JP6047996B2 - エンジンの燃焼室構造 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮自己着火を行うようにしたエンジンの燃焼室構造に関するものである。
ガソリンあるいはガソリンを主成分とする燃料を用いるエンジンにあっては、点火プラグにより着火を行う火花点火式とするのが一般的である。一方、最近では、燃費の大幅な向上等の観点から、エンジンの幾何学的圧縮比を15以上の高圧縮比として、ガソリンあるいはガソリンを主成分とする燃料を用いつつ、圧縮自己着火(予混合圧縮自己着火)を行うことが考えられている。
特許文献1には、圧縮自己着火エンジンではないが、幾何学的圧縮比を13以上の高圧縮比とした火花点火式のエンジンが開示されている。この特許文献1では、ペントルーフ型の燃焼室形状とし、吸気弁の往復直線運動方向と平行であり、かつ吸気弁のヘッド部(カサ部)を通過する互いに平行な複数の仮想切断面における燃焼室の各断面積Si1とし、上記ヘッド部とバルブシートとの間の有効開口面積(カーテンエリア面積)をSi2としたとき、吸気弁と排気弁とが開弁されるバルブオーバラップ期間の中央時点において、いずれの仮想切断面でもSi1≧Si2として、ヘッド部回りからの吸気がヘッド部下面をスムーズに通過できるようにして、掃気性および充填効率を向上させるものが開示されている。
特許文献2には、ピストン冠面にバルブリセスを形成すると共に、このバルブリセスのの段差によって吸気弁側から排気弁側へ向けての吸気ガスの流れを阻害しないように、バルブリセスの排気弁側の内壁面を100度以上の鈍角に形成することが開示されている。
特開2009ー162154号公報 特開2000−18041号公報
ところで、圧縮自己着火を行うためには筒内で均一に混合気を拡散させるために、燃料噴射弁を筒内の中央に配置して、筒内全体に均一に燃料噴射させる方が好ましい。また、筒内に噴射された燃料噴霧を均一に拡散させるためには、ピストン冠面を基本的にシリンダ軸線と直交する方向に伸びる平坦面とする一方、これに対応したシリンダヘッド下面も平坦面となるフラット型燃焼室とすることも考えられている(フラット型燃焼室を構成)。
上述のように、幾何学的圧縮比を極めて大きくした場合、ピストン上死点位置およびその付近において、シリンダヘッド下面とピストン頂面との間の隙間が極めて小さくなって、吸気弁と排気弁とが共に開弁するオーバラップ期間中での掃気性が極めて悪くなる。とりわけ、吸気は、吸気弁側から排気弁側へ向けて流れやすい一方、その分キャビティ内へ十分な吸気を供給することができず、キャビティ内の掃気が不十分となりやすいことになる。キャビティ内の掃気が十分に行われないと、充填効率の低下となって、出力低下の大きな原因となってしまう。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、幾何学的圧縮比が15以上の高圧縮エンジンにおいて、ピストン頂面の中央部に形成されたキャビティ内を十分に掃気できるようにしたエンジンの燃焼室構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、基本的に、吸気が、吸気弁のカサ部(ヘッド部)下面とバルブリセス底面との間の隙間のみならず、バルブリセスの周囲にあるスキッシュエリアをも十分に流れるようにして、このスキッシュエリアからキャビティへと流れるようにしてある。具体的には、本発明にあっては、次のようなの解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
幾何学的圧縮比が15以上とされ、少なくとも低負荷域において圧縮自己着火が行われるエンジンの燃焼室構造であって、
ピストン冠面の中央部にキャビティが形成され、
シリンダ軸線方向から見たとき、吸気弁のカサ部の一部が前記キャビティとオーバラップされており、
ピストン冠面に、前記カサ部とピストンとの干渉を防止するバルブリセスが前記キャビティに連なるように形成され、
1つの気筒に対して、クランク軸を挟んで一方側の領域においてクランク軸方向に間隔をあけて2つの吸気弁が設けられ、
前記バルブリセスの燃焼室への開口端をリセス側開口端とし、吸気ポートの燃焼室への開口端をポート側開口端としたとき、前記2つの吸気弁の間に位置される前記リセス側開口端の位置が、前記ポート側開口端の位置よりも吸気弁の中心に近い側の位置となるように設定され、
前記2つの吸気弁の間に、前記キャビティに連なる凹部が形成され、
前記凹部に間に点火プラグが配設され、
前記2つの吸気弁の各カサ部について、シリンダ軸線方向の上方から見たとき、それぞれ吸気弁のカサ部略中心を通りクランク軸線と直交する仮想線をX軸としクランク軸線と平行な仮想線をY軸として、該カサ部を第1象限から第4象限までの4つの領域に分けたとき、シリンダ軸線からもっとも遠い領域をA領域、シリンダ軸線にもっとも近い領域をD領域、A領域とD領域との間で他方の吸気弁に近い側の領域をC領域として設定したとき、
前記C領域においてのみ、前記リセス側開口端の位置が前記ポート側開口端の位置よりも吸気弁の中心に近い側の位置となるように設定されている、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、吸気弁の周縁部を通って燃焼室内に供給される吸気は、リセス側開口端位置よりも吸気弁のカサ部よりも外方側のスキッシュエリアに向けて積極的に導入されることになる。つまり、吸気の一部は、吸気弁のカサ部下面とバルブリセス底面との間の隙間からキャビティへと流れる一方、残りの吸気はスキッシュエリアからキャビティへと流れることになり、キャビティに向けての吸気の流れ通路が十分に確保されて、キャビティの掃気性を向上させることができる。
特に、リセス側開口端位置が、ポート側開口端位置よりも吸気弁の中心に近い側の位置となるように設定されていることから、吸気をより十分にスキッシュエリアに向けて流すことが可能となって、前述した効果をより十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
以上に加えて、2つの吸気弁の各カサ部の周縁からスキッシュエリアに流れる吸気同士が衝突して、効果的にキャビティに向かう流れを形成して、前述した効果をさらに十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
また、2つの吸気弁を通してスキッシュエリアに導入された吸気を、凹部を介してキャビティへ効果的に導くことができる。
さらに又、凹部を利用して点火プラグを配設しつつ、2つの吸気弁の間に点火プラグを配置することにより、点火プラグによる着火を行う際の燃焼速度を速めることができる。
以上に加えて、C領域以外の他の領域からの吸気を吸気弁のカサ部下面とバルブリセスとの隙間を通してキャビティに導入させつつ、C領域からの吸気をスキッシュエリアから凹部を経由してキャビティへと導入させることができる。つまり、キャビティへの吸気導入を領域に応じて適切に分散させて行うことができ、全体として、キャビティへの吸気導入を極めて効果的に行うことができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記2つの吸気弁の各カサ部について、シリンダ軸線方向の上方から見たとき、それぞれ吸気弁のカサ部略中心を通りクランク軸線と直交する仮想線をX軸としクランク軸線と平行な仮想線をY軸として、該カサ部を第1象限から第4象限までの4つの領域に分けたとき、シリンダ軸線からもっとも遠い領域をA領域、シリンダ軸線にもっとも近い領域をD領域、A領域とD領域との間で他方の吸気弁に近い側の領域をC領域として設定したとき、
シリンダ軸線方向から見たとき、吸気弁の軸線と平行でかつクランク軸線と平行な方向における2つのカサ部の任意位置Siでの断面において、前記C領域のうち前記任意断面Siよりも燃焼室の中心から遠い領域での前記カサ部回りのカーテンエリア面積をSi1とし、該任意位置Siでの断面における2つの吸気弁の間の燃焼室断面積をSi2としたとき、Si2≧Si1とされている、
ようにしてある(請求項対応)。この場合、凹部の断面積をも有効に利用して、スキッシュエリアからキャビティへと流れる吸気の流動抵抗を抑制することができる。また、吸気弁のカサ部のうち、バルブリセスのうちキャビティに近い領域Dや遠い領域Aについてはバルブリセスを利用したキャビティへの吸気導入を行いつつ、領域Cについてはスキッシュエリアを利用したキャビティへの吸気導入を行うというように、キャビティへの吸気導入を領域に応じて適切に分散させて行うことができ、全体として、キャビティへの吸気導入を極めて効果的に行うことができる。
ピストン冠面は、前記キャビティ、前記バルブリセスおよび前記凹部を除いた部分がシリンダ軸線と直交する方向に伸びる平坦面とされている、ようにしてある(請求項対応)。この場合、大きな面積範囲での平坦面を確保して、均一なスキッシュ流を確保して均一な燃焼を確保する上で好ましいものとなる。
本発明によれば、圧縮自己着火を行う高圧縮比エンジンにおいて、キャビティ内の掃気を十分に行って、充填効率向上等の上で好ましいものとなる。
本発明の第1の実施形態を示すもので、1つの気筒をシリンダ軸線方向の上方からみた簡略平面図。 第1の実施形態で用いられるピストンの一例を示す平面図。 図2のピストンの斜視図。 図1のX4−X4線相当断面図。 図1のX5−X5線相当断面図。 吸・排気弁のオーバラップ期間の設定例を示す特性図。 図1のX7−X7線相当断面図。 2つの吸気弁のカーテンエリア面積と2つの吸気弁の間の燃焼室断面積との関係を説明するための図。 2つの吸気弁について、カーテンエリア面積と燃焼室断面積との具体的な設定例を示す特性図。 断面位置S−12において、燃焼室断面積を(a)で示し、カーテンエリア面積を(b)で示す図。 断面位置S−8において、燃焼室断面積を(a)で示し、カーテンエリア面積を(b)で示す図。 断面位置S−4において、燃焼室断面積を(a)で示し、カーテンエリア面積を(b)で示す図。 断面位置S0において、燃焼室断面積を(a)で示し、カーテンエリア面積を(b)で示す図。 断面位置S2において、燃焼室断面積を(a)で示し、カーテンエリア面積を(b)で示す図。 断面位置S4において、燃焼室断面積を(a)で示し、カーテンエリア面積を(b)で示す図。 2つの排気弁のカーテンエリア面積と2つの排気弁の間の燃焼室断面積との関係を説明するための図。 2つの排気弁について、カーテンエリア面積と燃焼室断面積との具体的な設定例を示す特性図。
図1は、本発明が適用されたエンジンの燃焼室構造について、シリンダ軸線方向から見たときの吸・排気弁等の配置関係を示す簡略平面図である。この図1において、符合Xは紙面直角方向に伸びるシリンダ軸線を示し、符合Kは、紙面上下方向に伸びるクランク軸線を示す。
1つの気筒(シリンダ)には、クランク軸線Kを挟んで一方側(図中左方側)の領域において、2つの吸気弁1A、1Bが配設されている。2つの吸気弁1Aと1Bとは、クランク軸線K方向に並んで配設されている。なお、以下の説明で2つの吸気弁1Aと1Bとを区別する必要のないときは、吸気弁1として示すこともある。
1つの気筒(シリンダ)には、クランク軸線Kを挟んで他方側の領域において、2つの排気弁2A、2Bが配設されている。2つの排気弁2Aと2Bとは、クランク軸線K方向に並んで配設されている。なお、以下の説明で2つの排気弁2Aと2Bとを区別する必要のないときは、排気弁2として示すこともある。図1において、吸気弁1により開閉される吸気ポートが符合5で示され(図9をも参照)、排気弁2により開閉される排気ポートが符合6で示される。
シリンダ軸線X上において、1つの燃料噴射弁3が配設されている。また、2つの吸気弁1Aと1Bとの間には、第1点火プラグが4Aが配設され、2つの排気弁2Aと2Bとの間には第2点火プラグ4Bが配設されている。なお、以下の説明で2つの点火プラグ4Aと4Bとを区別する必要のないときは、点火プラグ4として示すこともある。
図2、図3は、ピストン10を示すものである。ピストン10の冠面の中央部には、キャビティ11が形成されている。キャビティ11は、シリンダ軸線X方向から見たとき円形とされており、その中央部には、山形の突起部11aが形成されている。
ピストン1の冠面には、点火プラグ4A、4Bに対応する位置において、キャビティ11に連なる凹部12A、12Bが形成されている。図5に示すように、キャビティ11の突起部11aの真上に燃料噴射弁3が位置され、凹部12A内に第1点火プラグ4A(の着火部)が位置され、凹部12B内に第2点火プラグ4B(の着火部)が位置される。図4から明かなように、凹部12A、12Bの底面は、キャビティ11の底面と滑らかに連なるように形成されている。
ピストン10の冠面(つまり頂面)は、キャビティ11、凹部12A、12Bおよび後述するバルブリセス部分を除いた部分が、シリンダ軸線Xと直交する方向に伸びる平坦面とされており、同一高さとなる平坦面部分を符合10aで示してある。
吸気弁1,排気弁2は、その一部が、シリンダ軸線方向Xから見たときに、前記キャビティ11とオーバラップするように位置設定されている。なお、実施形態では、エンジンは自動車用エンジンとされているが、これに限定されるものではない。また、実施形態では、図1に示すような気筒がクランク軸線K方向に複数設けられた多気筒エンジンとされているが、気筒数は適宜選択できるものであり、さらに直列多気筒エンジンに限らずV型多気筒エンジン等、適宜の形式のエンジンに適用できるものである。
幾何学的圧縮比は、15以上、より具体的には実施形態では18というように、極めて高圧縮比に設定されている。燃料は、通常の火花点火式エンジンと同じようにガソリンあるいはガソリンを主成分とする燃料が用いられるようになっている。図4、図5に示すように、シリンダヘッド30の下面のうち、ピストン10の平坦面10aに対向する面は、シリンダ軸線Xと直交する方向に伸びる平坦面とされており、これにより、幾何学的な高圧縮比が確保されると共に、スキッシュ流が十分に得られるような設定とされている。そして、ピストン10が上死点位置にあるときの燃焼室容積は、キャビティ11によって確保されるようになっている。
吸気弁1と排気弁2は、掃気のために、共に開弁状態とされるオーバラップ期間を有する。図6は、このオーバラップ期間の設定例を示してあり、図中Tがオーバラップ期間であり、Tcがオーバラップ期間の中間位置であり、ピストン上死点位置は、中間位置Tcよりも進角側に設定されている。
以上のようなエンジンは、少なくとも低負荷域では圧縮自己着火が行われる(より具体的にはHCCIと呼ばれる予混合圧縮自己着火で、HCCI=Homogenneous−Charge Compression−Ignition)。圧縮自己着火が行われる低負荷域(エンジン回転数が増大するのに伴って相対的に圧縮自己着火が実行される負荷域がより低負荷側とされる)では、圧縮上死点よりも十分前に燃料噴射弁3から燃料噴射が実行され、ピストンが圧縮上死点付近になった時点で、自己着火される(急速燃焼となる)。圧縮自己着火を実行するときの空燃比は、Gを新規空気とEGRガスの合計ガス量とし、Fを燃料量としたとき、G/F(重量比)が20以上のリーンとされる。
中負荷域から高負荷域にかけては、圧縮上死点直前に燃料噴射弁3から燃料噴射されて、2つの点火プラグ2による火花点火による着火が行われる。この火花点火を行うときの空燃比は、圧縮自己着火を行うときの空燃比よりも十分にリッチとされる(ただし理論空燃比またはそれ以下のリーン空燃比)。
図2、図3に示すように、ピストン10の冠面には、合計4つのバルブリセス15A、15B、16A、16Bが形成されている。バルブリセス15Aは吸気弁1Aに対応しており、バルブリセス15Bは吸気弁1Bに対応している。また、バルブリセス16Aは排気弁2Aに対応しており、バルブリセス16Bは排気弁2Bに対応している。なお、各バルブリセス15A、15B、16A、16Bの深さは均一で、例えば1mm程度と浅くされている。
次に、図7を参照しつつ、吸気弁1Aとそのバルブリセス15Aに着目して、隣接する吸気弁1B側との設定について説明する。まず、吸気弁1Aのカサ部が符合1aで示され、弁軸が符合1bで示される。なお、弁軸1bはシリンダ軸線Xと平行に伸びている(排気弁2の弁軸もシリンダ軸線Xと平行に伸びている)。吸気弁1Aのカサ部1aによって吸気ポート5が開閉され、図7では、圧縮上死点付近におけるカサ部1aの状態が示される。
ピストン10が圧縮上死点にあるとき、2つの吸気弁1Aと1Bとの間に位置するピストン冠面の平坦面10aに対して、シリンダヘッド30の下面が接近している(実施形態ではその隙間が例えば約0.7mm程度と極めて小さくされている)。
図7において、吸気弁1A用のバルブリセス15Aのうち、隣接する他方の吸気弁1Bつまり凹部12Aにもっとも近い側の燃焼室への開口端位置(上端位置)が、リセス側開口端位置50として示される。また、吸気ポート5の燃焼室への開口端のうち凹部12Aにもっとも近い側の開口端位置が、ポート側開口端位置51として示される。さらに、吸気ポート5のスロート部について、上記ポート側開口端位置51を通る延長線が符合W2で示される。
図7から明かなように、リセス側開口端位置50は、吸気ポート5のスロート部の延長線W2が圧縮上死点にあるピストン冠面と当接する位置よりも吸気弁1Aの中心に近い側に位置設定されている。また、実施形態では、リセス側開口端位置50は、吸気ポート5の燃焼室への開口端位置となるポート側開口端位置51よりも吸気弁1Aの中心に近い側に位置設定されている。これにより、吸気弁1Aの周縁部のうち凹部12Aに近い側から燃焼室へ導入される吸気の多くが、平坦面10aに衝突されることになる。そして、平坦面10aに衝突された吸気の多くは、白抜き矢印で示すように、凹部12A側のスキッシュエリアSEへと向きを変更されて、凹部12A経由してキャビティ11内へ導入されることになる(キャビティ11の掃気性向上)。
バルブリセス15Aの底面から平坦面10aへ向けて立ち上がる段差面が符合52で示される。仮に、リセス側開口端位置50が、延長線W2よりも凹部12A側に位置されていると、凹部12A側に近い部分から燃焼室へ導入される吸気の多くが、段差面52に衝突して、この段差面で方向変換されてカサ部1aの下方へと流れやすくなってしまうことになる。
ここで、図1を参照しつつ、前記平坦面10a(スキッシュエリアSE)を利用したキャビティ11への吸気導入の点についてより詳細に説明する。まず、吸気弁1Aにおけるカサ部1aの中心を通って、クランク軸線Kと直交する方向をX軸、クランク軸線Xと平行に伸びる方向をY軸とする。このX軸とY軸とで分割される4つの領域のうち、シリンダ軸線Xからもっとも離れた位置にある領域を領域Aとし、シリンダ軸線Xにもっとも近い領域を領域Dとし、領域Aと領域Dとの間にある領域のうち、排気弁から遠い領域と領域Cとし、残りの領域を領域Bとする。
延長線W2よりも吸気弁1Aに近い側に位置設定されたリセス側開口端位置50は、図1における領域Cの周縁部のみに設定される。つまり、領域Aと領域Dと領域Cとの各周縁部から導入される吸気は、もっぱら、カサ部1a下面とバルブリセス15Aの下面との間の隙間を通ってキャビティ11に導入される。そして、領域Cの周縁部から導入される吸気が、スキッシュエリアSEから凹部12Aを経由して、キャビティ11へと導入され、このときの吸気の流れを図1において矢印αで示してある。このように、領域に応じて、キャビティ11へ向けての導入経路が複数形成されて、キャビティ11への吸気導入を効果的に行うことができる。
以上説明した吸気弁1Aおよびそのバルブリセス15Aについてのことは、吸気弁1Bについても同様に設定されている。
領域Cの周縁部から導入された吸気の流れとなる矢印αの流れをより良好に行うため、次のような設定とするのが好ましい。まず、図8は、図1に対応したものであり、この図8において、カサ部1a上において吸気弁1の軸線(弁軸1b)と平行でかつクランク軸線Kと平行な任意の断面位置Siを想定する。断面位置Siとしては、実施形態では、カサ部1aの中心(バルブセンタ)を0位置として、その外方側(シリンダライナ側)位置をマイナスの符合を付して示し、シリンダボア側位置をプラスの符合を付して示してある。そして、Siの例として、S−12、S−8、S−4、S0、S4,S8を採択してある(Sの後に付された数値は、吸気弁中心からの離間距離で単位はmm)。
上記任意の断面位置Siにおいて、前述した2つの吸気弁1A、1Bの各カサ部1aのC領域の周縁部におけるカーテンエリア面積をSi・1とし、断面位置Siでの2つの吸気弁1Aと1Bの各各カサ部の間にある燃焼室断面積をSi・2としたとき、Si・2≧Si・1となるようにされている。すなわち、例えば断面位置S−12におけるカーテンエリア面積はS−12・1として示され、燃焼室断面積はS−12・2として示される。同様に、例えば断面位置S0におけるカーテンエリア面積はS0・1として示され、カサ部1a下方の燃焼室断面積はS0・2として示される。断面位置Siでのカーテンエリア面積Si1とカサ部1a下方の断面積Si2との具体的な数値は、図9にまとめて示してある。また、図10〜図15において、各断面位置S−12〜S8での燃焼室断面積Si・2を(a)で示し、カーテンエリア面積Si・1を(b)で示してある。なお、図10〜図15において、燃焼室断面積部分をドットを付して示してある。
排気弁2A、2Bについても、吸気弁1A、1Bと同様に設定されている。ただし、キャビティ11から各排気ポート6への流れをコントロールするもので、キャビティ11に残存した排気ガス(掃気によって吸気と混合されている)は、凹部12Bから、排気弁2Aと2Bとの間にあるスキッシュエリアを経由して、排気弁のカサ部のうち領域Cの周縁部から排気ポート6へと排気ガスが流れることになる。勿論、排気弁2A、2Bについては、領域Cの周縁部におけるバルブリセス16A(16B)のリセス側開口端位置のみが、ポート側開口端位置(あるいはそのスロート部の延長線位置)よりも、対応する排気弁に近い側に位置されている。
排気弁2A、2Bについて、吸気弁1A、1Bの場合と同様に、カーテンエリア面積をSiとし、排気弁(2A、2B)の各カサ部の間にある燃焼室断面積をSi2としたとき、Si1≦Si2となるようにとなるように設定されている。図8に対応した図16には、排気弁2A、2Bについての任意の断面位置が示され、図9に対応した図17には、任意の断面位置でのカーテンエリア面積Si1とSi2との具体的な設定例が示される。そして、図1において、キャビティ11から排気弁2A、2B(における領域C)に向けての排気ガス(掃気ガス)の流れが、符合βで示される。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。1つの気筒について排気弁2を1つのみ設けるようにしてもよい。リセス側開口端位置50の位置を、吸気ポート5のスロート部の延長線W2が圧縮上死点にあるピストン冠面と当接する位置と同じ位置としてもよく、あるいはポート側開口端位置51と同じ位置としてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明は、例えば自動車用エンジンとして好適である。
X:シリンダ軸線
K:クランク軸線
α:吸気の流れ(吸気弁の領域Cからスキッシュエリアを経由してキャビティに向かう流れ)
β:排気の流れ(キャビティから排気弁の莉Cに向かう流れ)
W2:延長線(ポート側開口端位置を通るスロート部の延長線)
A〜D:領域
SE:スキッシュエリア
1(1A、1B):吸気弁
1a:カサ部
1b:弁軸
2(2A、2B):排気弁
3:燃料噴射弁
4A、4B:点火プラグ
5:吸気ポート
6:排気ポート
10:ピストン
10a:平坦面
11:キャビティ
11a:突起部
12A、12B:凹部(点火プラグ配設用)
15A、15B:バルブリセス(吸気弁用)
16A、16B:バルブリセス(排気弁用)
40:リセス側開口端位置
51:ポート側開口端位置
52:段差面

Claims (3)

  1. 幾何学的圧縮比が15以上とされ、少なくとも低負荷域において圧縮自己着火が行われるエンジンの燃焼室構造であって、
    ピストン冠面の中央部にキャビティが形成され、
    シリンダ軸線方向から見たとき、吸気弁のカサ部の一部が前記キャビティとオーバラップされており、
    ピストン冠面に、前記カサ部とピストンとの干渉を防止するバルブリセスが前記キャビティに連なるように形成され、
    1つの気筒に対して、クランク軸を挟んで一方側の領域においてクランク軸方向に間隔をあけて2つの吸気弁が設けられ、
    前記バルブリセスの燃焼室への開口端をリセス側開口端とし、吸気ポートの燃焼室への開口端をポート側開口端としたとき、前記2つの吸気弁の間に位置される前記リセス側開口端の位置が、前記ポート側開口端の位置よりも吸気弁の中心に近い側の位置となるように設定され、
    前記2つの吸気弁の間に、前記キャビティに連なる凹部が形成され、
    前記凹部に間に点火プラグが配設され、
    前記2つの吸気弁の各カサ部について、シリンダ軸線方向の上方から見たとき、それぞれ吸気弁のカサ部略中心を通りクランク軸線と直交する仮想線をX軸としクランク軸線と平行な仮想線をY軸として、該カサ部を第1象限から第4象限までの4つの領域に分けたとき、シリンダ軸線からもっとも遠い領域をA領域、シリンダ軸線にもっとも近い領域をD領域、A領域とD領域との間で他方の吸気弁に近い側の領域をC領域として設定したとき、
    前記C領域においてのみ、前記リセス側開口端の位置が前記ポート側開口端の位置よりも吸気弁の中心に近い側の位置となるように設定されている、
    ことを特徴とするエンジンの燃焼室構造
  2. 請求項1において、
    前記2つの吸気弁の各カサ部について、シリンダ軸線方向の上方から見たとき、それぞれ吸気弁のカサ部略中心を通りクランク軸線と直交する仮想線をX軸としクランク軸線と平行な仮想線をY軸として、該カサ部を第1象限から第4象限までの4つの領域に分けたとき、シリンダ軸線からもっとも遠い領域をA領域、シリンダ軸線にもっとも近い領域をD領域、A領域とD領域との間で他方の吸気弁に近い側の領域をC領域として設定したとき、
    シリンダ軸線方向から見たとき、吸気弁の軸線と平行でかつクランク軸線と平行な方向における2つのカサ部の任意位置Siでの断面において、前記C領域のうち前記任意断面Siよりも燃焼室の中心から遠い領域での前記カサ部回りのカーテンエリア面積をSi1とし、該任意位置Siでの断面における2つの吸気弁の間の燃焼室断面積をSi2としたとき、Si2≧Si1とされている、
    ことを特徴とするエンジンの燃焼室構造。
  3. 請求項1または請求項2において、
    ピストン冠面は、前記キャビティ、前記バルブリセスおよび前記凹部を除いた部分がシリンダ軸線と直交する方向に伸びる平坦面とされている、ことを特徴とするエンジンの燃焼室構造。


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