側側壁部12の内面や外面から突出するよりも、上面から突出する構成とすることが望ましい。
(d)上記実施形態おける開位置とされた蓋部材3の姿勢(延在角度)については特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。但し、蓋部材3が取付けられた長辺側側壁部12の外面に情報表示領域17が設けられている場合には、開位置にある蓋部材3が長辺側側壁部12から上方に向けて鉛直方向に延在したり、蓋部材3が上方かつ外方に向けて斜めに延在したりする姿勢で保持されるように構成されることが望ましい。さらに、容器本体2への物品の出し入れ作業に際して容器本体2の開口部の上方空間を極力広く確保するべく、開位置にある蓋部材3は上方かつ外方に向けて延びる構成とすることが望ましい。
(e)上記実施形態では、軸受部64が長円状に構成されているが、軸受部64は軸部42よりも大きな孔や凹部であればよい。例えば、軸受部64の形状を円形状、多角形状、水平方向に長い長円形状としてもよい。但し、開位置にある蓋部材3の保持状態の安定化等を図るべく、軸受部64は軸部42をローラー支点とする略長円形状とすることが望ましく、さらには、蓋部材3を開位置とすることで蓋部材3の最下点を上方に変位させることができるように、上下方向に延びるように構成することが望ましい。
また、上記実施形態では、ヒンジブロック4(第1平面部45及び第2平面部46)と、位置決め固定部54とが平面同士で当接可能に構成に構成されているが、特にかかる構成に限定されるものではなく、連結部43と被連結部53との連結の構成も含め、ヒンジブロック4を蓋部材3に対して相対変位不可能となるように構成されていればよい。例えば、連結部43及び被連結部53を断面他角形状として、連結部43と被連結部53とを回転不能に連結してもよいし、ねじやボルト等で固定してもよいし、平面同士を当接させるのではなく、複数の突起と平面とを当接させるように構成してもよい。但し、上記実施形態のように、連結部43及び被連結部53とは別に、ヒンジブロック4と2面で当接可能な位置決め固定部54を設けることにより、連結部43及び被連結部53の構成の簡素化、連結部43及び被連結部53の耐久性の向上、取付作業性の向上、取付状態の安定化、及び、ヒンジブロック4を保護する効果の向上等を図ることができる
加えて、アシスト突起66の形状等は特に限定されるものではなく、例えば、一対の受壁部62間を連結するようなリブ状に形成してもよい。また、アシスト突起66を省略することも可能である。
(f)上記実施形態では、容器本体2が折畳み不可能な構成となっているが、容器本体が折畳み可能な蓋付き容器に適用することも可能である。例えば、容器本体は、略矩形板状の底壁構成部と、底壁構成部の各側辺部からそれぞれ上方に延出する側壁部と、側壁部の上辺部に沿って設けられた四角枠状の上枠とを備え、側壁部は、下辺部側が底壁構成部の側辺部に対して回動可能に連結される下壁部と、上辺部側が上枠に対して回動可能に連結されるとともに、下辺部側が下壁部の上辺部側に対して回動可能に連結される上壁部とを具備する相対する一対の第1側壁部と、上辺部側が上枠に対して回動可能に連結される相対する一対の第2側壁部とを備え、箱型に組立てられた組立状態から、第2側壁部を内側に回動変位させるとともに、下壁部の外面と上壁部の外面とを合わせるようにして第1側壁部を内側に折畳むことで、第1側壁部及び第2側壁部が底壁構成部の上方に折畳まれた折畳み状態とすることができ、上枠の相対する一対の辺部に対して、上記実施形態のように、ヒンジブロック4を介して、蓋部材3を連結するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、一対の蓋部材3を同時に開閉させる構成となっているが、片方ずつ開閉可能な構成としてもよい(一対の蓋部材3のうち一方が他方に重なって開ける順番が決まっている構成でもよいし、どちらからでも開放可能な構成でもよい)。但し、上記実施形態のように、一対の蓋部材3をクロスさせるようにして重ね合せることで、蓋部材3の先端部側において互いに支持し合うことができ、垂れ下がりやガタツキ(浮き上がり)等を抑制することができるとともに、蓋部材3が容器本体2に比べて比較的重い場合であって、片方の蓋部材3だけを開位置に変位させた場合のように蓋付き容器1が不安定になるといった事態を回避することができる。
さらに、蓋部材3の形状、数、取付位置についても限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、蓋部材3が長辺側側壁部12に対して取付けられているが、短辺側側壁部13に取付けることとしてもよい。また、例えば、1枚で容器本体2の開口部の全体を閉塞可能な蓋部材3を設けてもよいし、3枚以上の蓋部材3で容器本体2の開口部を閉塞するように構成してもよい。
尚、上記実施形態では、蓋部材3を閉位置とすることで、蓋付き容器1同士を段積みすることができるように構成されているが、また、段積みすることのできない蓋付き容器1に具体化することも可能である。
(g)上記実施形態では、情報表示領域17において、情報がプリントされたシールが貼着されるように構成されているが、情報表示領域17における情報の表示方法については特に限定されるものではなく、カードを貼着する、直接的に印刷・刻印する、ICタグを取付ける等、適宜変更可能である。さらに、例えば、情報表示領域17に対応してカードを着脱自在とするカードホルダを取付可能に構成してもよい。また、情報表示領域17の位置や大きさなどは特に限定されるものではないが、利便性の向上を図るべく側壁部12、13の各外面に設けられていることが望ましく、情報量や見易さの向上を図るべく極力広範囲に設けられていることが望ましい。
(h)上記実施形態では、容器本体2、蓋部材3、及び、ヒンジブロック4はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。