JP6053570B2 - 中高炭素鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、転炉を用いて中高炭素鋼を製造する中高炭素鋼の製造方法であり、特に、復りんの少ない高炭素鋼の精錬方法に関する。
従来より、中炭素鋼や高炭素鋼などを転炉にて精錬を行って製造する技術として、例えば、特許文献1〜特許文献3のものがある。
特許文献1では、脱燐処理により燐の濃度[P]を0.050%以下へ低下させた溶銑を用いた上底吹き機能を有する精錬装置による脱炭精錬に際して、上吹き酸素ガスとともに石灰粉を吹き込み、吹錬時間をt0(分)、吹き付け終了時間をt(分)とした場合、t/t0を0.7以上とし、吹き止めスラグ中のフッ素濃度を0.5%以下にしている。
特許文献2では、吹錬初期に塩基度が1.0〜2.0となる比率のCaO及びSi源を添加して低融点スラグを形成し、次いで生成スラグの塩基度を3.0〜4.0とするに足る量のCaOを追加している。
特許文献3では、上吹き転炉または上下吹き転炉を用いて、生石灰,滓化促進剤及び酸化鉄を主体とする脱りんフラックスを添加した後、酸素吹錬を行うことにより中高炭素鋼を製造する方法であって、吹錬途中で前記と同一または異なる滓化促進剤及び/又は酸化鉄を追加投入し、且つ上吹き送酸流量を増加させて脱りん反応を進行させている。
その他、転炉等で精錬する方法として、特許文献4〜9に示すものがある。
特開2002−275520号公報 特開昭58−016014号公報 特開2000−008113号公報 特開平03−153811号公報 特開2002−047508号公報 特開平11−006006号公報 特開平11−061222号公報 特公昭62−109919号公報 特開2005−15889号公報
特許文献1では、蛍石を用いずに高炭素鋼を製造する方法が開示されているものの、蛍石を使用しない代わりに石灰粉を吹き込む必要があり、石灰粉を吹き込むために大規模な設備(塊石灰の粉砕設備、粉体貯蔵タンク及び高圧ガス設備など)が必要である。また、石灰粉を吹き込む設備では、石灰粉を高圧ガスで圧送するため配管の磨耗が大きいため、頻繁な保守作業が必要であり、保守業務が大変であった。つまり、特許文献1の技術では、蛍石を用いずに高炭素鋼を製造するためには、大掛かりな装置を用いなければならず、この方法で高炭素鋼を製造することは困難を伴うものとなっていた。また、特許文献2〜9にも中高炭素鋼などを製造する方法や様々な精錬方法が開示されているものの、蛍石を用いることなく中高炭素鋼を確実に製造できる技術とは言い難いものである。特に、中高炭素鋼を製造するに際して、転炉等にて吹錬を行った後(吹止後)にスラグ中のりんが溶鋼に戻ってしまうという復りんを防止することができないのが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、溶鋼の出鋼時の復りんを防止でき、蛍石を使用せずに簡単で且つ確実に中高炭素鋼を製造することができる中高炭素鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、転炉を用いて中高炭素鋼を製造するに際して、吹錬開始時のスラグの塩基度を0.8以上1.2以下とし且つ送酸速度を1.8Nm/min/t以下とし、吹錬開始後、吹錬中の酸素量が吹錬全体の総酸素量に対して3%〜10%となっている間に、送酸速度を2.2Nm/min/t以上3.2Nm/min/t以下に変更し、吹錬中の酸素量が前記総酸素量に対して40〜70%となっている間に、2回以上CaO源を装入することとし、1回当たりの前記CaO源の装入量を16kg/t以下とし、前記CaO源を投入している間だけの期間の送酸速度を2Nm/min/t以下とし、前記CaO源の装入の間隔を1分以上とし、吹錬における酸素吹止時のスラグの塩基度が2.5以上4以下となるようにし、転炉処理の終了後、取鍋に出鋼した後の時点で、原単位で0.7kg/ton以上5.7kg/ton以下のCaO源を装入することを特徴とする。
本発明によれば、蛍石を使用しなくても、簡単で且つ確実に中高炭素鋼を製造することができる。特に、中高炭素鋼を製造するにあたって、溶鋼の出鋼時の復りんを防止することができる。
精錬を行う転炉の全体図である。 転炉における精錬の状況を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、中高炭素鋼を製造するに際して、一次精錬を行う転炉を示したものである。説明の便宜上、溶銑や溶鋼のことを溶湯といい説明する。
中高炭素鋼を製造するに際しては、まず、中炭素鋼用の溶湯1を転炉2に装入し、転炉2にて脱炭等の精錬を行った後、下工程である二次精錬工程で介在物の除去や成分調整などを行う。
転炉における一次精錬では、転炉2の上側に設けたホッパー等の投入装置4を用いて、焼石灰などのCaO源(造滓材)を、炉口3から装入すると共に、溶湯1に対して上吹きランス5を用いて酸素を吹き付ける吹錬を行い、溶銑中の[C]や[P]の除去を行う。図1では上吹き転炉を示しているが、中高炭素鋼を製造するに際しては、上底吹き転炉であってもよい。
中高炭素鋼を製造する方法、即ち、復りんの少ない高炭素鋼の精錬方法では、吹錬の吹き止め時の[C]を0.5質量%以上とし且つ[P]を0.015質量%以下にすることが好ましい。つまり、転炉の吹錬後(一次精錬後)では、[C]を高く且つ[P]を低くすることが望まれている。しかしながら、転炉における吹錬では、脱炭反応と脱りん反応との両方が進み、[C]を高く且つ[P]を低くすることが難しいのは周知の通りである。そのため、従来の技術では、転炉の吹錬(一次精錬)にて、一旦、脱りん反応を促進させることにより[C]を0.5質量%未満にした後、溶湯を出鋼後に加炭をすることにより、中高炭素鋼を製造している。
転炉にて脱りん能力を増加させる(脱りん反応を促進させる)ためには、蛍石(CaF)を転炉に投入してスラグの滓化を促進することが考えられるが、滓化促進のために蛍石を使用した場合、精錬後のスラグ中にはフッ素等が多量に含まれることになる。フッ素等が多量に含まれたスラグは再利用することが難しく、環境への影響、負荷が大きいことから、転炉にて蛍石を用いずに脱りんを促進したいという要望がある。
また、転炉にて[C]を0.5質量%未満にした後に、加炭する場合は、加炭材に不可避的に含まれるSやNにより溶湯の成分調整が難しくなったり、溶湯の品質が低下する虞があったり、コスト増加や処理時間の延長による生産性の低下も懸念される。このようなことから、転炉の吹錬において蛍石を使用したり、転炉の吹錬後に加炭処理を行わずに、中高炭素鋼を製造することが望まれている。
ここで、特許第4701727号公報には、スラグ中のFeOを増加させることによってCaOの溶解を促進することにより転炉で蛍石を使用しない方法が開示されているが、FeOは溶湯中のCによって容易に還元されることから、例えば、酸化鉄源の装入量が少ない吹錬などでは、溶湯中の[C]が高い間にスラグ中のFeOを増加させることが難しい
。また、スラグ中のFeOを増加させることができても、FeOとCとの反応によって発生するCOガスが急激にスラグから抜けるという好ましくない現象が発生することがある。
つまり、特許第4701727号公報のような従来の技術を用いることだけでは、蛍石を使用せずに安定的に中炭素鋼を製造することは難しいため、本発明では、吹錬開始時の塩基度、送酸速度、吹錬中の送酸速度、CaO源の装入回数(投入回数)等を規定することにより、簡単に中高炭素鋼を製造することとしている。特に、本発明では、大掛かりな設備を用いることなく、従来から用いられているホッパー等の投入装置4を用いて、簡単で且つ確実に中高炭素鋼を製造することとしている。
以下、本発明の中高炭素鋼の製造方法について詳しく説明する。
上述したように、CaO源を供給したとき、スラグ中のFeOが多いと、スラグの滓化が進む。本発明では、まず、吹錬初期のスラグの塩基度(CaO/SiO)を、低めにしてスラグ中のFeOの活量を抑制し、スラグ中のFeOが出来るだけ減少しないようにし、スラグの滓化を促進している。具体的には、吹錬開始時のスラグの塩基度を0.8以上1.2以下としている。
吹錬開始時のスラグの塩基度が0.8未満であると、溶融スラグに比べて吹錬の途中で追加装入したCaO源(石灰)の量が多くなり、石灰の溶解不足になる。その結果、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない。一方、スラグの塩基度が1.2を超えてしまうと、スラグ中のFeOの活量が増加し、スラグ中のFeOと溶湯中の[C]との反応が促進され、スラグ中のFeOの量が低下する。その結果、石灰の溶融が進まず、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない。
また、吹錬開始時において、上吹きランス5から酸素を吹き込む送酸速度を低めにして(ソフトブロー)としてスラグに酸素を供給すると共に溶湯の攪拌を抑えることによりスラグ中のFeOを増加させることとしている。具体的には、吹錬開始時の吹き込む送酸速度を1.8Nm/min/t以下としている。なお、送酸速度が小さすぎると吹錬時間が増加し生産性が低下することがあることから、送酸速度は0.5以上Nm/min/tとすることが好ましい。
送酸速度が1.8Nm/min/t超えてしまうと、吹き込んだ酸素が溶湯に到達すると共に溶湯の攪拌が強くなるため、スラグ中のFeOが高められなくなる。その結果、石灰の溶融が進まず、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない。
したがって、転炉において吹錬開始時には、0.8≦C/S(塩基度)≦1.2とし、送酸速度を1.8Nm/min/t以下としている。
吹錬開始後、送酸速度を1.8Nm/min/t以下にして、酸素を吹き込み続ける。そして、吹き込んだ吹錬中の酸素量が、吹錬全体の総酸素量(全体吹錬酸素量という)に対して3%〜10%となっている間に、送酸速度を2.2Nm/min/t以上3.2Nm/min/t以下に変更する。つまり、本発明では、スラグのFeOが増加した段階で、吹錬をソフトブロー(送酸速度が1.8Nm/min/t以下)から、ハードブロー(送酸速度が2.2Nm/min/t以上3.2Nm/min/t以下)にすることとしている。
吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の3%未満となる早い段階で、送酸速度を上昇させてソフトブローからハードブローに移行してしまうと、ソフトブローの期間が短いため、酸素吹き込みによるスラグ中のFeOの増加が少ない。
一方、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の10%を超えた遅い段階で、送酸速度を上昇させた場合、既にスラグ中のFeOは増加しているものの、スラグ中のFeOが多すぎる状態にある。そのため、送酸速度を上昇させた直後に、スラグ/メタル界面におけるCOガスの発生速度が高まり、スラグ中のCOガスの気泡密度が増加し、気泡同士が合体、浮上することによって、COガスが急激にスラグから抜けてしまうという現象が発生する。このように、COガスが急激にスラグから抜ける現象が発生してしまうと、スラグが沈静化してスラグのフォーミングの高さが得られず(スラグがフォーミングし難くなる)、フォーミングしたスラグに十分に着熱させることができないため、脱炭が進みすぎて、溶湯
の[C]を0.5質量%以上にすることができない可能性がある。
例えば、特許第4487812号公報に示されているように、転炉における吹錬において、酸素を吹き込んだ場合、吹錬により吹き込んだ酸素と吹錬中に発生したCOガスとで二次燃焼が発生し、COガスが発生する。二次燃焼が発生している二次燃焼帯にフォーミングスラグを位置させると、フォーミングスラグに二次燃焼による熱が着熱し、スラグの温度が確保されると共にスラグを介して溶湯に伝熱するため、吹錬による脱炭の進みすぎを防止することができる。つまり、本発明では、吹錬中にある程度、スラグをフォーミングさせて二次燃焼による熱をスラグに着熱する必要があることから、スラグのフォーミングも考慮して、送酸速度の切換時期やその速度を規定している。
ソフトブローからハードブローに吹錬を切り換えるに際して、送酸速度が2.2Nm/min/t未満である場合、ソフトブローの状態と殆ど変わらず、スラグ中のFeOが増加し過ぎるために、吹錬中にCOガスがスラグから急激に抜ける現象が発生してしまう可能性がある。また、送酸速度が3.2Nm/min/tよりも大きい場合、殆どスラグに酸素が供給できない状態となると共に溶湯の攪拌が強くなるため、スラグ中のFeOが下がりすぎてスラグの滓化不足となり、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない。
したがって、吹錬開始後、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の3〜10%になる期間内に、送酸速度を2.2Nm/min/t〜3.2Nm/min/tに変更することとしている。なお、全体吹錬酸素量は、気体酸素(上吹きランス5から吹き込んだ酸素の合計)のことであり、固体酸素は含まれない。中高炭素鋼では、固体酸素に比べて気体酸素の割合が大きく、固体酸素の影響は無視できる。
次に、送酸速度を切り換えた後は、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量に対して40〜70%となっている間に、2回以上CaO源を装入する。そして、最終的なスラグの塩基度(吹錬後のスラグの塩基度)を2.5〜4.0にしている。即ち、吹き止め時(吹錬終了時)のスラグの塩基度を2.5〜4.0としている。スラグの塩基度が2.5未満であるとき、スラグの脱りん能が不足するため、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない。一方、スラグの塩基度が4よりも大きいとき、未石灰化によるスラグの滓化不良が生じ、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない。
ここで、スラグの塩基度を2.5〜4.0の範囲にするために、一度に多量のCaO源を供給すると、急に塩基度が上昇してスラグの粘度が低くなり、スラグの沈静化が発生することがある。スラグの沈静化等を防止するために、CaO源の装入は2回以上分けて行うこととしている。
吹錬を続けている状態においては、次第にスラグの塩基度が上昇することになるが、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の40%未満となる早い段階で、CaO源を装入してしまうと、スラグの塩基度が2前後となる期間が長くなる。スラグの塩基度が2前後では、スラグのFeOの活量が高い時期であり、スラグ中のFeOと溶湯中の[C]の反応が促進されスラグ中のFeOが低下するため、スラグの滓化が進まず、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない可能性がある。一方、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の70%よりも大きくなる遅い段階で、CaO源を供給するとスラグの塩基度が2前後となる期間を短くすることができるものの、スラグの滓化までの時間が確保できず、溶湯の[P]を0.015質量%以下にすることができない可能性がある。
したがって、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の40〜70%になる期間内に、CaO源を2回以上装入することとしている。
ここで、CaO源を2回以上装入するに際して、1回当たりのCaO源の装入量を16kg/t以下としている。CaO源の装入量が16kg/tよりも大きい場合、CaO源となる装入物が、フォーミング状態となっているスラグを押さえてしまうことになり(物理的にスラグの気泡を壊してしまい)、スラグの沈静化が発生してしまう。
また、CaO源の装入期間中の送酸速度は2Nm/min/t以下としている。CaO源を装入したとき、一時的にスラグの冷却が発生してスラグの粘度が上昇し、スラグ内部においてCOガスの圧力が増加する。CaO源の装入後、スラグの温度が上昇して元に
戻るとスラグの粘性も低くなり、圧力の高いCOガスがスラグ内から抜けることになる。CaO源の装入時において、送酸速度が2Nm/min/tよりも大きいと、COガスの発生速度を上昇させることになり、スラグ内部のCOガス圧力が高くなりすぎる。その結果、圧力の高いCOガスがスラグから抜ける際、急激なCOガスの抜けが生じてスラグの沈静化を発生させてしまう可能性がある。このようなことから、CaO源を供給しているときの送酸速度は2Nm/min/t以下として小さくする必要がある。
CaO源の装入の間隔(CaO源を装入してから次にCaO源を装入するまでの間隔)は、1分以上としている。CaO源の間隔が1分未満であり短いと、急に塩基度が上昇してスラグの粘度が低くなり、スラグの沈静化が発生する可能性がある。
したがって、1回当たりのCaO源の装入量を16kg/t以下とし、CaO源の装入期間中の送酸速度を2Nm/min/t以下とし、CaO源の装入の間隔を1分以上としている。
図2は、中高炭素鋼を製造するに際しての転炉における二次精錬の状況をまとめたものである。
図2に示すように、吹錬を開始してから吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の3〜10%となる第1期間では、送酸速度を1.8Nm/min/t以下としている。第1期間後であって送酸速度を切り換えた第2期間では、送酸速度を2.2〜3.2Nm/min/tとする。第2期間において、吹錬中の酸素量が全体吹錬酸素量の40〜70%となるまでの区間では、CaO源を2回以上装入することとし、CaO源を装入する装入期間では、送酸速度を2.0Nm/min/t以下とする。また、第2期間においてCaO源を装入する間隔は1分以上としている。また、吹錬終了時のスラグの塩基度が2.5以上4以下となるようにしている。
以上のように、吹錬開始時の塩基度及び送酸速度、吹錬中の送酸速度、1回当たりのCaO源の装入量、CaO源の装入期間中の送酸速度、CaO源の装入の間隔、吹き止め時の塩基度を適正にすることによって、中高炭素鋼であっても、吹き止め時(吹錬終了時)の[P]を0.015質量%以下にすることができる。
吹錬終了後は、溶湯を取鍋等に出鋼(払い出し)することになるが、この溶湯を出鋼すまでの間にスラグ中のFeOが減少して、スラグ中のPが溶湯に戻る復りんが発生してしまうことがある。そこで、本発明では、復りんを防止するために、吹錬終了後に、原単位で0.7kg/ton以上5.7kg/ton以下のCaO源を装入することとしている。
脱りん反応は、スラグ−メタル境界において、3(CaO)+5(FeO)+2[P]=(3CaO・P)+5[Fe]の反応により進む。ここで、脱りん時のスラグに着目すると、スラグ中のFeOが溶湯中のCによって還元されるのに伴いスラグが結晶化(固化)する。この時、3CaO・P(C3P)を固溶させた2CaO・SiO(C2Sという)として晶出することができれば、スラグ中に取り込まれたPを固定化することができる。C2S中に固定化されたPは、スラグ中のFeOが減少したとしても復りんは発生しない。このように、スラグ中に取り込まれたPを素早く固定化すれば、復りんを防止することができるため、吹錬終了後、例えば、酸素の吹止後、CaO源をスラグに向けて0.7kg/ton以上装入することとしている。即ち、吹止の直後〜転炉を傾動して溶湯を取鍋に出鋼する前に、転炉の上方からスラグに向けてCaO源を装入(投入)する。
CaO源が0.7kg/ton未満である場合、スラグをCaO源によって冷却することができず、十分に復りんを抑制することができない。一方、CaO源が5.7kg/tonより大きい場合は、復りんを防止することができるものの、スラグの冷却が過剰となり溶湯の温度低下を招くため、吹錬終了時の溶湯の吹止温度を高くする必要がある。それゆえ、吹止温度を高くした結果、脱りん効率が悪くなり、[P]を0.015質量%以下にすることができない。
表1、2は、本発明の中高炭素鋼の製造方法を行った実施例と、本発明とは異なる中高炭素鋼の製造方法を行った比較例とをまとめたものである。
Figure 0006053570
Figure 0006053570
実施例及び比較例において、250tonクラスの転炉を用いて一次精錬を行った。転炉に装入した溶銑(溶湯)は、[P]が0.010質量%〜0.035質量%になるまで予め脱りん処理を行ったものとした。吹錬中に装入するCaO源として、焼石灰(CaO:95質量%)、軽焼ドロマイト(CaO:67質量%)を使用した。なお、吹錬中に装入する装入するCaO源として、焼石灰又は軽焼ドロマイトのいずれかを使用してもよいし
、焼石灰と軽焼ドロマイトとの両方を使用してもよい。軽焼ドロマイトとは、生ドロマイトを焼成して作製するものである。
吹錬終了後に、復りんを防止するために装入するCaO源として、CaO:95質量%、粒径が10〜50mmの焼石灰を用いた。また、吹錬終了後(吹止後)、2min以内に焼石灰を装入することとした。
中高炭素鋼を製造するに際しては、吹錬停止時(吹止時)の溶湯の[C]は、0.5質量%以上とする必要があるため、吹止時の[C]が0.5質量%以上となっているか評価を行った。Pは靭性を低下させる元素であり、低い方が望ましい。例えば、特開平11−335773号公報に記載されているように、[P]を0.015質量%以下とすることによって、靭性が確保されることから、吹止時の[P]が0.015質量%以下であるか評価を行った。高炭素鋼の製造において、転炉での吹錬終了後から溶鋼処理前までに増加する復りんの量について評価を行った。なお、復りんの量は、吹錬終了後に転炉内の溶湯(溶鋼)をサンプリングして測定した[P]と、溶鋼を転炉から取鍋に出鋼後(払い出し後)、取鍋内の溶鋼をサンプリングして測定した[P]との差([P]−[P])により求めた。
まず、実施例について説明する。
実施例では、「吹錬開始時の塩基度」の欄、及び「吹錬開始時の送酸速度」の欄に示すように、吹錬開始時のスラグの塩基度を0.8以上1.2以下とし、送酸速度を1.8Nm/min/t以下としている。「酸素流量の変更タイミング」の欄、及び「変更後の送酸速度」の欄に示すように、吹錬中の酸素量が吹錬全体の総酸素量に対して3%〜10%となっている間に、送酸速度を2.2Nm/min/t〜3.2Nm/min/tにしている。
また、「途中CaO源の装入タイミング」の欄、及び「途中CaO源装入回数」の欄に示すように、吹錬中の酸素量が総酸素量に対して40〜70%となっている間に、2回以上CaO源を装入している。「途中装入1回目」、「途中装入2回目」及び「途中装入3回目」の欄に示すように、1回当たりのCaO源の装入量を16kg/t以下とし、CaO源の装入期間中の送酸速度を2Nm/min/t以下とし、CaO源の装入の間隔を1分以上としている。「吹錬後の塩基度」の欄に示すように、スラグの塩基度を2.5〜4としている。
さらに、「吹止後CaO源装入量」の欄に示すように、吹錬終了後に装入したCaO源は、原単位で0.7kg/ton以上5.7kg/ton以下にしている。
このように、本発明で規定した条件を全て満たす実施例では、吹止時の[P]を0.015質量%以下、吹止時の[C]を0.5質量%以上にすることができた。また、吹錬終了後の復りん(吹止を行ってから次の処理を行うまでの復りん)をゼロにすることができた。さらに、ホッパーなどの投入装置によって、蛍石を使用せず、CaO源を供給するだけで、中高炭素鋼を確実に製造することができた。
一方、比較例25、26、33に示すように、吹錬開始時の塩基度や送酸速度が上述した条件を満たさない場合、[P]を0.015質量%以下にすることができなかった。
比較例35〜37に示すように、吹錬開始後、送酸速度を変更するタイミングや変更後の送酸速度が上述した条件を満たさない場合、[P]を0.015質量%以下にできなかったり、[C]を0.5質量%以上にすることができなかった。
比較例29、30に示すように、CaO源の装入のタイミングやCaO源の装入回数が上述した条件を満たさない場合、比較例27、28、30、32、39〜42に示すように、1回当たりのCaO源の装入量、CaO源の装入期間中の送酸速度、CaO源の装入の間隔、吹錬後の塩基度のいずれか1つでも、上述した条件を満たすことができない場合も、[P]を0.015質量%以下にできなかったり、[C]を0.5質量%以上にすることができなかった。比較例43に示すように、吹錬後(吹止後)に装入したCaO源の装入量が上限値(5.7kg/ton)を超えた場合、上述した実施例よりも吹止時の溶鋼温度(吹止温度)を10℃以上高くしなければならなくなり、[P]を0.015質量%以下することができなかった。比較例44〜53に示すように、吹錬後に装入したCaO源の
装入量が下限値(0.7kg/ton)を下回ってしまったため、復りんが発生した。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 溶湯
2 転炉
3 炉口
4 投入装置

Claims (1)

  1. 転炉を用いて中高炭素鋼を製造するに際して、
    吹錬開始時のスラグの塩基度を0.8以上1.2以下とし且つ送酸速度を1.8Nm/min/t以下とし、
    吹錬開始後、吹錬中の酸素量が吹錬全体の総酸素量に対して3%〜10%となっている間に、送酸速度を2.2Nm/min/t以上3.2Nm/min/t以下に変更し、
    吹錬中の酸素量が前記総酸素量に対して40〜70%となっている間に、2回以上CaO源を装入することとし、1回当たりの前記CaO源の装入量を16kg/t以下とし、前記CaO源を投入している間だけの期間の送酸速度を2Nm/min/t以下とし、前記CaO源の装入の間隔を1分以上とし、吹錬における酸素吹止時のスラグの塩基度が2.5以上4以下となるようにし、
    転炉処理の終了後、取鍋に出鋼した後の時点で、原単位で0.7kg/ton以上5.7kg/ton以下のCaO源を装入することを特徴とする中高炭素鋼の製造方法。
JP2013038098A 2013-02-28 2013-02-28 中高炭素鋼の製造方法 Expired - Fee Related JP6053570B2 (ja)

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