以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態は、調湿空間(S)を除湿する除湿システム(10)に関するものである。本実施形態では、湿度調整の対象となる調湿空間(S)は、低露点空気が求められるリチウム電池の製造ラインに設けられるドライクリーンルームであり、除湿システム(10)は、室外空気(OA)を除湿して低露点の空気とし、この空気を給気(SA)として調湿空間(S)へ供給するように構成されている。
図1に示すように、除湿システム(10)は、室外と調湿空間(S)とを接続する給気通路(40)と、該給気通路(40)の中途部と室外とを接続する再生用空気通路(50)と、調湿空間(S)の空気を給気通路(40)へ返送する還気通路(58)とを備えている。給気通路(40)には、第1除湿ユニット(60)と第2除湿ユニット(20)と第3除湿ユニット(30)が、室外空気の入口側から順に配置されている。3つの除湿ユニット(60,20,30)の詳細な構成については後述するが、第1除湿ユニット(60)は、後述する第1冷媒回路(70a)(図3参照)に接続された外気冷却熱交換器(61)を有して冷却除湿を行う。また、第2除湿ユニット(20)は、後述する第2冷媒回路(20a)(図4参照)に接続された2つの吸着熱交換器(22,24)を有して吸着除湿を行う。さらに、第3除湿ユニット(30)は、吸着ロータ(31)を有して乾式除湿を行う。
給気通路(40)は、流入端が室外に開口する一方、流出端が調湿空間(S)において開口している。給気通路(40)には、第1除湿ユニット(60)の外気冷却熱交換器(61)と、第2除湿ユニット(20)の除湿側吸着熱交換器と、給気ファン(63)と、第3除湿ユニット(30)の吸着ロータ(31)の第1吸着部(32)と、再熱熱交換器(64)とが、流入端から流出端に向かって順に設けられている。給気通路(40)は、室外空気(OA)を取り込み、第1除湿ユニット(60)、第2除湿ユニット(20)及び第3除湿ユニット(30)において除湿し、再熱熱交換器(64)で所望の温度に調節した後、給気(SA)として調湿空間(S)へ供給する。
再生用空気通路(50)は、流入端が給気通路(40)の第2除湿ユニット(20)の除湿側吸着熱交換器と第3除湿ユニット(30)の吸着ロータ(31)との間であって給気ファン(63)の上流側に接続される一方、流出端が室外において開口している。再生用空気通路(50)には、第3除湿ユニット(30)の吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)、再生熱交換器(放熱器)(65)、第3除湿ユニット(30)の吸着ロータ(31)の再生部(34)、熱回収熱交換器(吸熱器)(68)、第2除湿ユニット(20)の再生側熱交換器及び排気ファン(66)が、流入端から流出端に向かって順に設けられている。再生用空気通路(50)は、給気通路(40)の一部の空気を取り込み、水分を吸着した第3除湿ユニット(30)の吸着ロータ(31)及び第2除湿ユニット(20)の再生側熱交換器を再生させて排気(EA)として室外へ排出する。
再生用空気通路(50)の熱回収熱交換器(68)と第2除湿ユニット(20)の再生側熱交換器との間には、流入端が給気通路(40)の第1除湿ユニット(60)と第2除湿ユニット(20)との間に接続された空気通路(51)の流出端が接続されている。該空気通路(51)により、第1除湿ユニット(60)通過後の給気の一部が再生用空気通路(50)に導かれる。
還気通路(58)は、流入端が調湿空間(S)に連通する還気口に接続され、流出端が給気通路(40)の第2除湿ユニット(20)と給気ファン(63)との間に接続されている。また、還気通路(58)の流出端は、再生用空気通路(50)の流入端よりも上流側に位置している。還気通路(58)には、調湿空間(S)の空気を給気通路(40)へ送り出す還気ファン(59)と、後述する第1冷媒回路(70a)(図3参照)に接続され、蒸発器として機能して調湿空間(S)からの空気を冷却する還気冷却熱交換器(67)とが設けられている。
第1除湿ユニット(60)は、室外空気(給気)を冷却して除湿する外気冷却熱交換器(61)と、外気冷却熱交換器(61)で凝縮した水を回収するドレンパン(62)とを備えている。外気冷却熱交換器(61)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、後述する第1冷媒回路(70a)に接続され、蒸発器として機能して給気を冷却除湿する。外気冷却熱交換器(61)の近傍には、ドレンパン(62)が設けられている。ドレンパン(62)は、例えば、外気冷却熱交換器(61)の下方に設けられて上面が開口する容器によって構成され、外気冷却熱交換器(61)において凝縮した水を受け止める。
第2除湿ユニット(20)は、第1吸着熱交換器(22)と、第2吸着熱交換器(24)と、第1流路切換部(26)と、第2流路切換部(27)とを備えている。第1及び第2吸着熱交換器(22,24)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器の表面に高分子収着剤やB型シリカゲル等の吸着剤を担持させることによって形成されている。第1及び第2吸着熱交換器(22,24)は、図示しないケーシング内の別個の収容室にそれぞれ収容されている。第1及び第2流路切換部(26,27)は、開閉式の複数のダンパによって構成されている。第1及び第2流路切換部(26,27)は、後述する四方切換弁(25)が第1状態の際には第1流通状態(図1の実線で示す状態)となり、四方切換弁(25)が第2状態の際には、第2流通状態(図2の実線で示す状態)となるように構成されている。第1流通状態では、第1流路切換部(26)及び第2流路切換部(27)が、共に、給気通路(40)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(50)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させる。一方、第2流通状態では、第1流路切換部(26)及び第2流路切換部(27)が、共に、給気通路(40)と第1吸着熱交換器(22)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(50)と第2吸着熱交換器(24)の収容室(図示省略)とを連通させる。
第3除湿ユニット(30)は、吸着ロータ(31)と再生熱交換器(65)とを有している。吸着ロータ(31)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤が担持されることにより構成されている。吸着ロータ(31)は、給気通路(40)と再生用空気通路(50)とに跨って配置されている。また、吸着ロータ(31)は、再生用空気通路(50)の再生熱交換器(65)の上流側と下流側とのそれぞれに設けられている。吸着ロータ(31)は、駆動機構(図示省略)によって駆動されて、給気通路(40)と再生用空気通路(50)の間の軸心を中心として回転するように構成されている。
吸着ロータ(31)は、給気通路(40)に露出する第1吸着部(32)と、再生用空気通路(50)の再生熱交換器(65)の上流側に露出する第2吸着部(33)と、再生用空気通路(50)の再生熱交換器(65)の下流側に露出する再生部(34)とを有し、これらの吸着ロータ(31)における位置は、該吸着ロータ(31)の回転に伴って移動する。第1吸着部(32)と第2吸着部(33)とでは、空気中の水分が吸着され、再生部(34)では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。吸着ロータ(31)は、第1吸着部(32)であった領域が再生部(34)となり、再生部(34)であった領域が第2吸着部(33)となり、第2吸着部(33)であった領域が第1吸着部(32)となるように回転する。
再生熱交換器(65)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、後述する第3冷媒回路(50a)に接続され、凝縮器として機能して再生用空気通路(50)の吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)で除湿された空気を加熱する。
熱回収熱交換器(68)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、後述する第3冷媒回路(50a)に接続され、蒸発器として機能して再生用空気通路(50)の吸着ロータ(31)の再生部(34)を通過後の再生用空気から熱媒体である冷媒に熱を回収する。
再熱熱交換器(64)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、後述する第1冷媒回路(70a)に接続され、凝縮器として機能して給気通路(40)の第1〜第3除湿ユニット(60,20,30)において除湿された給気を加熱して所望の温度に調節する。
ところで、上記吸着ロータ(31)と上記第2除湿ユニット(20)の第1及び第2吸着熱交換器(22,24)とには、異なる性質の吸着剤が用いられている。具体的には、前段側に位置する第1及び第2吸着熱交換器(22,24)には、高い水蒸気分圧(相対湿度)で吸着剤を操作するため、高分子収着剤やB型シリカゲルのような吸着剤が用いられる一方、高段側に位置する吸着ロータ(31)には、低い水蒸気分圧(相対湿度)で吸着剤を操作するため、A型シリカゲルやゼオライトのような吸着剤が用いられている。つまり、第1及び第2吸着熱交換器(22,24)では、相対湿度が比較的高いときに含水率が大きく、かつ空気の相対湿度が高くなるほど相対湿度の単位増加量当たりの吸着量が大きくなる吸着等温線を有する吸着剤が選定され、吸着ロータ(31)では、相対湿度が比較的低いときに含水率が大きく、かつ空気の相対湿度が低くなるほど相対湿度の単位増加量当たりの吸着量が大きくなる吸着等温線を有する吸着剤が選定されている。
このような構成により、本実施形態では、第1〜第3除湿ユニット(60,20,30)は、それぞれ除湿の好適な温度範囲が異なるように構成されている。具体的には、第1除湿ユニット(60)の外気冷却熱交換器(61)による冷却除湿は露点が約8℃以上の温度範囲で、第2除湿ユニット(20)の吸着熱交換器(22,24)による吸着除湿は露点が約10℃〜−20℃の温度範囲で、第3除湿ユニット(30)の吸着ロータ(31)による乾式除湿は露点が約−20℃〜−80℃の温度範囲で用いるのに適するように構成されている。
〈第1冷媒回路〉
本除湿システム(10)は、第1冷媒回路(70a)を備えている。図3に示すように、上記外気冷却熱交換器(61)と再熱熱交換器(64)と還気冷却熱交換器(67)とは、第1冷媒回路(70a)に接続されている。第1冷媒回路(70a)は、1つの閉回路を冷媒が循環する一元冷凍サイクル式の冷媒回路である。
第1冷媒回路(70a)には、圧縮機(80)が接続されている。圧縮機(80)は、ロータリー式、スイング式、スクロール式等の回転式流体機械である。圧縮機(80)は、インバータ回路によって運転周波数が調節される可変容量式に構成されている。
圧縮機(80)の吐出側は、第1吐出ライン(71)と第2吐出ライン(72)とに分岐している。第1吐出ライン(71)には、上流側から下流側に向かって順に、上記再熱熱交換器(64)、及び第1膨張弁(82)が接続されている。第2吐出ライン(72)には、上流側から下流側に向かって順に、凝縮圧力調整熱交換器(83)と第2膨張弁(84)とが接続されている。凝縮圧力調整熱交換器(83)の近傍には、室外空気を送風する第1室外ファン(85)が設けられている。
圧縮機(80)の吸入側は、第1吸入ライン(73)と第2吸入ライン(74)とに分岐している。第1吸入ライン(73)には、上流側から下流側に向かって順に、上記外気冷却熱交換器(61)、逆止弁(86)、還気冷却熱交換器(67)が接続されている。また、第1吸入ライン(73)には、外気冷却熱交換器(61)及び逆止弁(86)をバイパスするバイパス管(77)が接続され、該バイパス管(77)には、電磁式の開閉弁(92)が設けられている。一方、第2吸入ライン(74)には、上流側から下流側に向かって順に、第3膨張弁(87)と蒸発圧力調整熱交換器(88)とが接続されている。蒸発圧力調整熱交換器(88)の近傍には、室外空気を送風する第2室外ファン(89)が設けられている。
各吐出ライン(71,72)の流出端と各吸入ライン(73,74)の流入端との間には、1本の合流管(75)が接続されている。合流管(75)には、気液分離器(79)が設けられている。気液分離器(79)の気相部には、インジェクション管(76)の流入端が接続している。インジェクション管(76)の流出端は、圧縮機(80)の吸入管に接続している。インジェクション管(76)には、第4膨張弁(91)が設けられている。
再熱熱交換器(64)及び凝縮圧力調整熱交換器(83)は、冷媒が空気へ放熱して凝縮する凝縮器を構成する。外気冷却熱交換器(61)、還気冷却熱交換器(67)及び蒸発圧力調整熱交換器(88)は、冷媒が空気から吸熱して蒸発する蒸発器を構成する。上述した各膨張弁(82,84,87,91)は、例えば電子膨張弁であり、冷媒の圧力を調整する減圧機構を構成している。
〈第2冷媒回路〉
本除湿システム(10)は、第2冷媒回路(20a)を備えている。図4に示すように、上記第1吸着熱交換器(22)と第2吸着熱交換器(24)とは、第2冷媒回路(20a)に接続されている。第2冷媒回路(20a)は、1つの閉回路を冷媒が循環する一元冷凍サイクル式の冷媒回路である。第2冷媒回路(20a)は、第2除湿ユニット(20)に設けられている。第2冷媒回路(20a)には、2つの吸着熱交換器(22,24)の他に、圧縮機(21)、膨張弁(23)及び四方切換弁(25)が接続されている。
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有し、第1ポートが圧縮機(21)の吐出側と、第2ポートが圧縮機(21)の吸入側と、第3ポートが第1吸着熱交換器(22)の端部と、第4ポートが第2吸着熱交換器(24)の端部とそれぞれ接続されている。四方切換弁(25)は、第1ポートと第3ポートとが連通すると共に第2ポートと第4ポートとが連通する第1状態(図4の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが連通すると共に且つ第2ポートと第3ポートとが連通する第2状態(図4の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
四方切換弁(25)が第1状態に切り換わると、第2吸着熱交換器(24)が蒸発器として機能して空気を除湿する除湿側吸着熱交換器となる一方、第1吸着熱交換器(22)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する再生側吸着熱交換器となる。一方、四方切換弁(25)が第2状態に切り換わると、第1吸着熱交換器(22)が蒸発器として機能して空気を除湿する除湿側吸着熱交換器となる一方、第2吸着熱交換器(24)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する再生側吸着熱交換器となる。つまり、四方切換弁(25)は、第2冷媒回路(20a)に設けられた2つの吸着熱交換器(22,24)が、除湿側吸着熱交換器と再生側吸着熱交換器とに交互に切り換わるように第2冷媒回路(20a)における冷媒循環方向を切り換える切換機構を構成する。
〈第3冷媒回路〉
本除湿システム(10)は、第3冷媒回路(50a)を備えている。図5に示すように、上記再生熱交換器(65)及び熱回収熱交換器(68)は、第3冷媒回路(50a)に接続されている。第3冷媒回路(50a)は、1つの閉回路を冷媒が循環する一元冷凍サイクル式の冷媒回路であり、再生熱交換器(65)が凝縮器となる一方、熱回収熱交換器(68)が蒸発器となるように冷媒が循環する。第3冷媒回路(50a)には、再生熱交換器(65)及び熱回収熱交換器(68)の他に、圧縮機(53)及び膨張弁(54)が接続されている。
〈センサ、コントローラ〉
除湿システム(10)には、各種センサと、該各種センサからの検出値に基づいて各種制御を行うコントローラ(100)とが設けられている。
図1に示すように、給気通路(40)には、空気の温度を検出する第1〜第3空気温度センサ(11〜13)と湿度センサ(14)とが設けられている。第1空気温度センサ(11)は、外気冷却熱交換器(61)の下流側に設けられて外気冷却熱交換器(61)を通過した空気の温度を検出する。第2空気温度センサ(12)及び湿度センサ(14)は、第2除湿ユニット(20)の第2流路切換部(27)の下流側に設けられ、2つの吸着熱交換器(22,24)のうちの蒸発器として機能する除湿側吸着熱交換器を通過した空気の温度と相対湿度とをそれぞれ検出する。第3空気温度センサ(13)は、再熱熱交換器(64)の下流側に設けられ、再熱熱交換器(64)を通過した空気の温度を検出する。
再生用空気通路(50)には、空気の温度を検出する第4空気温度センサ(18)が設けられている。第4空気温度センサ(18)は、再生用空気通路(50)の再生熱交換器(65)の下流側に設けられて再生熱交換器(65)を通過した空気の温度を検出する。
還気通路(58)には、空気の温度を検出する第5空気温度センサ(19)が設けられている。第5空気温度センサ(19)は、還気通路(58)の還気冷却熱交換器(67)の下流側に設けられ、還気冷却熱交換器(67)を通過した空気の温度を検出する。
図3に示すように、第1冷媒回路(70a)には、該第1冷媒回路(70a)の高圧圧力(凝縮圧力)を検出する高圧圧力センサ(95)と、低圧圧力(蒸発圧力)を検出する低圧圧力センサ(96)とが設けられている。
コントローラ(100)は、上述した各種のセンサの検出値や、ユーザーによって入力される各種の設定値に基づいて、第1乃至第3冷媒回路(70a,20a,50a)における圧縮機(80,21,71)の運転周波数、各膨張弁(23,54,82,84,87,91)の開度、各ファン(63,66)及び各室外ファン(85,89)の送風量等を制御する。
−運転動作−
除湿システム(10)の運転動作について説明する。
〈第1冷媒回路における動作〉
除湿システム(10)の運転時には、第1冷媒回路(70a)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。このとき、第1膨張弁(82)及び第4膨張弁(91)の開度は適宜調節され、第2膨張弁(84)と第3膨張弁(87)とが全閉状態となる。また、第1室外ファン(85)と第2室外ファン(89)とが停止状態となる。
圧縮機(80)で圧縮された冷媒は、第1吐出ライン(71)に送られ、再熱熱交換器(64)を流れる。再熱熱交換器(64)では、冷媒が空気へ放熱して凝縮する。再熱熱交換器(64)で凝縮した冷媒は、第1膨張弁(82)で低圧まで減圧されて気液分離器(79)を通過し、第1吸入ライン(73)に送られる。なお、第1膨張弁(82)の開度は、圧縮機(80)の吸入側の冷媒の過熱度によって制御される。
第1吸入ライン(73)に送られた冷媒は、外気冷却熱交換器(61)を流れる。外気冷却熱交換器(61)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。外気冷却熱交換器(61)で蒸発した冷媒は、逆止弁(86)を通過して還気冷却熱交換器(67)を流れる。還気冷却熱交換器(67)では、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。還気冷却熱交換器(67)で蒸発した冷媒は、圧縮機(80)に吸入されて圧縮される。
第1冷媒回路(70a)では、除湿システム(10)の運転条件に応じて、以下のような制御動作が適宜実行される。
除湿システム(10)の運転時には、コントローラ(100)において、凝縮器(即ち、再熱熱交換器(64))の必要能力Qcと、蒸発器側(即ち、外気冷却熱交換器(61)及び還気冷却熱交換器(67)側)の必要能力Qeとが、第1空気温度センサ(11)と第3空気温度センサ(13)と第5空気温度センサ(19)との検出温度に基づいて算出される。
凝縮器側の必要能力Qcが、蒸発器側の必要能力Qeよりも大きい場合、高圧圧力センサ(95)で検出された凝縮圧力が、必要能力Qcに基づいて決定される目標凝縮圧力に到達するように、圧縮機(80)の運転周波数が調節される。これにより、凝縮圧力を速やかに目標凝縮圧力に到達させて、必要能力Qcを確保できる。
一方、凝縮圧力が目標値に至るように圧縮機(80)を制御した場合、蒸発圧力が目標蒸発圧力を上回り、蒸発器側の必要能力Qeが不足してしまうことがある。そこで、このような場合には、第2膨張弁(84)を所定の開度で開放させる。第2膨張弁(84)が開かれると、圧縮機(80)の吐出側の冷媒は、第1吐出ライン(71)と第2吐出ライン(72)との双方を流れ、凝縮圧力調整熱交換器(83)においても冷媒が凝縮する。すると、圧縮機(80)は、凝縮圧力を目標凝縮圧力に維持するように、運転周波数が大きくなる。その結果、蒸発圧力を低下させて目標の蒸発圧力に近づけることができる。
また、蒸発器側の必要能力Qeが、凝縮器側の必要能力Qcよりも大きい場合、低圧圧力センサ(96)で検出された蒸発圧力が、必要能力Qeに基づいて決定される目標蒸発圧力に到達するように、圧縮機(80)の運転周波数が調節される。これにより、蒸発圧力を速やかに目標蒸発圧力に到達させて、必要能力Qeを確保できる。
一方、蒸発圧力が目標値に至るように圧縮機(80)を制御した場合、凝縮圧力が目標凝縮圧力を下回り、凝縮器側の必要能力Qcが不足してしまうことがある。そこで、このような場合には、第3膨張弁(87)を所定の開度で開放させる。第3膨張弁(87)が開かれると、圧縮機(80)の吸入側の冷媒は、第1吸入ライン(73)と第2吸入ライン(74)との双方を流れ、蒸発圧力調整熱交換器(88)においても冷媒が蒸発する。すると、圧縮機(80)は、蒸発圧力を目標蒸発圧力に維持するように、運転周波数が大きくなる。その結果、凝縮圧力を上昇させて目標の凝縮圧力に近づけることができる。
また、第1冷媒回路(70a)では、外気温度センサ(図示省略)で検出された室外空気(OA)の温度が、目標蒸発圧力よりも低い場合に、開閉弁(92)が開放される。これにより、冷媒を外気冷却熱交換器(61)をバイパスさせて還気冷却熱交換器(67)へ送ることができる。
〈第2冷媒回路における動作〉
除湿システム(10)の運転時には、第2冷媒回路(20a)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。具体的には、圧縮機(21)が運転され、膨張弁(23)が所定開度に制御され、四方切換弁(25)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。
四方切換弁(25)が第1状態に切り換えられると、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第1吸着熱交換器(22)を流れる。第1吸着熱交換器(22)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される再生動作が行われる。第1吸着熱交換器(22)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第2吸着熱交換器(24)を流れる。第2吸着熱交換器(24)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第2吸着熱交換器(24)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
一方、四方切換弁(25)が第2状態に切り換えられると、圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(25)を通過して、第2吸着熱交換器(24)を流れる。第2吸着熱交換器(24)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される再生動作が行われる。第2吸着熱交換器(24)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、第1吸着熱交換器(22)を流れる。第1吸着熱交換器(22)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第1吸着熱交換器(22)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。
また、上記動作において、圧縮機(21)は、コントローラ(100)により、吸着動作を行う除湿側吸着熱交換器を通過した空気の湿度が所望の湿度となるように、運転周波数が制御される。具体的には、第2空気温度センサ(12)と湿度センサ(14)とによって除湿側吸着熱交換器を通過した空気の温度T(℃)と相対湿度RH(%RH)とが検出され、コントローラ(100)に入力される。コントローラ(100)は、除湿側吸着熱交換器を通過した空気の温度Tと相対湿度RHとに基づいて、絶対湿度X(g/kg(DA))を算出する。そして、コントローラ(100)は、算出された絶対湿度Xが所望の湿度以下となるように、圧縮機(21)の運転周波数を制御する。つまり、絶対湿度Xが所望の湿度よりも高い場合には、圧縮機(21)の運転周波数を増大させる一方、絶対湿度Xが所望の湿度以下となっている場合には、圧縮機(21)の運転周波数を維持する。これにより、調湿空間(S)には、所望の絶対湿度以下の空気が供給されることとなる。
〈第3冷媒回路における動作〉
除湿システム(10)の運転時には、第3冷媒回路(50a)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。具体的には、コントローラ(100)により、圧縮機(53)が運転され、膨張弁(54)が所定開度に制御される。圧縮機(53)で圧縮された冷媒は、再生熱交換器(65)に流入して再生用空気に放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、膨張弁(54)で減圧された後、熱回収熱交換器(68)に流入して再生用空気から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(53)に吸入されて圧縮される。
また、コントローラ(100)は、再生熱交換器(65)を通過後の再生用空気の温度が所望の温度となるように圧縮機(53)の運転周波数を制御する。具体的には、コントローラ(100)は、第4空気温度センサ(18)の検出値が所望の範囲を下回る場合には、圧縮機(53)の運転周波数を増大させる一方、検出値が所望の範囲の値である場合には、圧縮機(53)の運転周波数を維持し、検出値が所望の範囲を超える場合には、圧縮機(53)の運転周波数を減少させる。
〈除湿システムの運転動作〉
次いで、除湿システム(10)の運転動作について説明する。除湿システム(10)の運転時には、第1乃至第3冷媒回路(70a,20a,50a)において上述の動作が行われる。また、各ファン(63,66)が所定の風量で駆動され、第2除湿ユニット(20)では、所定時間おきに(例えば270秒間隔で)第1動作と第2動作とが交互に行われる。
第1動作では、第2冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)が第1状態に切り換えられ、空気通路に設けられた第1及び第2流路切換部(26,27)が第1流通状態となる。これにより、第2吸着熱交換器(24)が除湿側熱交換器となって給気を除湿すると同時に、第1吸着熱交換器(22)が再生側吸着熱交換器となって吸着剤を再生する。一方、第2動作では、第2冷媒回路(20a)の四方切換弁(25)が第2状態に切り換えられ、空気通路に設けられた第1及び第2流路切換部(26,27)が第2流通状態となる。これにより、第1吸着熱交換器(22)が給気を除湿する除湿側熱交換器となり、第2吸着熱交換器(24)が再生用空気が通過して再生される再生側吸着熱交換器となる。以下、各空気通路における動作を空気の流れに沿って具体的に詳述する。
−給気通路における動作−
各ファン(63,66)が駆動されると、室外空気(OA)が給気通路(40)に流入する。この空気は、比較的高温高湿の空気である。給気通路(40)を流れる空気は、第1除湿ユニット(60)の外気冷却熱交換器(61)を通過し、該外気冷却熱交換器(61)の内部を流れる第1冷媒回路(70a)の冷媒によって冷却される。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(62)に回収される。
外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気は、第1動作中には、除湿側吸着熱交換器となっている第2吸着熱交換器(24)を通過する。第2吸着熱交換器(24)を通過する空気は、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第2吸着熱交換器(24)を通過する空気が除湿される。一方、第2動作中には、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気は、除湿側吸着熱交換器となっている第1吸着熱交換器(22)を通過する際に冷却されて除湿される。
給気通路(40)の空気中の水分が各吸着熱交換器(22,24)の吸着剤に吸着されるときに発生する吸着熱は、各吸着熱交換器(22,24)を流れる冷媒に与えられる。また、給気通路(40)を流れる空気は、冷媒による冷却作用を受けるので、除湿されて湿度が低下すると共に冷却されて温度も低下する。
第2除湿ユニット(20)で除湿された空気は、給気通路(40)を流れ、吸着ロータ(31)の第1吸着部(32)を通過する。その結果、この空気中の水分が吸着ロータ(31)の吸着剤に吸着される。吸着ロータ(31)で除湿された空気は、再熱熱交換器(64)で温度が調整された後、給気(SA)として調湿空間(S)へ供給される。
−再生用空気通路における動作−
再生用空気通路(50)には、第2除湿ユニット(20)で除湿された給気の一部が再生用空気として流入する。再生用空気通路(50)に流入した再生用空気は、まず、吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)を通過し、水分が吸着ロータ(31)の吸着剤に吸着されて除湿される。
ここで、吸着ロータ(31)の回転により、再生熱交換器(65)通過後の高温の再生用空気が通過して再生加熱される再生部(34)であった領域が第2吸着部(33)となる。そのため、再生用空気通路(50)に流入した再生用空気は、再生熱交換器(65)によって加熱される前に、吸着ロータ(31)の再生熱交換器(65)通過後の高温の再生用空気の通過によって再生加熱された領域を通過することとなる。これにより、再生用空気通路(50)に流入した再生用空気は、再生熱交換器(65)によって加熱される前に予熱されることとなる。つまり、吸着ロータ(31)の再生に用いられなかった再生用空気の排熱が、再生用空気通路(50)の再生用空気の予熱に用いられることとなる。一方、第2吸着部(33)は、給気通路(40)から再生用空気通路(50)に流入した直後の比較的低温の再生用空気によって冷却された後、吸着ロータ(31)の回転によって第1吸着部(32)となる。
吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)で除湿されると共に予熱された再生用空気は、再生熱交換器(65)を通過し、通過の際に第3冷媒回路(50a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱される。加熱された再生用空気は、吸着ロータ(31)の再生部(34)を通過し、通過の際に、吸着ロータ(31)の吸着剤から水分を脱離させて該吸着剤を再生する。
吸着ロータ(31)を再生した再生用空気は、熱回収熱交換器(68)を通過し、通過の際に、該熱回収熱交換器(68)の内部を流れる第3冷媒回路(50a)の冷媒と熱交換して該冷媒に吸熱される。熱回収熱交換器(68)を通過した再生用空気は、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された給気の一部が合流されて、第2除湿ユニット(20)に流入する。
第2除湿ユニット(20)に流入した再生用空気は、再生側吸着熱交換器を通過し、通過の際に第2冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱される。加熱された再生用空気は、再生側吸着熱交換器の吸着剤から水分を脱離させて該吸着剤を再生する。再生側吸着熱交換器を再生した再生用空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
−還気通路における動作−
調湿空間(S)の空気の一部は、排気(EA)として室外へ排出される。また、調湿空間(S)の空気の一部は、還気通路(58)に流入する。還気通路(58)を流れる空気は、還気冷却熱交換器(67)によって冷却された後、給気通路(40)へ返送される。この返送空気は、第2除湿ユニット(20)で除湿された給気と混合される。第2除湿ユニット(20)で除湿された給気と、調湿空間(S)から返送された空気とでは、返送された空気の方が低湿となっている。このため、第2除湿ユニット(20)で除湿された給気は、返送空気と混合されることで、更に低湿となる。この低湿の給気の一部が再生用空気通路(50)に流入することにより、吸着ロータ(31)での再生能力が向上する。
還気通路(58)を流れる空気は、還気ファン(59)によって給気通路(40)へ押し込まれる。ここで、還気ファン(59)を設けずに給気ファン(63)だけで室内空気を給気通路(40)に吸い込む構成では、ダクトの外から高湿の室外空気を吸い込んで給気(SA)の湿度が高くなるおそれがあるが、本実施形態では還気ファン(59)で空気を給気通路(40)へ押し込んでいるため、系内が陽圧になり、高湿の外気を吸い込むのが防止される。したがって、給気(SA)の湿度が上昇するのを防止できる。
以上のように、本実施形態では、吸着ロータ(31)及び再生側吸着熱交換器の再生に必要とされない再生用空気の余剰の熱が、第3冷媒回路(50a)の冷媒に回収され、再生熱交換器(65)に搬送されて再生用空気の加熱に用いられる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1によれば、第2除湿ユニット(20)の再生側吸着熱交換器の上流側又は下流側の再生用空気から熱を回収する熱回収熱交換器(68)と、回収した熱を再生用空気通路(50)の吸着ロータ(31)の上流側の空気に放出する再生熱交換器(65)とが接続された熱媒体回路(第3冷媒回路(50a))を設け、吸着ロータ(31)と再生側吸着熱交換器との再生に必要とされない再生用空気の余剰の熱を回収して再生用空気の加熱に利用することとした。これにより、吸着ロータ(31)を再生するための加熱源として電気ヒータを用いる場合に比べて消費電力を各段に低減することができる。従って、上記実施形態1によれば、第1及び第2吸着熱交換器(24,26)を有する第2除湿ユニット(20)と吸着ロータ(31)とを用いて調湿空間(S)を除湿する除湿システム(10)において省エネルギー化を図ることができる。
また、上記実施形態1によれば、再生用空気の余剰の熱を、第3冷媒回路(50a)における冷凍サイクルにより、熱回収熱交換器(68)において回収すると共に再生熱交換器(65)へ搬送することとした。よって、吸着ロータ(31)の下流側において再生用空気の余剰の熱を回収して、吸着ロータ(31)の上流側において再生用空気の加熱に利用する構成を容易に実現することができる。
また、上記実施形態1によれば、第2除湿ユニット(20)において除湿された空気の一部を再生用空気通路(50)に流入させて、吸着ロータ(31)の再生に用いることとした。そのため、室外空気を除湿することなく加熱して吸着ロータ(31)の再生に用いる場合に比べて、該吸着ロータ(31)を通過する再生用空気の絶対湿度が低下するため、再生能力を向上させることができる。よって、再生用空気通路(50)において再生熱交換器(65)での再生用空気への放熱量が少ない場合であっても、吸着ロータ(31)を十分に再生することができる。
また、上記実施形態1によれば、再生用空気通路(50)の再生熱交換器(65)の上流側の空気が、吸着ロータ(31)において、再生熱交換器(65)の下流側の空気の通過によって加熱された領域を通過するように再生用空気通路(50)を構成し、吸着ロータ(31)の再生に用いられなかった排熱を回収して、再生用空気通路(50)を流れる空気の予熱に用いることとした。これにより、再生能力を向上させることができる。また、再生能力が十分である場合には、再生熱交換器(65)における空気の加熱量を低減することができるため、省エネルギー化を図ることができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の除湿システム(10)において、熱回収熱交換器(68)の配置位置を変更したものである。具体的には、熱回収熱交換器(68)は、再生用空気通路(50)の第2除湿ユニット(20)の再生側熱交換器の下流側に配置されている。その他の構成は、実施形態1と同様の構成である。
実施形態2では、再生用空気通路における動作が実施形態1と異なる。具体的には、実施形態1と同様にして再生用空気通路(50)に流入した再生用空気は、吸着ロータ(31)の第2吸着部(33)、再生熱交換器(65)、吸着ロータ(31)の再生部(34)の順に通過して吸着ロータ(31)を再生する。吸着ロータ(31)を再生した再生用空気は、外気冷却熱交換器(61)で冷却及び除湿された空気の一部が合流されて、第2除湿ユニット(20)に流入する。
第2除湿ユニット(20)に流入した再生用空気は、再生側吸着熱交換器を通過し、通過の際に第2冷媒回路(20a)の高温高圧の冷媒と熱交換して加熱される。加熱された再生用空気は、再生側吸着熱交換器の吸着剤から水分を脱離させて該吸着剤を再生する。再生側吸着熱交換器を再生した再生用空気は、熱回収熱交換器(68)を通過し、通過の際に、該熱回収熱交換器(68)の内部を流れる第3冷媒回路(50a)の冷媒と熱交換して該冷媒に吸熱される。熱回収熱交換器(68)を通過した再生用空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
以上のように、本実施形態2においても、吸着ロータ(31)及び再生側吸着熱交換器の再生に必要とされない再生用空気の余剰の熱が、第3冷媒回路(50a)の冷媒に回収され、再生熱交換器(65)に搬送されて再生用空気の加熱に用いられる。これにより、吸着ロータ(31)を再生するための加熱源として電気ヒータを用いる場合に比べて消費電力を各段に低減することができる。従って、上記実施形態2によっても、吸着熱交換器(24,26)を有する第2除湿ユニット(20)と吸着ロータ(31)とを用いて調湿空間(S)を除湿する除湿システム(10)において省エネルギー化を図ることができる。
また、実施形態2によれば、熱回収熱交換器(68)を再生用空気通路(50)の再生側吸着熱交換器の下流側に設けることとした。再生用空気は、再生側吸着熱交換器において冷媒によって加熱されるため、このように熱回収熱交換器(68)を再生側吸着熱交換器の下流側に配置することにより、再生用空気の余剰の熱を効率よく回収することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、吸着剤として、シリカゲルやゼオライト等の主に水蒸気の吸着を行う材料だけでなく、水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料を用いてもよい。具体的には、例えば、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いることができる。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。このような吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の回りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
このように、上記吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
また、上記吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少し、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ることにより、吸着剤の体積が減少する。
なお、上記水蒸気の吸着と吸収の両方を行う材料は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するものであれば上述した材料に限定されず、例えば、吸湿性を有するイオン交換樹脂であってもよい。
また、各実施形態において、除湿システム(10)は、第1除湿ユニット(60)や再熱熱交換器(64)を備えないものであってもよい。
また、上記各実施形態では、第2除湿ユニット(20)と第3除湿ユニット(30)との間に中間冷却器を設けて空気の冷却をするようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、調湿空間(S)の空気(RA)を給気通路(40)へ返送する還気通路(58)を設けているが、還気通路(58)は必ずしも設けなくてもよい。還気通路(58)を設けない場合、調湿空間(S)から室外へ空気を排気するように構成されていてもよい。
また、上記各実施形態において、除湿システム(10)は、第1除湿ユニット(60)と第3除湿ユニット(30)を備える既設のシステムに対して、第2除湿ユニット(20)を上記第1除湿ユニット(60)と第3除湿ユニット(30)の間に接続できるオプション取り付け型のシステムに構成するとよい。このような構成によれば、従来から用いられている外気冷却熱交換器(61)と吸着ロータ(31)のみからなる2段型のシステムに、吸着熱交換器(22,24)を有する第2除湿ユニット(20)を取り付けて、既設システムの省エネルギー化を実現することが可能になる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。