JP6053435B2 - ブタジエン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブタジエン及びその製造方法に関する。
1,3−ブタジエン(以下、単に「ブタジエン」とも言う。)は合成ゴムやABS等の樹脂の原料として広く用いられている。ブタジエンを製造する方法としては、ナフサのクラッキングにより得られた分解ガスからブタジエンを抽出する方法や、n−ブテンの酸化的脱水素反応によりブタジエンを製造する方法が挙げられる。ブタジエンの重合体やブタジエンとスチレン等の芳香族ビニル化合物との共重合体は、合成ゴムの原料となる。ブタジエンの重合開始剤には特許文献1及び2に記載のアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を用いることができ、一般的には有機リチウム化合物が用いられる。
合成ゴムの製造において、共役ジエン系重合体の分子量は合成ゴムの機械的物性や加工性に影響する。分子量が大きいと耐摩耗性などの機械的物性が向上する。一方、分子量が小さいと加工性が優れる他、タイヤ用のゴムに用いた場合、グリップ性を向上できるといった特性を示す。
国際公開第11/040312号パンフレット 特開2002−284814号公報
分子量が大きい重合体においても、小さい重合体においても、分子量分布は合成ゴムの機械的物性、加工性、製品物性の制御性、製品物性のばらつき、耐候性等の物性に大きな影響を及ぼし、分子量分布が狭いほどこれらの特性に優れる傾向にある。分子量分布はモノマーや添加剤の組成、混合や重合の条件により変化し、特に、重合開始剤を原料中に素早く均一に高分散させないと、分子量分布の拡大を生じることがある。重合開始剤を素早く均一に高分散させるには、原料の粘度を低下させたり、重合開始剤を増やしたりする等の方法があるが、十分な改善には至らない。そのため、分子量分布の狭いブタジエン重合体を製造することは困難である。高分子量の重合体の場合、低温で長時間重合するなど、分子量分布の均一化の手法が幾つかあるが、製造効率が制限されるという問題がある。また、低分子量の重合体を重合する場合は、高温で短時間に重合するため、分子量分布は一層不均一になり、重合条件による改善は困難である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、分子量分布が狭く、均質なブタジエン重合体を製造することができる、ブタジエン及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題点について鋭意検討した結果、予め微量の亜鉛を添加したブタジエンを原料とすることで、分子量分布が狭く、均質なブタジエン重合体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次に示すとおりである。
〔1〕
カルボン酸亜鉛化合物を、0<x≦0.1wt%(xは亜鉛の濃度である。)含有する、ブタジエン含有組成物。
〔2〕
前記カルボン酸亜鉛化合物が二酢酸亜鉛である、〔1〕に記載のブタジエン含有組成物。
〔3〕
カルボン酸亜鉛化合物を含む溶液と、液化ブタジエンとを接触させる接触工程と、
前記溶液と、前記カルボン酸亜鉛化合物を含有するブタジエン含有組成物とを分離する分離工程と、を有する、ブタジエン含有組成物の製造方法。
〔4〕
前記溶液が水溶液である、〔3〕に記載のブタジエン含有組成物の製造方法。
本発明により、分子量分布が狭く、低分子量領域においても均質なブタジエン重合体を得ることができる、ブタジエン及びその製造方法を実現することができる。
亜鉛を添加する装置の一例の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ブタジエン〕
本実施形態におけるブタジエン(以下、「ブタジエン含有組成物」という場合もある。)は、亜鉛を、0<x≦0.1wt%(xは亜鉛の濃度である。)含有する。
(亜鉛)
本実施形態におけるブタジエン含有組成物を用いることにより、分子量分布が狭く、特に低分子量領域においても均質なブタジエン重合体を得ることが可能である。ブタジエン含有組成物に含まれる亜鉛の濃度xは、0<x≦0.1wt%であり、好ましくは10wtppb≦x≦0.02wt%であり、より好ましくは20wtppb≦x≦0.01wt%である。亜鉛の濃度が0.1wt%よりも多いと塩が析出する場合がある。亜鉛の濃度は、極めて微量であっても効果を有する。亜鉛の濃度の下限値は、特に限定されないが、具体的には、後述する測定方法における検出下限(1wtppb)を超えることが好ましい。このような極めて微量の亜鉛であれば、亜鉛が連鎖反応に関与するメカニズムが働くため、分子量分布が狭く、均質なブタジエン重合体を得ることができるブタジエンとなると考えられる。分子量分布が均一な重合体が得られるメカニズムについては、明確ではないが、亜鉛の添加量は極めて少なくても効果があることから、原子レベルで高分散された亜鉛が重合触媒の分散と、失活の防止に効果があり、重合の開始点を増やすと共に、重合開始時と終了時を均一にする効果もあるものと発明者は推測している。
なお、本実施形態において、「低分子量の重合体」とは、重量平均分子量(Mw)が5,000〜250,000程度のブタジエン重合体を意味する。また、「高分子量の重合体」とは、Mwが250,000を超えるブタジエン重合体を意味する。本実施形態におけるブタジエンは、低分子量のブタジエン重合体の製造において、より分子量分布が均一になるという点で優れる傾向にある。また、高分子量のブタジエン重合体の製造において、高温、短時間で重合した場合でも分子量分布が均一になり、生産効率という点で優れる傾向にある。なお、重量平均分子量(Mw)の測定は実施例に記載した方法により行なうことができる。
〔ブタジエンの製造方法:亜鉛を添加する方法〕
本実施形態において、亜鉛を添加するタイミングは特に限定されないが、ブタジエンの精製工程において添加されることが好ましい。また、添加方法は、特に限定されないが、ブタジエンに対して金属亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、硫化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、よう化亜鉛、硝酸亜鉛、水酸化亜鉛、フッ化亜鉛や、カルボン酸亜鉛化合物、フェニル亜鉛化合物、スルホン酸亜鉛化合物、アルキル亜鉛化合物、アルコキシド亜鉛化合物等の有機亜鉛化合物を、直接又は間接的な方法で添加することができる。亜鉛の添加量は極微量であるため、間接的な方法で添加することが好ましい。
(間接添加:接触工程)
間接的な添加方法としては、亜鉛を含む溶液と、液化ブタジエンとを接触させる接触工程により、当該溶液中の亜鉛をブタジエンに移動させる方法が好ましい。
(溶液)
溶液としては、特に限定されないが、ブタジエンと容易に混合しないものが好ましく、具体的には、水溶液、アルコール溶液、エーテル溶液等が挙げられる。このなかでも、溶液が水溶液であることが好ましい。亜鉛を含む水溶液を溶液とする場合には、水に対してカルボン酸亜鉛化合物を添加することが好ましい。カルボン酸亜鉛化合物としては、特に限定されないが、酢酸亜鉛が好ましい。上記水溶液を用いることにより、より効率よく所定量の亜鉛をブタジエン中に高分散状態で添加できる傾向にある。
溶液の亜鉛の濃度としては特に限定されないが、0.01〜2mol%が好ましく、0.1〜1.5mol%がより好ましく、0.2〜1mol%がさらに好ましい。このような範囲であることにより、より効率よく所定量の亜鉛をブタジエン中に高分散状態で添加できる傾向にある。
添加した亜鉛は、ブタジエン中にイオンあるいは単原子分子の状態で存在することができ、均一かつ極めて高い分散状態で存在しているものと考えられる。
亜鉛の水溶液と液化ブタジエンとを接触させる場合、水溶液中の亜鉛の濃度、水溶液とブタジエンの体積比、及び接触時間等をコントロールすることにより、亜鉛の添加量を調節することが可能である。水溶液中の亜鉛の濃度、水溶液とブタジエンの体積比、及び接触時間の値が高いほど、ブタジエンに移動する亜鉛の量は多くなる傾向にある。
本実施形態において「液化ブタジエン」とは、ブタジエンを95wt%以上含有し、水やカルボニル類、アセチレン類等の不純物を5wt%未満含有する粗製ブタジエンであって、液体のものを言う。液化ブタジエンを得る手段は特に限定されないが、具体的にはナフサのクラッキングや、n−ブテンの酸化的脱水素反応等、公知の方法によって得られた液化ブタジエンを用いることができる。
図1は亜鉛を添加する装置の一例の概略図を示す。接触工程では、図1に示したように、筒状の亜鉛添加装置5の下方から液化ブタジエンを供給し、上方から亜鉛を含む溶液を供給することで亜鉛の溶液と液化ブタジエンとを接触させることができる。亜鉛添加装置5としては、中央部にカスケードミニリングやガラスビーズ等を設置して混合効率を上げた装置を用いることができる。
このときの亜鉛添加装置5の圧力は、特に限定されないが、0.3〜0.7MPa/Gが好ましく、0.4〜0.6MPa/Gがより好ましい。溶液の温度は、特に限定されないが、水溶液である場合には、0℃〜40℃が好ましく、より好ましくは0.5℃〜10℃である。このような条件範囲とすることにより、ブタジエンに対して、より効率よく所定量の亜鉛を添加することができる傾向にある。
当該溶液と液化ブタジエンとの接触時間は、特に限定されず、ブタジエンに添加された亜鉛の濃度を測定して適当な時間に調節する。各液の供給速度は亜鉛添加装置5の大きさに合わせて、前述の接触時間になる速度に調節すればよく、特に限定されない。この他に、ブタジエンに亜鉛を添加する接触工程では、攪拌器の付いたオートクレーブを用いることもできる。
(分離工程)
本実施形態のブタジエンの製造方法では、接触工程のあと溶液とブタジエンとを分離する分離工程をさらに有することが好ましい。分離工程では、図1に示したように、亜鉛添加装置5の最上部5aから抜き出した溶液と液化ブタジエンとを一時保管タンク6に一時保管した後、溶液を分離する為に溶媒分離塔8の上部8aに供給する。溶液として水溶液を用いた場合、塔頂部8bから水を排溶媒タンク9に分離し、塔底部8cからブタジエンを亜鉛添加ブタジエンタンク10に抜き出すことができる。この分離の際の圧力は0.3〜0.7MPa/Gが好ましく、0.4〜0.6MPa/Gがより好ましい。溶媒に水を用いた場合には、塔頂部温度は40〜60℃、塔底部温度は45〜65℃で操作することが好ましい。分離工程には、その他、充填塔、段塔等の塔を用いることができる。この時、重合防止剤を添加してもよい。このような分離工程により、不純物や余剰な亜鉛を除去することができる。
(直接添加)
ブタジエンに対して、亜鉛を直接添加することもできる。この場合に、亜鉛は、金属亜鉛、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、硫化亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、よう化亜鉛、硝酸亜鉛、水酸化亜鉛、フッ化亜鉛や、カルボン酸亜鉛化合物、フェニル亜鉛化合物、スルホン酸亜鉛化合物、アルキル亜鉛化合物、アルコキシド亜鉛化合物等の有機亜鉛化合物等としてブタジエンに直接添加することができる。直接添加する場合は、添加する物質の粒子径は小さいほど好ましい。好ましい粒子径は200nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。このような範囲であることにより、亜鉛がブタジエン中により均一に混ざりやすくなる傾向にある。また、直接添加する場合において、重合反応直前に亜鉛を添加しても、均一に混ざりきらないため、分子量分布を狭くする効果は期待できない。予め亜鉛を添加して均一に混合しておくことが好ましい。
(亜鉛の添加量の測定)
亜鉛を添加したブタジエン含有組成物の一部を耐圧ボンベにサンプリングする。さらに、その耐圧ボンベからシリンジを用いて少量(約50g)のサンプルを抜き出し、すぐに重量を測定する。テフロン(登録商標)製の圧力容器にサンプリングした試料を全量入れ、95℃のウォーターバス中で揮発成分を蒸発させ、除去する。この残渣成分に王水を加え、180〜230℃に加熱し、残渣成分を分解、溶解した後、超純水で適当な濃度になるように希釈する。この液を誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)により分析することで、添加された亜鉛の定量分析を行うことができる。当該測定方法の検出限界は通常1wtppb程度である。
(その他の装置等)
本実施形態におけるブタジエンの製造方法は、亜鉛を含む溶液と液化ブタジエンとを接触させる装置と、当該溶液と液化ブタジエンを分離する装置、及び必要に応じてその他の装置等を備えた設備において実施することができる。その他の装置等としては、特に限定されないが、例えば、圧縮機及び熱交換器などのブタジエンを含むガスを圧縮して液化する装置、放散塔や高沸点物分離塔等不純物を除去する装置等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
(亜鉛添加工程)
亜鉛添加工程に用いた装置を図1に示した。ブタジエンタンク1中のブタジエンガスを圧縮機2で0.5MPaに圧縮し、熱交換器3で5℃に冷却し、液化ブタジエンとした。一方で、超純水を溶媒として、Znが0.2mol%になるように、二酢酸亜鉛を溶解し、亜鉛添加溶液(Zn添加水)を作製して、亜鉛添加溶液タンク4に貯蔵した。液化ブタジエンへの亜鉛の添加には、管径2インチ(5.08cm)、高さ1,500mmのSUS304製の管(亜鉛添加装置5)を用いた。亜鉛添加装置5の内部にはSUS304製のカスケードミニリングを充填した。この亜鉛添加装置5内の温度は5℃、圧力は0.5MPaとした。亜鉛添加装置5の底部より200mmの位置から液化ブタジエンを100g/hrで装置内に供給し、底部より1,300mmの位置からZn添加水を100g/hrで装置内に供給し、最上部5aからは水を僅かに含んだ含水Zn添加ブタジエンを100g/hrで抜いて一時保管タンク6に移動させ、管底部5bからは水と余剰のZnを含んだ液を100g/hrで抜いて溶媒排出タンク7に移動させた。
亜鉛添加装置5から抜き出した含水Zn添加ブタジエンを一時保管タンク6に一時保管した後、僅かに含有する水を分離する為に、含水Zn添加ブタジエンを溶媒分離塔8の上部8aから300g/hrで塔中に供給した。溶媒分離塔8は直径2インチ(5.08cm)、高さ2,000mmのSUS304製であり、30段のトレイを有したものを用いた。溶媒分離塔8は圧力0.60MPa/G、塔底液温度は53℃、塔頂部8bのガス温度は51℃になるように運転した。含水Zn添加ブタジエン液を塔頂部8bから100mmの下方の位置から供給し、塔底部8cからは水をほとんど含まないZn添加ブタジエンを299g/hrで抜出した。また、塔頂部8bからは1g/hrで水を排溶媒タンク9に抜き出した。抜き出した亜鉛添加ブタジエン(Zn添加ブタジエン)は高圧ボンベ(亜鉛添加ブタジエンタンク10)に一時保管した。
(亜鉛添加量の測定)
亜鉛添加ブタジエンタンク10より、シリンジに約50gのZn添加ブタジエンを抜き出し、正確な重量を測定したところ50.010gであった。この抜き出したZn添加ブタジエンをテフロン(登録商標)製の圧力容器に全量入れた。この容器を25℃のウォーターバスで加熱し、圧力を抜きながら揮発成分を蒸発させ、その後、95℃のウォーターバスで加熱し、揮発成分を全て蒸発させた。その残渣に王水8mL(超高純度品30%HCl:6mL+超高純度品68%HNO:2mL)加え、210℃、50分間マイクロウェーブ分解装置で溶解し、超純水をさらに加えて100gにした。この液を用いてICP−MS(サーモフィッシャーサイエンティフィックス社製XシリーズII:装置名)によってブタジエン中のZn濃度を測定したところ、15.6wtppmであった。
(重合工程)
内部の直径12cm、高さ40cmの円筒形で、ジャケットと攪拌機のついたSUS304製の反応器を、底部に入り口、頂部を出口として直列で2基連結して、1基目を重合反応器、2基目を変成反応器とした。
Mg添加ブタジエンを7.5g/min、スチレンを3.75g/min、n−ヘキサンを60g/minの条件で混合し、1基目の重合反応器に入れる直前にn−ブチルリチウムを0.03mmol/minで混合し、スタティックミキサーで混合した後に1基目の重合反応器底部から反応器内に連続供給した。さらに、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを9.3mg/minと、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.15mmol/minとを1基目の重合反応器底部から反応器内に供給し、反応器出口の内温が110℃になるように調整して、重合反応を継続した。
2基目の変成反応器出口の内温が107℃になるように調整し、変性剤として1,4−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ピペラジンを0.018mmol/minの速度で2基目の変成反応器の底部から反応器内に添加し、変性(カップリング)反応を実施した。
2基目の変成反応器の頂部から取り出した重合体溶液に酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン:BHT)をポリマー100gあたり0.2gとなるように、0.03g/min(n−ヘキサン溶液)で連続添加し、変性を終了させた。その後、溶媒を除去し、変性スチレン−ブタジエン共重合体を得た。
さらに、この変性スチレン−ブタジエン共重合体溶液にS−RAEオイル(JX日鉱石日石エネルギー(株)製、NC−140)を重合体100質量部あたり37.5質量部添加した後に、ドラムドライヤーで溶媒を除去して実施例1の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体とした。
(分子量測定)
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により、実施例1の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。さらに、この重量平均分子量と数平均分子量の比から分子量分布(Mw/Mn)を求めた。溶離剤にはテトラヒドロフランを用いた。カラムは、ガードカラム(東ソー製TSKguradcolumn HHR−H)と3本のカラム(東ソー製TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHR)とを連結して使用した。
オーブンの温度を40℃とし、テトラヒドロフランの流量を1.0mL/minとした条件で、東ソー製 HLC8020のRI検出器を用いて分子量の測定を行った。実施例1の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体10mgをテトラヒドロフラン20mLに溶かし、この溶液を200μL装置に注入して測定した。
分子量測定の結果、得られた油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量Mwは193,000、数平均分子量Mnは101,000であり、Mw/Mnは1.91であった。
(実施例2)
亜鉛添加水にZnを0.01mol%溶解させたものを用い、亜鉛添加工程における液化ブタジエンの供給速度を1000g/hrとし、Zn添加水の供給速度を100g/hrとし、最上部5aから水を僅かに含んだZn添加ブタジエンを1000g/hrで抜き、管底部5bから水と余剰のZnを含んだ液を100g/hrで抜いたこと以外は、実施例1と同じ条件で亜鉛添加工程を行って、実施例2の亜鉛添加ブタジエンを得た。また、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.15mmol/min添加したこと以外は、実施例1と同じ条件で重合工程を行い、実施例2の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体を得た。実施例2の亜鉛添加ブタジエンを分析した結果、ブタジエンのZn濃度は20.1wtppbであった。また、実施例3の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量Mwは131,000、数平均分子量Mnは68,000であり、Mw/Mnは1.93であった。
(実施例3)
亜鉛添加水にZnを1mol%溶解させたものを用い、亜鉛添加工程における液化ブタジエンの供給速度を10g/hrとし、Zn添加水の供給速度を90g/hrとし、最上部5aから水を僅かに含んだ含水Zn添加ブタジエンを10g/hrで抜き、管底部5bから水と余剰のZnを含んだ液を90g/hrで抜いたこと以外は、実施例1と同じ条件で亜鉛添加工程を行って、実施例3の亜鉛添加ブタジエンを得た。また、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.05mmol/min添加したこと以外は実施例1と同じ条件で重合工程を行い、実施例3の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体を得た。実施例3の亜鉛添加ブタジエンを分析した結果、ブタジエンのZn添加量は807wtppmであった。また実施例3の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量Mwは195,000、数平均分子量Mnは102,000であり、Mw/Mnは1.91であった。
(比較例1)
亜鉛を添加していないブタジエンを用いて、実施例1と同じ条件で重合工程を行い、比較例1の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体を得た。原料ブタジエンを分析した結果、原料ブタジエン中の亜鉛は検出されなかった。また、比較例1の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量Mwは149,000、数平均分子量Mnは37,000であり、Mw/Mnは4.03であった。
(比較例2)
日立ハイテクノロジー社製の電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)「SU−70」(商品名)により200個以上の粒子を撮影し、得られたSEM像を用いて粒子径を測定した粒子径が200nm以下になるように、十分粉砕した酸化亜鉛をn−ヘキサンに混ぜ、濃度22.4wtppmになるように調整した。添加した酸化亜鉛が沈降しないように500rpmで攪拌しながら保持した。亜鉛を添加していないブタジエンと、前述の酸化亜鉛添加n−ヘキサンを用いたこと以外は実施例1と同じ条件で重合工程を行い、比較例2の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体を得た。原料ブタジエンを分析した結果、原料ブタジエン中の亜鉛はいずれも検出されなかった。また、比較例2の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量Mwは141,000、数平均分子量Mnは28,000であり、Mw/Mnは5.04であった。これにより、重合反応直前に亜鉛(酸化亜鉛添加n−ヘキサン)を系内に添加しても、分子量分布を狭くする効果はないことがわかった。
(比較例3)
亜鉛添加水にZnを5mol%溶解させたものを用い、亜鉛添加工程における液化ブタジエンの供給速度を0.5g/hrとし、Zn添加水の供給速度を99.5g/hrとし、最上部5aから水を僅かに含んだ含水Zn添加ブタジエンを0.5g/hrで抜き、管底部5bから水と余剰のZnを含んだ液を99.5g/hrで抜いたこと以外は、実施例1と同じ条件で亜鉛添加工程を行って、比較例3の亜鉛添加ブタジエンを得た。また、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.05mmol/min添加したこと以外は実施例1と同じ条件で重合工程を行い、比較例3の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体を得た。比較例3の亜鉛添加ブタジエンを分析した結果、ブタジエンのZn添加量はそれぞれ、6,832wtppmであった。また比較例3の油展変性スチレン−ブタジエン共重合体の重量平均分子量Mwは276,000、数平均分子量Mnは53,000であり、Mw/Mnは5.21であった。
本発明のブタジエンは、合成ゴムや樹脂の原料として好適に用いることができる。
1… ブタジエンタンク
2… 圧縮機
3… 熱交換器
4… 亜鉛添加溶液タンク
5… 亜鉛添加装置
5a…最上部
5b…管底部
6… 一時保管タンク
7… 溶媒排出タンク
8… 溶媒分離塔
8a…上部
8b…塔頂部
8c…塔底部
9… 排溶媒タンク
10…亜鉛添加ブタジエンタンク

Claims (4)

  1. カルボン酸亜鉛化合物を、0<x≦0.1wt%(xは亜鉛の濃度である。)含有する、ブタジエン含有組成物
  2. 前記カルボン酸亜鉛化合物が二酢酸亜鉛である、請求項1に記載のブタジエン含有組成物。
  3. カルボン酸亜鉛化合物を含む溶液と、液化ブタジエンとを接触させる接触工程と、
    前記溶液と、前記カルボン酸亜鉛化合物を含有するブタジエン含有組成物とを分離する分離工程と、を有する、ブタジエン含有組成物の製造方法。
  4. 前記溶液が水溶液である、請求項に記載のブタジエン含有組成物の製造方法。
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