JP6050848B2 - 放射性セシウム除去方法及び放射性セシウム除去システム - Google Patents

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Description

本発明は、廃棄物の焼却に伴って発生する焼却灰にセシウム揮発促進剤を添加する添加処理と、当該セシウム揮発促進剤が添加された焼却灰を加熱する加熱処理とを実行する放射性セシウム除去方法及び放射性セシウム除去システムに関する。
「福島県内の災害廃棄物の処理の方針」(平成23年6月23日、環境省)では、放射性物質を含む災害廃棄物の焼却に伴って発生する焼却灰の取り扱いについて、放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下「放射能濃度」という。)が8,000Bq/kgの基準値を超える場合には中間貯蔵施設等での保管が必要であるが、上記基準値以下である場合には一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)で埋め立て可能という方針が示されている。しかしながら、埋め立て処分を促進させるためには、このような焼却灰から放射性セシウムを除去して、焼却灰の放射能濃度を一層低減させることが求められる。
また、廃棄物の焼却過程において、廃棄物中の放射性セシウムの多くは排ガスへ移行して飛灰に付着するため、主灰の放射能濃度は、飛灰と比べて小さくなり、上記基準値以下となることが多い。しかしながら、今後、除染特別地域などの高線量地域における除染廃棄物の焼却による減容化が進められるにあたり、上記基準値を超える主灰の量が増加する可能性がある。そこで、貯蔵容量に制限がある中間貯蔵施設等への主灰の搬入量を減らすためにも、このような主灰から放射性セシウムを除去して、主灰の放射能濃度を低減させることが求められる。
焼却灰から放射性セシウムを除去する従来の放射性セシウム除去技術として、焼却灰を塩化化合物などのセシウム揮発促進剤を添加した上で高温且つ長時間加熱することで、焼却灰から放射性セシウムを揮発除去するものが知られている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
また、主灰中の放射性セシウムは、その95%が非晶質中に取り込まれているとの報告がある(例えば、非特許文献1を参照。)。
特開2014−174090号公報 特開2013−120146号公報 特開2013−122440号公報
東條安匡,石井三香子,松尾孝之,松藤敏彦,島岡隆行、「焼却主灰中難溶解性セシウムの存在形態とその長期安定性に関する研究」、第25回廃棄物資源循環学会研究発表会 講演原稿集 D6−3、2014年9月16日〜9月17日、第477頁−第478頁
上述のように非晶質中に取り込まれた放射性セシウムはそのほとんどが非晶質中に取り込まれているため難溶性であり、除去するのが困難である。これに対し、従来の放射性セシウム除去技術では、焼却灰を非常に高温(例えば1200℃超)に加熱する必要があったが、この場合、大量のエネルギが必要となり、更には、焼却灰がスラグ化して元の性状とは大きく変化して取り扱い難いものとなるという問題もあった。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、焼却灰に対しセシウム揮発促進剤を添加した上で加熱することで、焼却灰から放射性セシウムを揮発除去する放射性セシウム除去技術において、エネルギ消費量の増加を抑制しながら、焼却灰から効率良く放射性セシウムを揮発除去することができる技術を提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、廃棄物を焼却する焼却処理を実行する焼却炉から排出された焼却灰にセシウム揮発促進剤を添加する添加処理と、当該セシウム揮発促進剤が添加された焼却灰を加熱する加熱処理とを実行する放射性セシウム除去方法であって、
前記添加処理の前に、前記焼却炉から排出された前記焼却処理後の焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる結晶化処理を実行する点にある。
本特徴構成によれば、結晶化処理により焼却灰の大部分を占める非晶質を結晶構造に変化させることで、エネルギ消費量の増加を抑制しながら、焼却灰から効率良く放射性セシウムを揮発除去できる。
即ち、焼却灰中の放射性セシウムの多くは焼却灰の大部分を占める非晶質中に取り込まれていると考えられている。そこで、セシウム促進剤を添加する前の焼却灰を結晶化温度域に保持することで、焼却灰の結晶化を促進させ、結晶化度の高い焼却灰を得ることができる。すると、その焼却灰において、放射性セシウムの多くは、難溶性の非晶質に取り込まれた状態ではなく、結晶化処理により生成された結晶構造中に取り込まれた状態で存在することになる。このように放射性セシウムを取り込んだ結晶構造については、非晶質とは異なり、セシウム揮発促進剤を添加した上で加熱処理を施すことで破壊され易くなる。このことから、結晶化処理を施した焼却灰を加熱処理するにあたり、比較的低温又は短時間で加熱してエネルギ消費量の増加を抑制した場合であっても、放射性セシウムを効率良く焼却灰から揮発除去することができる。
本発明の第2特徴構成は、上述の第1特徴構成を備えた放射性セシウム除去方法において、廃棄物を焼却する焼却炉から結晶化温度域以上の焼却灰を受け入れ、
前記結晶化処理において、前記受け入れた焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる点にある。
本特徴構成によれば、焼却炉から排出された結晶化温度域以上の焼却灰を受け入れる場合においては、結晶化処理において、受け入れた高温の焼却灰をそのまま緩慢に冷却するなどして結晶化温度域に保持し非晶質成分を結晶化させることができる。したがって、焼却灰を結晶化温度域に保持するための再加熱の必要がないので、大幅なエネルギ消費量の削減を実現することができる。
本発明の第3特徴構成は、上述の第1特徴構成を備えた放射性セシウム除去方法において、結晶化温度域未満の焼却灰を受け入れ、
前記結晶化処理において、前記受け入れた焼却灰を再加熱して結晶化温度域に保持する点にある。
本特徴構成によれば、結晶化温度域未満の焼却灰を受け入れる場合でも、結晶化処理における焼却灰の再加熱によって、当該焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させることができる。このように再加熱が必要な場合であっても、その再加熱の目標温度である結晶化温度域が、非晶質を多く含む焼却灰を溶融して放射性セシウムを揮発除去するための溶融温度よりも低温域であるため、全体としてエネルギ消費量の増加を抑制することができる。
本発明の第4特徴構成は、廃棄物を焼却する焼却処理を実行する焼却炉から排出された焼却灰にセシウム揮発促進剤を添加する添加処理を実行する添加処理部と、当該セシウム揮発促進剤が添加された焼却灰を加熱する加熱処理を実行する加熱処理部とを備えた放射性セシウム除去システムであって、
前記添加処理部による添加処理の前に、前記焼却炉から排出された前記焼却処理後の焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる結晶化処理を実行する結晶化処理部を備えた点にある。
本特徴構成によれば、前述の第1特徴構成を有する放射性セシウム除去方法が有する各処理を実行するための各処理部を備えているので、当該放射性セシウム除去方法と同様の作用効果を奏し、エネルギ消費量の増加を抑制しながら、主灰の大部分を占める非晶質中に取り込まれた放射性セシウムであっても、焼却灰から効率良く揮発除去することができる。
本発明の第5特徴構成は、上述の第1特徴構成を備えた放射性セシウム除去システムにおいて、廃棄物を焼却する焼却処理を実行する焼却炉を備えて廃棄物焼却設備として構成され、
前記結晶化処理部が、前記焼却炉から結晶化温度域以上の焼却灰を受け入れ、当該受け入れた焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる点にある。
本特徴構成によれば、焼却炉を備えて廃棄物焼却設備として構成すると共に、結晶化処理部がその焼却炉から排出された結晶化温度域以上の焼却灰を受け入れる場合においては、前述の第2特徴構成を有する放射性セシウム除去方法と同様に、結晶化処理部が実行する結晶化処理において、受け入れた高温の焼却灰をそのまま緩慢に冷却するなどして結晶化温度域に保持し非晶質成分を結晶化させることができる。したがって、焼却灰を結晶化温度域に保持するための再加熱の必要がないので、大幅なエネルギ消費量の削減を実現することができる。
本実施形態の処理システムの概略構成図 本実施形態の処理システムにおける焼却炉及び結晶化処理部の構成図 主灰の結晶構造の加熱処理前及び加熱処理後のX線回析結果を示すグラフ図
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態の焼却灰の処理システム10(放射性セシウム除去システムの一例)は、廃棄物を焼却する焼却炉1(焼却炉の一例)を備えた廃棄物焼却設備として構成されており、更には、この焼却炉1における放射性物質を含む廃棄物の焼却に伴って発生する主灰(焼却灰の一例)から放射性セシウムを除去するものとして構成されている。このため、この処理システム10には、主灰にセシウム揮発促進剤を添加する添加処理を実行する添加処理部4と、当該セシウム揮発促進剤が添加された主灰を加熱する加熱処理を実行する加熱処理部5とが設けられている。
ここで、「焼却灰」とは、都市ごみ、農林業系副産物(例えば、稲藁又は麦藁)、製材廃材、下水汚泥の脱水ケーキ、剪定枝、枯葉、草、紙類、プラスチック類、除染作業に用いられたタイベック又は衣類のような可燃性廃棄物、災害がれき等の災害廃棄物等の各種廃棄物の焼却によって生じる灰を意味する。
セシウム揮発促進剤の種類や加熱条件等については、公知技術を採用できるが、例えば、主灰に無機カルシウム化合物又は有機カルシウム化合物と塩化化合物をセシウム揮発促進剤として添加すれば、加熱処理において比較的低温の900℃〜1200℃且つ比較的短時間の120分以下、好ましくは10分以上60分以下の加熱により、主灰中の放射性セシウムを良好に揮発させることができる。
尚、無機カルシウム化合物としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カルシウムシアナミド、硫酸カルシウム及び硝酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種類の無機カルシウム化合物を利用することができる。また、有機カルシウム化合物としては、500℃以上の酸化雰囲気下で酸化カルシウムを生成する有機カルシウム化合物を利用することができる。また、塩化化合物としては、塩化ナトリウムが好適に利用可能であるが、塩化カルシウムや塩化カリウムなども利用することができる。
主灰に対しセシウム揮発促進剤を添加する添加処理部4は、特に限定されないが公知のブレンダーやスクリューフィーダ等で構成されている。そして、この添加処理部4は、主灰を加熱処理部5側へ搬送しながら、その主灰に対してセシウム揮発促進剤を散布する形態で、主灰に対してセシウム揮発促進剤を添加する。尚、主灰とセシウム揮発促進剤を混合機等で事前に混合することも可能である。また、セシウム揮発促進剤については、固体状(粉体)で添加してもよいが、液体状(溶液)で供給することもでき、液体状で供給した場合には、主灰中の微粉の飛散を抑制する効果を得ることができる。
主灰を加熱する加熱処理部5は、特に限定されないがロータリーキルンなどの公知の加熱炉で構成されている。そして、この加熱処理部5は、加熱処理により放射性セシウムが揮発除去された主灰を処理済主灰として排出すると共に、揮発した放射性セシウムを含む燃焼排ガスを排出する。
このように加熱処理部5から排出された処理済主灰は、放射線濃度が十分に低減されたものとなるため、放射性セシウムで汚染された汚染主灰の大幅な減容化が可能となると考えられる。
一方、加熱処理部5から排出された燃焼排ガスには、主灰から飛散した微粉が飛灰として含まれており、揮発した放射性セシウムがその飛灰に付着する。このように放射性セシウムが付着して放射性濃度が高い飛灰はバグフィルタ6により回収され、中間貯蔵施設などで保管されることになる。
以上が焼却灰の処理システム10の基本構成であるが、本実施形態の焼却灰の処理システム10及びそれにより実行される放射性セシウム除去方法は、エネルギ消費量の増加を抑制しながら、主灰の非晶質中に取り込まれた大部分の放射性セシウムであっても、焼却灰から効率良く揮発除去することができものとして構成されており、その詳細構成について以下に説明を加える。
添加処理部4による添加処理の前に、主灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる結晶化処理を実行する結晶化処理部2が設けられている。この結晶化処理部2は、詳細については後述するが、焼却炉1から結晶化温度域以上の主灰を受け入れ、当該受け入れた高温の焼却灰を緩慢冷却するなどして結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる。以下、焼却炉1及び結晶化処理部2の具体的構成について説明を加える。
図2に示すように、焼却炉1は、公知のストーカ炉として構成されており、投入された廃棄物を火格子1a上で撹拌・搬送しながら焼却し、その焼却の燃え残りである主灰を火格子1aの後端側にある主灰排出部1bから落下させ排出する。そして、この主灰排出部1bに排出される主灰は、高温の焼却時に形成された非晶質を多く含んでおり、廃棄物に含まれる放射性セシウムが、この非晶質中に取り込まれていると考えられる。
主灰排出部1bの下方には、主灰排出部1bから排出された結晶化温度域以上の主灰を収容する主灰収容部2aが設けられており、更に、その主灰収容部2aに収容された主灰を灰ピット3に搬送する主灰コンベア2bが設けられている。そして、これら主灰収容部2a及び主灰コンベア2bが、主灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる結晶化処理部2として機能する。
即ち、この主灰収容部2a及び主灰コンベア2bは、主灰を収容及び搬送すると共に、図示は省略するが外壁が断熱材で覆われていることにより、例えば800℃前後で受け入れた主灰を3時間以上24時間未満の時間をかけて冷却するというように、高温状態で受け入れた主灰の冷却を緩慢なものとする。更に、主灰コンベア2bには、主灰の搬送速度を調整可能な駆動モータ2dと、搬送される主灰の温度を検出する温度センサ2cと、温度センサ2cの検出結果に基づいて駆動モータ2dを制御することにより主灰の温度が結晶化温度域に保持されるよう主灰の搬送速度を制御するコンピュータ等からなる制御部2eとが設けられている。具体的に、この制御部2eは、温度センサ2cで検出された主灰の温度が結晶化温度域より高い場合は、駆動モータ2dの回転速度を上昇させて主灰の搬送速度を上げ、温度センサ2cで検出された主灰の温度が結晶化温度域よりも低い場合は、駆動モータ2dの回転速度を低下させて主灰の搬送速度を下げ、そして、主灰の温度が低い場合には、主灰コンベア2bにおいて、主灰の再加熱を焼却炉1から発生する排熱若しくは新たな熱源を用いて実施する。また、主灰コンベア2b上における温度センサ2cの配置箇所及び個数は適宜設定することができる。尚、主灰コンベア2bは主灰を搬送する形態であればコンベアに限らず、ロータリーキルンなどの装置でも構わない。
尚、結晶化処理部2において、主灰の非晶質成分を結晶化させるためには、主灰を900〜1200℃の範囲内(例えば1100℃程度)の結晶化温度域に保持することが必要であるが、例えば、これに加えて、硫化鉄や硫酸ナトリウムなどの結晶核形成剤を添加し、更には、結晶化温度域に保持する前にその結晶化温度域よりも若干低めの700〜900℃の範囲内(例えば800℃程度)の結晶核形成温度域に保持して、主灰の結晶化を一層促進させることができると考えられる。
これらの構成により、焼却炉1から排出された高温の主灰は、主灰収容部2aに排出されてから主灰コンベア2bで灰ピット3に搬送されるまでの間の所望の時間に亘って、所望の結晶化温度域に保持される。このことにより、主灰に含まれている非晶質の多くが結晶構造に変化することになる。よって、灰ピット3に排出された主灰に含まれる放射性セシウムの多くは、難溶性の非晶質に取り込まれた状態ではなく、結晶化処理により生成された結晶構造中に取り込まれた状態で存在することになる。
例えば、焼却炉1から排出され、セシウム揮発促進剤の添加及び加熱処理を施す前の主灰と、同処理を施した後の主灰との夫々について、結晶構造を確認するためにX線回析を行ったところ、図3に示すような結果となった。即ち、矢印Aで示される斜長石(NaAlSi−CaAlSi)の結晶構造については、セシウム揮発促進剤の添加及び加熱処理前の主灰では多く含まれているが、同処理後の主灰では殆ど含まれていないことが確認できた。
セシウムの濃度は非常に低いためX線回析でセシウムを含む結晶構造を直接確認することはできない。しかし、斜長石に含まれるナトリウムは、同じアルカリ金属であるセシウムと化学的特性が似ていることから、セシウムを含む結晶構造であるポルサイト(CsAlSi)と置換する可能性があることが知られており、斜長石の挙動はポルサイトの挙動と近似することができる。したがって、セシウム揮発促進剤の添加及び加熱処理により斜長石の結晶構造が消失したことからセシウムを含むポルサイト結晶構造も消失したと推定される。
一方、矢印Bで示される結晶構造のゲーレン石(CaAl(AlSi)O)や、矢印Cで示される結晶構造のラルン石(CaSiO)については、セシウム揮発促進剤の添加及び加熱処理前の主灰では少量であったが、同処理後の主灰では大幅に増加していることが確認できた。このことから、焼却炉1から排出された主灰に含まれていた斜長石が、セシウム揮発促進剤の添加及び加熱処理により、ゲーレン石やラルン石に構造変化したと考えられる。
以上により、セシウムを含むポルサイトはセシウム揮発促進剤の添加及び加熱処理により結晶構造が変化し、構造変化が起こる際にセシウムが揮発したものと考えられる。
そして、灰ピット3から払い出された主灰は、図1に示すように、添加処理部4に供給されてセシウム揮発促進剤が添加された後に、加熱処理部5に供給されて加熱処理が施されることになる。この主灰に含まれている放射性セシウムを取り込んだ結晶構造については、非晶質とは異なり、セシウム揮発促進剤を添加した上で加熱処理を施すことで破壊され易くなる。このことから、結晶化処理を施した主灰を加熱処理するにあたり、比較的低温又は短時間で加熱してエネルギ消費量の増加を抑制した場合であっても、放射性セシウムが効率良く主灰から揮発除去されると考えられる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、焼却灰の処理システム10を、焼却炉1を含む廃棄物焼却設備として構成し、結晶化処理部2において、焼却炉1から結晶化温度域以上の主灰を受け入れて結晶化処理を施すように構成したが、焼却炉を含む廃棄物焼却設備とは別の処理設備として構成して、保管場に保管されている結晶化温度域未満の主灰を受け入れて結晶化処理を施すように構成しても構わない。この場合には、結晶化処理において、廃棄物焼却設備から受け入れた低温の主灰を再加熱した上で結晶化温度域に保持することができる。
(2)上記実施形態では、放射性セシウムの揮発除去処理の対象となる焼却灰を主灰(燃え殻)とした例を説明したが、主灰以外の飛灰(煤塵)などの焼却灰を処理対象としても構わない。また、本願において、焼却灰の元となる廃棄物の種類(都市ごみ、農林業系副産物等)や当該焼却炉の種類(ストーカ炉、流動床炉、キルン炉等)については、特に限定されるものではない。
1 焼却炉
2 結晶化処理部
4 添加処理部
5 加熱処理部
10 処理システム(放射性セシウム除去システム)

Claims (5)

  1. 廃棄物を焼却する焼却処理を実行する焼却炉から排出された焼却灰にセシウム揮発促進剤を添加する添加処理と、当該セシウム揮発促進剤が添加された焼却灰を加熱する加熱処理とを実行する放射性セシウム除去方法であって、
    前記添加処理の前に、前記焼却炉から排出された前記焼却処理後の焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる結晶化処理を実行する放射性セシウム除去方法。
  2. 廃棄物を焼却する焼却炉から結晶化温度域以上の焼却灰を受け入れ、
    前記結晶化処理において、前記受け入れた焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる請求項1に記載の放射性セシウム除去方法。
  3. 結晶化温度域未満の焼却灰を受け入れ、
    前記結晶化処理において、前記受け入れた焼却灰を再加熱して結晶化温度域に保持する請求項1に記載の放射性セシウム除去方法。
  4. 廃棄物を焼却する焼却処理を実行する焼却炉から排出された焼却灰にセシウム揮発促進剤を添加する添加処理を実行する添加処理部と、当該セシウム揮発促進剤が添加された焼却灰を加熱する加熱処理を実行する加熱処理部とを備えた放射性セシウム除去システムであって、
    前記添加処理部による添加処理の前に、前記焼却炉から排出された前記焼却処理後の焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる結晶化処理を実行する結晶化処理部を備えた放射性セシウム除去システム。
  5. 廃棄物を焼却する焼却処理を実行する焼却炉を備えて廃棄物焼却設備として構成され、
    前記結晶化処理部が、前記焼却炉から結晶化温度域以上の焼却灰を受け入れ、当該受け入れた焼却灰を結晶化温度域に保持して非晶質成分を結晶化させる請求項4に記載の放射性セシウム除去システム。
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