JP6047527B2 - 基板型光導波路素子 - Google Patents
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Description
しかしながら、偏波多重を含む高速通信の変調方式は複雑な構成の光変調器が必要になり、装置の大型化、高額化といった課題が生じる。こうした課題に対して、加工が容易であり、集積化による小型化、大量生産による低コスト等のメリットを持つシリコンを用いた基板型光導波路による光変調器が研究されている。
特性が異なるこれらのモードに対して、光変調操作を行う場合、単一の基板型光導波路素子だけでは困難であり、モードごとに最適設計された基板型光導波路素子が必要となるが、これは基板型光導波路素子の開発の面で大きな労力が必要となる。
偏波変換を基板上で行う技術として、TE0とTE1との変換と、TE1とTM0との変換を組み合わせる手法がある。このうち、TE0とTE1との変換に着目する。なお、TE1は2番目に実効屈折率の高いTEモードを表す。
図69に、非特許文献1に記載の構造をモデル化した光導波路素子を示す。(A)は平面図、(B)は断面図である。
この光導波路素子は、コア部81,82およびクラッド15を有する。クラッド15は、下部クラッド7と上部クラッド6とを有する。
コア部81,82は直線導波路であり、並列されて方向性結合器を構成している。この方向性結合器では、コア部81のTE0とコア部82のTE1とを結合させ、モード変換を行う。
方向性結合器において効率的なモード変換を行うには、TE0とTE1の実効屈折率を同程度とする必要がある。このため、それぞれのモードに応じて導波路構造が調整される。
この光導波路素子では、TE0とTE1の実効屈折率を同程度とするため、コア部81,82の幅が調整されている。コア部81,82の幅が互いに異なることから、この方向性結合器は「非対称方向性結合器」と呼ばれる。
従って、従来技術は、高効率な変換を可能にする波長帯域が狭く、また製造誤差に弱いという問題がある。
この例では、コア部81,82はSi(屈折率3.48)からなり、上部/下部クラッド6,7はともにSiO2(屈折率1.44)からなる。コア部81,82の高さは220nmとした。コア部81,82の間隔は200nmとした。
モード変換対象のTE0が導波する、幅の狭い方のコア部81を有する導波路を「導波路1」とし、TE1が導波する、幅広のコア部82を有する導波路を「導波路2」とする。
コア部81の幅を400nmとする。このとき、波長1580nmにおいて、コア部81のTE0とコア部82のTE1の実効屈折率が同程度になるようにコア部82の幅を838nmと定めた。それぞれの実効屈折率の計算結果を表1に示す。計算には、有限要素法(FEM)を用いた。
非対称方向性結合器では、ある波長(この例では1580nm)で、コア部の幅などの導波路構造を調整することで結合対象の2つのモードの実効屈折率を合わせても、波長が変化すると、実効屈折率にずれが生じる。
この問題は、2つのコアが高さも幅も互いに等しく、かつ同じモードの結合を取り扱う、対称方向性結合器では生じない問題であり、異なるモードの結合を扱う非対称方向性結合器に特異的に生じる問題である。
式(1)、(2)、(4)より、波長がずれるに従い変換効率Tが低下するため、広い波長帯域で高い効率の変換は望めない。
このときの波長(1520nm〜1640nm)に対する変換効率を、式(1)〜(4)を基に計算した。結果を図71に示す。ここで、式(1)のLは、1520nm〜1640nmの波長帯域での変換効率の最小値が、最大になるような値であり、L=16.1μmである。
図71より、1580nm付近の波長から離れるに従い変換効率は低下し、1520nm〜1640nmの波長帯域で約−0.94dB以上となる。これは、上述のように波長に対してΔNの絶対値が増加したためである。
これにより、上述の波長依存性に関する議論と同様に変換効率が低下する。
このことを確認するために、リソグラフィ/エッチングによって生じるコア部の幅の製造誤差を例にとる。
通常、製造誤差は、コア部の幅の設計値(マスクにより規定されるコア部の幅。図72ではW81、W82)に対して、図72に示すように、局所的には2つのコア部81,82に、互いに同じ量(δ)だけ生じる。この例では、各コアの両側縁の位置がそれぞれδ/2ずつ内方または外方に変化することを想定している。
この図より、コア部81のTE0とコア部82のTE1の実効屈折率が大きくずれ、ΔNの絶対値が大きくなっていることが分かる。これを基に変換効率を計算した。Lには上述の値を採用した(L=16.1μm)。結果を図74に示す。
この図より、製造誤差によってΔNの絶対値が大きくなったため、変換効率が大きく下がっていることがわかる。具体的には、1580nmで変換効率は約−5.16dB、1520nm〜1640nmの範囲で約−7.32dB以上となる。このことから、非対称方向性結合器は製造誤差に弱いといえる。
このように、従来技術の非対称方向性結合器を備えた光導波路素子では、モード変換における波長帯域が狭く、製造誤差に弱いという問題点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い波長帯域で高い変換効率を確保し、かつ製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる基板型光導波路素子を提供することを課題とする。
前記接続端において、前記出力部の幅は、前記第1コア部の幅と、前記第2コア部の幅と、前記第1コア部と前記第2コア部の間隔との合計より大きいことが好ましい。
前記第1コア部、前記第2コア部および出力部は、光の導波方向に垂直な断面が矩形状であることが好ましい。
前記前段モード変換部では、前記第1コア部および第2コア部の高さが互いに等しく、かつ、前記第1コア部と第2コア部のうち断面が大きいコア部の幅が、光の導波方向に沿って連続的に小さくなることによって、前記出力端で前記第1コア部と前記第2コア部の断面の形状が互いに合同となることが好ましい。
前記コアは、前記第1コア部および前記第2コア部の幅方向に延出したスラブ部を有し、前記スラブ部は、高さ寸法が前記第1コア部および前記第2コア部に比べて小さく、少なくとも、前記第1のコア部と前記第2のコア部との間にこれらを互いに接続して形成されていることが好ましい。
前記スラブ部は、さらに、前記第1のコア部および前記第2のコア部からそれぞれ幅方向の外方に延出して形成された外方延出領域を有することが好ましい。
前記スラブ部は、さらに、前記出力部から幅方向の外方に延出して形成された外方延出領域を有することが好ましい。
前記後段モード変換部は、前記出力部の後段に、前記出力部より幅が小さい出力側コア部が接続されることによって、マルチモード干渉計として機能することが好ましい。
前記前段モード変換部は、TE0をTE0のスーパーモードの奇モードに変換可能であり、前記後段モード変換部は、前記スーパーモードの奇モードをTE1に変換可能であることが好ましい。
前記コアは、前記前段モード変換部の入力側に、前記第1コア部と前記第2コア部の一方または両方を平面視において湾曲させて形成した曲げ導波路を有し、前記曲げ導波路において、前記第1コア部と前記第2コア部とが、前記前段モード変換部に近づくほど互いに接近することが好ましい。
前記前段モード変換部と前記後段モード変換部との間に、これらを互いに接続する中間コア部が設けられていることが好ましい。
前記コアがSiからなり、前記クラッドがSiO2からなることが好ましい。
本発明は、前記基板型光導波路素子を備えた偏波多重4値位相変調器を提供する。
本発明は、前記基板型光導波路素子を備えたコヒーレント受信機を提供する。
本発明は、前記基板型光導波路素子を備えた偏波ダイバーシティを提供する。
光の導波方向に導波路構造が変化する構造(例えばテーパ導波路)を有するスーパーモード生成素子では、入力されたTE0がTE0のスーパーモードの奇モードに変換される。突合せ結合素子では、TE0のスーパーモードの奇モードと矩形導波路のTE1との電界分布の類似性を利用することで、前記奇モードがTE1に変換される。
スーパーモード生成素子は、出力端における2つのコア部の断面の形状および大きさが互いに同じとなる(合同となる)ため、製造誤差の影響を受けにくく、波長依存性も小さい。
突合せ結合素子は、波長が変化した場合や、製造誤差により導波路構造が変化した場合でも、奇モードとTE1の両方の電界分布が変化するため、波長変化や製造誤差の影響が小さい。
従って、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
本発明の基板型光導波路素子は、前段モード変換部(スーパーモード生成素子)と後段モード変換部(突合せ結合素子)とを組み合わせた構成を有する。
光の導波方向に導波路構造が変化する構造(例えばテーパ導波路)を有するスーパーモード生成素子では、入力されたTE0がTE0のスーパーモードの奇モードに変換される。突合せ結合素子では、前記奇モードがTE1に変換される。
スーパーモード生成素子は、光の導波方向に導波路構造を連続的に変化させることで、いわゆる断熱変化の現象を利用して、TE0のモードを奇モードに変えるため、前記構造の導波路(例えばテーパ導波路)を十分に長くすれば、奇モードへの変換効率を高めることができる。
突合せ結合素子は、TE0のスーパーモードの奇モードと矩形導波路のTE1との電界分布の類似性を利用することで、奇モードからTE1への変換効率を高めることができる。
スーパーモード生成素子は、出力端における2つのコア部の断面の形状および大きさが互いに同じとなる(合同となる)ため、製造誤差の影響を受けにくく、波長依存性も小さい。
突合せ結合素子は、波長が変化した場合や、製造誤差により導波路構造が変化した場合でも、奇モードとTE1の両方の電界分布が変化するため、波長変化や製造誤差の影響が小さい。
従って、本発明は、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できるという特徴を持つ。
はじめに、本発明の基板型光導波路素子の具体例を提示した後、この具体例を参照しつつ、スーパーモード生成素子によるTE0と奇モードの変換原理を述べ、次いで、突合せ結合素子による奇モードとTE1の変換の原理について述べ、続いて、本発明の効果を説明する。
本発明の第1の実施形態として、図1に示す基板型光導波路素子10の構造について説明する。図1(A)は、基板型光導波路素子10を示す平面図であり、図1(B)は、図1(A)の断面位置(a)における断面図であって、光の導波方向に垂直な断面を示す。この断面において、コア部1とコア部2とが向かい合う方向(光の導波方向に垂直な方向)の寸法を幅といい、前記幅方向に垂直な方向(基板Sに垂直な方向)の寸法を高さという。
クラッド15は、コア5よりも屈折率が低い材料からなり、コア5を覆って形成される。クラッド15は、上部クラッド6と下部クラッド7とを有する。上部クラッド6は、コア5および下部クラッド7の上に設けられている。
下部クラッド7は、例えばSiO2からなる。上部クラッド6は、例えばSiO2または空気層からなる。
コア部1,2および出力部3は、好ましくはSi(シリコン)からなる。
以下、コア部1を第1コア部1といい、コア部2を第2コア部2ということがある。
なお、本発明は、コアがSiからなるシリコン導波路に限らず、SiO2からなるコアを用いた光導波路、例えばプレーナ光波回路(Planar Lightwave Circuit:PLC)等の光導波路に適用することもできる。
コア部1,2の高さH1,H2は互いに等しいことが好ましい。コア部1,2の高さが互いに等しいと、コアを形成する際のエッチング回数を最小減に抑えることができる。
スーパーモード生成素子の基本原理について述べる。
スーパーモード生成素子では、隣接する2つの導波路において、一方の導波路のTE0を他方の導波路のTE0に徐々にモード結合させることで、TE0をTE0のスーパーモードの奇モードに変換する。
基板型光導波路素子における2つの導波路をそれぞれ導波路1、2と呼ぶ。導波路1は、入力端においてコア部の幅が、導波路2のコア部の幅より小さい方とする。
ここでいう導波路は、光を導波する経路であって、コアとクラッドとから形成される。図1に示す基板型光導波路素子10の前段モード変換部8では、導波路1はコア部11およびこれを覆うクラッド部からなる。導波路2はコア部12およびこれを覆うクラッド部からなる。
モード結合を効率よく行うには、導波路における結合対象のモードの実効屈折率が、互いに同程度である必要がある。「同程度」とは、実効屈折率の差が、後述する結合係数χを用いて、χ×波長/πよりも小さいことをいう。この条件が満たされていることを「位相整合している」という。なお、コアの形状と大きさが同じ(合同)である場合、そこを伝搬する同じモードの光の実効屈折率は同じになるため、常に位相整合する。これは、波長が変化してもコア形状は変わらないため成り立つ。また、2つのコア部に互いに同じ変動(幅や高さの変動)が起きる場合などのように、2つのコア部に互いに同じ量の製造誤差が生じる場合でも、コアの合同の関係が崩れないため、位相整合は崩れない。
この図に示すように、隣接する導波路間でTE0をモード結合させるとき、コア部の高さが互いに等しい場合には、コア部の幅を互いに同じにすることでコア形状が同じになるため、位相整合する条件が成立する。これは、波長が変化しても常に成り立つ。
また、コア部の幅が互いに同じ構造では、2つのコア部に互いに同じ変動(幅や高さの変動)が起きる場合などのように、2つのコア部に互いに同じ量の製造誤差が生じる場合でも位相整合は崩れない。
図1を参照しつつ、スーパーモード生成素子の具体例である前段モード変換部8を説明する。
前段モード変換部8を構成する範囲のコア部1,2を、それぞれ前段第1コア部11および前段第2コア部12という。
コア部11,12の入力端11a,12a(前段入力端)は、光がそれぞれコア部11,12に入力する端部である。出力端11b,12d(前段出力端)は、光がコア部11,12から出力する端部である。
前段第1コア部11の内側縁11c(コア部11の両側縁のうちコア部12側の側縁)と外側縁11d(内側縁11cとは反対側の側縁)はそれぞれ直線状に形成されている。
コア部11,12の断面形状は矩形が好ましい。
光の導波方向に導波路構造を変化させるには、コア部の幅を光の導波方向に沿って変化させることが好ましい。
コア部の幅は、コア部への光の閉じ込めに関係するため、幅を変化させることで、コア部を導波する光のモードの実効屈折率を任意に調整することができる。
導波路構造を変化させる手法としては、コア部の高さを変化させる手法もあるが、コア部の高さを一定としたまま、コア部の幅をコア部の長さ方向に変化させる手法は、SOI基板の加工において、1度のエッチングでコア部を作製することができるため、好ましい。
前段第2コア部12の外側縁12d(内側縁12cとは反対の側縁)は、入力端12aから出力端12bにかけて徐々に内側縁12cに近づくように傾斜した直線状とされている。
このため、前段第2コア部12は、入力端12aから出力端12bにかけて幅(図1(B)の幅W2)が一定の割合で連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
前段第2コア部12は、幅が徐々に狭くなるため、断面の大きさが入力端12aから出力端12bにかけて一定の割合で連続的に小さくなっている。
第2コア部12のテーパ化により、出力端11b,12bでは、コア部11,12の幅は互いに等しくなっている。このため、出力端11b,12bでは、コア部11,12の断面の形状および大きさは互いに同じである。
コア部11,12は互いに離間している。コア部11,12の間隔(gap)は、入力端11a、12aから出力端11b、12bにかけて一定とすることができる。
例えば、入力端における断面が小さい方のコア部の大きさが、光の導波方向に沿って連続的に大きくなることによって、出力端で2つのコア部の断面が互いに合同となる構造を採用してもよい。
「連続的に変化する」とは、コア部11,12の構造に急峻な変化がなく、例えば、コア部の外面に段差部分が生じるほどの不連続な凹凸箇所が生じない程度にコア部11,12の断面が変化することをいう。
図4は、前段モード変換部8を示す図であり、図4(A)は平面図、図4(B)は図4(A)の断面位置(c)に沿う断面図、図4(C)は断面位置(b)に沿う断面図、図4(D)は断面位置(a)に沿う断面図である。
このため、コア部12(コア部2)は、入力端12a(X=−200)から出力端12b(X=0)にかけて幅が徐々に狭くなるテーパ状となっている。
なお、図4(C)は入力端11a、12aと出力端11b、12bとの中間位置(X=−20)における断面を示す図である。
さらに、コア部の形状もしくは大きさを光の導波方向に沿って連続的に変化させる(すなわちコア部をテーパ化する)ことによって、入力端から出力端にかけて、連続的に位相整合させていく。
一方、出力端11b、12bでは、コア部11,12(コア部1,2)の幅(図4(B)の幅W11b,W12b)が互いに等しいことにより、コア部11,12の断面の形状および大きさは互いに同じとなる。このため、位相整合が成立する。
上述のように、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは結合係数χに依存するため、結合係数χが大きいほど、高効率なモード変換が、短い導波路(短いデバイス長)で可能となる。
なお、導波路の幅を変えて実効屈折率を調整する手法は、導波路サイズが大きいほどコア部への光の閉じ込めが大きくなり、コア部の屈折率の影響を強く受けるため、実効屈折率が上昇するという現象を利用している。
コア部の幅を光の導波方向に変化させる(すなわち導波路をテーパ化する)ことによって、入力端において位相整合する条件を崩すことができることを確認するため、導波路1,2がそれぞれ独立に存在する場合のモードの実効屈折率を計算した。結果を図5に示す。なお、波長は1580nmとした。
Xが0から離れるに従って、導波路1,2のTE0の実効屈折率にずれが生じ、位相整合する条件は崩れていく。
−200≦X<0の範囲で、導波路1のTE0の実効屈折率が導波路2のTE0の実効屈折率より小さくなっているのは、導波路1では、導波路2に比べてコア部の幅が小さいためである。
導波路が独立に存在する場合の実効屈折率を示す図5と比べると、図6では、X=0で、#0と#1とは一致せず、互いに離れている。
これは、導波路1のTE0と導波路2のTE0の間で位相整合する条件が成り立つことから、モード結合によって2つのモードは相互作用し、混在したモード(スーパーモード)を形成しているためである。
X=0から離れると、位相整合する条件が成立しなくなっていくために、このような相互作用は起きず、導波路が独立して存在するときと同様のモード分布が得られ、その結果、実効屈折率も独立に導波路が存在する場合と大きく変わらなくなる。なお、X=0において、モード#0は偶モードとなり、#1は奇モードとなる。
図7(A)、(B)は断面位置(a)における電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(A)モード#0、(B)モード#1]である。(C)、(D)は断面位置(b)における電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(C)モード#0、(D)モード#1]である。(E)、(F)は断面位置(c)における電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(E)モード#0、(F)モード#1]である。
なお、x,yはそれぞれ幅方向、高さ方向を表す。図7(E)、(F)の電界分布はそれぞれ図3(A)、(B)と同じである。
図7(D)に示す断面位置(b)(X=−20)では、導波路2のTE0へモードが結合し始めていることがわかる。
図7(F)に示す断面位置(c)(X=0)では、位相整合する条件が成り立つため、導波路1のTE0と導波路2のTE0が混在したスーパーモードの奇モードが見られる。
このように、光の導波方向に導波路構造を徐々に変化させることで、導波路1に入力したTE0を奇モードに変化させることが可能であることがわかる。
以上がスーパーモード生成素子の原理である。
また、互いに隣接する2つのコア部が、出力端において断面の大きさが互いに同じであり、かつそれ以外の範囲では第1コア部のTE0の実効屈折率が第2コア部のTE0の実効屈折率より小さくなる、という条件を満たしていれば、テーパ化するコア部は2つのコア部の一方のみでもよいし、2つのコア部の両方であってもよい。
例えば、第1コア部11が、第2コア部12と同様に、入力端11aから出力端11bにかけて連続的に幅を減じるテーパ状に形成されていてもよい。
なお、導波路構造を変化させる手法としては、コア部の幅に限らず、コア部の高さを光の導波方向に沿って変化させる手法もある。コア部の高さを変化させることで、コア部を導波する光のモードの実効屈折率を任意に調整することができる。
また、前記具体例では、コア部の入力端および出力端は、光の導波方向に対して垂直に形成されているが、この垂直方向に対し傾斜していてもよい。
続いて、突合せ結合素子によって奇モードをTE1に変換する原理について述べる。
TE0同士の奇モードは、TEモードの主な電界分布であるEx成分が反対称で、2つのピークを持つような電界分布を有する。
一方、TE1もまたEx成分が反対称で、2つのピークを持つような電界分布を有する。
このため、TE1と奇モードとは類似性が高い。そのため、奇モードが伝搬する2つの導波路と、TE1の導波する1つの導波路とは、不連続に接続しても、高い結合効率を持って奇モードからTE1を変換することが可能である。
図1を参照しつつ、突合せ結合素子の具体例である後段モード変換部9を説明する。
後段モード変換部9は、コア部11の出力側に連なって形成された後段第1コア部13と、コア部12の出力側に連なって形成された後段第2コア部14と、これらコア部13,14の出力端13b、14bが接続される出力部3とを有する。
コア部13,14の入力端13a,14a(後段入力端)は、光がそれぞれコア部13,14に入力する端部であり、出力端13b,14d(後段出力端)は、光がコア部13,14から出力する端部である。
後段モード変換部9は前段モード変換部8の出力側に連なって形成されているため、入力端13aは出力端11bと同じ位置にあり、入力端14aは出力端12bと同じ位置にある。
後段第1コア部13の内側縁13c(コア部13の両側縁のうちコア部14側の側縁)と外側縁13d(内側縁13cとは反対側の側縁)はそれぞれ直線状に形成されている。
後段第2コア部14の内側縁14c(コア部14の両側縁のうちコア部13側の側縁)と外側縁14d(内側縁14cとは反対側の側縁)はそれぞれ平面視直線状に形成されている。
後段第1コア部13と後段第2コア部14とは、平面視において互いに平行であることが好ましい。
コア部13,14は、前段第2コア部12と同じ方向に延在する直線導波路である。
コア部13,14は互いに離間しており、その間隔(gap)は、入力端13a、14aから出力端13b、14bにかけて一定とされている。
図示例のコア部13,14は幅および高さが長さ方向に一定であるため、断面形状(光の導波方向に垂直な断面の形状)も全長にわたって一定である。
コア部13,14の出力端13b、14bは、出力部3の入力端3g(接続端)に、共通に接続されている。
図示例の出力部3では、一方の側縁3cは外側縁13dに比べて外側方寄りに位置しており、これにより、出力部3の一方の側部は、コア部13の外側縁13dより外側方に張り出して形成されている。外側縁13dより外側方(図1(A)の左方)に張り出した部分を突出部3eという。
出力部3の他方の側縁3dは外側縁14dに比べて外側方寄りに位置しており、これにより、出力部3の他方の側部は、コア部14の外側縁14dより外側方に張り出して形成されている。外側縁14dより外側方(図1(A)の右方)に張り出した部分を突出部3fという。
コア部13,14が接続される入力端3gは、平面視において、コア部13,14の延在方向に対し垂直であることが好ましい。
出力部3の高さは、コア部1,2の高さと等しいことが望ましい。
図8は、後段モード変換部9を示す図であり、図8(A)は平面図、図8(B)はコア部の断面図、図8(C)は出力部の断面図である。
後段モード変換部9では、「導波路1」はコア部13を有する導波路に相当し、「導波路2」はコア部14を有する導波路に相当する。「導波路3」は出力部3を有する導波路に相当する。
コア部13,14(コア部1,2)の幅W13,W14はそれぞれ400[nm]とする。
コア部13,14(コア部1,2)の間隔をgap[nm](gap=200)とする。
コア部13,14の中央線C1は、出力端13b、14b(入力端3g)において、コア部13,14とこれらの隙間を含む幅方向範囲(コア部13の外側縁13dからコア部14の外側縁14dまでの範囲)の中央を通り、コア部13,14の延在方向に沿う線である。中央線C1から外側縁13d,14dまでの距離はそれぞれ(W13+W14+gap)/2である。
出力部3の中央線C2は、平面視において出力部3の延在方向に沿う線であって、入力端3gにおいて、中央線C2から側縁3c,3dまでの距離はそれぞれW3/2である。中央線C1,C2は互いに平行とすることができる。
図9に、この条件下(W=1000)での、導波路3(出力部3)におけるTE1のEx成分(y=0.00730942μm)を示す。図9は、電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、EX成分を示すグラフ[(B)]である。
図10は、図9と同じ条件における、導波路1,2(コア部13,14)での奇モードを示す。図10は、電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、EX成分を示すグラフ[(B)]である。なお、図10(A)、(B)の電界分布はそれぞれ図3(B)、(D)と同じである。
出力部3は、コア部13の外側縁13dより一側方(図8(A)の左方)に張り出した突出部3eと、コア部14の外側縁14dより他側方(図8(A)の右方)に張り出した突出部3fとを有する。
図11に、導波路3の幅と、奇モード/TE1の変換効率の関係を示す(波長は1580nmとした)。
この図に示すように、変換効率はW=1250付近で最大値(−0.022dB)となる。
これは、(W=1000の場合と比べて)Wを大きくすることで、奇モードとのピーク位置が揃い、式(6)の積分値が大きくなったためである。
この図を図9(W=1000)と比較すると、図12では、図9に比べ、ピーク位置が幅方向外側に移動しており、図10の奇モードのピーク位置に近づいていることがわかる。このため、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE1との電界分布の重なりが大きくなる。
このように、突合せ結合素子の出力部を「W3>W13+W14+gap」を満たすように形成することによって、奇モードとTE1の電界分布の類似性を利用することで、奇モードをTE1に高効率で変換することができる。
[効果1]
効果1として、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、製造誤差に強いことが挙げられる。以下、その理由について述べる。
従来技術である非対称方向性結合器では、位相整合する条件を維持することが、高い変換効率を維持するのに必要であった。
しかしながら、波長が変わったり、製造誤差によって導波路構造が変化した場合、この条件が満たされず、変換効率が低下する。
これに対し、本発明で用いられるスーパーモード生成素子は、出力端でコア部の断面の形状および大きさが互いに同じであるため、波長が変わっても実効屈折率にずれが生じることはなく、位相整合が崩れることはない。
従って、広い波長帯域で高い変換効率を確保することができる。
従って、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
そのため、導波路構造が変化する部分(例えばテーパ導波路)の長さ(テーパ長)を十分長くとることにより、低損失でモード変換が可能となる。
波長が変化した場合、それに応じてモードの電界分布はコアに対して広がったり(波長が増加した場合)、縮んだり(波長が減少した場合)する。
この変化は、任意のモードで同一であるため、奇モードとTE1の場合でも、波長の変化に応じて互いに同じ電界分布の変化をもつ。そのため、突合せ結合の変換効率は高い値となる。
これを確認するために、図13に、W=1250のときの波長と変換効率との関係を示す。
この図より、波長が変化しても高い変換効率が維持されることがわかる。
そのため、突合せ結合素子では、変換効率の低下は起こらず、高い変換効率を確保できる。
この図より、導波路1〜3のコア幅が変化しても、高い変換効率が維持されることがわかる。
従って、本実施形態では、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)および突合せ結合素子(後段モード変換部)を使用することによって、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
参考文献[1]:MICHAEL G. F. WILSON, et. al., “Tapered Optical Directional Coupler,” IEEE TRANSACTIONS ON MICROWAVE THEORY AND TICCHNIQUES, VOL. MTT-23, NO. 1, JANUARY 1975
また、スーパーモード生成素子を使用することにより断熱変化の現象を利用でき、さらに、突合せ結合素子において、奇モードとTE1の電界分布の類似性を利用することができる。
従って、本発明では、広い波長帯域で高い変換効率を確保することができ、しかも製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できるという顕著な効果を奏する。
効果2として、TE0とTE1のモード多重が可能であることが挙げられる。
本発明では、スーパーモード生成素子の導波路2にTE0を入力すると、突合せ結合素子からTE0のままで出力される。
これは、図6の実効屈折率曲線において、導波路2に入力したTE0は、スーパーモード生成素子で偶モードになり、その後、突合せ結合素子において、導波路3のTE0に結合するためである。
従って、導波路1,2にそれぞれTE0を入力することで、TE0とTE1が多重された光を出力することができる。
なお、偶モードの電界分布は、幅方向に対称であるため、幅方向に反対称な導波路3のTE1とは結合しない。そのため、TE1と混ざることはない。
効果3として、一回のリソグラフィ/エッチングプロセスで作製することができ、製造が容易であることが挙げられる。
例えば、SOI基板のSi層を、1回のリソグラフィ/エッチングプロセスで、図1等に示すコア5(コア部1,2および出力部3)とすることができる。
また、コア等の高さに関する要請は特に無く、光導波路の一般的な条件が成立していればよいことから、他の光導波路素子との集積が容易であることも利点として挙げることができる。
効果4として、細かいプロセスを必要とせず、製造が容易であることが挙げられる。
例えば、従来のTE0とTE1の変換構造としては、非対称なY分岐があるが、Y分岐は、プロセス上、付け根部分を精度よく作製することが容易ではなく、形成精度の低下は性能劣化につながる。特に、各部位の寸法がサブマイクロメータのオーダであるシリコン細線導波路では、この問題は顕著である。
それに対して、本実施形態では、コア部の間隔が長さ方向に一定である。Y分岐の付け根とは異なり2つの導波路を互いに接するまで徐々に接近させる必要がないことから、容易に製造ができる。
効果5として、デバイス長が短いことが挙げられる。
奇モードとTE1の変換構造としては、対称なY分岐構造も考えられるが、この場合、導波路を徐々に接近させる必要があるため、デバイス長が長くなりやすい。
それに対して、本実施形態では、奇モードとTE1の変換に、突合せ結合素子を用いている。突合せ結合は非常に短い距離で可能であるため、Y分岐構造に比べて、デバイス長を短くできる。
<基板型光導波路素子>
図15は、本発明の実施例1である基板型光導波路素子20(モード変換素子)を示す図であって、図15(A)は平面図であり、図15(B)は、図15(A)の断面位置(a)における断面図である。なお、以下、既出の基板型光導波路素子と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
コア部11(コア部1)の幅は400[nm]とし、コア部12(コア部2)の幅は400−X[nm]とした(−200≦X≦0)。Xは、入力端12aから出力端12bにかけて、−200から0まで線形に変化する。コア部13,14の幅はそれぞれ400[nm]である。コア部1,2の間隔gapは200[nm]である。出力部3の幅は1250[nm]である。コア部1,2および出力部3の高さは220nmである。
これによって、コア部1(直線導波路23)とコア部2(曲げ導波路24)とは、少なくとも出射端23b,24bを含む長さ範囲で、前段モード変換部8に近づくほど互いに接近している。
曲げ導波路24の湾曲形状は、例えば、円弧状とすることができる。曲げ導波路24の形状はこれに限らず、任意の曲線状であってよい。例えば楕円弧状、放物線状、双曲線状などの高次曲線状(例えば二次曲線状)を採用できる。図示例の曲げ導波路24は、2つの略円弧を組み合わせたS字状とされている。
これは、テーパ構造に比べ、コア部が互いに離間する構造の方が、結合を弱める効果が高いからである。
基板型光導波路素子20は、直線導波路23および曲げ導波路24がなくても基板型光導波路素子としての機能に支障はないが、上述のように、反射の低減やモード結合の低減などの利点があることから、これら(直線導波路23および曲げ導波路24)を採用するのが好ましい。
例えば、コア部2が直線導波路を有し、コア部1が曲げ導波路を有する構造でもよいし、コア部1,2の両方が曲げ導波路を有する構造でもよい。
突合せ結合素子(図15の後段モード変換部9)の長さL2は1μmとした。波長は1550nmとした。計算結果を図16に示す。
図16は、スーパーモード生成素子のテーパ長L1(テーパ導波路(コア部12)の長さ)と変換効率との関係を示している。
この図より、スーパーモード生成素子のテーパ長L1が長いほど、光の導波方向のコア部の幅の変化が緩やかになるため、断熱変化の条件が成立しやすくなり、変換効率が高くなることがわかる。
図18より、本実施例では、1520nmから1640nmにわたって、−0.56dB以上の高い変換効率を持つことが確認できる。
なお、電界分布は長波長になるにつれコア部の外に広がり、隣接する導波路への結合が大きくなるため、長波長においてスーパーモード生成素子の変換効率が高くなり、それによって全体の変換効率が向上している。
計算結果を図19に示す。
この図より、本構造は、製造誤差に強いことが確認できる。
なお、製造誤差がある場合(図19)に、製造誤差がない場合(図18)よりも変換効率が向上しているのは、次の理由による。
コア部の幅が変化すると、そのコア内への光の閉じ込めの程度が変化する。幅が小さくなった場合、閉じ込めが弱くなるため、コアからの浸み出しが増え、それによりスーパーモード生成素子の隣接導波路への結合が強くなる。このため、製造誤差がある場合の方が変換効率が上昇している。
ただし、製造誤差によっては、閉じ込めが強くなる場合もあるが、変換効率の変動の幅は導波路間で同程度であるため、本発明が製造誤差に強いという事実は変わらない。
そのために、コア部2に入力側からTE0(区別のためTE0’と記載)を入力した時の突合せ結合素子から出力されるTE0’の透過率(コア部2へ入力したTE0’のパワーに対する、突合せ結合素子から出力されるTE0’のパワーの比)をFDTDによりシミュレーションした。
このとき、透過率は−0.86dBとなり、多くのパワーが透過することがわかる。以上により、本実施例はモード多重が可能である。
本実施例と、従来技術である非対称方向性得結合器の性能と比較する。詳しくは、実施例1と、図69の構造を有する比較例1とを比較する。まず、比較の妥当性について次の観点から検討する。
本発明に用いられるスーパーモード生成素子と従来技術の非対称方向性結合器は、ともにモード結合の原理を利用している。
モード結合は、隣接導波路への光の浸み出しが大きいほど結合が強くなり効率が上がる。そのためには、コア部の幅を小さくし光の閉じ込めを弱くすればよい。
しかしながら、実際に作製することを考慮すると、コア部の幅が狭すぎると再現性が低下したり、リソグラフィの精度に依存しマスク設計通りの導波路が作製できなかったりといった問題があるため、コア部の幅には作製が可能な最小値がある。
そのため、最小のコア部の幅を同じ条件にすることで、実施例1と比較例1との比較が可能となる。なお、コア部の間隔を小さくすることでも結合は強くなるため、実施例1と比較例1とのコア部の間隔も同じにしている。
比較例1(図69の非対称方向性結合器)は、結合対象となるTE0が導波するコア部1(最もコアを狭くする必要がある部分)の幅を400nmとし、これと位相整合するようにコア部2の幅を決定した。
最小のコア部の幅およびコア部の間隔を同じ条件としたため、実施例1と比較例1との比較が可能となる。
図21より、比較例1(比較例1−1)では、波長1580nm付近では実施例1よりも低損失ではあるが、波長が変化すると大きく変換効率が低下する。そのため、波長による損失変化が大きい。
また、この波長範囲の最小変換効率を比較すると、実施例1(実施例1−1)の方が高いことがわかる。
以上のように、実施例1(実施例1−1)は、比較例1(比較例1−1)よりも広い波長範囲にわたって高効率な変換が可能である。
なお、実施例1(実施例1−1)では、スーパーモード生成素子が断熱変化を利用しているため、テーパ長を長くすることで、さらなる低損失化が可能である。
一方、比較例1(比較例1−1)の非対称方向性結合器は、長さを大幅に変更するのが難しいため、変換効率に関して、これ以上の改善は見込めない。
図22より、比較例1(比較例1−2)では、位相整合が成り立たず大きく変換効率を下げているのに対し、実施例1(実施例1−2)では高い変換効率を維持している。従って、実施例1(実施例1−2)は比較例1(比較例1−2)よりも製造誤差に強い。
これらの結果より、実施例1は従来技術に比べ、広い波長帯域で高い変換効率を持ち、かつ製造誤差に強いことがわかる。
<基板型光導波路素子>
図23は、実施例2である基板型光導波路素子30(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に、これらを互いに接続する中間コア部を設けた構造の第1の例である。
基板型光導波路素子30は、互いに並列した一対のコア部31,32と、コア部31,32の後段側(出力側)に設けられた出力部33(後段モード変換部39)とを備えている。コア部31,32および出力部33の高さは互いに等しいことが望ましい。
基板型光導波路素子30は、前段モード変換部38と後段モード変換部39との間に、テーパ状のコア部31B,32Bを有する中間コア部34が介在している点で、図1に示す基板型光導波路素子10と異なる。
コア部32Aは、入力端32Aaから出力端32Abにかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。コア部31A,32Aの間隔は長さ方向に一定とされている。
前段モード変換部38は、入力端31Aa、32Aaでは、コア部32Aの幅がコア部31Aの幅より大きいため、コア部32Aの断面はコア部31Aの断面より大きい。
出力端31Ab、32Abでは、コア部31A,32Aの幅が互いに等しいため、コア部31A,32Aの断面の形状および大きさは互いに同じである。
前段モード変換部38は、入力端31Aa、32Aaでは位相整合が成立せず、出力端31Ab、32Abでは位相整合が成立する。
コア部31Bの入力端31Baの幅は、コア部31Aの出力端31Abにおける幅と同じである。
コア部32Bは、コア部32Aに連なって形成され、入力端32Baから出力端32Bbにかけて幅が連続的に狭くなるテーパ状に形成されている。
コア部32Bの入力端32Baの幅は、コア部32Aの出力端32Abにおける幅と同じである。このため、入力端31Ba,32Baでのコア部31B,32Bの断面の形状および大きさは互いに同じである。
コア部31B,32Bの出力端31Bb,32Bbでの幅は互いに等しい。このため、出力端31Bb,32Bbでのコア部31B,32Bの断面の形状および大きさは互いに同じである。
コア部31B,32Bの間隔は長さ方向に一定とされている。
出力部33は、直線状に延在する直線導波路であって、幅および高さが長さ方向(光の導波方向)に一定であることが好ましい。
入力端33gにおける出力部33の幅は、出力端31Bb,32Bbにおけるコア部31B,32Bの幅、およびコア部31B,32Bの間隔の合計より大きくされている。このため、出力部33は、コア31Bの外側縁より外側方に張り出した突出部33eと、コア32Bの外側縁より外側方に張り出した突出部33fとを有する。
接続端(出力部33の入力端)において、出力部33の幅方向の中央線と、コア部31B,32Bの幅方向の中央線とは一致する。
コア部31B,32Bの中央線は、コア部31B,32Bとこれらの隙間とを含む幅方向範囲の中央を通る線である。
出力部33の中央線は、出力部33の延在方向に沿い、出力部33の幅方向の中央を通る線である。
このため、コア部31Aとコア部31Cの幅が異なるにもかかわらず、前段モード変換部38と後段モード変換部39とを低損失で接続できる。
<基板型光導波路素子>
図24は、実施例3である基板型光導波路素子40(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第2の例である。
基板型光導波路素子40は、互いに並列した一対のコア部41,42と、コア部41,42の後段側(出力側)に設けられた出力部43とを備えている。コア部41,42および出力部43の高さは互いに等しいことが望ましい。
基板型光導波路素子40は、前段モード変換部48と後段モード変換部49との間に、直線状のコア部41B,42Bを有する中間コア部44が介在している点で、図1に示す基板型光導波路素子10と異なる。
前段モード変換部48は、入力端では、コア部42Aの幅がコア部41Aの幅より大きいため、コア部42Aの断面はコア部41Aの断面より大きい。
出力端では、コア部41A,42Aの幅が互いに等しいため、コア部41A,42Aの断面の形状および大きさは互いに同じである。
前段モード変換部48は、入力端では位相整合が成立せず、出力端では位相整合が成立する。
コア部42Bは、コア部42Aに連なって形成され、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部42Bは直線状に延在し、入力端の幅は、コア部42Aの出力端における幅と同じである。
コア部41B,42Bの幅は互いに等しい。このため、コア部41B,42Bの断面形状は全長にわたって互いに同じである。
コア部41B,42Bの間隔は長さ方向に一定とされている。
コア部41B,42Bの出力端は、出力部43に接続されている。
すなわち、出力部43の入力端における幅は、出力端におけるコア部41B,42Bの幅、およびコア部41B,42Bの間隔の合計より大きい。このため、出力部43は、コア41B,42Bの外側縁よりそれぞれ外側方に張り出して形成されている。
接続端(出力部43の入力端)において、出力部43の幅方向の中央線と、コア41B,42Bの幅方向の中央線とは一致する。
コア部41B,42Bの中央線は、コア部41B,42Bとこれらの隙間とを含む幅方向範囲の中央を通る線である。
出力部43の中央線は、出力部43の延在方向に沿い、出力部43の幅方向の中央を通る線である。
<基板型光導波路素子>
図25は、実施例4である基板型光導波路素子50(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第3の例である。
基板型光導波路素子50は、互いに並列した一対のコア部51,52と、コア部51,52の後段側(出力側)に設けられた出力部53とを備えている。コア部51,52および出力部53の高さは互いに等しいことが望ましい。
基板型光導波路素子50は、前段モード変換部58と後段モード変換部59との間に、湾曲形状のコア部51B,52Bを有する中間コア部54が介在している点で、図1に示す基板型光導波路素子10と異なる。
前段モード変換部58は、入力端では、コア部52Aの幅がコア部51Aの幅より大きいため、コア部52Aの断面はコア部51Aの断面より大きい。
出力端では、コア部51A,52Aの幅が互いに等しいため、コア部51A,52Aの断面の形状および大きさは互いに同じである。
前段モード変換部58は、入力端では位相整合が成立せず、出力端では位相整合が成立する。
コア部52Bは、コア部52Aに連なって形成され、幅は長さ方向(光の導波方向)に一定である。コア部52Bの入力端の幅は、コア部52Aの出力端における幅と同じである。
コア部51B,52Bの平面視形状は、円弧状が好ましいが、これに限らず、任意の曲線状であってよい。例えば楕円弧状、放物線状、双曲線状などの高次曲線状(例えば二次曲線状)を採用できる。
コア部51B,52Bの幅は互いに等しいことが好ましい。
コア部51B,52Bの間隔は長さ方向に一定とされている。
コア部51B,52Bの出力端は、出力部53に接続されている。
すなわち、出力部53の入力端における幅は、出力端におけるコア部51B,52Bの幅およびコア部51B,52Bの間隔の合計より大きい。このため、出力部53は、コア51B,52Bの外側縁よりそれぞれ外側方に張り出して形成されている。
接続端(出力部53の入力端)において、出力部53の幅方向の中央線と、コア51B,52Bの幅方向の中央線とは一致する。
コア部51B,52Bの中央線は、コア部51B,52Bとこれらの隙間とを含む幅方向範囲の中央を通る線である。
出力部53の中央線は、出力部53の延在方向に沿い、出力部53の幅方向の中央を通る線である。
なお、基板型光導波路素子30〜50では、中間コア部は前段モード変換部に含めてもよい。
<基板型光導波路素子>
図26は、実施例5である基板型光導波路素子80(モード変換素子)を示す平面図である。
基板型光導波路素子80は、コア5に代えてコア85を有すること以外は、図15に示す基板型光導波路素子20と同様の構成である。
コア85は、前段モード変換部8と、後段モード変換部89を有する。
後段モード変換部89は、コア部13,14と、コア部13,14の出力側に設けられた出力部3と、出力部3の出力側に延出する1つの出力側コア部86とを備えている。
出力側コア部86は、出力部3よりも幅が小さくされている。出力側コア部86は、断面矩形状であることが好ましい。
後段モード変換部89は、出力部3の入力側に2本のコア部13,14が接続され、出力側に1本の出力側コア部86が接続されているため、1×2MMI(マルチモード干渉計。Multi-Mode Interferometer)として利用可能である。
<基板型光導波路素子>
図27は、実施例6である基板型光導波路素子60(偏波変換素子)を示す模式図である。
基板型光導波路素子60は、図1に示す基板型光導波路素子10(モード変換素子)の出力側に、高次偏波変換素子101(高次偏波変換部)を有する。なお、高次偏波変換とは、TE1とTM0との間の変換をいう。
コア102は例えばSiからなる。下部クラッド103は例えばSiO2からなる。上部クラッド104は例えば空気からなる。
高次偏波変換を行うには、上部クラッド104と下部クラッド103が互いに異なる屈折率を持つことが必要である。
高次偏波変換素子101では、TE0は別のモードへの変換が行われないため、コア部2に入力され、出力部3から出力されるTE0(区別のためTE0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子101の出力側から、TM0とTE0’とが合波した出力が得られる。よって、基板型光導波路素子60は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図27の基板型光導波路素子60においては、高次偏波変換素子101に代えて、図29に示す高次偏波変換素子61を用いることもできる(特願2013−135490を参照)。
図29(A)にコア62の平面図、図29(B)〜図29(D)にそれぞれコア62の終了部、中間部、開始部の断面図を示す。コア62の周囲には図示しないクラッドが設けられている。図29(A)では下部コア64に網かけを付した。
開始部68の幅W68は終了部69の幅W69より大きい。開始部68と終了部69の高さはいずれもH62であり、下部コア64の高さH64はコア高さH62より低い。
中間部70から終了部69までの区間L62では、下部コア64の幅は中間部70から終了部69にかけて徐々に小さくなる一方、上部コア63の幅は一定である。
高次偏波変換素子61では、コア62が上下非対称の構造を有し、上部コア63および下部コア64の一部の幅が緩やかに変化しているため、TE1をTM0に変換することができる。
本発明の第2の実施形態として、図30に示す基板型光導波路素子110の構造について説明する。図30(A)は、基板型光導波路素子110を示す平面図であり、図30(B)は、図30(A)の断面位置(a)における断面図である。なお、図1に示す基板型光導波路素子10と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
コア105は、互いに並列した一対のコア部1,2(リブ部)と、少なくともコア部1,2間に形成されたスラブ部16と、これらの後段(出力側)に設けられた出力部3とを備えている。
スラブ部16は、コア部1,2に比べて低く形成されている。すなわち、図30(B)に示すように、スラブ部16の高さH16は、コア部1,2の高さH1,H2より低い。
スラブ部16は、コア部1,2の互いに対向する内側面の間(すなわちコア部1の内側縁11c、13cの側面と、コア部2の内側縁12c、14cの側面との間)に形成されている。
図示例のスラブ部16は、コア部1,2の全長にわたって形成されている。なお、スラブ部16は、コア部1,2の長さ方向の一部のみに形成されていてもよい。
スラブ部16はコア部1,2と同じ材料(好ましくはSi)からなり、コア部1,2と一体に形成されている。
コア105は、コア部1,2の幅方向の一方側(内方側)のみにスラブ部16が設けられることによって、いわゆる半リブ導波路を形成している。
前段モード変換部108は、コア部11,12(リブ部)と、これらの間に設けられたスラブ部16とを有する。
後段モード変換部109は、コア部13,14(リブ部)と、これらの間に設けられたスラブ部16とを有する。後段モード変換部109は、前段モード変換部108の後段(出力側)に連なって形成されている。
コアは、2回のリソグラフィ/エッチングプロセスで形成することができる。すなわち、まず、一定厚さのコアをリソグラフィ/エッチングプロセスで作製した後、その一部をリソグラフィ/エッチングプロセスで薄肉化してスラブ部とすることで、コア部とスラブ部とを有するコアを形成することができる。
図31に、幅が互いに等しいコア部21,22と、コア部21,22間に形成されたスラブ部16とを有する光導波路素子を示す。
この図に示すように、隣接する導波路間でTE0をモード結合させるとき、モードは、図32(A)および図32(C)に示すような偶モードと、図32(B)および図32(D)に示すような奇モードとなる。これらをまとめてTE0のスーパーモード(もしくは、単にスーパーモードと呼ぶ。
上述のように、位相整合が成立しているとき、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは、モード結合の強さを表す結合係数χに依存する。
図30および図33を参照しつつ、スーパーモード生成素子の具体例である前段モード変換部108を説明する。
図33(A)は平面図、図33(B)は図33(A)の断面位置(c)に沿う断面図、図33(C)は断面位置(b)に沿う断面図、図33(D)は断面位置(a)に沿う断面図である。
「導波路1」はコア部11を有する導波路に相当し、「導波路2」はコア部12を有する導波路に相当する。
このため、コア部12(コア部2)は、入力端12a(X=−200)から出力端12b(X=0)にかけて幅が徐々に狭くなるテーパ状となっている。
なお、図33(C)は入力端11a、12aと出力端11b、12bとの中間位置(X=−20)における断面を示す図である。
一方、出力端11b、12bでは、コア部11,12の幅(図33(B)の幅W11b,W12b)が互いに等しいことにより、コア部11,12の断面の形状および大きさは互いに同じとなる。このため、位相整合が成立する。
上述のように、一方の導波路から浸み出した光が他方の導波路へ移りスーパーモードになるのに要する導波路の長さは結合係数χに依存するため、結合係数χが大きいほど、高効率なモード変換が、短い導波路(短いデバイス長)で可能となる。
コア部の幅を光の導波方向に変化させる(すなわち導波路をテーパ化する)ことによって、入力端において位相整合する条件が崩れていることを確認するため、導波路1,2がそれぞれ独立に存在する場合のモードの実効屈折率を図34(A)に示す。なお、波長は1580nmとした(以降も同様とした)。
図34(B)は、コア部11を有する導波路1が独立に存在する場合の導波路1の断面図である。独立化した導波路1のコアは、コア部11と、コア部11から幅方向に延出するスラブ部16A(高さ95nm)とを有し、全体の幅はコア105の幅(400+200+(400−X)[nm])と同じである。
図34(C)は、コア部12を有する導波路2が独立に存在する場合の導波路2の断面図である。独立化した導波路2のコアは、コア部12と、コア部12から幅方向に延出するスラブ部16B(高さ95nm)とを有し、全体の幅はコア105の幅(400+200+(400−X)[nm])と同じである。
Xが0から離れるに従って、導波路1,2のTE0の実効屈折率にずれが生じ、位相整合する条件は崩れていく。
導波路が独立に存在する場合の実効屈折率を示す図34と比べると、図35では、X=0で、#0と#1は一致せず、互いに離れている。
これは、導波路1のTE0と導波路2のTE0の間で位相整合する条件が成り立つことから、モード結合によって2つのモードは相互作用し、混在したモード(スーパーモード)を形成しているためである。
X=0から離れると、位相整合する条件が成立しなくなっていくために、このような相互作用は起きず、導波路が独立して存在するときと同様のモード分布が得られ、その結果、実効屈折率も独立に導波路が存在する場合と大きく変わらなくなる。
そのため、図35において、X=−200(入力端)において導波路1へTE0を入力し、導波路の長手方向に徐々にXを−200から0へ変化させていくことで、X=0において、TE0を、TE0のスーパーモードの奇モードへ変換することができる。
図36(A)、(B)は断面位置(a)における電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(A)モード#0、(B)モード#1]である。(C)、(D)は断面位置(b)における電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(C)モード#0、(D)モード#1]である。(E)、(F)は断面位置(c)における電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(E)モード#0、(F)モード#1]である。
なお、x,yはそれぞれ幅方向、高さ方向を表す。図36(E)、(F)の電界分布はそれぞれ図32(A)、(B)と同じである。
図36(D)に示す断面位置(b)(X=−20)では、導波路2のTE0へモードが結合し始めていることがわかる。
図36(F)に示す断面位置(c)(X=0)では、位相整合する条件が成り立つため、導波路1のTE0と導波路2のTE0が混在したスーパーモードの奇モードが見られる。
このように、光の導波方向に導波路構造を徐々に変化させることで、導波路1に入力したTE0をTE0のスーパーモードの奇モードに変化させることが可能である。
図37を参照しつつ、突合せ結合素子の具体例である後段モード変換部109を説明する。
図37は、後段モード変換部109を示す図であり、図37(A)は平面図、図37(B)はコア部の断面図、図37(C)は出力部の断面図である。
後段モード変換部109において、「導波路1」はコア部13を有する導波路に相当し、「導波路2」はコア部14を有する導波路に相当する。「導波路3」は出力部3を有する導波路に相当する。
コア部13,14(コア部1,2)の幅W13,W14はそれぞれ400[nm]とする。
コア部13,14(コア部1,2)の間隔をgap[nm](gap=200)とする。
コア部13,14の中央線C1は、出力端13b、14b(入力端3g)において、コア部13,14とこれらの隙間を含む幅方向範囲(コア部13の外側縁13dからコア部14の外側縁14dまでの範囲)の中央を通り、コア部13,14の延在方向に沿う線である。
出力部3の中央線C2は、平面視において出力部3の延在方向に沿う線である。
図38に、この条件下(W=1000)での、導波路3(出力部3)におけるTE1のEx成分(y=0.00730942μm)を示す。図38は、電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、EX成分を示すグラフ[(B)]を示す。
図39は、図38と同じ条件における、導波路1,2(コア部13,14)での奇モードを示す。図39は、電界分布(EX成分)を示すシミュレーション結果[(A)]と、EX成分を示すグラフ[(B)]を示す。なお、図39(A)、(B)の電界分布はそれぞれ図32(B)、(D)と同じである。
図40に、導波路3の幅と、奇モード/TE1の変換効率の関係を示す(波長は1550nmとした)。
この図に示すように、変換効率はW=1200付近で最大値(−0.087dB)となる。
これは、Wを大きくすることで、奇モードとのピーク位置が揃い、式(6)の積分値が大きくなったためである。
この図を図38(W=1000)と比較すると、図41では、図38に比べ、ピーク位置が幅方向外側に移動しており、図39の奇モードのピーク位置に近づいていることがわかる。このため、導波路1,2の奇モードと導波路3のTE1との電界分布の重なりが大きくなる。
このように、突合せ結合素子の出力部を「W3>W13+W14+gap」を満たすように形成することによって、奇モードとTE1の電界分布の類似性を利用することで、奇モードをTE1に高効率で変換することができる。
突合せ結合素子(後段モード変換部)は、前記奇モードを、TE1に変換する。
このため、スーパーモード生成素子に入力したTE0は、奇モードへと変換され、その後、突合せ結合素子に入力されてTE1に変換される。
[効果1]
本実施形態では、第1実施形態と同様に、広い波長帯域で高い変換効率を確保することができ、しかも製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
さらに、本実施形態では、一対のコア部の間にスラブ部を形成することによって、スラブ部が無い場合に比べて、2つのコア部の間において、コアとクラッドの屈折率差が実質的に小さくなり、光の浸み出しが大きくなる。そのため、結合係数χが大きくなり、隣接する導波路間の光の結合が大きくなる。
従って、短い距離でモード変換が可能となり、デバイス長を短くできる。
コア部の間にスラブ部を形成した構造を有するため、2回のリソグラフィ/エッチングプロセスで、コア部とスラブ部とを一体に形成することができる。
すなわち、まず、一定厚さのコアをリソグラフィ/エッチングプロセスで作製した後、その一部をリソグラフィ/エッチングプロセスで薄肉化してスラブ部とすることで、コアを形成することができる。
また、コアの高さとスラブ部の高さの制限は特になく、光導波路の一般的な条件が成立していればよいことから、他のスラブ部を有する光導波路素子(リブ型位相変調部を有する光変調器など)との集積が容易である。
図1等に示す第1の実施形態の基板型光導波路素子10と同様に、スーパーモード生成素子の使用により、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、かつ製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
また、突合せ結合素子の使用により、広い波長帯域にわたって高効率な変換が可能であり、かつ製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。これは次の理由による。
波長が変化した場合、それに応じてモードの電界分布はコアに対して広がったり(波長が増加した場合)、縮んだり(波長が減少した場合)する。
この変化は、任意のモードで同一であるため、奇モードとTE1の場合でも、波長の変化に応じて互いに同じ電界分布の変化をもつ。そのため、突合せ結合の変換効率は高い値となる。
これを確認するために、図42に、W=1200のときの波長と変換効率との関係を示す。
この図より、波長が変化しても高い変換効率が維持されることがわかる。
そのため、突合せ結合素子では、変換効率の低下は起こらず、高い変換効率を確保できる。
この図より、導波路1〜3のコア幅が変化しても、高い変換効率を維持していることがわかる。
このように、本実施形態では、スーパーモード生成素子(前段モード変換部)および突合せ結合素子(後段モード変換部)を使用することによって、広い波長帯域にわたり高効率の変換が可能であり、かつ、製造誤差により導波路構造が変化した場合でもモード変換の効率を確保できる。
基板型光導波路素子110では、スラブ部16を有するため、後段モード変換部9において、奇モードからTE1への変換効率が高まるだけでなく、偶モードからTE0への変換効率も高められる。
このため、TE0とTE1のモード多重を行う際に有利となる。
<基板型光導波路素子>
図44は、本発明の実施例8である基板型光導波路素子120(モード変換素子)を示す図であって、図44(A)は平面図であり、図44(B)は、図44(A)の断面位置(a)における断面図である。なお、図30に示す基板型光導波路素子110と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
コア部11(コア部1)の幅は400[nm]とし、コア部12(コア部2)の幅は400−X[nm]とした(−200≦X≦0)。Xは、入力端12aから出力端12bにかけて、−200から0まで線形に変化する。コア部13,14の幅はそれぞれ400[nm]である。コア部1,2の間隔gapは200[nm]である。出力部3の幅は1250[nm]である。コア部1,2および出力部3の高さは220nmである。スラブ部16の高さは95nmである。
直線導波路23と曲げ導波路24とは、前段モード変換部108から離れるほど互いに離間するため、テーパ化よりも確実にモード結合を低減することができる。このため、前段モード変換部108におけるモード変換効率を高めることができる。
突合せ結合素子(図44の後段モード変換部109)の長さL2は1μmとした。波長は1550nmとした。計算結果を図45に示す。
この図より、スーパーモード生成素子のテーパ長L1が長いほど、光の導波方向のコア部の幅の変化が緩やかになるため、断熱変化の条件が成立しやすくなり、変換効率が高くなることがわかる。
図47より、本実施例では、1520nmから1640nmにわたって、−0.27dB以上の高い変換効率を持つことが確認できる。
なお、電界分布は長波長になるにつれコア部の外に広がり、隣接する導波路への結合が大きくなるため、長波長においてスーパーモード生成素子の変換効率が高くなり、それによって全体の変換効率が向上している。
計算結果を図48に示す。
この図より、本構造は、製造誤差に強いことが確認できる。
そのために、コア部2に入力側からTE0(区別のためTE0’と記載)を入力した時の突合せ結合素子から出力されるTE0’の透過率(コア部2へ入力したTE0’のパワーに対する、突合せ結合素子から出力されるTE0’のパワーの比)をFDTDによりシミュレーションした。
このとき、透過率は−0.17dBとなり、多くのパワーが透過することがわかる。以上により、本実施例はモード多重が可能である。
本実施例と、従来技術である非対称方向性得結合器の性能と比較する。詳しくは、実施例8と、図69の構造を有する比較例1とを比較する。まず、比較の妥当性について次の観点から検討する。
本発明に用いられるスーパーモード生成素子と従来技術の非対称方向性結合器は、ともにモード結合の原理を利用している。
モード結合は、隣接導波路への光の浸み出しが大きいほど結合が強くなり効率が上がる。そのためには、コア部の幅を細くし光の閉じ込めを弱くすればよい。
しかしながら、実際に作製することを考慮すると、コア部の幅が狭すぎると再現性が低下したり、リソグラフィの精度に依存しマスク設計通りの導波路が作製できなかったりといった問題があるため、コア部の幅には作製が可能な最小値がある。
そのため、最小のコア部の幅を同じ条件にすることで、実施例8と比較例1との比較が可能となる。なお、コア部の間隔を小さくすることでも結合は強くなるため、実施例8と比較例1とのコア部の間隔も同じにしている。
比較例1(図69の非対称方向性結合器)は、結合対象となるTE0が導波するコア部1(最もコアを狭くする必要がある部分)の幅を400nmとし、これと位相整合するようにコア部2の幅を決定した。
最小のコア部の幅およびコア部の間隔を同じ条件としたため、実施例8と比較例1との比較が可能となる。
図50より、比較例1(比較例1−1)では、波長1580nm付近では実施例8よりも低損失ではあるが、波長が変化すると大きく変換効率が低下する。そのため、波長による損失変化が大きい。
また、この波長範囲の最小変換効率を比較すると、実施例8(実施例8−1)の方が高いことがわかる。
以上のように、実施例8(実施例8−1)は、比較例1(比較例1−1)よりも広い波長範囲にわたって高効率な変換が可能である。
なお、実施例8(実施例8−1)では、スーパーモード生成素子が断熱変化を利用しているため、テーパ長を長くすることで、さらなる低損失化が可能である。
一方、比較例1(比較例1−1)の非対称方向性結合器は、長さを大幅に変更するのが難しいため、変換効率に関して、これ以上の改善は見込めない。
図51より、比較例1(比較例1−2)では、位相整合が成り立たず大きく変換効率を下げているのに対し、実施例8(実施例8−2)では高い変換効率を維持している。
従って、実施例8(実施例8−2)は比較例1(比較例1−2)よりも製造誤差に強い。
図52に、波長に対する、TE0からTE1に変換したときの損失(変換効率(dB)にマイナスをつけたもの)の測定結果を示す。この図より、TE0からTE1への変換を十分に行うことができたことがわかる。
このときの変換損失は、1430〜1630nmの広い波長帯域において、0.4dB以下であり非常に低い。これは、この基板型光導波路素子の波長依存性が小さく、製造誤差にも強いためである。
図50〜図52の結果より、本発明は従来技術に比べ、広い波長帯域で高い変換効率を持ち、かつ製造誤差に強いことがわかる。
<基板型光導波路素子>
図53は、本発明の実施例9である基板型光導波路素子170(モード変換素子)を示す図であって、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子の第1の例である。図53(A)は平面図であり、図53(B)は、出力部3の断面図であり、図53(C)は、コア部1,2の断面図である。
基板型光導波路素子170は、コア105に代えてコア175を有すること以外は、図44に示す基板型光導波路素子120と同様の構成である。
コア175は、互いに並列した一対のコア部1,2と、コア部1,2間にこれらを接続して形成されたスラブ部16(中間領域)と、コア部1,2からそれぞれ幅方向の外方に延出して形成されたスラブ部17,18(外方延出領域)とを備えている。図53(A)ではスラブ部16〜18に網かけを付した。
スラブ部17,18は、スラブ部16と同様に、コア部1,2に比べて低く形成されている。
コア175は、コア部1,2の幅方向の一方側(内方側)だけでなく他方側(外方側)にもスラブ部17,18が設けられることによって、いわゆるリブ導波路を形成している。
コア175は、前段モード変換部178と後段モード変換部179とを有する。後段モード変換部179の出力部3にはスラブ部17,18が形成されていない。
基板型光導波路素子170は、コア部1,2の外方に延出したスラブ部17,18を有するため、コア部1,2の外方への光の浸み出しが大きくなることから、図44に示す基板型光導波路素子120に比べて結合係数χが小さくなるが、その半面、ドライエッチングなどのプロセス上で生じる、コア部の側壁の荒れ(粗面化)による悪影響(光散乱による損失増大)を小さくできる点では有利となる。
コア部の側壁の荒れの影響を小さくできるのは、基板型光導波路素子170では、コア部1,2の両側方にスラブ部16〜18を有するため、コア部1,2の側面の面積が小さいためである。
従って、側壁荒れによる損失を低下させる観点からは、本実施例(リブ導波路)は好ましい。
<基板型光導波路素子>
図54は、本発明の実施例10である基板型光導波路素子190(モード変換素子)を示す図であって、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子の第2の例である。図54(A)は平面図であり、図54(B)は、出力部3の断面図であり、図54(C)は、コア部1,2の断面図である。
基板型光導波路素子190は、コア175に代えてコア195を有すること以外は、図53に示す基板型光導波路素子170と同様の構成である。
コア195は、前段モード変換部178と後段モード変換部199とを有する。
後段モード変換部199は、出力部3にもスラブ部17,18が形成されている点で、図53(A)の後段モード変換部179と異なる。
この基板型光導波路素子190では、図53の基板型光導波路素子170と同様の効果が得られる。
基板型光導波路素子190は、リブ導波路構造を採用した後段モード変換部199を備えているため、上下非対称な構造を有する高次偏波変換素子(図64参照)を接続する際に、低損失化を図ることができる。
<基板型光導波路素子>
図55は、本発明の実施例11である基板型光導波路素子200(モード変換素子)を示す図であって、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子の第3の例である。図55(A)は平面図であり、図55(B)は、出力部3の断面図であり、図55(C)は、コア部1,2の断面図である。
基板型光導波路素子200は、コア195に代えてコア205を有すること以外は、図54に示す基板型光導波路素子190と同様の構成である。
コア205は、前段モード変換部208と後段モード変換部209とを有する。
コア205は、出力部3にはスラブ部17,18(外方延出領域)が形成されているが、コア部1,2にはスラブ部17,18が形成されていない。
この基板型光導波路素子200では、図53の基板型光導波路素子170と同様の効果が得られる。
基板型光導波路素子200は、リブ導波路構造を採用した後段モード変換部209を備えているため、上下非対称な構造を有する高次偏波変換素子(図64参照)を接続する際に、低損失化を図ることができる。
<基板型光導波路素子>
図56は、本発明の実施例12である基板型光導波路素子180を示す平面図である。
基板型光導波路素子180(モード変換素子)は、第1コア部1が片側テーパ導波路25を有し、第2コア部2が片側テーパ導波路26を有すること以外は、図44に示す基板型光導波路素子120と同様の構成である。
片側テーパ導波路25は直線導波路23の入力側に設けられ、片側テーパ導波路26は曲げ導波路24の入力側に設けられている。
片側テーパ導波路26は、リブ部181と、リブ部181の一方の側面に、リブ部181から延出して形成されたスラブ部182とを有する。
リブ部181は、長さ方向に幅が一定とされている。
スラブ部182は、リブ部181の長さ方向に、一端181aから他端181bに向けて徐々に幅広となるテーパ状に形成されている。
スラブ部182は、リブ部181の一端181aを始点として形成されているため、片側テーパ導波路26は、入力端26aでは矩形導波路であり、出力端26bでは半リブ導波路である。
片側テーパ導波路25にも同様の構造を採用できる。
このため、片側テーパ導波路25,26を用いることによって、外部の矩形導波路183,184と、半リブ導波路(直線導波路23および曲げ導波路24)との接続箇所における導波路構造の長さ方向の変化を緩やかにし、低損失の接続を実現できる。
両側テーパ導波路27は、リブ部181と、リブ部181の両側面にそれぞれ形成されたスラブ部182とを有する。
スラブ部182は、一端181aを始点として形成されているため、両側テーパ導波路27は、入力端では矩形導波路であり、出力端ではリブ導波路である。
このため、両側テーパ導波路27を用いることによって、外部の矩形導波路と、両側にスラブ部があるリブ導波路との接続箇所において低損失の接続を実現できる。
<基板型光導波路素子>
図59は、実施例13である基板型光導波路素子130(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第4の例である。
基板型光導波路素子130は、コア部31,32の間にスラブ部16が形成されていること以外は図23に示す基板型光導波路素子30と同じ構成である。
基板型光導波路素子130においても、基板型光導波路素子30と同様に、テーパ構造を有する中間コア部34を設けることによって、前段モード変換部38と後段モード変換部39とを低損失で接続できる。
<基板型光導波路素子>
図60は、実施例14である基板型光導波路素子140(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第5の例である。
基板型光導波路素子140は、コア部41,42の間にスラブ部16が形成されていること以外は図24に示す基板型光導波路素子40と同じ構成である。
基板型光導波路素子140においても、基板型光導波路素子40と同様に、直線状の中間コア部44を設けたことにより、後段モード変換部49の配置の自由度を高めることができる。
<基板型光導波路素子>
図61は、実施例15である基板型光導波路素子150(モード変換素子)を示す平面図である。この実施例は、前段モード変換部と後段モード変換部との間に中間コア部を設けた構造の第6の例である。
基板型光導波路素子150は、コア部51,52の間にスラブ部16が形成されていること以外は図25に示す基板型光導波路素子50と同じ構成である。
基板型光導波路素子150においても、基板型光導波路素子50と同様に、湾曲形状の中間コア部54を設けたことにより、後段モード変換部59の配置の自由度を高めることができる。
<基板型光導波路素子>
図62は、実施例16である基板型光導波路素子260(モード変換素子)を示す平面図である。
基板型光導波路素子260は、リブ導波路構造を採用した基板型光導波路素子であって、コア85に代えてコア185を有すること以外は、図26に示す基板型光導波路素子80と同様の構成である。
コア185は、前段モード変換部178と、後段モード変換部189とを備えており、コア部1,2にスラブ部16〜18が形成されている点で、図26に示す基板型光導波路素子80と異なる。
後段モード変換部189は、出力部3の入力側に2本のコア部13,14が接続され、出力側(出力部3の後段)に1本の出力側コア部86が接続されているため、1×2MMI(マルチモード干渉計)として利用可能である。
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図63は、実施例17である基板型光導波路素子160(偏波変換素子)を示す模式図である。
基板型光導波路素子160は、図30に示す基板型光導波路素子110(モード変換素子)の出力側に、高次偏波変換素子101(高次偏波変換部)を有する。なお、高次偏波変換とは、TE1とTM0との間の変換をいう。
高次偏波変換素子101としては、図28に例示したものを使用できる。高次偏波変換素子101に代えて、図29に示す高次偏波変換素子61を用いることもできる。
高次偏波変換素子101では、TE0は別のモードへの変換が行われないため、コア部2に入力され、出力部3から出力されるTE0(区別のためTE0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子101の出力側から、TM0とTE0’とが合波した出力が得られる。よって、基板型光導波路素子160は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図64は、実施例18である基板型光導波路素子210(偏波変換素子)を示す図であって、(A)は全体平面図、(B)は高次偏波変換素子の平面図、(C)は高次偏波変換素子の終了部の断面図、(D)は高次偏波変換素子の開始部の断面図である。
基板型光導波路素子210のコア215は、前段モード変換部178と、後段モード変換部199と、を有する。
基板型光導波路素子210は、後段モード変換部199の出力側に、高次偏波変換素子111(高次偏波変換部)(特願2013−135490を参照)を有する。
図64(A)に示すように、前段モード変換部178および後段モード変換部199は、図54に示す基板型光導波路素子190に用いられているものと同様とすることができる。
コア112は、上部コア113の幅と下部コア114の幅とが異なる上下非対称な構造を有する。
下部コア114は、後段モード変換部199のスラブ部17,18に一体的に形成することができる。
基板型光導波路素子210は、TE0を前段モード変換部178および後段モード変換部199によってTE1に変換し、TE1を高次偏波変換素子111によってTM0に変換することができる。
コア部2に入力され、高次偏波変換素子111に入力されたTE0(区別のためTE0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子111の出力側から、TM0とTE0’とが合波した出力が矩形導波路である出力部213に入力される。
よって、基板型光導波路素子210は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
基板型光導波路素子210は、リブ導波路構造を採用した後段モード変換部199を備えているため、上下非対称な構造を有する高次偏波変換素子111への接続を低損失化できる。
<基板型光導波路素子(偏波変換素子)>
図65は、実施例19である基板型光導波路素子250(偏波変換素子)を示す平面図である。
基板型光導波路素子250は、コア195に代えてコア255を有すること以外は、図64の基板型光導波路素子210と同様の構成である。
コア255の後段モード変換部209は、出力部3にはスラブ部17,18(外方延出領域)が形成されているが、コア部1,2にはスラブ部17,18がない点で、前図の後段モード変換部199と異なる。
コア205の前段モード変換部208は、コア部11,12にスラブ部17,18がない点で、前図の前段モード変換部178と異なる。
前段モード変換部208および後段モード変換部209は、図55に示す基板型光導波路素子200に用いられているものと同様とすることができる。
コア部2に入力され、高次偏波変換素子111に入力されたTE0(区別のためTE0’と記載)は変換されない。
このため、高次偏波変換素子111の出力側から、TM0とTE0’とが合波した出力が矩形導波路である出力部213に入力される。
よって、基板型光導波路素子250は、偏波多重を行うための素子として用いることが可能である。
<偏波多重4値位相(DP−QPSK:Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)変調器>
本発明の基板型導波路素子は、例えば、参考文献[2](P. Dong, C. Xie, L. Chen, L. L. Buhl, and Y.-K. Chen, "112-Gb/s Monolithic PDM-QPSK Modulator in Silicon," in European Conference and Exhibition on Optical Communication (2012), Vol. 1, p. Th.3.B.1)で開示されているようなDP−QPSK変調器に使用することが可能である。
このDP−QPSK変調器220は、通常の光導波路にTE0とTM0の2つのが存在できることを利用して、TE0/TM0の両モードに独立したQPSK信号を有する、DP−QPSK変調を行う。
具体的には、入力部221からTE0で入力した光を2つの光導波路222,222に分岐し、QPSK変調器223,223により各々QPSK信号に変調した後、光導波路224,224の片側のTE0を偏波変換素子225によりTM0に変換させて、2つのモードを偏波ビームコンバイナで同一の光導波路上に合成し、TE0とTM0に独立した信号を出力部226に出力する。
<コヒーレント受信機>
本発明の基板型光導波路素子は、例えば、参考文献[2](C. Doerr, et al., "Packaged Monolithic Silicon 112-Gb/s Coherent Receiver," IEEE Photonics Technology Letters, Vol. 23, p.p. 762, 2011)で開示されているような、TE0とTM0を同時に伝送した偏波多重信号のSi光導波路上の偏波ダイバーシティ・コヒーレント受信機に使用することが可能である。
このコヒーレント受信機230は、TE0とTM0を同時に伝送した偏波多重信号の光導波路231を、偏波変換と偏波ビームスプリッタが同時に行える偏波変換素子232に接続し、光導波路233,233の一方にはTE0の信号を、また、光導波路233,233の他方にはTM0から変換したTE0の信号を分岐させる。局発光234として、一般的に用いられる半導体レーザ光源は片偏波のみ、例えばTE0(local)の出力を用いる。このような光源を用いる場合、従来では局発光の偏波変換が必要となる。
<偏波ダイバーシティ>
本発明の基板型光導波路素子は、例えば、参考文献[4](Hiroshi Fukuda, et al., "Silicon photonic circuit with polarization diversity," Optics Express, Vol. 16, No. 7, 2008)で開示されているような、TE0とTM0が同時に伝送される偏波多重伝送や、片方の偏波がランダムに伝送されるときに、両モードに対して同様の操作を与えるための素子を利用したい場合、偏波ダイバーシティ方式を実行するために用いることができる。
偏波変換素子246には、DP−QPSK変調器と同様に、偏波変換と偏波ビームコンバイナが同時に行える本発明の偏波変換素子を用いることができる。
Claims (15)
- 基板の上に、互いに並列した第1コア部および第2コア部を有するコアと、前記コアよりも屈折率が小さいクラッドとを有する光導波路を備え、
前記コアは、入力された光のモードを変換する前段モード変換部と、前記前段モード変換部を経た光のモードを変換する後段モード変換部と、を有し、
前記前段モード変換部は、入力端では前記第1コア部と前記第2コア部の断面形状が互いに合同でなく、かつ、少なくとも一方のコアの断面の形状もしくは大きさが、光の導波方向に沿って連続的に変化することによって、出力端では前記第1コア部と前記第2コア部の断面の形状が互いに合同となり、
前記後段モード変換部は、前記第1コア部および前記第2コア部が、幅方向に間隔をおいて接続される出力部を有し、
前記出力部に前記第1コア部および前記第2コア部が接続される接続端において、前記出力部の幅方向の中央は、前記第1コア部、前記第2コア部および前記第1コア部と前記第2コア部との隙間を含む幅方向範囲の中央に一致し、且つ、前記出力部の幅は、前記第1コア部の幅と、前記第2コア部の幅と、前記第1コア部と前記第2コア部の間隔との合計より大きく、
前記後段モード変換部は、前記接続端以外ではモード変換が生じない
ことを特徴とする基板型光導波路素子。 - 基板の上に、互いに並列した第1コア部および第2コア部を有するコアと、前記コアよりも屈折率が小さいクラッドとを有する光導波路を備え、
前記コアは、入力された光のモードを変換する前段モード変換部と、前記前段モード変換部を経た光のモードを変換する後段モード変換部と、を有し、
前記前段モード変換部は、入力端では前記第1コア部と前記第2コア部の断面形状が互いに合同でなく、かつ、少なくとも一方のコアの断面の形状もしくは大きさが、光の導波方向に沿って連続的に変化することによって、出力端では前記第1コア部と前記第2コア部の断面の形状が互いに合同となり、
前記後段モード変換部は、前記第1コア部および前記第2コア部が、幅方向に間隔をおいて接続される出力部を有し、
前記出力部に前記第1コア部および前記第2コア部が接続される接続端において、前記出力部の幅方向の中央は、前記第1コア部、前記第2コア部および前記第1コア部と前記第2コア部との隙間を含む幅方向範囲の中央に一致し、
前記コアは、前記第1コア部および前記第2コア部の幅方向に延出したスラブ部を有し、
前記スラブ部は、高さ寸法が前記第1コア部および前記第2コア部に比べて小さく、少なくとも、前記第1コア部と前記第2コア部との間に、前記第1コア部と前記第2コア部とを互いに接続して形成されており、
前記後段モード変換部は、前記接続端以外ではモード変換が生じない
ことを特徴とする基板型光導波路素子。 - 前記スラブ部は、さらに、前記第1コア部および前記第2コア部からそれぞれ幅方向の外方に延出して形成された外方延出領域を有することを特徴とする請求項2に記載の基板型光導波路素子。
- 前記スラブ部は、さらに、前記出力部から幅方向の外方に延出して形成された外方延出領域を有することを特徴とする請求項2または3に記載の基板型光導波路素子。
- 前記スラブ部は、前記第1コア部および前記第2コア部の幅方向における外方側には形成されていないことを特徴とする請求項2に記載の基板型光導波路素子。
- 前記第1コア部、前記第2コア部および出力部は、光の導波方向に垂直な断面が矩形状であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
- 前記前段モード変換部では、前記第1コア部および第2コア部の高さが互いに等しく、かつ、前記第1コア部と第2コア部のうち断面が大きいコア部の幅が、光の導波方向に沿って連続的に小さくなることによって、前記出力端で前記第1コア部と前記第2コア部の断面の形状が互いに合同となることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
- 前記前段モード変換部は、TE0をTE0スーパーモードの奇モードに変換可能であり、
前記後段モード変換部は、前記スーパーモードの奇モードをTE1に変換可能であることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。 - 前記コアは、前記前段モード変換部の入力側に、前記第1コア部と前記第2コア部の一方または両方を平面視において湾曲させて形成した曲げ導波路を有し、
前記曲げ導波路において、前記第1コア部と前記第2コア部とが、前記前段モード変換部に近づくほど互いに接近することを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。 - 前記前段モード変換部と前記後段モード変換部との間に、これらを互いに接続する中間コア部が設けられていることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
- 前記コアがSiからなり、前記クラッドがSiO2からなることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。
- 前記後段モード変換部の出力側に、高次偏波変換部が接続され、
前記高次偏波変換部は、前記後段モード変換部で得られたTE1をTM0に変換可能であることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子。 - 請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子を備えた偏波多重4値位相変調器。
- 請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子を備えたコヒーレント受信機。
- 請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の基板型光導波路素子を備えた偏波ダイバーシティ。
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