以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(バッテリー交換システムの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるバッテリー交換システム1の斜視図である。図2は、図1のE部を別の角度から示す斜視図である。以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、Z方向が上下方向(鉛直方向)と一致する。また、以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向とする。
本形態のバッテリー交換システム1は、車両2に搭載されているバッテリー3を交換するためのシステムである。本形態の車両2は、電気バスである。したがって、以下では、車両2を「バス2」とする。バス2には、複数のバッテリー3が収容されるバッテリー収容部4が取り付けられている。バッテリー収容部4は、バス2の一方の側面2aに取り付けられるカバー部材(図示省略)を取り外すと、側面2aに露出するように配置されている。また、バッテリー収容部4は、バス2の座席の下側に配置されている。バッテリー3の交換時には、バス2は、その進行方向と左右方向とが略一致するように停止している。
バッテリー交換システム1は、バッテリー収容部4に収容されているバッテリー3を交換するためのバッテリー交換ロボット5(以下、「ロボット5」とする。)を備えている。ロボット5は、バッテリー収容部4に収容されているバッテリー3の交換が可能となるように、前後方向でバス2の側面2aと向き合っている。このロボット5は、バッテリー収容部4に収容されているバッテリー3を引き抜いて、図示を省略するバッファステーションへ搬入するとともに、バッファステーションに収容された充電済みのバッテリー3をバッファステーションから搬出してバッテリー収容部4に差し込む。
なお、バス2の側面2aには、バス2の位置を検出するための検出用プレート9が形成または固定されている。検出用プレート9は、平板状に形成されるとともに、上下方向でその幅が略一定な略矩形状に形成されている。この検出用プレート9は、たとえば、バス2の進行方向におけるバッテリー収容部4の手前側に配置されている。また、検出用プレート9は、側面2aに取り付けられるカバー部材(図示省略)を取り外すと、側面2aに露出するように配置されている。
(バッテリーおよびバッテリー収容部の構成)
図3は、図2のF部の拡大図である。図4は、図1に示すバッテリー収容部4にバッテリー3が収容された状態を示す正面図である。図5は、図4のG部の拡大図である。
バッテリー収容部4は、バッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6と、左右の側壁7とを備えており、バッテリー置き台6と側壁7とによって、バッテリー3の収容空間が形成されている。バッテリー収容部4には、複数のバッテリー3の収容空間が形成されており、複数のバッテリー3が収容可能となっている。すなわち、バス2には、複数のバッテリー3が搭載可能となっている。本形態のバス2には、4個のバッテリー3が搭載可能となっており、バッテリー収容部4は、4個のバッテリー3のそれぞれが搭載される4個のバッテリー置き台6を備えている。また、本形態では、2個のバッテリー置き台6が側壁7を介して左右方向で隣接するように配置されるとともに、左右方向で隣接する2個のバッテリー置き台6と、左右方向で隣接する他の2個のバッテリー置き台6とが上下方向で重なるように配置されている。
バッテリー置き台6の前面には、バッテリー3の位置を間接的に検出するための検出用マーク8が形成されている。検出用マーク8は、バッテリー置き台6の左右方向の両端側のそれぞれに形成されている。すなわち、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、一対の(2個の)検出用マーク8がバッテリー置き台6の前面に形成されている。上述のように、本形態のバッテリー収容部4は、4個のバッテリー置き台6を備えており、バッテリー収容部4には、4組の一対の検出用マーク8が形成されている。また、検出用マーク8は、図3に示すように、バッテリー置き台6の前面よりも突出する平板状に形成されるとともに、上下方向において左右方向の幅が変化する略三角形状に形成されている。具体的には、検出用マーク8は、上側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる略正三角形状に形成されている。
バッテリー3の前面には、バッテリー収容部4からバッテリー3を引き抜くための取手部11が形成されている。本形態では、バッテリー3の前面の、左右方向の両端側のそれぞれに取手部11が形成されている。バッテリー3の下面には、ロボット5によって引き抜かれたバッテリー3の、引抜き方向に直交する方向の位置決めを行うための突起部12が下方向へ突出するように形成されている(図5参照)。また、バッテリー3は、バッテリー収容部4にバッテリー3を固定するための固定部材13(図4参照)と、バッテリー収容部4に対するバッテリー3の固定状態を解除するための解除部材14(図3参照)とを備えている。
固定部材13は、バッテリー3の左右の側面のそれぞれから突出するようにバッテリー3に取り付けられている。また、固定部材13は、バッテリー3の前面側に取り付けられている。この固定部材13は、左右方向へ移動可能となるようにバッテリー3に保持されている。また、固定部材13は、図示を省略する付勢部材によって左右方向の外側へ付勢されている。本形態では、この付勢部材の付勢力によって、バッテリー収容部4の側壁7に形成される係合孔に固定部材13の左右の外側端部分が係合することで、バッテリー収容部4にバッテリー3が固定されている。固定部材13は、バッテリー収容部4の中で、前後方向および上下方向におけるバッテリー3の位置決めを行う機能を果たしている。
解除部材14は、取手部11の奥側に配置されている。この解除部材14は、前後方向へ移動可能となるようにバッテリー3に保持されている。また、解除部材14は、図示を省略する付勢部材によってバッテリー3の前面側へ付勢されている。本形態では、解除部材14が奥側へ押されると、固定部材13が左右方向の内側へ移動して、バッテリー収容部4の側壁7に形成される係合孔と固定部材13との係合状態が解除され、バッテリー収容部4からのバッテリー3の引抜きが可能となる。
なお、バッテリー3の背面には、バッテリー収容部4の奥に配置されるコネクタに連結されるコネクタが取り付けられている。また、バッテリー3の背面には、バッテリー収容部4の中で、上下左右方向におけるバッテリー3の位置決めを行うための位置決めピンが取り付けられている。
(バッテリー交換ロボットの概略構成)
図2に示すように、ロボット5は、バス2からの4個のバッテリー3のそれぞれの引抜きおよびバス2への4個のバッテリー3のそれぞれの差込みを行うバッテリー抜差機構17と、バッテリー抜差機構17を昇降させる昇降機構18と、上下方向を軸方向としてバッテリー抜差機構17および昇降機構18を回動させる回動機構19と、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19を左右方向へ移動させる水平移動機構20とを備えている。また、ロボット5は、検出用マーク8および検出用プレート9を検出するための検出機構21を備えている。
バッテリー抜差機構17は、バッテリー3の引抜き時および差込み時にバッテリー3が搭載されるバッテリー搭載部22を有するバッテリー搭載機構23と、バッテリー3の引抜き時および差込み時にバッテリー3に係合してバッテリー搭載部22上でバッテリー3を移動させるバッテリー係合部24(図6参照)を有するバッテリー移動機構25とを備えている。バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24は、バス2に近づく方向およびバス2から離れる方向へ移動可能となっている。
また、バッテリー抜差機構17は、略四角筒状に形成された保持部材26に保持されている。保持部材26は、その下端側を構成する第1保持部材27と、その上端側を構成する第2保持部材28とを備えている。第1保持部材27は、上側が開口する角溝状に形成され、第2保持部材28は、下側が開口する角溝状に形成されている。保持部材26は、第1保持部材27と第2保持部材28とが上下方向で組み合わされて固定されることで、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向の両端が開口する略四角筒状に形成されている。
(バッテリー搭載機構の構成)
図6は、図2に示すバッテリー抜差機構17および昇降機構18を正面から示す図である。図7は、図6のH−H方向からバッテリー抜差機構17および昇降機構18を示す図である。図8は、図6に示すバッテリー搭載機構23を正面から説明するための図である。図9は、図6に示すバッテリー搭載機構23を側面から説明するための図である。図10は、図6に示すバッテリー搭載機構23を上面から説明するための図である。図11は、図8に示すローラ32の拡大断面図である。
バッテリー搭載機構23は、上述のバッテリー搭載部22に加え、バス2に近づく方向およびバス2から離れる方向へバッテリー搭載部22を移動させる搭載部移動機構30を備えている。
バッテリー搭載部22は、上下方向に扁平した扁平なブロック状に形成されている。バッテリー搭載部22の上面には、バッテリー3の下面に当接する複数のローラ31、32が回転可能に取り付けられている。図10に示すように、複数のローラ31は、バッテリー搭載部22の移動方向に所定の間隔で配置され、複数のローラ32も、ローラ31と同様に、バッテリー搭載部22の移動方向に所定の間隔で配置されている。また、ローラ31とローラ32とは、バッテリー搭載部22の移動方向に直交する方向において、所定の間隔をあけた状態で配置されている。
ローラ31は、フラットローラである。一方、ローラ32は、図11に示すように、内周側に向かって窪む溝部32aが外周面に形成された溝付きローラである。溝部32aは、バッテリー3の下面に形成される突起部12が係合可能となるように形成されており、バッテリー搭載部22の所定の位置にバッテリー3が搭載されると、溝部32aに突起部12が係合する。本形態では、溝部32aに突起部12が係合することで、バッテリー搭載部22の移動方向に直交する方向で、バッテリー搭載部22に対してバッテリー3が位置決めされる。
搭載部移動機構30は、バッテリー搭載部22を移動させるための構成として、モータ33と、ボールネジ等のネジ部材34と、ネジ部材34に螺合するナット部材35とを備えている。また、搭載部移動機構30は、バッテリー搭載部22を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール36と、ガイドレール36に係合するとともにガイドレール36に沿って相対移動可能なガイドブロック37とを備えている。
モータ33は、バッテリー搭載部22の後端部の上面側に固定されている。ネジ部材34は、バッテリー搭載部22の下面側に回転可能に保持されている。モータ33とネジ部材34とは、プーリやベルト等を介して連結されている。ナット部材35は、第1保持部材27に固定されている。また、ガイドレール36は、バッテリー搭載部22の下面側に固定され、ガイドブロック37は、第1保持部材27に固定されている。そのため、本形態では、モータ33が回転すると、バッテリー搭載部22は、ガイドレール36およびガイドブロック37に案内されて、第1保持部材27に対して直線状に移動する。
(バッテリー移動機構の構成)
図12は、図6に示すバッテリー移動機構25を正面から説明するための図である。図13は、図6に示すバッテリー移動機構25を側面から説明するための図である。図14は、図13に示すバッテリー係合部24がバス2から離れる方向へ移動したときの状態を側面から説明するための図である。図15は、図13のJ部の拡大図である。図16は、図13のK部の拡大図である。図17は、図6に示すバッテリー移動機構25を上面から説明するための図である。図18(A)は、図17のM部の拡大図であり、図18(B)は、図17のN部の拡大図である。
バッテリー移動機構25は、上述のバッテリー係合部24に加え、バス2に近づく方向およびバス2から離れる方向へバッテリー係合部24を移動させる係合部移動機構39と、バッテリー係合部24を移動可能に保持するとともに第2保持部材28に移動可能に保持される移動保持部材40とを備えている。
バッテリー係合部24は、バッテリー3の取手部11に係合する係合爪部41と、係合爪部41を上下動させるエアシリンダ42と、エアシリンダ42が取り付けられる基部43とを備えている。係合爪部41は、エアシリンダ42の可動側に固定され、エアシリンダ42の固定側は、基部43の先端面に固定されている。本形態では、バッテリー3に形成される2個の取手部11のそれぞれに係合爪部41が係合するように、2個の係合爪部41および2個のエアシリンダ42が基部43の先端面に所定の間隔をあけた状態で配置されている。
係合爪部41は、エアシリンダ42に固定される固定部41aと、取手部11に係合する爪部41bとを備えている。爪部41bは、取手部11の前端部分とバッテリー3の前面との間に上側から入って取手部11に係合する。爪部41bが取手部11に係合する際には、爪部41bが解除部材14を押して、バッテリー収容部4の側壁7に形成される係合孔と固定部材13との係合状態を解除する。そのため、爪部41bが取手部11に係合すると、バッテリー抜差機構17によるバッテリー3の引抜きや差込みが可能になる。
移動保持部材40は、バッテリー係合部24の移動方向に細長い長尺状に形成されている。また、移動保持部材40は、バッテリー係合部24の移動方向から見たときの形状が略H形状となるように形成されている。
係合部移動機構39は、バッテリー係合部24および移動保持部材40を移動させるための構成として、モータ44と、ボールネジ等のネジ部材45と、ネジ部材45に螺合するナット部材46と、プーリ47、48と、プーリ47、48に架け渡されるベルト49とを備えている。また、係合部移動機構39は、バッテリー係合部24および移動保持部材40を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール50と、ガイドレール50に係合するとともにガイドレール50に沿って相対移動可能なガイドブロック51とを備え、バッテリー係合部24を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール52と、ガイドレール52に係合するとともにガイドレール52に沿って相対移動可能なガイドブロック53とを備えている。
モータ44は、第2保持部材28の後端部の上面に固定されている。ネジ部材45は、第2保持部材28の上面部に回転可能に保持されている。モータ44とネジ部材45とは、プーリやベルト等を介して連結されている。ナット部材46は、移動保持部材40の後端部に固定されている。プーリ47は、移動保持部材40の後端部に回転可能に保持され、プーリ48は、移動保持部材40の前端部に回転可能に保持されている。
ベルト49は、ベルト固定部材54を介してバッテリー係合部24の基部43に固定されるとともに、ベルト固定部材55を介して第2保持部材28の上面部に固定されている。具体的には、第2保持部材28から移動保持部材40が突出して、図16に示すように、プーリ47の近傍にベルト固定部材55が配置されるときに、図15に示すように、プーリ48の近傍にベルト固定部材54が配置され、かつ、第2保持部材28の中に移動保持部材40が収まって、図14に示すように、プーリ48の近傍にベルト固定部材55が配置されるときに、プーリ47の近傍にベルト固定部材54が配置されるように、ベルト49は、ベルト固定部材54、55を介して基部43および第2保持部材28に固定されている。
ガイドレール50は、第2保持部材28の上面部に固定され、ガイドブロック51は、移動保持部材40の上面に固定されている。ガイドレール52は、移動保持部材40の下面に固定され、ガイドブロック53は、バッテリー係合部24の基部43の上端側に固定されている。
本形態では、モータ44が回転すると、ネジ部材45とナット部材46とによって、バッテリー係合部24とともに移動保持部材40がガイドレール50およびガイドブロック51に案内されて、第2保持部材28に対して直線状に移動する。また、モータ44が回転すると、プーリ47、48とベルト49とによって、バッテリー係合部24がガイドレール52およびガイドブロック53に案内されて、移動保持部材40に対して直線状に相対移動する。
(昇降機構、第1連結機構および第2連結機構の構成)
昇降機構18は、図2、図6に示すように、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向(以下、この方向を「第1方向」とする。)と上下方向とに直交する方向(以下、この方向を「第2方向」とする。)の両端側のそれぞれに配置される第1昇降機構59および第2昇降機構60を備えている。第1昇降機構59は、第1連結機構61によって、第1保持部材27の第2方向の一端側に連結されている。第2昇降機構60は、第2連結機構62によって、第1保持部材27の第2方向の他端側に連結されている。第1昇降機構59および第2昇降機構60は、水平方向に対して保持部材26を傾けるために(すなわち、第1方向から見たときの第2方向に対して保持部材26を傾けるために)、個別に駆動可能となっている。また、保持部材26は、水平方向に対して傾斜可能となるように第1昇降機構59および第2昇降機構60に連結されている。
第1昇降機構59および第2昇降機構60は、上下方向へ移動可能な昇降部材63と、昇降部材63を昇降可能に保持する柱状部材64と、昇降部材63を昇降させる昇降駆動機構65とを備えている。柱状部材64は、上下方向に細長い柱状に形成されている。図6に示すように、第1昇降機構59を構成する柱状部材64の上端と、第2昇降機構60を構成する柱状部材64の上端とは、連結部材66によって連結されており、2個の柱状部材64と連結部材66とによって、門型のフレームが構成されている。
昇降駆動機構65は、図7に示すように、昇降部材63を昇降させるための構成として、モータ67と、ボールネジ等のネジ部材68と、ネジ部材68に螺合するナット部材69とを備えている。また、昇降駆動機構65は、図6に示すように、昇降部材63を案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレール70と、ガイドレール70に係合するとともにガイドレール70に沿って相対移動可能なガイドブロック71とを備えている。
モータ67は、柱状部材64の上端側に固定されている。ネジ部材68は、柱状部材64に回転可能に保持されている。モータ67とネジ部材68とは、カップリング72を介して連結されている。ナット部材69は、昇降部材63に固定されている。ガイドレール70は、柱状部材64の側面に固定されている。ガイドブロック71は、昇降部材63に固定されている。そのため、本形態では、モータ67が回転すると、昇降部材63は、ガイドレール70およびガイドブロック71に案内されて、柱状部材64に対して上下動する。
第1連結機構61は、第1昇降機構59の昇降部材63に対する保持部材26の相対回動が可能となるように、保持部材26と昇降部材63とを連結している。また、第2連結機構62は、第2昇降機構60の昇降部材63に対する保持部材26の相対回動と第2方向への相対移動とが可能となるように、保持部材26と昇降部材63とを連結している。本形態では、第1昇降機構59の昇降部材63の移動量と第2昇降機構60の昇降部材63の移動量とが等しくなるようにモータ67が回転すると、保持部材26が水平方向と平行な状態を保ったまま昇降する。一方、第1昇降機構59のモータ67または第2昇降機構60のモータ67の一方のみが回転すると、水平方向に対して保持部材26が傾く。また、第1昇降機構59の昇降部材63の移動量と第2昇降機構60の昇降部材63の移動量とが異なるようにモータ67が回転すると、保持部材26が水平方向に対して傾きながら昇降する。
(回動機構および水平移動機構の構成)
回動機構19は、図2に示すように、バッテリー抜差機構17および昇降機構18が搭載されるとともに回動可能な回動部材85と、回動部材85を回動させる回動駆動機構86とを備えている。水平移動機構20は、図2に示すように、バッテリー抜差機構17、昇降機構18および回動機構19が搭載されるとともに左右方向へ移動可能なスライド部材87と、スライド部材87を移動させる水平駆動機構88とを備えている。
回動部材85は、略円板状に形成されている。スライド部材87は、左右方向を長手方向とする略長方形の板状に形成されている。スライド部材87の左右方向の幅は、回動部材85の直径よりも大きくなっており、スライド部材87の前後方向の幅は、回動部材85の直径よりも小さくなっている。
回動部材85は、スライド部材87の上側に配置されている。この回動部材85は、その曲率中心を中心にして回動可能となっている。回動部材85の上面には、2本の柱状部材64の下端が固定されている。具体的には、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向に直交する第2方向における回動部材85の上面の両端側のそれぞれに柱状部材64の下端が固定されている。
回動駆動機構86は、回動部材85を回動させるための構成として、モータ、プーリおよびベルト等を備えている。また、回動駆動機構86は、回動部材85を回動方向へ案内するための構成として、ガイドレールと、ガイドレールに係合するとともにガイドレールに沿って相対移動可能な複数のガイドブロックとを備えている。ガイドレールは、円環状に形成されており、スライド部材87の上面に固定されている。複数のガイドブロックは、回動部材85の下面側に固定されており、回動部材85の曲率中心を中心とする円環状に配置されている。モータの出力軸に固定されるプーリおよび回動部材85の外周面等にはベルトが架け渡されており、モータが回転すると、回動部材85は、ガイドレールおよびガイドブロックに案内されてスライド部材87に対して回動する。
水平駆動機構88は、スライド部材87を移動させるための構成として、モータ、プーリおよびベルト等を備えている。また、水平駆動機構88は、スライド部材87を左右方向へ案内するための構成として、直線状に形成されたガイドレールと、ガイドレールに係合するとともにガイドレールに沿って相対移動可能な複数のガイドブロックとを備えている。ガイドレールは、スライド部材87の下側に配置されている。ガイドブロックは、スライド部材87の下面に固定されている。ベルトの一端は、ガイドレールの左端側に固定され、ベルトの他端は、ガイドレールの右端側に固定されている。また、ベルトは、モータの出力軸に固定されるプーリ等に架け渡されており、モータが回転すると、ガイドレールおよびガイドブロックに案内されてスライド部材87が左右方向へ直線状に移動する。
(検出機構の構成、バスの位置検出動作およびバッテリーの位置検出動作)
図19は、図10に示す検出機構21によるバス2の位置の検出時の状態を上面から示す図である。図20は、図10に示す検出機構21によるバッテリー3の位置の検出時の状態を上面から示す図である。図21は、図10に示す検出機構21によるバッテリー3の位置の検出方法を説明するための図である。
検出機構21は、レーザ光を射出する発光部と、この発光部から射出されバス2の側面2aやバッテリー置き台6の前面等の反射物で反射されたレーザ光を受光する受光部とを備えるレーザセンサである。この検出機構21は、図10に示すように、バッテリー搭載部22の前端側の上面に取り付けられている。また、検出機構21は、発光部と受光部とが水平方向で隣り合うように、あるいは、発光部と受光部とが上下方向で隣り合うように、バッテリー搭載部22に取り付けられている。本形態では、4個のバッテリー置き台6のそれぞれに形成される一対の(2個の)検出用マーク8に対応するように、2個の検出機構21がバッテリー搭載部22に取り付けられている。具体的には、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向に直交する第2方向におけるバッテリー搭載部22の両端側の上面に検出機構21が固定されている。また、一対の検出用マーク8の間隔と同じ間隔で、2個の検出機構21がバッテリー搭載部22に固定されている。
図19に示すように、検出機構21は、所定の配線を介して、ロボット5の制御部91に電気的に接続されている。この検出機構21は、発光部から射出されたレーザ光を反射する反射物が所定の測定レンジ内にあるとオンの状態になり、レーザ光を反射する反射物が測定レンジ内にないとオフの状態になる。また、本形態では、オンの状態の検出機構21を用いて、検出機構21と反射物との距離を検出することが可能となっている。
なお、以下では、対をなす2個の検出用マーク8を区別して表す場合には、一方の検出用マーク8を検出用マーク8Aとし、他方の検出用マーク8を検出用マーク8Bとする。また、2個の検出機構21を区別して表わす場合には、検出用マーク8Aを検出するための一方の検出機構21を検出機構21Aとし、検出用マーク8Bを検出するための他方の検出機構21を検出機構21Bとする。
検出機構21によるバス2の位置の検出は、たとえば、以下のように行われる。すなわち、バッテリー3が交換されるバス2が所定の停止位置に停止したときには、たとえば、バッテリー抜差機構17は、左右方向において、検出用プレート9が配置される位置で待機している。また、このときには、図19の実線で示すように、バッテリー搭載部22の前面がバス2の側面2aと向き合うとともに、バッテリー搭載部22は、バス2から離れる方向に後退している。この状態から、図19の二点鎖線で示すように、検出機構21の発光部から射出され検出用プレート9で反射されたレーザ光を受光した検出機構21がオンの状態となるまで、バッテリー搭載部22をバス2に向かって前進させる。
その後、バッテリー搭載部22を上下方向および左右方向へ移動させて、検出機構21によって検出用プレート9の上端および左右の両端の位置を検出すると、制御部91は、前後方向、左右方向および上下方向における検出用プレート9の位置を算出し、検出用プレート9の位置を算出することで、バス2の位置を検出する。また、バッテリー搭載部22を上下方向および左右方向へ移動させることで、制御部91が、前後方向から見たときの左右方向に対する検出用プレート9の傾き等を算出することも可能である。すなわち、バッテリー搭載部22を上下方向および左右方向へ移動させることで、前後方向から見たときの左右方向に対するバス2の傾き等を検出することも可能である。
検出機構21によるバス2の位置の検出後には、たとえば、以下のように、検出機構21によるバッテリー3の位置の検出が行われる。すなわち、まず、図20(A)に示すように、交換されるバッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6の一対の検出用マーク8のそれぞれと、2個の検出機構21のそれぞれとが向き合うように、バッテリー搭載部22を左右方向へ移動させる。
その後、検出機構21の発光部から射出され検出用マーク8で反射されたレーザ光を受光した検出機構21がオンの状態となるまで、バッテリー搭載部22をバッテリー置き台6に向かって前進させる。その後、図20(B)、(C)および図21(A)、(B)に示すように、検出機構21の発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8を横切るように、バッテリー搭載部22を左右方向へ移動させる。より具体的には、検出機構21Aの発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8Aを横切り、検出機構21Bの発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8Bを横切るように、バッテリー搭載部22を左右方向へ移動させる。
検出機構21から射出されるレーザ光が検出用マーク8を左右方向で横切るときに、検出用マーク8の、検出機構21からのレーザ光を反射する部分(図21(C)の破線部分)を被検出部分8a、8bとすると(より具体的には、検出機構21Aから射出されるレーザ光が検出用マーク8Aを左右方向で横切るときに、検出用マーク8Aの、検出機構21Aからのレーザ光を反射する部分を第1被検出部分8aとし、検出機構21Bから射出されるレーザ光が検出用マーク8Bを左右方向で横切るときに、検出用マーク8Bの、検出機構21Bからのレーザ光を反射する部分を第2被検出部分8bとすると)、検出機構21の発光部からのレーザ光が左右方向で検出用マーク8を横切るように、バッテリー搭載部22を左右方向へ移動させると、検出機構21によって、左右方向における被検出部分8a、8bの両端部が検出される。
検出機構21によって検出される被検出部分8a、8bの左右方向の両端部の位置から、制御部91は、左右方向における被検出部分8a、8bの幅を算出することができる。また、本形態の検出用マーク8は、上側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる略三角形状に形成されているため、制御部91は、左右方向における被検出部分8a、8bの幅に基づいて、被検出部分8a、8bの高さを算出することができ、被検出部分8a、8bの高さを算出することで検出用マーク8の高さを算出することができる。すなわち、制御部91は、左右方向における被検出部分8a、8bの幅に基づいて、検出用マーク8が形成されるバッテリー置き台6の高さを算出することができる。本形態では、バッテリー置き台6の高さが算出されることで、バッテリー置き台6に位置決めされて搭載されるバッテリー3の高さが検出される。
また、検出機構21によって検出される被検出部分8a、8bの左右方向の両端部の位置から、制御部91は、被検出部分8a、8bの左右方向の中心位置C1、C2を算出することができる。また、制御部91は、中心位置C1、C2に基づいて、検出用マーク8が形成されるバッテリー置き台6の左右方向の位置を算出することができる。本形態では、左右方向におけるバッテリー置き台6の位置が算出されることで、バッテリー置き台6に位置決めされて搭載されるバッテリー3の左右方向における位置が検出される。
また、制御部91は、中心位置C1、C2と検出機構21との距離を算出することができる。また、制御部91は、中心位置C1、C2と検出機構21との距離に基づいて、検出用マーク8が形成されるバッテリー置き台6の前後方向の位置を算出することができる。本形態では、前後方向におけるバッテリー置き台6の位置が算出されることで、バッテリー置き台6に位置決めされて搭載されるバッテリー3の前後方向における位置が検出される。
また、第1被検出部分8aの幅に基づいて算出される検出用マーク8Aの高さと、第2被検出部分8bの幅に基づいて算出される検出用マーク8Bの高さとに基づいて、制御部91は、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きを算出することができる。すなわち、第1被検出部分8aの幅と第2被検出部分8bの幅とに基づいて、制御部91は、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きを算出することができる。本形態では、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きが算出されることで、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きが検出される。
また、第1被検出部分8aの左右方向の中心位置C1と検出機構21Aとの距離と、第2被検出部分8bの左右方向の中心位置C2と検出機構21Bとの距離とから、制御部91は、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きを算出することができる。本形態では、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きが検出されることで、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きが検出される。
前後左右方向におけるバッテリー3の位置、バッテリー3の高さ、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾き、および、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きが検出されると、バッテリー3の下面の突起部12とバッテリー搭載部22のローラ32の溝部32aとが左右方向で略一致し、バッテリー3の下面と、ローラ31、32の上面とが略一致するとともに、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きとバッテリー抜差機構17の傾きとが略一致し、かつ、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きとバッテリー抜差機構17の傾きとが略一致するように、ロボット5によるバッテリー3の交換動作時に、バッテリー抜差機構17の左右方向の位置、高さおよび傾きが調整される。
具体的には、水平移動機構20によってバッテリー抜差機構17の左右方向の位置が調整され、昇降機構18によって、バッテリー抜差機構17の高さが調整され、回動機構19によって、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー抜差機構17の傾きが調整される。また、第1昇降機構59または第2昇降機構60の一方を駆動することで、あるいは、第1昇降機構59の駆動量と第2昇降機構60の駆動量とを変えることで、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー抜差機構17の傾きが調整される。
(バッテリー交換ロボットによるバッテリー交換動作の概略)
図22は、図2に示すバッテリー交換ロボット5のバッテリー3の交換動作の概略フローを示すフローチャートである。図23は、図2に示すバッテリー交換ロボット5によるバス2からのバッテリー3の引抜き動作を説明するための図である。図24は、図2に示すバッテリー交換ロボット5によるバス2へのバッテリー3の差込み動作を説明するための図である。
バッテリー交換システム1では、バッテリー3が交換されるバス2が所定の停止位置に停止すると、まず、上述の手順でバス2の位置が検出される(ステップS1)。その後、4個のバッテリー3のうちの交換されるバッテリー3のバス2からの引抜き動作が行われる(ステップS2)。ステップS2では、具体的には、交換されるバッテリー3の位置(より具体的には、交換されるバッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6に形成される検出用マーク8の位置)が上述の手順で検出され(ステップS21)、その後、ロボット5によってバス2からバッテリー3が引き抜かれ(ステップS22)、その後、引き抜かれたバッテリー3がバッファステーションへ収容される(ステップS23)。
ステップS1、S2においては、まず、ホームポジションにあるバッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24(図23(A)参照)が、バス2に近づく方向へ移動する。具体的には、図23(B)に示すように、バッテリー置き台6からバッテリー搭載部22へのバッテリー3の載り移りが可能な位置までバッテリー搭載部22が移動するとともに、バッテリー3の取手部11に係合爪部41が係合可能な位置までバッテリー係合部24が移動する。
本形態では、ホームポジションにあるバッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が図23(B)に示す位置まで移動する前に、上述の手順でバッテリー3の位置が検出される。すなわち、検出機構21の発光部から射出され検出用マーク8で反射されたレーザ光を受光した検出機構21がオンの状態となるまで、バッテリー搭載部22がバッテリー置き台6に向かって前進するとともに、バッテリー搭載部22が左右方向へ移動して(すなわち、ロボット5が左右方向へ移動して)、バッテリー3の位置が検出される。なお、以後の動作では、バッテリー3の位置検出の結果に基づいて、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動量等が調整される。
また、ステップS2においては、図23(B)に示す状態から係合爪部41が下降して取手部11に係合する。その後、図23(C)に示すように、バッテリー係合部24がバス2から離れる方向へ移動して、バッテリー置き台6からバッテリー搭載部22へバッテリー3が載り移り始める。バッテリー係合部24が所定量移動して、図23(D)に示すように、バッテリー3がバッテリー搭載部22に完全に搭載されると、その後、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が同期しながら、図23(E)に示すように、バス2から離れる方向へ移動して、バス2からのバッテリー3の引抜きが完了する。バス2からのバッテリー3の引抜きが完了すると、ロボット5は、180°回動して、バッファステーションにバッテリー3を収容する。
その後、バス2の、バッテリー3が引き抜かれた部分へのバッテリー3の差込み動作が行われる(ステップS3)。ステップS3では、具体的には、ロボット5によってバッファステーションから充電済みのバッテリー3が取り出され(ステップS31)、その後、取り出されたバッテリー3がバス2に差し込まれる(ステップS32)。
ステップS3において、ロボット5は、バッファステーションから充電済みのバッテリー3を取り出すと、180°回動して、図24(A)に示すように、バス2からのバッテリー3の引抜き完了時と同じ状態になる。その後、図24(B)に示すように、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24が同期しながら、バス2に近づく方向へ移動する。バッテリー搭載部22からバッテリー置き台6へのバッテリー3の載り移りが可能な位置までバッテリー搭載部22が移動すると、図24(C)に示すように、バッテリー係合部24がバス2に近づく方向へ移動して、バス2へのバッテリー3の差込みを行う。バス2にバッテリー3が差し込まれると、図24(D)に示すように、係合爪部41が上昇し、図24(E)に示すように、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24がバス2から離れる方向へ移動して(具体的には、ホームポジションまで移動して)、バス2へのバッテリー3の差込みが完了する。
ステップS2およびS3での動作は、停止しているバス2において交換が必要なバッテリー3の交換が完了するまで(ステップS4において“Yes”になるまで)繰り返される。通常は、停止しているバス2の全てのバッテリー3が交換されるまで繰り返される。交換が必要なバッテリー3の交換が完了すると、ロボット5が原点位置へ復帰して(ステップS5)、ロボット5によるバッテリー3の交換動作が終了する。
(バッテリー交換ロボットの教示方法)
図25は、図2に示すバッテリー交換ロボット5によるバス2からのバッテリー3の引抜き動作時のバッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の動作の軌跡を説明するための図である。図26は、図2に示すバッテリー交換ロボット5によるバス2へのバッテリー3の差込み動作時のバッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の動作の軌跡を説明するための図である。図27は、図2に示すバッテリー交換ロボット5によるバス2からのバッテリー3の引抜き動作時のバッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の動作の軌跡であってバッテリー検出位置P20を経由する場合の軌跡を説明するための図である。
バッテリー交換システム1においては、ロボット5を適切に動作させてバス2のバッテリー3を適切に交換するため、所定の基準位置に停止しているバス2を用いて、ロボット5の教示(ティーチング)を行う。ロボット5の教示においては、バス2の位置を検出するためのバス検出位置と、4つのバッテリー3のそれぞれの位置を検出するためのバッテリー検出位置と、4つのバッテリー3のそれぞれの引抜きおよび差込みを行うための抜差位置とが、作業者によるマニュアル操作でロボット5に教示される。
バス検出位置の教示では、検出機構21による検出用プレート9の検出が可能となる位置(状態)がロボット5に教示される。バッテリー検出位置の教示では、2個の検出機構21による一対の検出用マーク8の検出が可能となる位置(状態)がロボット5に教示される。また、バッテリー検出位置の教示では、4組設けられている一対の検出用マーク8のそれぞれの検出が可能となる4つの位置がロボット5に教示される。
抜差位置の教示では、図23(A)および図24(E)に示す待機位置(状態)P1と、図23(B)および図24(D)に示す車両搭載位置(状態)P2と、図23(C)に示す第1バッテリー乗継位置(状態)P3と、図24(C)に示す第2バッテリー乗継位置(状態)P4と、図23(D)および図24(B)に示すロボット搭載位置(状態)P5と、図23(E)および図24(A)に示すロボット収容位置(状態)P6とがロボット5に教示される。
待機位置P1は、バッテリー搭載部22とバッテリー係合部24とがバス2から離れた状態で(より具体的には、ホームポジションで)待機するとともにバッテリー置き台6にバッテリー3が搭載されているときの位置である。車両搭載位置P2は、バス2に近づいているバッテリー係合部24の係合爪部41がバッテリー置き台6に搭載されているバッテリー3に係合可能となるとともに、バス2に近づいているバッテリー搭載部22とバッテリー3が搭載されているバッテリー置き台6との間でバッテリー3の載り移りが可能となるときの位置である。
第1バッテリー乗継位置P3は、バッテリー置き台6とバッテリー搭載部22との両方にバッテリー3が搭載されているときの位置である。具体的には、第1バッテリー乗継位置P3は、バッテリー置き台6からバッテリー搭載部22へバッテリー3が載り移り始めたときの位置(すなわち、バッテリー搭載部22からバッテリー置き台6へバッテリー3が載り移り終わるときの位置)である。本形態では、バッテリー搭載部22の上面に設けられている複数のローラ31およびローラ32のうちの1つのローラ31およびローラ32にバッテリー3が載っているときの位置が第1バッテリー乗継位置P3となっている。また、第1バッテリー乗継位置P3では、バッテリー搭載部22は、保持部材26よりもバス2側へ突出している。
第2バッテリー乗継位置P4は、第1バッテリー乗継位置P3と同様に、バッテリー置き台6とバッテリー搭載部22との両方にバッテリー3が搭載されているときの位置である。具体的には、第2バッテリー乗継位置P4は、バッテリー搭載部22からバッテリー置き台6へバッテリー3が載り移り始めたときの位置(すなわち、バッテリー置き台6からバッテリー搭載部22へバッテリー3が載り移り終わるときの位置)である。本形態では、複数設けられたローラ31の配置ピッチ分だけバッテリー3がバッテリー置き台6に載っているときの位置が第2バッテリー乗継位置P4となっている。また、第2バッテリー乗継位置P4では、バッテリー搭載部22は、保持部材26よりもバス2側へ突出している。
ロボット搭載位置P5は、バス2に近づいているバッテリー搭載部22にバッテリー3が完全に搭載されているとともに係合爪部41がバッテリー3に係合しているときの位置である。ロボット収容位置P6は、バッテリー3が搭載されているバッテリー搭載部22およびバッテリー3に係合しているバッテリー係合部24がバス2から離れて保持部材26に収容されているときの位置である。
また、抜差位置の教示では、バス2に搭載される4個のバッテリー3のそれぞれについて、待機位置P1と車両搭載位置P2と第1バッテリー乗継位置P3と第2バッテリー乗継位置P4とロボット搭載位置P5とロボット収容位置P6とがロボット5に教示される。
バス2からのバッテリー3の引抜き時には、ロボット5は、待機位置P1、車両搭載位置P2、第1バッテリー乗継位置P3、ロボット搭載位置P5およびロボット収容位置P6をこの順番で移動するように動作して、バス2からのバッテリー3の引抜きを行う。また、バス2へのバッテリー3の差込み時には、ロボット5は、ロボット収容位置P6、ロボット搭載位置P5、第2バッテリー乗継位置P4、車両搭載位置P2および待機位置P1をこの順番で移動するように動作して、バス2へのバッテリー3の差込みを行う。なお、バス2からのバッテリー3の引抜き時には、バッテリー3の位置検出が行われるため、ロボット5は、実際には、待機位置P1からバッテリー検出位置P20を経由して車両搭載位置P2へ移動する。
ここで、バッテリー3の1個当たりの重量は、数百kgであるため、バッテリー置き台6とバッテリー搭載部22との間でバッテリー3が移動する過程で、バッテリー置き台6の高さや傾き、および、バッテリー搭載部22の高さや傾きが変動する。本形態では、バッテリー置き台6およびバッテリー搭載部22の高さや傾きの変動に起因してバッテリー置き台6とバッテリー搭載部22との間に高低差が生じるのを抑制するため、バス2からのバッテリー3の引抜き時には、第1バッテリー乗継位置P3からロボット搭載位置P5へロボット5が移動する際に昇降機構18がバッテリー抜差機構17を上昇させ、バス2へのバッテリー3の差込み時には、ロボット搭載位置P5から第2バッテリー乗継位置P4へロボット5が移動する際に昇降機構18がバッテリー抜差機構17を下降させる。
そのため、ロボット5の教示結果に基づいてバス2からのバッテリー3の引抜き動作を行うと、バッテリー搭載部22の任意の一点は、図25に示すように、矢印V1、V2、V3に沿う軌跡を描きながら、待機位置P1、車両搭載位置P2、第1バッテリー乗継位置P3、ロボット搭載位置P5およびロボット収容位置P6をこの順番で移動する。また、バス2からのバッテリー3の引抜き動作を行うと、バッテリー係合部24の任意の一点は、図25に示すように、矢印V4、V5、V6、V7に沿う軌跡を描きながら、待機位置P1、車両搭載位置P2、第1バッテリー乗継位置P3、ロボット搭載位置P5およびロボット収容位置P6をこの順番で移動する。
また、ロボット5の教示結果に基づいてバス2へのバッテリー3の差込み動作を行うと、バッテリー搭載部22の任意の一点は、図26に示すように、矢印V11、V12、V13に沿う軌跡を描きながら、ロボット収容位置P6、ロボット搭載位置P5、第2バッテリー乗継位置P4、車両搭載位置P2および待機位置P1をこの順番で移動する。また、バス2へのバッテリー3の差込み動作を行うと、バッテリー係合部24の任意の一点は、図26に示すように、矢印V14、V15、V16、V17に沿う軌跡を描きながら、ロボット収容位置P6、ロボット搭載位置P5、第2バッテリー乗継位置P4、車両搭載位置P2および待機位置P1をこの順番で移動する。
なお、バス2からのバッテリー3の引抜き動作を行うときには、バッテリー3の位置検出が行われる。バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24がバッテリー検出位置P20を経由する場合には、バス2からのバッテリー3の引抜き動作を行う際のバッテリー搭載部22の任意の一点の軌跡は、図27(B)に示すように、矢印V21、V22、V23、V24に沿う軌跡となり、バッテリー係合部24の任意の一点の軌跡は、図27(A)に示すように、矢印V25、V26、V27、V28、V29に沿う軌跡となる。
バス検出位置の教示データであるバス検出位置教示データと、バッテリー検出位置の教示データであるバッテリー検出位置教示データと、抜差位置の教示データである抜差位置教示データは、制御部91に記憶される。
(バッテリー検出位置の校正およびバス検出位置の校正)
図28〜図31は、図2に示すバッテリー交換ロボット5におけるバッテリー検出位置の校正時に算出される各種の値を説明するための図である。
ロボット5の教示が終わると、所定の基準位置にバス2が停止しているときに検出機構21によって検出用マーク8が実際に検出される検出位置と、教示されたバッテリー検出位置とのずれを補正して、所定の基準位置にバス2が停止しているときの一対の検出用マーク8の位置を正確に把握するため、バッテリー検出位置の校正を行う。バッテリー検出位置の校正は、教示されたバッテリー検出位置を基準位置とし、2個の検出機構21を用いて一対の検出用マーク8を検出することで行われる。このバッテリー検出位置の校正は、4組設けられている一対の検出用マーク8のそれぞれについて行われる。
バッテリー検出位置の校正では、検出機構21による検出用マーク8の検出結果に基づいて、制御部91は、以下のように各種の値を算出し、算出された各種の値をバッテリー検出位置の校正データであるバッテリー検出位置校正データとして記憶する。なお、バッテリー検出位置の校正時においては、バッテリー搭載部22およびバッテリー係合部24の移動方向である第1方向と前後方向とは、若干ずれることもあるがほぼ一致している。また、バッテリー検出位置の校正時においては、第1方向と上下方向とに直交する方向である第2方向と左右方向とは、若干ずれることもあるがほぼ一致している。
制御部91は、検出機構21によって検出される被検出部分8aの左右方向の両端部の位置から、左右方向における被検出部分8aの幅W1(図28参照)を算出して幅W1を校正データとして記憶するとともに、検出機構21によって検出される被検出部分8bの左右方向の両端部の位置から、左右方向における被検出部分8bの幅W2(図28参照)を算出して幅W2の校正データとして記憶する。
また、制御部91は、検出機構21によって検出される被検出部分8aの左右方向の両端部の位置から、左右方向における被検出部分8aの中心位置C1(図28参照)を算出して、第1方向における中心位置C1と検出機構21Aとの距離L1(図30参照)を算出し、距離L1を校正データとして記憶するとともに、検出機構21によって検出される被検出部分8bの左右方向の両端部の位置から、左右方向における被検出部分8bの中心位置C2(図28参照)を算出して、第1方向における中心位置C2と検出機構21Bとの距離L2(図30参照)を算出し、距離L2を校正データとして記憶する。
また、制御部91は、ロボット5の所定の原点Oと中心位置C1との左右方向の距離に対応する距離X1(図29参照)と、原点Oと中心位置C2との左右方向の距離に対応する距離X2(図29参照)とを算出する。たとえば、距離X1は、原点Oと中心位置C1との左右方向の距離に、検出機構21Aと検出機構21Bとの第2方向における距離X0の半分(X0/2)を加えた距離であり、距離X2は、原点Oと中心位置C2との左右方向の距離から、距離X0の半分を引いた距離である。また、制御部91は、距離X1と距離X2との差であるΔXを算出する。なお、前後方向から見たときに左右方向に対してバッテリー置き台6が傾いておらず、かつ、上下方向から見たときに左右方向に対してバッテリー置き台6が傾いていない場合には、ΔXは0になる。
また、制御部91は、前後方向から見たときに左右方向に対してバッテリー置き台6が傾いておらず、かつ、上下方向から見たときに左右方向に対してバッテリー置き台6が傾いていないときの左右方向における中心位置C1と中心位置C2との距離からΔXを引いて、第2方向における中心位置C1と中心位置C2との距離X3(図30参照)を算出する。また、制御部91は、下式(1)に基づいて、上下方向から見たときのバッテリー搭載部22に対するバッテリー置き台6の相対的な傾斜角度θ1を算出する。
θ1=tan−1(|L1−L2|/X3)×Sign・・・式(1)
式(1)において、Signは、上下方向から見たときのバッテリー搭載部22に対するバッテリー置き台6の傾斜方向によって決まる値であり、+1または−1である。なお、前後方向から見たときに左右方向に対してバッテリー置き台6が傾いておらず、かつ、上下方向から見たときに左右方向に対してバッテリー置き台6が傾いていないときの左右方向における中心位置C1と中心位置C2との距離は、上述の距離X0と等しくなっている。
教示されたバッテリー検出位置にロボット5がある場合の、上下方向から見たときの前後方向に対するバッテリー搭載部22の傾斜角度をθ2とすると、制御部91は、傾斜角度θ1と傾斜角度θ2とを加えて、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾斜角度(θ1+θ2)を算出し、この傾斜角度を校正データとして記憶する。なお、図30に示すように、上下方向から見たときに、中心位置C1と中心位置C2との最短距離の中点C3と、回動部材85の回動中心O1とを結んだ線上にバッテリー搭載部22の原点O2が配置されており、中点C3と回動中心O1とを結んだ線は、上下方向から見たときに前後方向に対して傾斜角度θ2だけ傾いている。
中点C3と回動中心O1との距離をL4とし、原点O2と回動中心O1との距離をL5とし、第1方向における原点O2と検出機構21の先端との距離をL6とすると、図30に示すように、下式(2)が成立する。
L4=L5+L6+(L1+L2)/2・・・式(2)
また、左右方向における中点C3と回動中心O1との距離をX4とすると、下式(3)が成立する。
X4=L4×sinθ2・・・式(3)
制御部91は、下式(4)に基づいて、傾斜角度θ1の影響による左右方向における検出用マーク8の変化量X5(図31参照)を算出し、変化量X5を校正データとして記憶する。
X5=L4×sin(θ1+θ2)−X4・・・式(4)
また、制御部91は、下式(5)に基づいて、第1方向におけるバッテリー搭載部22と検出用マーク8との距離L7を算出し、距離L7を校正データとして記憶する。
L7=L5+(L1+L2)/2・・・式(5)
また、制御部91は、下式(6)に基づいて、第1方向におけるバッテリー係合部24と検出用マーク8との距離L8を算出し、距離L8を校正データとして記憶する。
L8=L5+(L1+L2)/2・・・式(6)
このように、バッテリー検出位置の校正では、制御部91は、幅W1、幅W2、距離L1、距離L2、傾斜角度(θ1+θ2)、変化量X5、距離L7および距離L8を算出し、これらをバッテリー検出位置校正データとして記憶する。
また、所定の基準位置にバス2が停止しているときに検出機構21によって検出用プレート9が実際に検出される検出位置と、教示されたバス検出位置とのずれを補正して、所定の基準位置にバス2が停止しているときの検出用プレート9の位置を正確に把握するため、バス検出位置の校正を行う。バス検出位置の校正は、教示されたバス検出位置を基準位置とし、検出機構21を用いて検出用プレート9を検出することで行われる。バス検出位置の校正データであるバス検出位置校正データは、制御部91に記憶される。
(バッテリー交換ロボットの制御方法)
図32は、図2に示すバッテリー交換ロボット5の制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。図33〜図36は、図2に示すバッテリー交換ロボット5でのバッテリー3の交換時に算出される各種の値を説明するための図である。
バッテリー交換システム1では、バッテリー3が交換されるバス2が所定の停止位置に停止して、制御部91が外部装置からバス2の位置検出指令信号を受信すると、上述の手順でバス2の位置検出が行われる(ステップS61)。ステップS61では、バス検出位置教示データが読み出され、この教示データを基準にロボット5が動作して、停止しているバス2の実際の位置が検出される。ステップS61で検出されたバス2の位置は、バス停止位置データとして、制御部91に記憶される。
その後、制御部91において、バス2の基準停止位置と、バッテリー3が交換されるバス2が実際に停止している位置との差であるバス位置偏差の量(バス位置偏差量)が算出される(ステップS62)。ステップS62では、バス検出位置校正データが読み出されるとともに、バス停止位置データが読み出され、これらのデータを比較することで、バス位置偏差量が算出される。ステップS62で算出されたバス位置偏差量は、バス位置偏差量データとして、制御部91に記憶される。
その後、制御部91において、バス2が実際に停止している位置に基づく検出用マーク8の修正位置が計算される(ステップS63)。ステップS63では、バッテリー検出位置教示データが読み出されるとともに、バス位置偏差量データが読み出される。また、バッテリー検出位置教示データの値にバス位置偏差量データの値を加算等することで、バス2が実際に停止している位置に基づく検出用マーク8の修正位置である修正検出用マーク位置が計算される。ステップS63で計算された修正検出用マーク位置は、修正検出用マーク位置データとして、制御部91に記憶される。
その後、制御部91は、バス2に搭載される4個のバッテリー3のうちの交換されるバッテリー3を指定するバッテリー指定信号を外部装置から受け取る。制御部91がバッテリー指定信号を受け取ると、指定されたバッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6の検出用マーク8の位置検出が上述の手順で行われる(ステップS64)。ステップS64では、指定されたバッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6に形成される検出用マーク8について計算された修正検出用マーク位置データが読み出される。また、ステップS64では、読み出された修正検出用マーク位置データを基準にロボット5が動作して、指定されたバッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6の検出用マーク8の実際の位置が検出される。
その後、制御部91において、検出用マーク8の基準位置と、ステップS64で検出された検出用マーク8の実際の位置との差である検出用マーク位置偏差の量(検出用マーク位置偏差量)が算出される(ステップS65)。ステップS65で算出される検出用マーク位置偏差量は、指定されたバッテリー3の引抜きおよび差込みを行うための抜差位置教示データを補正するための補正値である。ステップS65では、指定されたバッテリー3が搭載されるバッテリー置き台6に形成される検出用マーク8に関するバッテリー検出位置校正データが読み出される。また、ステップS65では、ステップS64で検出された検出用マーク8の位置のデータと読み出されたバッテリー検出位置校正データとを比較することで、検出用マーク位置偏差量が算出される。
具体的には、ステップS65では、制御部91は、ステップS64での検出結果と式(5)とを用いて、第1方向におけるバッテリー搭載部22と検出用マーク8との実際の距離L71を算出するとともに、バッテリー検出位置の校正時に算出された距離L7と距離L71との差(L71−L7)を算出し、この差を第1方向におけるバッテリー搭載部22と検出用マーク8との距離の補正値(すなわち、第1方向におけるバッテリー搭載部22とバッテリー3との距離の補正値)とする。
また、ステップS65では、制御部91は、ステップS64での検出結果と式(6)とを用いて、第1方向におけるバッテリー係合部24と検出用マーク8との実際の距離L81を算出するとともに、バッテリー検出位置の校正時に算出された距離L8と距離L81との差(L81−L8)を算出し、この差を第1方向におけるバッテリー係合部24と検出用マーク8との距離の補正値(すなわち、第1方向におけるバッテリー係合部24とバッテリー3との距離の補正値)とする。
また、ステップS65では、制御部91は、ステップS64での検出結果から被検出部分8aの幅W11(図33参照)と被検出部分8bの幅W21(図33参照)を算出するとともに、下式(7)、(8)に基づいて高さの差ΔZ1、ΔZ2を算出し、その後、下式(9)に基づいて、高さの差ΔZMを算出する。
ΔZ1=((W11−W1)/2)/tan30°・・・式(7)
ΔZ2=((W21−W2)/2)/tan30°・・・式(8)
ΔZM=(ΔZ1+ΔZ2)/2・・・式(9)
また、制御部91は、ステップS64での検出結果に基づいて算出される検出用マーク8の高さZ1と、ロボット5の教示において教示された検出用マーク8の高さZ2との差ΔZB(=Z1−Z2)を算出するとともに、ΔZMとΔZBとの和(ΔZM+ΔZB)を算出し、この和をバッテリー3の高さの補正値とする。
また、ステップS65では、制御部91は、ステップS64での検出結果と式(1)とを用いて、傾斜角度θ11を算出するとともに、ステップS64で検出用マーク8を検出したときの、上下方向から見たときの前後方向に対するバッテリー搭載部22の傾斜角度θ21と傾斜角度θ11との和(θ11+θ21)を算出する。また、制御部91は、傾斜角度(θ11+θ21)と傾斜角度(θ1+θ2)との差((θ11+θ21)−(θ1+θ2))を上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾斜角度の補正値とする。
また、ステップS65では、制御部91は、ステップS64での検出結果と式(2)〜(4)とを用いて、傾斜角度θ11の影響による左右方向における検出用マーク8の変化量X51を算出する。また、図34に示すように、第1連結機構61と第2連結機構62との左右方向の距離をX6とすると、制御部91は、ΔZ1、ΔZ2の影響による検出用マーク8に対するバッテリー抜差機構17の、前後方向から見たときの左右方向に対する傾斜角度θ31を下式(10)に基づいて算出する。
θ3=tan−1(|ΔZ1−ΔZ2|/X6)・・・式(10)
また、図34に示すように、第1連結機構61と検出機構21との上下方向の距離をH1とすると、制御部91は、ΔZ1、ΔZ2の影響によるバッテリー3の左右方向の補正値X7を下式(11)に基づいて算出する。
X7=H1×tanθ3・・・式(11)
また、制御部91は、ステップS64での検出結果に基づいて算出される中心位置C1と中心位置C2との中点C3と原点Oとの左右方向の距離X8(図35参照)と、ロボット5の教示の際の中心位置C1と中心位置C2との中点C3と原点Oとの左右方向の距離X9との差ΔX(X8−X9)を算出する。また、制御部91は、変化量X51と補正値X7と差ΔXとの和(X51+X7+ΔX)を算出し、この和をバッテリー3の左右方向の位置の補正値とする。
また、2個の検出機構21間の第2方向における距離をX10とすると、制御部91は、下式(12)に基づいて、ΔTi(図36参照)を算出し、このΔTiを前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾斜角度の補正値とする。
Ti=X10×tanθ3・・・式(12)
このように、制御部91は、ステップS65において、基準位置に停止するバス2のバッテリー置き台6の、検出機構21での検出結果に基づいて算出される位置および傾き(すなわち、バッテリー検出位置の校正時に算出される位置および傾き)と、バッテリー3が交換されるバス2のバッテリー置き台6の、検出機構21での検出結果に基づいて算出される位置および傾き(すなわち、ステップS64、S65で算出される位置および傾き)とに基づいて、抜差位置教示データを補正するための補正値を算出する。また、以上のように算出された補正値が検出用マーク位置偏差量であり、この検出用マーク位置偏差量は、検出用マーク位置偏差量データとして、制御部91に記憶される。
その後、制御部91において、指定されたバッテリー3の引抜きおよび差込みを行うための抜差位置の補正位置が算出される(ステップS66)。ステップS66では、指定されたバッテリー3の抜差位置教示データが読み出される。また、ステップS66では、検出用マーク位置偏差量データが読み出され、抜差位置教示データの値に検出用マーク位置偏差量データの値を加算等することで、抜差位置の補正位置が算出される。すなわち、ステップS66では、抜差位置教示データが補正される。ステップS66で算出される抜差位置の補正位置は、具体的には、車両搭載位置P2の補正位置と、第1バッテリー乗継位置P3の補正位置と、第2バッテリー乗継位置P4の補正位置と、ロボット搭載位置P5の補正位置である。また、ステップS66で算出された抜差位置の補正位置は、補正抜差位置データとして制御部91に記憶される。
その後、ロボット5が車両搭載位置P2の補正位置へ移動し、係合爪部41が下降してバッテリー3の取手部11に係合する(ステップS67)。ステップS67では、車両搭載位置P2の補正位置が読み出される。その後、ロボット5は、第1バッテリー乗継位置P3の補正位置、ロボット搭載位置P5の補正位置へこの順番で移動する(ステップS68、S69)。ステップS68では、第1バッテリー乗継位置P3の補正位置が読み出され、ステップS69では、ロボット搭載位置P5の補正位置が読み出される。その後、ロボット5は、ロボット収容位置P6へ移動する(ステップS70)。
その後、ロボット5は、180°回動して、バッファステーションにバッテリー3を収容するとともに、バッファステーションから充電済みのバッテリー3を取り出し180°回動してから(ステップS71)、ロボット搭載位置P5の補正位置へ移動する(ステップS72)。ステップS72では、ロボット搭載位置P5の補正位置が読み出される。その後、ロボット5は、第2バッテリー乗継位置P4の補正位置、車両搭載位置P2の補正位置へこの順番で移動する(ステップS73、S74)。ステップS73では、第2バッテリー乗継位置P4の補正位置が読み出され、ステップS74では、車両搭載位置P2の補正位置が読み出される。その後、ロボット5は、待機位置P1へ移動する(ステップS75)。
図22に示すフローチャートを用いて説明したように、ステップS64〜S75までの動作は、停止しているバス2において交換が必要なバッテリー3の交換が完了するまで繰り返される。通常は、停止しているバス2の全てのバッテリー3が交換されるまで繰り返される。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、制御部91は、2個の検出機構21のそれぞれの発光部からのレーザ光がバッテリー置き台6に形成される2個の検出用マーク8のそれぞれを左右方向で横切るように、バッテリー搭載部22を左右方向へ移動させて、前後左右方向におけるバッテリー置き台6の位置、バッテリー置き台6の高さ、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾き、および、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー置き台6の傾きを算出している。すなわち、本形態では、制御部91は、バッテリー3の位置や傾きを間接的に算出している。そのため、本形態では、バス2の停止精度が低くても、バス2に搭載されているバッテリー3の位置や傾きを適切に検出して、ロボット5とバッテリー3との位置合わせを行うことが可能になる。したがって、本形態では、バス2に搭載されているバッテリー3を適切に交換することが可能になる。
また、たとえば、検出機構21がイメージセンサである場合には、イメージセンサで撮影された画像を処理するための画像処理装置等が必要となり、ロボット5が高価になるが、本形態では、検出機構21はレーザセンサであるため、ロボット5のコストを低減することが可能になる。
本形態では、検出用マーク8は、上側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる略正三角形状に形成されている。そのため、本形態では、比較的容易な処理で、上下方向、左右方向および前後方向におけるバッテリー置き台6の位置を算出することが可能になる。また、比較的容易な処理で、バッテリー置き台6の、前後方向から見たときの左右方向に対する傾き、および、上下方向から見たときの左右方向に対する傾きを算出することが可能になる。
本形態では、バッテリー置き台6に形成される2個の検出用マーク8のそれぞれをレーザ光が横切るように2個の検出機構21がバッテリー搭載部22に取り付けられている。そのため、2個の検出機構21のそれぞれによって、2個の検出用マーク8のそれぞれを同時に検出することが可能になる。したがって、本形態では、上下方向、左右方向および前後方向におけるバッテリー置き台6の位置、バッテリー置き台6の、前後方向から見たときの左右方向に対する傾き、および、上下方向から見たときの左右方向に対する傾きを短時間で検出することが可能になる。
本形態では、制御部91は、ステップS65において、基準位置に停止するバス2のバッテリー置き台6の、検出機構21での検出結果に基づいて算出される位置および傾きと、バッテリー3が交換されるバス2のバッテリー置き台6の、検出機構21での検出結果に基づいて算出される位置および傾きとに基づいて、抜差位置教示データを補正するための補正値を算出し、ステップS66において、この補正値に基づいて抜差位置教示データを補正している。そのため、本形態では、バス2に搭載されているバッテリー3をロボット5によって適切に抜差しすることが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、検出用マーク8は、上側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる略正三角形状に形成されている。この他にもたとえば、検出用マーク8は、下側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる略正三角形状に形成されても良い。また、検出用マーク8は、上側または下側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる正三角形以外の三角形状に形成されても良い。また、検出用マーク8は、上側または下側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなる略台形状に形成されても良い。また、上側または下側に向かうにしたがって左右方向の幅が次第に狭くなるのであれば、検出用マーク8は、三角形状および台形状以外の形状に形成されても良い。
また、検出用マーク8は、円形状に形成されても良い。検出用マーク8が円形状に形成される場合には、検出機構21が左右方向および上下方向で検出用マーク8を横切るようにバッテリー搭載部22を移動させて、検出用マーク8の中心位置を検出することで、バッテリー3の上下左右方向の位置を検出すれば良い。また、この場合には、たとえば、検出用マーク8の中心位置と検出機構21との距離からバッテリー3の前後方向の位置を検出すれば良い。
上述した形態では、検出用マーク8は、バッテリー置き台6の前面から突出する平板状に形成されている。この他にもたとえば、検出用マーク8は、バッテリー置き台6の前面から窪む凹部であっても良い。たとえば、図37に示すように、バッテリー置き台6の前壁を貫通する略正三角形状の貫通孔6aと、貫通孔6aを塞ぐようにバッテリー置き台6の前壁の後面に固定される反射板110とによって、検出用マーク8が形成されても良い。この場合には、バッテリー置き台6の製作時に、プレスによる抜き加工でバッテリー置き台6の前壁に貫通孔6aを形成することが可能になるため、平板状に形成される検出用マーク8をバッテリー置き台6の前面に固定する場合と比較して、検出用マーク8の位置精度を高めることが可能になる。
上述した形態では、検出用マーク8は、バッテリー置き台6に形成されているが、検出用マーク8は、バッテリー3に形成されても良い。また、上述した形態では、検出機構21は、バッテリー搭載部22に取り付けられているが、検出機構21は、バッテリー係合部24に取り付けられても良い。
上述した形態では、バッテリー搭載部22に2個の検出機構21が取り付けられているが、バッテリー搭載部22に取り付けられる検出機構21は、1個であっても良い。この場合には、1個の検出機構21が2個の検出用マーク8を順番に左右方向で横切るようにバッテリー搭載部22を移動させることで、前後左右方向におけるバッテリー3の位置、バッテリー3の高さ、前後方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾き、および、上下方向から見たときの左右方向に対するバッテリー3の傾きを検出することが可能である。
上述した形態では、バッテリー置き台6に2個の検出用マーク8が形成されているが、バッテリー置き台6に3個以上の検出用マーク8が形成されても良い。また、上述した形態では、ロボット5は、バス2に搭載されるバッテリー3を交換するためのロボットであるが、ロボット5は、トラックや自家用車等のバス2以外の車両のバッテリー3を交換するためのロボットであっても良い。