JP6051094B2 - 遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
かかるカラーフィルタの製造方法の一つとして、ブラックマトリクスを隔壁として、カラーフィルタの着色層をインクジェット方式で形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献1)。
またカラーフィルタに限らず各種表示装置において、各画素間の境界上にブラックマトリクスを設けることによって画像のコントラスト向上を図ることもある。
ピンホール等が発生しない、高品質なブラックマトリクスを製造するためには、感光性基材や有機溶剤中の不純物、異物等を除去する必要がある。
本発明の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法は、質量平均分子量が10000〜50000の重合体である界面活性剤成分(H)を2.5〜10質量%に希釈した後、ろ過し、ろ過後の該界面活性剤成分(H)と、感光性基材成分(A)と、顔料成分(G)と、有機溶剤成分(S)とを分散させることを特徴とする。
本発明における、感光性基材組成物に含有される(H)成分は、たとえば、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基(但し、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、ウレタン結合で中断されていてもよい。)と親媒性基とを側鎖に有する重合体であることが好ましい。
また、上記式(h2)中、pは、1〜50の整数を示す。
また、感光性基材組成物をスピン塗布する場合、感光性基材組成物を基板に滴下し、基板を回転させて塗布することになる。従来の低分子量の界面活性剤を使用した場合、ストリエーションを消すことは可能であるが、基板の端部に感光性基材組成物の液たまりが発生するため、最終的に端部に感光性基材組成物の盛り上がった部分が形成されてしまう。つまり、塗布均一性・平坦性の悪いものとなってしまう。これに対して、本発明における感光性基材組成物では、質量平均分子量が10000以上の界面活性剤を使用しているため、スピン塗布においても端部の盛り上がりを解消することができる。特に、感光性基材組成物における固形分濃度が30質量%以上である場合に、端部の盛り上がりの解消に大きな効果がある。
さらに、スリットコーターにより塗布する場合には、一般に感光性基材組成物の固形分濃度を低くする傾向にある。感光性基材組成物の固形分濃度を低くする場合には、感光性基材組成物の流動性が大きくなるため、塗布した感光性基材組成物の膜厚が不均一になりやすい。また、塗布した感光性基材組成物を乾燥させる工程があるが、一旦塗布した感光性基材組成物に生じる表面張力、温度、乾燥時の濃度変化等の影響により、乾燥工程時に基板の端部から中央部へと液戻りが起こり、膜厚の均一性がより悪くなりやすくなっている。特に大型基板を用いた場合には、膜厚の均一性に影響が大きかった。これに対して、本発明に係る感光性基材組成物では、質量平均分子量が10000以上の界面活性剤を使用しているため、膜厚均一性を改善することができる。
本発明の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法に用いる(A)成分は、特に限定されず、従来公知となっているものを用いることができる。例えば、アルカリ可溶性基材(A1)(以下、(A1)成分という。)と、光重合性化合物(A2)(以下、(A2)成分という。)と、光重合開始剤(A3)(以下、(A3)成分という。)とを含むものであり、紫外線等の光を照射することにより、硬化するものが挙げられる。光を照射した部分を硬化させることにより、所望の形状のパターンを得ることができる。
本発明において、(A1)成分は、下記アルカリ可溶性基材(A1−1)(以下、(A1−1)成分という。)または下記光硬化性を有するアルカリ可溶性基材(A1−2)(以下、(A1−2)成分という。)が適用できる。
(A1−1)成分としては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシ基を有するモノマーから選ばれる1種以上と、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、N−ブチルアクリレート、N−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシアクリレート、フェノキシメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリルなどから選ばれる1種以上との共重合体や;
フェノールノボラック型エポキシアクリレート重合体、フェノールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート重合体、クレゾールノボラック型エポキシメタクリレート重合体、ビスフェノールA型エポキシアクリレート重合体、ビスフェノールS型エポキシアクリレート重合体などの基材が挙げられる。
これらの基材はアクリロイル基またはメタクリロイル基が導入されていることから架橋効率が高められ塗膜の耐光性、耐薬品性が優れている。
前記(A1−1)成分を構成するモノマー成分のうち、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシ基を有するモノマー成分の含有量が5〜40質量%の範囲であることが好ましい。
(A1−2)成分としては、下記一般式(1)で示される重合体が挙げられる。該一般式(1)で示される化合物は、それ自体が光重合性(光硬化性)を有するので、これを含有する遮光膜形成用感光性基材では、紫外線の透過率を高めることにより、一層感度を向上させることをできる。
また、前記Zを誘導するテトラカルボン酸二無水物(2個のカルボン酸無水物基を除く前のテトラカルボン酸二無水物)の具体例としては、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
本発明における(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定するものではないが、1000〜1000000が好ましく、3000〜50000がより好ましく、5000〜15000が最も好ましい。この範囲の上限よりも小さいと、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限よりも大きいとレジストパターン断面形状が良好である。
本発明における(A2)成分としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(A2)成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお本発明において、光重合性を有するアルカリ可溶性の重合体は上記(A1)成分に含まれ、光重合性を有する単量体は(A2)成分に含まれるものとする。
(A2)成分の配合量を上記範囲の下限値以上とすることにより、露光時の硬化不良が生じ難く、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができる。また良好な被膜形成能を得、現像後の膜残りを防止するうえで、上記範囲の上限値以下とすることが好ましい。
本発明における(A3)成分としては、特に限定されず、これまで感光性組成物用の光重合開始剤として提案されているものを使用することができる。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)−イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジンなどを挙げることができる。
本発明の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法において、上記(A3)成分の配合量は、(A1)成分100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲が好ましい。
本発明の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法において、塗布性の改善、粘度調整のため、(A)成分を(S)成分に溶解させる。
(S)成分としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチルなどが挙げられる。中でも3−メトキシブチルアセテートは遮光層形成用感光性基材組成物中の可溶成分に対して優れた溶解性を示すのみならず、顔料などの不溶性成分の分散性を良好にするところから好適である。
本発明では(G)成分として、カーボンブラック等の黒色顔料を用いることができる。また、黒、赤、青、緑、黄、紫の色素を併用して、色調等を調整したものも用いることができる。色素は公知のものを適宜用いることができる。
特に、顔料として、カーボンブラックと他の色素を併用して用いた場合、カーボンブラックが全顔料中の15質量%未満であると、上記遮光層形成用感光性基材組成物の感度を低下させることなく、遮光率を向上させることができる。
また、遮光層形成用感光性基材組成物中においてペリレン系顔料を分散状態にするためには、ペリレン系顔料の平均粒径が10〜1000nmであることが好ましい。
本発明の遮光層形成用感光性基材組成物におけるペリレン系顔料の含有量は、(A1)成分100質量部に対して、5〜250質量部が好ましい。より好ましい範囲は10〜200質量部である。ペリレン系顔料の含有量を上記範囲の下限値以上とすることにより、良好な遮光性が得られる。また上記範囲の上限値以下とすることが露光不良や硬化不良を防止するうえで好ましい。
上記の下限値以上とすることにより、上記遮光層形成用感光性基材組成物を用いて2μm超の厚膜を形成する際の感度を得ることができるとともに、遮光膜の良好な遮光率を達成することができる。
上記熱重合禁止剤としては、従来公知のものであってよく、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエチルエーテル等が挙げられる。
上記消泡剤としては、従来公知のものであってよく、シリコーン系、フッ素系化合物が挙げられる。
以下、遮光層形成用感光性基材組成物を用いて遮光層を形成する方法の一実施形態として、ブラックマトリクスを形成する方法の例を説明する。
まず遮光層形成用感光性基材組成物を、基板上にロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコータ等の非接触型塗布装置を用いて塗布する。基板は、光透過性を有する基板が用いられ、例えば厚さ0.5〜1.1mmのガラス基板である。
ガラス基板と遮光層形成用感光性基材組成物との密着性を向上させるために、予めガラス基板上にシランカップリング剤を塗布しておいてもよい。あるいは遮光層形成用感光性基材組成物の調製時にシランカップリング剤を添加しておいてもよい。
上記塗布後、乾燥させて溶剤を除去する。乾燥方法は特に限定されず、例えば(1)ホットプレートにて80℃〜120℃、好ましくは90℃〜100℃の温度にて60秒〜120秒間乾燥する方法、(2)室温にて数時間〜数日放置する方法、(3)温風ヒーターや赤外線ヒーター中に数十分〜数時間入れて溶剤を除去する方法、のいずれでもよい。
次いで、ネガ型のマスクを介して、紫外線、エキシマレーザー光等の活性性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、遮光層形成用感光性基材組成物の組成によっても異なるが、例えば30〜2000mJ/cm2程度が好ましい。
露光後の膜を、現像液を用いて現像することによってブラックマトリクスパターンを形成する。現像方法は特に限定されず、例えば浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
これは、遮光性色素としてペリレン系顔料を用いることにより、基材組成物が露光光を透過し、かつ可視光を遮光するという特性を実現できるものと考えられる。
また本発明の遮光層形成用感光性基材組成物を用いて形成される、膜厚が一定の遮光層は、2枚の基板間に液晶が収容された構成を有する液晶ディスプレイにおいて、2枚の基板間の間隔を一定に保つために、該2枚の基板間に挟まれた状態で設けられるスペーサーを兼ねることができる。このようなスペーサー機能を有する遮光層の膜厚は、特に限定されるものではないが、2μm超であることが好ましい。
さらに、スペーサーが遮光性を有するので、スペーサー部分が常に光透過状態にあることによる「白抜け」を防止することができる。
本発明によれば、ブラックマトリクスを厚膜に形成することができる。したがって、本発明の遮光層形成用感光性基材組成物は、特に、予め形成したブラックマトリクスの開口部内にインクジェット方式で着色層を形成してカラーフィルタを形成する方法におけるブラックマトリクスの形成に好適である。該方法におけるブラックマトリクスは、いわゆる隔壁(バンク)としての役割を果たす。
本発明において、インクジェット方式における隔壁(バンク)として用いられるブラックマトリクスの膜厚は、特に限定されるものではないが、2μm超であることが好ましい。
そして、隔壁(バンク)としてのブラックマトリクスを形成した後、該ブラックマトリクスの開口部内にインクジェット方式で着色インクを塗布する工程と、該着色インクを硬化させる工程とを繰り返して着色層を形成し、さらに必要に応じて透明保護膜を形成することによりカラーフィルタを製造することができる。インクジェット方式により着色層を形成する方法は、公知の手法を用いることができる。
またブラックマトリクスが薄い(隔壁が低い)場合に比べて、低粘度の着色インクを使用することができる。
また、従来どおりホトリソグラフ法によってもカラーフィルタを形成することができる。
[(A)アルカリ可溶性樹脂の合成]
先ず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90〜100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまで12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式(a4)で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
下記の表1に示すとおり、(A)アルカリ可溶性樹脂、(E)光重合性モノマー、(H)界面活性剤、及び(D)着色剤に、(S)溶剤を加えて固形分濃度を15質量%又は17質量%に調整し、撹拌機で2時間混合し、遮光層形成用感光性基材組成物を調製した。なお、表1中の各成分の配合量は「質量部」である。
(A)−1:樹脂(A−1)に3−メトキシブチルアセテートを加え、固形分濃度50質量%に調整した調製液
(E)−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(B)−1:IRGACURE OXE 02(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(B)−2:IRGACURE 369(チバスペシャルティケミカルズ社製)
(D)−1:カーボンブラック(御国色素社製、カーボン濃度:55%、溶剤:3−メトキシブチルアセテート)
(S)−1:3−メトキシブチルアセテート/シクロヘキサノン/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート=60/20/20(質量比)
上記で得られた参考例1〜6、比較例1〜4の遮光層形成用感光性基材組成物を、スピンコーター(MIKASA社製)を用いて、100mm×100mmのガラス基板(1737ガラス)上にそれぞれ塗布した後、ホットプレート上に設置した5mm幅のガラス片の上に載せ、90℃で120秒間プリベークした。その際のムラ幅を表面粗さ測定機サーフコーダSE−2300((株)小坂研究所製)を用いて測定した。その結果を表1に併記する。
なお、ムラ幅とは、図1に示す箇所を測定しムラ幅(nm)としている。ガラス基板に対して熱が伝わるのがガラス片からのみになるため、加熱された場所から対流が起きて遮光性樹脂組成物を弾くようになり、この弾きがビードとなる。この弾きが少ないほど、つまり、膜厚が極端に薄くなった部分が少ないほど、塗布均一性・平坦性が良好なものとなる。
参考例1の組成物の調整時に、(H)成分((H)-2)を、原液(40質量%)から濃度が10質量%となるように3−メトキシブチルアセテートで希釈した後、孔径が0.05μmのPTFE膜(PALL社製)にてろ過した以外は、参考例1と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。
得られた遮光層形成用感光性基材組成物を厚さ1mmの清浄な表面を有するガラス基板上にスピンコーター(TR25000:東京応化工業社製)を用いて乾燥膜厚が1.2μmとなるように塗布し、90℃で2分間乾燥して遮光層形成用感光性基材組成物の膜(感光層)を形成した。
次いで、露光機(EXM−1066−E01:オーク社製)にて露光した。露光後、水酸化カリウム0.04%現像液にてスプレー方式により60秒間現像した。さらに200℃で30分間のポストベークを行って、膜厚1.0μmである20μmのマトリクスパターン、ドットパターン、孤立パターンのブラックマトリックスを形成した。
得られたブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールは認められず、良好なブラックマトリクスを得ることができた。
(H)成分をろ過しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールが数十個確認された。
(比較例6)
(H)成分の希釈及びろ過を行わないこと以外は、実施例1と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。ただし遮光層形成用感光性基材組成物に対する(H)成分の最終濃度が実施例1と同じく10質量%となるように溶媒を別途加えた。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールが数十個確認された。
組成物を参考例2の組成物に変更した以外は、実施例1と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。
得られたブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールは認められず、良好なブラックマトリクスを得ることができた。
(H)成分をろ過しなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例2と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールが数十個確認された。
(H)成分の希釈及びろ過を行わないこと以外は、実施例2と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。ただし遮光層形成用感光性基材組成物に対する(H)成分の最終濃度が実施例2と同じく10質量%となるように溶媒を別途加えた。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例2と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールが数十個確認された。
組成物を参考例6の組成物に変更した以外は、実施例1と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例1と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。
得られたブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールは認められず、良好なブラックマトリクスを得ることができた。
(H)成分をろ過しなかったこと以外は、実施例3と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例3と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールが数十個確認された。
(H)成分の希釈及びろ過を行わないこと以外は、実施例3と同様の方法で遮光層形成用感光性基材組成物を得た。ただし遮光層形成用感光性基材組成物に対する(H)成分の最終濃度が実施例3と同じく10質量%となるように溶媒を別途加えた。更に、得られた遮光層形成用感光性基材組成物を用いて、実施例3と同様の方法で、感光層、ブラックマトリックスを形成した。ブラックマトリクスのピンホールの有無を目視で確認したところ、ピンホールが数十個確認された。
Claims (5)
- 質量平均分子量が10000〜50000の重合体である界面活性剤成分(H)を2.5〜10質量%に希釈した後、ろ過し、
ろ過後の該界面活性剤成分(H)と、感光性基材成分(A)と、顔料成分(G)と、有機溶剤成分(S)とを分散させることを特徴とする遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法。 - 前記ろ過は、孔径が1μm以下のPTFE膜にてろ過する請求項1に記載の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法。
- 前記感光性基材成分(A)が、アルカリ可溶性基材(A1)を含有する請求項1又は2に記載の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法。
- 前記感光性基材成分(A)が、光重合性化合物(A2)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法。
- 前記感光性基材成分(A)が、光重合開始剤(A3)を含有する請求項4に記載の遮光層形成用感光性基材組成物の製造方法。
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