JP6054168B2 - ジブクレーンの起伏装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ジブクレーンの起伏装置に関するものである。
図3は従来のジブクレーンの一例を示す概要構成図であって、該ジブクレーン1は、脚フレーム2を、その支柱2aを旋回中心として旋回走行車輪3の駆動により旋回自在に配置し、該脚フレーム2の上部にジブ4を水平方向へ延びる起伏中心軸5を支点として起伏自在に取り付け、前記脚フレーム2上に立設されたAフレーム6の上端部にシーブ7を配設すると共に、前記ジブ4の先端部にシーブ8を配設し、前記脚フレーム2上に設置された起伏ウインチ9から繰り出される起伏ロープ10を前記シーブ7,8に掛け回し、前記ジブ4を起伏ウインチ9による起伏ロープ10の巻上げ下げにより起伏中心軸5を支点として起伏させるようになっている。
尚、前記旋回走行車輪3は、前記支柱2aを中心として円形に敷設されたレール11上を転動するようになっている。
又、前記起伏中心軸5の両端近傍位置からは支持フレーム12を立設すると共に、該支持フレーム12を後方からサポートする斜材13を取り付け、前記支持フレーム12の上端部には、前記ジブ4の起立状態での煽り止め14を配設し、前記ジブ4が突風によって煽られた際、該ジブ4が前記煽り止め14に当接することにより後方へ転倒することを防止するようになっている。
尚、前述の如きジブクレーン1と関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
特開昭59−12090号公報
ところで、前記ジブクレーン1においては、そのメンテナンスを行うような場合、前記ジブ4を、図3中、実線で示される如く、その先端部が接地するまで最大限倒伏させることが行われており、これを一般にジブレストと称している。
従来の場合、ジブレスト時には、起伏ロープ10がジブ4と平行に近い状態となり、該ジブ4を起伏ウインチ9による起伏ロープ10の巻上げによって引き起こすためには、非常に大きな力を必要とする。
ここで、ジブレスト時に、前記ジブ4の先端部に配設されるシーブ8等の重量によって鉛直下方へ作用する荷重をW1、起伏中心軸5から前記荷重W1作用点までの水平距離をL1、前記ジブ4の重心位置において鉛直下方へ作用する荷重(自重)をW2、起伏中心軸5から前記荷重W2作用点(重心位置)までの水平距離をL2とすると、前記ジブ4に作用する起伏中心軸5回りのモーメントMは、
[数1]
M=W1×L1+W2×L2
となり、この状態から前記ジブ4を起伏ウインチ9による起伏ロープ10の巻上げによって引き起こすために必要となる起伏ロープ荷重F´は、起伏中心軸5から起伏ロープ10までの距離をL3とすると、
[数2]
F´=M/L3
となる。
即ち、前記距離L3が短いほど、前記起伏ロープ荷重F´は大きくなるわけであるが、前記起伏ロープ10の強度及び起伏ウインチ9の能力は、最大荷重状態となるジブレスト時の起伏ロープ荷重F´に基づいて設定する必要があることから、該起伏ロープ荷重F´が大きいほど、起伏ロープ10の径を太くすると共に、起伏ウインチ9も大容量のものが必要となり、更に、ジブ4に作用する圧縮力も増加するため、該ジブ4の強度をも高めねばならなくなっていた。
しかも、前記起伏ロープ10の大径化は、シーブ7,8の大型化にもつながって、ジブクレーン1全体の重量が増加し、コストアップが避けられなくなるという問題を有していた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、ジブレスト時にジブを引き起こすために必要となる起伏ロープ荷重を低減して、起伏ロープの小径化並びに起伏ウインチとシーブの小型化を実現し、ジブクレーン全体を軽量化してコスト削減を図り得るジブクレーンの起伏装置を提供しようとするものである。
本発明は、ジブを起伏ロープの巻上げ下げにより起伏中心軸を支点として起伏させるジブクレーンの起伏装置であって、
前記ジブを最大限倒伏させるジブレスト時に前記起伏中心軸から起伏ロープまでの距離を広げて起伏ロープ荷重を低減する起伏ロープ受け機構を備え
前記起伏ロープ受け機構は、
前記起伏中心軸の両端近傍位置から立設され且つ上端部にジブの起立状態での煽り止めが配設された支持フレームと、
該支持フレームの上端部間に掛け渡すように設けられた梁材と、
該梁材に取り付けられ且つ前記起伏ロープが係合する円弧面を有した受け部材と
を備えたことを特徴とするジブクレーンの起伏装置にかかるものである。
本発明のジブクレーンの起伏装置によれば、ジブレスト時にジブを引き起こすために必要となる起伏ロープ荷重を低減して、起伏ロープの小径化並びに起伏ウインチとシーブの小型化を実現し、ジブクレーン全体を軽量化してコスト削減を図り得るという優れた効果を奏し得る。
本発明のジブクレーンの起伏装置の実施例を示す概要構成図である。 本発明のジブクレーンの起伏装置の実施例における起伏ロープ受け機構を示す斜視図である。 従来のジブクレーンの一例を示す概要構成図である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明のジブクレーンの起伏装置の実施例であって、図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図3に示す従来のものと同様であるが、本実施例の特徴とするところは、図1及び図2に示す如く、ジブ4を最大限倒伏させるジブレスト時に起伏中心軸5から起伏ロープ10までの距離L4を広げて起伏ロープ荷重Fを低減する起伏ロープ受け機構15を備えた点にある。
本実施例の場合、前記起伏中心軸5の両端近傍位置から、上端部にジブ4の起立状態での煽り止め14が配設された支持フレーム12が既に立設されているため、これを利用して、前記起伏ロープ受け機構15は、前記支持フレーム12の上端部間に掛け渡すように梁材15aを設け、該梁材15aに、前記起伏ロープ10が係合する円弧面15bを有した受け部材15cを取り付けることにより構成してある。
次に、上記実施例の作用を説明する。
前記ジブクレーン1において、そのメンテナンスを行うような場合、前記ジブ4を、図1中、実線で示す如く、その先端部が接地するまで最大限倒伏させるジブレストが行われるが、本実施例の場合、ジブレスト時には、起伏ロープ10が起伏ロープ受け機構15の梁材15aに取り付けられた受け部材15cの円弧面15bに係合する。
このため、従来の場合と異なり、起伏ロープ10はジブ4と平行に近い状態とならず、該ジブ4を起伏ウインチ9による起伏ロープ10の巻上げによって引き起こすための力が小さくて済む。
ここで、ジブレスト時に、前記ジブ4に作用する起伏中心軸5回りのモーメントMは、従来と同様、[数1]より
M=W1×L1+W2×L2
となるが、この状態から前記ジブ4を起伏ウインチ9による起伏ロープ10の巻上げによって引き起こすために必要となる起伏ロープ荷重Fは、起伏中心軸5から起伏ロープ10までの距離がL4となるので、
[数3]
F=M/L4
となる。
即ち、前記距離L4(図1参照)は、距離L3(図3参照)と比較して長くなるため、[数3]における起伏ロープ荷重Fは小さくなる。
前記起伏ロープ10の強度及び起伏ウインチ9の能力は、最大荷重状態となるジブレスト時の起伏ロープ荷重Fに基づいて設定する必要があるが、該起伏ロープ荷重Fは小さく抑えられるため、起伏ロープ10の径を太くしなくて済むと共に、起伏ウインチ9も大容量のものが必要とならず、更に、ジブ4に作用する圧縮力も減少するため、該ジブ4の強度を高めなくて済む。
しかも、前記起伏ロープ10の小径化は、シーブ7,8の小型化にもつながって、ジブクレーン1全体の重量が増加せず、コストを削減することが可能となる。
こうして、ジブレスト時にジブ4を引き起こすために必要となる起伏ロープ荷重Fを低減して、起伏ロープ10の小径化並びに起伏ウインチ9とシーブ7,8の小型化を実現し、ジブクレーン1全体を軽量化してコスト削減を図り得る。
尚、本発明のジブクレーンの起伏装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ジブクレーン
4 ジブ
5 起伏中心軸
9 起伏ウインチ
10 起伏ロープ
12 支持フレーム
14 煽り止め
15 起伏ロープ受け機構
15a 梁材
15b 円弧面
15c 受け部材
L4 距離
F 起伏ロープ荷重

Claims (1)

  1. ジブを起伏ロープの巻上げ下げにより起伏中心軸を支点として起伏させるジブクレーンの起伏装置であって、
    前記ジブを最大限倒伏させるジブレスト時に前記起伏中心軸から起伏ロープまでの距離を広げて起伏ロープ荷重を低減する起伏ロープ受け機構を備え
    前記起伏ロープ受け機構は、
    前記起伏中心軸の両端近傍位置から立設され且つ上端部にジブの起立状態での煽り止めが配設された支持フレームと、
    該支持フレームの上端部間に掛け渡すように設けられた梁材と、
    該梁材に取り付けられ且つ前記起伏ロープが係合する円弧面を有した受け部材と
    を備えたことを特徴とするジブクレーンの起伏装置。
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